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小児の新型コロナウイルス感染症の診療に関連した論文

 小児の新型コロナウイルス感染症の診療に関連した論文を紹介いたします。ご参考にしてください。
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
 
 

【2021年6月22日 掲載】
(Mechanism & Vaccine)
1.反ワクチン感情が強い地域における麻疹のアウトブレイクを管理するにあたって直面する重要な課題について、オーストラリアの公衆衛生専門家の考えを求めた研究です。推奨される予防接種スケジュールに従わない親と養育者に関連する主要な懸念事項を特定するために、政策立案者、感染症専門家、予防接種プログラムのスタッフなどを対象に、麻疹の発生に関する架空の、しかし事実に基づいたシナリオをもとに3ラウンドの修正デルファイ法にて調査を実施し、予防接種率の低い地域での発生に対応するための重要な優先事項を検討しました。最大の懸念事項は「麻疹のアウトブレイクの可能性」で、予防接種未接種者への優先事項は「感染児の隔離」、「ワクチンや隔離の重要性についての教育」など予防接種を反対する集団に対する実際の問題は「不信感」、「ワクチンや病気に対する誤った情報との闘い」です。アウトブレイクの最中に反ワクチン派の人達の考えを変えようと試みることやその人達の子どもへワクチンを接種することは、優先事項とはなりません。専門家がこの集団から必要としていること「連絡先と連絡手段の明確化」、「情報に耳を傾ける意欲」などが挙げられました。この研究の結果は、COVID-19ワクチンの普及に伴い、SARS-CoV-2の集団感染に対する公衆衛生管理を行っていく上で適応できるものです。
筆者名: Robinson P, Wiley K, Degeling C.
論文名:Public health practitioner perspectives on dealing with measles outbreaks if high anti-vaccination sentiment is present
雑誌名:BMC Public Health. 2021.DOI:10.1186/s12889-021-10604-3.
URL: https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/track/pdf/10.1186/s12889-021-10604-3.pdf

2.ドイツにおいて、SARS-CoV-2アウトブレイクを鎮静化するためのパンデミック対策の結果、2020年4月から6月までに成人及び子どもの両方で定期予防接種の予約がキャンセルされました。親の方からキャンセルする心理的背景を検討したところ、ワクチンに対する信頼性、制約、自己満足、計算、集団的責任の要素の中で、信頼性に関連性があることがわかりました。パンデミック対策の緩和後に、キャンセルされた予防接種のキャッチアップがなされていますが、40%はまだ再スケジュールされておらず、その多くは本人・親によってキャンセルされています。したがって、医師は定期的に本人に予防接種を推奨し、この状態を改善させる必要があります。
筆者名: Schmid-Küpke NK, Matysiak-Klose D, Siedler A, et al.
論文名:Cancelled routine vaccination appointments due to COVID-19 pandemic in Germany
雑誌名:Vaccine X. 202.DOI:10.1016/j.jvacx.2021.100094.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2590136221000115?via%3Dihub

3.このレビューでは、COVID-19パンデミック中の小児ワクチン接種行動に対する障壁について分析しました。ワクチン接種の向上はCOVID-19のパンデミックやその他の障壁、つまり、親のワクチンへの躊躇、健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health:SDoH)の不平等などによって妨げられており、ワクチン接種の格差がさらに悪化しています。医療提供者は、ワクチン接種率を高め、親のワクチン忌避に対処するため有効な推奨を提供できる独自の立場にあります。医療提供者の指導、予防接種リマインダーリコールシステム、標準化された安全プロトコル(物理的距離、手指衛生慣行など)の順守を組み込んだベストプラクティス、および遠隔医療と屋外/ドライブスルー/カーブサイド(出前)での予防接種サービスを提供することなどが求められます。さらに、公衆衛生監視システムを利用してデータを収集・分析・解釈し、それによって、ワクチンの配布などの効果的な健康政策の意思決定のためのタイムリーで正確な健康情報の普及を確保するために、一丸となって努力すべきです。
筆者名:Olusanya OA, Bednarczyk RA, Davis RL, et al
論文名:Addressing Parental Vaccine Hesitancy and Other Barriers to Childhood/Adolescent Vaccination Uptake During the Coronavirus (COVID-19) Pandemic.
雑誌名:Front Immunol. 2021 Mar 18.DOI:10.3389/fimmu.2021.663074
URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2021.663074/full

4.Pfizer-BioNTech covid-19ワクチンは、第III相試験の予備結果で、12~15歳のSARS-CoV-2に対して100%の有効性を示しました。この第III相試験には、米国の2,260人の小児が含まれていました。プラセボ群(n=1,129)では合計18例のcovid-19が観察されましたが、ワクチン接種群(n=1,131)では報告されませんでした。ワクチンはまた、強力な抗体反応を誘発し、忍容性が高く、副作用は16〜25歳の参加者で観察されたものと一致していました。ファイザーは、ピアレビューと公開のためにデータを提出し、試験参加者は、長期的な保護と安全性を判断するために2年間監視されます。6ヶ月から11歳の小児を対象としたワクチン試験も開始され、健康な小児に先週最初のワクチンが接種されました。この研究では、5~11歳、2~5歳、および6か月〜2歳の3つの年齢グループで、ワクチンの安全性、忍容性および免疫原性(2回投与、21日間隔)を評価します。
筆者名:Mahase E.
論文名:Covid-19: Pfizer reports 100% vaccine efficacy in children aged 12 to 15.
雑誌名:BMJ.2021.DOI:https://doi.org/10.1136/bmj.n88
URL:https://doi.org/10.1136/bmj.n881

5.イタリアがロックダウン中であった2020年4月28日~6月8日にイタリア小児科学会によってデジタルプラットフォームを用いて、0~11歳の子どもを持つ家族を対象として行われた子どもの予防接種状況に関する調査です。1,474人から回答が得られ、3分の1以上(34%)が実際に予防接種の予約をキャンセルしていました。その理由は、SARS-CoV-2に対する恐れ(44%)、ワクチン提供側による予約の延期(42%)または中止(13%)でした。更に調査対象の46%が国および地方からの感染予防に関する情報不足を指摘しました。ワクチン忌避を回避し、COVID-19パンデミック期間中に適切な予防接種率を維持するためには、国および地方からの感染予防に関する情報を家族に周知する必要があります。
筆者名: Russo R, Bozzola E, Palma P, et al.
論文名:Pediatric routine vaccinations in the COVID 19 lockdown period: the survey of the Italian Pediatric Society.
雑誌名:Ital J Pediatr.2021.DOI:10.1186/s13052-021-01023-6
URL: https://ijponline.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13052-021-01023-6

6.ニューヨークの単施設において2020年4月9日~8月31日の間に1~102歳の合計31,426例を対象としてSARS-CoV-2抗体の半定量結果と年齢の関連を調査しました。小児 (1-18歳) 1,194例の197例 [16.5%; 95%CI, 14.4%-18.7%],成人30,232例 (19歳以上) の5,630例 [18.6%; 95%CI, 18.2%-19.1%]が抗体陽性であり、両者の陽性率に差はありませんでした。IgGレベルは、小児年齢においては負の相関を示し(r = -0.45、P <.001)、逆に成人年齢においては中程度ですが正の相関を示しました(r = 0.24、P <.001)。この研究の結果は, SARS-CoV-2特異抗体応答が各年齢層で異なることを示唆しています。疾患のスクリーニングと管理およびワクチン開発のためには、年齢を考慮した戦略が必要かも知れません。
筆者名: Yang HS, Costa V, Racine-Brzostek SE, et al.
論文名:Association of Age With SARS-CoV-2 Antibody Response.
雑誌名:JAMA Netw Open. 2021. DOI:10.1001/jamanetworkopen.2021.4302.
URL: https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2777743

(Diagnosis)
1.新型コロナウイルス迅速抗原検査に関する報告です。唾液検体によるPCR法(Curative Labs)と鼻腔検体による抗原迅速検査(BinaxNOW:アボット)を行い、陽性一致率は56.2% (127/226, 95%CI 49.5-62.8%)、無症候性の小児より症候性の小児の方が高く(64.4% vs 51.1%)、Ct値と逆相関しました。迅速抗原検査は感染力のある小児に対して有用であり、感度の限られた感染早期の反復使用に有用であると結論されていました。
著者名:Sood N, Shetgiri R, Rodriguez A, et al.
論文名:Evaluation of the Abbott BinaxNOW rapid antigen test for SARS-CoV-2 infection in children: implications for screening in in school setting.
雑誌名:PLoS One.2021. DOI:10.1371/journal.pone.0249710.
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0249710

2.成人及び小児において、RT-PCRによるSARS-CoV-2検出における唾液検体の有効性に関する研究です。唾液の採取は非侵襲的で、集団検査や家庭での検査に適しているため、鼻咽頭スワブ(NPS)の代替として役立つ可能性があります。成人1,100人と小児170人を対象に、唾液とNPSにおけるRT-PCRによるSARS-CoV-2検出の大規模な比較試験が実施されました。273人がNPSまたは唾液のいずれかで検査陽性でした。2つの検体の一致率は97.8%と高く、唾液での検出はNPSと比較して良好でした。小児では、NPSよりも唾液で検出されることが多く(陽性予測値= 84.8%)、小児ではNPSサンプリングが困難な場合があることが強調されました。唾液はSARS-CoV-2検出に信頼できる検体であり、小児の検査に利点があり、反復検査および大量検査の増加と促進に適用できると報告されました。
著者名:Huber M, Schreiber PW, Scheier T, et al.
論文名:High efficacy of saliva in detecting SARS-CoV-2 by RT-PCR in adults and children.
雑誌名:Microorganisms.2021.DOI:10.3390/microorganisms9030642.
URL:https://www.mdpi.com/2076-2607/9/3/642

(Transmission)
1.2020年6月に学校が部分再開された英国の小学校における、SARS-CoV-2感染に関する前方視的なアクティブサーベイランスの成績です。鼻腔ぬぐい液を用いたRT-qPCRの結果、6月~7月中旬における週毎の感染率は生徒、職員それぞれ10万人あたり4.1、12.5でした。調査開始時の抗体陽性率は生徒11.2%、職員15.1%であり、地域の抗体陽性率と同等でした。9月に学校が完全再開された後、12月までに抗体陽転したのは生徒19名(5.6%)、職員36名(4.8%)であり、小学校での感染率の低いことが示されました。
著者名:Ladhani SN, Baawuah F, Beckmann J, et al
論文名:SARS-CoV-2 infection and transmission in primary schools in England in June-December, 2020 (sKIDs): an active, prospective surveillance study
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2021.DOI:10.1016/S2352-4642(21)00061-4.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352464221000614?via%3Dihub

2.チューリッヒ(スイス)のCOVID-19第2波期間中に小・中学校において無症候病原体保有者や症状の乏しいCOVID-19陽性者を探知し、学校内の感染拡大の状況を把握できるサーベイランスの構築を試みた研究です。2020年12月1日から11日の間にランダムに選択された14校からさらにランダムに選ばれたクラスにおいて1週間間隔で2回の口腔スワブによるPCRと迅速診断検査を用いたSARS-CoV-2の陽性率を調査し、質問票により検査前5日間の症状について情報収集が行われました。6~16歳までの641人と66人の先生が最低1回の検査を受け、検査前5日間の間に35%の生徒と8%の先生が軽度症状を有していました。PCR1回目は1名の生徒が陽性で有病率が0.2% (95% CI 0.0–1.1%)、2回目は全員陰性となりました。迅速診断検査では1回目陽性の生徒の結果が陰性、その他偽陽性例が9例となりました(検体を追加採取してPCRで確認しています)。以上より、地域でSARS-CoV-2感染が流行していても学校における感染拡大のリスクは低く、学校においては有症状者は自宅で待機し、陽性者が発生した場合は濃厚接触者をしっかりと追跡し隔離するとともに可能な限りの感染予防策の実施で対応することで十分であると結論付けています。また迅速診断検査の学校における導入も感度などさらに詳しく調査をする必要があると述べています。
著者名:Kriemler S, Ulyte A, Ammann P, et al.
論文名:Surveillance of acute SARS-CoV-2 infections in school children and point-prevalence during a time of high community transmission in Switzerland
雑誌名:Frontiers in Pediatrics.2021.DOI:10.3389/fped.2021.645577
URL: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fped.2021.645577/full

3.COVID-19パンデミック時の妊婦と児のアウトカムをシステマティックレビューとメタ解析で調べた研究です。2020年1月から2021年1月までの論文を調べ、40の論文を検討しました。その結果、COVID-19の影響によって、死産、母親の死亡率、外科的に治療された子宮外妊娠、母親のうつの罹患が高まったことが分かりました。一方で、早産率は全体では変化はありませんでしたが、先進国では減少していました。これらの結果から、COVID-19の妊婦と児に対する影響は大きく、早急の対応が必要であると結論づけています。
著者名:Chmielewska B, Barratt I, Townsend R, et al.
論文名:Effects of the COVID-19 pandemic on maternal and perinatal outcomes: a systematic review and meta-analysis
雑誌名:Lancet Glob Health. 2021.DOI:10.1016/S2214-109X(21)00079-6
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8012052/

4.家庭内二次感染率について調査したオランダの成績です。実験室診断されたSARS-CoV-2陽性患者に対して、4~6週間に少なくとも3回の家庭訪問が行われ、家族からの検体採取と症状について調査しました。55家族187名のうち、17家族は家庭内感染を認めず、11家族は全員が感染しました。家庭内の推定二次感染率は35~51%と高率でしたが、小児は青年および成人よりも低い(0.67;95%CI:0.40-1.1)ことが示されました。
著者名:Reukers DFM, Boven M, Meijer A, et al.
論文名;High infection secondary attack rates of SARS-CoV-2 in Dutch households revealed by dense sampling
雑誌名:Clin Infect Dis.2021.DOI:10.1093/cid/ciab237.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8083540/pdf/ciab237.pdf

5.2020年3月から12月にカナダマニトバ州において発生した成人と小児のCOVID-19陽性者の鼻咽頭検体を用いて細胞培養におけるウイルス増殖能、SARS-CoV-2のE遺伝子領域のRT-PCRから得られたCt値、TCID50/mLを測定し両者の結果を比較した研究です。研究対象は10歳未満(小児層)が97例、11~17歳(青年層)が78例、130例が18歳以上の成人(成人層)でした。ウイルス分離は小児層では18例(19%)、青年層では18例(23%)で認めたのに対し、成人層では57(44%)に認められました。Ct値は成人層の検体が小児、青年層と比較し有意に低く、TCID50/mLは青年層が成人層と比較し有意に低いという結果になりました。以上より小児、青年層はSARS-CoV-2ウイルス感染伝播の中心的な役割を果たしているとは言えないと結論付けています。
著者名: Bullard J, Funk D, Dust K, et al.
論文名: Infectivity of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 in children compared with adults
雑誌名: CMAJ.2021.DOI:10.1503/cmaj.210263
URL: https://www.cmaj.ca/content/193/17/E601.long

6.2021年12月1日から1月22日まで、米国ジョージア州の公立学校でCOVID-19の集団感染の報告です。86名の最初の感染者と1,119名の接触者が見つかり、接触者の63%が検査を受けました。その内、59 名(8.7%) が陽性で、15名 (17.4%)の最初の感染者が2名以上に感染を広げていました。症状の分かった55名の内、 31名 (56.4%) は症状がありませんでした。感染のリスクは、室内での接触の多いスポーツ、職員の会合・ランチ、教室内などがあげられました。学校の職員、有症状者が感染させるリスクが高かったです。これらのリスクを避けることが学校での感染を防ぐ上で重要です。
著者名: Gettings JR, Gold JAW, Kimball A, et al.
論文名: SARS-CoV-2 transmission in a Georgia school district — United States, December 2020–January 2021
雑誌名:Clin Infect Dis. 2021.DOI:10.1093/cid/ciab332.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33864375/

(Treatment)
1.小児のCOVID-19患者の重症度と血液中のVitamin Dの値を比較したトルコの1医療機関からの報告です。103人のSARS-CoV-2 PCR陽性の小児(1~17歳 平均12.2歳)を対象に、25 OH Vitamin Dを測定しました。Vitamin D欠乏と診断された小児は、無症状者、軽症者、中等症~重症者の小児の中で、それぞれ、17.2%、35.4%、70.6%を占めており、中等症~重症者で多く認められました。Vitamin Dの値は、リンパ球数と正の相関を認め、年齢、CRP値、fibrinogenの値と負の相関を認めました。この結果から、思春期の年齢層に対して、Vitamin Dの予防投与は、COVID-19感染症の重症化予防に勧められるのではないかと考えられました。
著者名:Bayramoğlu E, Akkoç G, Ağbaş A, et al.
論文名:The association between vitamin D levels and the clinical severity and inflammation markers in pediatric COVID-19 patients: single-center experience from a pandemic hospital.
雑誌名:Eur J Pediatr. 2021.DOI:10.1007/s00431-021-04030-1.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s00431-021-04030-1

(小児多系統炎症性症候群(Multisystem Inflammatory syndrome in children:MIS-C)と小児炎症性多系統症候群(Pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS))
1.MIS-CとCOVID-19における炎症マーカーについてのシステマティックレビューとメタ解析の結果です。21研究の1,735人(787人MIS-C)を対象としました。MIS-Cは非重症COVID-19と比較して、リンパ球絶対数が低く、好中球絶対数(ANC)、CRP、Dダイマーが高値でした。重症COVID-19との比較では、LDHと血小板数が低値、ESRが高値でした。重症と非重症MIS-Cの比較では、前者がWBC、ANC、CRP、Dダイマー、フェリチンが高値を示しました。MIS-C患者においては、0~5歳群が他の年齢群よりCRPおよびフェリチンが低値でした。これらの炎症マーカーの測定はMIS-Cの診断の助けとなるかもしれません。
著者名:Zhao Y, Yin L, Patel J, et al.
論文名:The inflammatory markers of multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) and adolescents associated with COVID-19: A meta-analysis
雑誌名:J Med Virol.2021.DOI:10.1002/jmv.26951.
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jmv.26951

2.米国におけるMIS-CとCOVID-19に関する横断的研究です。2020年3月から2021年1までに発症したMIS-Cの定義に合致する症例の臨床及び検査所見と、MIS-CとCOVID-19との地理的・時間的関連を検討しています。1,733例がMIS-Cと診断され、1,117例(71.3%)がヒスパニックかヒスパニック以外の黒人でした。年齢の中間値(四分位)は9(5-13)歳でした。994例(57.6%)が男性ですが、男女比は0-4歳では概ね1:1で、年齢とともに増加し、18~20歳では2:1でした。937例(54%)に低血圧あるいはショックがあり、1,009例(58.2%)がICUに入室しています。心機能障害が484例(31.0%)、心嚢液貯留が365例(23.4%)、心筋炎が300例(17.3%)、冠動脈拡張あるいは動脈瘤が258例(16.5%)に認められました。最初の2回のMIS-Cのピークは、COVID-19のピークの2~5週後に認められました。MIS-Cの累積発生率は、21歳未満人口10万対2.1でしたが、州により0.2~6.3と変動がみられました。24例(1.4%)が死亡しています。MIS-CとCOVID-19の地理的・時間的関連から、MIS-CはSARS-CoV-2感染症に対する遅延型免疫反応の結果と考えられます。
著者名:Belay ED, Abrams J, Oster ME, et al.
論文名:Trends in geographic and temporal distribution of US Children with multisystem inflammatory syndrome during the COVID-19 pandemic
雑誌名:JAMA Pediatr.2021.DOI:10.1001/jamapediatrics.2021.0630.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33821923/

3.MIS-Cの臨床病態についての報告です。10例のCOVID-19症例と9例のMIS-C症例について、リンパ球と樹状細胞サブセット、ケモカイン/サイトカインプロファイル、好中球活性化因子、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、反応性酸素種について検討しています。MIS-CはCOVID-19に比較して、血漿のCRP、MPO、IL-6、ケモカイン(CXCL8、CCL2)が高値でした。加えて、主にIFNγにより誘導されるCXCL9やCXCL10などのケモカインも高値でした。一方、血漿IFN-αはCOVID-19では検出されましたが、MIS-Cでは検出されませんでした。また、ISG15及びIFIT1mRNAはCOVID-19患者由来細胞では増加していましたが、MIS-C患者では健康小児と同等でした。IFN-αの主な供給元である形質細胞様樹状細胞の数は、MIS-Cでは高度に減少していました。以上、COVID-19では最近のウイルス感染の関与が疑われる1型IFNの活性化を示唆する免疫反応が、MIS-Cでは炎症性サイトカインの上昇やTh1活性化を示す免疫反応が特徴的でした。
著者名:Caldarale F, Giacomelli M, Garrafa E, et al.
論文名:Plasmacytoid dendritic cells depletion and elevation of IFN-γ dependent chemokines CXCL9 and CXCL10 in children with multisystem inflammatory syndrome
雑誌名:Front Immunol.2021.DOI:10.3389/fimmu.2021.654587.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33841438/

4.ロンドンの小児病院で2020年3月から6月の間に診療を受けた、18歳未満の小児多系統炎症性症候群(PIMS-TS)症例75例のうち、神経学的合併症を伴った9例(12%)とそれ以外の66例を後方視的に比較解析した報告です。9例中1例は広範囲に及ぶ脳梗塞に伴い死亡し、1例は片麻痺、3例は性格変化の後遺症を残しましたが、4例は後遺症なく改善しました。2群間の患者背景には有意な差はありませんでしたが、神経学的後遺症を伴った症例も伴わなかった症例同様、黒人、アジア人とマイノリティ、肥満がリスク因子でした。注目すべき点は、神経学的合併症を伴った症例は伴わなかった症例に比べCRP、プロカルシトニン、D-ダイマー値が高値で、さらに神経学的後遺症を残した症例は後遺症のなかった症例に比し、フェリチン、D-ダイマー値が高値でした。
著者名:Sa M, Mirza L, Carter M, et al.
論文名:Systemic inflammation is associated with neurologic involvement in pediatric inflammatory multisystem syndrome associated with SARS-CoV-2
雑誌名:Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm.2021. DOI:10.1212/NXI.0000000000000999.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33850037/

5.MIS-Cに関するレビュー論文です。小児では通常軽症な急性COVID-19感染と対照的に、MIS-C患者の68%は集中治療が必要です。心筋炎と冠動脈拡張/瘤が、MIS-Cの主な心血管合併症です。心エコー検査は心機能と冠動脈の評価、心臓MRI検査は心臓の浮腫/線維化など心筋炎の所見、心筋血流、回復期の冠動脈所見を評価できます。MIS-Cでの脳合併症は心臓と比較して頻度は低いですが、しばしば認めます。脳MRI検査で、T2強調画像による高信号病変(拡散強調画像では抑制効果)、両側視床病変などが認められます。
著者名:Mavrogeni SI, Kolovou G, Tsirimpis V, et al.
論文名:The importance of heart and brain imaging in children and adolescents with multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C).
雑誌名:Rheumatol Int.2021.DOI:10.1007/s00296-021-04845-z.
URLhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8052538/pdf/296_2021_Article_4845.pdf

6.川崎病ショック症候群(Kawasaki disease shock syndrome, KDSS)とMIS-Cについて、患者背景、臨床症状、治療、および冠動脈病変を含む予後に関するデータを後方視的に解析した論文です。国内の単一施設において2015年から2020年の間に治療を受けた川崎病552人のうち、KDSSは6人(1.1%)でした(うち2020年の発症は1人)。国内外の患者をレビューした結果、KDSSはMIS-C と比較してKDの診断基準を満たす頻度が高く(70対6.3%)、冠動脈病変の発生率が高い(65対11%)という結果で、循環ショックのために血管作動アゴニストがより高頻度に使用されました。KDSSとMIS-Cの予後は、ともに比較的良好(致命率6.7対1.7%)でした。KDSSとMIS-Cに類似する点はありますが、異なる疾患と考えられます。
著者名:Suzuki J, Abe K, Matsui T, et al.
論文名:Kawasaki disease shock syndrome in Japan and comparison with multisystem inflammatory syndrome in children in European countries.
雑誌名:Front Pediatr.2021.DOI:10.3389/fped.2021.625456.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33816399/

(School closure)
1.COVID-19アウトブレイクによる学校閉鎖期間中において青年期の若者に生じた学習上の問題やうつ症状を解析した中国からの論文です。2020年4月から5月にかけてオンラインを用いて中学生と高校生の6,435人を調査しています。うつ症状は17.7%に認められ、より強いうつ症状と学習上の問題が関連していました。両親との良好な関係はそれらの関連を改善させる効果を有していました。生徒の学習習慣を整え、親子関係を改善させることでうつ病発症を予防できることが示唆されました。
筆者名:Wang J, Wang H, Lin H, et al.
論文名:Study problems and depressive symptoms in adolescents during the COVID-19 outbreak: poor parent-child relationship as a vulnerability.
雑誌名:Global Health.2021.DOI:10.1186/s12992-021-00693-5.
URL:https://globalizationandhealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12992-021-00693-5

2.ロックダウンと学校再開が小児のSARS-CoV-2感染や他の呼吸器感染に与える影響を解析したフィンランドからの報告です。ロックダウンによりSARS-CoV-2以外の呼吸器病原体の頻度は2週間後より低下し、SARS-CoV-2は8週間後より低下しました。その効果は晩夏まで続きました。学校やデイケアの再開がなされる前の8月より、ライノウイルスとSARS-CoV-2の増加が認められました。学校再開により病原体の頻度はすぐには影響を受けないようでした。ソーシャルディスタンスをとることが感染を予防することに極めて重要であることが示唆されました。
筆者名:Haapanen M, Renko M, Artama M, et al.
論文名:The impact of the lockdown and the re-opening of schools and day cares on the epidemiology of SARS-CoV-2 and other respiratory infections in children - A nationwide register study in Finland.
雑誌名:EClinicalMedicine.2021.DOI:10.1016/j.eclinm.2021.100807.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589537021000870?via%3Dihub

3. ギリシャにおける397人の小児/青年とその親を対象とした2020年4~5月に実施されたオンライン調査の報告です。ロックダウン中に、小児/青年の睡眠時間と視聴時間が増加し、身体活動が減少したことが示されました。果物やフレッシュフルーツジュース、野菜、乳製品、パスタ、お菓子、総スナック、朝食の消費量は増加しましたが、ファーストフードの消費量は減少しました。小児/青年の35%で体重が増加しました。重回帰分析により、体重の増加は朝食、塩味のスナック、および総スナックの消費の増加と身体活動の減少に関連していることが示されました。
筆者名:Androutsos O, Perperidi M, Georgiou C, et al.
論文名:Lifestyle changes and determinants of children's and adolescents' body weight increase during the first COVID-19 lockdown in Greece: The COV-EAT study.
雑誌名:Nutrients. 2021.DOI:10.3390/nu13030930.
URL:https://www.mdpi.com/2072-6643/13/3/930/htm

4.全国的な学校閉鎖(2020年3月から5月)とソーシャルディスタンスが、日本の主要な小児感染症の入院患者数に及ぼした影響を評価するために、2018年7月から2020年6月までのDPCデータを使用して、15歳以下の上気道感染症、下気道感染症、インフルエンザ、胃腸感染症、虫垂炎、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症ために入院した患者が解析されました。210病院の合計75,053人の患者が含まれました。2020年3月、4月、5月の最終週の入院患者数は、前年比でそれぞれ52.5%、77.4%、83.4%減少しました。上気道感染症、下気道感染症、胃腸感染症の入院患者数の著しい減少が観察されましたが、他の疾患グループでは比較的軽度の変化に留まりました。
筆者名:Kishimoto K, Bun S, Shin JH, et al.
論文名:Early impact of school closure and social distancing for COVID-19 on the number of inpatients with childhood non-COVID-19 acute infections in Japan.
雑誌名:Eur J Pediatr.2021. DOI:10.1007/s00431-021-04043-w.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s00431-021-04043-w

5.COVID-19蔓延防止目的で行われた学校閉鎖が、子供たちの精神的健康に与えた影響を調べた日本の栃木県からの報告です。予約外来を受診した9歳以上の小中学生で、学校閉鎖中の群(78人)と学校再開後の群(113人)各々に、WHO Five Well-being Indexの設問に回答してもらい結果を比較しました。合計点では2群間に有意差ありませんでしたが、閉鎖群では睡眠や家族と過ごす時間は増加しましたが、睡眠リズム・食習慣・身体活動が乱れていました。全体として精神的健康に問題のある子供の数に変化ありませんでした。
筆者名:Saito M, Kikuchi Y, Kawarai A, et al.
論文名:Mental health in Japanese children during school closures due to the COVID-19.
雑誌名:Pediatr Int.2021. DOI:10.1111/ped.14718.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ped.14718


 

【2021年6月4日 掲載】
(Mechanism & Vaccine)
1.抗SARS-CoV-2自然感染抗体、ワクチン誘導抗体からのエスケープ変異株の報告です。SARS-CoV-2スパイク蛋白の変異株は、英国B.1.1.7、南アフリカB.1.351、ブラジルP.1があります。自然感染後の回復期とワクチン後の血清を用いて、南アフリカB.1.351(K417N、E484R、N501Y)の構造機能解析を行い、E484K変異による中和活性の減弱を認めました。
著者名:Zhou D, Dejnirattisai W, Supasa P, et al.
論文名:Evidence of escape of SARS-CoV-2 variant B.1.351 from natural and vaccine-induced sera.
雑誌名:Cell. 2021.DOI:10.1016/j.cell.2021.02.037.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867421002269?via%3Dihub

2.ドイツのテュービンゲン大学病院Clinical Collaboration Unit Translational Immunologyで実施された51人のSARS-CoV-2感染後の回復期成人についての研究です。この研究では、感染後6か月までのSARS-CoV-2抗体とT細胞応答が調査されました。スパイクに対する特異的IgG抗体とIgA抗体は回復期に減衰しましたが、ヌクレオカプシドに対する特異的抗体反応は変化しませんでした。対照的に、機能的T細胞応答は安定で増強していました。抗ヌクレオカプシド抗体価は、感染後の症状の高い有病率と関連していましたが、T細胞応答については、感染後の症状とは関連していませんでした。SARS-CoV-2に対する長期のT細胞応答に関与するT細胞エピトープ、特に回復期の個人で持続的なT細胞応答を媒介する7つの優勢なHLA-DR制限ペプチドが同定されました。これはCOVID-19ワクチンの設計の基本となる可能性があります。
著者名:Bilich T, Nelde A, Heitmann JS, et al.
論文名:T cell and antibody kinetics delineate SARS-CoV-2 peptides mediating long-term immune responses in COVID-19 convalescent individuals.
雑誌名:Sci Transl Med.2021.DOI:10.1126/scitranslmed.abf7517.
URL:https://stm.sciencemag.org/content/early/2021/03/12/scitranslmed.abf7517

3.新型コロナワクチン(ファイザー社)を2回接種した人の血清を用いて、英国型(B.1.1.7)変異を人工的に導入したウイルスに対する中和活性を測定した報告です。変異により中和活性が1/1.9に低下しました。更にE484K変異を導入すると中和活性は1/6.7に低下しました。E484K変異は南アフリカ型、ブラジル型の変異ウイルスにみられるため注意が必要です。
著者名:Collier DA, De Marco A, Ferreira IATM, et al.
論文名:Sensitivity of SARS-CoV-2 B.1.1.7 to mRNA vaccine-elicited antibodies.
雑誌名:Nature.2021. DOI:10.1038/s41586-021-03412-7.
URL:https://www.nature.com/articles/s41586-021-03412-7

4.SARS-CoV-2感染後6か月の100人のドナーでSARS-CoV-2特異的T細胞応答を分析した報告です。 T細胞応答は、すべてのドナーで強力なIL-2サイトカイン発現を伴う優勢なCD4 + T細胞応答が特徴的でした。 T細胞応答の中央値は、症候性感染を経験したドナーで50%高く、一次感染の重症度は細胞性免疫と相関していました。スパイクおよび核タンパク質/膜タンパク質に対するT細胞の応答は、ピーク抗体レベルと相関していました。機能的SARS-CoV-2特異的T細胞応答は感染後6か月間保持されることが判明しました。
著者名:Zuo J, Dowell AC, Pearce H, et al.
論文名:Robust SARS-CoV-2-specific T cell immunity is maintained at 6 months following primary infection.
雑誌名:Nat Immunol. 2021. DOI:10.1038/s41590-021-00902-8.
URL:https://www.nature.com/articles/s41590-021-00902-8

5.COVID-19の治療抗体や回復期の患者血清を用いて、南アフリカ変異型(B.1.351)を人工的に導入したウイルスと非変異株に対する中和活性を比較した論文です。3種類の治療抗体は非変異株を中和しましたが、南アフリカ変異型(B.1.351)ウイルスを中和しませんでした。更に、44名の回復期の患者血清では南アフリカ変異型(B.1.351)ウイルスの中和活性が大幅に低下し、ほぼ半数の検体で全く認められませんでした。また、中和活性が見られなかった抗体も変異株のスパイクに結合するので、中和と異なった機序で防御作用に関与している可能性がありました。
著者名:Wibmer CK, Ayres F, Hermanus T, et al.
論文名:SARS-CoV-2 501Y.V2 escapes neutralization by South African COVID-19 donor plasma.
雑誌名:Nat Med.2021. DOI:10.1038/s41591-021-01285-x.
URL:https://www.nature.com/articles/s41591-021-01285-x

6.無症候性(85名)と症候性(75名)のCOVID-19患者の血液を用いた、構造蛋白質(M、NP、スパイク)に対するSARS-CoV-2特異的T細胞反応とサイトカインを検討した報告です。両群でSARS-CoV-2特異的T細胞反応は同等でしたが、無症候性群においてIFN-γとIL-2が増加していました。この様に無症候性感染では、IL-10と炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α、IL-1β)の均整のとれた分泌と関連していました。無症候性SARS-CoV-2感染者は弱い抗ウイルス反応ではなく、逆に、非常に機能的にウイルス特異的な細胞性免疫応答をおこしていることが示唆されました。
著者名:Le Bert N, Clapham HE, Tan AT, et al.
論文名:Highly functional virus-specific cellular immune response in asymptomatic SARS-CoV-2 infection.
雑誌名:J Exp Med. 2021.DOI:10.1084/jem.20202617.
URL:https://rupress.org/jem/article/218/5/e20202617/211835/Highly-functional-virus-specific-cellular-immune

