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小児の新型コロナウイルス感染症の診療に関連した論文

 小児の新型コロナウイルス感染症の診療に関連した論文を紹介いたします。ご参考にしてください。
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会

【2020年9月16日 掲載】
※今回掲載分から、カテゴリ(Mechanism、Diagnosisなど)ごとに掲載しております。また、原著以外の論文(総説、仮説)についてはその旨、記載しました。

(Mechanism)
1.【総説】コロナウイルスは、感染初期において免疫系の監視から外れることで免疫応答を回避していることが示されています。1型インターフェロンの抗ウイルス作用を抑制することで、上皮細胞でのウイルス複製を制御不能にしています。致死的で過剰な炎症反応(サイトカインストーム)によるCOVID-19重症化が、不適切な免疫系の過剰応答よりも、こうした激しいSARS-CoV-2複製の帰結であるという科学的根拠が積み重ねられています。無症候性SARS-CoV-2感染者からのウイルス伝播の発生は、ウイルス複製に対する十分な免疫応答の存在を示すものです。COVID-19管理ガイドラインにおいて、免疫調整薬剤の投与が推奨される場合がありますが、免疫不全患者のSARS-CoV-2感染ではまだ結論が出ていません。COVID-19の転帰を決める統制不能な免疫反応に関する臨床家のさらなる知見は、治療プロトコルとSARS-CoV-2感染患者の予後を改善するかもしれません。
著者名:Agata Kosmaczewska, Irena Frydecka.
論文名:Dysregulation of the immune system as a driver of the critical course of the novel coronavirus disease 2019.
雑誌名:Pol Arch Intern Med. 2020 Jul 6. doi: 10.20452/pamw.15482.
U R L:https://www.mp.pl/paim/issue/article/15482

2.【仮説】胎児ヘモグロビン値の高い小児においてはCOVID-19発症頻度が低く、ヘモグロビン異常症保因者が高率な国ではCOVID-19の罹患率と致死率が低いことが観察されています。この事実から、ヘモグロビン構造がCOVID-19の病態生理に関連していることが想定されます。成人において様々な薬剤が胎児ヘモグロビン値を上昇させます。これら薬剤を加えることで、COVID-19臨床試験における患者転帰を改善させるかもしれません。
著者名:Ehsan Sotoudeh,Houman Sotoudeh.
論文名:A hypothesis about the role of fetal hemoglobin in COVID-19.
雑誌名:Med Hypotheses. 2020 Jun 12;144:109994. doi: 10.1016/j.mehy.2020.109994.
U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S030698772031241X?via%3Dihub

3.【仮説】SARS-CoV-2感染でみられる抗体依存性感染増強(ADE)についてのHypothesis and theory(仮説・理論)論文です。SARS-CoV-2感染では、小児で臨床症状が比較的乏しいことと、特定の患者においてIgGが早期に出現することが注目されています。ヒトコロナウイルスに既感染の場合、交差反応性記憶抗体が非保護的であるだけでなく重症化に関連している(抗体介在性感染増強;ADE)可能性があります。小児患者が臨床症状を欠くのはコロナウイルスに対する免疫を持たないためと考えられます。
著者名: Walter Fierz,Brigitte Walz.
論文名:Antibody dependent enhancement due to original antigenic sin and the development of SARS.
雑誌名:Front Immunol. 2020 Jun 5;11:1120. doi: 10.3389/fimmu.2020.01120. eCollection 2020.
URL: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2020.01120/full

4.小児がCOVID-19に罹患しにくいこと、入院患者が少ないことを、MMRワクチン接種がCOVID-19を含む多くの疾患に対する幅広い中和抗体を付与できると仮定し、その要因をプロテオーム解析で検討した論文です。麻疹ウイルスの膜融合(F1)糖蛋白、風疹ウイルスのエンベロープ(E1)糖蛋白とSARS-CoV-2のスパイク糖蛋白(6VSB)A鎖でアミノ酸配列の相同性検索を行い、30個のアミノ酸残基だけが、共通の類似点が認められ、SARS-CoV-2のスパイク蛋白と麻疹ウイルス、風疹ウイルスの表面蛋白が共通の抗原エピトープとなることが示唆されました。COVID-19に対する小児の免疫は、定期接種を通じて産生される抗体に関連していると確定するにはさらなる研究が必要です。
著者名:Karzan R. Sidiq,Dana Khdr Sabir,Shakhawan M. Ali,et al.
論文名:Does early childhood vaccination protect against COVID-19?
雑誌名:Front Mol Biosci. 2020 June 5. doi.org/10.3389/fmolb.2020.00120
U R L:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmolb.2020.00120/full

5.COVID-19患者群33例と対照群17例を対象に、好中球細胞外トラップ(Neutrophil Extracellular Traps:NETs)とCOVID-19の重症度、進行度との関連を検討した前向きコホート研究です。血漿中ミエロペルオキシダーゼ(MPO)-DNA複合体(NETs)は挿管例や死亡したCOVID-19患者群で有意に増加していました。COVID-19の重症度は血漿中MPO-DNA複合体と相関し、PaO2/FiO2と逆相関しました。NETsを誘発する可溶性因子と細胞性因子はCOVID-19患者群で有意に増加し、肺剖検例では好中球-血小板浸潤を伴うNETsを含有する微小血栓が確認されました。また、体外評価ですが、新生児NET阻害因子(nNIF)は、COVID-19患者血漿によって誘導されるNETsを阻止しました。臍帯血等に含まれるnNIFや関連ペプチドが、COVID-19重症化阻止の可能性があることが示唆されました。
著者名:Elizabeth A. Middleton, Xue-Yan He, Frederik Denorme,et al.
論文名:Neutrophil extracellular traps (NETs) contribute to immunothrombosis in COVID-19 acute respiratory distress syndrome
雑誌名:Blood. 2020 Jun 29;2020007008. doi:10.1182/blood.2020007008
U R L:https://doi.org/10.1182/blood.2020007008

(Diagnosis)
1.小児COVID-19患者の気道および消化管からのウイルス排出期間を検討したシステマティックレビューです。鼻咽頭あるいは咽頭スワブ検体からは、発症から平均11.1日間、最大24日までRT-PCRでウイルスが検出されました。直腸・肛門スワブ検体では陽性率86%であり、平均23.6日間、最大4週間ウイルスが検出されました。89%の症例では呼吸器検体より便検体から長期間に渡りウイルスが検出されました。感染制御に重要な示唆を与える所見でした。
著者名:Xu Cecilia L H, Raval Manjri, Schnall Jesse A,et al.
論文名:Duration of respiratory and gastrointestinal viral shedding in children with SARS-CoV-2: A systematic review and synthesis of data
雑誌名:Pediatr Infect Dis J. 2020;10.1097/INF.0000000000002814.
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32618932

2.小児COVID-19患者の便中ウイルス排泄期間を検討した後方視的観察研究です。対象は10例で年齢中央値は5.08歳、5例は無症状病原体保有者です。呼吸器検体からウイルスが消失した後でも、7例の便検体でRT-PCRによりウイルスRNAが検出されました。7例中1例に症状の再燃を認めました。ウイルスRNA消失までの中央値は、呼吸器検体では9日であったのに対して便検体では34.43日でした。
著者名:Du Wenjun,Yu Jinhong, Liu Xiaoyan,et al.
論文名:Persistence of SARS-CoV-2 virus RNA in feces: A case series of children.
雑誌名:J Infect Public Health. 2020;13(7):926-931.doi:10.1016/j.jiph.2020.05.025
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32546439

3.中国の武漢小児病院に入院した74例の小児COVID-19患者を対象として、臨床的特徴を検討した後方視的観察研究です。年齢中央値は5.8歳であり、すべての患者が一人以上の家族から直接曝露を受けていました。23.0%は無症候病原体保有者でした。観察期間中に、91.9%で鼻咽頭検体のウイルス陰性化が認められたのに対して、肛門スワブ検体では34%が持続的にウイルス陽性でした。家族内クラスターにおける、小児の無症候病原体保有者によるウイルス伝搬の可能を再検討する必要があります。
著者名:Dan Sun, Feng Zhu, Cheng Wang,et al.
論文名:Children infected with SARS-CoV-2 from family clusters.
雑誌名:Front Pediatr. 2020;8:386. Published 2020 Jun 23.doi:10.3389/fped.2020.00386
U R L:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fped.2020.00386/full

4.COVID-19 診断における鼻咽頭拭い液の採取方法を考察しています。RT-PCRによる偽陰性(約30%)は不適切な手技が主な要因であるとし、採取に際しては、エアロゾルの拡散を防ぎ得る環境において適切なPPEを着用して行う、採取前に手技を説明し検査が不快感を伴うことを伝えておく、採取時はサージカルマスクで口を覆い鼻を出す、乳幼児の場合は仰臥位にして両側鼻腔に生理食塩水を2~3滴滴下して鼻咽頭吸引物を検体にする、などを勧めています。
著者名:Pondaven-Letourmy S, Alvin F, Boumghit Y,et al.
論文名:How to perform a nasopharyngeal swab in adults and children in the COVID-19 era.
雑誌名:Eur Ann Otorhinolaryngol Head Neck Dis. 2020;S1879-7296(20)30140-X. doi:10.1016/j.anorl.2020.06.001
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32646750

5.チリのサンティアゴにある大規模学校においてCOVID-19のアウトブレイクが発生し、血清抗体価を調査してその感染状況を評価した報告です。SARS-CoV-2に対するIgG/IgM抗体検査を生徒と職員に行った結果、生徒1009人中100人(9.9%)、職員235人中39人(16.6%)が抗体陽性でした。生徒における陽性率は、就学前と低学年、およびRT-PCR陽性者との接触歴がある者で高く、スタッフにおける陽性率は、支援職員(7.1%)に比して先生(20.6%)で高かったです。このアウトブレイクには生徒より先生の関与が強いことが示唆されました。
著者名:Torres Juan Pablo, Pinera Cecilia, De La Maza Veronica,et.al.
論文名:SARS-CoV-2 antibody prevalence in blood in a large school community subject to a Covid-19 outbreak: a cross-sectional study.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020;ciaa955. doi:10.1093/cid/ciaa955
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32649743

6.SARS-CoV-2回復期患者血清100検体を用いて、3種類のELISA法、2種類のCLIA(化学発光免疫測定法)、2種類のlateral flow assay(免疫沈降法による迅速診断キット)によるSARS-CoV-2 IgG抗体測定法を評価しています。基準は中和抗体法です。Wantai ELISAとElecsysの感度が最も高く、中和抗体価との抗体価の相関が最も高かったのは、Euroimmun社のIgG測定キットとWantai ELISAでした。ただし、陰性コントロール血清を用いた解析がなされていないので結果の解釈には注意が必要です。
著者名:Weidner Lisa, Gansdorfer Simon, Unterweger Stephan,et al.
論文名:Quantification of SARS-CoV-2 antibodies with eight commercially available immunoassays.
雑誌名:J Clin Virol. 2020;129:104540. doi:10.1016/j.jcv.2020.104540
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32652475

7.多数の検体解析に有用なELISA法によるSARS-CoV-2 IgG、IgA抗体測定法(Euroimmun社)の信頼性を、既に検査法として確立しているウイルスSタンパク遺伝子を導入したVero B細胞を使った蛍光抗体法を基準として評価しました。検体としてSARS-CoV-2診断の確定した患者血清181サンプルと、流行前に採血された326のコントロール血清を用いて解析しています。その結果、この方法の感度、特異度は高く信頼性が高いことが証明されました。
著者名:Meyer Benjamin, Torriani Giulia, Yerly Sabine,et al.
論文名:Validation of a commercially available SARS-CoV-2 serological immunoassay.
雑誌名:Clin Microbiol Infect. 2020;S1198-743X(20)30368-2.
doi:10.1016/j.cmi.2020.06.024
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32603801

8.5型アデノウイルスをベクターとしたCOVID-19ワクチンの第Ⅱ相臨床試験の結果です。二重盲検ランダム化比較試験で、ワクチン投与量を2種類に振り、プラセボ群を含む3群で比較しています。対象はCOVID-19感染が否定された18歳以上の健康な中国人で、ワクチンあるいはプラセボを1回筋注後28日目の液性免疫とELISPOTによる細胞性免疫を評価しています。ELISA抗体価で見ると96、97%といった良好な抗体陽転率を認め、90%近い接種者で細胞性免疫誘導も確認されています。さらに、有害事象も許容範囲内であったことが示されています。
著者名:Zhu Feng-Cai, Guan Xu-Hua, Li Yu-Hua,et al.
論文名:Immunogenicity and safety of a recombinant adenovirus type-5-vectored COVID-19 vaccine in healthy adults aged 18 years or older: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial.
雑誌名:Lancet. 2020; doi: 10.1016/S0140-6736(20)31605-6
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32702299

9.米国NIAIDとModerna社による脂質nano粒子被包ヌクレオシド修飾mRNAワクチン(mRNA-1273)を用いた第1相臨床試験の中間解析です。米国の18ー55歳の健常成人45名を対象に非盲検で実施され、25µg、100µg、250µgの3用量で、28日間隔で2回接種です。免疫原性は、スパイク蛋白質に対するELISA抗体と中和法(PRNTとPsVNA)で検討し、用量依存性に抗体反応を認め、COVID-19回復期患者血清の平均以上に匹敵する数値でした。被験者の半数以上で倦怠感、悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、接種部位疼痛などが観察され、全身反応は2回目接種、特に高用量で頻度や程度が強いものの許容範囲内でした。
著者名:Lisa A. Jackson, Evan J. Anderson, Nadine G. Rouphael,et al.
論文名:An mRNA vaccine against SARS-CoV-2 — preliminary report
雑誌名:N Engl J Med. 2020 Jul 14:NEJMoa2022483. doi: 10.1056/NEJMoa2022483. Online ahead of print
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7377258

10.中国重慶市万州区においてRT-PCRでSARS-CoV-2感染と診断された無症候患者37名を解析しました。無症候の定義は、診断前2週間と入院中に臨床症状を認めなかった者です。ウイルス排出期間の中央値は19日(IQR:15-26)で軽症の有症状者(14日;IQR:9-22)より有意に長く、急性期特異IgG抗体価は3.4(IQR:1.6-10.7)で有症状者(20.5;IQR:5.8-38.2)より有意に低値という結果でした。回復期の抗体価減衰速度や陰性化比率は、無症候患者で顕著でした。血液中の炎症性サイトカインは、無症候患者で低値でした。
著者名:Quan-Xin Long, Xiao-Jun Tang, Qiu-Lin Shi,et al.
論文名:Clinical and immunological assessment of asymptomatic SARS-CoV-2 infections.
雑誌名:Nat Med. 2020. https://doi.org/10.1038/s41591-020-0965-6
U R L:https://www.nature.com/articles/s41591-020-0965-6

(Transmission)
1.COVID-19に罹患している妊婦の膣液にSARS-CoV-2が存在するか検討した論文です。トルコ サカリヤ州のCOVID-19専用病院に4月19日~5月19日の間入院した妊婦のうち、12人が気道検体のPCRでSARS-CoV-2が陽性でした。この12人の平均年齢は32±7.9歳 平均妊娠回数2.3±1.6回 平均出産回数0.8±1.0 平均妊娠週数26.0±10.3週。症状は発熱41.7% 咳66.7% 呼吸困難16.7%。腟ぬぐい液のPCRは全例陰性でした。女性の生殖管がSARS-CoV-2の感染経路ではないことが示されました。
著者名:Mehmet Musa Aslan ,Hilal Uslu Yuvacı,Osman Köse,et al.
論文名:SARS-CoV-2 is not present in the vaginal fluid of pregnant women with COVID-19.
雑誌名:J Matern Fetal Neonatal Med. 2020 Jul 16 doi: 10.1080/14767058.2020.1793318
URL:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14767058.2020.1793318

2. SARS-CoV-2の経胎盤感染を実証したケースレポートです。23歳G1P0の母体がGW35週2日に38.6度の発熱、重度の咳、多量の喀痰あり入院、血液・鼻咽頭・膣ぬぐいでSARS-CoV-2のPCR陽性、入院3日目に胎児心拍異常認め帝王切開、破水前に採取した羊水・児の血液、BAL、鼻咽頭と直腸ぬぐいでPCR陽性でした。またSARS-CoV-2のNタンパクを用いた胎盤の免疫染色で、絨毛周囲にある栄養膜細胞の細胞質内が染色されました。以上から経胎盤感染と診断しました。児の呼吸器症状は生後6時間で改善、生後3日目に神経学的所見と画像異常出現したが自然経過で改善しました。
著者名:Alexandre J. Vivanti, Christelle Vauloup-Fellous, Sophie Prevot,et al.
論文名:Transplacental transmission of SARS-CoV-2 infection.
雑誌名:Nat Commun. 2020 Jul 14. doi:10.1038/s41467-020-17436-6
URL:https://www.nature.com/articles/s41467-020-17436-6

3. 医療従事者(HCW)にSARS-CoV-2が伝播する行動様式と決定因子に関する論文です。パリ中心部の大学病院で有症状のHCW1344人のうち373人(28%)がPCR陽性、3人が入院し死亡者なし、70%が陽性患者に対面する仕事内容(22%はCOVID-19専用病棟)でした。関わった対象による感染率の比較では、成人3.2%と小児2.3%(P=0.0022)でした。成人に関わった人ではPPE未装着の方がより多く感染しました(25%対15% P=0.046)。マスクの常時着用、手指衛生の強化と患者に直接接触時のPPE着用によりHCWは守られ、感染拡大が封じ込められました。その他の陽性者は、未診断の患者や同僚との持続的な曝露があり、在宅介護施設に通う子どもたちとの接触とは関連しませんでした。
著者名:Adrien Contejean, Jérémie Leporrier, Etienne Canouï,et al.
論文名:Comparing dynamics and determinants SARS-CoV-2 transmissions among health care workers of adult and pediatric settings in central Paris.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Jul 15. doi: 10.1093/cid/ciaa977
URL:https://academic.oup.com/cid/article/doi/10.1093/cid/ciaa977/5871438

4.【総説】SARS-CoV-2が妊娠に対して悪影響を及ぼすメカニズムを考察した論文です。Th17細胞はIL-17Aなどの炎症性サイトカインを産生しますが、妊婦で増加すると胎児同種移植片拒絶反応を引き起こします。一方、Treg細胞はIL-4,IL-10,TGF-βを発現し過剰な免疫応答を制御していますが、母体では胎児への免疫寛容にかかわっています。Treg/Th17の比率は正常な妊娠継続に重要ですが、重症COVID-19感染においては、Treg細胞の有意な減少とTh17細胞の増加によりTreg/Th17の減少が起こっています。これが、流産や早産などの妊娠合併症に関連しています。
著者名:Kahinho P. Muyayalo,Dong‐Hui Huang, Si‐Jia Zhao,et al.
論文名:COVID-19 and Treg/Th17 imbalance: Potential relationship to pregnancy outcome.
雑誌名:Am J Reprod Immunol. 2020 Jul 14. doi:10.1111/aji.13304
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/aji.13304

5. 妊娠第3半期にCOVID-19に感染した母体から新生児への感染について、スペインの16施設で行われた共同研究です。42人の陽性妊婦(妊娠第3半期)のうち、52.4%が経腟分娩、1例のみが巨大血栓症にて死亡しました。新生児への垂直感染は1人も認めませんでした。出生後88%は母児分離のため新生児室に入院し、残りは母児分離しませんでした。生後1か月までのフォロー期間中に水平感染は1例も認めず、新生児死亡もありませんでした。経腟分娩でも新生児に感染していないことから、COVID-19母体の帝王切開の決定は現行の産科ガイドラインに従えばよいです。退院時、15%のみが完全母乳栄養であり、感染防止対策が退院時の完全母乳を減少させていることが明らかになりました。
著者名: Miguel A. Marín Gabriel, Irene Cuadrado, Blanca Álvarez Fernández,et al.
論文名:Multicentre Spanish study found no incidences of viral transmission in infants born to mothers with COVID-19.
雑誌名:Acta Paediatrica. 2020 Jul 10. doi:10.1111/apa.15474
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/apa.15474

6. 母乳バンクからの10名分のドナーミルクにSARS-CoV-2を添加させ、ホルダー低温殺菌(30分間62.5度)処理もしくは室温30分保持後にVero E6細胞に対する細胞変性活性を50%組織培養感染量(TCID50/mL)で測定しました。低温殺菌されたSARS-CoV-2添加母乳では、細胞変性活性は検出されませんでした。室温で30分間保持されたSARS-CoV-2添加母乳では、約1 logの感染性ウイルス力価の低下が観察されました。提供された母乳が乳腺を介した感染または汚染によってSARS-CoV-2を含んでいる場合、この低温殺菌の方法により取り扱いが安全になります。
著者名: Sharon Unger, Natasha Christie-Holmes, Furkan Guvenc,et al.
論文名: Holder pasteurization of donated human milk is effective in inactivating SARS-CoV-2.
雑誌名: CMAJ. 2020 Aug 4;192(31):E871-E874. doi: 10.1503/cmaj.201309.
URL: https://www.cmaj.ca/content/192/31/E871.long

7. 武漢大学病院で治療された妊娠後期のCOVID-19患者18名は軽症型1例、通常型16例、重症型1例で、重症肺炎に発展する危険性は低かったです。17名(94%)の患者が帝王切開で出産しました。18名の新生児のうち、早産児3名(17%)、軽度仮死1名(6%)、細菌性肺炎5名(28%)、消化管出血1名(6%)、壊死性腸炎1名(6%)、高ビリルビン血症2名(11%)、下痢1名(6%)でした。すべての新生児は、出生後のSARS-CoV-2の最初の咽頭スワブ検査で陰性でした。細菌性肺炎の割合は、他の新生児疾患よりも高かったです。
著者名:Lu Zhang, Lan Dong, Lei Ming,et al.
論文名:Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) infection during late pregnancy: a report of 18 patients from Wuhan, China.
雑誌名:BMC Pregnancy Childbirth. 2020 Jul 8;20(1):394.doi:10.1186/s12884-020-03026-3.
URL: https://bmcpregnancychildbirth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12884-020-03026-3

8. 妊娠に対するCOVID-19の影響に関する研究について2020年3月17日から20日に検索して、システマティックレビューを行いました。8の研究から95名の妊婦と51名の新生児が対象となりました。妊婦の最も一般的な症状は発熱(55%)、咳(38%)と疲労(11%)でした。50の出産の94%が帝王切開で、35%が早産でした。新生児は20%が低出生体重で、SARS-CoV-2を検査された48名中1名(2%)が陽性でした。1名の新生児死亡がありましたが、ウイルス感染に関連していませんでした。
著者名: Vera Trocado,Joana Silvestre-Machado,Lídia Azevedo,et al.
論文名: Pregnancy and COVID-19: a systematic review of maternal, obstetric and neonatal outcomes.
雑誌名: J Matern Fetal Neonatal Med. 2020 Jul 7:1-13. doi:10.1080/14767058.2020.1781809
URL: https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14767058.2020.1781809

9. ニューヨークの三施設に分娩のために入院した675人の妊婦のうち、10.4%がSARS-CoV-2陽性で、そのうち78.6%が無症候性でした。帝王切開率は、症候性COVID-19で46.7%、無症候性COVID-19で45.5%、COVID-19なしで30.9%。分娩後合併症(発熱、低酸素症、再入院)は、COVID-19妊婦の12.9%に有意に多く発生しました(非COVID-19妊婦4.5%)。PCR検査された71名の新生児で陽性はありませんでした。COVID-19妊婦の胎盤血管内塞栓所見が多くみられました(48.3%vs 11.3%)。
著者名:M Prabhu, K Cagino, KC Matthews,et al.
論文名: Pregnancy and postpartum outcomes in a universally tested population for SARS-CoV-2 in New York City: A prospective cohort study.
雑誌名: BJOG. 2020 Jul 7:10.1111/1471-0528.16403. doi: 10.1111/1471-0528.16403.
URL: https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/1471-0528.16403