7.SARS-CoV-2の変異は免疫を回避することができ、ワクチンや抗体療法の有効性に影響を及ぼす可能性があります。今回、SARS-CoV-2スパイク(S)受容体結合モチーフ(RBM)はSの非常に可変的な領域であり、一般的なセンチネルRBM変異、N439Kの疫学的、臨床的、および分子的特性を検討しました。 N439KはS蛋白質のACE2受容体への結合親和性が増強されており、N439Kウイルスは野生型と同様の複製適合性を持ち、感染を引き起こします。 N439K変異は、緊急使用が許可されているものを含む中和モノクローナル抗体に対し耐性傾向にあり、感染から回復した人のポリクローナル血清の効果を低下させます。 N439Kなどの病原性と適応性を維持する免疫回避変異がSARS-CoV-2のS内に出現する可能性があり、ワクチンと治療薬の開発のために継続的な分子監視の必要性が浮き彫りになりました。
著者名:Thomson EC, Rosen LE, Shepherd JG, et al.
論文名:Circulating SARS-CoV-2 spike N439K variants maintain fitness while evading antibody-mediated immunity.
雑誌名:Cell. 2021.DOI:10.1016/j.cell.2021.01.037.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867421000805?via%3Dihub

8.COVID-19に対する集団予防接種を進めているイスラエルのデータを使用してファイザー社製BNT162b2mRNAワクチンの有効性を評価しました。2020年12月20日から2021年2月1日までに予防接種を受けた人と1:1の比率で予防接種を受けていない人を対照とし、各グループは596,618人でした。SARS-CoV-2感染、症候性、入院、重症および死亡について、初回接種後14日から20日および2回目接種後7日以上での推定ワクチン有効性を評価しました。接種群と非接種群において、SARS-CoV-2感染(46% vs 92%)、症候性(57% vs 94%)、入院(74% vs 87%)、重症(62% vs 92%)。ワクチン群の初回接種後14日から20日の死亡予防効果は72%でした。全国的な集団ワクチン接種の効果は、開発時のランダム化試験の結果と一致していました。
著者名:Dagan N, Barda N, Kepten E, et al.
論文名:BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting.
雑誌名:N Engl J Med. 2021. DOI:10.1056/NEJMoa2101765.
URL:https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2101765?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

9.アナフィラキシーの既往歴がある英国の国民保健サービス(NHS)の従業員2人が、新型コロナワクチン(ファイザー社製BNT162b2)接種後に重度のアレルギー反応を発症しました。2人とも迅速かつ完全に回復しました。BNT162b2は、脂質ナノ粒子に包含され、他の物質とブレンドされて細胞への輸送を可能にするmRNAに基づくワクチンですが、予防措置として医薬品医療製品規制庁(MHRA)は、「重度のアレルギーを持つ患者」に原則として予防接種を行わないように暫定ガイダンスを出しました。接種前に注意深いアレルギー歴の聴取が必要で、接種前に診断を明確にしてリスク-ベネフィット評価が必要です。ワクチンに対する重度のアレルギー反応はまれですが、生命を脅かす可能性があります。
著者名:Klimek L, Novak N, Hamelmann E, et al.
論文名:Severe allergic reactions after COVID-19 vaccination with the Pfizer/BioNTech vaccine in Great Britain and USA: Position statement of the German Allergy Societies: Medical Association of German Allergologists (AeDA), German Society for Allergology and Clinical Immunology (DGAKI) and Society for Pediatric Allergology and Environmental Medicine (GPA).
雑誌名:Allergo J Int.2021.DOI:10.1007/s40629-020-00160-4.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7903024/

10.妊娠中の女性と18歳未満の子どもがいる母親における新型コロナワクチン接種の受け入れについて、2020年10月28日~11月18日に匿名のオンライン横断調査が実施され、16か国から合計17,871件の調査回答が入手されました。妊婦の52.0%(n = 2,747/5,282)と非妊婦の73.4%(n = 9,214 / 12,562)は、ワクチンを接種する意向を示しました。妊婦/非妊婦に関わらず女性の69.2%(n = 11,800 / 17,054)は、子どもに予防接種を受けさせる意向を示しました。ワクチンの受け入れはインド、フィリピン、ラテンアメリカのすべての国で高く、ロシア、米国、オーストラリアで低い結果でした。ワクチン受容の最も強力な予測因子は、ワクチンの安全性または有効性への信頼、COVID-19への懸念、自国に対するワクチンの重要性への信念、マスクガイドラインの準拠、公衆衛生機関/健康科学への信頼、およびにルーチンのワクチンに対する態度が含まれていました。
著者名:Skjefte M, Ngirbabul M, Akeju O, et al.
論文名:COVID-19 vaccine acceptance among pregnant women and mothers of young children: results of a survey in 16 countries.
雑誌名:Eur J Epidemiol.2021. DOI:10.1007/s10654-021-00728-6.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s10654-021-00728-6

(Diagnosis)
1.この研究では、新しい高感度のchemiluminescence enzyme immunoassay (HISCL) を用い、60名のSARS-CoV-2感染者と500名のSARS-CoV-2陰性の血清を用い、SARS-CoV-2 spikeとnucleocapsid蛋白に対するIgGとIgMを定量しました。その結果、高い正確性と再現性を示し、類似のコロナウイルスへの交叉反応は認めませんでした。検出の正確性は、Spike蛋白のIgGで98.3%、IgMで93.3%、NucleocapsidのIgGで 100%、IgMで71.7% でした。患者の平均抗体価は、陰性者に比べ、入院時で>10倍、回復期は>100倍の上昇がありました。この優れた検査は、患者の診断とワクチンの効果の判定に使える可能性があります。
著者名:Noda K, Matsuda K, Yagishita S, et al.
論文名:A novel highly quantitative and reproducible assay for the detection of anti‑SARS‑CoV‑2 IgG and IgM antibodies
雑誌名:Sci Rep.2021;11:5198
URL:https://doi.org/10.1038/s41598-021-84387-3

2.SARS-CoV-2陽性患者10例(4例は無症状)におけるウイルス排出を呼吸器検体と便検体で比較した成績です。それぞれ最長45日、40日まで陽性を認めました。呼吸器検体の陽性率は24.8%と低く、病初期~中期の方が中期~後期よりも高い陽性率でした。呼吸器検体に比べて便検体はウイルス量が多く、陽性率も62.2%と高いうえ、病期や症状の違いには関わりませんでした。ウイルス検出には便検体の方が優っており、特に無症候性感染者の診断に有用である可能性が示されました。
著者名:Chen Y, Wang H, Li Kefeng, et al.
論文名:SARS-CoV-2 viral shedding characteristics and potential evidence for the priority for faecal specimen testing in diagnosis
雑誌名:Plos One.2021.DOI:10.1371/journal.pone.0247367. eCollection 2021
URL:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0247367

3.この論文は患者の症状や検査値をもとに、小児COVID-19肺炎とMIS-Cを区別することを目的とした研究です。2020年4月1日から9月1日までアラバマ小児病院バーミンガムにて診断、入院した小児COVID-19肺炎患者とMIS-C患者を対象として後ろ向きに患者のカルテを調査しています。111人が定義を満たし、うち74人が軽傷、8人が中等症、8人が重症COVID-19、また10人が軽傷、11人が重症MIS-Cに分類されました。すべての分類で黒人、ヒスパニックの男児が多くなっていました。MIS-Cの患者は罹患前の基礎疾患を有していませんでしたが、COVID-19は少なくとも1つの基礎疾患を有している人がほとんどでした。症状については、COVID-19は主に呼吸器症状を呈していましたが、MIS-Cは発熱、発疹、結膜炎、胃腸炎症状など多岐にわたる傾向にありました。両群間に有症状の期間やウイルスへの曝露機会における差はありませんでしたが、MIS-Cの方がウイルスへの曝露から症状発症までの期間が長く、心エコー検査で冠状動脈の変化がより頻繁に認められました。また、COVID-19患者の方がSARS-CoV-2PCR陽性であることが多く、入院時の乳酸脱水素酵素値が高い傾向にありました。一方MIS-C患者は低Na血清値、並びに高いCRP、赤血球沈降速度、d-ダイマー、プロカルシトニンを認めました。これらの差はCOVID-19とMIS-Cを鑑別する上で有用と考えられます。
著者名:Reiff DD, Mannion ML, Samuy N, et al.
論文名:Distinguishing active pediatric COVID-19 pneumonia from MIS-C
雑誌名:Pediatr Rheumatol Online J (2021) 19:21
URL:https://doi.org/10.1186/s12969-021-00508-2

(Transmission)
1.医療従事者のSARS-CoV-2感染リスクについて評価するため、フランス、パリの大学病院で行われたケースコントロールスタディです。臨床症状を認め SARS-CoV-2 PCR検査が陽性であった336名と、PCR検査陰性であった228名について、症状と病院内外での行動について調査し、比較を行いました。PCR陽性者は陰性者に比べ、味覚・嗅覚障害を伴う例が多く認められました。また、病院内におけるCOVID-19患者(疑いを含む)との適切なPPEを使用しない接触、マスクを着用しない同僚との接触、病院外でのマスク非着用も陽性者に多く認められました。一方、COVID-19患者専用病棟での勤務や、同居する小児の保育園通園との関連は認められませんでした。医療従事者の感染予防策として、病院内外での適切なPPE着用が重要であり、COVID-19患者病棟勤務や小児を保育園に預けることは感染リスクをあげることにはならないと考えられました。
著者名:Contejean A, Leporrier J, Canouï E , et al.
論文名:Transmission routes of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 among healthcare workers of a French university hospital in Paris, France.
雑誌名:Open Forum Infect Dis.2021.DOI:10.1093/ofid/ofab054
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7928692/

2.SARS-CoV-2の性行為による感染と母子感染のリスクの評価を行うため、COVID-19急性期患者の子宮頸部剥離細胞と膣分泌液からのSARS-CoV-2の検出を試みたインドからの報告です。顕性あるいは不顕性感染が、気道検体のSARS-CoV-2 RT-PCR陽性により確認された15人の女性(27歳~70歳)を対象に検討を行いました。全ての子宮頸部ぬぐいスワブと膣ぬぐいスワブのSARS-CoV-2 RT-PCRは陰性でした。しかし、TMA Panther Systemによる検査で、膣ぬぐいスワブ3検体(20%)が陽性となりました。この結果から、今後、複数の検査法を用いた、より大規模な研究が必要と考えられました。
著者名:Khoiwal K, Kalita D, Shankar R, et al.
論文名:Identification of SARS-CoV-2 in the vaginal fluid and cervical exfoliated cells of women with active COVID-19 infection: A pilot study.
雑誌名:Int J Gynaecol Obstet.2021.DOI:10.1002/ijgo.13671.
URL:https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ijgo.13671

3.SARS-CoV-2の家庭内感染に関してスペインで行われた前向き多施設共同研究です。2020年7月1日~10月31日の期間中に診断された、16歳未満のCOVID-19患者1,040例の疫学的および臨床的特徴と二次感染率 (SAR)を分析しました。ほぼ半数(47.2%)が無症状であり、10.8%は基礎疾患があり、2.6%は入院を必要とし、死亡例はありませんでした。家庭内感染は62.3%で認めました。小児症例の72.7%(756/1,040)は成人からの二次感染であり、発端者であったのは7.7%(80/1,040)でした。発端者が小児の場合のSARは成人の場合より有意に低く、夏休み後でさらに低下していました。SARに関連する個人または環境のリスク要因は特定されませんでした。学校が開校していてもなお、小児が家庭内COVID-19クラスターを引き起こしたりパンデミックの主な原因になったりする可能性は低く、小児への介入がSARS-CoV-2感染の減少に与える影響は少ないと予想されます。
著者名:Soriano-Arandes A, Gatell A, Serrano P, et al.
論文名:Household SARS-CoV-2 transmission and children: a network prospective study
雑誌名:Clin Infect Dis. 2021.DOI:10.1093/cid/ciab228. Online ahead of print.
URL:https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciab228/6168547

4.小児の集団におけるSARS-CoV-2感染伝播に関してバルセロナのサマースクールで行われた前向き研究です。研究期間は2020年6月29日~7月31日で、3~15歳の小児と職員(合計1,905人、22校)を対象としました。SARS-CoV-2感染例は、毎週のスクリーニング唾液RT-PCR の陽性例と、カタルーニャ健康監視システムを通じて鼻咽頭RT-PCRが行われた陽性例とし、発端者からの二次発病率と実効再生産数(R *)を計算しました。 発端者と特定されたのは小児30例と成人9例で、濃厚接触者253例のうち12例(4.7%)がSARS-CoV-2陽性でした。 R *は0.3で、同地域の一般人口のR *1.9より低い結果でした。厳格な予防措置の下では、学校でのSARS-CoV-2感染伝播は多くなく、開校に関する現在の推奨事項を支持していることを示唆しています。
著者名:Jordan I, de Sevilla MF, Fumado V, et al.
論文名:Transmission of SARS-CoV-2 infection among children in summer schools applying stringent control measures in Barcelona, Spain
雑誌名:Clin Infect Dis. 2021.DOI:10.1093/cid/ciab228. Online ahead of print.
URL:https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciab227/6168543

5.対面授業の安全性を検討するために、小学校でのCOVID-19発生状況を検討した米国ジョージア州からの報告です。2020年12月から2021年1月までに、単一学区の公立小学校8校で調査されました。8小学校のうち6小学校で、3症例以上の9クラスターが確認され、教師13人と児童32人が感染しました。2クラスターでは,教師から教師への感染が先行し、次いで教師から児童への感染が起こり,結果的に接触者31人中15人が感染し、その教師・児童の家族69人中18人(26%)が感染しました。すべてのクラスターにおいて、フィジカル・ディスタンシングが不適切でした。5クラスターでは児童のマスク使用が不十分でした。学校での感染の主体は教師であり、学校内感染を防ぐためには,学校外での予防策の推進,教師同士の接触を最小限とする、教師と児童が対面する場面での適切なマスク使用とフィジカル・ディスタンシングの徹底が重要です。
著者名:Gold JAW, Gettings JR, Kimball A, et al.
論文名:Clusters of SARS-CoV-2 Infection Among Elementary School Educators and Students in One School District - Georgia, December 2020-January 2021.
雑誌名:MMWR, 2021 / 70(8);289–292
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7008e4.htm

(Treatment)
1.回復期血漿による治療の有用性を検討したRCTのシステマティックレビューです。4つのピアレビューRCTの1,060名、およびその他の6つのRCT10,722名を対象としました。回復期血漿治療を受けた患者では、プラセボあるいは標準的治療を受けた患者と比較して、すべての原因による死亡に対するリスク比は1.02(95%CI,0.92-1.12)でした。入院期間のハザード比は1.17(95%CI,0.07-20.34)、人工呼吸管理となるリスク比は0.76(95%CI,0.20-2.87)でした。今回の検討では回復期血漿治療の臨床的有用性は有意なものであるとは言えない結果でした。
著者名:Janiaud P, Axfors C, Schmitt AM, et al.
論文名:Association of convalescent plasma treatment with clinical outcomes in patients with COVID-19: a systematic review and meta-analysis.
雑誌名:JAMA. 2021.DOI:10.1001/jama.2021.2747.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33635310/

2.2020年の2月から5月にかけて中国で実施された、遺伝子改変を加えたsuper-compound interferon(rSIFN-co)と既存のIFN-αの有効性を比較した、ランダム化単一盲検臨床試験の結果です。本薬剤は、既存薬に比べ20倍の抗ウイルス効果と副作用の軽減効果があることが既に示されています。46名のrSIFN-co群と48例の既存IFN-α群、いずれも振り分け後ただちに吸入投与されています。解析の結果、臨床的軽快までの日数(11.5日vs14日)、治療開始28日目での軽快率(93.5%vs77.1%)、CT画像の改善までの日数(8日vs10日)、ウイルス核酸検査の陰性化(7日vs10日)の点で、いずれもrSIFN-co群が統計学的に有意に優れていました。ただし、エントリー時点での患者の状態、入院治療期間中の治療法等に2群間でばらつきがみられ、さらにこれら患者背景に関しては統計学的解析がなされていないため、対象患者数が少ないことも含め本研究の大きなlimitationと考えられます。
著者名:Li C, Luo F, Liu C, et al.
論文名:Effect of a genetically engineered interferon-alpha versus traditional interferon-alpha in the treatment of moderate-to-severe COVID-19: a randomised clinical trial.
雑誌名:Ann Med. 2021.DOI:10.1080/07853890.2021.1890329.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33620016/

3.小児リウマチ専門医を対象とした、健常あるいは自己免疫/炎症性疾患を有する小児COVID-19患者への治療アプローチに関する国際的オンライン調査です。93名の回答者のうち90.3%が適応外治療を検討していました。酸素投与が必要な安定した病状ではレムデシビル(48.3%)、アジスロマイシン(26.6%)、経口コルチコステロイド(25.4%)、ヒドロキシクロロキン(21.9%)の使用が推奨されました。サイトカインストーム初期徴候や重篤な病状に対してはアナキンラ、トシリズマブ、コルチコステロイド、IVIG、レムデシビルが考慮されました。基礎疾患の治療については、COVID-19の重症度にもよりますが、シクロホスファミドと抗CD20抗体の投与を控える意見が多かった(75%)一方、その他の治療は継続する者が多いという結果でした。
著者名:Janda A,Schuetz C,Canna S, et al.
論文名:Therapeutic approaches to pediatric COVID-19: an online survey of pediatric rheumatologists.
雑誌名:Rheumatol Int.2021. DOI:10.1007/s00296-021-04824-4.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00296-021-04824-4

(小児多系統炎症性症候群(Multisystem Inflammatory syndrome in children:MIS-C)と小児炎症性多系統症候群(Pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS))
1.川崎病(KD)96名とKD様症状を示すPIMS 53名の臨床像を比較したイタリアからの報告です。PIMSは年長児に多く、消化器および呼吸器症状をより多く伴っていました。心筋炎などの心病変はPIMSで、冠動脈病変はKDでより多く認められました。PIMSの方がICU入室のリスクが高く、PIMSではリンパ球減少、CRP・フェリチン・トロポニンTの高値が特徴的でした。KDでは免疫グロブリンとアスピリンが、PIMSではステロイドがより多く投与されていました。SARS-CoV-2の陽性率はKD 20%、PIMS 75.5%でした。SARS-CoV-2感染の有無でKDとPIMSという2つの異なる炎症性疾患は区別でき、PIMSはより年長で心筋炎などで特徴付けられることが示唆されました。
著者名:Cattalini M, Della Paolera S, Zunica F, et al.
論文名:Defining Kawasaki disease and pediatric inflammatory multisystem syndrome-temporally associated to SARS-CoV-2 infection during SARS-CoV-2 epidemic in Italy: results from a national, multicenter survey.
雑誌名:Pediatr Rheumatol Online J.2021.DOI:10.1186/s12969-021-00511-7.
URL:https://ped-rheum.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12969-021-00511-7

2.MIS-C患者8名の血清抗体価を解析した報告です。ELISA法にてSタンパク質とNタンパク質に対するIgG、IgA、IgMを測定しています。MIS-C患者全例でPCR検査は陰性でしたが、Sタンパク質に対するIgGとIgA抗体、Nタンパク質に対するIgG抗体が強く検出されました。IgM抗体はどちらのタンパク質に対しても検出されませんでした。以上より、血清学的検査はMIS-Cの診断において重要であることが示されました。
著者名:Perez-Toledo M, Faustini SE, Jossi SE, et al.
論文名:SARS-CoV-2-specific IgG1/IgG3 but not IgM in children with pediatric inflammatory multi-system syndrome.
雑誌名:Pediatr Allergy Immunol. 2021.DOI:10.1111/pai.13504. Epub ahead of print.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pai.13504

3.1,080例のMIS-Cにおいて重篤な転機と関連する因子を解析した米国からの報告です。ICU入室は、0-5歳に比べ6-12歳、13-20歳に多く、非ヒスパニック系の黒人に多く認められました。息切れ、腹痛を認める患者や、CRP・トロポニン・フェリチン・Dダイマー・BNP・NT-proBNP・IL-6の上昇もしくは血小板・リンパ球の減少を認める患者もICUへ入室する可能性が高いことが判明しました。心機能低下、ショック、心筋炎の場合も同様でした。冠動脈病変は、女児や粘膜皮膚症状もしくは結膜充血を有する児よりも男児に多く認められました。臨床的特徴を特定することにより、MIS-Cの早期発見や適切な治療につながると考えられました。
著者名:Abrams JY, Oster ME, Godfred-Cato SE, et al.
論文名:Factors linked to severe outcomes in multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) in the USA: a retrospective surveillance study.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2021.DOI:10.1016/S2352-4642(21)00050-X. Epub ahead of print.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S235246422100050X?via%3Dihub

4.MIS-Cにアナキンラ(IL-1受容体拮抗薬)を使用したCOVID-19パンデミック中のイタリアからの症例報告です。症例1:発熱、下痢、皮疹、手の浮腫、結膜炎、口唇発赤の3歳女児。mPSL2㎎/㎏/日とIVIG2g/㎏投与も解熱せず、ショック状態になる。IVIGを3回投与も改善なく、アナキンラ使用し2日後に回復しました。症例2:高熱、嘔吐、頭痛、発疹、頸部リンパ節腫脹の10歳女児。入院後に頻脈と低血圧になりました。mPSL2㎎/㎏/日とIVIG2g/㎏で治療しましたが改善せず。アナキンラを投与したところ、4時間以内に解熱しその他の症状も徐々に軽快しました。両者とも有害事象を認めませんでした。
著者名:Della Paolera S, Valencic E, Piscianz E, et al.
論文名:Case Report:Use of Anakinra in Multisystem Inflammatory Syndrome During COVID-19 Pandemic
雑誌名:Front Pediatr. 2021.DOI:10.3389/fped.2020.624248.
URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fped.2020.624248/full

5.小児のMIS-CにおいてHLAクラスⅠが関連するTCR BEa可変遺伝子(TRBV)11-2 T細胞の拡張に関する論文です。MIS-C患者のTCRレパートリーにおいて、TRBV11-2の拡張は、MIS-Cの重症度と血清サイトカイン量に相関しています。TRBV11-2でコードされるVβ鎖中のポリ酸性残基がSARS-CoV-2スパイク糖たんぱく質のスーパー抗原様モチーフと強く相互作用します。このことはSARS-CoV-2のスパイクがTRBV11-2の拡張および活性化を直接媒介し、MIS-Cの臨床症状に関与している可能性を示唆しています。
著者名:Porritt RA, Paschold L, Noval Rivas M, et al.
論文名:HLA class I-associated expansion of TRBV11-2 T cells in Multisystem Inflammatory Syndrome in Children.
雑誌名:J Clin Invest. 2021.DOI:10.1172/JCI146614.
URL:https://www.jci.org/articles/view/146614

6.COVID-19およびMIS-Cの小児における急性腎障害(AKI)について、レトロスペクティブにコホート調査を行ったアメリカからの報告です。COVID-19の97人中8人(8.2%)、MIS-Cの55人中10人(18.2%)がAKIでした。AKIは血清アルブミン値の低下と白血球数の高値に関連していました。また、入院期間はAKIを有するほうが8.4日間長かった。MIS-CではAKIのある方が、有意に心収縮機能不全の割合が高くなっていました。
著者名:Basalely A, Gurusinghe S, Schneider J, et al.
論文名:Acute kidney injury in pediatric patients hospitalized with acute COVID-19 and multisystem inflammatory syndrome in children associated with COVID-19
雑誌名:Kidney Int. 2021.DOI:10.1016/j.kint.2021.0504.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0085253821002684?via%3Dihub

7.米国のサーベイランスに登録されたMIS-C患者616名(36%)を含む21歳未満のCOVID-19の1695名の入院患者のうち365名(22%)が、神経障害を示しました。神経障害を有する割合は、小児多系統炎症性症候群の児とそうでない児と同じでした。322名(88%)は一過性の症状で生存退院し、43名(12%)は生命に影響を及ぶ重度の神経障害を有し、11名(26%)が死亡しました。長期的な神経発達への影響は不明です。
著者名:LaRovere KL, Riggs BJ, Poussaint TY, et al.
論文名::Neurologic Involvement in Children and Adolescents Hospitalized in the United States for COVID-19 or Multisystem Inflammatory Syndrome.
雑誌名:JAMA Neurol.2021.DOI:10.1001/jamaneurol.2021.0504.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2777392

8.入院中の小児COVID-19患者とMIS-C患者の末梢血免疫応答を分析しました。重症の成人と同様にMIS-C患者は、T細胞に偏ったリンパ球減少症とT細胞活性化を示し、入院時にSARS-CoV-2スパイク特異的抗体が陽性でした。MIS-C患者の明確な特徴は、血管作動薬の使用に関連するCX3CR1陽性CD8陽性T細胞の強力な活性化でした。急性呼吸窮迫症候群の小児COVID-19患者は持続的に免疫が活性化していたのに対して、MIS-C患者は免疫活性化の低下に伴って臨床経過が改善しました。
著者名:Vella LA, Giles JR, Baxter AE, et al.
論文名:Deep immune profiling of MIS-C demonstrates marked but transient immune activation compared to adult and pediatric COVID-19.
雑誌名:Sci Immunol. 2021.DOI:10.1126/sciimmunol.abf7570.
URL:https://immunology.sciencemag.org/content/6/57/eabf7570.long

9.MIS-Cに頭蓋内圧亢進を合併した4例が報告されています。いずれも視力障害、頭痛、項部硬直、意識障害など脳症の症状や所見を認め、髄液初圧の上昇が確認されています。全例で心機能低下を認めており、昇圧剤使用が必要となる状況でした。中枢神経系の還流を意識した血圧管理に留意する必要があると、考察されています。
著者名:Becker AE, Chiotos K, McGuire JL, et al.
論文名:Intracranial Hypertension in Multisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C).
雑誌名:J Pediatr.2021.DOI:10.1016/j.jpeds.2021.02.062
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022347621002018?via%3Dihub

10.小児と思春期小児における重症急性COVID-19症例(severe acute COVID-19:PCR陽性かつ一臓器以上に重度の障害をきたした例)とCDC基準に基づくMIS-C例を比較した報告です。2020年3月15日~10月31日までに米国31州の66施設において入院加療を行った21歳未満例1,116例が対象になっています。 1,116 人の年齢中央値は9.7 歳、45%が女性でした。539例はMIS-Cと診断され、577例は重症急性COVID-19と診断されています。重症急性COVID-19患者に比べMIS-C患者の年齢層は6~12歳であることが多く(40.8% vs 19.4%)、非ヒスパニック系の黒人である(32.3% vs 21.5%)割合が高いと報告されています。MIS-C例は呼吸循環障害(56.0% vs 8.8%)、呼吸障害を伴わない循環器障害 (10.6% vs 2.9%)、呼吸循環障害を伴わない皮膚粘膜病変 (7.1% vs 2.3%)が比較的多いことが特徴でした.また、MIS-C患者の炎症所見はより高く、好中球とリンパ球の比(6.4 vs 2.7)、CRP中央値(152 mg/L vs 33 mg/L)でしたが、血小板数については15万/μL未満の割合が高い(41% vs 17%)と報告されています。MIS-C患者の73.8%、重症急性COVID-19例の43.8%がICU入室対象となり、死亡例はそれぞれ1.9%、1.4%でした。MIS-C患者で左室収縮機能障害 (34.2%)、冠動脈拡張病変(13.4%)を認めたもののうち、30日以内に正常化したのはそれぞれ、91.0%と79.1%でした。MIS-C 患者と重症急性COVID-19 患者の臨床的な特徴や臓器障害について異なる特徴が認められ、そのパターンをとらえることが鑑別の一助になると考えられました。
著者名:Feldstein LR, Tenforde MW, Friedman KG, et al.
論文名:Characteristics and Outcomes of US Children and Adolescents With Multisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) Compared With Severe Acute COVID-19.
雑誌名:JAMA.2021.DOI:10.1001/jama.2021.2091.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2777026

(School closure)
1.大学の春学期(2019年1月27日~5月21日、2020年1月30日~5月21日)における急性呼吸器感染症の前方視的コホート研究から、2020年3月13日からの学校閉鎖とphysical distancingの効果を検証しました。参加登録した学生とスタッフには、毎朝オンラインにて、鼻汁、咽頭痛、咳嗽、発熱の有無を4段階で回答してもらいました。有症状者は2019年に比べ2020年に減少し、特に2020年3月13日以降の減少は顕著でした。うち、咳嗽や咽頭痛を伴う発熱症状の減少が著しく見られました。集団でのphysical distancingは、急性呼吸器感染症の抑制に有効であることが見いだされました。
筆者名:Adenaiye O, de Maesuita PJB, Wu Q, et al.
論文名:The effect of COVID-19 stay-at-home order and campus closure on the prevalence of acute respiratory infection symptoms in college campus cohorts.
雑誌名:Influenza Other Respir Viruses.2021.DOI:10.1111/irv.12837. Epub 2021 Mar 4.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/irv.12837

2.COVID-19のパンデミックが、米国の子どもの日常身体活動(PA)に及ぼす影響を評価しました。2020年4月から6月までの期間、3~18歳の1,310人の子どもを対象として保護者による回答を求めたところ、パンデミック中に子どものPAスコアが56.6点から44.6点まで有意に低下していました(最大スコア119点、p<0.001)。特に中等度以上の活発なPAのスコアが低下し(46.7点から34.7点、最大スコア98点、p<0.001)、軽いPAでは有意差はありませんでした。また、未就学児ではパンデミックの影響は低く、高校生で高く見られました(スコアの下げ幅4.7点 vs 17.2点、p<0.001)。この結果を受けて、子どものPAを確保することが子どもの健康に不可欠であると推奨されるようになりました。
筆者名:Tulchin-Francis K, Stevens Jr. W, Gu X, et al.
論文名:The impact of the coronavirus disease 2019 on physical activity in US children.
雑誌名:J Sport Health Sci 2021.DOI:10.1016/j.jshs.2021.02.005.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2095254621000259?via%3Dihub

3.COVID-19パンデミック中の子育ては非常に困難であり、親はさまざまな要求に同時に対応する必要があります。逆境的小児期体験(ACE)の増加は広く予測されていますが、データはまだ不足しています。この研究は、ドイツでの(1)パンデミック関連のストレス、親のストレス、一般的なストレス、親の主観的及び精神的健康、逆境的小児期体験の頻度のデータを作成すること; (2)ACEの増加のリスク要因を特定すること;そして(3)親の経験に関する質的データを提供することです。保護者の50%以上が、社会的距離と学校や保育施設の閉鎖によってストレスを感じていると報告しました。パンデミックの間、親のストレスは著しく増加しました。親の中には、非常に高レベルの抑うつ症状(12.3%)と不安(9.7%)を報告した人もいました。研究対象となった家庭の最大3分の1で子どもの逆境的小児期体験が報告されており、そのうち29.1%ではパンデミックの間に子どもが家庭内暴力を目撃することの増加および42.2%では言葉による情動的虐待の増加が報告されました。これらの家庭は親のストレス度が高い、失業、そして親と子の年齢が若いことが特徴でした。親のストレスが、パンデミックによる負の後遺症に対処する介入の重要なターゲットとして浮かび上がってきました。
筆者名:Calvano C, Engelke L, Bella JD, et al
論文名:Families in the COVID-19 pandemic: parental stress, parent mental health and the occurrence of adverse childhood experiences-results of a representative survey in Germany.
雑誌名:Eur Child Adolesc Psychiatry.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00787-021-01739-0

4.この研究はヨーロッパ10か国において、COVID-19パンデミック宣言後の約2か月間における子どもたちの身体活動と総スクリーン時間の推定値を初めて報告するものです。WHOのグローバルな身体活動の推奨基準を満たした子どもは5人に1人のみでした。パンデミックの状況下では、親は事前に計画された一貫した日課を設定し、少なくとも2時間の野外活動を毎日のスケジュールに加えるべきです。学校は体育の授業を優先的に作るべきです。意思決定者は遠隔教育中に学校からオンラインの体育の配信を義務付ける必要があります。屋外の運動施設の閉鎖はロックダウン中の最後の手段としてのみ考慮されるべきです。
筆者名:Kovacs VA, Starc G, Brandes M, et al.
論文名:Physical activity, screen time and the COVID-19 school closures in Europe - an observational study in 10 countries.
雑誌名:Eur J Sport Sci.2021.DOI:10.1080/17461391.2021.1897166. Epub ahead of print.
URL:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17461391.2021.1897166

5.学校閉鎖が導入されたノルウェーにおいて、2大都市(オスロとトロムソ)の住人    75,000人を対象としてIndividual-based model(IBM)を使用し、幼稚園と学校を再開した場合の再生産数(R)の変化を評価した研究です。幼稚園と学校の再開により、Rがオスロでは0.10(95%CI 0.04-0.16)、トロムソでは0.14(95%CI 0.01-0.25)変化したのみで、学校の再開による再生産数への影響は限定的でした。
筆者名:Rypdal M, Rypdal V, Jakobsen PK, et al.
論文名:Modelling suggests limited change in the reproduction number from reopening Norwegian kindergartens and schools during the COVID-19 pandemic.
雑誌名:PLoS One.2021.DOI:10.1371/journal.pone.0238268.
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0238268

6.オランダにおいてCOVID-19流行下で学校閉鎖が行われた前・中・後で、小児の生活スタイル(身体活動(PA)と画面を見る時間)がどのような影響を受けたのかに関する研究が行われました。102名を対象として後方視的に行われたロックダウン前後の比較調査では、62%がロックダウン後にPAが減少し、平日に画面を見ている時間が34±105分/日増加したと回答しました。専用の機材を使用して64名を対象として継続的に行われた同様の調査では、COVID-19流行後に座位保持の時間が45±67分/日増加し、画面を見ている時間は、平日59±112分/日,休日62±130分/日増加しました。肥満などの慢性疾患の予防には、子どものアクティブなライフスタイルが欠かせないため、これは憂慮すべきことです。
筆者名:Ten Velde G, Lubrecht J, Arayess L, et al.
論文名:Physical activity behaviour and screen time in Dutch children during the COVID-19 pandemic: Pre-, during- and post-school closures.
雑誌名:Pediatr Obes.2021.DOI:10.1111/ijpo.12779. Epub ahead of print.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ijpo.12779

7.自発的な行動変化、学校閉鎖、および大規模集会の禁止と、COVID-19発症率および死亡率の関連性を評価した研究です。分割時系列分析には2020年3月8日から5月18日までの60日間に米国の州から公開された観測データを使用し、行動指標は匿名化された携帯電話またはインターネットのデータから収集され、2020年1月3日から2月6日と比較されました。調査期間中、レストランでの食事の割合は98.3%減少、勤務時間は40.0%減少、在宅時間は15.4%増加しました。発症率は、強制的な学校閉鎖の実施を1日早めることにより3.5%減少し(IRR:0.965; 95%CI:0.946-0.984)、自発的な行動変化を1日早めることにより9.3%減少しました(IRR:0.907; 95%CI:0.890-0.925)。一方、死亡率は、強制的な学校閉鎖の実施を1日早めることにより3.8%減少し(IRR:0.962; 95%CI:0.926-0.998)、自発的な行動変化を1日早めることにより9.8%減少(IRR:0.902;95%CI:0.869-0.936)しました。シミュレーションによると、2週間の学校閉鎖の遅れ単独では、23,000人(95%CI、2000-62,000)の死亡に関連しているのに対し、学校閉鎖を導入した状態での自発的な行動変化の2週間の遅れは140,000人(95%CI:65,000-294,000)の更なる死亡に関連します。その他の対策と比較して学校閉鎖によるCOVID-19発症率や死亡率を下げる効果は限定的であり、学校を閉鎖することによる子供たちへの弊害を踏まえると、政策立案者は自発的な行動変化を通じて身を守るという国民の意欲をよりよく活用することを検討すべきであることが示唆されます。
筆者名:Zimmerman FJ, Anderson NW.
論文名:Association of the Timing of School Closings and Behavioral Changes With the Evolution of the Coronavirus Disease 2019 Pandemic in the US.
雑誌名:JAMA Pediatr.2021.DOI:10.1001/jamapediatrics.2020.6371. Epub ahead of print.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2776608

 


 

【2021年3月22日 掲載】

(Mechanism)
1.ブラジルからの猫と飼い主から検出されたSARS-CoV-2に関する遺伝子解析結果報告です。この猫は、5人家族(成人3名、小児2名)に飼われており、家の中から外に出ることはありませんでした。家族の中で、成人2名が、SARS-CoV-2のPCRが陽性(症状は咽頭の違和感のみ)となった後、猫に咳症状が出現し、直腸スワブのPCRが陽性となりました。飼い主と猫から検出されたウイルスに関して遺伝子解析を行ったところ、99.4%一致していました。様々な動物からSARS-CoV-2のPCRが陽性だったとする報告はありますが、感染した動物の症状は軽症であり、犬や猫から人に感染した事例の報告はありません。
著者名:Carlos RSA, Mariano APM, Maciel BM, et al.
論文名:First genome sequencing of SARS-CoV-2 recovered from an infected cat and its owner in Latin America.
雑誌名:Transbound Emerg Dis. 2021.DOI:10.1111/tbed.13984.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/DOI/epdf/10.1111/tbed.13984

2.小児に対してCOVID-19ワクチンを接種すべきかに関するレビュー論文です。小児はMIS-Cを除き、感染しても無症状~軽症であり、成人に比べて感染を拡げるリスクも低いため、ワクチン接種の優先順位は低くなります。しかしながら、基礎疾患を有する小児では少数例ではありますが、PICU入室例や死亡例が認められています。そして、英国・米国からの報告によると、重症化する小児の基礎疾患としては、神経疾患や気管切開を受けている者などが多く、また、成人例ではありますが、ダウン症候群や脳性麻痺も重症化リスクが高いと報告されています。その他、悪性疾患などにより免疫不全状態や慢性肺疾患、慢性心疾患を有する小児もリスクが高いと考えられます。今後、全ての小児にワクチン接種を行うべきかどうかについては、使用するワクチンの安全性、有効性、予防可能期間、集団免疫効果を含めた感染伝播における小児の果たす役割などを考慮することが必要です。
著者名:Wong BLH, Ramsay ME, Ladhani SN, et al.
論文名:Should children be vaccinated against COVID-19 now?
雑誌名:Arch Dis Child. 2021.DOI:10.1136/archdischild-2020-321225.
URL:https://adc.bmj.com/content/early/2021/01/04/archdischild-2020-321225

3.SARS-CoV-2ワクチン拒否の要因を調べるために実施されたトルコでの保護者アンケートの結果です。小児病院患者の保護者428名を対象に実施されました。ワクチン接種に消極的な保護者は輸入ワクチンで66.1%、国産ワクチンで37.4%でした。国産ワクチンの希望は回答者自身とその子どもで有意に高く、教育水準が上がるとその傾向は低下しました。女性の方が輸入ワクチン接種に消極的で、COVID-19感染の不安が強いと製造国のこだわりは減りました。接種拒否の理由としては、副反応に対する不安、有効性に関する知識の不足、外国製ワクチンへの不信感でした。ほとんどの回答者がワクチン接種に躊躇していましたが、国産ワクチンの使用で接種率が向上する可能性を示唆しています。
著者名:Yigit M, Ozkaya-Parlakay A, Senel E.
論文名:Evaluation of COVID-19 vaccine refusal in parents.
雑誌名:Pediatr Infect Dis J. 2021.DOI:10.1097/INF.0000000000003042.
URL:https://journals.lww.com/pidj/Abstract/9000/Evaluation_of_COVID_19_Vaccine_Refusal_in_Parents.95924.aspx.