10.シンガポールからの家庭内伝播に関する報告。COVID-19の223人の成人発端者の137世帯のうち、16歳以下の213人の子どもにSARS-CoV-2のPCR検査が行われました。7世帯(5.2%)の13例(6.1%)にCOVID-19が感染していました。年長児に比べて5歳未満の幼児は、感染のリスクが最も低く(1.3%)、世帯の発端者が母親である場合、子どもへ感染するリスクが最も高かったです。(11.1%)。
著者名:Chee Fu Yung, Kai-qian Kam, Chia Yin Chong,et al.
論文名: Household transmission of SARS-CoV-2 from adults to children.
雑誌名: J Pediatr. 2020 Jul 4:S0022-3476(20)30852-0. doi: 10.1016/j.jpeds.2020.07.009.
URL: https://www.jpeds.com/article/S0022-3476(20)30852-0/fulltext

11. COVID-19の消化器症状に関するメタアナリシスです。2020年4月までの論文が検討されています。成人で消化器症状を示した患者は9.8%でした。個別にみると下痢は10.4%、嘔気/嘔吐は7.7%、腹部不快感/腹痛は6.9%でした。小児で消化器症状を示した患者は9.6%で、下痢は9.6%、嘔気/嘔吐は6.8%でした。患者の30.3%において糞便中にSARS-CoV-2が検出されました。消化管はSARS-CoV-2の標的臓器および潜在的感染経路である可能性があり、このことは治療や感染対策において重要であると考えられました。
著者名:Theodore Rokkas.
論文名: Gastrointestinal involvement in COVID-19: a systematic review and meta-analysis.
雑誌名: Ann Gastroenterol. Jul-Aug 2020;33(4):355-365. doi: 10.20524/aog.2020.0506.
URL:http://www.annalsgastro.gr/files/journals/1/earlyview/2020/ev-06-2020-07-AG_5222-0506.pdf

12. 世界各国のSARS-CoV-2の基本再生産数に関する報告です。年齢別の接触頻度や感染しやすさ、症状発現率、無症候性もしくは軽症患者からの伝播を組合せた計算モデルを用いています。このモデルでは無症候性感染者の伝播力が低い場合には、東ヨーロッパや日本の基本再生産数が最高値になり、アフリカ、中央アメリカや南西アジアが最低値になります。接触頻度ベースのモデルと異なり、このモデルは高齢感染者が新たな感染者を生んでいることを示唆しており、高齢者の多い国ではCOVID-19が急速に拡がる可能性を示しています。
著者名:Joe Hilton ,Matt J. Keeling.
論文名: Estimation of country-level basic reproductive ratios for novel coronavirus (SARS-CoV-2/COVID-19) using synthetic contact matrices.
雑誌名:PLoS Comput Biol. 2020 Jul 2;16(7):e1008031.doi:10.1371/journal.pcbi.1008031.
URL: https://journals.plos.org/ploscompbiol/article?id=10.1371/journal.pcbi.1008031

13.COVID-19小児患者の鼻咽腔から分離培養可能なSARS-CoV-2が検出されるかを検討した報告です。対象は16歳未満のPCR陽性の23人で、上気道炎など何らかの症状を有していました。うち12人(52%)から実際にSARS-CoV-2が分離されました。最年少は生後7日で、全ての年齢層で分離されました。感染性を有したSARS-CoV-2は、症状のある小児患者からも排出されることが判明しました。小児からも伝播が起こり得ることを示しています。
著者名:Arnaud G. L’Huillier1, Giulia Torriani1, Fiona Pigny,et al.
論文名: Culture-competent SARS-CoV-2 in nasopharynx of symptomatic neonates, children, and adolescents.
雑誌名: Emerg Infect Dis. 2020 Jun 30;26(10). doi: 10.3201/eid2610.202403.
URL: https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/10/20-2403_article

14. SARS-CoV-2陽性母体から出生した児への垂直感染に関するメタアナリシスです。335の文献が検討され、17文献がレビューされています。402人の母体から405人の児が出生し、うち330人にPCR検査が早期に行われ9人の児が陽性でした。結果を統合すると、垂直感染の推定値は平均して1000人当たり16人となり、リスクは低いことが示されました。SARS-CoV-2陽性となった9人のうち1人が症状を有しており、子宮内感染が示唆されています。
著者名:Xin Lei Goh, Yi Fen Low, Cheng Han Ng,et al.
論文名: Incidence of SARS-CoV-2 vertical transmission: a meta-analysis.
雑誌名: Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2020 Jun 25:fetalneonatal-2020-319791. doi: 10.1136/archdischild-2020-319791.
URL: https://fn.bmj.com/content/early/2020/06/25/archdischild-2020-319791.long

15.教育現場でのSARS-CoV-2伝播のリスクに関する報告です。2020年2月から3月にシンガポールの公立の幼稚園2園、中学校1校において、濃厚接触者計119名が経過観察され、接触5〜11日後にPCR検査が行われました。咳などの症状の有無にかかわらず、SARS-CoV-2は検出されず、伝播は全く認められませんでした。幼稚園を含む学校では、子どもがSARS-CoV-2の主要な伝播者ではないことが示唆されました。
著者名:Chee Fu Yung, Kai-qian Kam, Karen Donceras Nadua,et al.
論文名: Novel coronavirus 2019 transmission risk in educational settings.
雑誌名: Clin Infect Dis. 2020 Jun 25:ciaa794. doi: 10.1093/cid/ciaa794.
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa794/5862649

(Treatment)
1.コルチコステロイドの出産前投与は早期産児の転帰を改善しますが、母体がCOVID-19に罹患していれば転帰を悪化させる恐れがあります。この研究は、早産のリスクが高いCOVID-19罹患女性への投与が母児の転帰(Quality-adjusted life years, QALYs)に及ぼす影響を、在胎週数別に意思決定分析モデルを用いて文献データから構築した理論的コホートにおいて分析しました。ステロイドはCOVID-19罹患母体の転帰を悪化させるとしても、入院患者では32週未満、ICU患者では30週未満であれば、児の転帰の改善効果がそれを上回っていました。(訳注:筆者らは一般的なステロイド療法がSARSやMERSの際に予後を悪化させたとする報告を元に解析しており、デキサメタゾンがCOVID-19重症例の予後を改善させた文献は参照していません。)
著者名:Claire H. Packer, Clarice G. Zhou, Alyssa R. Hersh,et al.
論文名: Antenatal corticosteroids for pregnant women at high risk of preterm delivery with COVID-19 infection: A decision analysis.
雑誌名:Am J Perinatol. 2020 Aug;37(10):1015-1021. doi: 10.1055/s-0040-1713145. Epub 2020 Jun 30.
U R L:https://www.thieme-connect.de/products/ejournals/pdf/10.1055/s-0040-1713145.pdf

2.2020年3月10日〜4月10日にトルコの1病院小児科において、COVID-19患者21人(9〜18歳)に対するヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの併用がQT延長に及ぼす影響を調べた後方視的研究です。集中治療を必要とした患者はいませんでした。治療前、治療開始翌日及び治療終了時にECGを検査し、QT延長は検出されませんでした。検査結果も異常はなく、他の薬による追加治療の必要ありませんでした。
著者名:Tunc Tuncer , Mehmet Karaci, Aysun Boga,et al.
論文名: QT Interval evaluation associated with use of hydroxychloroquine with combined use of azithromycin among hospitalized children positive for COVID-19.
雑誌名:Cardiol Young. 2020 Jul 20;1-4. doi: 10.1017/S1047951120002425. [Online ahead of print]
U R L:https://www.cambridge.org/core/services/aop-cambridge-core/content/view/2A096D3D1076335059490A691EC076A9/S1047951120002425a.pdf/qt_interval_evaluation_associated_with_the_use_of_hydroxychloroquine_with_combined_use_of_azithromycin_among_hospitalised_children_positive_for_coronavirus_disease_2019.pdf

3.22歳未満のCOVID-19入院患者65人についての米国1施設での後方視的研究です。35%の患者に集中治療室管理が必要で、34%が呼吸補助を要しました。重症度は60日未満の乳児が最も低く、慢性基礎疾患がある患者が最も高かったとしています。免疫不全患者の79%は軽症でした。胃瘻チューブと酸素投与が必要な進行性神経筋疾患の小児1例のみ死亡しました。乳児例の50%、免疫不全例の71%、慢性基礎疾患例の50%に対して何らかの抗COVID-19治療(ヒドロキシクロロキン+/-アジスロマイシン、レムデシビル、トシリズマブ、アナキンラ、ステロイドなど)を行いましたが、有効性・安全性の評価は出来ませんでした。
著者名:Mundeep K. Kainth, Pratichi K. Goenka,Kristy A. Williamson,et al.
論文名:Early experience of COVID-19 in a US children’s hospital.
雑誌名:Pediatrics. 2020 Jul 17;e2020003186. doi: 10.1542/peds.2020-003186. [Online ahead of print]
U R L:https://pediatrics.aappublications.org/content/pediatrics/early/2020/07/15/peds.2020-003186.full.pdf

4.2020年3月14日〜5月2日にニューヨーク市の9つのPICUに入院したCOVID-19患者70人の後方視的観察研究です。年齢中央値15歳、74.3%に併存疾患がありました。12人(17%)が重症敗血症、14人(20%)が昇圧剤を要し、21人(30%)がARDS発症、9人(12.9%)が急性腎障害、2人(2.8%)が心停止を起こしました。治療として、27人(38.6%)にヒドロキシクロロキン、13人(18.6%)にレムデシビル、23人(32.9%)にコルチコステロイド、3人(4.3%)にトシリズマブ、1人(1.4%)にアナキンラが投与されましたが、有効性・安全性の評価は出来ていません。49人(70%)が呼吸補助を必要とし、14人(20.0%)は非侵襲的人工換気、20人(28.6%)は侵襲的人工換気、7人(10%)は腹臥位、2人(2.8%)は一酸化窒素吸入、1人(1.4%)はECMOを要しました。ARDSの合併がPICU滞在/入院期間の延長に有意に関与していました。
著者名:Kim R. Derespina,Shubhi Kaushik, Anna Plichta,et al.
論文名:Clinical manifestations and outcomes of critically ill children and adolescents with COVID-19 in New York City.
雑誌名:J Pediatr. 2020 Jul 15;S0022-3476(20)30888-X. [Online ahead of print]doi: 10.1016/j.jpeds.2020.07.039.
U R L:https://pediatrics.aappublications.org/content/pediatrics/early/2020/07/15/peds.2020-003186.full.pdf

5.2020年3月23日〜5月10日にパリ郊外の23施設に入院した18歳未満の小児COVID-19症例192例(年齢中央値1歳)の前方視的まとめです。主要症状は発熱147例(76.6%)、鼻汁66例 (34.4%)、全身状態悪化63例 (32.8%)、呼吸障害48例 (25%)、嗅覚障害10例 (5.2%)でした。24例(12.5%)がPICU管理となり、その内11例 (45.8%) に喘息などの基礎疾患がありました。14例 (7.3%) が川崎病、8例 (4.2%) が心筋炎とも診断されました。12例 (6.3%) が挿管管理を要し、1例にECMOが導入されました。抗ウイルス薬などには言及はありません。ECMO症例を含む3例が死亡しました。
著者名:Louise Gaborieau,Celine Delestrain,Philippe Bensaid,et al.
論文名: Epidemiology and clinical presentation of children hospitalized with SARS-CoV-2 infection in suburbs of Paris.
雑誌名:J Clin Med. 2020 Jul 14;9(7):E2227. doi: 10.3390/jcm9072227.
U R L: https://www.mdpi.com/2077-0383/9/7/2227

6.2020年2月23日〜4月24日にイタリア小児血液・がん学会感染症ワーキング・グループが実施した前方視的調査で、癌治療中に発症した小児COVID-19症例29例(年齢中央値7歳)のまとめです。対象は白血病16例、リンパ腫3例、固形腫瘍10例、LCH1例でした。26例が化学療法中、3例が幹細胞移植後でした。有症状者は11例のみで1例のみ酸素投与を要しました。挿管管理やICU管理を要する重症例は認めませんでした。無症状患者5例を含む9例にヒドロキシクロロキン、うち3例にはロピナビル/リトナビルも併用しました。6例にアジスロマイシンを使用しました。治療効果の評価はなされていません。化学療法中の26例のうち、16例は化学療法中断、8例は継続、2例は微調整して継続されました。注意は必要ですが、小児ではCOVID罹患時も化学療法継続が可能かもしれません。
著者名:Gianni Bisogno, Massimo Provenzi, Daniele Zama,et al.
論文名: Clinical characteristics and outcome of SARS-CoV-2 infection in Italian pediatric oncology patients: a study from the Infectious Diseases Working Group of the AIEOP.
雑誌名:J Pediatr Infect Dis Soc. 2020 Jul 11; piaa088. doi: 10.1093/jpids/piaa088.  [Online ahead of print]
U R L:https://academic.oup.com/jpids/advance-article/doi/10.1093/jpids/piaa088/5870367

7.イタリアの単一小児病院からの2020年3月15日〜5月6 日に発生した小児COVID-19症例 43例(年齢中央値7歳)のまとめです。2例(5%)にヒドロキシクロロキン、7例 (17%)にヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン、1例 (2%) にヒドロキシクロロキン+ロピナビル/リトナビルが使用されました。治療効果の評価はなされていません。QT延長などの副作用は認めませんでした。ヒドロキシクロロキン+ロピナビル/リトナビルを併用した15歳女児において徐脈を認めましたが、ロピナビル/リトナビル休薬により徐脈は消失しました。
著者名:Lorenza Romani, Sara Chiurchiù, Veronica Santilli,et al.
論文名:COVID-19 in Italian pediatric patients: the experience of a tertiary children's hospital.
雑誌名:Acta Paediatr. 2020 Jul 8;10.1111/apa.15465. doi: 10.1111/apa.15465.[Online ahead of print]
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/apa.15465

8.米国の単一小児病院からの2020年5月4日までに発症した小児COVID-19症例24例(年齢中央値5歳)のまとめです。入院管理19例、ICU管理7例 (36.8%)、呼吸器管理4例 (21%)でした。年長、症状遷延、低酸素飽和度、血小板減少、CRP上昇、WBC低下などが重症化因子でした。挿管症例4例中2例にレムデシビルを使用し、OSI (oxygen saturation index) が改善しましたがCRPの改善は見られませんでした。残る2例の挿管症例にはトシリズマブ、回復期血清療法、伏臥位で治療がなされ、OSI とCRPの両方が改善したとされますが、1例が死亡しました(治療との因果関係は不明)。
著者名:Bhumbra, Samina, Malin Stefan,Kirkpatrick indsey,et al.
論文名:Clinical features of critical coronavirus disease 2019 in Children.
雑誌名: Pediatr Crit Care Med. 2020 Jul 2;10.1097/PCC.0000000000002511.doi: 10.1097/PCC.0000000000002511.[Online ahead of print]
U R L:https://journals.lww.com/pccmjournal/Abstract/9000/Clinical_Features_of_Critical_Coronavirus_Disease.97991.aspx

9.新生児COVID-19症例25症例を報告した18論文のreviewです。16例が帝王切開で出生しました。68%で母親、20%で両親、その他の症例では祖父母の感染が確認されました。筆者らは垂直感染があったかどうかは未確定であり、現時点では水平感染が主であると主張しています。主要症状は発熱 (28%)、嘔吐 (16%)、咳嗽 (12%)、呼吸障害 (12%)などでした。32%がICU管理となり、挿管を要したのは20%でした。12%に肺炎合併を認めましたが重症化率は低く、死亡症例も認めませんでした。抗ウイルス薬使用はありませんでした。
著者名:Giuseppe De Bernardo, Maurizio Giordano, Giada Zollo,et al.
論文名:The clinical course of SARS-CoV-2 positive neonates.
雑誌名:J Perinatol. 2020 Jul 6; 1-8. doi: 10.1038/s41372-020-0715-0. [Online ahead of print]
U R L:https://www.nature.com/articles/s41372-020-0715-0

(小児多系統炎症性症候群(Multi Inflammatory syndrome in children:MIS-C)と小児炎症性多系統症候群(Pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS))

1.英国からのCOVID-19に関連するMIS-Cの重症3例の報告です。年齢は13歳、16歳、17歳です。2例が男性でした。1例がアジアインディアン、2例がアフロカリビアン。入院前5-8日に症状を認めました。全例白血球数、CRP、Dダイマ-、トロポニンの上昇。全例PICU管理され回復。2例にIVIG、1例にメチルプレドニゾロンが使用されました。
著者名:Khuen Foong Ng, Trishul Kothari, Srini Bandi,et al.
論文名:COVID-19 multisystem inflammatory syndrome in three teenagers with confirmed SARS-CoV-2 infection.
雑誌名:J Med Virol. 2020 Jun 22: 10.1002/jmv.26206. doi: 10.1002/jmv.26206.
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jmv.26206

2.米国ニューヨークの1施設に入院したMIS-C 15例(中央値12歳)の報告です。発熱(100%)、胃腸炎症状(87%)が主な症状で、発疹(47%)、結膜炎(27%)、手足の浮腫(27%)は半数未満でした。心エコーと胸部X-P異常所見は各80%、全例でCRP、Dダイマー、IL-6、IL-8の上昇がありました。14例がICU管理となり、8例が人工呼吸器や強心剤・昇圧剤、1例がECMO、トシリズマブとIVIGが各12例、ステロイドは3例で投与され、死亡は1例でした。
著者名:Mariawy Riollano‐Cruz,Esra Akkoyun, Eudys Briceno‐Brito,et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) related to COVID-19: a New York city experience.
雑誌名:J Med Virol. 2020 Jun 25; 10.1002/jmv.26224. doi: 10.1002/jmv.26224. [Online ahead of print]
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.26224

3.【解説】MIS-Cと川崎病を比較し、異なる疾患であるとした論文です。好発年齢(MIS-C:年齢中央値9-10歳、川崎病:主に5歳以下)、好発地域(MIS-C:アフリカ系の小児、川崎病:アジアの小児)、症状に違いがあり、MIS-Cに特徴的なものとして、腹痛、リンパ球減少、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドの高値、心筋の機能障害が挙げられました。MIS-Cは川崎病の有病率が高い中国や日本で観察されていないことが注目されています。
著者名:Anne H. Rowley.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children and Kawasaki disease: two different illnesses with overlapping clinical features.
雑誌名:J Pediatr. 2020 Jun 22; S0022-3476(20)30760-5.doi:10.1016/j.jpeds.2020.06.057
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7308002/

4.米国フィラデルフィア小児病院からSARS-CoV-2感染の証拠があるMIS-C 6例についての報告です。この疾患で鍵となる所見は、発熱、下痢、ショック、様々な発疹、結膜炎、四肢浮腫、粘膜症状でした。他に注目すべき所見として、中枢神経系の炎症と、低ナトリウム血症があげられました。IVIGやメチルプレドニゾロンなど、川崎病に有効な治療を受けて全員が解熱、心機能の改善を認め、6例のうち5例は退院しました。
著者名:Kathleen Chiotos, Hamid Bassiri,Edward M Behrens,et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children during the coronavirus 2019 pandemic: a case series.
雑誌名:J Pediatr Infect Dis Soc. 2020 Jul 13;9(3):393-398.doi: 10.1093/jpids/piaa069.
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7313950/

5.英国の23 PICU施設に入院したPIMS 78例(中央値11歳)の報告です。発熱(100%)、ショック(87%)、腹痛(62%)、嘔吐(63%)、下痢(64%)が主な症状で、36%に冠動脈異常を認めました。入院1〜4日にかけて、CRP、Dダイマー、フェリチンは減少傾向でした。治療は人工呼吸器(46%)、血管作動薬(83%)、ステロイド(73%)、IVIG(76%)、生物学的製剤(22%),ECMOは3例で、死亡は2例でした。
著者名:Patrick Davies,Claire Evans,Hari Krishnan Kanthimathinathan,et al.
論文名:Intensive care admissions of children with paediatric inflammatory multisystem syndrome temporally associated with SARS-CoV-2 (PIMS-TS) in the UK: a multicentre observational study.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 Jul 9;S2352-4642(20)30215-7. doi:10.1016/S2352-4642(20)30215-7. [Online ahead of print]
U R L:https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30215-7/fulltext

6.ニューヨークの21歳未満のCOVID-19に関連するMIS-C 95例の報告です。54%が男性、40%が黒人、36%がヒスパニックでした。31%が5歳以下、42%が6-12歳、26%が13歳以上でした。全員発熱があり、97%が頻脈、80%が消化器症状、60%が発疹、56%が結膜充血、27%が粘膜症状を伴っていました。CRP、Dダイマ-、トロポニンの上昇をそれぞれ100%、91%、71%に認め、53%が心筋炎を伴い、80%がICUに収容され、2人が死亡しました。
著者名:Elizabeth M. Dufort,Emilia H. Koumans, Eric J. Chow,et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children in New York state.
雑誌名:N Engl J Med. 2020 Jul 23; 383(4):347-358. doi: 10.1056/NEJMoa2021756.
U R L:https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2021756

7.米国26州からMIS-C 186例についての報告です。年齢中央値8.3歳、男性62%、生来健康73%、SARS-CoV-2検査陽性70%、入院88%、胃腸系(92%)、心血管系(80%)、血液系(76%)、皮膚(74%)、呼吸器系(70%)に組織障害を認めました。入院期間の中央値7日、集中治療80%、人工呼吸器20%、血管作動薬48%、4人(2%)が死亡しました。冠動脈瘤8%、40%に川崎病に似た症状、92%に炎症を示唆する少なくとも4つのバイオマーカー上昇が見られました。IVIGが77%、グルココルチコイドが49%、IL-6または1RA阻害剤が20%に使用されました。
著者名:Leora R. Feldstein,Erica B. Rose, Steven M. Horwitz,et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in U.S. children and adolescents.
雑誌名:N Engl J Med. 2020 Jul 23; 383(4):334-346.doi: 10.1056/NEJMoa2021680.
U R L:https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2021680?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

8.MIS-Cを含むCOVID-19重症児の治療に関する国際ガイドラインで、今後まだ修正の可能性がありますが、設備が整っていない施設でも利用できるように配慮されています。エビデンスが十分にないところは、委員のコンセンサスに基づいて44の推奨を含んでいます。軽症の子どものパターンを提示し、また重症児への呼吸管理、循環管理、抗凝固療法、抗ウイルス薬、薬物療法などについて推奨がまとめられています。
著者名:Saraswati Kache, Mohammod Jobayer Chisti, Felicity Gumbo,et al.
論文名:COVID-19 PICU guidelines: for high- and limited-resource settings.
雑誌名:Pediatr Res. 2020 Jul 7. doi: 10.1038/s41390-020-1053-9. [Online ahead of print]
U R L:https://www.nature.com/articles/s41390-020-1053-9

9.英国ロンドンの1施設からMIS-C 35例(中央値:11歳、PICU:24例)の画像所見の報告です。胸部X-P:正常(46%)、cuff signと気管支壁肥厚(34%)。胸部CT(33例):コンソリデーション(39%)、胸水(30%)。心エコー:心機能不全(51%)、心CT(30例):冠動脈瘤(6/30例)。腹部エコー(19例):無エコー性free-fluid(53%)、右腸骨窩の炎症性変化(47%)が報告されました。
著者名:Shema Hameed , Heba Elbaaly, Catriona E. L. Reid,et al.
論文名:Spectrum of imaging findings on chest radiographs, US, CT, and MRI images in multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) associated with COVID-19.
雑誌名:Radiology. 2020 Jun 25; 202543. doi: 10.1148/radiol.2020202543. [Online ahead of print]
U R L:https://pubs.rsna.org/doi/10.1148/radiol.2020202543

(School closure)
1.米国テキサス州オースチン市の都市部において、ソーシャルディスタンスの行動のタイミングと程度が、地域医療などにどの様に影響を与えるのかを数理モデルを用いて調査しました。その結果、2020年5月初めまでに地域の病院の収容能力を超えないためには、迅速で大規模な介入が必要であることが分かりました。学校閉鎖は疫学曲線を変えませんでした。また介入が2週間遅れると、病院の必要性のピークを4週間早め、集中治療室のベット不足をもたらすことも分かりました。
著者名:Xutong Wang, Remy F. Pasco, Zhanwei Du,et al.
論文名:Impact of social distancing measures on coronavirus disease healthcare demand, Central Texas, USA.
雑誌名:Emerg Infect Dis. 2020; 26(10) in press
U R L:https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/10/20-1702_article

2. 5つの身体的距離の介入(学校閉鎖、職場閉鎖、公共交通機関の閉鎖、大規模集会と公共イベントの制限、ロックダウン)のうち一つ以上を実施した149の国と地域を対象に、介入前後のCOVID-19発生率比(IRR)を比較した論文です。何らかの介入により発生率が13%減少しました(IRR 0.87、95%信頼区間0.85-0.89;n=149)。より早いロックダウンの実施は発生率の大幅な減少と関連していました。
著者名:Nazrul Islam, Stephen J Sharp,Gerardo Chowell,et al.
論文名:Physical distancing interventions and incidence of coronavirus disease 2019: natural experiment in 149 countries.
雑誌名: BMJ.2020 Jul 15;370:m2743. doi: 10.1136/bmj.m2743
URL: https://www.bmj.com/content/370/bmj.m2743.long

3.米国ではソーシャルディスタンシングの介入は州レベルで実施されており、実施内容や時期はそれぞれ異なっています。本論文は2つの介入(緊急事態宣言の発令と学校閉鎖)と死亡患者数との関連をモデリングで評価しています。両介入共に導入が遅いほど死亡患者数が増えており、1日導入が遅れるごとに死亡のリスクが5~6%増加する結果となりました。
著者名:Nadir Yehya, Atheendar Venkataramani, Michael O Harhay.
論文名:Statewide interventions and Covid-19 mortality in the United States: An observational study.
雑誌名: Clin Infect Dis. 2020; ciaa923.
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa923/5868545

4. COVID-19の流行中にいかに安全に大学を再開させるかについて台湾の経験を報告した論文です。6つの大学で7例の確定例がありました。1校が学校を閉鎖しましたが、14日間の接触者の追跡と隔離により速やかに再開できました。封じ込め(接触の追跡と隔離による立ち入り制限)と緩和(衛生、消毒、換気、社会的距離)を組み合わせた戦略により、大学の再開が実現できることが示唆されました。
著者名:Shao-Yi Cheng, C. Jason Wang, April Chiung-Tao Shen,et al.
論文名:How to safely reopen colleges and universities during COVID-19: Experiences from Taiwan.
雑誌名:Ann Intern Med.2020 Jul 2; M20-2927. doi: 10.7326/M20-2927.Online ahead of print.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7339040/

5.  【総説】2019年12月1日から2020年5月28日までの論文の中から小児がCOVID-19の感染拡大にどの程度寄与しているか、1,099本の論文をレビューしています。論文の条件やデータの質などに関して論文によりかなり差がありますが、小児のCOVID-19は15-60%が無症候病原体保有者で、75-100%家庭内感染となっています。学校における感染を評価した論文では小児が市中感染の原因とはなっておらず、スペインの抗体保有率を調査した研究では小児の15%未満しか抗体を有していなかったという報告もありました。以上から小児は成人ほど感染拡大に寄与していないという結論を出しています。
著者名:Luis Rajmil.
論文名:Role of children in the transmission of the COVID-19 pandemic: a rapid scoping review.
雑誌名:BMJ Paediatr Open. 2020; 4(1): e000722. doi: 10.1136/bmjpo-2020-000722
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7311007/pdf/bmjpo-2020-000722.pdf


【2020年6月23日 掲載】

1.SARS-CoV-2が妊婦、胎児、新生児に与える影響に関する文献のレビューです。過去のインフルエンザやSARSにおいて、妊婦は重症化リスクが高かったとされています。また、妊娠中はSARS-CoV-2受容体であるACE2の発現レベルが上昇しているという報告もあります。しかしながら、これまで集積された妊婦COVID-19症例511例の報告では、重症化リスクは高くないことが示されています。約2/3の症例で帝王切開が選択されていました。ユニバーサルスクリーニングによる妊婦のウイルス保有率は、3~13%であり地域の流行状況を反映していました。先天異常児の報告はありませんでした。また母体から生後1週間以内の新生児への感染率は3.1%でしたが、感染経路の詳細は不明です。生後30日以内の新生児例26例では死亡例は無く、1例がICU管理を必要としました。
著者名:H.J. Rozycki, S. Kotecha
論文名:Covid-19 in pregnant women and babies: What pediatricians need to know
雑誌名:Paediatr Respir Rev. 2020 Jun 13 doi: 10.1016/j.prrv.2020.06.006 [Epub ahead of print]
U R L: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7293440/

2.COVID-19家族内二次感染予防におけるマスク使用、手指消毒およびソーシャルディスタンスの効果に関する中国北京での後方視的コホート研究です。124家族の335人を対象に実施されました。家族内二次感染を起こした割合は23.0%(77/335)でした。発端者が症状を呈する以前から、発端者および家族がマスク使用していた場合は、感染予防効果は79%(OR=0.21、95%CI 0.06-0.79)でしたが、発端者発症後のマスク使用では有意な予防効果が認められませんでした。塩素系あるいはエタノール含有消毒剤の使用は77%(OR=0.23、95%CI 0.07-0.84)有効でした。毎日の頻回な密接は二次感染リスクを18倍(OR=18.26、95%CI 3.93-84.79)に高め、発端者の下痢は4倍(OR=4.10、95%CI 1.08-15.60)に高めました。これらのデータから、感染伝搬リスクは発症前に最も高くなり、マスク使用、手指消毒およびソーシャルディスタンスが感染予防に有用であることが示されました。バスルームの消毒やウイルスのエアロゾル化を防ぐために水洗の際に便器の蓋を閉めることの重要性も強調されています。
著者名:Yu Wang, Huaiyu Tian, Li Zhang, et al.
論文名:Reduction of secondary transmission of SARS-CoV-2 in households by face mask use, disinfection and social distancing: a cohort study in Beijing, China
雑誌名:BMJ Glob Health. 2020; 5(5): e002794. Published online 2020 May 28. doi: 10.1136/bmjgh-2020-002794
U R L: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7264640/

3.妊娠中のCOVID-19罹患が母体および新生児に与える影響を検討した文献のシステマティックレビューです。73文献中9文献(92症例)が選択基準に合致しました。67.4%(62/92)の妊婦が何らかの症状を有し、発熱(61.9%)、咳嗽(38.4%)、倦怠感(30.5%)、呼吸困難(12.1%)が主たる症状でした。PCR陽性率は78.6%(66/84)であり、胸部CT実施症例の98.7%で肺炎像が認められました。母体の致死率は0%であり、ICU人工呼吸管理を受けたのは1例のみでした。63.8%(30/47)が早産で、61.1%(11/18)に胎児仮死を認め、80%(40/50)は帝王切開で出産しました。76.9%(11/13)の新生児がNICU管理を必要とし、42.9%(9/21)は低出生体重児でした。新生児感染は1例の報告があるのみでした。
著者名:Vinayak Smith, Densearn Seo, Ritesh Warty, et al.
論文名:Maternal and neonatal outcomes associated with COVID-19 infection: A systematic review
雑誌名:PLoS One. 2020; 15(6): e0234187. Published online 2020 Jun 4. doi: 10.1371/journal.pone.0234187
U R L: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7272020/

4.2020年3月25日以降、英国ロンドンにあるGreat Ormond Street Hospital for Children NHS Foundation Trustに入院した52人の小児患者(0〜16歳)の急性腎障害に関する報告です。24人(46%)は英国小児腎臓学会のガイドライン参照基準の上限よりも血清クレアチニンが高く、15人(29%)は英国小児腎臓学会の急性腎障害診断基準を満たしていました。急性腎障害はICUに入院した症例(14人:93%)とSARS-CoV-2に関連したPaediatric Inflammatory Multisystem Syndromeの症例(11人:73%)がほとんどで、下痢と嘔吐が多く見られました。COVID-19入院小児症例すべてに対して、腎機能監視の重要性が強調されました。また、血液量の減少や腎毒性のある薬剤の使用など、腎障害を悪化させる要因を回避し、腎炎のスクリーニングと、急性腎障害による長期的な後遺症のフォローアップが必要とされました。なお、これらがCOVID-19に特有かどうかについては今後の評価が必要です。
著者名:Douglas J Stewart, John C Hartley, Mae Johnson, et al.
論文名:Renal dysfunction in hospitalised children with COVID-19
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 Jun 15 doi: 10.1016/S2352-4642(20)30178-4 [Epub ahead of print]
U R L: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7295466/

5.英国の三次小児医療機関での15人のSARS-CoV-2感染関連Paediatric Inflammatory Multisystem Syndrome症例における心臓所見と短期的な転帰に関する観察研究です。年齢中央値は8.8歳(IQR6.4-11.2)で、CRP、フェリチン、トロポニン I、CK、pro-BNPの上昇が全例に認められました。一過性の弁逆流(67%)、左心室躯出率の減少(80%)、左心室機能障害(53%)、冠動脈の異常(93%)、心電図異常(60%)がみられ、10人(67%)は循環作動薬及び/あるいは昇圧剤を必要としました。死亡例はなく退院までに良好な回復がみられましたが、80%はその後の評価を必要としました。専門家による心臓の評価の必要性が強調されました。
著者名:Tristan Ramcharan, Oscar Nolan, Chui Yi Lai, et al.
論文名:Paediatric Inflammatory Multisystem Syndrome: Temporally Associated with SARS-CoV-2 (PIMS-TS): Cardiac Features, Management and Short-Term Outcomes at a UK Tertiary Paediatric Hospital
雑誌名:Pediatr Cardiol. 2020 Jun 12 : 1–11. doi: 10.1007/s00246-020-02391-2 [Epub ahead of print]
U R L: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7289638/

6.中国・武漢での5歳未満のCOVID-19感染症患児(n=57)とA型インフルエンザウイルス感染症患児(n=59)の臨床像を比較した論文です。COVID-19患児では、咳が70.2%、発熱が54.4%、消化器症状が14.1%に認められましたが、インフルエンザA患児よりも有意に低率でした(それぞれ98.3%、P<0.001; 84.7%、P <0.001; 35.6%、P=0.007)。さらに、COVID-19患児では白血球数(7.87:9.89×109/L、P=0.027)、好中球数(2.43:5.16×109/L、P<0.001)、CRP(3.7:15.1mg/L、P=0.001)およびプロカルシトニン(0.09:0.68mm/h ,P<0.001)が有意に低い結果でした。一方、有意に高かったのはリンパ球数(4.58:3.56×109/L; P=0.006)でした。胸部CT所見では、すりガラス陰影はCOVID-19感染で多く認められました(42.1%:15%、P = 0.032)。一方、consolidationはインフルエンザA患者で多く認められました(25%:5.2%、P=0.025)。
著者名:Ying Li, Haizhou Wang, Fan Wang, et al.
論文名:Comparison of Hospitalized Patients with pneumonia caused by COVID-19 and influenza A in children under 5 years
雑誌名:Int J Infect Dis. 2020 Jun 12 doi: 10.1016/j.ijid.2020.06.026 [Epub ahead of print]
U R L: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7289729/

7.米国の3小児病院(フィラデルフィア小児病院、テキサス小児病院、シアトル小児病院)で手術を行った19歳以下の患者におけるCOVID-19感染率を調査した論文です。調査は2020/3/26-4/22に行われました。全体では1,295人の小児外科疾患患者が含まれ、平均年齢(SD)は7.35(5.99)歳でした。 COVID-19感染率は、3病院全体で0.93%でした。ただ、0.22%から2.65%の範囲で感染率に有意差がありました。とくに、フィラデルフィア小児病院では特定地域の患者の感染率は、その他の地域と比較して36.7倍も高かったと報告しています。COVID-19感染者では、術前に症状があったのが50%でしたが、検査陰性者では12%でした。発熱率(感染者25.0%、陰性者6.7%)、鼻漏(16.7%:2.8%)、COVID-19感染者との接触歴(20.0%:1.7%)でした。多変量回帰分析では、年齢(Odd比1.10; 95%CI:1.00-1.23)および米国麻酔学会の緊急分類(5.66; 1.70-17.80)が有意に COVID-19感染に関連していました。
著者名:Elaina E. Lin, Todd J. Blumberg, Adam C. Adler, et al.
論文名:Incidence of COVID-19 in Pediatric Surgical Patients Among 3 US Children’s Hospitals
雑誌名:JAMA Surg. 2020 Jun 4 : e202588. doi: 10.1001/jamasurg.2020.2588 [Epub ahead of print]
U R L: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7273313/

8.SARS-CoV-2感染における年齢の影響について、英国の研究グループが、日本、中国、イタリア、シンガポール、カナダ、韓国のデータに基づき、年齢構成数理モデルを用いて解析を行った論文です。20歳未満の感染リスクは、20歳以上の約半分であり、10-19歳における有症状感染者割合(21%、95%CI:12-31%)は70歳以上(69%,95%CI:57-82)と比較して低い結果でした。無症候性感染者の感染力が100%(有症状者と同様)と仮定した場合は、3か月間の休校は流行ピーク時の感染者数を11-20%減少させますが、感染性を0%と仮定すると、8-17%の減少にとどまることが分かりました。世界146の首都を対象としたCOVID-19流行のシミュレーションの結果、若年者の多い開発途上国では、高齢化した国々と比較して、有症状者の罹患率は低くなる可能性が示されました。有効な感染予防策が無いままに流行が進行すると、比較的高齢者が多い地域では、より多くのCOVID-19患者が発生する可能性があります。全年齢層での感染伝搬を減少させるための介入策を考えるためには、感染伝搬における年齢因子の役割を考慮することが重要です。本研究で得られた結果は、これまでのエビデンスと同様に、SARS-CoV-2感染および発症リスクは年齢依存性であることを示唆しています。今後、無症候性感染者がどの程度の感染力を持つのかを明らかにすることが、世界全体の疾病負荷や感染対策の有効性を予測するための課題となります。
著者名:Davies, N.G., Klepac, P., Liu, Y. et al.
論文名:Age-dependent effects in the transmission and control of COVID-19 epidemics
雑誌名:Nat Med (2020). https://doi.org/10.1038/s41591-020-0962-9
U R L: https://www.nature.com/articles/s41591-020-0962-9


【2020年6月17日 掲載】

1.COVID-19発生から5月8-19日までの、同症による小児死亡数を7か国(米国・英国・イタリア・ドイツ・スペイン・フランス・韓国)の公文書をもとにまとめ、他の死因による死亡数等と比較した報告です。小児COVID-19感染者42846例中の死亡は44例(0.03/10万)でした。同期間の全小児死亡者は13200例(9.62/10万)あり、死因は、予期せぬ外傷が1056例(0.77/10万)、下気道感染症が308例、インフルエンザが107例と報告されています。全死亡者に占めるCOVID-19による死亡者の割合は0.333%でした。本データは小児を対象とした行動制限などの施策を検討する上で参考になるものと考えられます。
著者名:Bhopal S, Bagaria J, Bhopal R.
論文名:Children's mortality from COVID-19 compared with all-deaths and other relevant causes of death: epidemiological information for decision-making by parents, teachers, clinicians and policymakers.
雑誌名:Public Health. 2020 May 30;185:19-20. doi: 10.1016/j.puhe.2020.05.047.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0033350620302092?via%3Dihub

2.嗅覚・味覚異常については成人からの報告が相次いでいますが、小児については報告が少ない状況です。本論文は嗅覚・味覚異常を訴えた思春期小児3例に関する香港からの報告です。症例は17歳女児、15歳女児、14歳男児でいずれも発熱や咳嗽はなく、嗅覚・味覚障害のみの訴えで、4-8日程度で自然回復しています。
著者名: Mak PQ, Chung KS, Wong JS, et.al.
論文名:ANOSMIA AND AGEUSIA: NOT AN UNCOMMON PRESENTATION OF COVID-19 INFECTION IN CHILDREN AND ADOLESCENTS.
雑誌名:Pediatr Infect Dis J. 2020 Jun 8. doi: 10.1097/INF.0000000000002718.
URL: https://journals.lww.com/pidj/Abstract/9000/ANOSMIA_AND_AGEUSIA__NOT_AN_UNCOMMON_PRESENTATION.96119.aspx

3.妊娠中のCOVID-19感染による母体・新生児の合併症頻度に関する論文13件をまとめた報告です。538件の妊娠中の感染事例のうち、分娩に関する情報が435件で得られています。母体のICU入室は3.0%(8/263) 、重篤例が1.4% (3/209)でしたが、死亡例は報告されていません(0/348) 。早期産は20.1% (57/284) 、帝王切開が 84.7%(332/392) 、垂直感染は 0.0% (0/310) 、新生児死亡が0.3% (1/313)に認められました。
著者名: Huntley BJF, Huntley ES, Di Mascio D, et.al.
論文名:Rates of Maternal and Perinatal Mortality and Vertical Transmission in Pregnancies Complicated by Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-Co-V-2) Infection: A Systematic Review.
雑誌名:Obstet Gynecol. 2020 Jun 9. doi: 10.1097/AOG.0000000000004010.
URL: https://journals.lww.com/greenjournal/Abstract/9000/Rates_of_Maternal_and_Perinatal_Mortality_and.97336.aspx

4.9人の小児COVID-19例の急性期・回復期におけるウイルス排泄と中和抗体の動態を調査した報告です。SARS-CoV-2がPCRで検出されたのは鼻咽頭スワブから(9/9,100%)、便検体で(8/9, 89%)、咽頭スワブ (3/9, 33%)で、血清と尿中からは検出されませんでした。ウイルス排泄期間の中央値は鼻咽頭スワブで13日、咽頭スワブで 4日、便中からは43日で、退院後最大46日間検出されました。8例中3例は急性期に中和抗体陽性となり、回復期には全例で検出されました。
著者名: Liu P, Cai J, Jia R, et.al.
論文名:Dynamic surveillance of SARS-CoV-2 shedding and neutralizing antibody in children with COVID-19.
雑誌名:Emerg Microbes Infect. 2020 Dec;9(1):1254-1258. doi:10.1080/22221751.2020.1772677.
URL: https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/22221751.2020.1772677

5.フランスのpaediatric inflammatory multisystem syndrome (PIMS)に関するサーベイランス報告です(2020年5月17日時点)。COVID-19の流行と156例のPIMS報告例の発生には時間的・空間的な関連が認められました。COVID-19感染後のPIMS例108例については確定例が79例、疑似例(probable)が16例、可能性あり(possible)が13例でした。臨床像は川崎病様の疾患から心筋炎をきたした例まであり、67%は集中治療を要しました。
著者名:Belot A, Antona D, Renolleau S, et.al
論文名:SARS-CoV-2-related paediatric inflammatory multisystem syndrome, an epidemiological study, France, 1 March to 17 May 2020.
雑誌名:Euro Surveill. 2020 Jun;25(22). doi: 10.2807/1560-7917.ES.2020.25.22.2001010.
URL:https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.22.2001010#html_fulltext

6.8施設に入院した英国の診断定義に合致したpediatric inflammatory multisystem syndrome temporally associated with acute respiratory syndrome(PIMS-TS)の58名(アジア人種31%)と、欧米の病院に2002年から入院した川崎病(KD)1132名、KD shock syndrome 45名、toxic shock syndrome 37名についての臨床像と検査値を比較しました。PIMS-TSの全例に発熱、45%に嘔吐、53%に腹痛、52%に下痢、52%に発疹、45%に結膜充血を認めました。58名中29名がショックに至り、13名がKDの診断基準に合致し、8名が冠動脈病変を残しました。KDやKD shock syndromeと比べて、PIMS-TSは年齢が高く、CRPなどの炎症マーカーが高値でした。PIMS-TSは、発熱と炎症の特徴から心筋障害、ショック、冠動脈病変に至るような幅広い症状や重症度を有する疾患でした。
著者名:Whittaker E, Bamford A, Julia Kenny J, et al.
論文名:Clinical Characteristics of 58 Children With a Pediatric Inflammatory Multisystem Syndrome Temporally Associated With SARS-CoV-2
雑誌名:JAMA. 2020 Jun 8. doi: 10.1001/jama.2020.10369.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2767209

7.米国の1施設に入院したCOVID-19に関連したMultisystem Inflammatory Syndrome 17例の症例報告です。年齢は1.8歳~16歳(中央値8歳)で、12例が白人(アジア人1例)でした。全例に発熱(中央値5日間)、14例に消化器症状、13例にショックがありました。発疹12例、結膜充血11例、口唇発赤9例があって、8例が川崎病の、5例が不全型川崎病の診断基準に合致しました。全例に炎症マーカー上昇、14例にトロポニンT上昇、15例にNT-proBNP上昇を認めました。14例にステロイド、13例にグロブリン製剤、1例にトシリズマブが、投与されました。心臓超音波検査で11例に軽度の、6例に中等度の左室収縮力低下を認め、冠動脈病変として7例に輝度上昇と1例に冠動脈瘤を残しました。サイトカインプロファイルで、IL-6とIL-10の上昇は川崎病やCOVID-19肺炎と同じでしたが、TNFαやIL-13が上昇しないことはCOVID-19肺炎と異なるものでした。
著者名:Cheung EW, Zachariah P, Gorelik M, et al.
論文名:Multisystem Inflammatory Syndrome Related to COVID-19 in Previously Healthy Children and Adolescents in New York City
雑誌名:JAMA 2020 Jun 8. doi: 10.1001/jama.2020.10374.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2767207

8.スペインでPCRにて診断されたCOVID-19の妊婦で分娩法と母児の予後についての関連性を多変量ロジスティック解析で検証しました。82名中4名は重症で帝王切開が行われました。無症候もしくは軽症の妊婦78名中37名(47%)が帝王切開であり、理由として29名が母体適応、19名がCOVID-19症状でした。経腟分娩の2名(4.9%)と帝王切開の8名(21.6%)が、出産後に症状が悪化しました。交絡因子を調整した結果、帝王切開は有意に症状の増悪に関連していました(オッズ比13.4)。経腟分娩の児8名(19.5%)と帝王切開の児11名(29.7%)が、NICUに入院しました。交絡因子を調整した結果、帝王切開は有意に児のNICU入院に関連していました(オッズ比6.9)。満期に帝王切開で出生した2名の新生児が、10日以内にCOVID-19 の症状を呈しました。
著者名:Martínez-Perez O, Vouga M, Melguizo SC,  et al.
論文名:Association Between Mode of Delivery Among Pregnant Women With ] -19 and Maternal and Neonatal Outcomes in Spain
雑誌名:JAMA 2020 Jun 8. doi: 10.1001/jama.2020.10125.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2767206

9.3月3日から4月24日までにシアトル小児病院にて1076人の小児から何らかの理由で得られた1775の血清検体について、SARS-CoV-2に対するIgG抗体を検索しました。3月には1例のみ陽性でしたが、4月に9例となって陽性率は1%を超えました。抗体陽性10例においてPCR陽性2例がCOVID-19 症状を有し、PCR陰性3例とPCR未施行の5例はCOVID-19 症状はありませんでした。同時期にもう1名のPCR陽性者がいましたが、発症後1週間以内の検体で抗体は陰性のままでした。10例中8例の血清は十分な中和活性を有していました。
著者名:Dingens AS, Crawford KH, Adler A, et al.
論文名:Seroprevalence of SARS-CoV-2 Among Children Visiting a Hospital During the Initial Seattle Outbreak
雑誌名:medRxiv. 2020 May 28;2020.05.26.20114124. doi: 10.1101/2020.05.26.20114124. Preprint
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7273251/

10.北米と欧州からCOVID-19 に関連する川崎病様疾患あるいはmultisystem inflammatory syndrome in children(MIS-C)が報告されているため、韓国での状況を調査しました。5月18日の時点でSARS-CoV-2陽性の11065例中768例(6.9%)が20歳未満でしたが、川崎病様症状は報告されませんでした。また、2施設での3か月(2月から4月)の川崎病患者入院率(対100新規入院数)は、2015年3.5、2016年3.2、2017年3.0、2018年2.9、2019年2.2、2020年2.6と増加はありませんでした。
著者名:Kim YJ , Park H, Choi YY,  et al.
論文名:Defining Association Between COVID-19 and the Multisystem Inflammatory Syndrome in Children Through the Pandemic
雑誌名:J Korean Med Sci. 2020 Jun 8;35(22):e204. doi: 10.3346/jkms.2020.35.e204.
URL:https://jkms.org/DOIx.php?id=10.3346/jkms.2020.35.e204