4.COVID-19感染症の重症度を小児と高齢者で比較した中国からの報告です。対象は小児(16歳未満)173例、成人(16歳以上)126例の計299例で、期間は2020年1月17日から3月25日まででした。このうち小児26例と高齢者(50歳以上)24例の肺生検検体を用いてアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)発現とその分布を調べました。小児と比較して、高齢者の肺炎は重症でした(p= 0.001)。 ACE2および肺前駆細胞マーカーの発現レベルは、一般的に高齢者で減少していました。特に高齢者においては、ACE2陽性細胞は肺胞領域に主に分布していたものの、気管支領域にはほとんど分布していませんでした(p<0.01)。加齢により気管支領域のACE2陽性細胞は減少しても肺胞領域には存在していることから、下気道での感染が促進し、重症肺炎に発展している可能性があります。加齢とともにACE2発現が増加し、高齢者の重症化に関与しているという報告もありますが、今回の結果は、ACE2の発現レベルだけで小児と高齢者の重症度の差は説明できないことを示しています。
著者名:Zhang Z,Guo L,Huang L, et al.
論文名:Distinct disease severity between children and older adults with COVID-19: Impacts of ACE2 expression, distribution, and lung progenitor cells.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2021.DOI:10.1093/cid/ciaa1911.
URL:https://academic.oup.com/cid/advance-article/DOI/10.1093/cid/ciaa1911/6059779

5.米国におけるCOVID-19ワクチン忌避に関する意識調査です。調査は2020年6月にオンラインで行われました。計1878人の参加者の属性(性別、人種等)は、米国の人口分布をほぼ反映していました。ワクチンが利用可能になった場合の接種の可能性について質問したところ、非常に可能性あり(52%)、可能性あり(27%)、可能性が低い(15%)、まったく可能性がない(7%)、という答えが得られ、ワクチン忌避は全体の22%でした。重回帰分析でワクチン忌避は、女性、非雇用、低学歴、低収入、子持ち、共和党員、COVID-19感染への懸念が低い、という群において対照群より有意に高くなっていました。人種的マイノリティーなどのCOVID-19重症リスクの高い群でワクチン忌避が多いこともわかりました。すでにワクチンが導入された現在では、意識調査の結果は変化している可能性がありますが、ワクチン忌避を持つ群に働きかけるような政策を進める必要があります。
著者名:Khubchandani J, Sharma S, Price JH, et al.
論文名:COVID-19 vaccination hesitancy in the United States: a rapid national assessment.
雑誌名:J Community Health. 2021.DOI:10.1007/s10900-020-00958-x.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s10900-020-00958-x

6.新生児期の高酸素血症がSARS-CoV-2受容体の年齢依存性発現を増強することをマウスで示した研究です。出生時に高酸素にさらされた早産児は肺胞上皮2型(AT2)細胞の数の減少により呼吸器ウイルス感染の重症度が高まるため、COVID-19感染症のリスクが高くなる可能性があります。AT2細胞はSARS-CoV-2受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)およびII型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現するため、AT2細胞が高酸素によって枯渇するとこの2つの受容体発現は低下するはずです。しかしこの研究で、新生児期の高酸素血症が2か月齢までにクララ細胞とAT2細胞でACE2の発現を増強し、肺でのTMPRSS2の発現を増強することが分かりました。これらの受容体の年齢依存性発現の変化を理解することにより、COVID-19や他の肺疾患を軽症化する方法を見出すことができる可能性があります。
著者名:Yee M, Cohen ED, Haak J, et al.
論文名:Neonatal hyperoxia enhances age-dependent expression of SARS-CoV-2 receptors in mice.
雑誌名:Sci Rep. 2020.DOI:10.1038/s41598-020-79595-2.
URL:https://www.nature.com/articles/s41598-020-79595-2

(Diagnosis)
1.電気化学発光法(electrochemiluminescence immunoassay)を応用した、高感度SARS-CoV-2 NP抗原定量法(S-PLEX)とPCR法を比較検討しました。S-PLEXの検出感度は0.16pg/ml以上で、鼻咽頭採取検体中のNP抗原濃度は160fg/ml以下から2.7μg/mlと幅広く、PCR法のCT値と強い相関を示しました。成人および小児からのPCR陽性検体におけるS-PLEXの感度は91%、79%と高く、Ct値35以下の検体では、感度は100%、96%でした。PCR陰性検体での特異度は、100%、98%でした。本法は、既存の抗原迅速検出法より高い感度・特異度を持ち、PCRの代替検査法となり得る可能性が示唆されました。

著者名:Pollock NR, Savage TJ, Wardell H, et al.
論文名:Correlation of SARS-CoV-2 nucleocapsid antigen and RNA concentrations in nasopharyngeal samples from children and adults using an ultrasensitive and quantitative antigen assay.
雑誌名:J Clin Microbiol. 2021.DOI:10.1128/JCM.03077-20.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33441395/

2.COVID-19患者より発症後様々な時点で(7から69日)、鼻咽頭スワブ、肛門スワブ、唾液、血液、尿を採取し、ウイルス量をdroplet digital PCR(ddPCR)法で測定しました。NP蛋白およびS蛋白受容体結合ドメインに対する血清抗体価の測定も実施しました。鼻咽頭スワブが最も検出率が高く(54.05%)ついで肛門スワブ(24.32%)、唾液、血液、尿の順でした。しかしながら、回復期には鼻咽頭スワブ陰性、肛門スワブ陽性の症例があり、注意が必要です。血清抗体価と発症後日数あるいはウイルス量との間に有意な相関は認められませんでした。
著者名:Li L, Tan C, Zeng J, et al
論文名:Analysis of viral load in different specimen types and serum antibody levels of COVID-19 patients.
雑誌名:J Transl Med. 2021. DOI:10.1186/s12967-020-02693-2.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33413461/

3.同時に採取した鼻咽頭ぬぐい液と唾液を用いて、RT-PCR法によるSARS-CoV-2の検出率を初療施設において前方視的に検討した論文です。577人の外来患者(年齢中央値39歳)より鼻咽頭ぬぐい液と唾液(監督下の採取、口腔咽頭洗浄液、あるいは自己採取)を採取しました。RT-PCR法により120人(20.8%)がSARS-CoV-2陽性でした。咽頭ぬぐい液との一致率(kappa係数)は、監督下の採取では95%(K=0.85)、口腔咽頭洗浄液では93.4%(K=0.76)、自己採取では93.3%(K=0.76)でした。唾液検体での感度は、監督下の採取の86%から自己採取の66.7%まで幅がありました。低いCt値の検体では感度が高く、監督下に採取された場合の感度は、有症状者では100%(95%CIが85.9-100)、無症状者では88.9%(95%CIが50.7-99.4)でした。唾液はSARS-CoV-2を検出する検体として容認可能であり、特に監督下に採取された唾液は鼻咽頭ぬぐい液に匹敵します。
著者名:Fernandez-Gonzalez M, Agullo V, de la Rica A, et al.
論文名:Performance of saliva specimens for the molecular detection of SARS-CoV-2 in the community setting: does sample collection method matter?
雑誌名:J Clin Microbiol. 2021. DOI:10.1128/JCM.03033-20.
URL:https://jcm.asm.org/content/early/2021/01/08/JCM.03033-20

4.鼻咽腔スワブを用いた核酸検出検査はCOVID-19診断の標準法ですが、検体採取には正しい技術を要するため、より簡便な唾液を用いた核酸検出法の有用性は高いです。しかしながらその信頼性が明らかでないため、筆者らがシステマティックレビューとメタ解析を行いました。2020年8月時点での論文を検索し、385論文中16論文が評価基準を満たし解析対象とされました(患者数は5,922名)。15論文は救急外来の患者を対象としており、9論文は外来軽症あるいは無症状の患者を対象としていました。解析の結果、唾液を用いた核酸検出法の感度は83.2%(95%credible interval, 74.7-91.4%)特異度は99.2%(95%credible interval, 98.2-99.8%)で、救急外来のような状況下で使用するには有用と考えられます。ただし、各論文で用いられている核酸検出検査法、対象患者の状態等に差があることは本研究のlimitationと考えられます。
著者名:Butler-Laporte G, Lawandi A, Shiller L, et al.
論文名:Comparison of saliva and nasopharyngeal swab nucleic acid amplification testing for detection of SARS-CoV-2: a systematic review and meta-analysis.
雑誌名:JAMA Intern Med. 2021.DOI:10.1001/jamainternmed.2020.8876.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/33449069

5.リアルタイムRT-PCR法は、COVID-19患者の診断に欠かせない診断方法となっていますが、検査数増加に伴うRNA抽出試薬の不足が問題となっており、また低コピー数の臨床検体解析の点で難があります。その点を解決するために、筆者らはdigital droplet PCR(ddPCR)法によるSARS-CoV-2検出法を確立し基礎検討を行いました。リアルタイムRT-PCR法に比べ、ddPCRは低コピーのサンプルでより正確な定量が可能で、かつ一般的に用いられるtransport medium中のウイルスRNAをRNA抽出することなく直接検体として用いても測定が可能なことを明らかにしました。
著者名:Vasudevan HN, Xu P, Servellita V, et al.
論文名:Digital droplet PCR accurately quantifies SARS-CoV-2 viral load from crude lysate without nucleic acid purification.
雑誌名:Sci Rep. 2021.DOI:10.1038/s41598-020-80715-1.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/33436939

6.入院患者129名中ウイルス分離陽性であった23名(17.8%)を検討し、感染性ウイルスを排出する期間と決定要因について考察しました。排出期間の中央値は、症状発症後8日(IQR 5-11)で、15.2日後には5%を下回りました(95%信頼区間;13.4-17.2)。多変量解析の結果、7log10RNA copies/mLを上回るウイルス量は分離陽性と、20倍以上の中和抗体保有は分離陰性と関連がありました。ウイルスRNA定量アッセイや抗体価測定は感染予防策の解除を検討する際に有用と考えられます。
著者名:van Kampen JJA, van de Vijver DAMC, Fraaij PLA,et al
論文名:Duration and key determinants of infectious virus shedding in hospitalized patients with coronavirus disease-2019 (COVID-19).
雑誌名:Nat Commun. 2021.DOI:10.1038/s41467-020-20568-4.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33431879/

7.英国Oxford大学病院の医療従事者に対して血清抗体価を測定し、その後の感染頻度をPCR法で31週間フォローアップした報告です。12,541名が参加し、抗スパイクタンパク質IgG抗体陰性者11,364名、陽性者1,265名でした(うち88名はフォロー中に抗体陽転)。陰性者は223名がPCR陽性となり(10,000リスク日あたり1.09の頻度)、100例は無症状、123例は有症状でした。陽性者は2名がPCR陽性となり(10,000リスク日あたり0.13の頻度)、無症状でした。抗ヌクレオカプシドタンパク質IgG抗体を指標としても同様の結果でした。抗体の存在は、その後6か月間の再感染リスクを減らすと考えられます。
著者名:Lumley SF, O'Donnell D, Stoesser NE, et al.
論文名:Antibody status and incidence of SARS-CoV-2 infection in health care workers.
雑誌名:N Engl J Med. 2020.DOI:10.1056/NEJMoa2034545.
URL:https://www.nejm.org/DOI/full/10.1056/NEJMoa2034545

(Transmission)
1.鼻咽頭スワブRT-PCRでSARS-CoV-2陽性64名の妊婦、63名の陰性妊婦を対象とした垂直感染に関するボストンでの研究です。調べた107名の母体血・臍帯血と88の胎盤にSARS-CoV-2は、検出されませんでした。SARS-CoV-2抗体の母体から新生児への移行は、非効率的でした。胎盤におけるアンギオテンシン変換酵素2およびⅡ型膜貫通型セリンプロテアーゼの共発現は、認められませんでした。ウイルス血症の欠如および胎盤アンギオテンシン変換酵素2とⅡ型膜貫通型セリンプロテアーゼの共発現の欠如は、垂直感染に対する保護機構として役立っている可能性があります。
著者名: Edlow AG, Li JZ, Collier AY, et al.
論文名: Assessment of maternal and neonatal SARS-CoV-2 viral load, transplacental antibody transfer, and placental pathology in pregnancies during the COVID-19 pandemic.
雑誌名: JAMA Netw Open. 2020.DOI:10.1001/jamanetworkopen.2020.30455.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2774428

2.多国籍の19名の胎盤病理専門家によるSARS-CoV-2陽性の胎盤の病理学的検討です。6名の新生児の胎盤において、免疫組織化学、RNA in situハイブリダイゼーション、またはその両方を使用して合胞体性栄養膜でSARS-CoV-2陽性でした。また、胎盤すべてに慢性組織球性絨毛間炎と合胞体性栄養膜の壊死がありました。5名の死産児の胎盤も同様に合胞体栄養膜のSARS-CoV-2感染、慢性組織球性絨毛間炎、合胞体栄養膜壊死の所見がありました。これらが経胎盤胎児感染の病理学的機序と考えられます。
著者名:Schwartz DA, Baldewijns M, Benachi A, et al.
論文名: Chronic histiocytic intervillositis with trophoblast necrosis are risk factors associated with placental infection from coronavirus disease 2019 (COVID-19) and intrauterine maternal-fetal severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) transmission in liveborn and stillborn infants.
雑誌名: Arch Pathol Lab Med. 2020.DOI:10.5858/arpa.2020-0771-SA.
URL:https://meridian.allenpress.com/aplm/article-lookup/DOI/10.5858/arpa.2020-0771-SA

3.社会的距離、マスク着用、手洗いといった公衆衛生的介入により、小児の気道感染による救急外来受診が減少するかを検討した台湾からの論文です。2020年1月から4月のデータを過去3年間の同時期と比較したところ、2月から4月にかけて気道感染による救急外来受診数が50%以上減少していました。公衆衛生的介入により、COVID-19パンデミックだけでなく、飛沫による他の感染症の伝播が抑制されることが示唆されました。
著者名:Lin CF, Huang YH, Cheng CY, et al.
論文名:Public health interventions for the COVID-19 pandemic reduce respiratory tract infection-related visits at pediatric emergency departments in Taiwan.
雑誌名:Front Public Health. 2020.DOI:10.3389/fpubh.2020.604089.
URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpubh.2020.604089/full

4.小児COVID-19患者からのSARS-CoV-2の伝播を前方視的に解析したノルウェーからの論文です。2020年8月から11月にかけて、小学校で確認された小児患者の濃厚接触者全員について、隔離期間中に検査が体系的に2回行われました。学校で実施された予防措置により、小児間での伝播は0.9%(2/234)、小児から大人への伝播は1.7%(1/58)と最小限に抑えられていました。このことは、14歳未満の小児はSARS-CoV-2を伝播させる主役ではないことを支持する所見と考えられました。
著者名:Brandal LT, Ofitserova TS, Meijerink H, et al.
論文名:Minimal transmission of SARS-CoV-2 from paediatric COVID-19 cases in primary schools, Norway, August to November 2020.
雑誌名:Euro Surveill. 2021.DOI:10.2807/1560-7917.ES.2020.26.1.2002011.
URL:https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.26.1.2002011

5.学校におけるSARS-CoV-2の伝播についてシステマティックレビューとメタ分析を行った報告です。すべての研究についてはNewcastle-Ottawa scaleでリスク評価が行われました。5つのコホート研究と6つの横断研究から学生は学校職員と比較して、陽性者が他者に感染する率とSARS-CoV-2陽性率ともに低いことがわかりました。しかしこの知見は、対象人数が少ないことなどから、今後適切にデザインされたコホート研究が必要です。
著者名:Xu W, Li X, Dozier M, et al.
論文名:What is the evidence for transmission of COVID-19 by children in schools? A living systematic review.
雑誌名:J Glob Health.2020.DOI:10.7189/jogh.10.021104.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7774027/

6.高校のクラス内でのSARS-CoV-2の広がりに関する論文です。26人クラスで1人の有症状陽性者が発生し疫学調査が行われました。小さな「空間クラスター」を示唆する位置に机のある9人(34.6%)がPCR陽性となりました。スペース不足のため各机の間隔は1m未満しかありませんでした。3人は無症状で、入院者はいませんでした。学校内での感染は10歳未満ではまれですが、年長者では当てはまらず、適切な予防対策が必要です。
著者名:Buonsenso D, Graglia B.
論文名:High rates of SARS-CoV-2 transmission in a high-school class.
雑誌名:J Paediatr Child Health.2021DOI:10.1111/jpc.15340
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/DOI/10.1111/jpc.15340

(Treatment)
1.ミシガン小児病院における2020年4~6月のMIS-C 33例を後方視的に検討しました。PICU管理を要した1群(22例)とより軽症であった2群(11例)に分類でき、1群(中央値7.0歳)は2群(中央値2.0歳)より年長でした。1群では腹痛を68%、血圧低下またはショックを77%に認めました。39.4%に川崎病様症状がありました。5例に冠動脈拡張が生じましたが、瘤は形成せずに全員軽快しました。免疫グロブリンは1群全員、2群の7例に投与され、1群の13例(59%)が炎症の遷延や心筋障害のために2ndラインの治療を要しました。治療不応予測因子となる検査データは見つかりませんでした。2ndラインの治療として12例にはinfliximab(10 mg/kg)が使われ、2名には免疫グロブリン再投与が行われました。ECMOで治療管理した17歳例は免疫グロブリン再投与、infliximab投与でも軽快せずにメチルプレドニゾロンパルス療法も要しました。最終的には全員が軽快しました。MIS-Cは川崎病に類似した臨床像をとりますが、一部の症例において可逆性の心筋障害とまれながら冠動脈拡張を来します。Infliximabは2ndライン治療として期待されます。
筆者名:Abdel-Haq N, Asmar BI, Deza Leon MP, et al.
論文名:SARS-CoV-2-associated multisystem inflammatory syndrome in children: clinical manifestations and the role of infliximab treatment.
雑誌名:Eur J Pediatr.2021.DOI:10.1007/s00431-021-03935-1.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00431-021-03935-1

2.SARS-CoV-2感染小児のほとんどは軽度から中等度の症状しか示しませんが、一部に治療を必要とする重症例があります。このレビューは小児科におけるCOVID-19の抗ウイルスおよび抗炎症治療の根拠を評価しています。データの多くは成人の研究から得られたもので、小児についてはさらなる臨床研究が必要です。SARS-COV-2に感染した小児の治療オプションと将来の治療に影響するかもしれない今後の研究を提供しています。レムデシベル、回復期血漿、デキサメサゾンの単独あるいは併用療法が、重症で生命の危機にある小児COVID-19 患者に対する治療オプションとして合理的であると、現時点では評価されています。
著者名: Murphy ME, Clay G, Danziger-Isakov L, et al.
論文名:Acute severe respiratory syndrome coronavirus-2 treatment overview for pediatrics.
雑誌名: Curr Opin Pediatr. 2021.DOI:10.1097/MOP.0000000000000983.
URL:https://journals.lww.com/co-pediatrics/Fulltext/2021/02000/Acute_severe_respiratory_syndrome_coronavirus_2.18.aspx

3.小児COVID-19の患者における回復期血漿療法に関する文献と進行中の臨床試験の系統的レビューです。Medline PubMed、Scopus、およびWeb Of Scienceが検索されました。8つの研究は回復期血漿療法で治療された小児の症例報告で、年齢が9週から18歳の14人の小児が含まれ、うち5人に慢性疾患がありました。5人が回復期血漿療法に加えて、レムデシビルなどの薬物投与を受けました。5つの研究で回復期血漿療法に関連する有害事象はなかったと報告され、3つの研究では有害事象について言及していませんでした。7つの研究が回復期血漿療法は、有用な治療選択肢である、あるいはその可能性があると結論付けていました。検索された進行中の13の臨床試験のうち3つが、小児に特化して計画されたものでした。小児における回復期血漿療法の安全性と有効性に関する臨床的情報は不十分で、適切に設計された充分な臨床試験によるさらなる研究が必要です
筆者名: Zaffanello M, Piacentini G, Nosetti L, Franchini M.
論文名: The use of convalescent plasma for pediatric patients with SARS-CoV-2: A systematic literature review.
雑誌名: Transfus Apher Sci.2020.DOI:10.1016/j.transci.2020.103043.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1473050220303761?via%3Dihub

4.「12歳以上かつ40kg以上の入院や新規/追加酸素需要がない軽度から中等度のCOVID-19の小児患者で、重度のCOVID-19および/または入院に進行するリスクが高い症例」を対象として、米国FDAが2020年11月に緊急使用許可を出した2つの新しいウイルス中和モノクローナル抗体療法、バムラニビマブおよびREGN-COV2(カシリビマブとイムデビマブ)に対する提言が、北米の29の機関から召集された小児感染症、小児感染症薬学、小児集中治療医学、および小児血液学の専門家パネルによってまとめられました。2800mgのバムラニビマブを単回投与(静注)した18歳以上の軽症または中等症のCOVID-19患者群(n=107)ではプラセボ群と比べて、SARS-CoV-2陽性確認後11日目におけるウイルス量が有意に低下しました。同様に低用量(n=92)または高用量(n=90)のREGN-COV2を投与された群はプラセボ群(n=93)と比べて、治療後7日目におけるウイルス量の有意な低下を認めました。両薬剤とも重篤な有害事象もほとんどありませんでした。一方で、専門家パネルは、2020年12月20日時点で青少年における安全性と有効性に関するエビデンスが欠如している事、および一般的に青少年はCOVID-19による入院または重症化のリスクが比較的低い事を理由に、重症化のリスクが高い症例を含む青少年におけるCOVID-19の治療のために、モノクローナル抗体療法を日常的に使用する事には反対しています。(ただし、このガイダンスはさらなるエビデンスが得られた際に再評価されます。)
筆者名: Wolf J, Abzug MJ, Wattier RL, et al.
論文名:Initial guidance on use of monoclonal antibody therapy for treatment of COVID-19 in children and adolescents.
雑誌名:J Pediatric Infect Dis Soc.2021.DOI:10.1093/jpids/piaa175.
URL:https://academic.oup.com/jpids/advance-article/DOI/10.1093/jpids/piaa175/6060076

小児多系統炎症性症候群(Multisystem Inflammatory syndrome in children:MIS-C)と小児炎症性多系統症候群(Pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS)
1.MIS-C 992人(17研究)のメタ解析です。症状として、発熱(95%)、胃腸炎症状(78%)、心血管障害(75.5%)、呼吸器系障害(55.3%)が多く認められました。また、ショック(49%)、心筋炎(32%)、冠血管異常(18%)、うっ血性心不全(9%)を認め、63%がPICUでの加療を必要としました。IVIG(63%)、コルチコステロイド(58%)、トシリズマブなどの免疫調節薬(19%)による治療が行われ、死亡は22人(2.2%)でした。
著者名:Sood M, Sharma S, Sood I, et al.
論文名:Emerging evidence on multisystem inflammatory syndrome in children associated with SARS-CoV-2 infection: a systematic review with meta-analysis
雑誌名:SN Comprehensive Clinical Medicine.2020.DOI:10.1007/s42399-020-00690-6.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s42399-020-00690-6

2.MIS-Cの臨床的特徴と川崎病の違いは不明であり、この研究は、MIS-Cの疫学と臨床経過について、PubMedとEMBASEで検索し関連する論文を調査したシステマティック・レビュー、メタ解析です。917人のMIS-C患者を含む合計27研究を比較検討しました。MIS-Cは川崎病よりも胃腸症状、心筋機能障害、冠状動脈異常など多臓器不全を引き起こし、川崎病とは異なる特徴を持っていることが示唆されました。
著者名:Yasuhara J, Watanabe K, Takagi H, et al.
論文名:COVID‐19 and multisystem inflammatory syndrome in children: A systematic review and meta‐analysis
雑誌名:Pediatr Pulmonol.2020.DOI:10.1002/ppul.25245.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/DOI/10.1002/ppul.25245

3.パリでは川崎病を含む小児多臓器炎症性症候群は、COVID-19パンデミックの期間に多発しました。パリにある大学病院に入院した川崎病の診断基準を満たす症例の発生率や症状について、SARS-CoV-2陽性の患者(KD-SARS-CoV-2)の特徴を、COVID-19パンデミック前の期間のクラシック川崎病の特徴と比較しました。KD-SARS-CoV-2の患者は、サハラ以南のアフリカ系の患者(OR 4.4 [1.6-12.6])が多く、年長児が多く報告されました(中央値8.2歳 vs 4.0歳、p<0.001)。また、初期の胃腸炎症状、神経学的症状、ショック症候群や心筋炎がより高頻度に見られました。CRPおよびフェリチンレベルも有意に高値でした。
著者名:Toubiana J, Cohen JF, Brice J, et al.
論文名:Distinctive features of Kawasaki disease following SARS-CoV-2 infection: a controlled study in Paris, France
雑誌名:J Clin Immunol.2020.DOI:10.1007/s10875-020-00941-0.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10875-020-00941-0

4.インド西部の公立小児病院からのMIS-Cの臨床的特徴と治療法について報告した論文です。21人のMIS-C症例について検討されました(年齢中央値:7歳(IQR) 1.9–12.1、女性11人、1人は基礎疾患に再生不良性貧血)。8人はSARS-CoV-2 RT-PCR陽性、16人は抗体陽性でした。発熱は全例に見られ、胃腸症状が次に多く見られました。ほぼ全例にショック症状が認められ、90%に血管作用薬、13人は人工呼吸管理、1人は腹膜透析が必要でした。左心室機能障害が9人、冠動脈拡張が5人に認められ、CRP [98 mg/dL (IQR 89–119)],血清フェリチン[710 mg/dL (IQR 422–1,609)]、血清IL-6 [215 ng/L (IQR 43–527)]の上昇が見られました。メチルプレドニゾロンのパルス療法18人、IVIG11人、トシリズマブが4人に投与され、18人が退院、3人が死亡しました。
著者名:Shobhavat L, Solomon R, Rao S, et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children: clinical features and management-intensive care experience from a pediatric public hospital in Western India
雑誌名:Indian J Crit Care Med.2020.DOI:10.5005/jp-journals-10071-23658.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7751039/

5.英国の小児病院(単施設)におけるMIS-C 63人の心電図異常に関する検討です。経過中に3回以上の検査を行い、42人(67%)に心電図異常を認めました。低QRS、一過性T波反転が多く、ST変化はあまり認めませんでした。不整脈は13人(21%)に認めましたが、心房頻拍でECMOを必要とした1人以外は良性でした。高度のAVブロックは認めませんでした。
著者名:Regan W, O’Byrne L, Stewart K, et al.
論文名:Electrocardiographic changes in children with multisystem inflammation associated with COVID-19
雑誌名:J Pediatr.2020.DOI:10.1016/j.jpeds.2020.12.033.
URL:https://www.jpeds.com/article/S0022-3476(20)31542-0/abstract

(School closure)
1.日本でCOVID-19に対して2月26日から3月19日まで実施された自主的なイベントの自粛と学校閉鎖について評価した論文です。この自粛期間前、期間中、終了後の3つの期間の基本再生産数を古典的な感染症数理モデル(SIRモデル)を用いて算出してイベントの自粛と学校閉鎖を評価しています。結果として、3つの期間の実効再生産数はそれぞれ2.534、1.077、4.455となり、イベントの自粛と学校閉鎖はCOVID-19の感染拡大防止に有効であることを示していますが、一方で再開後に実効再生産数が自粛前より高くなることから自粛解除のタイミングには注意を要します。
著者名:Sugishita Y, Kurita J, Tamie Sugawara, et al.
論文名:Effects of voluntary event cancellation and school closure as countermeasures against COVID-19 outbreak in Japan.
雑誌名:PLoS ONE.2020.DOI:10.1371/journal.pone.0239455.
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0239455

2.学校閉鎖や都市封鎖のような社会的距離に関連した介入の有効性について、ベイズ階層モデルを用いて検討しました。社会的距離の介入のなかで学校閉鎖と都市封鎖のみが推定再生産数(Rt)に影響し、相対的な削減率はそれぞれ23.7%、54.4%でした。都市封鎖前後で全州のRtの平均値は1.86から0.88に低下し、都市封鎖はRtを下げるのに重要な役割を果たしました。都市封鎖を解除するためには、同等に有効な介入の追加が必要であろうと結論しています。
著者名:Olney AM, Smith J, Sen S, et al.
論文名:Estimating the effect of social distancing interventions on COVID-19 in the United States.
雑誌名:Am J Epidemiol.2021.DOI:10.1093/aje/kwaa293.
URL: https://academic.oup.com/aje/advance-article/DOI/10.1093/aje/kwaa293/6066665

3.米国の30州におけるCOVID-19感染率を週の学校閉鎖前後で比較した研究。症例数の変化のモデルには、回帰分析を用い、データは、州を超えてメタ解析でまとめた。その結果、学校閉鎖前の感染率は0.131 (95% C.I.: 0.120, 0.141)/日で、閉鎖後から在宅指示までの感染率は0.104 (95% C.I.: 0.097, 0.111)/日であり、 感染率に大きなインパクトを与えたことが分かった。したがって、学校閉鎖は感染率を下げるための実行可能な介入として考慮される可能性がある。

著者名:Staguhn ED, Castillo RC, Weston-Farber E
論文名:The impact of statewide school closures on COVID-19 infection rates
雑誌名:Am J Infect Control.2021.DOI:10.1016/j.ajic.2021.01.002.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0196655321000018?via%3Dihub


 

【2021年2月4日 掲載】
(Mechanism)
1.COVID-19の重症化に関わるとされる多くの炎症性サイトカインの中で、TNF-αとIFN-γの協同的作用が引き金となって炎症性細胞死を誘導していることを、in vitroで示した論文です。培養細胞系では、TNF-αとIFN-γ添加はJAK/STAT1/IRF1系を活性化し、NO産生を誘導することでcaspase-8/FADDに媒介される細胞死を引き起こしました。マウスでは、両サイトカイン投与により致死的なサイトカインショックが起こりましたが、抗サイトカイン抗体投与により救命することが可能でした。サイトカインにより誘導される炎症性細胞死過程を阻害することで組織障害を軽減することは、COVID-19や他の感染症、自己炎症性疾患患者にとって有益である可能性があります。
著者名:Karki R, Sharma BR, Tuladhar S, et al.
論文名:Synergism of TNF-α and IFN-γ triggers inflammatory cell Death, tissue damage, and mortality in SARS-CoV-2iInfection and cytokine shock syndromes.
雑誌名:Cell.2020.DOI:10.1016/j.cell.2020.11.025
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7674074/
 