11.米国のMIS-C症例44例における消化器症状に関する、米国コロンビア大学単施設からの報告です。初期症状として消化器症状が84.1% に認められ、発熱(100%)と発疹(70.5%)をともなっていました。酸素投与が必要となったのは25%にとどまり、気管挿管を要したのは1例でした。うち29.5%の症例において7日以内に救急外来・急病センターに軽症の胃腸炎症状(発熱や下痢)などを主訴に受診していました。腹部画像所見では、腸間膜リンパ節炎を2例、胆泥や無石性胆嚢炎を6例、腹水を6例に認めました。その他腸管壁肥厚など炎症性腸疾患を疑わせる所見が認められました。ステロイドが95.5%の児に投与され、IVIG (81.8%)、anakinra (18.2%)、 抗凝固療法が90.1%に実施されていました。
著者名: Miller J, Cantor A, Zachariah P, et.al.
論文名:Gastrointestinal symptoms as a major presentation component of a novel multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) that is related to COVID-19: a single center experience of 44 cases
雑誌名: Gastroenterology. 2020 Jun 4:S0016-5085(20)34753-3. doi: 10.1053/j.gastro.2020.05.079.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0016508520347533?via%3Dihub

12.COVID-19に関連した社会的隔離が小児期から思春期の子ども達の精神衛生に与えた影響に関するレビューです。論文83件中63件が精査の対象となりました (n=51,576; mean age 15.3) 。61件は観察研究(経時的18件、横断的43件)で、健康な小児期から思春期の子ども達から自己申告された孤独の評価に関わる研究でした。社会的隔離や孤独は、うつのリスクを増大させ、不安感を助長する可能性がありました。また、精神的な症状発生には、孤独の程度よりも持続期間が、より強く関連していました。
著者名: Loades ME, Chatburn E, Higson-Sweeney N,et.al
論文名:Rapid Systematic Review: The Impact of Social Isolation and Loneliness on the Mental Health of Children and Adolescents in the Context of COVID-19
雑誌名: J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2020 Jun 3:S0890-8567(20)30337-3. doi: 10.1016/j.jaac.2020.05.009.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0890856720303373?via%3Dihub

13.COVID-19治療薬候補であるヒドロキシクロロキンとレムデシビルの小児投与量を検討する目的で行われた薬物動態モデリングによる検討です。ヒドロキシクロロキンにおいては、抗ウイルス作用を示すのに必要な組織内濃度よりも低い値であったことが懸念されました。
著者名:Maharaj AR, Wu H, Hornik CP, et.al
論文名:Simulated Assessment of Pharmacokinetically Guided Dosing for Investigational Treatments of Pediatric Patients With Coronavirus Disease 2019.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Jun 5:e202422. doi: 10.1001/jamapediatrics.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2767020

14.小児重症COVID-19症例27例に関するフランスの単施設報告です。基礎疾患を有する症例が70%で、内訳は神経疾患(n=7)、呼吸器疾患(n=4)、鎌状赤血球症(n=4)でした。診断はPCR陽性例が24例で、CT画像上の典型的な所見により診断された例が3例含まれています。呼吸器症状を24例に認め、医療介入として侵襲的人工呼吸管理を要したものが9例、カテコラミン投与が4例、(註:鎌状赤血球症に対する)erythropheresisが4例、腎代替療法が1例、ECMOが1例と報告されています。死亡例5例のサマリーが記載されており、基礎疾患のない患者3例が含まれていました。
著者名:Oualha M, Bendavid M, Berteloot L, et.al
論文名:Severe and fatal forms of COVID-19 in children.
雑誌名:Arch Pediatr. 2020 Jun 4:S0929-693X(20)30117-2. doi: 10.1016/j.arcped.2020.05.010.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0929693X20301172?via%3Dihub


【2020年6月9日 掲載】
1.ニューヨーク市内の救急室で経験した4例のCOVID-19 感染後のサイトカイン放出症候群(post-infectious cytokine release syndrome)の臨床経過のまとめです。症例は5、10、13歳の男児と12歳の女児で、いずれも咽頭のPCRは陰性でしたが、抗体が陽性でした。発熱、発疹、下痢・嘔吐などに加え、結膜炎、手足の発赤などを認め、鑑別の困難な非定型川崎病あるいは毒素性ショック症候群(TSS)として治療が開始されました。CRP、プロカルシトニン、IL-6、IL-8、TNF-αなどの上昇を認め、3/4ではIVIG(免疫グロブリン)に加え、トシリズマブが投与されました。これらの症例では急速にショック状態に陥るので、入院管理とし、バイタルサインのモニタリングなど、注意深く経過を見る必要があります。
著者名: Waltuch T, Gill P, Zinns LE, et al.
論文名: Features of COVID-19 post-infectious cytokine release syndrome in children presenting to the emergency department.
雑誌名: Am J Emerg Med. 2020 May 23:S0735-6757(20)30403-4. doi: 10.1016/j.ajem.2020.05.058.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735675720304034?via%3Dihub

2.米国の1施設のPICUで経験したMultisystem Inflammatory Syndrome in Children(MIS-C)6例の症例報告です。年齢は5歳~14歳で、全員基礎疾患はありませんでした。発熱、ショック、発疹、下痢などの消化器症状、心筋障害などを伴っていました。COVID-19患者との濃厚接触歴はありませんでしたが、PCR陽性は3例、IgG抗体陽性は5例で認められました。新規の所見としては、頭痛や易刺激性などの神経症状を呈する症例が認められたこと、全ての症例が低ナトリウム血症を伴っていたことでした。
著者名:Chiotos K, Bassiri H, Behrens EM, et al.
論文名:Multisystem Inflammatory Syndrome in Children during the COVID-19 pandemic: a case series. 
雑誌名:J Pediatric Infect Dis Soc. 2020 May 28:piaa069. doi: 10.1093/jpids/piaa069.
URL: https://academic.oup.com/jpids/article-lookup/doi/10.1093/jpids/piaa069

3.小児の頬粘膜スワブ検体によるRT-PCR検査の臨床的有用性についてのシンガポールからの報告です。11人の無症状あるいは軽症のCOVID-19小児患者(3か月~12歳)から同時に採取した上咽頭検体と頬粘膜検体を用いて検討しました。上咽頭検体陽性であった11人のうち、頬粘膜も陽性であった者は9人(81.8%)でした。経時的な解析において、頬粘膜検体の方が、上咽頭検体よりも早く陰性化しました。頬粘膜から検体を採取することは上咽頭よりも安全性は高いですが、小児のスクリーニング検査としては問題があると考えられました。
著者名: Kam KQ, Yung CF, Maiwald M, et al.
論文名: Clinical Utility of Buccal Swabs for Sars-Cov-2 Detection in Covid-19-Infected Children.
雑誌名: J Pediatric Infect Dis Soc. 2020 May 28:piaa068. doi: 10.1093/jpids/piaa068.
URL: https://academic.oup.com/jpids/article-lookup/doi/10.1093/jpids/piaa068

4.2020年3-4月の米国シカゴでの64名の小児COVID-19入院例のまとめです、小児例は、全陽性例の1%で、10例 (16%) が入院、その内の7例が集中治療が必要でした。入院例は、非入院例と比べ、発熱と呼吸困難の頻度が有意に高く、年齢が低かったです。そのほとんど (91%) に家族内の大人の感染を認めました。データのある15名の伝播の解析では、 11 名(73%) が大人から小児へ、2 名(13%)が小児から小児へ、2名 (13%) が小児から成人でした。
著者名: Mannheim J, Gretsch S, Layden JE, Fricchione MJ.
論文名: Characteristics of Hospitalized Pediatric COVID-19 Cases - Chicago, Illinois, March - April 2020.
雑誌名: J Pediatric Infect Dis Soc. 2020 Jun 1:piaa070. doi: 10.1093/jpids/piaa070
URL: https://academic.oup.com/jpids/article-lookup/doi/10.1093/jpids/piaa070

5.国内の最初の小児例の報告です。2020年2月に北海道富良野地域で、3名の小児のCOVID-19患者が報告されました。2/3名は、その地域でその当時流行していた、インフルエンザAとヒトメタニューモウイルスに共感染していました。
著者名: Kakuya F, Okubo H, Fujiyasu H, et al.
論文名: The first pediatric patients with coronavirus disease 2019 (COVID-19) in Japan; The risk of co-infection with other respiratory viruses.
雑誌名: Jpn J Infect Dis. 2020 May 29. doi: 10.7883/yoken.JJID.2020.181.
URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/yoken/advpub/0/advpub_JJID.2020.181/_article

6.COVID-19に感染した14歳のクローン病の症例の報告です。発症前、TNF-α阻害薬(インフリキシマブ)で治療され、状態は安定していました。5日間の発熱と顔面の紅斑、腹痛を呈し、COVID-19と診断され、その後、急な全身状態の悪化、全身への紫斑の出現が見られました。血清サイトカインでは、IL-6, IL-8, TNF-αの上昇を見ました。インフリキシマブの投与後、児の状態と血清サイトカインは速やかに改善しました。この症例は、インフリキシマブによるTNF-α の阻害が、COVID-19によって惹起された炎症を抑制することを示唆しました。 
著者名: Dolinger MT, Person H, Smith R, et al.
論文名: Pediatric Crohn's Disease and Multisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) and COVID-19 Treated with Infliximab.
雑誌名: J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2020 May 22. doi: 10.1097/MPG.0000000000002809.
URL: https://journals.lww.com/jpgn/Abstract/9000/Pediatric_Crohn_s_Disease_and_Multisystem.96044.aspx

7.COVID-19関連の横紋筋融解症の16歳男子の1例報告です。COVID-19に関連する横紋筋融解症は、成人において数例の報告がありますが、小児での報告はありません。本例は、倦怠感、筋肉痛、発熱、褐色尿を呈し、CK値は427,656U/Lに達しましたが、クレアチニン値の上昇はなく、適切な補液により改善しました。
著者名: Gefen AM, Palumbo N, Nathan SK, et al.
論文名: Pediatric COVID-19-associated rhabdomyolysis: a case report.
雑誌名: Pediatr Nephrol. 2020 May 23:1-4. doi: 10.1007/s00467-020-04617-0.
URL: https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00467-020-04617-0

8.小児のCOVID-19における胸部CT所見の特徴を述べています。10か月から18歳のCOVID-19感染者の内、77%では異常所見がなく、異常所見のある30例では、肺辺縁部のすりガラス状陰影、敷石状陰影、ハローサインあるいは逆ハローサインなどが認められました。
著者名: Steinberger S, Lin B, Bernheim A, Chung M, et al.
論文名: CT Features of Coronavirus Disease (COVID-19) in 30 Pediatric Patients.
雑誌名: Am J Roentgenol. 2020 May 22:1-9. doi: 10.2214/AJR.20.23145.
URL: https://www.ajronline.org/doi/full/10.2214/AJR.20.23145

9.イタリアの小児病院からの心合併症を伴った5例(平均月齢は84か月)の小児COVID-19症例についての報告です。初発時の症状は発熱と消化器症状で、3例が発疹を伴っていました。頻脈や低血圧を認め、炎症反応に加え心原性酵素が上昇していました。心機能の低下に対しカテコラミンを投与された症例もあります。これらの症例は川崎病の診断基準は満たしませんが、既に報告されているMultisystem Inflammatory Syndrome in Childrenの軽症例かもしれません。
著者名:Wolfler A, Mannarino S, Giacomet V, et al.
論文名:Acute myocardial injury: a novel clinical pattern in children with COVID-19.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 Jun 1:S2352-4642(20)30168-1. doi: 10.1016/S2352-4642(20)30168-1.
URL:https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30168-1/fulltext

10.COVID-19感染症における小児の役割を明らかにするため、家族内感染が考えられた家族全員(初発患者除く)のRT-PCR検査を行い、感染率について検討したイスラエルからの報告です。13の家族について検討し、18歳以上の陽性率は58.1%(21/36)、5~17歳の陽性率は32.5%(13/40)、5歳未満の陽性率は11.8%(2/18)であり、小児への感染率は低いことが示されました。
著者名:Somekh E, Gleyzer A, Heller E, et al.
論文名:The Role of Children in the Dynamics of Intra Family Coronavirus 2019 Spread in Densely Populated Area.
雑誌名:Pediatr Infect Dis J. 2020 Jun 1. doi: 10.1097/INF.0000000000002783.
URL:https://doi.org/10.1097/INF.0000000000002783

11.ヨーロッパにおける小児COVID-19感染症の実態は明らかでありません。この報告は、イタリアにおける10の地域から報告された小児患者130人について後方視的に検討した報告です。130人のうち、70人(51.5%)にCOVID-19に感染した親族を認めました。34人(26.2%)に呼吸器・循環器・神経筋疾患等の基礎疾患を認めました。75.4%の症例は、無症状あるいは軽症でしたが、9人(6.9%)はICUでの管理を必要としました。このうち6人は生後6か月未満でした。全員が回復しました。小児患者は軽症例が主体ですが、基礎疾患を有する場合や6か月未満では重症化する可能性があります。
著者名:Parri N, Magistà AM, Marchetti F, et al.
論文名:Characteristic of COVID-19 infection in pediatric patients: early findings from two Italian Pediatric Research Networks.
雑誌名:Eur J Pediatr. 2020 Jun 3. doi: 10.1007/s00431-020-03683-8.
URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s00431-020-03683-8

12.フランス、パリの1病院における川崎病様multisystem inflammatory syndrome in children(MIS-C)小児患者の前向き観察研究です。川崎病様症状で21人が入院しました。平均年齢は7.9歳(3.7歳~16.6歳)、全員発症早期に消化器症状が認められました。また、12人にショック症状、16人に心筋炎の所見があり、経過中5人に冠動脈拡張が認められました。17人に集中治療を要しましたたが、γグロブリン投与などにより全員軽快しました。COVID-19 RT-PCR陽性者は9人、COVID-19 IgG抗体陽性者は19人であり、いずれも陰性の者が2人いました。
著者名:Toubiana J, Poirault C, Corsia A, et al.
論文名:Kawasaki-like multisystem inflammatory syndrome in children during the covid-19 pandemic in Paris, France: prospective observational study.
雑誌名:BMJ. 2020 Jun 3;369:m2094. doi: 10.1136/bmj.m2094.
URL: https://www.bmj.com/content/369/bmj.m2094

13.武漢小児病院に入院した157人の軽症から中等症の小児患者の免疫学的評価の報告です。60 例(38.2%) は肺炎をもつ軽症、88例 (56.1%)は中等症、6例 (3.8%)は重症で、3例 (1.9%)は最重症でした。肝臓と心筋の障害にALT、AST、CK-MB、LDHが関与していました。軽症患者に比べると、中等症の患者では、IL-10が軽症患者より上昇、好中球が低下していました。IgG、好中球:リンパ球比とこれらのマーカーと負の相関が見られ、リンパ球、CD4T細胞、IL10は、これらのマーカーと正の相関がみられました。
著者名:Wu H, Zhu H, Yuan C, et al.
論文名:Clinical and Immune Features of Hospitalized Pediatric Patients With Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in Wuhan, China.
雑誌名:JAMA Netw Open. 2020 Jun 1;3(6):e2010895. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.10895.
URL: https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2766670

14.ニュ-ヨーク市内の3次医療機関に入院した50人のCOVID-19小児患者(21歳以下)の臨床情報を後方視的に検討した報告です。症状が出てから入院までの時間は2日で、80%の患者に発熱、64%に呼吸器症状、6%に消化器症状が見られました。32%に呼吸のサポート、18%が人工呼吸器が必要で、1名が死亡しました。人工呼吸器が必要な症例を重症例と定義すると、乳児の重症例はなく、免疫不全のある8名の内1名が重症例でした。最も合併症の中で多かった肥満(22%)が2歳以上の児で人工呼吸の使用に関連していました。重症例でCRP、プロカルシトニンは入院時に高値、IL-6、フェリチン、D-ダイマ-の頂値が高値でした。この報告では、成人で見られているような全身性の炎症は稀でした。
著者名:Zachariah P, Johnson CL, Halabi KC, et al.
論文名:Epidemiology, Clinical Features, and Disease Severity in Patients With Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in a Children's Hospital in New York City, New York.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Jun 3:e202430. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.2430.
URL: https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2766920

15.パリの4つの3次医療の大学病院のPICUにショック、発熱とSARS-CoV-2疑いで入院した小児20例の報告です。全例、急性の心筋炎(左心駆出率35%) 、低血圧があり、入院前の症状として、強い腹痛と発熱が6日(1-10日)程度続きました。また、CPRとプロカルシトニンの高値が見られ、少なくとも1つの川崎病の症状が見られましたが、典型的な症例はありませんでした。PCRは、10例、抗体は15例で陽性でした。全ての患者がIVIGを投与され、1例を除き、心血管作動薬が必要でした。全ての患者は生存し、PICU退院時の左心機能は正常化しました。
著者名:Grimaud M, Starck J, Levy M, et al.
論文名:Acute myocarditis and multisystem inflammatory emerging disease following SARS-CoV-2 infection in critically ill children.
雑誌名:Ann Intensive Care. 2020 Jun 1;10(1):69. doi: 10.1186/s13613-020-00690-8.
URL: https://annalsofintensivecare.springeropen.com/articles/10.1186/s13613-020-00690-8

16.COVID-19感染小児において、鼻咽頭ぬぐい液、糞便、唾液中SARS-Co-2 RNAの陽性率と量を比較したソウルからの報告です。鼻咽頭ぬぐい液検体のウイルスRNAが陽性であった12人の小児(9人が軽症、3人が無症状)について、糞便検体と唾液検体のウイルスRNAを調べたところ、糞便では92%(11/12)が、唾液では73%(8/11)が陽性でした。経時的にみると、陽性率は、鼻咽頭ぬぐい液では第2週が75%、第3週が55%と低下したのに対し、糞便では第2週、第3週ともに80%以上であり、唾液では第2週が33%、第3週が11%でした。ウイルスRNA量は、第2週、第3週ともに鼻咽頭ぬぐい液より糞便の方が多いのに対し、唾液では急激に減少しました。糞便や唾液も感染源となる可能性があります。
著者名:Han MS, Seong MW, Kim N, et al.
論文名:Viral RNA Load in Mildly Symptomatic and Asymptomatic Children with COVID-19, Seoul.
雑誌名:Emerg Infect Dis. 2020 Jun 4;26(10). doi: 10.3201/eid2610.202449.
URL: https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/10/20-2449_article

17.アイルランドにおいて、COVID-19の伝播における小学校及び中学校の関与を調査した報告です。学校閉鎖が行われる前の学校におけるCOVID-19の発症状況を、アイルランド感染症サーベイランスシステムを用いて調査した結果、3人の小児と3人の成人が感染者と同定されましたが、いずれも学校外における感染であることが確認されました。また、この6人と学校内での接触のあった1025人については感染が確認されませんでした。COVID-19伝搬にゼロリスクはありませんが、学校環境は低リスクと考えられます。
著者名:Heavey L, Casey G, Kelly C, et al.
論文名:No evidence of secondary transmission of COVID-19 from children attending school in Ireland, 2020.
雑誌名:Euro Surveill. 2020 May;25(21):2000903. doi: 10.2807/1560-7917.ES.2020.25.21.2000903.
URL: https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.21.2000903


【2020年6月3日 掲載】
1.COVID-19小児例の臨床像と家庭内発症に関する報告です。ジュネーブ大学病院(スイス)でRT-PCRによりSARS-CoV-2感染症が確認された計4310例のうち16歳未満の40例(0.9%)を対象に追跡調査が行われました(1例は追跡不能)。追跡期間の中央値は18日(四分位範囲[IQR] 14-28)。29例(74%)は生来健康、他は併存疾患があり、その内訳は多い順に喘息、糖尿病、肥満、早産、高血圧でした。調査対象となった児と家庭内接触のあった111人:母親(n = 39)、父親(32)、小児期の同胞(23)、大人期の同胞(8)、祖父母(7)でした。79%(31/39例)は児の発症前に成人の家族が発症し、一方、どの家族よりも前に発症した児はわずか8%(3/39例)でした。接触のあった家族で発症したのが小児で43%(10/23)に対して、成人で85%(75/88)でした(p <0.001)。また、母親の92%(36/39)が発症したのに対し、父親は75%(24/32)でした(p = 0.04)。
著者名:Posfay-Barbe KM, Wagner N, Gauthey M, et al.
論文名:COVID-19 in Children and the Dynamics of Infection in Families.
雑誌名:Pediatrics. 2020 May 26:e20201576. doi: 10.1542/peds.2020-1576.
URL:https://pediatrics.aappublications.org/content/early/2020/05/22/peds.2020-1576.long

2.乳児期(1歳未満)と小児・青年期(1〜21歳)で鼻咽頭のSARS-CoV-2ウイルス量の違いがあるかどうかを検討した論文です。COVID-19を示唆する症状のため入院しSARS-CoV-2陽性であった57例(乳児20例)でRT-PCRが行われ、乳児(平均Ct 値21.05)が小児・青年(27.25)に比べウイルス量が多い結果が得られました。しかし、呼吸管理またはICU管理が必要な重症化は、乳児1例(5%)vs年長児12例(32.4%)(p = 0.02)、症状発現から検査陽性までの平均時間は、乳児2日vs年長児3.8日(p <0.01)でした。症状のある乳児は年長児に比べて鼻咽頭ウイルス量が多いが、重症度が低いことが示唆されますが、これが発症時期の違いによるものか宿主の生物学的要因によるものかさらに調査が必要です。
著者名:Zachariah P, Halabi KC, Johnson CL, et al.
論文名:Symptomatic Infants have Higher Nasopharyngeal SARS-CoV-2 Viral Loads but Less Severe Disease than Older Children.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 May 20:ciaa608. doi: 10.1093/cid/ciaa608.
URL:https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa608/5841161

3.SARS-CoV-2ウイルスが母乳に含まれて、授乳を通じて新生児に感染する可能性があるかどうかは依然として不明です。母乳中にウイルスは検出されなかったとの先行論文がありますが、サンプル数は多くはありません。この論文はSARS-CoV-2に感染した授乳中の母親2名の母乳を経時的に調べた報告です。母親1は出産後に軽度のCOVID-19症状を呈しSARS-CoV-2陽性で、新生児1はその後に陽性となり呼吸器疾患も見られました。同室にいた母親2と途中で生まれた新生児2は退院後に順にSARS-CoV-2陽性となりCOVID-19症状を発現し、新生児2は呼吸管理を受けました。母乳サンプルのRT-qPCR解析により、10〜13日目の母親2の母乳にSARS-CoV-2 RNAが検出されましたが、母親1からのサンプルは陰性でした。ウイルス量測定は全乳および脱脂乳(脂質画分の除去後に得られた)で行われ、SARS-CoV-2 NのCt値は、それぞれ29.8および30.4でした。乳成分がRNA分離と定量に影響を与える可能性があるため、ウイルスRNA回収率も検証され、実際のウイルス量は検出された量よりもさらに高い可能性があることが示唆されています。COVID-19の母親が母乳育児をすべきかどうか、授乳中の女性の母乳サンプルと授乳によるウイルス感染の可能性に関するさらなる研究が必要です。
著者名:Groß R, Conzelmann C, Müller JA, et al.
論文名:Detection of SARS-CoV-2 in human breastmilk.
雑誌名:Lancet. 2020 May 21:S0140-6736(20)31181-8. doi: 10.1016/S0140-6736(20)31181-8.
URL:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lancet/PIIS0140-6736(20)31181-8.pdf

4.成人において糖尿病、心血管障害などの併存症や民族性がCOVID-19死亡率のリスクと関連することがわかってきました。軽症例が多いとされている小児においても同様の関連があるかまだ分かっていません。ロンドンのキングスカレッジ病院に入院した0〜16歳のCOVID-19患児で併存症のある5症例の検討が行われました。症例1〜5はそれぞれ順に、脳性麻痺+発達遅滞の11歳女児、早産+脳室内出血の0歳男児、早産+慢性肺疾患+気管切開+人工呼吸+肝芽腫の1歳男児、ウィルソン病の15歳女児、拡張型心筋症+閉塞性黄疸の7歳女児でした。症例4以外は非白人で、臨床的特徴として、要呼吸管理が3人(うち2人は集中治療)、白血球・血小板減少3人、肝機能障害4人、腎障害1人に見られ(multisystem inflammatory syndromeは0)、入院期間は中央値20日(範囲7〜84日)でした。一方、同じ期間に入院した併存症のないCOVID-19患児7人(うち5人が非白人)の入院期間は中央値3日(1〜8日)でした。民族性および併存症の存在は、COVID-19の重症化の独立した危険因子である可能性があります。
著者名:Harman K, Verma A, Cook J, et al.
論文名:Ethnicity and COVID-19 in children with comorbidities.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. Published:May 28, 2020.
doi:https://doi.org/10.1016/S2352-4642(20)30167-X.
URL:https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30167-X/fulltext