2.COVID-19重症化の年齢依存性に関わる機序を考察したレビューです。成人の重症化リスクを高める因子として、(1)内皮細胞障害と凝固能変化、(2)ACE2受容体の分布、親和性、(3)既存のコロナウイルスに対する免疫の存在、(4)免疫的老化、(5)高い基礎疾患保有率、(6)低ビタミンD、があげられます。小児の重症化リスクを下げる因子として、(1)自然および獲得免疫の違い、(2)頻回の他の感染症罹患、(3)既存のコロナウイルスに対する免疫の存在、(4)microbiotaの違い、(5)高いメラトニンレベル、(6)BCG、MMR、OPVなどの生ワクチン接種、(7) SARS-CoV-2への曝露強度が低いこと、などがあげられます。しかしながら、免疫能および内皮細胞および凝固能の変化を除いてはこれらの仮説は、60~70歳以降の急激なCOVID-19重症化リスク増大の説明にはなっておらず、今後の研究が必要です。
著者名:Zimmermann P, Curtis N.
論文名:Why is COVID-19 less severe in children? A review of the proposed mechanisms underlying the age-related difference in severity of SARS-CoV-2 infections.
雑誌名:Arch Dis Child.2020.DOI:10.1136/archdischild-2020-320338.
URL:https://adc.bmj.com/content/archdischild/early/2020/11/30/archdischild-2020-320338.full.pdf
 
3.COVID-19重症化の機序について、免疫学的な観点からも様々な知見が集積されてきています。COVID-19患者ではリンパ球数特にT細胞が減少する一方好中球数が増加することが示されており、サイトカインストームと制御性T細胞の抑制に伴う宿主免疫の過剰応答が疾患の重症化にかかわっていると考えられています。SARS-CoV-2感染者では、年齢依存性のリンパ球数減少が見られており、獲得免疫の減弱化、全身性の炎症反応の増強が高齢者の重症化に関与している可能性が考えられます。小児例のほとんどが軽症な理由を考えるうえで、小児の免疫学的特徴は重要です。T細胞レセプターの多様性やナイーブT細胞の占める割合は加齢とともに低下し、また小児のナイーブT細胞は制御性T細胞へ分化しやすい特徴があります。ウイルス感染に伴い、成人では自然免疫記憶(Trained immunity)とメモリーT細胞を介した強力な免疫誘導により重症化しやすく、一方、小児ではそれらがいずれも未熟なため、効率的にウイルス特異免疫が誘導され、かつ過剰な宿主免疫応答が適切に制御されることによって重症化から逃れている可能性があります。
著者名:de Candia P, Prattichizzo F, Garavelli S, et al.
論文名:T Cells: Warriors of SARS-CoV-2 infection.
雑誌名:Trends Immunol.2020.DOI:https://doi.org/10.1016/j.it.2020.11.002.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/33277181
 
4.Down症候群の患児は、種々の呼吸器ウイルス感染症を含む様々な感染症を繰り返すことがよく知られています。その詳細なメカニズムは明らかではありませんが、炎症性サイトカインの過剰産生や抑制性サイトカインの産生低下、細胞性免疫能の低下など様々な機序が推測されています。一方で、COVID-19重症化の機序として、感染後の宿主免疫の過剰応答が示唆されており、これまでのDown症候群の免疫に関する研究成績からすると、Down症候群患児がCOVID-19に罹患した際に重症化する懸念があります。
著者名:Altable M, de la Serna,JM.
論文名:Down's syndrome and COVID-19: risk or protection factor against infection? A molecular and genetic approach.
雑誌名:Neurol Sci.2020.DOI:https://doi.org/10.1007/s10072-020-04880-x
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s10072-020-04880-x
 
5.COVID-19における宿主とウイルスの相互作用に関するレビューです。COVID-19では、抗ウイルス免疫反応とそれによる臓器炎症とのバランスが臨床経過を決定します。成人においては、コントロールできない炎症反応(サイトカインストーム)が疾患の進行と死亡を決定するとされるのに対し、小児ではほとんどが重症化しません。宿主の遺伝的な調節因子、年齢に関連する感受性、適切な免疫反応を起こす能力が、初期におけるウイルス量の制御と炎症反応の調節に重要な役割を果たすのでしょう。疾患の年齢、免疫状態、疾患の進展に応じた治療法を開発するには病態を解明することが必須です。
著者名:La Torre F, Leonardi L, Giardino G, et al.
論文名:Immunological basis of virus-host interaction in COVID-19.
雑誌名:Pediatr Allergy Immunol.2020.DOI:10.1111/pai.13363
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/pai.13363
 
6.Nrf2に関連する食品や栄養素がインスリン抵抗性を是正し、COVID-19の重症度に影響を与えるとする仮説の提唱です。COVID-19による死亡率には国によって、また国内においても地域によって差があります。死亡率の非常に低い東アジア、中央ヨーロッパ、バルカン諸国、アフリカでは多くの発酵食品を摂取しており、発酵食品の摂取は抗酸化転写因子であるNrf2(Nuclear factor-like2)を活性化します。Nrf2と相互作用する多くの栄養素には、インスリン抵抗性、内皮細胞障害、肺障害、サイトカインストームを低減させる作用があります。発酵食品は、同様の機序でCOVID-19 の重症度を軽減させるのではないでしょうか。
著者名:Bousquet J, Cristol JP, Czarlewski W, et al.
論文名:Nrf2-interacting nutrients and COVID-19: time for research to develop adaptation strategies.
雑誌名:Clin Transl Allergy.2020.DOI:10.1186/s13601-020-00362-7
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7711617/pdf/13601_2020_Article_362.pdf
 
7.要約データベースのメンデルランダム化解析法(SMR)により、COVID-19による呼吸器症状重篤化や入院などのリスクと多面的に関連する遺伝子を同定した研究です。血液で、IFNAR2にタグ付けされたILMN_1765146とILMN_1791057という2つのプローブが入院と関連していました。血液や肺で、その他に有意なプローブはありませんでしたが、炎症や免疫に関与するものや、PON2やHPS5など血液凝固に関連する遺伝子も指摘できました。本知見は、サイトカインストームと血栓症のメカニズム理解や効果的な治療の考察に有用と考えられます。
著者名:Liu D, Yang J, Feng B, et al.
論文名:Mendelian randomization analysis identified genes pleiotropically associated with the risk and prognosis of COVID-19.
雑誌名:J Infect.2020.DOI:10.1016/j.jinf.2020.11.031.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016344532030726X?via%3Dihub
 
8.英国のICU208施設のCOVID-19患者2,244名を対象に、重篤化に関与する遺伝素因を検討した研究です。抗ウイルス制限酵素活性化因子(OAS1、OAS2、OAS3)をコードする遺伝子クラスターのchr12q24.13、チロシンキナーゼ2(TYK2)をコードする遺伝子近傍のchr19p13.2、ジペプチジルペプチダーゼ9(DPP9)をコードする遺伝子内のchr19p13.3、インターフェロン受容体遺伝子IFNAR2内のchr21q22.1に注目しました。メンデルランダム化解析法により、IFNAR2の低発現およびTYK2の高発現は生命を脅かす病態との因果関係、肺組織におけるトランスクリプトーム全般の関連性により、単球/マクロファージ走化性受容体CCR2の高発現はCovid-19重症化と関連している可能性が示されました。本研究結果はCovid-19に対する既存薬剤による標的治療に応用できる可能性がありますが、大規模なランダム化臨床試験による確認が不可欠です。
著者名:Pairo-Castineira E, Clohisey S, Klaric L, et al.
論文名:Genetic mechanisms of critical illness in Covid-19.
雑誌名:Nature.2020.DOI:10.1038/s41586-020-03065-y.
URL:https://www.nature.com/articles/s41586-020-03065-y
 
(Diagnosis)
1.SARS-CoV-2関連の小児神経疾患についての論文です。2020年4月30日~9月8日の間に認められたSARS-CoV-2感染による脳症や異常な神経画像についての報告を求めたところ、報告基準を満たした38症例が8か国から報告されました。画像異常は16例がADEM様、13例が神経炎、8例が脊髄炎、7例で血管炎/血栓症の所見認めました。MIS-Cの11人中7人で脳梁膨大部に画像異常を、4例に顔や首の筋炎を認めました。予後は、大部分が正常か軽度の神経学的後遺症のみでしたが、結核などの重感染のあった4人は全例死亡しました。
著者名:Lindan CE, Mankad K, Ram D, et al.
論文名:Neuroimaging manifestation in children with SARS-CoV-2 infection:a multinational,multicentre collaborative study
雑誌名:The Lancet Child &Adolescent Health. 2020 Dec 16.DOI:10.1016/S2352-4642(20)30362-X
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S235246422030362X?via%3Dihub
 
2.IFN-Ⅰの測定に関する報告です。重症COVID-19ではIFN-Ⅰが少ないため免疫調節ができずサイトカインストームになると考えられています。そのためIFN-Ⅰの定量により重症度が予測できます。従来使用していたSIMOA®Nanostring®でのIFN測定は有用ですが、手間と時間がかかります。FilmArray®を用いた測定は重症度に関わらずNanostring®と強く相関し、かつ2分の前処置と45分の測定時間で測定でき、臨床的に有用です。
著者名:Mommert M, Perret M, Hockin M, et al.
論文名:Type‐I Interferon assessment in 45 minutes using the FilmArray® PCR platform in SARS‐CoV‐2 and other viral infections
雑誌名:Eur J Immunol.2020.DOI:10.1002/eji.202048978
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/eji.202048978
 
3.小児の嗅覚機能障害を検討した論文です。SARS-CoV-2感染と非感染の2群で、嗅覚に関する問診と7つの匂い物質による匂い識別テストを行いました。問診では感染者の15%が無嗅覚/味覚障害を回答しましたが全員11歳以上でした。7つの匂いのうち識別できた数の中央値は、感染群で3、非感染群で4でした。感染1か月後、感染群で匂いを誤認識するケースが認められました。小児は鼻粘膜に発現するACE2が成人より未発達なので嗅覚機能障害が少ないと考えられています。
著者名:Concheiro-Guisan A, Fiel-Ozores A, Novoa-Carballal R, et al.
論文名:Subtle olfactory dysfunction after SARS-CoV-2 virus infection in children.
雑誌名:Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2021.DOI:10.1016/j.ijporl.2020.110539
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0165587620306820?via%3Dihub
 
4.COVID-19を予測するマーカーに関する論文です。無症候のCOVID-19小児と非感染小児の2群間で複数のマーカーを比較しました。リンパ球数と平均血小板容積(MPV)で有意差認めました。MPVのカットオフ値は>8.74flで、感度81.82%・特異度95%でした。一方、リンパ球数のカットオフ値は2120mm3で、感度49.09%・特異度86.67%でした。これらが小児の感染予測マーカーとなるかは、大規模な症例数での検証が必要です。
著者名:Gumus H, Demir A, Yükkaldıran A.
論文名:Is mean platelet volume a predictive marker for the diagnosis of COVID-19 in children?
雑誌名:Int J Clin Pract.2020.DOI:10.1111/ijcp.13892
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ijcp.13892
 
5.イスラエルのデータベースから得られたSARS-CoV-2感染前および感染中の症状の縦断的動態です。206,377(小児21,567)人の中で2,471(小児862)人の陽性症例の一般的な症状は、発熱、咳、倦怠感でした。検査3週間前の味覚と嗅覚の喪失は、COVID-19の特異的な症状でした。結膜炎、発疹、喉の痛み、呼吸困難、言語障害は、成人に比して小児でよくみられました。回復するまでの期間は23.5±9.9日で、小児は成人と比較して有意に短かくなっています。
著者名: Mizrahi B, Shilo S, Rossman H, et al.
論文名: Longitudinal symptom dynamics of COVID-19 infection.
雑誌名: Nat Commun.2020.DOI:10.1038/s41467-020-20053-y.
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-020-20053-y
 
6. 乾燥血液スポット(DBS)検査は、侵襲性が最小限であり、検体が静脈穿刺せずに検査室に郵送されるなど、大きな利点があります。DBS検体中のSARS-CoV-2受容体結合ドメインIgG抗体を検出するために、酵素免疫測定法を使用して、新生児スクリーニング検査を利用しました。血清抗体陰性および陽性の被験者とPCR陽性の被験者に検査を行い、DBS検体からの抗体の抽出効率は>99%でした。DBS標本は、周囲の室温および湿度で少なくとも28日間安定でした。SARS-CoV-2受容体結合ドメインIgG抗体は、DBS検体で確実に検出できます。
著者名:Moat SJ, Zelek WM, Carne E, et al.
論文名: Development of a high-throughput SARS-CoV-2 antibody testing pathway using dried blood spot specimens.
雑誌名: Ann Clin Biochem. 2020.DOI:10.1177/0004563220981106.
URL: https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0004563220981106?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub++0pubmed&
 
7. サンパウロ市に入院した34名のCOVID-19が確認された小児患者に対して肺エコーが、熟練した小児救急医にて実施されました。18人は肺エコーに異常がありましたが、その中の8人は胸部X線では正常と判定されました。重度、中等度、軽度の小児の肺エコースコアの中央値(範囲)は、17.5(2〜30)、4(0〜14)、0(0〜15)でした(p= 0.001)。12人に行われた胸部CTの所見は、肺エコー得られた情報と一致していました。診療現場における肺エコーは、COVID-19の小児の肺障害を評価する上で重要な役割を果たすかもしれません。
著者名:Giorno EPC, De Paulis M, Sameshima YT, et al.
論文名: Point-of-care lung ultrasound imaging in pediatric COVID-19.
雑誌名: Ultrasound J.2020.DOI:10.1186/s13089-020-00198-z.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7702205/
 
8.唾液がSARS-CoV-2 PCRの検体として妥当かどうかを検討した論文です。成人と小児を合わせた300人から唾液および鼻咽頭ぬぐい液をペアで採取し解析しています。32.2%(97/300)がPCR陽性で、唾液と鼻咽頭ぬぐい液の全体の一致率はそれぞれ91.0%(273/300)、94.7%(284/300)でした。陽性一致率は、それぞれ81.4%(79/97)、89.7%(87/97)でした。低コストで自己採取が可能な唾液は、成人および小児においてPCR検体として鼻咽頭ぬぐい液の代替となり得ることが示されました。
著者名:Yee R, Truong T, Pannaraj PS, et al.
論文名:Saliva is a promising alternative specimen for the detection of SARS-CoV-2 in children and adults.
雑誌名:J Clin Microbiol.2020.DOI:10.1128/JCM.02686-20.
URL:https://jcm.asm.org/content/early/2020/11/24/JCM.02686-20.long
 
9.COVID-19診断のための胸部画像検査に関するコクランレビューです。全体で34件(胸部CTは31件、胸部X線は3件、肺超音波は1件)の研究が検討されています。結果を統合すると、COVID-19疑い患者において胸部CTの感度は89.9%(95%信頼区間85.7-92.9)、特異度は61.1%(95%信頼区間42.3-77.1)でした。胸部X線では感度56.9〜89.0%、特異度11.1〜88.9%でしたが、件数が少なくメタ解析を行えませんでした。COVID-19診断において胸部CTは感度が高いものの、特異度は中等度であり、他の呼吸器疾患からCOVID-19を鑑別する能力は限定的である可能性が示されました。
著者名:Islam N, Salameh JP, Leeflang MM, et al.
論文名:Thoracic imaging tests for the diagnosis of COVID-19.
雑誌名:Cochrane Database Syst Rev.2020.DOI:10.1002/14651858.CD013639.pub3.
URL:https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD013639.pub3/full
 
10.7つの血清学的アッセイの妥当性を多施設で検討したイスラエルからの報告です。698名のSARS-CoV-2 PCR陽性患者からの血清と2391の陰性サンプルを解析した結果、アッセイの感度は81.5〜89.4%、特異度は97.7〜100%でした。偽陽性率が小児で増加することはなく、重症度と抗体価には正の相関が認められ、PCR陽性後の最初の8週間で抗体価の低下は認められませんでした。PCR陽性患者の約5%が抗体陰性の無反応者であり、再感染のリスクがあると考えられました。
著者名:Oved K, Olmer L, Shemer-Avni Y, et al.
論文名:Multi-center nationwide comparison of seven serology assays reveals a SARS-CoV-2 non-responding seronegative subpopulation.
雑誌名:EClinicalMedicine.2020.DOI:10.1016/j.eclinm.2020.100651. Epub 2020 Nov 19.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589537020303953?via%3Dihub
 
11.小児においてどのような症状があるとSARS-CoV-2 PCR検査が陽性になりやすいかを検討した報告です。2020年4月~9月にカナダにおいて、何らかの症状を認め検査が行われた患者、および接触者調査が行われた患者(いずれも18歳未満)を対象としています。気道検体を用いたSARS-CoV-2PCR検査が陽性となる要因を尤度比で表しています。検査対象者2,463例のうち1987例(平均年齢9.3歳)が陽性となり、476例(平均年齢8.5歳)が陰性でした。SARS-CoV-2PCR陽性患者の内、714 例(35.9%)は無症状でした。咳嗽 (24.5%)と鼻汁 (19.3%)は陽性者の多くに認められた所見でしたが、陰性者にも多く認められ、陽性尤度比は咳嗽の場合は0.96(95%信頼区間[CI] 0.81–1.14)、鼻汁の場合は0.87(95%CI 0.72–1.06)と有意ではありませんでした。SARS-CoV-2PCR検査陽性を示唆する症状の陽性尤度比は、味覚異常・嗅覚異常で7.33(95% CI 3.03–17.76)、嘔気・嘔吐で5.51 (95% CI 1.74–17.43)、頭痛で2.49 (95% CI 1.74–3.57)、発熱で1.68 (95% CI 1.34–2.11)でした。味覚・嗅覚異常、嘔気・嘔吐、頭痛をすべて認めた場合の陽性尤度比は65.92 (95% CI 49.48–91.92)でした。
このように、SARS-CoV-2 PCRが陽性であった小児の3分の2に症状を認め、PCR検査陽性を予見する所見として、味覚・嗅覚異常、嘔気・嘔吐、頭痛、発熱が挙げられました。その一方で、これらの症状の頻度はPCR検査陽性者においても、味覚・嗅覚異常(7.7%)、嘔気・嘔吐(3.5%)、頭痛(15.7%)、発熱(25.5%)と低く、陰性所見が除外には役立たないことに注意が必要です。なお、5歳未満の小児のみを対象とした分析は行われていませんでした。
著者名:King JA, Whitten TA, Bakal JA, et al.
論文名:Symptoms associated with a positive result for a swab for SARS-CoV-2 infection among children in Alberta
雑誌名:CMAJ.2021. DOI:10.1503/cmaj.202065.
URL:https://www.cmaj.ca/content/early/2020/11/23/cmaj.202065.long
 
12.COVID‐19 の予後予測としてのサイトカイン・ケモカインの有用性を検討した報告です。COVID-19陽性小児(30例)および成人(30例)の急性期血清、および健常小児(15例)と成人(15例)からの血清を用いて、サイトカイン・ケモカインを25種類測定しています。感染者血清のInterferon gamma‐induced protein 10 (IP‐10)とmacrophage inflammatory protein (MIP)−3βは小児・成人に関わらず健常者より高値でした。軽症・中等症と重症者の比較から、IP-10は小児・成人において、IL-6は成人において重症度を反映させる指標であることが示唆されました。
著者名:Ozsurekci Y, Aykac K, Er AG, et al.
論文名:Predictive value of cytokine/chemokine responses for the disease severity and management in children and adult cases with COVID-19
雑誌名:J Med Virol.2020.DOI:10.1002/jmv.26683
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jmv.26683
 
13.小児におけるSARS-CoV-2抗体価の変動に関する初めての報告です。 英国における2–15 歳児を対象とした多施設コホート研究で、2020年4月から8月にかけ抗SARS-CoV-2抗体価を2種類の検査法で測定しています。陽性率は初回検査時6.9%(68/992)、2回目は7.66%(65/849)と大きな増加を認めませんでした。抗体陽性者の年齢中央値は10歳で地域差を認めました。62日の間隔(中央値)をあけて測定が行われ、初回陽性で2回目の測定が行われた45例については抗体の上昇が認められました。Roche社検査法による測定では84.7 cutoff index (COI)から115.8 COIへと優位に上昇 (p=0.0007)し, DiaSorin社の検討でも 67.5 AU/mLから81.4 AU/mL へ上昇しています(p=0.0452)。このように抗体の変動については成人と同様の傾向が認められ、2か月間は抗体が持続され、上昇する事が確認されました。
著者名:Roarty C, Tonry C, McFetridge L, et al.
論文名:Kinetics and seroprevalence of SARS-CoV-2 antibodies in children
雑誌名:Lancet Infect Dis.2020. DOI:10.1016/S1473-3099(20)30884-7.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1473309920308847?via%3Dihub
 
(Transmission)
1.COVID-19と診断された妊婦について2020年6月26日までに報告された研究をPubMed、Scopus、Web of Science、MedRxivから抽出し、系統的レビューを行いました。161の論文から抽出した3,985人の妊婦のうち2,059例で転帰が示されており、流産42例、死産21例、出生2,015例でした。23%が早産となり、約6%の妊婦は集中治療室へ入院し28例が死亡しました。新生児の死亡は10例でした。羊水、胎盤、臍帯血のSARS-CoV-2の検討では163例中10例が陽性で、61人の新生児がSARS-CoV-2陽性となりました。92例中4例の母乳でSARS-CoV-2が陽性でした。本検討で妊婦から新生児へ垂直感染する可能性が示唆されましたが、分娩中の検体(羊水、胎盤、臍帯血)のSARS-CoV-2を検討した症例の報告数は充分ではありませんでした。報告された研究間でかなり不均質であったため、メタ分析ができなかったことも限界の一つです。
著者名:Rodrigues C, Baía I, Domingues R, et al.
論文名:Pregnancy and Breastfeeding During COVID-19 Pandemic: A Systematic Review of Published Pregnancy Cases.
雑誌名:Front Public Health. 2020.DOI:10.3389/fpubh.2020.558144. eCollection 2020.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7719788/pdf/fpubh-08-558144.pdf
 
2.小児がSARS-CoV-2の伝播にどのような役割を果たしているかについて、以前の迅速レビューに、今回33の論文を新たに加えアップデートしています。小児の感受性や伝播を十分なエビデンスとともに示した論文は15編ありましたが、学校における伝播のデータは殆どありませんでした。COVID-19の学校でのoutbreakの論文は3つ(フランス、オーストラリア、イスラエル)ありました。うち、イスラエルでは、学校が再開してから50日以内に発症者が2倍以上になり、その中心は10-19歳でした。ただし学校再開と同時に、他の社会活動も再開されていたために、学校再開のみが理由ではないと思われました。一方、学校での感染はないとの報告も4つありました。確認できた29か国におけるCOVID-19患者に占める小児の割合は0.3-13.8%でした。本検討にはいくつかの限界があるものの、小児と学校はCOVID-19の伝播において限定的な役割しかないことが示唆されました。
著者名:Li X, Xu W, Dozier M, et al.
論文名:The role of children in the transmission of SARS-CoV2: updated rapid review.
雑誌名:J Glob Health. 2020.DOI:10.7189/jogh.10.021101.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7719356/pdf/jogh-10-021101.pdf
 
3. SARS-CoV-2の家庭内の二次感染について系統的レビュー・メタ解析し、他の新興コロナウイルスと比較しました。2020年10月19日までに報告された論文をPubMedから検索し、54の論文(77,758例)を抽出しました。SARS-CoV-2の推定家庭内感染は16.6%(95%信頼区間14.0-19.3%)であり、SARS-CoV(7.5% [4.8-10.7%])およびMERS-CoV(4.7% [0.9-10.7%])より高頻度で見られました。家庭内の二次感染は、有症状例(18.0% [14.2-22.1%])からの感染が無症状例(0.7% [0-4.9%])からより多く、成人(28.3% [14.2-22.1%])への感染が小児(16.8% [12.3-21.7%])への感染より多く、配偶者(37.8% [25.8-50.5%])への感染が他の家族(17.8% [11.7-24.8%])への感染より多く、同居家族が1人の家庭(41.5% [31.7-51.7%])における感染が3人以上の家庭(22.8% [13.6-33.5%])における感染より多いことが示されました。
著者名:Madewell ZJ, Yang Y, Longini Jr IM, et al.
論文名:Household Transmission of SARS-CoV-2: A Systematic Review and Meta-analysis.
雑誌名:JAMA Netw Open.2020.DOI:10.1001/jamanetworkopen.2020.31756.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2774102
 
4.イングランドの夏の中間休暇(2020年6月〜7月)における教育現場のスタッフと生徒のSARS-CoV-2感染とアウトブレイクの発生率を前向き横断的分析で推計した論文です。
SARS-CoV-2感染の単独症例は113例、集団発生は9例、55件のアウトブレイクがあり、市中での発生率が人口10万人あたり5例増えるごとにアウトブレイクのリスクは72%(95%信頼区間 28–130)増加しました(p <0.0001)。1日10万人あたりの発生率はスタッフで27例(23–32)、幼児教育の児童で18例(14–24)、初等教育の生徒で6.8例(4.3–8.2) 、中等教育の生徒で6.8例(7–14)であり、スタッフの方が生徒より高くなっていました。また、アウトブレイクとリンクを認めた症例はスタッフの方が生徒よりも多くなっていました(210例中スタッフ154例(73%)、生徒56例(27%))。感染伝播は、スタッフからスタッフへが26件、スタッフから生徒が8件、生徒からスタッフが16件、生徒から生徒が5件でした。アウトブレイクに関連した二次感染者数の中央値は、生徒が発端者の場合1(IQR 1–2)、スタッフが発端者の場合1(1〜5)でした。教育現場でのアウトブレイクと地域のCOVID-19の発生率との強い関連性は、教育現場を保護するためには市中での感染を制御することが重要であることを強く示しています。介入策はスタッフ内およびスタッフ間での感染伝播を減らすことに焦点を当てるべきです。
著者名:Ismail SA, Saliba V, et al.
論文名:SARS-CoV-2 infection and transmission in educational settings: a prospective, cross-sectional analysis of infection clusters and outbreaks in England.
雑誌名:Lancet Infect Dis 2020. DOI:https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30882-3
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1473309920308823?via%3Dihub
 
5.SARS-CoV-2の感染伝播における小児の役割については、依然として議論の余地があります。 この問題に対処するために、家庭内でのSARS-CoV-2感染クラスターに関する公開された文献のメタ解析を実施しました(12か国から213のクラスター)。わずか8例(3.8%)のクラスターでのみ小児が発端者であると特定されました。無症候性発端者は症候性発端者よりも接触者の二次感染が少ないことに関連していました(推定リスク比[RR] 0.17; 95%信頼区間 0.09-0.29)。 小児の家庭内接触者における二次発病率は成人の家庭内接触者よりも低値でした(RR 0.62 [0.42-0.91])。 これらのデータは、COVID-19のワクチンの優先順位をつける戦略を含むパンデミックの継続的な対応を行うにあたって重要な意味を持っています。
著者名:Zhu Y, Bloxham CJ, et al.
論文名:A meta-analysis on the role of children in SARS-CoV-2 in household transmission clusters.
雑誌名:Clin Infect Dis Clinical Infectious Diseases, December 2020.DOI:https://doi.org/10.1093/cid/ciaa1825
URL:https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa1825/6024998
 
6. 2020年10月31日までの時点で発表されたCOVID-19と診断された妊婦に関連する70編の論文から、1,457例の陽性妊婦と1,042例の出生児に関する系統的レビューです。1,339例(91.9%)が妊娠第3三半期で、分娩形式は597例(57.3%)は選択的帝王切開、36例(3.4%)は緊急帝王切開、364例(34.9%)は自然分娩でした。187人(17.9%)の新生児はNICU管理を要し、新生児死亡と胎児子宮内死亡の合計は16例(1.5%)でした。 流産は7例(0.7%)、早産は64例(6.1%)、子宮内胎児機能不全は28例(2.7%)、胎動減少は19例(1.8%)、重症新生児仮死は5例(0.5%)、低出生体重(<2500 g)は4例(0.3%)でした。SARS-CoV-2陽性新生児は合計39例(3.7%)であり、胎盤13検体、母乳6検体からSARS-CoV-2が検出されました。母親からの新生児への感染は多くありませんが、すべての新生児をフォローアップすることが重要です。
著者名:Amaral WN, Moraes CL, Rodrigues APS, et al.
論文名:Maternal Coronavirus Infections and Neonates Born to Mothers with SARS-CoV-2: A Systematic Review.
雑誌名: Healthcare.2020.DOI:10.3390/healthcare8040511
URL:https://www.mdpi.com/2227-9032/8/4/511
 
7. 貧困層の割合が多いミシガン州デトロイトにおける小児の家庭内感染のパターンの調査です。2020年3月12日から6月15日にミシガンこども病院においてPCRまたは抗体検査でCOVID-19と診断された71例の小児患者について、カルテ情報から発症前の有症状接触者の有無を後方視的に検討しました。年齢中央値は6歳で、45例(85%)がアフリカ系アメリカ人でした。小児では家庭内曝露が多くを占めるという過去の報告と異なり、30例(42%)のみが家庭内曝露歴を有しており、その多く(23例)は親が感染源でした。なお、電話での追跡調査がなされた61例において、6週間以内の子どもから大人への感染は1例も確認されませんでした。
発症後の厳密な隔離措置やソーシャル・ディスタンスを取ることが難しい集団(貧困層が住む都市部)では、小児も家庭外で感染する可能性が高くなり、感染予防策には地域における要因や疫学を考慮に入れる必要があります。
著者名:Chaya Pitman-Hunt, Jacqueline Leja, Zahra M Jiwani, et al.
論文名:SARS-CoV-2 Transmission in an Urban Community: The Role of Children and Household Contacts.
雑誌名:J Pediatric Infect Dis Soc.DOI:10.1093/jpids/piaa158.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7717291/
 
(Treatment)
1. 欧州呼吸器学会(ERS)の小児科会議のメンバーを対象に、小児COVID-19の重症化に関する調査が行われました。174医療機関から945人の小児COVID-19症例の情報が報告されました。このうち、約10%の小児が基礎疾患として呼吸器疾患を有していました。喘息と嚢胞性線維症(CF)の小児では、SARS-CoV-2に感染しても持ちこたえましたが、希ではありますが気管支肺異形成症(BPD)やその他の呼吸器疾患を有する小児はSARS-CoV-2感染により人工呼吸器を装着する必要性があったことから、これらの基礎疾患はSARS-CoV-2感染による重症化リスクが高いことが示唆されました。BPDに加えて、喘息・CF以外の呼吸器疾患を有する小児は隔離(常に家にいて、家庭内でも2mの距離を保つ)が有効であることが示唆されました。
著者名:Moeller A, Thanikkel L, Duijts L, et al.
論文名:COVID-19 in children with underlying chronic respiratory diseases: survey results from 174 centres
雑誌名:ERJ Open Res.2020.DOI:10.1183/23120541.00409-2020
URL:https://openres.ersjournals.com/content/6/4/00409-2020
 
(小児多系統炎症性症候群(Multisystem Inflammatory syndrome in children:MIS-C)と小児炎症性多系統症候群(Pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS))
1. 米国フィラデルフィア小児病院におけるMIS-Cの症例のSARS-CoV-2に対する抗体価を検索した研究です。無症状か軽症の小児(10例)、重症例(9例)、MIS-C (10例)の3群に分け、ウイルスの幾つかの蛋白に対する抗体価を検索しました。その結果、MIS-Cの症例は、重症例に比べ、SARS-CoV-2のSpike蛋白に対するIgG抗体が高いことが分かりました。このことから、MIS-Cの症例は、感染の発症からの時間が長いことが示唆されました。
筆者名: Anderson EM, Diorio C, Goodwin EC, et al.
論文名:SARS-CoV-2 antibody responses in children with MIS-C and mild and severe COVID-19
雑誌名:J Pediatr Infect Dis Soc. 2020
URL:https://academic.oup.com/jpids/advance-article/doi/10.1093/jpids/piaa161/ 6017296
 
2. 50例の小児SARS-CoV-2感染症入院例(軽症COVID-19 21例、重症COVID-19 11例、MIS-C 18例)について、補体の活性化および血栓性微小血管障害(TMA)のバイオマーカーとして血清中の可溶性C5b9(sC5b9)を測定しました。sC5b9の中央値は健常児57ng/mlと比べて軽症392ng/ml、重症646ng/ml、MIS-C 630ng/mlと全てで上昇しており、sC5b9と血清クレアチニンに正の相関を認めました。確認できた19例中17例(89%)はTMAの診断基準を満たし、TMAとの関連についてさらなる検討が必要です。
著者名:Diorio C, McNerney K, Lambert M, et al.
論文名:Evidence of thrombotic microangiopathy in children with SARS-CoV-2 across the spectrum of clinical presentations.
雑誌名:Blood Adv.2020.DOI:10.1182/bloodadvances. 2020003471.
URL: https://ashpublications.org/bloodadvances/article/4/23/6051/474421/Evidence-of-thrombotic-microangiopathy-in-children
 
3. イタリア、エミリア・ロマーニャでのCOVID-19流行時(2020年2月から4月)に地域の医療機関を受診した患者の心血管症状をまとめ、流行前と比較した観察研究の結果です。期間中に川崎病8名、心筋炎1名、MIS-C4名が診断されましたが、SARS-CoV-2感染が認められたのはMIS-Cの患者のみでした。治療にはよく反応し、合併症もなく治癒しています。川崎病の臨床経過はCOVID-19流行前の川崎病と変わりませんでした。
著者名:Marianna Fabi, Emanuele Filice, Laura Andreozzi, et al.
論文名:Spectrum of cardiovascular diseases in children during high peak COVID-19 period infection in Northern Italy: is there a link?
雑誌名:J Pediatric Infect Dis
URL: https://doi.org/10.1093/jpids/piaa162
 
4. スペインの47のPICUにおける45名のMIS-C小児例と29名の非MIS-C小児例(重症肺炎)の臨床像を前方視的に比較した研究です。MIS-Cの症例は、非MIS-C症例に比べ幾つかの特徴が明らかになりました。その特徴とは、年齢が高いこと、既往歴が少ないこと、発熱、下痢、嘔吐、疲労、ショック、心機能異常などの症状の頻度が高いこと、一方で、呼吸窮迫の頻度が低いことが明らかになりました。また、検査では、リンパ球数とLDHが低いこと、好中球数, 好中球/リンパ球比, CRP、プロカルシトニンが高いことが分かりました。また、人工呼吸管理は少なく、血管作動薬、ステロイド、免疫グロブリンの使用が多いことも分かりました。3名の死亡例がありましたが、MIS-Cには死亡例は認めませんでした。
筆者名:García‑Salido A, de Carlos Vicente JC, Hofheinz SB et al.
論文名:Severe manifestations of SARS‑CoV‑2 in children and adolescents: from COVID‑19 pneumonia to multisystem inflammatory syndrome: a multicentre study in pediatric intensive care units in Spain
雑誌名:Crit Care. 2020; 24:666
URL: https://doi.org/10.1186/s13054-020-03332-4
 
5.COVID-19とMIS-Cの小児入院例のうち皮膚粘膜病変を伴う症例の臨床的特徴を検討した成績です。COVID-19の33%(4/12)、MIS-Cの47%(9/19)に発疹または粘膜炎を認めました。皮膚粘膜病変を伴う症例はPICUへの入院、人工換気例が少なく、MIS-CにおいてはCRP、フェリチン、D-ダイマー、トロポニンが低値でした。また、川崎病の診断基準を満たした症例はありませんでした。皮膚粘膜病変を伴う症例では両疾患の重症度が低い可能性が示唆されます。
著者名:Rekhtman S, Tannenhaum R, Strunk A, et al.
論文名:Mucocutaneous disease and related clinical characteristics in hospitalized children and adolescents with COVID-19 and MIS-C.
雑誌名:J Am Acad Dermatol. 2020.
DOI:10.1016/j.jaad.2020.10.060. Online ahead of print.
URL: https://www.jaad.org/action/showPdf?pii=S0190-9622%2820%2932872-3
 
6.ニューヨーク市内の2つの医療機関に2020年4月1日から7月14日までにMIS-Cで入院した35名(うち疑い例10名)の小児患者を対象にMIS-C患者の皮膚病変について調査した研究です。35名中29名が粘膜病変を認め、内訳は結膜充血が最多で21名、掌蹠紅斑18名、口唇充血17名、そのほか眼窩周囲紅斑および浮腫、いちご舌、頬部紅斑となっています。粘膜病変は発熱後2.7日(範囲:1-7日)で発症し、5日間(範囲:0-11日)継続していますが、粘膜病変の有無とMIS-Cの重症度に相関はありませんでした。
著者名:Trevor K. Young, Katharina S. Shaw, Jinal K. Shah, et al.
論文名:Mucocutaneous Manifestations of Multisystem Inflammatory Syndrome
in Children During the COVID-19 Pandemic.
雑誌名:JAMA Dermatol. DOI:10.1001/jamadermatol.2020.4779
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2773994?alert=article
 
(School closure)
1.COVID-19パンデミック下の学校閉鎖は、身体的な影響に加え、精神的健康や社会経済的部分にも影響を及ぼす、というインドネシアの報告です。調査は2020年4月に11〜17歳(平均年齢14.1歳)の113人を対象として、彼らの感情と行動に関する問題点の調査をSDQ(Strength and Difficulties Questionnaire:子どもの強さと困難さアンケート)を用いてオンラインで行いました。その結果、学校閉鎖の間、青少年は感情的および行動上の問題を抱えるリスクがありました(総合的困難さ14.2%、仲間関係の問題38.1%、向社会的な行動28.3%、行為の問題15%、情緒の問題10.6%)。遠隔教育、遠隔相談など実質上の活動環境を整え、学校との関係を維持することで精神衛生の維持が可能になると思われます。
著者名:Wiguna T, Anindyajati G, Kaligis F, et al.
論文名:Brief Research Report on Adolescent Mental Well-Being and School Closures During the COVID-19 Pandemic in Indonesia.
雑誌名:Front Psychiatry. 2020.DOI:10.3389/fpsyt.2020.598756. PMID:33312144.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7704451/
 
2.COVID-19パンデミック下の学校閉鎖での学習成果についてのスイスからの報告です。28,685人の生徒の数学と語学の学業成績を、閉鎖中・閉鎖前のそれぞれ8週間の期間についてモデル解析を用いて比較しています。中等学校の生徒は、学習向上の点で学校閉鎖の影響をほとんど受けていませんでしたが、初等学校の生徒は学習が遅くなり、同時に学習向上の個人間のばらつきが増加しました。遠隔授業は、少なくとも緊急時には対面学習の代わりになる効果的な手段であると思われますが、すべての生徒が同じ程度の恩恵を受けているわけではないと言えます。
著者名:Tomasik MJ, Helbling LA, Moser U.
論文名:Educational gains of in-person vs. distance learning in primary and secondary schools: A natural experiment during the COVID-19 pandemic school closures in Switzerland.
雑誌名:Int J Psychol. 2020.DOI:10.1002/ijop.12728.  PMID:33236341.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijop.12728
 
3. 幼稚園・学校でのCOVID-19小児発端者から他の幼児・生徒等へのSARS-CoV-2感染に関する韓国からの報告です。韓国では幼稚園・学校の始業を3回にわたって遅らせ、オンライン授業は2020年4月9日から、対面授業は5月20日から、学年の状況に応じて始めました。対面授業再開後に小児症例の急激な増加はなく、全国総数に占める小児の割合は約7.0%でした。夏休み前の7月31日時点で、38施設から44人の小児がCOVID-19と診断され、13,000人以上の小児(幼稚園から高校3年)と教職員が検査を受けましたが、同じクラスで二次感染していたのは小学生1人だけでした。感染経路不明の感染者の割合は、低学年(幼稚園・小学校)では17.4%、高学年(中学校・高校)では52.4%でした(p= 0.014)。家族から感染した割合は、低学年では78.3%、高学年では23.8%でした(p<0.001)。韓国では学校閉鎖からオンライン授業、対面授業へと移行する中で、小児の集団発生は発生しませんでした。
著者名:Yoon Y, Kim KR, Park H, et al.
論文名:Stepwise School Opening and an Impact on the Epidemiology of COVID-19 in the Children.
雑誌名:J Korean Med Sci. 2020.DOI:10.3346/jkms.2020.35.e414. PMID: 33258334.
URL:https://jkms.org/DOIx.php?id=10.3346/jkms.2020.35.e414
 
4. 幼稚園および学校再開後のCOVID-19の二次感染に関するイタリアからの観察研究です。2020年9月に再開したイタリア北部の州にある36の学校・幼稚園の41クラス(教師209名、小児1,039名)において、再開後1か月間にSARS-CoV-2のクラスターが9つ発生し、二次感染例を38名認めました。二次発病率は職員を含めた全体では3.2%で、中学・高校生では6.6%に達しましたが幼稚園や職員間での伝播はありませんでした。COVID-19症例の迅速な隔離と接触者への検査は、幼稚園や学校のような環境においてウイルス伝播を減らすために効果的である可能性があります。
著者名:Larosa E, Djuric O, Cassinadri M, et al.
論文名:Secondary transmission of COVID-19 in preschool and school settings in northern Italy after their reopening in September 2020: a population-based study.
雑誌名:Euro Surveill. 2020.DOI:10.2807/1560-7917.ES.2020.25.49.2001911.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7730487/
 
5. COVID-19パンデミックによる学校閉鎖および運動競技中止期間の米国青年アスリートにおける精神的・身体的な健康、および生活の質に関する横断的研究です。13,002人の米国の青年アスリート(平均年齢16.3±1.2歳、女性52.9%)に匿名のオンライン調査が行われました。中等度から重度の不安症状を有した割合は女性で高くなっていました。(女性43.7%、男性28.2%)。うつ病症状の有病率はチームスポーツ参加者が最も高く(74.1%)、個人スポーツ参加者が最も低くなっていました(64.9%)。青年アスリートにおける精神的・身体的な健康、および生活の質は性別、学年、スポーツの種類、および貧困のレベルに応じて程度が異なっており、今後米国の運動接種の健康改善を目的とした政策立案・導入の際にはこれらの点を考慮する必要があります。
著者名: McGuine TA, Biese KM, Petrovska L, et al.
論文名:Mental Health, Physical Activity, and Quality of Life of US Adolescent Athletes During COVID-19-Related School Closures and Sport Cancellations: A Study of 13 000 Athletes.
雑誌名:J Athl Train. 2020.DOI:10.4085/1062-6050-0478.20.
URL:https://meridian.allenpress.com/jat/article-lookup/doi/10.4085/1062-6050-0478.20
 
6.COVID-19流行第一波の学校閉鎖中の運動促進に関する体育教師の行動についての研究です。フランス、イタリア、トルコの1,146人の体育教師(女性59.5%)を対象に、ロックダウンの前と途中で、生徒に対して学校外での運動を促進したかどうか、目標設定を支援したかどうか、運動について自己監視を奨励したか、という3つの行動についてオンライン調査を行いました。フランスの教師は3項目すべての行動が増加し、イタリアの教師は自己監視奨励のみが増加、トルコの教師は3項目すべての行動が減少していました。この違いは各国政府や教育機関の政策に関連している可能性があります。COVID-19流行中の運動促進に対する体育教師の役割は重要です。
著者名:Gobbi E , Maltagliati S , Sarrazin P, et al.
論文名:Promoting Physical Activity during School Closures Imposed by the First Wave of the COVID-19 Pandemic: Physical Education Teachers' Behaviors in France, Italy and Turkey. 
雑誌名:Int J Environ Res Public Health.2020. DOI:10.3390/ijerph17249431. 
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7767079/
 
7.COVID-19パンデミックに対する非医薬的介入(NPI;全国的な学校閉鎖と緊急事態宣言)が救急外来(ED)受診に与えた影響について検討した、日本の1施設からの後ろ向き研究です。パンデミック前(2015年~2019年)と、期間I(COVID-19第一波;2020年1月16日~3月1日)、期間Ⅱ(学校閉鎖;3月2日~4月15日)、期間Ⅲ(緊急事態宣言;4月16日~5月25日)において、全年齢層のED受診数を比較しました。パンデミック前と比較すると、ED受診数はⅠ、Ⅱ、Ⅲ全期間で有意に減少しました(23.1%、12.4%、24.0%)。トリアージレベル別ではより低い患者の受診数が減少し、年齢別では1~17歳の層で最も受診数が減少していました。救急車によるED受診数は、期間Iで8.3%増加しましたが、期間ⅡおよびⅢでは変化しませんでした。COVID-19パンデミック中のNPI適用によりED受診数が大幅に減少した可能性がありました。
著者名:Sekine I, Uojima H, Koyama H, et al.
論文名:Impact of non‐pharmaceutical interventions for the COVID‐19 pandemic on emergency department patient trends in Japan: a retrospective analysis.
雑誌名:Acute Med Surg. 2020.DOI:10.1002/ams2.603
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ams2.603
 
8. COVID-19パンデミック下での、子ども虐待やネグレクトに関連する救急外来(ED)受診についての米国からの報告です。2019年1月6日から2020年9月6日の期間について、National Syndromic Surveillance Program(NSSP)データを用いて子ども虐待とネグレクトに関連するED受診数、入院数、10万受診数あたりの割合を調査しました。パンデミックの間、すべての年齢層(0〜4、5〜11、および12〜17歳)において子ども虐待とネグレクトに関連するED受診総数は減少しましたが、入院に至った症例数の割合は2019年と比較して増加しており、パンデミック中に傷害の重症度は低下していなかったことが示唆されました。パンデミック下では、ストレス増加、学校閉鎖、収入の喪失、社会的孤立により、子ども虐待やネグレクトのリスクが高まっています。経済的支援や家庭向けの労働政策などの戦略の実施が、公衆衛生上の緊急事態において重要です。
著者名:Swedo E, Idaikkadar N, Leemis R, et al.
論文名:Trends in U.S. Emergency Department Visits Related to Suspected or Confirmed Child Abuse and Neglect Among Children and Adolescents Aged <18 Years Before and During the COVID-19 Pandemic — United States, January 2019–September 2020.
雑誌名:MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020.DOI:10.15585/mmwr.mm6949a1.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7737689/
 
9. 学校閉鎖が小児のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことは知られていますが、エビデンスが明示されている報告は多くありません。本研究は、英国において小児168人(7.6歳~11.6歳)を対象に、ロックダウン(学校閉鎖)前と実施中に、3種類の調査票を用いてメンタルヘルスを評価した研究です。検討の結果、ロックダウン実施中の小児は、ロックダウン前と比較し、有意に抑うつ症状が増加することが明らかになりました。
著者名:Giacomo B, Edwin SD, Anwyl-Irvine AL, et al.
論文名:Longitudinal increases in childhood depression symptoms during the COVID-19 lockdown.
雑誌名:Arch Dis Child.2020.DOI:10.1136/archdischild-2020-320372.
URL:https://adc.bmj.com/content/archdischild/early/2020/11/26/archdischild-2020-320372.full.pdf
 
10. 学校閉鎖が、小児の感情にどのような影響を与えるかについて検討したイランからの報告です。本研究は、学校閉鎖実施早期に、20,697人(平均年齢13.76歳)を対象に調査票を用いたインターネット調査により実施されました。学校や学習に対するポジティブな感情は、低学年・郊外在住・成績が良い生徒で高い傾向が認められました。
著者名:Mirahmadizadeh A, Ranjbar K, Shahriarirad R, et al.
論文名:Evaluation of students' attitude and emotions towards the sudden closure of schools during the COVID-19 pandemic: a cross-sectional study.
雑誌名:BMC Psychol.2020.DOI:10.1186/s40359-020-00500-7.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7744732/pdf/40359_2020_Article_500.pdf
 

【2020年12月14日 掲載】
(Mechanism)
1.小児のCOVID-19が軽症であることを、胸腺及びT細胞を鍵となる要素として考察しました。胸腺は胎児期・新生児期に活発に活動していますが、成人期に向けて萎縮しT細胞の減少につながります。制御性T細胞の減少は免疫反応の抑制を難しくさせ、重症のCOVID-19患者にみられるような過剰な炎症反応に導きます。COVID-19患者におけるリンパ球(特にT細胞)の減少も胸腺の働きで回復させることができます。成人男性に重症患者が多いとされていますが、男性の胸腺の退縮が女性より顕著であることも一因かもしれません。このため、治療のオプションとして胸腺の退縮を予防する、もしくは刺激する治療、例えば亜鉛、抗酸化物質、IL-7などが期待できるかもしれません。
著者名:Güneş H, Dinçer S, Acıpayam, et al.
論文名:What chances do children have against COVID-19? Is the answer hidden within the thymus?
雑誌名:Eur J Pediatr.2020.DOI:10.1007/s00431-020-03841-y
URL:https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00431-020-03841-y

2.SARS-CoV-2に感染した31人の母親(COVID-19発症から分娩までの日数は1-17日)を対象として母及び新生児の鼻咽頭スワブ、母の膣スワブ、母体血と臍帯血からの血漿、胎盤と臍帯の生検組織、羊水、母乳の各検体からウイルスゲノムを解析しました。さらに、母体血、臍帯血、母乳から抗SARS-CoV-2抗体を測定し、さらに3人の胎盤、母体血、臍帯血において炎症反応に関与する遺伝子の発現を調べました。31人中1人で母の血漿と膣粘膜、胎盤及び臍帯血、児の鼻咽頭スワブからウイルスRNAが検出され、胎内感染と確定診断されました。別の1人では胎盤と児の鼻咽頭スワブのウイルスRNAが陽性、臍帯血の抗SARS-CoV-2 IgM抗体が陽性で胎内感染が強く疑われました。また別の1人では母乳中のウイルスRNAとIgM抗体が陽性でした。胎盤組織における炎症に関与する遺伝子の発現および母体血中のサイトカイン分泌を網羅的に解析した3人(含、上述の胎内感染を伴った2人)のうち、胎内感染の2症例ではSARS-CoV-2未感染妊婦と比べて、炎症に関与する種々の遺伝子発現が亢進し、炎症性抗ウイルス性サイトカインの分泌が認められました。
今回のデータは、頻度は低いけれどもSARS-CoV-2の胎内感染が起こりうるという説を支持しています。これらの結果は、COVID-19感染妊婦の適切な産科管理、出産方法と時期を決定する上で役立つ可能性があります。
著者名:Fenizia C, Biasin M, Cetin I, et al.
論文名:Analysis of SARS-CoV-2 vertical transmission during pregnancy.
雑誌名:Nat Commun.2020.DOI:10.1038/s41467-020-18933-4.     
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-020-18933-4

3. 10,966例のCOVID-19罹患妊婦の特徴、臨床症状、母体および新生児の転帰に関する15か国、8文献からのreviewです。妊婦の5.25%が呼吸補助を受け、3.7%がICU管理となりました。妊婦は一般集団と比較して、COVID-19による呼吸器合併症の影響を受けていませんでした。妊婦死亡率は1.13%でしたが、その大多数がブラジルからの報告でした。早産が21%、死産が1.7%、新生児死亡が0.8%にみられました。筆者らは、COVID-19罹患妊婦の転帰は一般的なCOVID-19患者と違いがないとまとめ、その理由の一つとして、妊娠中はレニン・アンジオテンシン系(RAS)が血管収縮・炎症に繋がるACE-AngII-AT1軸から血管拡張・抗炎症に繋がるACE2-Ang-(1-7)軸へとシフトされることを考察で述べています。高齢、糖尿病、心血管疾患、高血圧によってACE2の発現が低下しRASが血管収縮・炎症にシフトしていると、SARS-CoV-2感染によってさらにACE2の発現が低下することで重症化に繋がると考えていますが、妊婦においても潜在するACE2欠乏があるとCOVID-19が重症化する可能性があります。
著者名: Figueiro-Filho EA, Yudin M, Farine D.
論文名:COVID-19 during pregnancy: an overview of maternal characteristics, clinical symptoms, maternal and neonatal outcomes of 10,996 cases described in 15 countries.
雑誌名:J Perinat Med 2020. DOI:10.1515/jpm-2020-0364.
URL:https://www.degruyter.com/view/journals/jpme/ahead-of-print/article-10.1515-jpm-2020-0364/article-10.1515-jpm-2020-0364.xml

(Diagnosis)
1.小児におけるCOVID-19回復後のSARS-CoV-2 real-time PCR再陽性の危険因子に関する中国からの報告です。14/38人(36.8%)がSARS-CoV-2再陽性となりましたが、家族内クラスター、白血球高値、PT延長が再陽性の危険因子でした。再陽性群では、CD4/CD8比が低い傾向にありました(入院2週間後はCD8が多い、退院2ヶ月後はCD4が少ない)。また、PCR陽性率は、発症時では鼻咽頭スワブが高く、回復期では肛門スワブが高い傾向にありました。
著者名:Peng D, Zhang J, Ji Y, et al.
論文名:Risk factors for re-detectable positivity in recovered COVID-19 children.
雑誌名:Pediatr Pulmonol.2020.DOI:10.1002/ppul.25116.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/ppul.25116

2.SARS-CoV-2の垂直・周産期感染に関するニューヨーク市の総合医療センターからの報告です。SARS-CoV-2陽性の母親100人(疑い1人)と出生児101人が対象でした。新生児101人に合計141回のSARS-CoV-2検査が行われ、2名が判定不能、1名が未検査でしたが、他の98人は全て陰性でした。母親が重症/最重症の場合は、母親が無症状/軽症と比較して、約1週間の早産、光線療法のリスク増加を認めました。多くの新生児が母児同室での直接母乳でしたが、垂直感染の臨床的な証拠はなかったと考察しています。
著者名:Dumitriu D, Emeruwa UN, Hanft E, et al.
論文名:Outcomes of neonates born to mothers with severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 infection at a large medical center in New York city.
雑誌名:JAMA Pediatr.2020.DOI:10.1001/jamapediatrics.2020.4298.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2771636

3.メキシコから報告された症例対照研究です。多変量分析においてCOVID-19症例との接触歴(aOR = 2.2、95%CI 1.49-3.26)、肥満(aOR = 5.11、95%CI 2.78-9.39)、糖尿病(aOR = 3.02、95%CI 1.25-7.32)、高血圧(aOR = 3.95、95%CI 1.3-11.97)および免疫抑制(aOR = 1.59、95%CI 1.07-2.37)は有意にSARS-CoV-2検査結果が陽性でした。男女別では、COVID-19のリスクを高める予測因子として、COVID-19症例との接触歴(aOR = 2.51、95%CI 1.4-4.5)と女子の肥満(aOR = 5.13、95%CI 2.0-13.15)が挙げられました。
著者名:Hernández-Garduño E.
論文名:Comorbidities that predict acute respiratory syndrome coronavirus 2 test positivity in Mexican Children: A case-control study.
雑誌名:Pediatr Obes.2020. DOI:10.1111/ijpo.12740.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ijpo.12740

4.2020年3月18日~4月16日までに中国、イタリア、米国から発表された文献と公開疫学データのレビューです。5歳未満の小児におけるSARS-CoV-2肺炎の推定致命率(CFR)は0.15-1.35%で、RSV肺炎の推定CFR 0.3-2.1%より低く、インフルエンザ肺炎の推定CFR 0.14-0.45%より高いとされました。侵襲性肺炎球菌感染症と侵襲性インフルエンザ菌感染症の致命率はそれぞれ5.6%、4.56%で、RSVの少なくとも2倍です。予防接種の多くは、COVID-19よりも重症で致命的な病気から子どもを守ります。親は、COVID-19を恐れて、子どもを予防接種のために診療所、地方自治体、薬局に連れて行くことを避けてはならないとしています。
著者名:Wei JS.
論文名:How lethal is SARS-CoV-2 pneumonia when compared with respiratory syncytial virus and influenza in young children?
雑誌名:Aust J Gen Pract.2020. DOI:10.31128/AJGP-04-20-5357.
URL:https://www1.racgp.org.au/ajgp/2020/october/how-lethal-is-sars-cov-2-pneumonia

5.米国ニュージャージー州の大学病院で経験したCOVID-19に罹患した61人の妊婦の症例対照研究です。軽症(54人、88.5%)、重症(6人、9.8%)、重篤(1人、1.6%)でした。妊婦がCOVID-19に罹患すると、妊婦も新生児も予後が悪化し、COVID-19も重症化しやすいです。黒人とヒスパニック系の人種、肥満、高齢出産、医学的併存疾患が、妊婦におけるCOVID-19の重症化に関する危険因子でした。
著者名:Brandt JS, Hill J, Reddy A, et al.
論文名:Epidemiology of COVID-19 in pregnancy:risk factors and associations with adverse maternal and neonatal outcomes.
雑誌名:Am J Obstet Gyneco.2020.DOI:10.1016/j.ajog.2020.09.043.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002937820311340?via%3Dihub

6.ブラジルにおけるSARS-CoV-2抗体保有率に関する横断的研究です。すべての州からランダムに世帯を選択し、1世帯からランダムに1人(1歳未満を除く)が選択されました。Sタンパク質のSARS-CoV-2受容体結合ドメインに特異的なIgGおよびIgM抗体を2回(2020年5月と6月)測定しました。都市別抗体保有率は0-25.4%で、1回目と2回目で1.9%(95%CI:1.7–2.1)から3.1%(95%CI:2.8-3.4)に上昇しました。男女差はなく、2回目調査では20-59歳群の抗体保有率が高値でした。北部で高く、高い地域はアマゾン川の2000kmに沿って位置し、リオデジャネイロで最も高値でした(7.5%、95%CI:4.2–12.2)。抗体保有率は世帯規模に関連し、社会経済的最貧層の抗体保有率は最裕福層の2倍以上でした。
著者名:Hallal PC, Hartwig FP, Horta BL, et al.
論文名:SARS-CoV-2 antibody prevalence in Brazil: results from two successive nationwide serological household surveys.
雑誌名:Lancet Glob Health.2020.DOI:10.1016/S2214-109X(20)30387-9.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214109X20303879?via%3Dihub

7.多施設国際共同コホート研究(22か国、73センター)におけるCOVID-19妊婦の胎児の有害事象に関する危険因子の報告です。妊婦のSARS-CoV-2陽性妊娠週数は、平均30.6週、第1三半期(8.0%)、第2三半期(22.2%)、第3三半期(69.8%)でした。新生児の感染は1/250人(0.4%)のみでした。早い妊娠週数での感染、低い出生体重、妊婦の呼吸管理が、独立して胎児の有害事象と関連していました。
著者名:Di Mascio D, Sen C, Saccone G, et al.
論文名:Risk factors associated with adverse fetal outcomes in pregnancies affected by Coronavirus disease 2019(COVID-19): a secondary analysis of the WAPM study on COVID-19.
雑誌名:J Perinat Med.2020. DOI:10.1515/jpm-2020-0355.
URL:https://www.degruyter.com/view/journals/jpme/ahead-of-print/article-10.1515-jpm-2020-0355/article-10.1515-jpm-2020-0355.xml

8.米国13州で2020年3月1日~8月22日までに経験した598人のCOVID-19に罹患した妊婦と出産予後の調査研究です。272人(45.5%)は症状があり、326人(54.5%)は無症状でした。97人(16.2%)はICUで管理され、50人(8.5%)は人工呼吸管理、2人(0.3%)がECMOを装着されました。妊娠が継続できた458人の448人(97.8%)が出生し、10人(2.2%)が死産でした。
著者名:Delahoy MJ, Whitaker M, O’Halloran A, et al.
論文名:Characteristics and maternal and birth outcomes of hospitalized pregnant women with laboratory-confirmed COVID-19 - COVID-NET,13 states, March 1-August 22, 2020.
雑誌名:MMWR.2020. DOI:10.15585/mmwr.mm6938e1.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6938e1.htm?s_cid=mm6938e1_w

(Transmission)
1.COVID-19流行中における出産直後の「母子の絆」についての研究です。米国の市中病院で研究期間中に妊娠中COVID-19と診断されかつ出産し条件を満たした31例とその新生児の出生後の母子の絆に関わる行為について感染が与える影響を検討しています。31例中17例が出産後感染予防策を実施して母子同室、14例が別室にて過ごしたが、全例新生児はSARS-CoV-2陰性でした。同室した17ペアのうち、5例が同室のみ、1例が同室かつスキンシップ、11例が同室かつスキンシップ、母乳を与える行為を行ったが、新生児への感染は認められなかった。一市中病院の結果であるが、筆者らはこれらの結果をもとに、COVID-19患者の母親から生まれた新生児に対して正しい感染管理がなされていれば将来の母子関係に影響を与えると考えられる母子同室、早期スキンシップの実施、母乳保育を推奨するとしています。
著者名:Liviu Cojocaru , Sarah Crimmins, et al.
論文名:An initiative to evaluate the safety of maternal bonding in patients with SARS-CoV-2 infection.
雑誌名:J Maternal Fetal Neonatal Med. 2020. DOI:10.1080/14767058.2020.1828335.
URL:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14767058.2020.1828335

2.妊娠後期にCOVID-19と診断された妊婦16例とその新生児の代謝的・免疫学的特徴を検討した成績です。妊婦の69%は尿中ケトン体(++)または(+++)であり、尿酸、D-dimer、FDPが高値のため、合併症のリスクが潜在的に高い可能性が示唆されました。新生児は白血球、好中球、CK、LDHが高値で、出生24時間後に発熱したPCR陽性の1例と、日齢1にIgM抗体およびIgG抗体が陽性であった1例でSARS-CoV-2の子宮内感染が疑われました。
著者名:Zhou J, Wang Y, Zhao J, et al.
論文名:The metabolic and immunological characteristics of pregnant women with COVID-19 and their neonates.
雑誌名:Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2020. DOI:10.1007/s10096-020-04033-0.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7530551/pdf/10096_2020_Article_4033.pdf

3.COVID-19の家族内と医療現場での2次感染のシステマティックレビューとメタ解析を2020年1月1日から7月25日までの主な論文(計78編)に基づき、解析しました。家族内の2次感染は、全体で18.1% (95% CI: 15.7%, 20.6%) 、報告によって幅が広く(3.9%-54.9%)、有症状者からの感染は、無症状者に比べ3倍以上(RR: 3.23; 95% CI: 1.46, 7.14)、感染しやすかったです。また、大人は小児に比べ (RR: 1.71; 95% CI: 1.35, 2.17)、感染者の配偶者は他の家族に比べ、(RR: 2.39; 95% CI: 1.79, 3.19) 感染しやすかったです。医療現場では、全体で0.7% (95% CI: 0.4%, 1.0%)の2次感染率でした。
著者名:Koh WC, Naing L, Chaw L, et al.
論文名:What do we know about SARS-CoV-2 transmission? A systematic review and meta-analysis of the secondary attack rate and associated risk factors.
雑誌名:PLoS One.2020.DOI:10.1371/journal.pone.0240205.
URL:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0240205

4.ブラジルで発生したコンドミニアムで生活している3家族+家事手伝い24人の間で発生したCOVID-19クラスター対応の報告です。全例軽症でしたが、発端例の発症日から最後の事例まで17日間で起こり、Attack Rate 75%(疑い例を含めると87.5%)、成人のAttack Rate94%、小児50%でした。発端例はマスク着用していたものの2時間大混雑した銀行で列に並んでいて感染したと考えられています。短期間での感染伝播と高いAttack Rateは改めて自宅における家族間の感染管理の重要性と難しさを示しています。
著者名:Carlos Alexandre Antunes de Brito, Marina Coelho Moraes de Brito, et al.
論文名:Clinical laboratory and dispersion pattern of COVID-19 in a family cluster in the social-distancing period.
雑誌名:J Infect Dev Ctries 2020; 14(9):987-993.
URL: https://jidc.org/index.php/journal/article/view/33031086/2344

5.SARS-CoV-2に感染した小児203例について、疫学、臨床経過、ウイルス量を検討したギリシアの論文です。54.7%は無症状であり、COVID-19発症者の26.1%が入院を要しました。1歳未満は発症しやすく、19.5%を占めました。ウイルス量と年齢、性別、臨床経過等との間に有意差は認めませんでした。感染源の判明した児の74.2%が家族内感染であり、家族クラスターの66.8%は成人が発端者でした。小児から成人への感染が証明されたのは1例のみでした。
著者名:Maltezou HC, Magaziotou I, Dedoukou X, et al.
論文名:Children and adolescents with SARS-CoV-2 infection: epidemiology, clinical course and viral loads.
雑誌名:Pediatr Infect Dis J. 2020.DOI:10.1097/INF.0000000000002899.
URL: https://journals.lww.com/pidj/Fulltext/2020/12000/Children_and_Adolescents_With_SARS_CoV_2.1.aspx

6.中国武漢市における2020年1月13日から3月18日までのCOVID-19に罹患した妊婦から出生した児のアウトカムの後方視的調査です。全11,078妊婦の内、65人がCOVID-19と診断され、死亡者はいませんでした。COVID-19陽性の妊婦は、COVID-19感染なしの妊婦と比較すると、早産(OR 3.34, 95% CI 1.60–7.00)と帝王切開(OR 3.63, 95% CI 1.95–6.76)のリスクが高かったです。他の要因では差は認めませんでした。COVID-19陽性の妊婦から生まれた児のSARS-CoV-2のPCRは全て陰性で、CTでの異常所見は認めませんでした。
著者名:Yang R, Mei H, Zheng T, et al.
論文名:Pregnant women with COVID-19 and risk of adverse birth outcomes and maternal-fetal vertical transmission: a population-based cohort study in Wuhan, China.
雑誌名:BMC Medicine.2020.DOI:10.1186/s12916-020-01798-1.
URL: https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-020-01798-1

(Treatment)
1.シクレソニドのSARS-CoV-2に対する有効性をin vitroの系で検証した論文です。シクレソニドは、気道上皮の培養細胞上でSARS-CoV-2を含むコロナウイルスの増殖を抑制しました。この効果は、コルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、フルチカゾンでは認められませんでした。また、シクレソニド存在下で培養することで得られたSARS-CoV-2の非構造蛋白(nsp)3あるいはnsp4のアミノ酸変異株に対しても、シクレソニドは増殖抑制効果を示しました。これらの結果は、COVID-19感染症でシクレソニドの吸入が有効であった症例報告を実験的に裏づけるデータと考えられました。
著者名:Matsuyama S, Kawase M, Nao N, et al.
論文名:The inhaled steroid ciclesonide blocks SARS-CoV-2 RNA replication by targeting the viral replication-transcription complex in cultured cells.
雑誌名:J Virol 2020.DOI:10.1128/JVI.01648-20.
URL:https://jvi.asm.org/content/early/2020/10/09/JVI.01648-20

2. SARS-CoV-2に対する治療薬、予防薬候補としての天然物質に関するレビュー論文です。COVID-19感染症に対する新規治療薬、予防薬が求められています。天然物質の中で、アルカノイドのいくつかの物質は、コロナウイルスに対して潜在的な効果があると考えられており、例えばクルクサ(アブラナ科の二年草)の根は、アジアの国々でSARSコロナウイルスの流行期に予防薬として用いられていました。フラボノイド、テルペノイドの中のいくつかの物質にもコロナウイルスに対して有効なものがあり、この他ハンノキ(Alnus japonica)の成分にもSARSコロナウイルスの増殖抑制効果が認められています。最近、約12,000種類の天然物質に対するhigh-throughput screening解析により、30種類ほどの物質がSARS-CoV-2の複製を抑制することが報告されました。また、ケルセチン 、コルキチン、テトランドリン、デスフェリオキサミンB、アジスロマイシンなどについては臨床試験も実施されており、早く有効な物質が見つかることが望まれています。
著者名:Mspanov M, León F, Jenis J, et al.
論文名:Challenges and future directions of potential natural products leads against 2019-nCoV outbreak.      
雑誌名:Curr Plant Biol 2020. DOI:10.1016/j.cpb.2020.100180.
URL:https://doi.org/10.1016/j.cpb.2020.100180

(小児多系統炎症性症候群(Multisystem Inflammatory syndrome in children:MIS-C)と小児炎症性多系統症候群(Pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS))
1.ニューヨーク市の単一施設で実施された症例対照研究です。44名のMIS-C患者と181名の外来発熱患者の臨床症状、検査データを比較しました。MIS-C患者では最高体温が有意に高く、腹痛、頸部痛、結膜炎、口腔粘膜の痛み、四肢末端の腫脹あるいは発疹、全身の発疹の頻度が有意に多く認められました。また、MIS-C患者ではリンパ球絶対数と血小板数の低下、CRPの上昇が有意に認められました。
著者名:Carlin RF, Fischer AM, Pitkowsky Z, et al.
論文名:Discriminating MIS-C requiring treatment from common febrile conditions in outpatient settings.
雑誌名:J Pediatr 2020. DOI:10.1016/j.jpeds.2020.10.013.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7553071/

2.フランスの単一施設での後方視的研究です。観察期間中に心筋炎の診断を受けた、あるいは川崎病に対するIVIGを受けた患者は32名で、臨床的に4群に分かれました。川崎病11名、Kawasaki syndrome(川崎病の症状を有するが、他の診断名)6名、川崎病の臨床的特徴を有しない心筋炎8名、不全型川崎病の臨床的特徴を持つ心筋炎7名。心筋炎症例以外はすべてIVIG治療を受けていました。生存率は91%で、不全型川崎病の臨床的特徴を持つ心筋炎7名はすべてSARS-CoV-2陽性でしたが、冠動脈病変を認めたものはいませんでした。
著者名:Bordet J, Perrier S, Olexa C, et al.
論文名:Paediatric multisystem inflammatory syndrome associated with COVID-19: filling the gap between myocarditis and Kawasaki?
雑誌名:Eur J Pediatr 2020. DOI:10.1007/s00431-020-03807-0.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7505496/