5.非定型の虫垂炎の症状を示し、急速に状態が悪化して入院を要したCOVID-19小児8例の報告です。2020年4月下旬から8日間に、8症例が発熱、腹痛、下痢、嘔吐などの症状の組み合わせを示し、外科的治療の適応評価のために英国の3次小児医療施設へ紹介されました。いずれも血液炎症マーカー上昇を伴い、暫定診断は虫垂炎の疑いとそれに続発する敗血症でした。超音波検査ではリンパ節腫脹および腸間膜全体の炎症性脂肪、回腸末端の肥厚を示す所見があり、CTではこれらの所見に加え、炎症のない虫垂が描出されました。全例で外科的介入を受けることはなく、心筋炎1例を含む4例が集中治療を受け、4人は非定型の川崎病として免疫グロブリンとステロイドの治療を受けました。5人はSARS-CoV-2 PCRは陽性で、2人は類似の臨床症状と画像がありCOVID-19が疑われています。6人は非白人でした。COVID-19ではこのような消化器症状を呈す症例があることを認識し、虫垂を描出する腹部画像検査を行い、状態悪化に備えて早い段階で3次医療施設への移送を考慮すべきことが強調されています。
著者名: Tullie L, Ford K, Bisharat M, et al.
論文名:Gastrointestinal features in children with COVID-19: an observation of varied presentation in eight children.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 May 19;S2352-4642(20)30165-6. doi: 10.1016/S2352-4642(20)30165-6.
URL:https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30165-6/fulltext

6.敗血症性ショックを呈したCOVID-19症例の報告です。ジュネーブ(スイス)で小児に行われた1199のSARS-CoV-2 PCR検査で陽性の結果が出た57人のうち3人(10〜12歳)が敗血症性ショックを呈しました。なかでも2人は腹膜炎と多臓器不全症候群の徴候があり、multisystem inflammatory syndrome in children associated with COVID-19の定義も満たしていました。
著者名:Dallan C, Romano F, Siebert J, et al.
論文名:Septic shock presentation in adolescents with COVID-19.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 May 19:S2352-4642(20)30164-4. doi: 10.1016/S2352-4642(20)30164-4.
URL:https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30164-4/fulltext


【2020年5月26日掲載】
1. 小児からのSARS-CoV-2の伝播に関する論文のシステマティックレビューです。2020年3月11日までにMEDLINE、EMBASEに公開された論文40編と同12日までにmedRxiv/bioRxivに公開された未掲載原稿7編を対象としています。小児はCOVID-19患者のほんの一部を占めるに過ぎず、また、多くは重症化リスクのある高齢者よりも親、同輩と社会的接触を持っていました。ウイルス量に関するデータは少ないですが、得られた範囲では小児では成人よりも少ない可能性が示されています。小児ではくしゃみや咳のような症状が出にくいことも、おそらく感染させるリスクを低くしていると考えられました。家庭内伝播に関する研究は小児が発端者となることは稀であることを示し、事例検討では小児患者がアウトブレークを起こすことはほとんどないことが示唆されています。しかし、小児がSARS-CoV-2を感染させうること、無症状であってもウイルスを排泄しうることは明らかなようです。結論として、小児はCOVID-19のパンデミックに主要な役割を果たしておらず、学校や幼稚園が再開されても高齢者のCOVID-19による死亡率には影響を及ぼさないと考えられます。
著者名:Ludvigsson JF.
論文名:Children are unlikely to be the main drivers of the COVID-19 pandemic - a systematic review.
雑誌名:Acta Paediatr. 2020 May 19. doi: 10.1111/apa.15371.
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/apa.15371

2. 2020年3月15日までに掲載された小児COVID-19に関する9報のcase series(7報が小児感染例 [中国語論文3報を含む]、2報が感染母体からの出生児)のシステマティックレビューです。小児感染例93例では、75%に家庭での接触歴があり、98%が軽症から中等症で、59%に発熱、46%に咳嗽、12%に消化器症状がみられ、26%は感染判明時に無症状でした。胸部CT所見で最も多かったのはスリガラス影 (48%) でした。感染母体から出生した新生児19名には感染はみとめられませんでした。
著者名:Chang TH, Wu JL, Chang LY.
論文名:Clinical characteristics and diagnostic challenges of pediatric COVID-19: A systematic review and meta-analysis.
雑誌名:J Formos Med Assoc. 2020 May;119(5):982-989. doi: 10.1016/j.jfma.2020.04.007.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0929664620301431?via%3Dihub

3. 中国、武漢市の単一施設(大学附属病院)に2020年2月8日までに入院した7例のCOVID-19妊婦の後方視的検討です。妊婦の平均年齢は32歳(29歳〜34歳)、入院時の平均週数は39週1日(37週〜41週2日)で、発熱が6例、咳嗽、息切れ、下痢が各1例にみられました。全例、発症後3日以内(平均週数39週2日)に帝王切開で出産し、母子ともに良好な転帰をとりました。SARS-CoV-2が検査された新生児3名中1名が生後36時間の咽頭ぬぐい液で陽性を示しましたが、一過性の軽い呼吸促迫がみられたのみでした。
著者名:Yu N, Li W, Kang Q, et al.
論文名:Clinical features and obstetric and neonatal outcomes of pregnant patients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective, single-centre, descriptive study.Y
雑誌名:Lancet Infect Dis. 2020 May;20(5):559-564. doi: 10.1016/S1473-3099(20)30176-6.
URL: https://www.thelancet.com/pdfs/journals/laninf/PIIS1473-3099(20)30176-6.pdf

4. COVID-19への対策として、ミシガン州は2020年3月23日より州の住民に対し自宅にて過ごすStay-at-home政策を導入しました。これに伴い、乳幼児の定期接種に関する影響をミシガン州の予防接種レジストリーを用いて評価した報告です。その結果、出産時に接種されるB型肝炎ワクチン以外、3,5,6,16,19,24か月児におけるワクチン接種率の低下が認められました。多くの医療機関は乳児健診を電話やネットを利用した診察に切り替えていますが、実際に医療機関を訪問しないと実施できない予防接種は今後その実施方法に工夫が必要であす。その方法の具体例として、地域で予防接種専門のクリニックを指定する、予防接種を受けに来た小児は別の部屋や建物で対応する、完全予約制にする、車においてワクチンを接種する、などが挙げられます。また、レジストリーを活用し、スケジュールから遅れている児の家庭へ積極的にアプローチすることも一案です。
著者名:Bramer CA, Kimmins LM, Swanson R, et al.
論文名:Decline in Child Vaccination Coverage During the COVID-19 Pandemic − Michigan Care Improvement Registry, May 2016–May 2020.
雑誌名:MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:630–631. doi: 10.15585/mmwr.mm6920e1.
URL: https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6920e1.htm?s_cid=mm6920e1_x

5. 小児のCOVID-19患者が全体の2%未満であるのは、SARS-CoV-2のレセプターであるangiotensin-converting enzyme 2 (ACE2)の発現が成人とは異なるからではないかといわれています。その仮説を証明するために、気管支喘息の研究目的でかつて採取保管された4-60歳の喘息患者の鼻粘膜上皮を用いて、年齢によるACE2の発現の相違を分析した報告です。その結果、ACE2の発現は小児で最も低く、年齢が高くなるにつれて発現量が多くなりました(性別と喘息の有無で調整)。この年齢依存性のACE2発現レベルの違いが、小児のCOVID-19患者が少ない理由かもしれません。
著者名:Bunyavanich S, Do A, Vicencio A.
論文名:Nasal Gene Expression of Angiotensin-Converting Enzyme 2 in Children and Adults.
雑誌名:JAMA. 2020 May 20. doi: 10.1001/jama.2020.8707.
URL: https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766524

6. 2020年1月1日から5月1日までに発表された小児(0-18歳)COVID-19の論文(65本、うち3本レビュー)に関するまとめです。対象人数は7480人(男児52.1%、平均年齢7.6歳)で、症状は約半数に発熱と咳を認めており、ほとんどが軽症または中等症であり、重症例(PICUに入院)は2%程度でしたが、新生児では12%が重症化し、最も認められた症状は呼吸困難でした。対象の約3/4の症例で胸部CT検査が実施されており、約1/3が正常所見でした。全体の致命率は0.08%でした。今回のレビューからは小児のCOVID-19症例は成人よりも軽症であると言えます。
著者名:Liguoro I, Pilotto C, Bonanni M, et al.
論文名:SARS-COV-2 infection in children and newborns: a systematic review.
雑誌名:Eur J Pediatr. 2020 May 18:1-18. doi: 10.1007/s00431-020-03684-7.
URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s00431-020-03684-7

7. 武漢小児病院でSARS-CoV-2感染が疑われた小児患者のうち、咽頭スワブと肛門スワブの両方の検体でRT-PCRが行われた212人の結果を後方視的にレビューした報告です。このうち78人が陽性で、24人が両検体で陽性、37人が咽頭検体のみ、17人が肛門検体のみ陽性でした。この結果より、咽頭と肛門の検体を用いたPCR検査の結果には有意差があり、陽性一致率が低いことが分かりました。また、咽頭と肛門の両方で陽性となった検体のウイルス量には有意差がなく、相関関係もみられませんでした。さらに、肛門検体のみ陽性の患者と咽頭検体のみ陽性の患者における臨床的特徴に差を認めませんでした。発症から検体採取までの時間と検査結果の関係については検討していませんが、咽頭と肛門のスワブのウイルス量には、小児のさまざまな時期における免疫状態、免疫反応、および回復期/免疫学的寛容が関与している可能性が示唆されました。
著者名:Yuan C, Zhu H, Yang Y, et al.
論文名:Viral loads in throat and anal swabs in children infected with SARS-CoV-2.
雑誌名:Emerg Microbes Infect. 2020 May 18:1-17. doi: 10.1080/22221751.2020.1771219.
URL: https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/22221751.2020.1771219

8. CIVID-19小児患者を解析した24論文のレビューで、2597症例(確定1185例、疑い1412例)が対象です。患者の大部分はCOVID-19確定例からの家族内感染例でした。症状は軽く、重症はわずか4.4%、危篤は0.9%でした。初発症状は、成人と同様であるものの低頻度でした(発熱, 43.1% vs. 82-98.6%; 咳嗽, 43.4% vs. 59.4-82%)。呼吸器症状は軽く、多呼吸/息切れの頻度は12.6%(成人31%)であり、呼吸困難(同55%)と呼吸窮迫症候群(同17%)は稀でした。一方、消化器症状は成人に比べて多く、下痢の頻度は6.6%(成人2-3.8%)でした。検査所見では、成人で最も頻度の高い異常であるリンパ球減少は9.8%しかみられませんでした。クレアチンキナーゼのMBアイソザイム(CK-MB)の上昇は27%と成人よりもはるかに多くみられ、小児患者では心筋傷害の頻度が高いことが示唆されました。
著者名:Cui X, Zhang T, Zheng J, et al.
論文名:Children with Coronavirus Disease 2019 (COVID-19): A Review of Demographic, Clinical, Laboratory and Imaging Features in 2,597 Pediatric Patients.
雑誌名:J Med Virol. 2020 May 17. doi: 10.1002/jmv.26023.
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.26023

9. RT-PCRでSARS-CoV-2陽性であった臨床サンプル(鼻咽頭スワブ、気管内吸引液)90検体を用いて、RT-PCRのCt値(PCR 増幅産物量が一定の閾値に達したときのサイクル数)およびSTT(発症から検査までの日数)と検体に含まれるウイルスのVero細胞での増殖能との関連を調べた論文です。ウイルス増殖がみられた(培養陽性)26検体 (29%) は、全てCt値が24以下かつSTTが8日以下でした。多変量解析では、培養陽性のオッズ比はCt値が1上がるごとに32%、STTが1日長くなるごとに37%低下し、ROC解析ではCt値が0.91、STTが0.81と良好なAUC(識別能の指標)を示しました。Ct値25以上とSTT 9日以上は患者の感染力が低いこと示す指標となることが示唆されます。
著者名:Bullard J, Dust K, Funk D, et al.
論文名:Predicting infectious SARS-CoV-2 from diagnostic samples.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 May 22:ciaa638. doi: 10.1093/cid/ciaa638.
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa638/5842165

10. 中国の6施設で胸部CTが施行された小児COVID-19患者30例の後方視的検討です。23例 (77%) では異常がなく、残る7例のうち、スリガラス影が6例、crazy-paving patternとreverse-halo signが各2例にみられました。所見の分布は6例で末梢性でした。フォローアップのCTを受けた11例 (37%) のうち10例では変化がみられませんでした。これらの結果に基づき、小児COVID-19の診断や治療管理における胸部CTの有用性には疑問があるとしています。
著者名:Steinberger S, Lin B, Bernheim A, et al.
論文名:CT Features of Coronavirus Disease (COVID-19) in 30 Pediatric Patients.
雑誌名:AJR Am J Roentgenol. 2020 May 22:1-9. doi: 10.2214/AJR.20.23145.
URL: https://www.ajronline.org/doi/10.2214/AJR.20.23145

11. 小児3名を含む家族におけるSARS-CoV-2感染のクラスター事例を解析したドイツからの報告です。発端者は父親で、6病日にSARS-CoV-2陽性が判明しています。同日に5歳女児、翌日に母親、翌々日に2歳男児に症状が出現し、後日いずれも感染が確認されました。7か月女児は症状がなく、繰り返し行われた鼻咽頭と便の検査は全て陰性でした。母親と2人の子どもは感染確認後5〜6日で鼻咽頭のウイルスが陰性となりました。両親の便のウイルスは陰性でしたが、感染した2人の子どもは便のウイルス陽性が4週間持続し、SARS-CoV-2が消化管で著しく増殖することを示していました。
著者名:Wolf GK, Glueck T, Huebner J, et al.
論文名:Clinical and Epidemiological Features of a Family Cluster of Symptomatic and Asymptomatic SARS-CoV-2 Infection.
雑誌名:J Pediatric Infect Dis Soc. 2020 May 22:piaa060. doi: 10.1093/jpids/piaa060.
URL: https://academic.oup.com/jpids/advance-article/doi/10.1093/jpids/piaa060/5842074

12. RNAscopeという新しい手法を用いて、COVID-19妊婦から出生し、それぞれ出生直後+日齢2+日齢7と日齢7にSARS-CoV-2陽性であった新生児2例の胎盤の胎児側組織にSARS-CoV-2 のRNAを検出した報告です。SARS-CoV-2が胎盤を介して胎内感染を起こす可能性を示しています。
著者名:Patanè L, Morotti D, Giunta MR, et al.
論文名:Vertical transmission of COVID-19: SARS-CoV-2 RNA on the fetal side of the placenta in pregnancies with COVID-19 positive mothers and neonates at birth.
雑誌名:Am J Obstet Gynecol MFM. 2020 May 18:100145. doi: 10.1016/j.ajogmf.2020.100145.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589933320300896?via%3Dihub

13. SARS-CoV-2感染およびMultisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) と関連している可能性がある急性心不全を呈した小児発熱患者のcase seriesです。フランスとスイスでCOVID-19の流行が起こっていた2020年3月22日〜4月30日に13施設(フランス12、スイス1)のPICUに心原性ショック、左心不全および重症炎症状態で入院した小児35例を後方視的に解析しています。年齢の中央値は10歳(2〜16歳)で、28%に喘息、肥満を含む基礎疾患があり、消化器症状が目立ちました。症例の1/3で左室駆出率 (LVEF) が30%未満であり、80%が静注強心薬を必要とし、28%にECMOが使用されました。IL-6(中央値135 pg/mL)とD-dimer(同5,284 ng/mL)の値からはサイトカインストームが示唆されました。BNPは中央値5,743 pg/mLと上昇していました。31例 (88%)が鼻咽頭スワブのPCRまたは抗体検査でSARS-CoV-2陽性でした。全例に静注用ガンマグロブリンが投与され、1/3ではステロイドが併用されました。PICU退室後の左心機能は25例 (71%) で保たれていました。5例 (14%)は最終フォローアップ時点でLVEFの軽度〜中等度低下 (40-60%)がみられました。死亡例はなく、ECMOが使用された全例で離脱できました。小児はSARS-CoV-2感染に引き続いて重症炎症状態による急性心不全を発症する可能性があります。静注用ガンマグロブリンは左室収縮能の回復に関連しているようです。
著者名:Belhadjer Z, Méot M, Bajolle F, et al.
論文名:Acute heart failure in multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) in the context of global SARS-CoV-2 pandemic.
雑誌名:Circulation. 2020 May 17. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.120.048360.
URL: https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.048360
(2020年5月20日掲載分の【備考1~3】もご参照下さい。)


【2020年5月20日掲載】
1.米国ニューヨーク市の単一の小児病院におけるCOVID-19の臨床像についての報告です。調査期間は2020年3月15日~4月13日、陽性者は67例でした。入院した41例(68.7%)の年齢は13.1歳(中央値)、13例(19.4%)がPICU管理となりました。PICU管理の危険因子として、CRP、プロカルシトニン、pro-BNPの高値と相関(全てp<0.03)がありましたが、肥満や気管支喘息との相関(p=0.99)はありませんでした。PICU管理例では、高流量鼻カニュラ(p=0.0001)やレムデシビル投与(p<0.05)を行う頻度が有意に高く認められました。10例(14.9%)がARDSとなり、6例(9.0%)が人工呼吸管理(中央値:9日間)となりました。
著者名:Chao JY, Derespina KR, Herold BC, et al.
論文名:Clinical characteristics and outcomes of hospitalized and critically ill children and adolescents with coronavirus disease 2019 (COVID-19) at a tertiary care medical center in New York city.
雑誌名:J Pediatr. 2020 May 11:S0022-3476(20)30580-1. doi: 10.1016/j.jpeds.2020.05.006.
URL:https://www.jpeds.com/article/S0022-3476(20)30580-1/fulltext

2.COVID-19流行によるワクチン出荷数の減少についての米国CDCからの報告です。米国では2020年3月13日に国家非常事態宣言があり、移動や外出が制限されました。一方で米国CDCは3月24日に小児の推奨時期でのワクチン接種の重要性(特に2歳以下)についてのガイダンスを公表しました。COVID-19流行がワクチン接種率に及ぼす影響を見るために、インフルエンザ以外の全てのワクチンの出荷数および麻疹含有ワクチンの出荷数のデータを見てみると、いずれも緊急事態宣言の直後より減少傾向となりましたが、3月最終週より2歳以下に対する麻疹含有ワクチンの出荷数については、やや改善傾向を認めました。
著者名:Santoli JM, Lindley MC, DeSilva MB, et al.
論文名:Effects of the COVID-19 pandemic on routine pediatric vaccine ordering and administration - United States, 2020.
雑誌名:MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020 May 15;69(19):591-593.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6919e2.htm

3.抗SARS-CoV-2抗体検出用の2種の自動イムノアッセイと3種のイムノクロマトキットの評価についてのベルギーからの報告です。自動検出系はEuroimmum(ELISA、IgG/IgA)とMaglumi®(CLIA, IgG/IgM)、迅速キットはLaboOn Time®、Avioq®、QuickZen®(IC、IgG/IgM)を用い、血清はSARS-CoV-2陽性患者(n=128)、コントロール(n=72)にて評価を行いました。感度はEuroimmum 84.4%、Maglumi® 64.3%、迅速キットは70%程度でした。IgGの特異度はEuroimmum 98.6%、Maglumi® 100%でした。今回の5種類の検査系の感度は発症2週目より上昇し、発症14日以降には同程度(91-94%)にまで上昇しました。
著者名:Montesinos I, Gruson D, Kabamba B, et al.
論文名:Evaluation of two automated and three rapid lateral flow immunoassays for the detection of anti-SARS-CoV-2 antibodies.
雑誌名:J Clin Virol. 2020 May 5;128:104413. doi: 10.1016/j.jcv.2020.104413.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1386653220301554?via%3Dihub

4.イタリア小児感染症学会で推進された小児COVID-19のナショナルサーベイランスの報告です。調査期間は2020年3月25日~4月10日、陽性者は168例(18歳未満)でした。年齢の平均値は5歳、中央値は2.3歳、15例は新生児でした。37例(19.6%)に基礎疾患があり、110例(65.5%)が入院しました。症状は、発熱82.1%、咳48.8%、鼻炎26.8%、下痢13.1%、呼吸困難9.5%でした。痙攣は5例、ICU管理は2例(早産児、先天性心疾患のある生後2ヶ月児)、49例にロピナビル・リトナビル、ヒドロキシクロロキンなどの試験的治療が施行され、全例で後遺症なく経過していました。中国や米国の小児例の報告と比較すると、発熱の頻度が高く、咳・咽頭炎の頻度が低い傾向でした。
著者名:Garazzino S, Montagnani C, Donà D, et al.
論文名:Multicentre Italian study of SARS-CoV-2 infection in children and adolescents, preliminary data as at 10 April 2020.
雑誌名:Euro Surveill. 2020 May;25(18). doi: 10.2807/1560-7917.ES.2020.25.18.2000600.
URL:https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.18.2000600

5.COVID-19に伴う学校閉鎖に対する見解のまとめです。インフルエンザ流行時の対策を模倣し、COVID-19流行の抑制を目的として多くの国で学校閉鎖が導入されましたが、COVID-19流行時の学校閉鎖の有効性に関する明確なエビデンスはありません。感染性の低いウイルスが原因で、成人よりも小児において患者数が多い場合は、学校閉鎖の効果が得られる場合がありますが、COVID-19の基本再生産数(R0)は2.5を上回っており、10歳未満の子どもはCOVID-19症例の1%を占めるのみです。システマティックレビューにおいても、学校閉鎖がSARS-CoV-2感染制御に寄与していないことが示されています。それどころか学校閉鎖は、親の休業による経済的影響、親が医療従事者であった場合の医療レベルの低下による患者死亡率上昇、元々COVID-19重症化のリスクが高い祖父母への孫からの感染拡大、低所得国における社会・経済・健康に関する不平等など、その潜在的な悪影響が無視できません。一部の国で導入準備が進んでいるデジタル技術を介した遠隔学習も、タブレットやパソコンの普及状況が経済状況に左右されることから、多くの子どもにとって学校閉鎖は学習機会だけでなく、仲間や周辺社会から隔絶されることに繋がります。
著者名: Esposito S, Principi N.
論文名:School closure during the coronavirus disease 2019 (COVID-19) pandemic.An effective intervention at the global level?
雑誌名:JAMA Pediatr. Published online May 13, 2020. doi:10.1001/jamapediatrics.2020.1892 [Epub ahead of print]
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2766114

6.BCGを小児期に接種していたらCOVID-19の罹患や重症化を防ぐ可能性があるかが取沙汰されていますが、エビデンスは得られていません。
イスラエルにおいて1979-81年生まれ(小児期にBCG接種された年齢層)の人全体の1.02%にあたる3064人と、1982-85年生まれ(BCG接種されていない年齢層)の人全体の0.96 %にあたる2869人に対してSARS-CoV-2 PCR検査が実施されましたが、陽性率はそれぞれ11.7%と10.4%で、統計学的に有意差はありませんでした。人工換気やICU管理を必要とする重症例は各群に1名ずついましたが、死亡例はいませんでした。
著者名:Hamiel U, Kozer E, Youngster I.
論文名:SARS-CoV-2 rates in BCG-vaccinated and unvaccinated young adults.
雑誌名:JAMA. 2020 May 13. doi:10.1001/jama.2020.8189
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766182

7.COVID-19流行のために医療システムが破綻し、また食糧不足となることから、低・中所得国においては母子の間接死亡数が増加することが懸念されています。数理モデリングによると、控えめな見積もりでも6か月の間に25万3500人の小児(5歳未満)死亡、12,200人の母体死亡が過剰に生じるとされています。最悪のシナリオでは115万7千人の小児(5歳未満)と56,700人の母体の過剰死亡が生じる恐れがあります。
著者名:Roberton T, Carter ED, Chou VB, et al.
論文名:Early estimates of the indirect effects of the COVID-19 pandemic on maternal and child mortality in lo-income and middle-income countries: a modeling study.
雑誌名:Lancet Glob Health. 2020 May 12.
URL:https://doi.org/10.1016/S2214-109X(20)30229-1

8.北米46箇所のPICUに入院した小児COVID-19患者48人のまとめです。年齢中央値13歳(4.2~16.1歳)で、40人(83%)に基礎疾患がありました。18人(38%)に侵襲的な呼吸管理が必要(うち1名はECMO)で、11人(23%)に2系統以上の臓器不全を認めました。2名(4%)が死亡し、15人(31%)はなお入院中でした。
著者名:Shekerdemian LS, Mahmood NR, Wolfe KK, et al.
論文名:Characteristics and outcomes of children with coronavirus disease 2019 (COVID-19) infection admitted to US and Canadian pediatric intensive care units.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 May 11. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1948
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2766037

9.米国における2020年4月6日までの小児COVID-19患者数を集計し、年内に小児の累積感染率がどの程度に達すると集中管理を要する小児患者数がどれくらいに達するのかを推測しています。もし年内に累積で5%(370万人)の小児が感染した場合、入院患者9907人、PICU収容患者1086人となります。もし年内に累積で50%(3700万人)の小児が感染したら、入院患者99,073人、PICU収容患者10,865人となり、収容能力を超えてしまいます。小児が成人より軽症だとしても、医療破綻の恐れは十分あるのです。
著者名:Pathak EB, Salemi JL, Sobers N, et al.
論文名:COVID-19 in children in the United States: Intensive care administrations, estimated total infected, and projected numbers of severe pediatric cases in 2020.
雑誌名:J Pub Health Manage Pract. doi:10.1097/PHH.0000000000001190
URL:https://journals.lww.com/jphmp/Abstract/9000/COVID_19_in_Children_in_the_United_States_.99293.aspx

10.イタリアの一地方におけるSARS-CoV-2流行時の川崎病の増加と重症化に関する報告です。SARS-CoV-2流行前(2015年1月1日~2020年2月17日:約5年)での川崎病は19例(平均3歳)、流行後(2020年2月18日~4月20日:約2ヶ月)では10例(平均7.5歳、5例は不全型)となり、報告頻度は30倍に増加し、患者年齢も上昇していました。また、SARS-CoV-2流行前後で心臓合併症(2/19 例 vs 6/10例)、川崎病ショック症候群(0/19例 vs 5/10例)、マクロファージ活性化症候群(0/19例 vs 5/10例)の増加と、ステロイド治療の追加(3/19例 vs 8/10例)に有意差を認めました(p<0.01)。
(【備考1~3】もご参照下さい。)
著者名:Verdoni L, Mazza A, Gervasoni A, et al.
論文名:An outbreak of severe Kawasaki-like disease at the Italian epicentre of the SARS-CoV-2 epidemic: an observational cohort study.
雑誌名:Lancet. 2020 May 13. doi: 10.1016/S0140-6736(20)31103-X.
URL:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31103-X/fulltext

11.2020年4月中旬の10日間に、ロンドン市内のPICUに過剰炎症性ショック(不全型川崎病、川崎病ショック症候群、または毒素性ショック症候群に類似)の8症例がクラスターを起こし、1名は死亡しました。死亡例1例を含む2例はSARS-CoV-2 PCR陽性で、PCR陰性の6例中3例はCOVID-19患者が家族内にいました。後日これらの症例はいずれもSARS-CoV-2抗体陽性であることが判明しています。
(【備考1~3】もご参照下さい。)
著者名:Riphagen S, Gomez X, Gonzalez-Martinez C, et al.
論文名:Hyperinflammatory shock in children during COVID-19 pandemic.
雑誌名:Lancet. 2020 May 6.
URL:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)31094-1

【備考1】
欧米各国においてCOVID-19流行に伴い川崎病様の病態が増加し重症化していることが報告されていますが、日本川崎病学会および日本川崎病研究センターによると、2020年5月7日の時点で日本においては同様の傾向は認められていません(http://www.jskd.jp/index.html)。

【備考2】
かつて川崎病とコロナウイルスNL63に類似した新型コロナウイルスCoV-New Haven (NH)との間に関連性が疑われたことがあります(Esper F, et al. J Infect Dis 2005; 191: 499-502)。しかしその後の追跡調査は、その関連性について否定しています(Shimizu C, et al. J Infect Dis 2005; 192: 1767-71, Chan L-Y, et al. J Infect Dis 2006; 193: 283-6)。

【備考3】
WHOと米国CDCは、この病態をMultisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) associated with COVID-19と呼ぶようにしました。川崎病とは異なるものだと考えた方がよさそうです。
WHO reference number: WHO/2019-nCoV/Sci_Brief/Multisystem_Syndrome_Children/2020.1
URL:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/pediatric-hcp.html#anchor_1589580133375


【2020年5月13日 掲載】
1.2人のCOVID-19検査診断例と濃厚接触があった無症状の10歳男児に関する中国からの報告です。最終曝露から17日後の便からRT-PCR法でSARS-CoV-2遺伝子が検出され、更に9日後の便からも検出されました。最終曝露から15日後の鼻咽頭ぬぐい液と痰については±の結果でしたが、その後は検出されませんでした。両親は無症状で、SARS-CoV-2の検査も陰性でした。
著者名:Tang A, Tong1 ZD, Wang HL, et al
論文名:Detection of Novel Coronavirus by RT-PCR in Stool Specimen from Asymptomatic Child, China.
雑誌名:Emerg Infect Dis. 2020 Jun 17;26(6). doi: 10.3201/eid2606.200301. [Epub ahead of print]
URL: https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/6/20-0301_article

2.中国湖北省武漢市にある武漢大学人民病院でのコホート研究です。13人(第1三半期5人、第2三半期3人、第3三半期5人)のCOVID-19感染妊婦から膣分泌物、便を採取し、出産した5人については、母乳、新生児の咽頭、肛門スワブを採取しました。5人中2人は早産で、2人は新生児肺炎を認めました。便9検体のうち1検体が陽性でしたが、膣分泌物13検体、新生児の咽頭ぬぐい液5検体、肛門ぬぐい液4検体はすべて陰性でした。母乳は3検体のうち1検体が陽性でした。経膣分娩は安全な分娩様式である可能性を示唆し、母乳については追加の研究が必要としています。
著者名: Wu Y, Liu C, Dong L, et al.
論文名:Coronavirus disease 2019 among pregnant Chinese women: Case series data on the safety of vaginal birth and breastfeeding.
雑誌名:BJOG. 2020 May 5. doi: 10.1111/1471-0528.16276. [Epub ahead of print]
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32369656

3.間葉系幹細胞によるCOVID-19治療の可能性に関する中国からの論文です。重篤な症例が増加していますが、治療のオプションは不足しています。重篤なCOVID-19症例の病理学的な特徴は、細胞性線維粘液性浸出液、広範囲の肺炎症、肺水腫、ヒアリン膜形成を特徴とする急激な肺障害(ALI)/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)です。間葉系幹細胞は炎症反応のバランスを保ち、過去には感染性/非感染性を含めてALI/ARDSに効果があるとされてきました。この論文ではALI/ARDSに対する間葉系幹細胞による治療の臨床試験成績がまとめられており、重症あるいは重篤なCOVID-19に対する代替療法の一つとして間葉系幹細胞が示唆されています。ALI/ARDSに対する間葉系幹細胞の有効性/安全性を評価するための臨床試験がいくつか始まっていますが、除外基準に、18歳未満の患者、主要臓器に重篤な基礎疾患がある場合、妊娠、悪性腫瘍、重篤な慢性呼吸器疾患、最近深部静脈血栓症または肺塞栓症を認めた場合、HIV感染、インフォームドコンセントを取得できなかった場合が挙げられています。
著者名: Liu S, Peng D, Qiu H, et al.
論文名:Mesenchymal stem cells as a potential therapy for COVID-19.
雑誌名:Stem Cell Res Ther. 2020 May 4;11(1):169. doi: 10.1186/s13287-020-01678-8.
URL:https://stemcellres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13287-020-01678-8

4.新型コロナウイルスはアンジオテンシン変換酵素(ACE)2に結合して標的細胞に侵入し、宿主細胞におけるACE2の発現を調節します。レニン-アンジオテンシン系の重要な構成要素であるACE2は、アンジオテンシンII(Ang II)およびAng-(1-7)のレベルを調節することにより、その生理学的機能を発揮します。女性の生殖能に対する新型コロナウイルスの潜在的な悪影響を明らかにするために、女性の生殖システムにおけるACE2の分布と機能を報告した文献をレビューしました。ACE2は卵巣、子宮、膣および胎盤に広く発現しています。Ang II、ACE2、Ang-(1-7)は、卵胞の発達と排卵を調節し、黄体の血管新生と変性を調節し、子宮内膜組織と胚の発達の定期的な変化にも影響を与えます。これらの機能を考慮すると、新型コロナウイルスがACE2の調節を通じて女性の生殖機能に影響を及ぼす可能性があるかどうかについて、今後の検討が必要です。
著者名: Jing Y, Run-Qian L, Hao-Ran W, et al.
論文名:Potential influence of COVID-19/ACE2 on the female reproductive system.
雑誌名:Mol Hum Reprod. 2020 May 4. pii: gaaa030. doi: 10.1093/molehr/gaaa030. [Epub ahead of print]
URL:https://academic.oup.com/molehr/advance-article/doi/10.1093/molehr/gaaa030/5828941

5.新型コロナウイルス感染が証明された妊婦から35週2.6㎏、Apgar9/10点で出生した女児例の症例報告です。特に妊娠合併症や基礎疾患のない25歳の母が妊娠第3期に発熱、倦怠感、呼吸障害、肺炎を呈して入院しPCRでSARS-CoV-2陽性。インターフェロン、Lopinavir等の治療を受け、症状発現後7日で帝王切開にて出産しました(陰圧室でスタッフは完全防御態勢をとり、母もN95aマスクを装着し児とは接触なし)。児は一時期CPAP療法を受けた程度の軽度の呼吸障害を示しました。入院中に児の咽頭(1日、7日)および肛門スワブ、血清、気道分泌物、尿(出生後2時間、1日、2日、3日、7日、14日)のPCR検査を施行し全て陰性でした。出生1日目の膣分泌物、羊水、胎盤、臍帯、および14日目までの母の血清、肛門スワブ、母乳のウイルス核酸はすべて陰性でした。フルに検査を施行した本例のように垂直感染は起こりにくいと思われますが母のウイルス量の評価などが不十分で、さらなる研究が必要としています。
著者名:Peng Z, Wang J, Mo Y, et al.
論文名:Unlikely SARS-CoV-2 vertical transmission from mother to child: A case report.
雑誌名:J Infect Public Health. 2020 May;13(5):818-820. doi: 10.1016/j.jiph.2020.04.004. Epub 2020 Apr 11.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1876034120304391?via%3Dihub

6.英国の助産師、小児保健、麻酔科、産科麻酔科からの情報を入れて、産科婦人科医の団体から出された妊産褥婦管理のガイドラインの概要説明です。COVID-19感染が疑われた例での自己隔離、受診回数減、肺塞栓症や精神的ケアなどが重要であるとしています。分娩前は、COVID-19妊婦は症状が消えて14日以降に胎児エコー検査に呼ぶ、妊娠28週以降は全ての妊婦でソーシャルディスタンスをとるべき、分娩中は無症状のパートナーや友人、親戚が産婦を勇気づけ、分娩中は胎児モニタリングを続け、COVID-19感染が疑われる妊産婦のケアにあたるスタッフはPPEを装用、などを挙げています。出産後、現時点では母乳栄養の利益が母子感染リスクを上回っており、COVID-19陽性母と健康新生児の分離は求めない、などとしています。妊娠におけるCOVID-19のエビデンスは限られていますが迅速に解決しつつあるので、ガイドラインも改訂されていく予定で、英国ではCOVID-19感染妊婦の登録制度が3月20日から始まり、Oxford大学は4月24日からCOVID-19が妊娠に与える影響を評価する広範な研究を立ち上げました。
著者名:[No authors listed]
論文名:Covid-19 and pregnancy.
雑誌名:BMJ. 2020 May 4;369:m1672. doi: 10.1136/bmj.m1672.
URL: https://www.bmj.com/content/369/bmj.m1672.long

7.COVID-19流行の比較的初期(3月17日~24日)におけるオーストラリアとニュージーランドの小児科医に対するe-mailリストグループを用いた意識アンケート調査の報告です。542名(実働小児科医の11%)からの回答がありました。36.6%は国の対応を評価し、大多数は各病院の管理上層部は真摯に対応していると評価していました。小児のCOVID-19情報と理解はよくなされていることが示されました。多数(86.1%)の医師が自分自身や家族の感染リスクを感じていますが、感染を避けるために仕事場に来ないとする医師は少数(5.8%)です。23.6%の回答者は、学校や保育所の閉鎖が現在のレベルを維持したままでは、継続勤務できる可能性がすくなくなるとしています。
著者名:Foley DA, Kirk M, Jepp C, et al.
論文名:COVID-19 and paediatric health services: A survey of paediatric physicians in Australia and New Zealand.
雑誌名:J Paediatr Child Health. 2020 May 4. doi: 10.1111/jpc.14903. [Epub ahead of print]
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jpc.14903

8.武漢小児病院におけるCOVID-19症例の血液検査およびCT所見に関する後方視的検討です。76例中リンパ球減少は16%、CRP上昇は8%に認められたのみで、既報の成人COVID-19の血液検査所見とは異なる傾向でした。86%に胸部CTで異常が認められました。すりガラス状陰影が67%、局所的斑状影が37%、両側斑状影が21%に認められ、95%は胸膜下病変を有しました。退院時でも67%の症例はCTで異常所見が残存していました。小児COVID-19症例においても、胸部CTは肺炎の診断に有用でしたが、退院基準に用いることに関しては成人との違いも踏まえて今後検討する必要があるでしょう。
著者名:Ma H, Hu J, Tian J, et al.
論文名:A single-center, retrospective study of COVID-19 features in children: a descriptive investigation.
雑誌名:BMC Med. 2020 May 6;18(1):123. doi: 10.1186/s12916-020-01596-9.
URL: https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-020-01596-9

9.イタリアの単一施設における、COVID-19感染母体から出生した新生児の観察研究です。観察期間中に7名の妊婦でSARS-CoV-2感染が証明されました。1名は妊娠8週で自然流産しました。4名は回復してフォローアップ中です。2名が分娩に至りました。新生児2名とも出生時および生後3日ではウイルス陰性でした。2週間後に1名がウイルス陽性となりましたが、無症状でした。COVID-19母体から出生した新生児は、出生時にウイルス陰性であったとしてもその後に感染するリスクがあるため、長期的フォローアップガイドラインの策定が必要です。
著者名:Buonsenso D, Costa S, Sanguinetti M, et al.
論文名:Neonatal Late Onset Infection with Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2.
雑誌名:Am J Perinatol. 2020 May 2. doi: 10.1055/s-0040-1710541. [Epub ahead of print]
URL: http://www.thieme-connect.com/DOI/DOI?10.1055/s-0040-1710541

10.武漢の単一施設における後方視的検討です。2020年1月15日から3月15日にCOVID-19で入院した妊婦および妊娠可能年齢女性を対象として、臨床経過と予後を比較検討しました。28名の妊婦と54名の非妊婦において、重症度、ウイルス消失時間、入院期間に有意差は認められませんでした。23名の新生児にSARS-CoV-2感染は認められませんでした。
著者名:Qiancheng X, Jian S, Lingling P, et al.
論文名:Coronavirus disease 2019 in pregnancy.
雑誌名:Int J Infect Dis. 2020 Apr 27. pii: S1201-9712(20)30280-0. doi: 10.1016/j.ijid.2020.04.065. [Epub ahead of print]
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7185021/pdf/main.pdf

11.新生児および乳児のCOVID-19に関する知見のレビューです。これまでの最も大規模なCOVID-19症例報告は中国の72,314例ですが、10歳未満は1%で死亡例は報告されていません。なぜ小児が成人に比べてCOVID-19低感受性であるかは明らかではありませんが、ACE2受容体の組織分布やウイルス結合能の相違が関与しているかもしれません。垂直感染や母乳感染リスクは確立されたものではありません。COVID-19感染母体の児から63検体採取され、4検体でウイルス陽性であったと報告されていますが、母乳中にウイルスが証明された報告はありません。帝王切開による分娩が感染リスクを低減させるデータもありません。生後6か月までにCOVID-19が確認された症例で集中治療を要した報告はありませんが、新生児、乳児がハイリスク集団であるかどうかに引き続き注意が必要です。
著者名:De Rose DU, Piersigilli F, Ronchetti MP, et al.
論文名:Novel Coronavirus disease (COVID-19) in newborns and infants: what we know so far.
雑誌名:Ital J Pediatr. 2020 Apr 29;46(1):56. doi: 10.1186/s13052-020-0820-x. Review.
URL: https://ijponline.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13052-020-0820-x

12.中国・武漢の小学生の手指衛生とマスク着用の状況を理解するための記述統計の論文です。ロジスティック回帰分析を用いて、手洗いとマスク着用の行動に影響を与えるリスク要因が特定されました。小学生の42.05%は適切な手洗いの行動を示しました。51.60%の小学生は適切にマスクを着用していました。性別、学年、出生歴、父親の職業、母親の学歴、調査への記入時間は、手指衛生に大きく関連していました。学年、母親の学歴、居住は、マスク着用に関連していました。小学生の手洗いとマスク着用の行動は、性別、学年が友人やその他の要因に影響を与えたため、親は手洗いとマスク着用指導を行う努力を行い、国も適切な指導を行う必要があります。
著者名:Chen X, Ran L, Liu Q, et al.
論文名:Hand Hygiene, Mask-Wearing Behaviors and Its Associated Factors during the COVID-19 Epidemic: A Cross-Sectional Study among Primary School Students in Wuhan, China.
雑誌名:Int J Environ Res Public Health. 2020 Apr 22;17(8). pii: E2893. doi: 10.3390/ijerph17082893.
URL: https://www.mdpi.com/1660-4601/17/8/2893

13.小児のCOVID-19 肺炎における末梢血リンパ球サブセットと血清サイトカインを解析した論文で、RSV感染児が対照となっています。COVID肺炎40例とRSV肺炎16例が比較されています。RSV肺炎例よりCOVID肺炎例がCD3 + 8 +T細胞数および割合が多く、CD19 +B細胞の割合は少なかったとの結果です。血清IL-10レベルはRSV肺炎例で有意に高かったとしています。IL-10の明らかな増加があったCOVID肺炎1例が重度の肺炎でした。CD8 + T細胞応答は、COVID-19肺炎の重症度に影響を与える可能性があります。 IL-10値の推移は、軽症の肺炎症状と相関している可能性があり、細菌の共感染は重症肺炎のリスクとなります。
著者名:Li H, Chen K, Liu M, et al.
論文名:The profile of peripheral blood lymphocyte subsets and serum cytokines in children with 2019 novel coronavirus pneumonia.
雑誌名:J Infect. 2020 Apr 20. pii: S0163-4453(20)30207-3. doi: 10.1016/j.jinf.2020.04.001. [Epub ahead of print]
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7169899/

14.COVID-19に対する治療法の臨床試験は急速に進んでいますが、小児が含まれる試験はほとんどないのが現状です。この論文は、臨床試験における小児試験の位置づけについて欧米の制度をレビューしています。欧米では、この10年間に臨床試験における小児試験の組み入れを目的とした制度が整備されました。米国のPediatric Research Equity Actは、米国食品医薬品局(FDA)に、承認された製品への新しい適応症追加だけでなく、新薬や生物製剤の小児試験を要求しています。さらに、Best Pharmaceuticals for Children Actは、FDAから要求された小児試験を自発的に実施する企業に金銭的インセンティブ(さらに6か月間の市場独占権)を付与し、NIHに小児の主要な治療ニーズを特定するように指示しています。欧州連合では、同様に小児の試験を要求し、試験が完了すると6か月の特許保護の延長を認めています。規制当局、公衆衛生局、治験責任医師および企業は、小児におけるCOVID-19の臨床試験および新製品の市場参入に関する小児のラベル付けを確保するために行動する必要があります。まず、NIHはBest Pharmaceuticals for Children Actに基づく権限を使用して、COVID-19療法を小児研究の優先度の高いものとして指定し、進行中の成人での適応試験でも、すべての年齢を含むように提言を出してほしいとしています。第2に、現在成人のみの試験に青年を登録するよう企業に奨励することに加えて、FDAは法に基づき、進行中の試験に小児と成人を同時に登録することにより、小児試験をタイムリーに開始できるようにする必要があります。 さらにFDAとEuropean Medicines Agencyも非効率と重複を減らすために、小児科の研究要件を調整する必要があります。第3に、研究センターとして多施設試験に参加する機関は、企業と協力して、可能な限り小児患者の登録を擁護する必要があります。第4に、これらの事項は、集団スクリーニングと血清調査、感染性研究、ワクチン試験など、他のCOVID-19研究に小児を含めることの重要性も支持しています。
著者名:Hwang TJ, Randolph AG, Bourgeois FT.
論文名:Inclusion of Children in Clinical Trials of Treatments for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19).
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 May 7. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1888.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2765830?utm_campaign=articlePDF%26utm_medium%3darticlePDFlink%26utm_source%3darticlePDF%26utm_content%3djamapediatrics.2020.1888


【2020年5月7日 掲載】
1.イタリアの小児救急外来でPCRにより診断された小児患者100例のコホート研究です。年齢中央値は3.3歳で、感染源が不明あるいは家族以外であった例は55%を占めていました。重症感のある小児は12%を占め、37.6℃以上の体温を54%に認め、咳を44%に認めました。また摂食不良を23%に認め、多くは21か月以下の乳幼児でした。酸素飽和度が95%未満だった患者は4%で、これらの例は肺病変を認めました。呼吸補助を要した9例のうち6例は基礎疾患のある患者でした。全体として21%は無症状、58%は軽症、19%は中等症、1%は重症(severe)、1%は危篤(critical)でしたが、死亡例はありませんでした。
著者名:Parri N, Lenge M, Buonsenso D;Coronavirus Infection in Pediatric Emergency Departments (CONFIDENCE) Research Group.
論文名:Children with Covid-19 in Pediatric Emergency Departments in Italy [published online ahead of print, 2020 May 1]. 
雑誌名:N Engl J Med. 2020;10.1056/NEJMc2007617. doi:10.1056/NEJMc2007617
URL:https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2007617

2.フランスにおける生後3か月未満児の鼻咽頭SARS-CoV-2 PCR検査陽性5例の報告です。全例が男児で発熱を認めましたが、呼吸器症状を伴わなかったと報告されています。4例に筋緊張低下や、ぐったりし呻吟するなど中枢神経系の異常を示唆する所見がありましたが、髄液所見は正常で髄液のPCRは陰性でした。経過は良好で1–3日で軽快退院し、その後2週間のフォロー中の経過も良好でした。
著者名:Nathan N, Prevost B, Corvol H. Nathan N, et al.
論文名:Atypical presentation of COVID-19 in young infants.
雑誌名:Lancet. 2020 Apr 27:S0140-6736(20)30980-6. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30980-6. Online ahead of print.Lancet. 2020.PMID: 32353326
URL: https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lancet/PIIS0140-6736(20)30980-6.pdf