3.英国の15のPICUでの観察研究です。研究期間中に116名のPIMS患者発生があり、41.4%に腎障害を認め、27.6%は重症(stage2-3)でした。単変量解析では、BMI、高フェリチン血症、CRP高値、血管作動薬使用、侵襲的人工換気が重症腎障害と関連していました。多変量解析では、高フェリチン血症が重症腎障害発症の調整オッズ比1.04でした。重症腎障害はPICU滞在期間と侵襲的人工換気の延長に関連していました。重症腎障害のあるPIMSの短期予後は良好のようですが、長期的な予後は不明です。
著者名:Deep A, Upadhyay G, du Pre P, et al.
論文名:Acute kidney injury in pediatric inflammatory multisystem syndrome temporally associated with severe acute respiratory syndrome coronavirus-2 pandemic: Experience from PICUs across United Kingdom.
雑誌名:Crit Care Med 2020. DOI:10.1097/CCM.0000000000004662.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33044282/

4.9人のMIS-C患者の免疫学的プロフィールを検討しました。何れもSARS-CoV-2への暴露があり、中和活性を持つ抗体の上昇を認めました。サイトカインプロフィールは、炎症の徴候(IL-18、IL-6)、リンパ球と骨髄球の走化性と活性化(CCL3、CCL4、CDCP1)、粘膜免疫の脱制御(IL-17A、CCL20、CCL28)を示しました。免疫学的表現型解析は、末梢血の非古典的単球、NKおよびTリンパ球サブセットの減少を示し、血管外漏出による組織障害を示唆しました。MIS-C患者血清の自己抗原反応性のプロフィールは、既存の疾患関連自己抗体(anti-La)と新規の内皮細胞、胃腸管細胞、免疫細胞の抗原を認識する自己抗体の存在を示唆しました。
著者名:Gruber CN, Patel RS, Trachtman R, et al.
論文名:Mapping systemic inflammation and antibody responses in multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C).
雑誌名:Cell 2020. DOI:10.1016/j.cell.2020.09.034.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7489877/

5.ニューヨーク市にある2つの大病院における調査です。MIS-Cの診断で入院した小児患者33例のうち24例(73%)に心機能異常[心電図異常(48%)、BNP上昇(43%)、心エコー異常(30%)、トロポニン上昇(21%)]を認めましたが、すべての異常は退院後の外来フォローアップで正常化が確認されました。MIS-Cと診断されたすべての患者に対し循環器のスクリーニング検査を行うべきです。
著者名:Minocha PK, Phoon CKL, Verma S, et al.
論文名:Cardiac findings in pediatric patients with multisystem inflammatory syndrome in children associated with COVID-19.
雑誌名:Clin Pediatr 2020. DOI:10.1177/0009922820961771.
URL:https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0009922820961771

6.イングランド、ウエールズ、スコットランドの260病院における2020年1月27日から7月3日までのCOVID-19入院例の前方視的観察研究です。19歳以下の小児~若年者651例が138の病院に入院し登録されました。集中治療は632例中116例(18%)に施行され、多変量解析の結果、1か月未満、10~14歳、黒色人種が関連しました。MIS-CのWHO基準に一致したのは456例中52例(11%)で、年長(中央値10.7歳)、白色人種以外、集中治療室入室が多く、WHO基準に加え、倦怠感、頭痛、筋肉痛、咽頭痛、リンパ節腫脹、血小板減少が多くみられました。
著者名:Swann OV, Holden KA, Turtle L, et al.
論文名:Clinical characteristics of children and young people admitted to hospital with covid-19 in United Kingdom: prospective multicentre observational cohort study.
雑誌名:BMJ 2020. DOI:10.1136/bmj.m3249.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32960186

7.MIS-Cの病態を解明するために、軽症COVID-19小児(MIS-C合併無し)41例、MIS-C症例13例、COVID-19流行前の川崎病患児28例、健康小児コントロール19例の血液、血清を用いて、サイトカインを含む様々なバイオマーカー、リンパ球サブセット、自己抗体などを比較解析しました。MIS-C群と川崎病群間では明確なサイトカインプロファイルの相違はありませんでしたが、同時に比較した成人COVID-19患者ではIL-8、IL-7が上昇していたのに対しMIS-C例を含め小児例ではそのような上昇は認められませんでした。よって、成人重症COVID-19症例のサイトカインストームとは病態は異なります。さらに、リンパ球サブセットの解析と合わせ、MIS-Cの病態が川崎病ともかなり異なることが想定され、より詳しく解析するためOlink解析を実施した結果、川崎病で上昇しているIL-17AがMIS-C群では上昇していませんでした。次に、他のウイルスに対する感染の有無に伴う異常な免疫応答がMIS-C発症に関与しているか解析するために、様々なウイルスに対する抗体の有無を解析しました。その結果、他群と異なりMIS-C群は様々なコロナウイルスに対する抗体がほとんどありませんでした。プロテオーム解析による自己抗体の検索では、川崎病群と同じように血管内皮に発現するendoglinに対する抗体価が上昇していました。
著者名:Consiglio CR, Cotugno N, Sardh F, et al.
論文名:The immunology of multisystem inflammatory syndrome in children with COVID-19.
雑誌名:Cell 2020. DOI:10.1016/j.cell.2020.09.016.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32966765

8.現時点で不足しているラテンアメリカの小児COVID-19、MIS-Cについての情報を集めるため、メキシコ、ブラジルなどの5か国共同で行った解析結果です。ウイルス学的に診断された18歳以下の小児例がエントリーされ、計409例のCOVID-19症例(そのうち95例(23.2%)がMIS-Cと診断)が解析対象となりました。191例(46.7%)が入院し、52例(12.7%)はPICUへの入院を要した。PICU入院に関連する因子は、基礎疾患、免疫不全、下気道感染所見、消化器症状、ARDS所見、低所得者層などが挙げられました。MIS-C例は非MIS-C例に比べ年長で、低所得者層に多く、消化器症状、昇圧剤の投与歴、IV-IGやステロイド投与歴などがより多かったです。このように、ラテンアメリカの小児COVID-19は他の地域の報告に比べより重症な傾向が認められ、さらなる解析が急務です。
著者名:Antúnez-Montes OY, Escamilla MI, Figueroa-Uribe AF, et al.
論文名:COVID-19 and multisystem inflammatory syndrome in Latin American children: A multinational study.
雑誌名:Pediatr Infect Dis J 2020. DOI:10.1097/INF.0000000000002949.
URL:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.08.29.20184242v1

9.2020年3月から6月にかけて、英国北西部の3次小児医療施設にPIMS-TSの診断を受け入院加療された29例をまとめました。疫学的には、COVID-19流行ピークの4週間後にPIMS-TM患者のピークがあり、男児が69%を占め、この地域の人種割合と比べ黒人、アジア人、他のマイノリティ(BAME)に多く発生していました。臨床症状では、全例に発熱を認め、発疹は72%、結膜炎は62%、粘膜変化が62%、手指・足趾の腫脹が51%に認められ、川崎病あるいは非定型川崎病のクライテリアに合致した症例は66%でした。心合症は86%で認められましたが、ショックを伴うような低血圧が主な症状でした。入院後の経時的な検査データ推移を解析した結果、入院時の血小板減少、リンパ球減少、CRP高値、BNP高値が挙げられました。治療については、32%がIV-IG単独で改善、他の症例ではステロイドの併用が行われ、2例でTNF阻害剤とIL-1阻害剤が投与されていました。今後適切な治療法を目指したRCTが望まれます。
著者名:Felsenstein S, Willis E, Lythgoe H, et al.
論文名:Presentation, treatment response and short-term outcomes in paediatric multisystem inflammatory syndrome temporally associated with SARS-CoV-2 (PIMS-TS).
雑誌名:J Clin Med 2020. DOI:10.3390/jcm9103293.
URL:https://www.mdpi.com/2077-0383/9/10/3293

10.SARS-CoV-2感染症の小児入院患者を、MIS-C群(6例)、COVID-19重症群(9例)、COVID-19軽症群(5例)に分類しました。サイトカイン値(IFN-γ IL-10, IL-6, IL-8, TNF-α)、Ct値、血液塗抹標本、可溶性C5b-9値を各群で比較した結果、MIS-C群はCOVID-19重症群と比較して、TNF-αとIL-10が高値、Ct値が高い、血液塗抹標本でburr cell(ウニ状赤血球)が目立つという特徴があり、両病態の鑑別に有用と考えられます。
著者名:Diorio C, Henrickson SE, Vella LA, et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children and COVID-19 are distinct presentations of SARS-CoV-2.
雑誌名:J Clin Invest 2020. DOI:10.1172/JCI140970.
URL: https://www.jci.org/articles/view/140970/pdf

11.MIS-C患者28例について、臨床症状、検査所見、治療効果を解析し、過去の川崎病やマクロファージ活性化症候群の患者と比較しました。年齢中央値は9歳(1か月~17歳)で、半数に基礎疾患がありました。17例(61%)に集中治療が必要で、7例(25%)は強心剤を投与されました。7例(25%)は川崎病の診断基準(不全型を含め)を満たし、6例で冠動脈異常を合併しました。MIS-C患者ではリンパ球減少、血小板減少、炎症マーカーやDダイマー、BNP、IL-6、IL-10の高値を認めました。IVIG(71%)、副腎皮質ステロイド(61%)、アナキンラ(18%)などの治療で改善し、死亡例はありませんでした。
著者名:Lee PY, Day-Lewis M, Henderson LA, et al.
論文名: Distinct clinical and immunological features of SARS-CoV-2-induced multisystem inflammatory syndrome in children.
雑誌名:J Clin Invest 2020. DOI:10.1172/JCI141113.
URL:https://www.jci.org/articles/view/141113/pdf

12.本報告は、CDCへの報告9例と論文の症例報告などを含むMIS-Cと同様の臨床経過を呈した成人(MIS-A)27例のまとめです。小児と同様、重篤な呼吸器症状ではなく心血管・消化器・皮膚の症状があり、PCRではなく抗体価による診断例も多く含まれます。心臓・肝臓・脳・腎臓など、呼吸器以外でSARS-CoV-2が検出された例がありました。27例中24例は生存しており、予後もMIS-Cに類似していますが、病態生理を解明するにはさらなる研究が必要です。
著者名: Morris SB, Schwartz NG, Patel P, et al.
論文名: Case series of multisystem inflammatory syndrome in adults associated with SARS-CoV-2 infection — United Kingdom and United States,March–August 2020.
雑誌名:MMWR 69(40);1450–1456,2020.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6940e1.htm

(School closure)
1.中国の上海にある5つの学校の学童(6~17歳)と保護者を対象としたWeb調査です。2020年1月3~21日(学校閉鎖前)と比較して2020年3月13~23日(学校閉鎖中)の小児抑うつ尺度(CDI-S)の平均値は、4.19から3.90に有意に改善していました。学校閉鎖中のCDI-Sスコアの低下は、性別および世帯収入カテゴリ全体で一貫しており、中学生により顕著でした。この予想外の発見は、家庭での比較的良好な教育環境や学業上のプレッシャーからの解放に起因する可能性があります。
著者名: Xiang M, Yamamoto S, Mizoue T.
論文名: Depressive symptoms in students during school closure due to COVID-19 in Shanghai.
雑誌名: Psychiatry Clin Neurosci.2020. DOI:10.1111/pcn.13161.
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pcn.13161

2.ヨーロッパ諸国と南米と日本におけるCOVID-19流行に対する学校閉鎖の影響を検証しました。学校閉鎖日と各国で100番目の確認された症例から16日、30日、および60日の発生率との間に強い相関関係がありました。発生率の少ない時期での学校閉鎖は続く低い発生率と相関して、遅れての学校閉鎖はより高い発生率と相関していました。入手可能なデータからは学校閉鎖がパンデミック中の感染を減らす可能性があることを示唆していますが、学校閉鎖の有効性についてはさらなる研究が必要です。
著者名: Klimek-Tulwin M, Tulwin T.
論文名: Early school closures can reduce the first-wave of the COVID-19 pandemic development.
雑誌名: Z Gesundh Wiss. 2020. DOI:10.1007/s10389-020-01391-z.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7557316/

3.2020年3月に英国で封鎖決定が下された際のCOVID-19の流行シミュレーションの報告です。モデルによると学校閉鎖や若年層の隔離は、第2波以降にも適用されたとしても全体の死者数を増やすだろうと予測しました。集中治療室のピーク需要を減らすのには非常に効果的ですが、結果的に流行を長引かせ、場合によってはより多くの死者を長期的にもたらすことを示しました。これは、COVID-19関連の死亡率が高齢者に大きく偏っているためです。効果的な予防接種プログラムがない場合、流行阻止戦略のいずれも、予測される総死亡者数を20万人未満に減らすことはできないでしょう。
著者名:Rice K, Wynne B, Martin V, et al.
論文名:Effect of school closures on mortality from coronavirus disease 2019:old and new predictions.
雑誌名:BMJ. 2020. DOI:10.1136/bmj.m3588.
URL:https://www.bmj.com/content/371/bmj.m3588.long

4.COVID-19による学校閉鎖が学習時間に与える影響を検討したスイスからの報告です。14〜25歳の学生を調査した結果、1週間当たりの学習時間が平均して35時間から23時間に減少していることが判明しました。14〜18歳の学生の方がより減少幅が大きく、男女差は認められませんでした。予想に反し、両親の教育水準が高い方がより減少していました。この世代が2020年3月から7月に経験した学習時間の喪失を補うことができる政治的な措置がなされることが望まれます。
著者名:Grätz M, Lipps O.
論文名:Large loss in studying time during the closure of schools in Switzerland in 2020.
雑誌名:Res Soc Stratif Mobil. 2021. DOI:10.1016/j.rssm.2020.100554.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7543780/

5.穏やかな社会的距離の介入がCOVID-19流行に抑制効果をもたらすかをコンピュータ・シミュレーションにより検討した報告です。米国ワシントン州キング郡をモデルに、在宅勤務の奨励、高リスクの人との接触回避、家の外での接触回避が介入として検討されました。これら全てを中止すると2020年6月から2021年1月までに4.2万人近くが入院し、病床使用率はピーク時600%を超えること、逆に介入を組み合わせると総入院数が48%減少し、病床使用率はピーク時70%になることが示されました。対象を絞った学校閉鎖により病床使用率をさらに減らすことが示されました。
著者名:Jackson ML.
論文名:Low-impact social distancing interventions to mitigate local epidemics of SARS-CoV-2.
雑誌名:Microbes Infect. 2020. DOI:10.1016/j.micinf.2020.09.006.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1286457920301593?via%3Dihub

6.COVID-19による学校閉鎖後の親子関係の変化について分析した報告です。WHOによるパンデミック宣言の5週間後に、0〜12歳の子供が少なくとも1人いる、全米の成人405人からデータを得ました。1/3以上の親がパンデミック後に、悲しみ、落ち込み、孤独など子供の行動が変わったと述べました。親の5人に2人はうつ病や不安障害の基準を満たしました。学校閉鎖により重大な混乱が生じ、身体活動の低下と社会的孤立が続くことが判明しました。親の心の健康が、パンデミック時の家庭での教育や子供の幸福に関連する重要な因子であることが示唆されました。
著者名:Lee SJ, Ward KP, Chang OD, et al.
論文名:Parenting Activities and the Transition to Home-based Education During the COVID-19 Pandemic.
雑誌名:Child Youth Serv Rev.2020. DOI:10.1016/j.childyouth.2020.105585.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0190740920320089?via%3Dihub

7.COVID-19パンデミック中の学校での流行を、学校閉鎖前後の期間で解析したドイツからの報告です。ドイツ全体で学校内での流行はごくわずかで、アウトブレーク当たりの症例数も多くありません。特に低年齢層では症例数も少なく症状も乏しいです。学校再開後、クラスの人数制限や衛生対策などを行い、再開前よりもアウトブレーク数と平均症例数は減少しています。学校閉鎖がもたらす子供への有害な影響を避けるため、学校閉鎖は慎重かつ他の管理措置を組み合わせて行われるべきです。
著者名:Otte Im Kampe E, Lehfeld AS, Buda S,et al.
論文名:Surveillance of COVID-19 school outbreaks, Germany, March to August 2020.
雑誌名:Euro Surveil.2020. DOI:10.2807/1560-7917.ES.2020.25.38.2001645.
URL:https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.38.2001645#html_fulltext

8.COVID-19によるロックダウンにより、てんかん発作で救急外来を受診する小児が減少したことに関するイタリアからの報告です。ロックダウンした最初の8週間と2019年の同時期・同期間に二つの大学病院の救急外来に受診した小児患者数は3395人対12128人と72%減少していました。そのうち、けいれん発作関連は41人対66人と38%減少していました。2群間で年齢・性別・発作の種類・その後の入院率は有意な差を認めず、原因として他の感染症の減少や親の監督の増加など考察されましたが、明確ではありません。
著者名:Chara D,Daniele M,Caterina L,et al.
論文名: Where have the children with epilepsy gone? An observational study of seizure-related accesses to emergency department at the time of COVID-19.
雑誌名: Seizure.2020. DOI:org/10.1016/j.seizure.2020.09.025.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S105913112030306X?via%3Dihub


【2020年11月6日 掲載】

(Mechanism)
1.小児のCOVID-19は一般的に症状が軽いですが、新生児はどうかについて検討した報告です。ブラジルで公開されている公的データを解析しています。新生児と2歳未満の乳幼児を比べると致命率に有意差はありませんでしたが、新生児のほうが、発熱や咳などの症状は有意に重症だったそうです。リンパ球数やACE2よりも自然免疫力が影響しているのではないかと考察しています。
著者名:Leung C.
論文名:The younger the milder clinical course of COVID-19: even in newborns?
雑誌名:Pediatr Allergy Immunol.2020. DOI:10.1111/pai.13371.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/pai.13371

2.COVID-19の重症度とACE遺伝子多型が提唱されていますが、ほとんどがコンピュータ解析(in silico)です。今回の検討では、イタリア人のCOVID-19入院患者131人と1,000人の対象者のACE2多型を全エクソン解析で検討した結果、ACE2多型はCOVID-19の重症度とは関連がありませんでした。筆者らは、ACE2遺伝子多型がCOVID-19の重症度と関連するとすれば、non-coding regionの多型ではないだろうかと推測しています。
著者名:Novelli A, Biancolella M, Borgiani P, et al.
論文名:Analysis of ACE2 genetic variants in 131 Italian SARS-CoV-2-positive patients.
雑誌名:Hum Genomics.2020. DOI:10.1186/s40246-020-00279-z.
URL:https://humgenomics.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40246-020-00279-z

3.出産時の鼻咽頭スワブPCR検査でSARS-CoV-2陽性の母親15人と陰性の母親10人の胎盤について、ACE2とTMPRSS2の共局在とSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質の局在を免疫組織染色によって確認した論文です。胎児感染の有無に関わらず、SARS-CoV-2陽性の母親の胎盤の絨毛外側合胞体栄養膜層内にSタンパク質が発現していました。すべての胎盤絨毛にACE2は高度に発現していましたが、TMPRSS2の発現は見られませんでした。コントロールと比較すると、SARS-CoV-2陽性の母親の胎盤組織ではACE2発現レベルが有意に低下していました。
著者名:Taglauer E, Benarroch Y, Rop K, et al.
論文名:Consistent localization of SARS-CoV-2 spike glycoprotein and ACE2 over TMPRSS2 predominance in placental villi of 15 COVID-19 positive maternal-fetal dyads.
雑誌名:Placenta.2020. DOI:10.1016/j.placenta.2020.08.015.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0143400420302769?via%3Dihub

4.101人の女性の胎盤についてSARS-CoV-2のSタンパク質の発現がスクリーニングされました。15人がRNA陽性で、1人はSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)タンパク質も陽性でした。出生直後に児がCOVID-19肺炎を発症した妊婦の胎盤ではSARS-CoV-2のS、Nタンパク質が強く共発現していました。SARS-CoV-2抗原、RNA、コロナウイルスと形態学的に一致する粒子は絨毛合胞体栄養膜細胞、胎児血管内皮細胞、繊維芽細胞、母体マクロファージ、Hofbaeur細胞、胎児血管内単核細胞で同定されました。
著者名:Facchetti F, Bugatti M, Drera E, et al.
論文名:SARS-CoV2 vertical transmission with adverse effects on the newborn revealed through integrated immunohistochemical, electron microscopy and molecular analyses of Placenta.
雑誌名:EBioMedicine.2020.DOI:10.1016/j.ebiom.2020.102951.
URL:https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(20)30327-3/fulltext

5.COVID-19患者の急性期と回復期における4つのSARS-CoV-2関連抗原(S1タンパク質、Nタンパク質、レセプタードメイン、エクトドメイン)に対する抗体反応について検討した報告です。ほとんどの患者は回復期にこれらに対する抗体とウイルス中和抗体を保持していますが、中和抗体は1か月程度で減衰する傾向が見られました。S1とエクトドメインに対する特異的IgA抗体価は、重症者ではなく軽症者で中和抗体価と良く相関していました。著者らは、今回の結果はワクチン開発の指標になるのではないかとしています。
著者名:Chen Y, Tong X, Li Y, et al.
論文名:A comprehensive, longitudinal analysis of humoral responses specific to four recombinant antigens of SARS-CoV-2 in severe and non-severe COVID-19 patients.
雑誌名:PLoS Pathog.2020.DOI:10.1371/journal.ppat.1008796.
URL:https://journals.plos.org/plospathogens/article?id=10.1371/journal.ppat.1008796

6.1,087人のCOVID-19症例について遡り調査が中国で実施されました。高齢であることは有意に致命率に関連していました。退院症例の81人(7.6%)が、隔離期間中にSARS-CoV-2 RNA陽性となりました。発症から再発までの期間の中央値は50日でした。多変量回帰分析により、独立したリスク因子は、血清IL-6上昇、入院中のリンパ球数増加、CT像で肺のconsolidationでした。再発リスクが高い症例では、発症後少なくとも50日間の観察と追加の予防措置を講じる必要があるとされました。
著者名:Chen J, Xu X, Hu J, et al.
論文名:Clinical course and risk factors for recurrence of positive SARS-CoV-2 RNA: a retrospective cohort study from Wuhan, China.
雑誌名:Aging(Albany NY).2020. DOI:10.18632/aging.103795.
URL:https://www.aging-us.com/article/103795/text

7.オオコウモリ、フェレット、ブタ、ニワトリへの新型コロナウイルスの感染・感染伝播の研究です。鼻腔内にウイルスを接種し、21日間にわたり鼻腔や気道等へのウイルス排泄や抗体を検討しています。ブタ、ニワトリからウイルスや抗体は検出されませんでしたが、オオコウモリ、フェレットでは検出されました。フェレットはワクチンや薬剤開発の動物モデルの可能性があると考察されていました。
著者名:Schlottau K, Rissmann M, Graaf A, et al.
論文名:SARS-CoV-2 in fruit bats, ferrets, pigs, and chickens: an experimental transmission study.
雑誌名:Lancet Microbe.2020. DOI:10.1016/S2666-5247(20)30089-6.
URL:https://www.thelancet.com/journals/lanmic/article/PIIS2666-5247(20)30089-6/fulltext

(Diagnosis)
1.妊娠中のSARS-CoV-2感染による新生児への影響について調査するために、米国ではPRIORITYというコホート研究がおこなわれています(PRIORITY研究とは、妊娠中、あるいは妊娠後6週以内にSARS-CoV-2に感染した、あるいは感染が疑われた13歳以上の妊婦を追跡調査する研究)。本論文はその第一報であり、179人の陽性妊婦と84人の陰性妊婦から出生した新生児が対象となりました。研究参加の要件を満たした263人の新生児について、母親の妊娠時のSARS-CoV-2感染の有無と出生時体重、呼吸困難の有無、出生後8週間の無呼吸や上気道、下気道感染症の有無との関係性について検討しましたが、有意な関係は認められませんでした。対象者を増やし、観察期間が長くなることでさらに妊娠時のSARS-CoV-2感染の新生児への影響について理解が深まることが期待されます。
著者名:Valerie J. Flaherman, Yalda Afshar, John Boscardin, et al.
論文名:Infant outcomes following maternal infection with severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) : first report from the Pregnancy Coronavirus Outcomes Registry (PRIORITY) study.
雑誌名:Clin Infect Dis, ciaa1411, https://doi.org/10.1093/cid/ciaa1411.
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa1411/5908705

2.米国のフィラデルフィア小児病院において、小児COVID-19患者における画像診断の結果と治療、短期の転帰、合併症について検討しました。画像診断上異常を認めた時点での症状、MIS-Cの定義を満たした児の場合はその特徴、入院した児の場合は入院期間、PICUへの入室の有無、人工呼吸器の使用、治療法について検討されました。研究期間(2か月)に5,969人がCOVID-19の検査をして313人が陽性、うち55人が画像診断で異常を認め入院、加療となりました。このうち41人(75%)が合併症を認めました。MIS-Cの患者では画像上、間質性浸潤や胸水が多く認められました。研究期間中の小児COVID-19患者のほとんどは入院加療も画像診断も必要としませんでした。多くの患者が単純X線写真の検査を受けていましたが異常を認めず、超音波、CT、MRIといった検査はほとんど行われませんでした。
著者名:David M. Biko, Karen I. Ramirez-Suarez, Christian A. Barrera, et al.
論文名:Imaging of children with COVID-19: experience from a tertiary children’s hospital in the United States.
雑誌名:Pediatr Radiol (2020). https://doi.org/10.1007/s00247-020- 04830-x.
URL: https://doi.org/10.1007/s00247-020-04830-x

3.小児COVID-19患者の臨床経過とSARS-CoV-2 RNAの探知についての関係性を検討した韓国からの報告です。20の入院施設、並びに2つのクリニックにおいて2月18日から3月31日までの間に診断された19歳未満のCOVID-19患者を対象としました。診断は鼻咽頭と咽頭の拭い液、または喀痰を用いたリアルタイムRT-PCRによって行われ、観察期間中の臨床所見とSARS-CoV-2 RNAの検出期間を検討しました。91人の陽性者が対象となり、20人(22%)が無症候でした。71人の有症者のうち、47人(66%)が診断前に他と見分けることができない一般的な症状を有し、18人(25%)が診断後症状を発症、6人(9%)が発症時に診断されていました。SARS-CoV-2 RNAが上気道の検体から検出された平均期間は17.6 (SD6.7)日であり、無症候患者に限定すると14.1(7.7)日でした。ウイルス検出期間は上気道、下気道検体の比較では有意な差は認めませんでした。小児の軽症例が市中感染の拡大に寄与している可能性もあるため、検査室検査を用いた小児へのCOVID-19強化サーベイランスが重要になると考えられました。
著者名:Han MS, Choi EH, Chang SH, et al.
論文名:Clinical characteristics and viral RNA detection in children with coronavirus disease 2019 in the Republic of Korea.
雑誌名:JAMA Pediatr. Published online August 28, 2020. DOI:10.1001/jamapediatrics.2020.3988.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2770150

4.2020年3月から4月にかけてシアトル小児病院を受診した患者1,076人から得た1,775の血清検体に対してCOVID-19抗体価のスクリーニング検査を実施しました。3月の検体では抗体価で陽性と判断された小児は1人だけで、4月分の検体では7人が陽性でした。抗体価で陽性と診断された8人のうち6人はCOVID-19を疑う症状を呈していませんでしたが、彼らの抗体は中和能を有し、ある検体は18,000倍希釈においても中和能を有していました。現在は症状を有した者に対して検査を実施しているため小児の陽性者は少ないですが(米国ではこの時点で1.7%程度)、実際にSARS-CoV-2に感染している小児は多い可能性があります。
著者名:Dingens AS, Crawford KHD, Adler A, et al.
論文名:Serological identification of SARS-CoV-2 infections among children visiting a hospital during the initial Seattle outbreak.
雑誌名:Nat Commun, (2020) 11:4378.
URL:https://doi.org/10.1038/s41467-020-18178-1

5.小児COVID-19患者におけるウイルスの排泄期間並びに抗体価の上昇に関して後方視的に調査しました。調査期間は2020年3月13日~21日までにワシントンDCにあるChildren’s National Hospitalを受診し、PCR検査にて陽性だった215人。研究初期は有症状者に対して、後半は主にスクリーニング目的の無症候者に対してPCR検査を実施していました。ウイルス排泄(PCR陽性)期間の中央値は19.5日、PCR検査の陰性化に要する日数の中央値は25日であり、6-15歳の患者の方が16-22歳と比較し陰性化に時間を要しました。PCR陽性から化学発光法による抗体の陽転化までは18日、十分な中和抗体価の獲得(1:160)には36日を要しました。この長いウイルス排泄期間が感染性と相関するかについては現時点では不明です。また、約半数の患者しか十分な中和抗体価を獲得しておらず、ウイルスのSタンパク質に対するIgG抗体が中和抗体能を有するかも含めさらなる検討が必要です。
著者名:Bahar B, Jacquot C, Mo YD, et al.
論文名:Kinetics of viral clearance and antibody production across age groups in children with severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 infection.
雑誌名:J Pediatr.2020. DOI:10.1016/j.jpeds.2020.08.078.
URL:https://www.jpeds.com/action/showPdf?pii=S0022-3476%2820%2931114-8

(Transmission)
1.米国ソルトレイクシティにおける、2020年4月~7月の期間での託児施設のCOVID-19感染症アウトブレイクに関する後方視的な検討報告です。検討期間中、3か所の施設でアウトブレイクが認められ、成人74名、小児110名に対して検査が実施されました。このうち31名がCOVID-19感染症と確定し、そのうち小児は13名(42%)でした。感染した小児は全て軽症か無症状でした。小児13名のうち施設内で感染した12名から6名の母親と3名の兄弟が家庭内で2次的にCOVID-19に感染しました。託児施設内でのアウトブレイクの際には、2次感染予防のため、接触者に対する迅速な検査と感染予防対策が重要です。
著者名:Lopez AS, Hill M, Antezano J, et al.
論文名:Transmission dynamics of COVID-19 outbreaks associated with child care facilities - Salt Lake City, Utah, April-July 2020.
雑誌名:Morb Mortal Wkly Rep.2020. DOI:10.15585/mmwr.mm6937e3.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6937e3.htm?s_cid=mm6937e3_w

2.ドイツのバーデン・ヴュルデンベルク州における学校と託児施設再開後の小児のCOVID-19感染症の状況について検討した報告です。学校と託児施設再開後、約2か月(2020年5月25日~8月5日)の間に、0~19歳のCOVID-19感染症患者は557名報告されました(同州の同時期の患者の17.9%)。557名のうち、詳細な情報が得られた453名について解析したところ、家族からの感染が190名(41.9%)と最も多く、学校ないしは託児施設での感染は15名(3.3%)でした。この結果から、学校や託児施設での小児間の感染伝播は限定的であると考えられました。しかしながら、今後、通常の学校生活や託児施設活用にあたり、換気の条件やフェイスマスクの使用方法などについて検討していく必要があります。
著者名:Ehrhardt J, Ekinci A, Krehl H, et al.
論文名:Transmission of SARS-CoV-2 in children aged 0 to 19 years in childcare facilities and schools after their reopening in May 2020, Baden-Württemberg, Germany.      
雑誌名:Euro Surveill.2020.DOI:10.2807/1560-7917.ES.2020.25.36.2001587.
URL:https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.36.2001587

3.COVID-19患者の尿中ウイルス排泄について、39件の既報(2019年12月30日~2020年6月21日にSARS-CoV-2が確認された症例)を検討したレビューです。ウイルスの尿中排泄の機序は不明ですが、尿からの感染伝播が推測されています。メタ分析での推定ウイルス排泄頻度は1.18%(95%CI: 0.14~2.87)でした。成人では中等度から重症患者から検出されたのに対し、小児では軽症者から検出されていました。尿中ウイルス排泄は病日1から52まで認めました。ウイルス量は少なく、実際の感染性の検証はまだですが、尿を介した伝播の可能性があるため、内視鏡や尿道カテーテルなどの処置の際には注意が必要です。
著者名:Kashi AH, De la Rosette J, Amini E, et al.
論文名:Urinary viral shedding of COVID-19 and its clinical associations: A systematic review and meta-analysis of observational studies.
雑誌名:Urol J.2020. DOI:10.22037/uj.v16i7.6248. Online ahead of print.
URL:https://journals.sbmu.ac.ir/urolj/index.php/uj/article/view/6248/3994

4.COVID-19の経胎盤感染について論じた短報です。COVID-19陽性妊婦から出生の児の多くはウイルス陰性ですが、ごく少数の児で感染が証明されます。垂直感染のタイミング、頻度を知ることは、母体管理、分娩方法、新生児管理のために重要です。生直後のRT-PCR陽性やIgM抗体陽性は垂直感染を示唆しますが経胎盤感染は証明できません。経胎盤感染の証明には、胎盤の免疫組織化学またはin situハイブリダイゼーションなどでのウイルス抗原やウイルスRNAの検出が有用と考えられます。
著者名:Schwartz DA, Morotti D, Beigi B, et al.
論文名:Confirming vertical fetal infection with COVID-19: Neonatal and pathology criteria for early onset and transplacental transmission of SARS-CoV-2 from infected pregnant mothers.
雑誌名:Arch Pathol Lab Med.2020.DOI:10.5858/arpa.2020-0442-SA. Online ahead of print.
URL:https://meridian.allenpress.com/aplm/article-lookup/doi/10.5858/arpa.2020-0442-SA

5.小児の集団保育再開後のCOVID-19感染に関する米国からの詳細な報告です。ロードアイランド州では3か月の一斉休園後の2020年6月1日に小児の集団保育を再開しました。州の保健福祉局は安全に再開するために、保育園等での集団保育に対して、①十分な間隔を取れるスペースの確保、②保育スタッフと小児のメンバーを固定すること、③集団の人数はスタッフを含めて12人まで(1か月後には20人までに増加)、④スタッフのマスク着用、⑤スタッフと小児の毎日の症状確認、⑥CDCガイドラインに沿った消毒の6項目を要求しました。75%(666/891件)の施設で集団保育の再開が承認され、74%(18,945/25,749人)の小児が集団保育に戻りました。州での発生率が増加していた7月中旬から下旬に4施設でクラスターが発生し、101人の症例が報告され、89のクラスが閉鎖され、853人(小児687人、成人166人)が自宅待機とされました。最終的な確定患者は101人中52人で、小児30人(中央年齢5歳)、成人22人(スタッフ20人、親2人)でした。CDCの推奨事項を遵守することは重要ですが、小児の集団保育を保障するためには自宅待機の要件緩和が必要です。
著者名:Link-Gelles R, DellaGrotta AL, Molina C, et al.
論文名:Limited secondary transmission of SARS-CoV-2 in child care programs — Rhode Island, June 1–July 31, 2020.
雑誌名:Morb Mortal Wkly Rep: 69(34);1170–1172,2020.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6934e2.htm?s_cid=mm6934e2_w

6.米国ニューヨーク市の一病院からのCOVID-19に関する新生児管理についての総論的な報告です。妊婦の多くはSARS-CoV-2に感染しても軽症であり、無症候キャリアも多いと考えられています。早産率の高いことは知られていますが、SARS-CoV-2が新生児に与える影響についてはほとんどわかっていません。COVID-19の母親から出生した新生児は垂直感染の可能性があるため、医療従事者は感染防止を念頭においた対応が必要です。蘇生、隔離、呼吸管理、検査、母乳、面会、SARS-CoV-2検査時期などの項目に分けて詳細な説明と提案が記されています。
著者名:Krishnamurthy G, Sahni R, Leone T, et al.
論文名:Care of the COVID-19 exposed complex newborn infant.
雑誌名:Seminars in Perinatology, 21 July 2020, 151282.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0146000520300653?via%3Dihub

(Treatment)
1.6月29日までの論文を対象とした、COVID-19妊婦に関する系統的レビューです。11,308例の妊娠中あるいは出産後COVID-19症例が報告されていました。24%に咳嗽が18%に発熱が認められ、全身倦怠感や筋痛が13%、頭痛が13%の症例で認められましたが、ほとんど(79%)が軽症から中等症で、21%が重症と判断されていました。96%の妊婦が出産に至り、99%が生産児を娩出していましたが、一方で8例の新生児死亡が認められました。多くの症例で母体から児への感染に関する検査がなされていましたが、羊水、母乳、臍帯血、胎盤等の母体サンプルあるいは児の血清、全血、便、咽頭ぬぐい液などからウイルスが検出された報告はありませんでした。わずかに41例の母体から児へのウイルス感染の可能性が疑われた症例がありました。抗ウイルス剤を含む特異的治療は106例に実施されていました。一方で、COVID-19の臨床試験に関しては65%が妊婦を除外基準としているため、妊婦の治療法については情報が極めて限られているのが現状です。
著者名:Pastick KA, Nicol MR, Smyth E, et al.
論文名:A systematic review of treatment and outcomes of pregnant women with COVID-19-A call for clinical trials.
雑誌名:Open Forum Infect Dis 2020.DOI:10.1093/ofid/ofaa350.
URL:https://academic.oup.com/ofid/article/7/9/ofaa350/5892324

2.北米20地域各施設の医師と薬剤師で小児感染症領域の識者による、COVID-19患者に対する抗ウイルス療法の暫定的ガイダンスです。小児COVID-19患者の大多数は軽症であり、支持療法のみで十分な場合が多いです。酸素投与が必要な重症患者では、レムデシビルが治療選択肢ですが、可能であれば臨床治験として投与します。人工呼吸やECMOが必要な重篤患者では、レムデシビル5日間の使用を考慮すべきです。ヒドロキシクロロキンやロピナビル/リトナビル合剤などプロテアーゼ阻害薬は推奨しません。
著者名:Chiotos K, Hayes M, Kimberlin DW, et al.
論文名:Multicenter interim guidance on use of antivirals for children with coronavirus disease 2019 / severe acute respiratory syndrome coronavirus 2.
雑誌名:J Pediatric Infect Dis Soc 2020.DOI:10.1093/jpids/piaa115.
URL:https://academic.oup.com/jpids/advance-article/doi/10.1093/jpids/piaa115/5904884

3.米国フィラデルフィア小児病院で、COVID-19による急性呼吸窮迫症候群の患者に対して回復期血漿投与を行った4例の症例報告です。年齢は14~18歳、全例で人工呼吸、2例でECMO管理が必要な重篤患者です。患者は200~220mLの回復期血漿を投与され、臨床的改善を認めたのは2例でした。血漿ドナーの抗体価、投与前後の患者抗体価を測定し、患者自身の抗体産生の抑制は認めず、抗体依存性疾患増強(ADE)の徴候はありませんでした。有効性や安全性の評価にはランダム化試験が必要です。
著者名:Diorio C, Anderson EM, McNerney KO, et al.
論文名:Convalescent plasma for pediatric patients with SARS-CoV-2-associated acute respiratory distress syndrome.
雑誌名:Pediatr Blood Cancer 2020.DOI:10.1002/pbc.28693.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/pbc.28693

4.中国の武漢小児病院からの報告です。同病院に入院したCOVID-19罹患小児238例の中で、ICUでの治療を要したのは3例のみでした。この3例に急性腎障害を認め、残りの235例には認めませんでした。重症例3例にはいずれも血漿交換療法と持続的腎代替療法が行われ、1例は完全回復、1例は部分回復、1例は死亡しました。COVID-19の重症小児例においては急性腎障害に注意が必要です。
著者名:Wang X, Chen X, Tang F, et al.
論文名:Be aware of acute kidney injury in critically ill children with COVID-19.
雑誌名:Pediatr Nephrol 2020.DOI:10.1007/s00467-020-04715-z.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00467-020-04715-z

5.スウェーデンにおける観察研究です。スウェーデンでは、1974年まではBCGワクチンが広く接種されていましたが(接種率92%)、1975年4月にワクチンプログラムが変更され、それ以降の接種率は著しく低下しました(接種率2%)。1975年前と後に出生したそれぞれ約100万人のコホートについて、COVID-19の罹患率と入院率を比較しました。その結果、BCGワクチンがCOVID-19の罹患を19%減少させる、COVID-19の入院を25%減少させるという仮説は、95%の信頼性で棄却されました。出生時のBCG接種が中間年齢層のCOVID-19に対して防御的に作用するとは言えませんでした。
著者名:de Chaisemartin C, de Chaisemartin L.
論文名:Bacille Calmette-Guérin vaccination in infancy does not protect against coronavirus disease 2019 ( COVID-19 ): Evidence from a natural experiment in Sweden.
雑誌名:Clin Infect Dis 2020.DOI:10.1093/cid/ciaa1223.
URL:https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa1223/5896039

6.ドイツの単一施設における後方視的観察研究です。2020年1月から4月の救急外来受診実態を、2019年の同時期と比較しました。ロックダウン開始後の4週間で、外来受診患者数は63.8%減少しました。感染性疾患と非感染性疾患の両者とも患者減少を認めました。1歳以下および入院を必要とする症例の割合の増加が認められましたが、ICU入室患者はほとんどなく、死亡例もありませんでした。患者減少の原因として、医療機関受診によるCOVID-19罹患への恐れ、ロックダウンによる感染症罹患の減少などが推察されます。
著者名:Dopfer C, Wetzke M, Zychlinsky, et al.
論文名:COVID-19 related reduction in pediatric emergency healthcare utilization - a concerning trend.
雑誌名:BMC Pediatr 2020.DOI:10.1186/s12887-020-02303-6.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7475725/

(小児多系統炎症性症候群(Multi Inflammatory syndrome in children:MIS-C)と小児炎症性多系統症候群(Pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS))
1.MIS-Cに関する論文をまとめた系統的レビューです。PRISMAのガイドラインにのっとり実施されています。PubMed, LitCovid, Scopus, Science Directのデータベースを用いて検索語として”multisystem inflammatory syndrome in children”または “pediatric multisystem inflammatory syndrome”を用いて2020年1月1日~2020年7月25日の対象期間にヒットした論文に加えて、引用論文を精査しています。該当した症例報告、症例シリーズ、横断的研究、レターよりMIS-Cの定義を満たした症例の情報を抽出しまとめています。
 論文39件から条件をみたした662症例が解析の対象となりました。患者の平均年齢は9.3歳で52.3%が男性でした。人種構成はアフリカ系が34.8%、白人が27.6%、 ヒスパニック系が19.3%、 アジア系が8.1%でした。情報の記載があった48%に基礎疾患(肥満50.8%、呼吸器系26.5%、免疫・アレルギー 26.5%)を認めました。検査が行われた628例中の84.7%がSARS-CoV-2陽性(PCRもしくは抗体)でした。
 症状は全例から情報が得られ、発熱は100%に認め、腹痛や下痢を73.7%に認めました。身体所見上、結膜炎を51.8%に皮疹を56.2%に認めました。末梢血の分画は好中球優位(80.7%)でCRPは16.9mg/dLと上昇しフェリチンなども高値でした。心酵素 (troponin, BNP)なども著明に増加していました。全体の71%がICUに入室し、人工呼吸管理を22.2%が要し、ECMOは4.4%に導入されました。循環器評価が行われた患者の内、左室機能不全が45.1%に確認され、冠動脈瘤を8.1%に認めました。急性腎障害も16.3%に認められました。治療としてIVIGが76.4%、循環作動薬が52.3%、ステロイドが52.3%に投与されました。死亡例は全体の1.7%でした。
著者名:Ahmed M, Advani S, Moreira A, et.al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children: A systematic review.
雑誌名:E Clinical Medicine.
URL:https://doi.org/10.1016/j.eclinm.2020.100527
同時期にMIS-Cの系統レビューが他3件あるが、同様の結果となっている。
Kaushik A, et.al. DOI:10.1097/INF.0000000000002888
Aronoff SC, et.al. DOI:10.1093/jpids/piaa112
Radia T, et.al. DOI:10.1016/j.prrv.2020.08.001

2.急性感染症に伴い免疫性血小板減少症と自己免疫性溶血性貧血を認めた小児例2例でエクソーム解析をした論文です。うち1例はSARS-CoV-2感染によりMIS-Cを呈しました。両症例においてI型およびII型インターフェロンを負に制御するSOCS1遺伝子にヘテロ接合性の機能喪失型変異が認められました。SOCS1のハプロ不全は、インターフェロンシグナルの亢進、免疫細胞の活性化を引き起こし、感染に伴う自己免疫性血球減少症の発症に関与していると考えられました。
著者名:Lee PY, Platt CD, Weeks S, et al.
論文名:Immune dysregulation and multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) in individuals with haploinsufficiency of SOCS1.
雑誌名:J Allergy Clin Immunol. 2020.DOI:10.1016/j.jaci.2020.07.033.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0091674920311702?via%3Dihub

3.COVID-19小児例においてMIS-C合併の有無による臨床像の違いを検討したブラジルからの論文です。COVID-19が確定された18歳未満の66例のうち、MIS-C合併例は6例でした。ロジスティック回帰分析にてMIS-Cと消化器症状(オッズ比10.98)および低酸素(オッズ比16.85)に正の相関が認められ、単変量解析にてMIS-Cと死亡に正の相関(オッズ比58.00)が認められました。COVID-19小児例でMIS-Cを合併すると重症となり、死亡率も高くなることが示されました。
著者名:Pereira MFB, Litvinov N, Farhat SCL, et al.
論文名:Severe clinical spectrum with high mortality in pediatric patients with COVID-19 and multisystem inflammatory syndrome.
雑誌名:Clinics (Sao Paulo). 2020.DOI:10.6061/clinics/2020/e2209. Epub 2020 Aug 19.
URL:https://www.scielo.br/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S1807-59322020000100263&lng=en&nrm=iso&tlng=en

4.28人のMIS-Cと20人の川崎病(KD)患者における心臓超音波検査所見を後方視的に検討した報告です。MIS-Cの1例(4%)のみが急性期に一過性の冠状動脈拡張を示しました。MIS-C患者における左心室の収縮機能と拡張機能は、KD患者よりも悪く、心筋傷害を有する患者がより悪い結果でした。MIS-Cの心筋傷害の強力な予測因子は、全体的な縦方向のひずみ(GLS)、右心室のひずみ(RVFWLS)、および左心房のひずみ(LAS)でした。亜急性期に収縮機能は改善しましたが、拡張機能障害は持続しました。
著者名:Matsubara D, Kauffman HL, Wang Y, et al.
論文名:Echocardiographic findings in Pediatric Multisystem Inflammatory Syndrome associated with COVID-19 in the United States.
雑誌名:J Am Coll Cardiol. 2020.DOI:10.1016/j.jacc.2020.08.056.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109720364883?via%3Dihub

5.チリのサンティアゴの3つの小児病院でのMIS-Cの観察研究です。27人の患者(中央値6歳、範囲0〜14歳)が入院し、16人(59%)が集中治療室へ入室しました。最も多い症状は発熱と胃腸症状でした。82%の症例でSARS-CoV-2感染が診断されました。重症患者は、ヘモグロビンとアルブミンと血小板数が有意に低く、Dダイマーが高い結果でした。12人の患者(46%)に心エコー検査異常(心嚢液貯留、心機能障害、冠状動脈異常)が見られました。抗炎症治療(免疫グロブリンおよび/またはコルチコステロイド)が24人の患者に投与されました。死亡者はいませんでした。
著者名:Torres JP, Izquierdo G, Acuña M, et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C): Report of the clinical and epidemiological characteristics of cases in Santiago de Chile during the SARS-CoV-2 pandemic.
雑誌名:Int J Infect Dis. 2020.DOI:10.1016/j.ijid.2020.08.062.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1201971220306913?via%3Dihub

6.イランの3つの小児病院に入院したMIS-Cの患者の後方視的研究です。45名の年齢の中央値は7歳(10か月~17歳)でした。一般的な症状は、発熱(91%)、腹痛(58%)、悪心/嘔吐(51%)、粘膜皮膚発疹(53%)、結膜炎(51%)、手足浮腫(40%)でした。ほとんどの患者に炎症マーカーの著しい上昇、一部の患者にフェリチンやフィブリノーゲンやD-ダイマーやトロポニンの高値および低アルブミン血症や低ナトリウム血症が観察されました。25名(56%)に心臓病変、13名(29%)に急性腎不全を認めました。
著者名:Mamishi S, Movahedi Z, Mohammadi M, et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome associated with SARS-CoV-2 infection in 45 children: a first report from Iran.
雑誌名:Epidemiol Infect. 2020.DOI:10.1017/S095026882000196X.
URL:https://www.cambridge.org/core/journals/epidemiology-and-infection/article/multisystem-inflammatory-syndrome-associated-with-sarscov2-infection-in-45-children-a-first-report-from-iran/1FB55F2D0D673BFF79E9626B3F1E8300

7.2か月間にCOVID-19と診断された小児における画像検査に関し後方視的に検討した報告です。陽性者313人中55人(18%)に画像検査が行われ、うち44人(75%)は併存疾患がありました。MIS-Cの10人は全例画像検査行いましたが併存疾患があったのは3人(30%)でした。X線検査した51人中、間質陰影を16人(8人がMIS-C)、胸水を5人(4人がMIS-C)に認めました。エコー/CT/MRIは、MIS-Cの90%、MIS-C以外では18%で行われました。MIS-C以外の小児の大部分では胸部CTなどの高度な画像検査は不要です。
著者名:Biko DM, Ramirez-Suarez KI, Barrera CA, et al.
論文名:Imaging of children with COVID-19:experience from a tertiary children’s hospital in the United States.
雑誌名:Pediatr Radiol. 2020.DOI:10.1017//s00247-020-04830-x.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00247-020-04830-x

8.国際川崎病レジストリ研究の登録者のうちの11か国36機関でのMIS-C治療を調査した後ろ向き研究です。IVIGは回答者全員がMIS-Cに適応ありとし、使用率は症状で異なり、86%は2g/㎏使用していました。ステロイドは重症者とIVIG不応例で主に使用されました。重度や難治例にIL-1/IL-6阻害剤も使用されていました。抗炎症薬や抗血小板薬としてASAが多くの症例で使用されていました。また、静脈血栓症のリスクの高い例に予防的抗凝固薬、巨大冠動脈瘤を有する者に治療的抗凝固薬が使用されていました。
著者名:Elias MD, McCrindle BW, Larios G, et al.
論文名:Management of Multisystem Inflammatory Syndrome in Children Associated with COVID-19:A survey from the International Kawasaki Disease Registry.
雑誌名:CJC Open. 2020.DOI:10.1016/j.cjco.2020.09.004.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589790X20301372?via%3Dihub

9.SARS-CoV-2の遺伝子多型からMIS-Cの病因を検討した英国の研究です。期間中に入院した5人のMIS-Cと8人のMIS-Cではない小児と、130人の北ロンドンのSARS-CoV-2陽性者においてシークエンスを行いました。MIS-Cに特有のSNPsはなく、遺伝子系統樹も3群間に分布や割合に違いは認めずMIS-Cの病因は見つけられませんでした。宿主側の遺伝子がMIS-Cを引き起こすトリガーとなっている可能性が示唆されました。
著者名:Pang J, Boshier FAT, Alders N, et al.
論文名:SARS-CoV-2 polymorphisms and Multisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C).
雑誌名:Pediatrics. 2020.DOI:10.1542/peds.2020-019844.
URL:https://pediatrics.aappublications.org/content/early/2020/09/07/peds.2020-019844.long

(School closure)
1.COVID-19の流行による子どもの教育に関する影響を、スペインでのオンライン調査で検討しました。35,419人の回答者からの返答により、中流家庭の子どもは標準的な教育レベルを確保できましたが、保護者が低所得もしくは教育レベルが低かった場合、子どもは十分な教育の機会(学業や課外活動)を確保することができませんでした。学校閉鎖による悪影響は子どもたちに平等ではないようです。
著者名:Bonal X, Gonzales S.
論文名:The impact of lockdown on the learning gap: family and school divisions in times of crisis.
雑誌名:Int Rev Educ 2020.DOI:10.1007/s11159-020-09860-z.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7490481/pdf/11159_2020_Article_9860.pdf

2.COVID-19の流行による学校閉鎖と自粛は子どものメンタルヘルス〜例えば睡眠障害、気分障害などに加え、性的虐待を含む虐待も増えました。給食が主な栄養源である子どもへの身体的健康への影響も及ぼしました。イタリアにおいて、電子機器を用いた授業等によりそれを支援する家族の経済的及び時間的負担も惹起しました。このような状況下では、学習症、視空間症、注意欠如多動症などの神経発達症の子どもへの影響は特に甚大です。さらにこの時期に新規に精神的な障害を来した子どももいます。このようなことを回避するための「平時」からの準備を提案します。
著者名:Petretto DR, Masala I, Masala C.
論文名:School closure and children in the outbreak of COVID-19.
雑誌名:Clin Pract Epidemiol Ment Health 2020.DOI:10.2174/1745017902016010189.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7476239/pdf/CPEMH-16-189.pdf

3.学校では生徒に対して学業以外の支援をすることが不可欠で、心身の健康、食のサポート、肥満防止、ホームレスや虐待への介入を行っています。長引く学校閉鎖により生徒らへのこうした支援がなくなったことで、この子どもらが身体的または情緒的にどれ程の犠牲を強いられたのかに焦点を絞り、子どもたちにとって学業以外でも学校がいかに重要であるかを論じています。生徒らが学校に戻って来たら、学業以外のサービスと支援をより鋭く広範に行う事が必要となるでしょう。COVID-19パンデミックが、これから先の学校での学業以外のサービスおよび支援を改善するプログラムおよびポリシーの変化をもたらす機会となることを期待されています。
著者名:Hoffmann JA, Miller EA.
論文名:Addressing the consequences of school closure due to COVID-19 on children's physical and mental well-being.
雑誌名:World Med Health Policy 2020.DOI:10.1002/wmh3.365.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7461306/pdf/WMH3-9999-na.pdf

4.2020年1月14日から3月24日までの日本のCOVID-19の症候性患者のデータを使用して、学校閉鎖とイベント自粛の効果を、再生産数(R)を用いて評価しました。結果は、学校閉鎖・イベント自粛前の基本再生産数Roが2.56であり、学校閉鎖とイベント自粛により守られた小児の割合(効果)はそれぞれ0.4と0.5で、実効再生産数Reは小児で1.75、成人で1.84、老人で2.19でした。学校閉鎖とイベント自粛により接触頻度の大幅な削減が達成されましたが、COVID-19の大規模な流行を封じ込めるには不十分でした。
著者名:Kurita J, Sugawara T, Ohkusa Y.
論文名:Estimated effectiveness of school closure and voluntary event cancellation as COVID-19 countermeasures in Japan.
雑誌名:J Infect Chemother 2020.DOI:10.1016/j.jiac.2020.08.012.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1341321X20302920?via%3Dihub

5.2019年12月12日から2020年5月10日までに報告された29論文、4,300例(平均年齢7.04歳)の小児COVID-19症例のメタ分析です。18.9%(95%CI: 12.1–26.6%)は無症候性でありICU管理は0.1%(95%CI:0.0–1.3%)、死亡は4例であり、小児における重症例や死亡はまれでした。一方で、159か国が全国的な学校閉鎖を実施しており、世界中の生徒の70%以上が影響を受けていました。小児が潜在的な拡散者になるかもしれないという理由だけで、学校閉鎖のような長期間の厳格な管理を導入すると小児の幸福を損なう可能性があります。
著者名:Liu C, He Y, Liu L, et al.
論文名:Children with COVID-19 behaving milder may challenge the public policies: a systematic review and meta-analysis.
雑誌名:BMC Pediatr 2020.DOI:10.1186/s12887-020-02316-1.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7459157/pdf/12887_2020_Article_2316.pdf

6.日本国内でのCOVID-19パンデミック第1波による学校閉鎖が小児の自殺に及ぼす影響を検討するために、学校閉鎖が行われた2020年の3月から5月における20歳未満の小児の自殺数と、2018-2019年の同時期の自殺数をポアソン回帰で比較評価しました。その結果、3月から5月全体の自殺率に有意な変化は認められず(IRR: 1.15、95%CI: 0.81~1.64)、COVID-19パンデミック第1波による国内の学校閉鎖は小児の自殺率に有意な影響を与えていないことを示唆しています。(訳者注:この調査は2020年5月までのデータを元にしており第2波の影響は含まれていません。)
著者名:Isumi A, Doi S, Yamaoka Y, et al.
論文名:Do suicide rates in children and adolescents change during school closure in Japan? The acute effect of the first wave of COVID-19 pandemic on child and adolescent mental health.
雑誌名:Child Abuse Negl 2020.DOI:10.1016/j.chiabu.2020.104680.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7443207/pdf/main.pdf

 


【2020年10月26日 掲載】
(Mechanism)
1.小児多系統炎症性症候群(MIS-C)と診断された28名の臨床症状や検査所見の特徴を明らかにし、後ろ向きに川崎病(KD)およびマクロファージ活性化症候群(MAS)と比較した論文です。7名(25%)がKDの診断基準を満たし、6名に冠動脈病変を認めました。22名に免疫調整薬が投与され、死亡例はありませんでした。MIS-CはKDとは血球減少の有無、MASとはフェリチンの高さとサイトカイン産生のパターンが異なっており、幅広い表現型が含まれています。
著者名:Lee PY, Day-Lewis M, Henderson LA, et al.
論文名:Distinct clinical and immunological features of SARS-COV-2-induced multisystem inflammatory syndrome in children.
雑誌名:J Clin Invest 2020.DOI:10.1172/JCI141113.
URL:https://www.jci.org/articles/view/141113

(Diagnosis)
1.研究に際してのSARS-CoV-2検査検体の自宅回収法に関する論文です。ソーシャルメディア広告を通じて18歳以上成人1,435名を対象者として集めました(2020年3月27日〜4月1日)。研究目的のための、唾液検体自宅回収、咽頭スワブ検体自宅回収、フィンガープリックによる血液検体、ドライブスルーでの咽頭スワブ採取、クリニックでの咽頭スワブ採取、クリニックでの血液検体採取につき、どれについて協力意欲があるか、5ポイントLikertスケールを含めたアンケートを実施しました。また、自宅回収とそれ以外の場所での回収との比較も追加しました。多くの参加者は、唾液検体(88%)と咽頭スワブ検体(83%)の自宅回収に賛同しましたが、ドライブスルー(64%)とクリニック(53%)での回収に賛同する率は低かったです。SARS-CoV-2研究において参加者を増やすためには、検体の自宅回収法を考慮すべきです。
著者名:Hall EW, Luisi N, Zlotorzynska M, et al.
論文名:Willingness to Use Home Collection Methods to Provide Specimens for SARS-CoV-2/COVID-19 Research: Survey Study.
雑誌名:J Med Internet Res 2020.DOI:10.2196/19471. 
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32790639

2.COVID-19流行時(2020年3月)のニューヨークの1医療機関において、症状からCOVID-19が疑われた小児に対して、COVID-19のPCRと共に他のウイルスと細菌培養検査により、病原微生物診断を行った報告です。対象の42人のうち、COVID-19が陽性であったのは5人(12%)のみでした。最も多かったのは、ライノウイルス/エンテロウイルスの16人でした。COVID-19陽性例の中に、MRSAによる菌血症、骨髄炎例が認められました。COVID-19流行中であっても、小児のCOVID-19陽性例は成人に比べ少ないため(成人では同時期42%が陽性)、重篤な細菌感染症を見逃さないようにすることが大切です。
著者名:Acker KP, Schertz K, Abramson EL, et al.
論文名:Infectious diseases diagnoses of children admitted with symptoms of coronavirus disease 2019 during an outbreak in New York City.
雑誌名:Clin Pediatr 2020.DOI:10.1177/0009922820944399.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32713187

3.小児のCOVID-19感染症の画像に関するシステマティックレビューです。1984の記録から46編923症例のデータについて検討しました。最も多く検討されていたのは、胸部CTであり、1/3の患者では異常が認められませんでした。一方、臨床上無症状感染者の19%で異常像が認められました。小児COVID-19肺炎では、異常像は、両側性より片側性が多く、すりガラス状陰影、斑状影、浸潤影が多く認められました。
著者名:Kumar J, Meena J, Yadav A, et al.
論文名:Radiological findings of COVID-19 in children: A systematic review and meta-Analysis.
雑誌名:J Trop Pediatr 2020.DOI:10.1093/tropej/fmaa045. Online ahead of print.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32692815

4.COVID-19の小児における血液学的パラメーターおよび末梢血の形態学的異常について検討された短報(letter to the editor)です。発熱と気道症状にて救急外来を受診しSARS-CoV-2陽性であった小児患者30名と、陰性者40名の血算・血像を比較しました(2020年4月1日~15日)。COVID-19患児ではリンパ球減少、好中球減少がみられ、他のウイルス感染症と同様にSARS-CoV-2も好中球減少の一因になりうると考えられました。成人では血小板数低下が重症度と相関しますが、小児の検討では重症例がなく、血小板減少は認めませんでした。単球、顆粒球、血小板の異形成も認めましたが、特異的・診断的ではありませんでした。
著者名:Nese Y, Akcabelen YM, Unal Y, et al.
論文名:Hematological parameters and peripheral blood morphologic abnormalities in children with COVID-19.
雑誌名:Pediatr Blood Cancer 2020.DOI:10.1002/pbc.28596. Online ahead of print.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32761973

5.小児のSARS-CoV-2感染症の診断方法として鼻咽頭スワブがゴールドスタンダードであるかどうか検討された短報(letter to the editor)です。臨床症状からSARS-CoV-2感染を疑った患者49名と、発熱と食欲不振を呈し家族に陽性患者がおり鼻咽頭スワブが陽性だった6名に対して、入院後24時間後、48時間後に鼻咽頭スワブを用いたrRT-PCRを行いました(2020年3月16日~5月16日)。疑い患者49名の結果は2回とも陰性でした。陽性患者6名のうち5名は気道症状が悪化し、CT上両側肺炎を認めたものの、2回とも陰性でした。小児ではACE2受容体発現が少ないためウイルスの親和性が低いことが考えられます。鼻咽頭スワブ、中咽頭スワブは小児のSARS-CoV-2感染症診断には適さないと推察されます。
著者名:Marino S, Ruggieri M, Falsaperla R.
論文名:Is SARSCoV-2 nasopharyngeal swab still a gold standard in children?
雑誌名:Med Hypotheses 2020.DOI:10.1016/j.mehy.2020.110041. Online ahead of print.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32758882

6.小児COVID-19患者91症例の胸部画像所見をまとめた報告です。対象は欧州小児放射線学会の症例報告フォームから収集した18歳未満の91症例で(2020年3月12日~4月8日)、胸部レントゲン、胸部CTはそれぞれ3名ずつの放射線科医が独立して読影しました。1/3は基礎疾患を有する患者で、11%が集中治療を要しました。胸部レントゲン(81症例)の代表的な所見は肺門周囲気管支周囲壁の肥厚、浸潤影、限局性のすりガラス影で、他の下気道感染症との鑑別は困難です。胸部CT(24症例)の代表的な所見は、限局性のすりガラス影、浸潤影で、成人と同様、発症初期には末梢優位にすりガラス影が出現し、重症例でメロンの皮様所見を呈していました。いずれもCOVID-19に特異的ではなく、スクリーニングの胸部画像検査は必須ではないと考えられました。CTは基礎疾患を有する患児など重症患者のみに適応すべきです。
著者名:Caro-Dominguez P, Shelmerdine SC, Toso S, et al.
論文名:Thoracic imaging of coronavirus disease 2019 (COVID-19) in children: a series of 91 cases.
雑誌名:Pediatr Radiol 2020.DOI:10.1007/s00247-020-04747-5.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32749530

7.味覚と嗅覚に関連する症状は主観的であるため、成人とは違って小児COVID-19患者の味覚異常と嗅覚異常に関する症例報告はほとんどありません。本論文はトルコからの報告です。PCR検査陽性小児17症例のうち、11歳女児1例が味覚喪失2日後に医療機関を受診しました。嗅覚異常はありませんでした。発熱、咳、咽頭痛、頭痛はなく、身体所見に異常を認めませんでした。家族全員が14日間自宅隔離されましたが、他の検査も治療もおこなわれませんでした。味覚異常や嗅覚異常は、年長小児や青年においては、他の症状がない場合に診断や検査適応の参考になると思われます。
著者名:Erdede O, Sarı E, Külcü NU, et al.
論文名:An overview of smell and taste problems in paediatric COVID-19 patients.
雑誌名:Acta Paediatr 2020.DOI:10.1111/apa.14938.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32750752

8.本論文はスペインからの報告です。小児COVID-19入院患者の管理には、ベッドサイドで繰り返し実施する超音波検査(point-of-care US,POCUS)が有用です。症例は全例が十分な尿量を保っていましたが、POCUSによって胸水貯留と心嚢液貯留が認められました。その他、PEEPの最適化、気管内挿管の位置確認、循環血漿量及び心機能の評価、脳神経モニタリングにもPOCUSが利用できます。
著者名: Vazquez Martínez JL, Macarrón CP, Pérez AC, et al.
論文名:Short report - Usefulness of point-of-care ultrasound in pediatric SARS-CoV-2 infection.
雑誌名:Eur Rev Med Pharmacol Sci 2020.DOI:10.26355/eurrev_202007_22284.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32744707

9.小児のSARS-CoV-2のRT-PCR検査の検体として、鼻咽頭吸引(NPA)と鼻咽頭スワブを(NS)を比較したイタリアからの報告です。入院時と入院後24時間にNPAと両側鼻孔からのNSを採取し、300組のペア検体で検査がおこなわれました。結果は、NPA+/NS+:25、NPA+/NS-:18、NPA-/NS+:6、NPA-/NS-:251と、276例で結果が一致し、24例で不一致でした。一致率は92.0%(95%CI 88.3%〜94.6%)でした。NPA+のうち41.9%(95%CI 28.2%〜56.9%)はNS-でした。NPA-のうち2.3%(95%CI 1.1%–5.1%)はNS+でした。NPAを基準として、NSの感度は58.1%(95%CI 43.1%〜71.8%)、特異度は97.7%(95%CI 94.9%〜98.9%)でした。これらの結果から小児のSARS-CoV-2の検出には可能な限りNPAを勧めています。
著者名:Capecchi E, Di Pietro GM, Luconi E.
論文名:Is Nasopharyngeal Swab Comparable With Nasopharyngeal Aspirate to Detect SARS-CoV-2 in Children?
雑誌名:Pediatr Infect Dis J 2020.DOI:10.1097/INF.0000000000002824.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32740453

10.COVID-19肺炎と診断された59人の小児の胸部X線所見と22人の胸部CT所見を評価したトルコの論文です。胸部X線では、多くは片側の下肺野で肺炎像が認められました。胸部CTでは、55%で両側性および多巣性病変が認められ、27%で片側および一葉病変でした。41%はすりガラス状陰影だけが認められ、36%ではすりガラス状陰影と浸潤影が認められました。55%では末梢と肺門部の両方に分布していましたが、69%は下葉病変があり重要な所見でした。4例では、複数の円形のすりガラス状陰影と円形の浸潤影の両者が認められました。小児患者では胸部X線で十分な場合が多く、胸部CTは臨床的に必要な場合にのみ行う必要があります。
著者名:Palabiyik F, Kokurcan SO, Hatipoglu N, et al.
論文名:Imaging of COVID-19 pneumonia in children.
雑誌名:Br J Radiol 2020.DOI:10.1259/bjr.20200647.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32730110

(Transmission)
1.ギリシャの家族内クラスターにおけるSARS-CoV-2感染伝播の検討です。23のクラスター(109名、成人66名、小児43名)を調査しました。21クラスターでは成人が発端者でした。19クラスターで成人から小児、12クラスターで成人から成人への感染伝播がありましたが、小児から成人、あるいは小児間での伝播はありませんでした。小児例は有意に無症状例が多く、ウイルス量も少量でした。
著者名:Maltezou HC, Vorou R, Papadima K, et al.
論文名:Transmission dynamics of SARS-CoV-2 within families with children in Greece: a study of 23 clusters.
雑誌名:J Med Virol 2020.DOI:10.1002/jmv.26394. [Epub ahead of print]
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jmv.26394

2.米国で前方視的にSARS-CoV-2家族内接触者調査が実施されました。198名中47名(年齢中央値24歳)がRT-PCRで陽性でした。初回PCR陽性時に最も多く認められた症状は鼻汁、鼻閉、咽頭痛などの上気道症状(68%)と頭痛、嗅覚障害、味覚障害などの神経学的症状(64%)であり、発熱は比較的少数でした(19%)。8名(17%)は初回PCR陽性時に無症状でしたが、内2名はそれ以前に症状があり、6名はそれ以降に症状が出現しました。小児では咳嗽、呼吸苦、喘鳴などの下気道症状出現割合が成人と比較して有意に低値でした(18歳未満:21%、18-49歳:60%、50歳以上:69%; p=0.03)。
著者名:Yousaf AR, Duca LM, Chu V, et al.
論文名:A prospective cohort study in non-hospitalized household contacts with SARS-CoV-2 infection: symptom profiles and symptom change over time.
雑誌名:Clin Infect Dis 2020.DOI:10.1093/cid/ciaa1072.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32719874

3.英国におけるCOVID-19患者の上気道から採取された324検体を使用して、ウイルス量と感染性の関連を検討しました。ウイルス量はRT-PCR、感染性はVero E6細胞を使用したウイルス分離で評価しました。軽症から中等症の患者さんでは、発症時期前後にウイルス量のピークがあり、感染性を持つウイルスは発症から10日間検出されました。RT-PCRのCt値は感染性ウイルス検出の有無と強く相関しており、Ct値が35以上では検出率は8%、発症から10日目以降では6%に低下していました。感染性ウイルス検出率は症状の有無では差が認められず、無症候性病原体保有者も感染源となることを示しています。
著者名:Singanayagam A, Patel M, Charlett A, et al.
論文名:Duration of infectiousness and correlation with RT-PCR cycle threshold values in cases of COVID-19, England, January to May 2020.
雑誌名:Euro Surveill 2020.DOI:10.2807/1560-7917.ES.2020.25.32.2001483.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32794447