3.武漢と上海における流行期前後の接触者調査の分析報告です。強力な行動制限を行った結果、日常的な接触機会は7-8分の1に減少し、家庭内接触に限定されました。小児(0-14歳)が感染する割合は成人(15-64歳)と比べて低く(オッズ比0.34, 95%CI 0.24-0.49)、65歳以上の人は成人(15-64歳)と比べて高いことが示されました(オッズ比 1.47, 95%CI: 1.12-1.92). このデータに基づいて、Social distancingと学校閉鎖単独の効果を検討しています。中国で実施したような強力なsocial distancingによりCOVID19の制御が可能であることが確認されました。その一方で、学校閉鎖単独では流行極期のピークを4-6割下げて遅らせる事が可能でしたが感染伝播を制御することは出来ない事が示されました。
著者名:Zhang J, Litvinova M, Liang Y, Wang Y, Wang W, Zhao S, Wu Q, Merler S, Viboud C, Vespignani A, Ajelli M, Yu H.Zhang J, et al.
論文名:Changes in contact patterns shape the dynamics of the COVID-19 outbreak in China.
雑誌名: Science. 2020 Apr 29:eabb8001. doi: 10.1126/science.abb8001. Online ahead of print. Science. 2020.PMID: 32350060
URL:https://science.sciencemag.org/content/early/2020/04/28/science.abb8001/tab-pdf

4.症例報告。米国で川崎病と診断されて入院した6か月女児です。発熱と僅かな気道症状のため、SARS-CoV-2のスクリーニング検査を実施し、陽性となっています。川崎病に対する治療ガイドラインどおりにγグロブリンとアスピリンが投与され、症状は軽快しています。最初の心臓超音波検査は正常で、γグロブリン投与終了から48時間以内に退院し、PCR陽性判明から14日間の自宅隔離が指示されました。有熱乳児に対するSARS-CoV-2検査適応の検討のためにも、小児COVID-19の病像と川崎病との関連性について、さらなる研究が必要です。
著者名:Jones VG, Mills M, Mathew R, et al.
論文名:COVID-19 and Kawasaki Disease: Novel Virus and Novel Case.
雑誌名:Hosp Pediatr. 2020 Apr 7. pii: hpeds.2020-0123. doi: 10.1542/hpeds.2020-0123.
URL:https://hosppeds.aappublications.org/content/hosppeds/early/2020/04/06/hpeds.2020-0123.full.pdf

5.COVID-19流行が先行した中国からは感染妊婦の分娩法として帝王切開が多く選択されたのに対して、経腟分娩も行った場合の出生児へ影響に関するイタリアからの後方視的検討です。SARS-CoV-2が陽性であった妊婦42例中、24例(57.1%)が経腟分娩となりました。妊婦はサージカルマスクが着用され、スタッフは厳重なPPEを装着しました。早産児2名を除いて、出生した児の5分Apgarスコアは7点以上でした。授乳が許可されていた母親10名中、2名の母親は分娩後に感染が判明したため、サージカルマスクを着用せずに授乳されていました。その児1名はSARS-CoV-2が陽性となって、出生後の水平感染が考えられました。経腟分娩で出生して母親から隔離されて授乳はされていない児1名が、出生3日後に呼吸症状を呈してSARS-CoV-2が陽性でした。この児は、分娩時に感染が生じた恐れがあります。ほかの出生児や医療スタッフは、すべて陰性でした。
著者名:Ferrazzi E, Frigerio L, Savasi V, et al.
論文名:Vaginal delivery in SARS-CoV-2 infected pregnant women in Northern Italy: a retrospective analysis.
雑誌名:BJOG. 2020 Apr 27. doi: 10.1111/1471-0528.16278.
URL:https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/1471-0528.16278

6.ドイツ国内の小児透析ユニットにおける院内感染の報告です。48症例(28医療従事者、13患者、7同行者)が調査対象となり、鼻咽頭スワブ検体を用いたsingle-step real-time RT-PCR検査が診断に用いられました。9例の接触者で、COVID-19感染症を発症して検査陽性が確認されました。2例では、SARS-CoV-2陽性であっても不顕性でした。11例ではRT-PCR検査陰性でしたが、感冒様症状を認めました。COVID-19の典型的症状を示している症例では、有意にCt値低値を示し(p=0.007)、より多いウイルス排泄を示唆していました。COVID-19の院内アウトブレイクを防止するためにも、SARS-CoV-2陽性の医療従事者をモニタリングする戦略の必要性が示されました。
著者名:Schwierzeck V, König JC, S.Schwierzeck V, et al.
論文名:First reported nosocomial outbreak of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) in a pediatric dialysis unit.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 27:ciaa491. doi: 10.1093/cid/ciaa491.
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32337584/

7.免疫不全患者におけるCOVID-19の系統的レビューです。文献16件で報告された110例の免疫不全患者をまとめ報告しています。がん患者98名中62 例は集中治療を要せず回復、5例は集中治療後に回復、5例は集中治療後に死亡、22例は詳細不明の死亡例でした。臓器移植後の患者7例中5例は回復し、1例は集中治療を要し、1例は死亡しています。小児患者の報告は少なく、白血病の1例と肝移植後の3例のみでしたが、それぞれ軽症にとどまっています。
著者名:Minotti C, Tirelli F, Barbieri E, Giaquinto C, Donà D.Minotti C, et al.
論文名:How is immunosuppressive status affecting children and adults in SARS-CoV-2 infection? A systematic review.
雑誌名:J Infect. 2020 Apr 23:S0163-4453(20)30237-1.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0163445320302371?via%3Dihub

8.COVID-19流行期における、小児期・思春期の気管支喘息治療についての総説です。成人データでは、気管支喘息はCOVID-19の増悪死亡リスク要因とされていますが、小児では不明です。COVID-19流行期においては、気管支喘息の現行治療を継続し、人との距離を保ち、手洗いを励行し、アレルゲンを避けるようにすべきです。気管支喘息発作悪化時には、経口ステロイドも考慮すべきです。ウイルス伝播の危険性のため、この時期のネブライザー治療は推奨されません。医療従事者は、治療ポリシーや推奨の変更について、注意深くあるべきです。
著者名:Abrams EM, Szefler SJ, Abrams EM, et al.
論文名:Managing Asthma during COVID-19: An Example for Other Chronic Conditions in Children and Adolescents.
雑誌名:J Pediatr. 2020 Apr 21:S0022-3476(20)30528-X. doi: 10.1016/j.jpeds.2020.04.049.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32330469/

9.イタリアにおけるCOVID-19流行期に認められた凍瘡様皮膚病変を認めた症例に関する報告です。イタリアの小児科医と皮膚科医を対象にオンライン調査を行い、5日間で63例の報告を得ています。男女比に差はなく(57.4% 女性、47.6% 男性)、年齢の中央値は14歳(IQR: 12-16)でした。所見は足のみの症例が多く(85.7%)、次いで足と手両方(7%)、手のみ(6%)にみとめられました。54例の写真が確認され31/54 例は浮腫性の紅斑、23/54 例は水疱性病変を認めています。疼痛と掻痒感は それぞれ27%に認められ、両方を訴えたのは20.6%。症状出現から診断まで平均10日で14.3%は反復性であった。消化器症状が11.1%に認められた(症状持続期間中央値: 7 日 IQR 1-9), 呼吸器症状 (7.9%) (症状持続期間中央値: 7日 IQR 3-10), 発熱(4.8%) (症状持続期間中央値: 4日 IQR 3-8,5 )を認めていますが、多くは皮膚症状に先行しています。 COVID-19 の診断検査は11例に行われ2 例のみ陽性で、血清学的な診断は6例中2例で陽性でした。
著者名:Piccolo V, Neri I, Filippeschi C, Oranges T, Argenziano G, Battarra VC, Berti S, Manunza F, Belloni Fortina A, Di Lernia V, Boccaletti V, De Bernardis G, Brunetti B, Mazzatenta C, Bassi A.Piccolo V, et al.
論文名:Chilblain-like lesions during COVID-19 epidemic: a preliminary study on 63 patients.
雑誌名:J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020 Apr 24. doi: 10.1111/jdv.16526. Online ahead of print.J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020.PMID: 32330334
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/jdv.16526

10.新型コロナウイルス流行に際しての、小児の家庭内“監禁”(外出制限)による精神衛生状態に対する影響について、中国湖北省からの報告です。武漢では、2020年1月23日から最長4月8日まで、家への滞在が課せられました。そのうち、計2,330名の小学校2-6年生が調査対象となりました(回答率77%)。制限期間は中央値34日、23%で抑うつ、19%で不安の徴候を示していました。COVID-19流行期に、屋外活動や社会的交流が減少することは、子どもの抑うつ傾向と関連がありました。この研究の限界として、この傾向がどれだけ持続するかが検討されていないことです。今後もフォローアップを継続し、知見をより深めていきます。
著者名:Xie X, Xue Q, Xie X, et al.
論文名:Mental Health Status Among Children in Home Confinement During the Coronavirus Disease 2019 Outbreak in Hubei Province, China.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Apr 24. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1619.
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32329784/

11.世界中のCOVID-19による子どもたちの療育施設が閉鎖されている状況に対する、施設ケア改革に関する国際的な専門家の見解です。施設から家族ベースのケアへの移行が優先事項となりますが、これらの移行は慎重に計画および管理される必要性を強調しています。
 対策として、運用を継続する機関は公衆衛生ガイドラインに従い、身体的距離の確保、感染兆候、適切な衛生対策に関する教育を含んだ、子どもと介護者の安全と保護を確保するために必要なガイダンスとサポートを備えている必要があります。次に、施設を離れた子どもと施設に残っている子どもに関する記録を維持する必要があります。配置を監視するためのシステムを導入する必要があります。必要に応じて、処方された治療法や薬物療法を継続する必要があります。少なくとも電話で定期的に監視できない場合は、子どもたちを施設から解放するべきではありません。最後に、公衆衛生対策が解除された後、これらの子どもたちのケアと保護に関する計画を直ちに開始する必要があります。
 COVID-19の結果として、また貧困、死亡率、健康状態の悪化、家族のストレス、家庭内暴力、その他の理由により、多くの子供たちが家族から見捨てられ、離されたりすることが懸念されます。パンデミックの後には、孤児やホームレスになった子どもを含む子どもたちに対する、家族ベースおよびコミュニティベースのプログラムとサービスのサポートに集中するように要請します。
著者名:Goldman PS, van Ijzendoorn MH, Sonuga-Barke EJS, et al.
論文名:The implications of COVID-19 for the care of children living in residential institutions.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 Apr 21:S2352-4642(20)30130-9. doi: 10.1016/S2352-4642(20)30130-9.
URL:https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30130-9/fulltext

12.2020年4月19日までに検索された周産期領域のCOVID-19に関する論文のシステマティクレビューです。33の論文が選択されて、385名のCOVID-19妊婦と児が報告されています。妊婦のほとんどが軽症で、重症例は3.6%、重篤例は0.8%でした。分娩となった妊婦252名中、69.4%が帝王切開、30.6%が経腟分娩でした。出生した児256名中、早産15.2%、低出生体重7.8%、人工換気療法1.2%、RDS4.7%、肺炎1.2%、DIC1.2%でした。重篤な妊婦から死産児2名、早産児1名が早期新生児死亡でした。PCR陽性であった新生児4名(帝王切開出生)は、すべて軽症で退院できました。母乳栄養の29名が報告され、26例の母乳のPCRはすべて陰性でした。COVID-19の妊婦は非妊娠成人と概ね変わらない症状と重症度であり、母児の予後は悪いものではないと示唆されます。
著者名:Elshafeey F, Magdi R, Hindi N, et al.
論文名:A systematic scoping review of COVID-19 during pregnancy and childbirth.
雑誌名:Int J Gynaecol Obstet. 2020 Apr 24. doi: 10.1002/ijgo.13182.
URL:https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ijgo.13182

13.2020年3月18日までに発表された周産期領域のCOVID-19に関する論文のレビューです。5つの質問を想定して、見解を述べています。
1)妊娠中にSARS-CoV-2は垂直感染を起こすか?
 妊娠後期に垂直感染は生じないか、あっても極めてまれです。胎児奇形、胎児発育不全、初期の胎児死亡や流産、切迫早産の原因となるかは、不明のままです。
2)妊娠は重症SARS-CoV-2感染の危険が高いか?
 妊娠自体がCOVID-19陽性者の重症化因子であるとの結論を出すことはできません。しかし、糖尿病、心不全、高血圧の合併は、非妊娠成人と同様に妊婦にとって危険因子となるかもしれません。
3)COVID-19感染は分娩時の危険を増大させるか?
 胎児ジストレス、羊水混濁、早産、新生児仮死など分娩のリスクや帝王切開の適応を回答するには、まだ情報が少ない状態です。
4)新生児へのCOVID-19感染リスクは?
 情報がまだ十分でないため新生児への感染リスクや重症度について回答することはできません。
5)SARS-CoV-2は母乳によって伝播するか?
 母乳にウイルスが分泌されるかどうか、解析サンプル数が少ないため言及できません。
著者名:Mimouni F, Lakshminrusimha S, Pearlman SA, et al.
論文名:Perinatal aspects on the covid-19 pandemic: a practical resource for perinatal-neonatal specialists.
雑誌名:J Perinatol. 2020 May;40(5):820-826. doi: 10.1038/s41372-020-0665-6.
URL:https://www.nature.com/articles/s41372-020-0665-6


【2020年4月28日 掲載】
1.2019年12月~2020年3月の期間に発表された小児のCOVID-19感染症に関する18の論文のシステマティック・レビューです。中国からの報告が17編、シンガポールからの報告が1編。患者数は1065人(うち0~9歳 444人)。臨床症状は、発熱、乾性咳嗽、全身倦怠感、嘔吐、下痢などの消化器症状が主体で発症後1~2週間以内に改善しています。0~9歳の小児で集中治療を要した症例は、重症肺炎・ショック・急性腎不全の1歳児1例のみで、死亡例はありませんでした。
著者名:Castagnoli R, Votto M, Licari A, et al.
論文名:Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Infection in Children and Adolescents: A Systematic Review.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Apr 22. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1467.
URL: https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2765169

2.中国、武漢における家族内感染に関する検討です。105人の初発患者と392人の患者家族をフォローアップし、家族内感染は16.3%で認められましたが、成人17.1%に比べ、小児は4%と少なかったことが示されています。初発患者の臨床症状や発症から入院までの期間は、2次感染率に影響はありませんでしたが、初発患者が症状出現時から隔離されていた場合(マスクを着用する・食事を一緒にとらない・別室で過ごす)、2次感染者は0%でした。
著者名:Li W, Zhang B, Lu J, et al.
論文名:The characteristics of household transmission of COVID-19.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 17. pii: ciaa450. doi: 10.1093/cid/ciaa450
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa450/5821281

3.香港において、COVID-19感染症流行時の行動変容がCOVID-19とインフルエンザの流行にどのような影響を与えたかを、既存のインフルエンザ様疾患サーベイランスシステムと電話による3回のサーベイ(成人に対する感染症予防対策や行動変容の状況確認)を用いて検討した報告です。COVID-19とインフルエンザの感染力については、日毎の実効再生産数(Rt)から推計しています。学校閉鎖前後で比較すると、COVID-19に関しては、Rt 1前後で推移していました。一方、インフルエンザに関しては、44%低下していました(Rt 1.28→0.77)。電話によるサーベイでは、マスク着用や人込みを避けるなどの対策をとる人が段階的に増えていました。学校閉鎖は、インフルエンザの感染伝播抑制には有効と考えられますが、COVID-19に関しては、現状明確にはなっていません。
著者名:Cowling BJ, Ali ST, Ng TWY, et al.
論文名:Impact assessment of non-pharmaceutical interventions against coronavirus disease 2019 and influenza in Hong Kong: an observational study.
雑誌名:.Lancet Public Health. 2020 Apr 17. pii: S2468-2667(20)30090-6. doi: 10.1016/S2468-2667(20)30090-6.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2468266720300906?via%3Dihub

4.2020年3月16日現在で、世界25か国(日本も含まれる)において、治療中の小児がん患者約10,000人のCOVID-19の頻度と重症度を、インターネットのサーベイランスで明らかにした研究です。約200名にCOVID-19の検査が行われ、9例が陽性。8例が無症状か軽症で、1例は診断のみで精細不明です。今回の報告では、小児がん患者での重症化のリスクは見られませんでしたが、注意は必要と結論づけています。限界としては、調査方法、症例数、施設数など、更なるこの患者層での症例の集積が必要な点が挙げられます。
著者名:Hrusak O, Kalina T, Wolf J, et al.
論文名:Flash survey on severe acute respiratory syndrome coronavirus-2 infections in paediatric patients on anticancer treatment.
雑誌名:Eur J Cancer. 2020 Apr 7;132:11-16. doi: 10.1016/j.ejca.2020.03.021.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959804920301623?via%3Dihub

5.COVID-19の流行する現在における北米小児消化器・肝臓・栄養学会が示した内視鏡検査の指針です。検査は、感染のリスクが高いため、PPEを装着、陰圧室で、空気・飛沫・接触感染対策を行いながら行う必要があります。検査を実施するかは、リスク・ベネフィットをよく考えて実施する必要があります。
著者名:Walsh CM, Fishman DS, et al.
論文名:Pediatric Endoscopy in the Era of Coronavirus Disease 2019: A North American Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology, and Nutrition Position Paper.
雑誌名: J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2020 Apr 14. doi: 10.1097/MPG.0000000000002750.
URL: https://journals.lww.com/jpgn/Abstract/9000/Pediatric_Endoscopy_in_the_Era_of_Coronavirus.96102.aspx

6.COVID-19流行中のNYにおいて、生後25、56日の発熱のみでその他症状を欠く2例の乳児入院例についての症例報告です。侵襲性細菌感染症否定のため各種細菌培養、マルチプレックスPCRによる中枢神経感染症パネル検査も実施、抗菌薬も投与されました。その後の経過は良好で、唯一SARS-CoV-2のみが咽頭から検出されました。流行地域では本症例のような発熱のみの新生児例があることを念頭に診療にあたる必要があることを示しています。
著者名:Paret M, Lighter J, Pellett Madan R, Raabe VN, Shust GF, Ratner AJ.
論文名:SARS-CoV-2 infection (COVID-19) in febrile infants without respiratory distress.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 17. pii: ciaa452. doi: 10.1093/cid/ciaa452.
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa452/5821305

7.北米18施設の小児感染症専門医、薬剤師からの小児COVID-19に対する抗ウイルス療法についてのエキスパートオピニオンです。小児においてはほとんどが軽症例のため、保存的治療のみが推奨されています。ただし、一部の人工呼吸管理を要するような重症例にのみ、個々の症例でリスクべネフィットを勘案して抗ウイルス薬の投与を決定するとしています。さらにもし使用するとすると、現時点ではレムデシベルを第一に推奨し、レムデシベルが使用できない場合はヒドロキシクロロキン使用を推奨しています。ただし、抗ウイルス療法については、臨床試験の枠組みで実施されるのが望ましいとも記されています。
著者名:Chiotos K, Hayes M, Kimberlin DW, et al.
論文名:Multicenter initial guidance on use of antivirals for children with COVID-19/SARS-CoV-2.
雑誌名:J Pediatric Infect Dis Soc. 2020 Apr 22. pii: piaa045. doi: 10.1093/jpids/piaa045.
URL: https://academic.oup.com/jpids/advance-article/doi/10.1093/jpids/piaa045/5823622

8.従来型の4種のコロナウイルス(229E, HKU-1, NL63, OC43)と、新型の3種のコロナウイルス(SARS-CoV, MERS-CoV, SARS-CoV-2)の、小児における感染の違いについて概説しています。ヒトコロナウイルスは呼吸器と消化管に感染し、臨床病型は、上気道炎から気管支炎、肺炎、ARDS、MOFまで幅広い臨床像を示します。一般に、新型のコロナウイルス感染症は、成人に比較すると小児では少なく、症状に乏しく、重症例は少なく、死亡率は低いとされています。予備的な検討では、SARS-CoV-2の小児への感染率は成人と変わりませんが、症候性になることや、重症化することは少ないとされています。SARS-CoV-2の伝搬への小児の関与については不明です。さらに、3種の新型コロナウイルスの小児における感染はほとんどが家庭内の接触感染です。
著者名:Zimmermann P, Curtis N.
論文名:Coronavirus Infections in Children Including COVID-19: An Overview of the Epidemiology, Clinical Features, Diagnosis, Treatment and Prevention Options in Children.
雑誌名:Pediatr Infect Dis J. 2020 May;39(5):355-368. doi: 10.1097/INF.0000000000002660.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7158880/

9.フランスアルプス地域でのCOVID-19の2次感染の報告です。ホテルに滞在していた英国人旅行者が4日間のホテル滞在中に、13名の大人と3名の小児と濃厚接触し、その後、計12名が感染しました(感染率は75%)。感染者の内の1名が9歳の子どもで、ピコルナウイルスとインフルエンザAとの共感染がありました。症状のある間、3つの異なる学校とスキー学校に通いましたが、接触した112名には、感染は認められませんでした。一方で、学校では、インフルエンザは23%、ピコルナウイルスは12%の子どもに感染が広がっており、COVID-19の感染は、他のウイルスと比べて広がりにくく、子どもでの伝播の動態は異なることが示唆されました。
著者名: Danis K, Epaulard O, Benet T, et al.
論文名: Cluster of coronavirus disease 2019 (Covid-19) in the French Alps, 2020
雑誌名: Clin Infect Dis. 2020 Apr 11;ciaa424. doi: 10.1093/cid/ciaa424.
URL: https://academic.oup.com/cid/article-lookup/doi/10.1093/cid/ciaa424


【2020年4月21日 掲載】
1.日齢27のCOVID-19新生児におけるウイルス量の経時的変化の報告です。SARS-CoV-2に感染した新生児の報告は少なく、ウイルス量の変化を経事的に追跡した最初の報告です。児には発熱、頻脈、嘔吐、咳嗽、鼻閉がありましたが、酸素投与の必要はなく、検査所見にも特筆すべきものはありませんでした。鼻咽頭から最も多量のSARS-CoV-2 RNAが検出され、経時的に減少しましたが、便は発症18日以降も高いレベルのウイルス量が持続しました。症状が軽い母親から鼻咽頭、喀痰、便から低量のウイルスが検出されたのに対して、児からはその他に血漿、唾液、尿からも検出されており、新生児ではウイルス感染が全身に渡っている可能性があります。
著者名:Han MS, Seong MW, Heo EY, et al.
論文名:Sequential analysis of viral load in a neonate and her mother infected with SARS-CoV-2.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 16. pii: ciaa447. doi: 10.1093/cid/ciaa447.
URL:https://academic.oup.com/cid/article/doi/10.1093/cid/ciaa447/5820869

2.COVID-19の高リスク者(主に最近リスクの高い国に旅行したかまたは感染者と接触した症状のある人)のSARS-CoV-2検査、さらに公開招待とランダムサンプルのポピュレーションスクリーニングの2段階の疫学調査を行った、全人口の6%を対象としたアイスランドからの報告です。高リスク者で1221人(13.3%)、公開招待で87人(0.8%)、ランダムサンプルで13人(0.6%)がSARS-CoV-2陽性でした。さらに643サンプルを対象にSARS-CoV-2の分子疫学的解析が行われ、渡航先によりハプロタイプが多様で、時間とともに変化していくことも示されています。このアイスランドの人口ベースの研究では、10歳未満の小児と女性は、青年または成人と男性と比較してSARS-CoV-2感染率が低いことが示されています。
著者名:Gudbjartsson DF, Helgason A, Jonsson H, et al.
論文名:Spread of SARS-CoV-2 in the Icelandic Population.
雑誌名:N Engl J Med. 2020 Apr 14. doi: 10.1056/NEJMoa2006100.
URL:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2006100?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed

3.COVID-19の妊婦19人(9人は臨床的に、10人は咽頭のSARS-CoV-2 RT-PCR陽性により診断)から出生した19人の新生児の検討です。18例は帝王切開、1例は経膣分娩で出産。分娩後はすぐに、母親と分離し少なくとも14日間、母子分離を続けられています。新生児の咽頭ぬぐい液、尿、便は、いずれもPCR(-)で、羊水も全てPCR(-)でした。児の血中のウイルス抗体価の測定は行われていませんが、児の感染徴候は認めず、母親の初乳(n=10)もPCR(-)でした。垂直感染があるのかないのかまだはっきりしませんが、これらの結果は垂直感染が発生しない可能性を支持しています。また初乳にもウイルスが検出されないことが再確認されるデータです。
著者名:Liu W, Wang J, Li W, Zhou Z, Liu S, Rong Z.
論文名:Clinical characteristics of 19 neonates born to mothers with COVID-19.
雑誌名:Front Med. 2020 Apr 13. doi: 10.1007/s11684-020-0772-y.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s11684-020-0772-y

4.2020年2月27日に最初のCOVID-19の症例が報告されたCalifornia州Santa Clara地域において、3月5〜14日の間に行った監視サーベイランスの結果の報告です。発熱、咳嗽、息切れなどの症状で外来を受診した患者で、COVID-19であるリスクを持ってない226症例の23%はインフルエンザ検査が陽性でしたが、インフルエンザ陰性患者の11%がSARS-CoV-2 PCR陽性でした。このことはこの地域にはcommunity transmissionがある事を示しています。限定された地域のデータですが、現在の我々の状況を示唆していると思われます。
著者名:Zwald ML, Lin W, Sondermeyer Cooksey GL, et al.
論文名:Rapid Sentinel Surveillance for COVID-19 - Santa Clara County, California, March 2020.
雑誌名:MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020 Apr 10;69(14):419-421. doi: 10.15585/mmwr.mm6914e3.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6914e3.htm?s_cid=mm6914e3_w

5.この論文は小児科領域のものではありませんが、COVID-19から回復した成人患者の血中には、SARS-CoV-2に特異的な中和抗体が誘導されていることを実証した論文です。抗血清(あるいは抗体(単クローン抗体など))が治療薬となる可能性を示していると思います。若年者の中和抗体力価が高齢者と中年の患者よりも有意に低いこと、175人のうち10人が検出可能レベル以下であった点で、小児患者での検討が待たれます。
著者名: Wu F, Wang A, Liu M, et al.
論文名:Neutralizing antibody responses to SARS-CoV-2 in a COVID-19 recovered patient cohort and their implications.
雑誌名:medRxiv. doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.30.20047365
URL:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.30.20047365v1

6.この論文の対象は主に成人ですが、SARS-CoV-2 と他のウイルスが重複感染しているケースがある事が明確に示されています。1206人の患者から得た、1217のサンプルについてSARS-CoV-2と他の呼吸器感染の原因ウイルスの有無を調べ、116サンプル(9.5%)がSARS-CoV-2陽性で、そのうちの20.7%においてSARS-CoV-2以外の一つあるいはそれ以上のウイルスが陽性であったと書かれています。もっとも多かったのはrhinovirus/enterovirusの重複感染(6.9%) 、次がRS virus(5.2%)、SARS-CoV-2以外のコロナウイルス (4.3%)でした。
著者名:Kim D, Quinn J, Pinsky B, et al.
論文名:Rates of co-infection between SARS-CoV-2 and other respiratory pathogens.
雑誌名:JAMA. Published online April 15, 2020. doi:10.1001/jama.2020.6266
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2764787

7.免疫抑制剤が必要なリウマチ性などの免疫疾患患者はCOVID-19の重症化のリスクがあると考えられています。しかし、そもそも小児では重症例が少ないですし、抗リウマチ薬はCOVID-19の治療薬として用いられる可能性があります。いわゆる自己免疫疾患の小児がCOVID-19を罹患しても重篤になるわけではないかもしれないという意見は、免疫不全の患者を診療している小児科医には価値のある情報かもしれません。この論文は各種の抗リウマチ薬ごとに記載された総説です。
著者名:Haşlak F, Yıldız M, Adrovic A, Barut K, Kasapçopur Ö.
論文名:Childhood rheumatic diseases and COVID-19 pandemic: An intriguing linkage and a new horizon.
雑誌名:Balkan Med J. 2020 Apr 8. doi:10.4274/balkanmedj.galenos.2020.2020.4.43.
URL:http://balkanmedicaljournal.org/uploads/pdf/pdf_BMJ_2199.pdf

8.COVID-19の蔓延を防ぐために学校閉鎖がなされていますが、それは、多くの代償を伴います。この論文は学校閉鎖の有用性について、COVID-19による死亡者数と言う観点から論じています。COVID-19の蔓延を抑制するための手段として学校閉鎖を行う事はその他のsocial distanceと比べて効果は低く、その一方で、医療従事者も子供の世話する事を強いられるため、本来の医療の仕事をする時間を減少しなければならなくなると言う事実があります。そのことによる医療資源の損失が、COVID-19による死亡数の増加に繋がる可能性を示しています。学校閉鎖は長期にわたることが問題と思われます。
著者名:Bayham J, Fenichel EP.
論文名:Impact of school closures for COVID-19 on the US health-care workforce and net mortality: a modelling study.
雑誌名:Lancet Public Health. 2020 Apr 3. pii: S2468-2667(20)30082-7. doi: 10.1016/S2468-2667(20)30082-7.
URL:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lanpub/PIIS2468-2667(20)30082-7.pdf

以下は類似のテーマの総説です。
著者名:Viner RM, Russell SJ, Croker H, et al.
論文名:School closure and management practices during coronavirus outbreaks including COVID-19: a rapid systematic review.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 Apr 6. pii: S2352-4642(20)30095-X. doi: 10.1016/S2352-4642(20)30095-X.
URL:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lanchi/PIIS2352-4642(20)30095-X.pdf

9.呼吸器症状を全く認めない乳児COVID-19のNew Yorkからの症例報告です。症例1(生後25日), 症例2(生後56日)の乳児が、それぞれ38.5℃、38.2℃の発熱があり病院を受診。呼吸器症状は認めていません。2例とも各種の病原体検査は陰性で、SARS-CoV-2のPCRのみ陽性と判明しています。症例1の両親は2日前に咽頭痛と発熱を認めたが、病院を受診せず。症例2の両親と兄弟は感染を疑わせる症状も既往歴(含旅行歴)もありませんでした。2症例とも、発熱以外の症状はなく、退院して自宅で様子をみる事となっています。発熱のある乳幼児においては、呼吸器症状がなくともSARS-CoV-2のPCR検査をルーチン検査に組み込むべきであるという議論がなされています。
著者名:Paret M, Lighter J, Pellett Madan R, Raabe VN, Shust GF, Ratner AJ.
論文名:SARS-CoV-2 infection (COVID-19) in febrile infants without respiratory distress.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 17. pii: ciaa452. doi: 10.1093/cid/ciaa452.
URL:https://academic.oup.com/cid/article/doi/10.1093/cid/ciaa452/5821305


【2020年4月15日 掲載】
1.両親がCOVID-19に罹患した入院時無症状で入院2日目に38.5℃の発熱のみがみられた乳児での検討です。入院時の鼻咽頭ぬぐい液のウイルス量は非常に高値でした。環境サンプルでは、幼児の寝具、ベビーベッドレール、1メートル離れた場所にあるテーブルの全てでSARS-CoV-2陽性でした。一方、医療従事者のPPE (フェースシールド, N95 マスク, 防水ガウン) は全てSARS-CoV-2陰性でした。おそらく環境から認められたウイルスは授乳時の哺乳瓶のおしゃぶりなどを介したと考えられるため、呼吸器症状のない児であっても医療従事者の手による間接的な接触が原因で環境汚染が生じることが示されました。
著者名:Yung CF, Kam KQ, Wong MSY, et al.
論文名:Environment and Personal Protective Equipment Tests for SARS-CoV-2 in the Isolation Room of an Infant with Infection
雑誌名:Ann Intern Med. 2020 Apr 1. doi: 10.7326/M20-0942.
U R L:https://annals.org/aim/fullarticle/2764249/environment-personal-protective-equipment-tests-sars-cov-2-isolation-room

2.2020年4月2日までに米国のCOVID-19サーベイランスに報告された検査確定例149,760例のうち、年齢が報告されていた149,082例(99.6%)中2,572 例(1.7%)が18歳未満でした。年齢中央値は11歳(範囲0-17歳)、約1/3は15-17歳 (813; 32%)、次いで10-14歳(682; 27%)が多くを占めていました。臨床所見が報告された症例(11%)について18-64歳のグループと比較すると、発熱、咳、その他全ての症状の発症が低頻度でした。入院例も成人と比較して少なく(5.7%–20%)、ICUへの入室の割合も低率でした(0.58%–2.0%)。小児で入院の頻度が最も高かったのは1歳未満児と基礎疾患を有するグループでした。今回の結果は中国などからの報告と同様で小児例は軽症例が多いことを示唆しています。
著者名:CDC COVID-19 Response Team
論文名:Coronavirus Disease 2019 in Children — United States, February 12–April 2, 2020
雑誌名:MMWR Weekly / April 10, 2020 / 69(14);422–426
U R L:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/pdfs/mm6914e4-H.pdf

3.COVID-19小児例に関する2020年3月12日時点での既報告を、疫学的・臨床的観点からレビューしています。著者らは韓国の研究機関に所属し、韓国では2/19報告の家族内感染による10歳女児が初の小児例で、症状は37.3℃の発熱と軽度の喀痰、第4病日の胸部CTですりガラス状陰影を伴う斑状の結節性浸潤影がありましたが、対症療法で軽快しました。韓国では3/11深夜の時点で国内報告7,755例中、75例(1.0%)が10歳未満、405例(5.2%)が10~19歳で、20歳未満の死亡例はありません。
著者名:Choi SH, Kim HW, Kang JM, et al. 
論文名:Epidemiology and Clinical Features of Coronavirus disease 2019 in Children.
雑誌名:Clin Exp Pediatr. 2020 Apr 6.
U R L:https://www.e-cep.org/upload/pdf/cep-2020-00535.pdf

4.COVID-19を含むコロナウイルスのアウトブレイク時に、学校閉鎖が有効かを考察するシステマティックレビューです。SARSやMERSでの有効性は十分に検証されておらず、COVID-19のモデリング研究で死亡者の減少効果は2~3%で、他のsocial distancingに比べて有効率は高くないこと、保護者の職務継続が困難になること、そして高齢者への感染リスクが増すことなどの問題点が指摘されています。小児のCOVID-19では軽症者や無症候者が多く感染源となるリスクが低い可能性もあり、インフルエンザとは異なる点も述べられています。
著者名:Viner RM, Russell SJ, Croker H, et al.
論文名:School closure and management practices during coronavirus outbreaks including COVID-19: a rapid systematic review.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 Apr 6. doi: 10.1016/S2352-4642(20)30095-X
U R L:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lanchi/PIIS2352-4642(20)30095-X.pdf

5.武漢市の三次医療施設における後方視的な症例対照研究です。COVID-19肺炎妊婦16例、疑い妊婦(CTで典型的肺炎像を示すもSARS-CoV-2陰性)18例、年齢を合わせた肺炎のない対照妊婦(2020年121例、2019年121例)を比較。母体合併症による早産は、それぞれ3例(18.8%)、3例(16.7%)、7例(5.8%)、6例(5.0%)であり、症例で有意に高率でした。症例から生まれた新生児にはSARS-CoV-2感染や重症合併症はみられませんでした。
著者名:Li N, Han L, Peng M, Lv Y, Ouyang Y, Liu K, Yue L, Li Q, Sun G, Chen L, Yang L.
論文名:Maternal and neonatal outcomes of pregnant women with COVID-19 pneumonia: a case-control study.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Mar 30. doi: 10.1093/cid/ciaa352.
U R L:https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa352/5813589

6.マドリードにおけるSARS-CoV-2検査対象者のレジストリーに基づく解析です。小児(18歳未満)365人のうち41例(11.2%)が陽性で、全陽性者に占める割合は0.8%、年齢中央値は1歳(IQR: 0.35-8.3歳)でした。入院例は25例(60%)で、4例(9.7%)がPICUに入室しました。入院率が中国の2.8%より高かった主な理由として、解析対象期間2週間の後半に検査推奨がCOVID-19の症候がある入院児やハイリスクの児のみとなったことによる検査バイアスが挙げられています。
著者名:Tagarro A, Epalza C, Santos M, Sanz-Santaeufemia FJ, Otheo E, Moraleda C, Calvo C.
論文名:Screening and Severity of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in Children in Madrid, Spain.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Apr 8. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1346.
U R L:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2764394

7.COVID-19の疫学的特徴に関するレビューです。小児では、家族内感染が多い、潜伏期が成人よりやや長い、全患者に占める割合が低い(10歳未満、10歳〜20歳未満とも1%)、便中のウイルス排泄が長い傾向がある、垂直感染の直接的証拠はない、などの記載があります。
著者名:Jiatong S, Lanqin L, Wenjun L.
論文名:COVID-19 epidemic: disease characteristics in children.
雑誌名:J Med Virol. 2020 Mar 31. doi: 10.1002/jmv.25807.
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.25807

8.COVID-19罹患妊婦38人とこれらの妊婦から出生した新生児30人に関する中国からの5論文のレビューです。SARSおよびMERSと異なり母体の死亡はみられませんでした。子宮内感染の確定例がみられなかった点はSARSおよびMERSと同様でした。新生児2人で日齢17と生後36時間にそれぞれS ARS-CoV-2陽性が判明していますが、子宮内感染の証拠はなく、出生後の曝露による感染が否定できないとされています。
著者名:Schwartz DA.
論文名:An Analysis of 38 Pregnant Women with COVID-19, Their Newborn Infants, and Maternal-Fetal Transmission of SARS-CoV-2: Maternal Coronavirus Infections and Pregnancy Outcomes.
雑誌名:Arch Pathol Lab Med. 2020 Mar 17. doi: 10.5858/arpa.2020-0901-SA.
U R L:https://www.archivesofpathology.org/doi/pdf/10.5858/arpa.2020-0901-SA


【2020年4月7日 掲載】
1.COVID-19の小児患者3例。症状改善し、2回の咽頭スワブPCR陰性を確認し退院しました。退院10〜13日後のPCRで咽頭スワブは陰性のままでしたが、便は3例とも陽性で再入院しました。症状の再燃や肺画像所見の悪化なく、再入院後10日以内に便PCRも陰性となり退院しました。
著者名:Zhang T, Cui X, Zhao X, et al.
論文名:Detectable SARS-CoV-2 viral RNA in feces of three children during recovery period of COVID-19 pneumonia.
雑誌名:J Med Virol. 2020 Mar 29. doi: 10.1002/jmv.25795.
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.25795

2.ARDS合併成人COVID-19患者5例への血清療法の成績。COVID-19回復期の血清を入院後10-22日の重症例に投与し、4例が投与後3日以内に解熱、全例が12日以内にSOFAスコアやP/F比の改善を認めました。
著者名:Shen C, Wang Z, Zhao F, et al.
論文名:Treatment of 5 critically ill patients with COVID-19 with convalescent plasma.
雑誌名:JAMA. 2020 Mar 27. doi: 10.1001/jama.2020.4783.
U R L:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763983

3.33例のCOVID-19陽性妊婦からの出生児の報告。鼻咽頭・便スワブのPCRは3例が陽性でしたが、生後6-7日で陰性化しました。3例とも肺炎像を認めましたが改善しました。PCR陰性30例には肺炎像を認めませんでした。母体由来のウイルスによるPCR偽陽性の可能性もありますが、垂直感染は除外できません。
著者名:Zeng L, Xia S, Yuan W, et al.
論文名:Neonatal early-onset infection with SARS-CoV-2 in 33 neonates born to mothers with COVID-19 in Wuhan, China.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Mar 26. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.0878.
U R L:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2763787


4.COVID-19疑いの成人(22-88歳)の複数回に及ぶ咽頭スワブPCR検査結果。最終的に241/610(39.5%)が陽性になりましたが、初回検査陽性は168/610(27.5%)に留まりました。また17例では陽性→陰性→陽性という経過を辿りました。
著者名:Li Y, Yao L, Li J, et al.
論文名:Stability issues of RT-PCR testing of SARS-CoV-2 for hospitalized patients clinically diagnosed with COVID-19.
雑誌名:J Med Virol. 2020 Mar 26. doi: 10.1002/jmv.25786.
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jmv.25786

5.COVID-19とH1N1のARDS合併成人例での臨床像の違い。COVID-19群(n=73)において乾性咳嗽、倦怠感、胃腸炎症状、胸部CTでのスリガラス影が有意に多く認められ、死亡率はH1N1群(n=75)が有意に高い結果でした。
著者名:Tang X, Du R, Wang R, et al.
論文名:Comparison of hospitalized patients with acute respiratory distress syndrome caused by COVID-19 and H1N1.
雑誌名:Chest. 2020 Mar 26. pii: S0012-3692(20)30558-4. doi: 10.1016/j.chest.2020.03.032.
U R L:https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S0012369220305584?token=343E6EB164B180AB07CA539A339B0C148B3E54162EB461542249C8BA8E72DD93F2238F3831CD163EC6D21557525588A9


6.SARS-CoV1とSARS-CoV2(COVID-19)におけるエアロゾル、環境条件(プラスチック、ステンレス、銅、段ボール)での安定性の比較。基本的な安定性は両者で同様の傾向で、SARS-CoV2においては感染性のある生きたウイルスはエアロゾルで3時間、銅で4時間、ダンボールで24時間、ステンレスやプラスチックでは72時間に渡り検出されました。
著者名:van Doremalen N, Bushmaker T, Morris DH, et al.
論文名:Aerosol and surface stability of SARS-CoV-2 as compared with SARS-CoV-1.
雑誌名:N Engl J Med. 2020 Mar 17. doi: 10.1056/NEJMc2004973.
U R L:https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMc2004973?articleTools=true


〔2020年3月30日 掲載〕
1.COVID-19の疑いがある小児患者の蘇生の際に、どのようにして医療従事者が自らの感染を防ぐことができるのか、CDCの推奨を元にまとめたものです。
著者名:AHA & AAP.
論文名: Interim Guidance for Healthcare Providers Caring forPediatric Patients. March 23, 2020.(2020年3月28日アクセス)
U R L:https://cpr.heart.org/-/media/cpr-files/resources/covid-19-resources-for-cpr-training/interim-guidance-pediatric-patients-march-27-2020.pdf?la=en&hash=00F501EB7F4B5DA66DCE1CFEFF456DF147C1AE63

2.発症後23日のCOVID-19妊婦が、N95マスク装着状態で予定帝王切開により娩出。5回にわたる児の鼻咽頭スワブは全てPCR陰性でしたが、生後2時間の時点での採血でSARS-CoV-2特異IgMが陽性でした。児は健康な状態で退院しましたが、抗体検査の結果から、妊娠末期に胎内感染した可能性が疑われます。
著者名:Dong L, Tian J, He S, et al.
論文名:Possible vertical transmission of SARS-CoV-2 from an infected mother to her newborn.
雑誌名:JAMA. Published online March 26, 2020. doi:10.1001/jama.2020.4621 
U R L:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763853

3.小児COVID-19症例36人の報告。CTで肺炎像があった19人と無症候性または上気道炎の17人を比較して、前者では有意にリンパ球減少、高体温、プロカルシトニン高値、D-dimer高値、CK-MB高値が見られました。
著者名:Qiu H, Wu J, Hong L, et al.
論文名:Clinical and epidemiological features of 36 children with coronavirus disease 2019 (COVID-19) in Zhejiang, China: an observational cohort study.
雑誌名:Lancet Infect Dis. Published online March 25,2020. 
doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30198-5
U R L:https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(20)30198-5/fulltext?dgcid=raven_jbs_etoc_email

4.小児COVID-19症例25人の報告。年齢別に見ると、3歳未満が比較的症状が重く(10人中重症例2人、軽症肺炎6例、上気道炎2人)、3-6歳で最も軽いことが分かりました(6人中軽症肺炎2人、上気道炎4人)。6-14歳では9人中軽症肺炎7人、上気道炎2人。混合感染としてインフルエンザB型が2人(8%)、マイコプラズマが3人(12%)、細菌が1人(4%)に見られました。
著者名:Zheng F, Liao C, Fan Q, et al.
論文名:Clinical Characteristics of Children with Coronavirus Disease 2019 in Hubei, China
雑誌名:Current Medical Science 2020; 40(2): 1-6.
U R L:https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s11596-020-2172-6.pdf

5.第3三半期にCOVID-19顕性感染(全例胸部CTで両側肺病変あり)を起こした4人の妊婦と出生児の報告です。3人は予定帝王切開、1人は経膣分娩で出産し、妊婦の1人は出産後に呼吸管理を要する呼吸不全に陥りましたが回復しました。児の1人は低アルブミン血症、もう1人は新生児一過性多呼吸を起こしましたが回復しました。3人の児はPCR陰性、もう1人の児は検査されていません。4組の母子は全員健康な状態で退院しています。
著者名:Chen Y, Peng H, Wang L, et al. 
論文名:Infants born to mothers with a new coronavirus (COVID-19).
雑誌名:Front Pediatr. 16 March 2020. 
U R L:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fped.2020.00104/full?utm_source=F-AAE&utm_medium=EMLF&utm_campaign=MRK_1278501_61_Pediat_20200324_arts_A



〔2020年3月24日 掲載〕
1.中国全土の小児例2143例(確定例731例、疑い例1412例)の報告です。重症例(低酸素血症や臓器不全の所見があるもの)の割合は、1歳未満で10.6%、1-5歳で7.3%、6-10歳で4.2%、11-15歳で4.1%、16歳以上で3.0%と低年齢の小児に重症例の割合が多いことが確認されています。ただし、詳細な臨床像の記載はなく、病原体診断についてはSARS-CoV-2未確定のものが含まれ、他の病原体の除外が必ずしもなされていないことに注意が必要です。
著者名:Dong Y, Mo X, Hu Y, et.al.,
論文名:Epidemiological Characteristics of 2143 Pediatric Patients With 2019 Coronavirus Disease in China.
雑誌名:Pediatrics. 2020 Mar 16. pii: e20200702.
U R L:https://pediatrics.aappublications.org/content/pediatrics/early/2020/03/16/peds.2020-0702.full.pdf

2.韓国における流行状況(3月2日時点)の報告です。4212人の患者のうち201人(4.8%)が19歳以下でした。
著者名:Korean Society of Infectious Diseases, et al.
論文名:Report on the Epidemiological Features of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Outbreak in the Republic of Korea from January 19 to March 2, 2020.
雑誌名:J Korean Med Sci. 2020 Mar 16;35(10) : e112
U R L:https://www.jkms.org/Synapse/Data/PDFData/0063JKMS/jkms-35-e112.pdf

3.小児COVID-19患者10例の報告です。重症例はありませんでしたが、8例では鼻咽頭でウイルスが検出されなくなった後も直腸スワブから長期に渡る排出が認められています。ただし便中のウイルスの感染性については不明です。
著者名:Xu Y, Li X, Zhu B, et al.
論文名:Characteristics of pediatric SARS-CoV-2 infection and potential evidence for persistent fecal viral shedding.
雑誌名:Nature Medicine. March 13, 2020.
U R L:https://www.nature.com/articles/s41591-020-0817-4

4.武漢の小児患者6例の詳細な報告です。うち一例はICU管理を要する重症例でした。
著者名:Liu W, Zhang Q, Chen J, et al.
論文名:Detection of Covid-19 in children in early January 2020 in Wuhan, China.
雑誌名:N Engl J Med. March 12, 2020. DOI: 10.1056/NEJMc2003717
U R L:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2003717
https://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMc2003717/suppl_file/nejmc2003717_appendix.pdf

5.小児COVID-19患者20例のCT所見がまとめられています。混合感染が8例(40%)に認められていました。
著者名:Xia W, Shao J, Guo Y, et al.
論文名:Clinical and CT features in pediatric patients with COVID-19 infection: different points from adults.
雑誌名:Pediatric Pulmonology, 2020 Mar 05
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ppul.24718

6.深圳における391人のCOVID-19患者と濃厚接触した1286人の解析です。小児(10歳未満)の感染リスク7.4%は全体の感染リスク7.9%と変わりませんでした。
著者名:Bi QF, Wu YS, Mei SJ, el al.
論文名:Epidemiology and Transmission of COVID-19 in Shenzhen China: Analysis of 391 cases and 1,286 of their close contacts.
U R L:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.03.20028423v1

7.COVID-19と新生児に関するレビュー論文で、新生児科医が知っておくべきこととしてまとめられています。1/20-2/6までに中国では少なくとも230人以上の小児症例が報告されていますが、幸い基礎疾患のない小児は軽症です。約3人の新生児が主に家族のクラスターに関連して見つかっています。症状、治療などがまとめられています。
著者名:Qi Lu, Yuan Shi.
論文名:REVIEW Coronavirus disease (COVID‐19) and neonate: What neonatologist need to know.
雑誌名: J Med Virol. 2020 Mar 1. doi: 10.1002/jmv.25740. [Epub ahead of print]
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jmv.25740

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