4.スイスのジュネーブ大学病院において、COVID-19患者から診断時に採取した鼻咽頭ぬぐい液を用い、RT-PCR法により上気道におけるウイルス排泄量を検討しました。小児53例と成人352例を、0~11歳、12~19歳、20~45歳、45歳以上に4区分してウイルス量を比較した結果、0~11歳が106.1±2.0、12~19歳が105.9±2.0、20~45歳が105.6±1.9、45歳以上が106.3±2.0でした。COVID-19発症5日以内におけるウイルス排泄量は、小児と成人において明らかな差はありませんでした。
著者名:Baggio S, L’Huillier AG, Yerly S, et al.
論文名:SARS-CoV-2 viral load in the upper respiratory tract of children and adults with early acute COVID-19.
雑誌名:Clin Infect Dis 2020.DOI:10.1093/cid/ciaa1157.
URL:https://doi.org/10.1093/cid/ciaa1157

5.米国のシカゴにおいて、2020年3月23日から4月27日の期間中に、外来、入院、救急センターおよびドライブスルー検査所にて採取した鼻咽頭ぬぐい液を用いて、SARS-CoV-2のRT-PCR法を行い、CT値を求めました。対象者は、年齢が1か月~65歳、COVID-19を疑わせる臨床症状がある者か濃厚接触者のいずれかで、無症状者や発症時期不明者などは除外しました。その結果、5~17歳の小児と18歳以上の成人でのウイルス量は同程度でしたが、5歳未満の小児では5歳以上の小児や成人に比較してウイルス量が10~100倍多い結果でした。
著者名:Heald-Sargent T, Muller WJ, Zheng X, et al.
論文名:Age-Related Differences in Nasopharyngeal Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Levels in Patients With Mild to Moderate Coronavirus Disease 2019 (COVID-19).
雑誌名:JAMA Pediatr 2020.DOI:10.1001/jamapediatrics.2020.3651.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2768952

6.中国武漢の一施設において、2020年1月23日から3月19日の期間に経験したCOVID-19罹患妊婦から出生した早産児6例の臨床経過報告です。在胎週数は28週5日~36週3日で、早産の原因は1例がCOVID-19による呼吸困難、1例が既往の心疾患、2例が早期破水、双胎の2例が重症子癇前症でした。5例は帝王切開により、1例が不可避的自然分娩により出生しました。6例全例に早産による重度の合併症はなく、咽頭と肛門のぬぐい液を用いたSARS-CoV-2のPCRは陰性でした。適切な対処を行えば、早産児においてもSARS-CoV-2の垂直感染のリスクは低いです。
著者名:Hu X, Gao J, Wei Y, et al.
論文名:Managing Preterm Infants Born to COVID-19 Mothers: Evidence from a Retrospective Cohort Study in Wuhan, China.
雑誌名:Neonatology 2020.DOI:10.1159/000509141.
URL:https://www.karger.com/Article/Pdf/509141

7.ニューヨーク大学小児科で行われた、85名のSARS-CoV-2陽性の母と児の出産後の栄養法に関する電話インタビューによるコホート研究です。SARS-CoV-2陽性の母と児の管理は当初母児別室での管理が推奨されていましたが、その後経母乳感染のリスクが低いことが明らかとなり感染予防策を実施したうえでの同室での授乳が推奨されるようになりました。そのような状況下で、母児別室管理群と同室管理群間で、出産前の栄養法の予定と出産後入院中と退院後の栄養法を調査しています。出産前の栄養法の予定は2群間で差はありませんでしたが、出産後入院中、退院後ともに別室管理群で母乳栄養の割合が有意に低く、その理由としてCOVID-19感染が強い影響を与えていることが明らかとなりました。
著者名:Popofsky S, Noor A, Leavens-Maurer J, et al.
論文名:Impact of Maternal SARS-CoV-2 Detection on Breastfeeding Due to Infant Separation at Birth.
雑誌名:The Journal of Pediatrics 2020.DOI:10.1016/j.jpeds.2020.08.004.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32791077

8.SARS-CoV-2感染小児からのウイルス感染についてのエモリー大学からの報告です。32例のウイルス学的にSARS-CoV-2感染が証明され、かつ有症状の小児index caseと144名の家族内接触者(58名の小児と86名の成人)を解析対象とし、index caseの発症前後で接触者にSARS-CoV-2感染疑い症状が認められたかどうかで家族内感染の有無を解析しています(ウイルス学的な証明はされていません)。67名(46.5%)に疑い症状が認められ、31例(46%)がindex caseの発症後、36例(54%)がindex caseの発症前に疑い症状が認められていました。疑い症状の出現時期の平均値はindex caseの発症4日前あるいは4日後でした。これらの中で、明らかに小児患者がindex caseとなって成人へ感染したと思われた症例が7症例存在しました。
著者名:Teherani MF, Kao CM, Camacho-Gonzalez A, et al.
論文名:Burden of illness in households with SARS-CoV-2 infected children.
雑誌名:J Pediatric Infect Dis Soc 2020.DOI:10.1093/jpids/piaa097.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32780809

9.韓国での国内のCOVID-19症例報告システムデータを使った後方視的な観察研究で、18歳以下のウイルス学的に証明された小児患者がindex caseとなった107例とその家族内接触者248名を対象としています。2次感染例の定義は、感染暴露から少なくとも1日から14日後以内に感染した症例と定義されています。1例が二次感染を起こしたことから、二次感染率は0.5%(95%CI:0.0%~2.6%)と極めて低い結果となりました。その一例は、海外から帰国した際に自宅で自己隔離していましたが、食事を一緒に取っていた妹に感染しました。尚、同居していた両親には感染しませんでした。
著者名:Kim J, Choe YJ, Lee J, et al.
論文名:Role of children in household transmission of COVID-19.
雑誌名:Arch Dis Child 2020.DOI:10.1136/archdischild-2020-319910.
URL:https://adc.bmj.com/content/archdischild/early/2020/08/06/archdischild-2020-319910.full.pdf

10.男女597名のジョージア州での研修キャンプ、参加者の年齢中央値12歳(6~19歳)、スタッフは17歳(14~59歳)。12日以内のウイルス検査陰性を確認して参加し、スタッフのみ布マスク着用、部屋の換気は行わず、大きな声で歌う行事あり。10代スタッフ1名が悪寒で離脱し、翌日にSARS-CoV-2陽性判明、キャンプは中止されました。14日目までのPCR/抗原検査陽性者を二次感染者としました。検査結果を確認できた344名中260名(76%)が陽性。感染率は44%(260/597)で、年齢別では51%(6~10歳;100名)、44%(11~17歳;409名)、33%(18~21歳;81名)、29%(22~59歳;7名)でした。症状の情報が得られた136名中36名(26%)が無症状でした。
著者名:Szablewski CM, Chang KT, Brown MM, et al.
論文名:SARS-CoV-2 Transmission and Infection Among Attendees of an Overnight Camp - Georgia, June 2020.
雑誌名:Morb Mortal Wkly Rep. 2020; 69:1023–5.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6931e1.htm

11.垂直感染と考えられる新生児の症例報告です。29歳妊婦が9日前から発熱しSARS-CoV-2陽性、在胎38週で誘発経膣分娩。2,840g、Apgar9/10点で出生した男児、初回PCRは3遺伝子未満の増幅で判定不能。母子分離され、生後12時間で哺乳不良、腹部膨満、反応性低下を認め急速に増悪しNICU収容、生後36時間のPCR陽性でした。その後、胸部エックス線検査で間質陰影が増悪し人工呼吸管理が必要となり、気管吸引液のPCR陽性。人工呼吸は36時間で中止し、徐々に病状改善、生後18日で元気に退院しました。羊水、胎盤、膣分泌液のウイルス学的検索は未実施です。
著者名:Marzollo R, Aversa S, Prefumo F, et al.
論文名:Possible Coronavirus Disease 2019 Pandemic and Pregnancy: Vertical Transmission Is Not Excluded.
雑誌名:Pediatr Infect Dis J 2020.DOI:10.1097/INF.0000000000002816.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32740456

12.第1波流行時に学校閉鎖をほとんど行わなかったオーストラリア、ニューサウスウェールズ州において、15の学校と10の幼稚園・保育所で、小児(18歳以下)12名、成人15名の発端者が発症し、1,448名の濃厚接触者に対して14日間の自宅自主隔離と有症時のPCR検査を勧告、一部は抗体測定も行いました。633名(43.7%)が検査を受け、二次感染者は18名でした(感染率1.2%)。学校での二次感染者は少数(感染率0.5%;5/914)で、幼稚園・保育所9施設の接触者(497名)からは二次感染者なし。しかし、1施設で成人6名と小児7名に二次感染が発生し、感染率は35.1%(13/37)でした。学校や幼稚園・保育所での二次感染の頻度は低く、接触者検査や日常の感染制御策が適切に実施されれば、学校・幼稚園・保育所は感染拡大の大きな要因にはならないとしています。
著者名:Macartney K, Equinn H, Jpillsbury A, et al.
論文名:Transmission of SARS-CoV-2 in Australian educational settings: a prospective cohort study.
雑誌名:The Lancet Child & Adolescent Health 2020.DOI:10.1016/S2352-4642(20)30251-0.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352464220302510?via%3Dihub

(Treatment)
1.COVID-19のオフラベル治療であるクロロキン・ハイドロクロロキンの懸濁液が濾過や遠心処理後でも使用可能か検討した論文です。経口投与不可で胃管から投薬する際、懸濁液中の浮遊物で胃管が閉塞し投与できません。薬を4㎎/mlに懸濁した液をサイズや製剤の異なるフィルターで濾過したが薬の成分に変化なかった。25㎎/mlの懸濁液はフィルターが詰まるため軽く遠心分離したが薬の成分に変化なく、フィルターの代替になります。
著者名:U.M.Musazzi,D.Zanon,C.M.G.Gennari, et al.
論文名:Data on chloroquine/hydroxychloroquine content in compounded oral suspension after filtration and centrifugation.
雑誌名:Data Brief 2020.DOI:10.1016/j.dib.2020.106116.
URL:https://doi.org/10.1016/j.dib.2020.106116

2.日本の厚生労働省や都道府県から得られたSARS-CoV-2感染の有病率とワクチン接種率の関連を分析しました。COVID-19感染のない5県(岩手、山形、富山、鳥取、島根)での1999〜2002、2004、および2012年のBCGワクチン接種率は、感染の有病率が高い5都道府県(兵庫、大分、千葉、東京、北海道)よりも有意に高い結果でした。SARS-CoV-2感染の有病率は、2004年のBCGワクチン接種率と有意に負の相関がありました。若い世代のBCGワクチン接種が、日本での地域のCOVID-19拡散の防止に大きな影響を与えたことが示唆されると著者らは結論付けています。(他のBCG関連論文と同様に、様々な交絡因子の評価が困難であり、解釈には慎重を期すべきだと考えます)
著者名: Kinoshita M, Tanaka M.
論文名: Impact of routine infant BCG vaccination in young generation on prevention of local COVID-19 spread in Japan.
雑誌名: J Infect 2020.DOI:10.1016/j.jinf.2020.08.013.
URL: https://www.journalofinfection.com/article/S0163-4453(20)30547-8/fulltext

3.クロロキンの耳毒性について2つの実験モデルを用いて検討した論文です。ゼブラフィッシュ側線器をクロロキンに1時間もしくは24時間暴露したところ、用量依存性に有毛細胞数が減少しました。ヒドロクロロキンも同様の効果を示しました。マウス蝸牛組織の培養実験では、クロロキンにより蝸牛基底回転の外有毛細胞が特異的に障害されることが判明しました。以上より、クロロキンや関連薬剤の使用時には聴力と平衡機能に関する評価が必要であることが示唆されました。
著者名:Davis SN, Wu P, Camci ED, et al.
論文名:Chloroquine kills hair cells in zebrafish lateral line and murine cochlear cultures: Implications for ototoxicity.
雑誌名:Hear Res 2020.DOI:10.1016/j.heares.2020.108019.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378595520302902?via%3Dihub

4.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用と肺炎合併症のリスクを検討したシステマチックレビューです。1721の研究から10の研究が対象となりました。成人59,250人と小児1,217人が検討され、NSAIDs使用と肺炎合併症との関連が認められました。オッズ比/リスク比は、成人1.8〜8.1、小児1.9〜6.8でした。しかしこの結果は、交絡バイアス、誤分類、因果の逆転やデータの希少性によるバイアスなど様々なバイアスにより大きな影響を受けており、より厳格な評価が必要と考えられました。
著者名:Sodhi M, Khosrow-Khavar F, FitzGerald JM, et al.
論文名:Non-steroidal anti-inflammatory drugs and the risk of pneumonia complications: A systematic review.
雑誌名:Pharmacotherapy 2020.DOI:10.1002/phar.2451.
URL:https://accpjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/phar.2451

(小児多系統炎症性症候群(Multi Inflammatory syndrome in children:MIS-C)と小児炎症性多系統症候群(Pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS))
1.MIS-C患者25例(うち17例がSARS-CoV-2抗体陽性)の1)急性期、2)消炎期、3)回復期における末梢血白血球の表現型を評価しました。急性期では、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、IL-17、IFN-γの上昇、T細胞(CD4陽性、CD8陽性、γδ)およびB細胞(特にnatural effector)の減少が観察されました 。 急性期における好中球および単球での高いCD64発現、およびγδおよびCD4 + CCR7 + T細胞での高いHLA-DR発現は、これらの免疫細胞が活性化されたことを示唆しています。 一方、抗原提示細胞のHLA-DRおよびCD86の発現は急性期で低く、消炎期と回復期には正常化していることから、急性期においては抗原提示が障害されている可能性が示唆されます。MIS-Cは免疫病原性疾患と思われますが、その免疫表現型は川崎病や成人のCOVID-19とは異なると思われ、検証が必要です。
著者名:Carter MJ, Fish M, Jennings A, et al.
論文名:Peripheral immunophenotypes in children with multisystem inflammatory syndrome associated with SARS-CoV-2 infection.
雑誌名:Nat Med 2020.DOI:10.1038/s41591-020-1054-6.
URL:https://www.nature.com/articles/s41591-020-1054-6.pdf

2.MIS-C関連25文献のnarrative review:MIS-Cの患者は、持続発熱、消化器症状、多様な発疹、結膜炎、粘膜変化、および炎症マーカーの上昇とサイトカインストームの痕跡も頻繁に観察されました。患者の一部は、急性心筋機能障害または全身性過炎症/血管拡張のいずれかによる低血圧およびショック(20-100%)を示しました。冠動脈の拡張または動脈瘤は6〜24%、不整脈は7〜60%に認めました。川崎病と比較すると、好発年齢は年長であり、ショックや心臓病変、トロポニンTやBNPの上昇が高頻度であると結論づけています。
著者名: Sperotto F, Friedman KG, Son MBF, et al.
論文名:Cardiac manifestations in SARS-CoV-2-associated multisystem inflammatory syndrome in children: a comprehensive review and proposed clinical approach.
雑誌名:Eur J Pediatr 2020.DOI:10.1007/s00431-020-03766-6.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7429125/pdf/431_2020_Article_3766.pdf

3.米国で報告された570例のMIS-C患者のまとめ:入院期間の中央値は6日間で、364例(63.9%)にICU管理を要し、10例(1.8%)が死亡しました。年齢中央値は8歳であり、55.4%が男児でした。40.5%がヒスパニック系またはラテン系であり、33.1% は非ヒスパニック系の黒人、13.2% が非ヒスパニック系の白人でした。もっとも高頻度に認めた基礎疾患は肥満でした。主な症状は腹痛(61.9%)、嘔吐(61.8%)、発疹(55.3%)、下痢(53.2%)、低血圧(49.5%)、結膜充血(48.4%)でした。 主な合併症は心機能障害(40.6%)、ショック(35.4%)、心筋炎(22.8%)、冠動脈拡張または瘤形成(18.6%)、急性腎不全(18.4%)などでした。424例(80.5%)にIVIG、331例に(62.8%)ステロイド、309(58.6%)に抗血小板療法、233(44.2%)に抗凝固療法、221(41.9%)に昇圧剤等による治療がなされました。
著者名:Godfred-Cato S
論文名:COVID-19-Associated Multisystem Inflammatory Syndrome in Children - United States, March-July 2020.
雑誌名:Morb Mortal Wkly Rep. 2020; 69: 1074–80.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/pdfs/mm6932e2-H.pdf

4.英国の単一施設(Evelina London Children’s Hospital)における後方視的観察研究:PIMS-TS 20例(平均年齢10.6歳)に対して心臓CT(中央値15日に施行)、心臓MRI(中央値20日に施行)による心機能評価をしました。 CTにおいては12例(60%)に分節状の瘤形成を伴わない冠動脈拡張(Z score >2)を認め、そのうち9例には左主冠動脈 への影響を認めました。MRIにおいては7例 (35%)に駆出率の低下(EF <55%)、10例(50%)に心筋浮腫、1例(5%)に心内膜下梗塞を認めました。
著者名:Theocharis P, Wong J, Pushparajah K, et al.
論文名:Multimodality cardiac evaluation in children and young adults with multisystem inflammation associated with COVID-19.
雑誌名:Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2020.DOI:10.1093/ehjci/jeaa212.
URL:https://academic.oup.com/ehjcimaging/advance-article/doi/10.1093/dhjci/jeaa212/5882094

5.米国NYの単一施設(Mount Sinai Kravis Children’s Hospital)における後方視的観察研究:MIS-C 15例(平均年齢11.5歳)に対して行われた初回の心エコーにおいて、左心室のejection fraction(EF)の平均は49.5%であり、8例(53%)に左室機能不全(EF <55%)を認めました。死亡1例と調査脱落1例を除く13例のうち10例は1か月以内に正常範囲内に回復しました。残る3例は正常低値(EF=50-55%)であり、継続follow中です。経過中に冠動脈が評価された12例のうち4例に動脈瘤を認めました(z score >2.5)。左主冠動脈動脈瘤は2例に認められ、1例は既に自然軽快しました。左前下行枝動脈瘤は3例に認めましたが、全例30日以内に自然軽快しました。ごく軽度の右冠動脈動脈瘤を1例のみに認めました。
著者名:Jhaveri S, Ahluwalia N, Kaushik S, et al.
論文名:Longitudinal Echocardiographic Assessment of Coronary Arteries and Left Ventricular Function Following Multisystem Inflammatory Syndrome in Children.
雑誌名:J Pediatr 2020. DOI:10.1016/j.jpeds.2020.08.002.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7403848/pdf/main.pdf

6.440例のMIS-Cを報告する8文献のsystematic review:年齢中央値は7.3-10歳であり、59%が男児でした。人種は黒人とアフロカリビアンが31-62%を占め、米国からの2文献においてはヒスパニックが36ー39%を占めていました。SARS-CoV-2 PCR陽性率は13-69%、抗体陽性率は75-100%でした。主な症状は、消化器症状(87%)、皮膚粘膜症状(73%)、心血管症状(71%)であり、呼吸器症状は47%に留まりました。全ての論文においてCRP、IL-6、フィブリノーゲンの上昇が75%以上の患児で認められました。
著者名:Abrams JY, Godfred-Cato SE, Oster ME, et al.
論文名:Multisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) Associated with SARS-CoV-2: A Systematic Review.
雑誌名:J Pediatr 2020.DOI:10.1016/j.jpeds.2020.08.003.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7403869/pdf/main.pdf

7.SARS-CoV-2感染入院患者を前方視的に登録し、MIS-C 6例、COVID-19重症例(S-COVID-19)9例、COVID-19軽症例(M-COVID-19)5例を比較しました。年齢中央値はMIS-Cが6歳であったのに対し、S-COVID-19、M-COVID-19はそれぞれ16歳、13歳でした。MIS-CとS-COVID-19の多くにおいてリンパ球減少を認めましたが、M-COVID-19では2例にのみでした。ARDSを合併したのは、MIS-Cでは1例、S-COVID-19では5例でしたが、そのうち4例は黒人でした。MIS-C症例のうち2例は川崎病の定義を満たし、別の2例が不全型川崎病でした。4例に心筋障害、1例に冠動脈拡張を認めました。全ての患者は、IVIGとメチルプレドニゾロンによる治療がなされました。IL-10値とTNF-α値の合計は、MIS-Cでは82.25pg/mL、S-COVID-19では30.06pg/mLで有意差があり、両者を鑑別できるかもしれません。鼻咽頭検体によるSARS-CoV-2のRT-PCR cycle threshold(Cts)はMIS-Cが37.9であったのに対し、S-COVID-19は28.0で有意差がありました。Soluble(sC5b-9)はM-COVID-19では186.4(95%CI: 91.2-281.6)であったのに対し、S-COVID-19では555.0(285.9-814.1)で有意差があり、重症度予測のバイオマーカーの候補になるかも知れません。
著者名:Diorio C, Henrickson SE, Vella LA, et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children and COVID-19 are distinct presentations of SARS-CoV-2.
雑誌名:J Clin Invest 2020.DOI:10.1172/JCI140970.
URL:https://dm5migu4zj3pb.cloudfront.net/manuscripts/140000/140970/cache/140970.1-20200728104846-covered-253bed37ca4c1ab43d105aefdf7b5536.pdf

8.COVID-19関連小児多系統炎症性症候群(MIS-C)入院患者16人(0-20歳)の画像検査を評価しました。COVID-19の患者では肺炎とARDSが一般的ですが、MIS-C患者で最も頻度が高かった胸部画像異常は心肥大(62.5%)、次いで、うっ血性心不全または肺水腫(56%)、胸水(56%)でした。腹部画像の異常は腹水(38%)、肝腫大(38%)、腎臓のエコー輝度上昇(31%)でした。これらの画像所見は多臓器障害を反映したもので、非特異的な臨床像を持つ患者においてはその後の急速な悪化の可能性を示唆するものと認識されるべきです。
著者名:Blumfield E, Levin TL, Kurian J, et al.
論文名:Imaging Findings in Multisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) Associated with COVID-19.
雑誌名:Am J Roentgenol 2020.DOI:10.2214/AJR.20.24032.
URL:https://www.ajronline.org/doi/pdf/10.2214/AJR.20.24032

9.スペイン小児科学会によるMIS-C患者のcase series:2020年3月1日〜6月1日に49病院に入院したSARS-CoV-2患者252人のうち、31人(12%)(中間値7.6歳)がMIS-Cまたは川崎病と診断されました。21人(67%)は発疹または両側性非化膿性結膜炎または皮膚粘膜の炎症性病変を呈し、15人(48%)は低血圧またはショックを呈し、27人(87%)は急性胃腸障害(下痢、嘔吐、または腹痛)を呈しました。29人(97%)に凝固異常を認め、13人(45%)は完全または不全型川崎病の基準を満たしました。20人(65%)が小児集中治療室に入院し、6人(19%)が侵襲的人工呼吸器で治療されました。心合併症は心筋障害15人(48%)、心嚢液6人(19%)、弁機能障害9人(29%)、不整脈7人(23%)、冠状動脈異常3人(10%、うち1人は動脈瘤)。4人(13%)が腎障害を合併しました。21人(68%)はステロイド、20人(65%)は免疫グロブリン(IVIG, 2g/kg)、13人(42%)はIVIGとステロイドの併用療法で治療しました。急性白血病(骨髄移植後)を基礎疾患に持つ1人が死亡しました。
著者名:Moraleda C, Serna-Pascual M, Soriano-Arandes A, et al.
論文名:Multi-Inflammatory Syndrome in Children related to severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 ( SARS-CoV-2 ) in Spain.
雑誌名:Clin Infect Dis 2020.DOI:10.1093/cid/ciaa1042.
URL:https://academic.oup.com/cid/advancearticle/doi/10.1093/cid/ciaa1042/5876334

10.米国リウマチ学会による小児多系統炎症性症候群(MIS-C)に関するガイダンス:小児リウマチ専門医、成人リウマチ専門医、小児循環器専門医、小児感染症専門医、小児救命救急医からなるタスクフォースによりMIS-CとSARS-CoV-2感染症の急性期の過剰炎症についてこれまでに報告に基づき、コンセンサスが構築されました。合計128の記述が承認され、MIS-Cの症例定義、診断評価、川崎病との比較、心臓の管理、免疫療法、COVID-19における過剰炎症、MIS-Cの診断フロー図を含む7項目に分けて40の記述にまとめられ、それぞれに対してコンセンサス・レベルが加えられています。
著者名:Henderson LA, Canna SW, Friedman KG, et al.
論文名:American College of Rheumatology Clinical Guidance for Pediatric Patients with Multisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) Associated with SARS-CoV-2 and Hyperinflammation in COVID-19. Version 1.
雑誌名:Arthritis Rheumatol 2020.DOI:10.1002/art.41454
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7405113/pdf/ART-9999-na.pdf

11.論説:COVID-19 後急性心筋炎は多系統炎症性症候群の特徴ですが、川崎病と症状や全身性の動脈炎であることが類似しています。川崎病の重要な引き金の1つとして免疫複合体があります。COVID-19 では感染後の免疫複合体の関与は証明されていませんが、川崎病との類似性からCOVID-19後心筋炎の発症にも免役複合体が関与しているかも知れません。COVID-19後心筋炎の治療には多くの症例でIVIGとアスピリンが有効で、IVIG無効例ではIL-1アンタゴニスト(アナキンラ)が有効でした。COVID-19 患者では感染後の合併症と急性心筋炎の可能性があり系統的な臨床的、生物学的および心臓超音波検査によるフォローアップが必要です。
著者名:Tissières P, Teboul JL.
論文名:SARS-CoV-2 post-infective myocarditis: the tip of COVID-19 immune complications?
雑誌名:Ann Intensive Care 2020.DOI:10.1186/s13613-020-00717-0.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7376531/pdf/13613_2020_Article_717.pdf

12.川崎病(KD)とCOVID-19 関連小児多系統炎症性症候群(MIS-C)との類似点と相違点、潜在的な関連性についてのレビュー:MIS-Cについて英国小児科医会(RCPCH)、CDC、WHOの症例定義の比較、欧米のMIS-Cの疫学、症状、心合併症・胸部レントゲン所見、治療、検査所見についての比較、MIS-C、KD、KDショック症候群の比較をしています。KDとMIS-Cは炎症性疾患と考えられますが、それぞれの病態生理についてはまだ未知な部分が多く存在しています。COVIDに合併したMIS-Cについて、今後はデータや遺伝学的解析を蓄積することが必要で、臨床経過、疫学、病態を解明することによりKDの解明にもつながるかもしれません。
著者名:Loke YH, Berul CI, Harahsheh AS.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children: Is there a linkage to Kawasaki disease?
雑誌名:Trends Cardiovasc Med 2020.DOI:10.1016/j.tcm.2020.07.004.
URL:https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S1050173820301018?token=21E6E4A1E4D2EA242360B0F3641EF4D0F227936F053898E1C6E666754E012C7528F92AD70CEFF855469532691823DCF6

(School closure)
1.【総説】COVID-19流行時の社会的距離、隔離、マスクの使用を含む非医薬品介入を対象とした統合的な文献レビューです。これらの介入が個人とコミュニティに影響を与えることを認識し、それにより生じる障壁を理解することで個人のやる気を引き出しコミュニティのコンプライアンスを改善するための戦略を特定できます。有効な行動フレームワークを使用して、これらの主要な障壁を考慮して介入することにより、国が適切で的を絞った対応を実施することができるだろうと考察しています。
著者名:Seale H, Dyer CEF, Abdi I, et al.
論文名:Improving the impact of non-pharmaceutical interventions during COVID-19: examining the factors that influence engagement and the impact on individuals.
雑誌名:BMC Infect Dis 2020.DOI:10.1186/s12879-020-05340-9.
URL:https://bmcinfectdis.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12879-020-05340-9

2.カナダのデータを用いた非医薬品介入によるCOVID-19流行予防効果についてのモデル解析(agent-based model:ABM)の報告です。SARS-CoV-2罹患率(死亡率)は、非介入で64.6%(3.6%)、基本レベルの患者探索・接触者追跡調査の介入で罹患率は56.1%に減少しましたが、それを強化しても0.4%の減少、更に社会的距離の介入を加えても0.2%の減少に留まりました。学校閉鎖の効果は限定的でしたが、校内感染を減少させました。
著者名:Ng V, Fazil A, Waddell LA, et al.
論文名:Projected effects of nonpharmaceutical public health interventions to prevent resurgence of SARS-CoV-2 transmission in Canada.
雑誌名:CMAJ 2020.DOI:10.1503/cmaj.200990. Online ahead of print.
URL:https://www.cmaj.ca/content/early/2020/08/19/cmaj.200990.2

3.【総説】COVID-19流行中の学校の再開に関する論文です。COVID-19に対する取り組みの一環として、世界中の多くの国で学校閉鎖が行われていますが、有効性を裏付ける証拠は少なく、対照的に、長期の学校閉鎖に関連した弊害が報告されています。COVID-19パンデミック時の学校再開の5つの主な原則は、段階的に学校を再開すること、社会的・物理的な距離をとること、テストや追跡などの感染管理対策が学校でできることを確認すること、教員と生徒を保護すること、研究と評価です。学校の再開は、その他の再開よりも優先されるべきであるとしています。
著者名:Viner RM, Bonell C, Drake L, et al.
論文名:Reopening schools during the COVID-19 pandemic: governments must balance the uncertainty and risks of reopening schools against the clear harms associated with prolonged closure.
雑誌名:Arch Dis Child 2020.DOI:10.1136/archdischild-2020-319963. Online ahead of print.
URL:https://adc.bmj.com/content/early/2020/08/02/archdischild-2020-319963

4.COVID-19の流行を抑制するために学校閉鎖は有効だったか?についてベイジアン法を用いた時系列分析に関する日本からの報告です。いくつかの制限があり、結果は慎重に解釈する必要があるとされましたが、学校閉鎖という介入を行っても、コロナウイルス感染の発生率減少は認められず、日本において実施された学校閉鎖の有効性は示されませんでした。一方、学校再開については、時期が都道府県によって異なり、多くは完全再開されたため、効果は評価できませんでした。
著者名:Iwata K, Doi A, Miyakoshi C.
論文名:Was school closure effective in mitigating coronavirus disease 2019 (COVID-19)? Time series analysis using Bayesian inference.
雑誌名:Int J Infect Dis 2020.DOI:10.1016/j.ijid.2020.07.052. Online ahead of print.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1201971220305981?via%3Dihub

5.米国での小中学校の閉鎖によるCOVID-19流行予防効果についての報告です。2020年3月9日〜5月7日の期間で、住民ベースの分割時系列解析を行いました。全米50州の人口10万人当たりの週間発症率(週間死亡率)は、学校閉鎖により62%(58%)の減少効果を認めました。また、累積発症者が少ない時期に学校閉鎖を実施した州ほど、大きな減少効果を認めました。
著者名:Auger KA, Shah SS, Richardson T, et al.
論文名:Association between statewide school closure and COVID-19 incidence and mortality in the US.
雑誌名:JAMA 2020.DOI:10.1001/jama.2020.14348. Online ahead of print.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2769034

6.【総説】COVID-19の蔓延を緩和するため、世界中で様々な非医薬品介入が行なわれました。特にインフルエンザなどのエビデンスに従って学校の閉鎖が最も一貫して実施されました。4月中旬までに、192か国が学校を閉鎖し、世界の生徒の90%(約16億人)が影響を受けました。JAMA(doi:10.100/jama.2020.14348) でAugerらは、米国で学校閉鎖は62%の週間感染者数の減少、58%の週間死亡者数の減少に貢献したと報告しました。編者は本論文の複数の問題点を指摘し、全米科学アカデミー(NASEM)や米国小児科学会(AAP)のレポートを引用し安易な学校閉鎖は子どもたちの教育の機会を奪い、将来的な影響も含めて社会的、経済的損失も多大であり学校閉鎖については注視する必要があると述べています。
著者名:Donohue JM, Miller E.
論文名:COVID-19 and school closures.
雑誌名:JAMA 2020.DOI:10.1001/jama.2020.13092. Online ahead of print.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2769033

7.イスラエルの高校でのCOVID-19流行の報告です。イスラエルでは2020年3月13日〜5月17日まで全ての学校が閉鎖されましたが、学校再開10日後よりCOVID-19流行がおこり、生徒153例(罹患率:13.2%)、スタッフ25例(罹患率:16.6%)の感染が明らかとなりました。
著者名:Stein-Zamir C, Abramson N, Shoob H, et al.
論文名:A large COVID-19 outbreak in a high school 10 days after schools' reopening, Israel, May 2020.
雑誌名:Euro Surveill 2020.DOI:10.2807/1560-7917.ES.2020.25.29.2001352.
URL:https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.29.2001352

8.COVID-19流行時にカナダ・オンタリオ州で行った学校閉鎖と社会的距離の感染防止措置の効果について、年齢別接触パターンシミュレーションモデルを用いて検討しています。学校閉鎖期間が3週間から16週間に延長されると、あるいは学童間の接触が60-80%に制限されると感染率を7.2-12.7%の範囲で減少するようです。学校閉鎖でICU入院の減少は、3.3-6.7%だったようです。学校閉鎖がCOVID-19の流行拡大を軽減する効果は限られている可能性を示唆しています。
著者名:Abdollahi E, Haworth-Brockman M, Keynan Y, et al.
論文名:Simulating the effect of school closure during COVID-19 outbreaks in Ontario, Canada.
雑誌名:BMC Med 2020.DOI:10.1186/s12916-020-01705-8.
URL:https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-020-01705-8


【2020年9月16日 掲載】
※今回掲載分から、カテゴリ(Mechanism、Diagnosisなど)ごとに掲載しております。また、原著以外の論文(総説、仮説)についてはその旨、記載しました。

(Mechanism)
1.【総説】コロナウイルスは、感染初期において免疫系の監視から外れることで免疫応答を回避していることが示されています。1型インターフェロンの抗ウイルス作用を抑制することで、上皮細胞でのウイルス複製を制御不能にしています。致死的で過剰な炎症反応(サイトカインストーム)によるCOVID-19重症化が、不適切な免疫系の過剰応答よりも、こうした激しいSARS-CoV-2複製の帰結であるという科学的根拠が積み重ねられています。無症候性SARS-CoV-2感染者からのウイルス伝播の発生は、ウイルス複製に対する十分な免疫応答の存在を示すものです。COVID-19管理ガイドラインにおいて、免疫調整薬剤の投与が推奨される場合がありますが、免疫不全患者のSARS-CoV-2感染ではまだ結論が出ていません。COVID-19の転帰を決める統制不能な免疫反応に関する臨床家のさらなる知見は、治療プロトコルとSARS-CoV-2感染患者の予後を改善するかもしれません。
著者名:Agata Kosmaczewska, Irena Frydecka.
論文名:Dysregulation of the immune system as a driver of the critical course of the novel coronavirus disease 2019.
雑誌名:Pol Arch Intern Med. 2020.DOI:10.20452/pamw.15482.
U R L:https://www.mp.pl/paim/issue/article/15482

2.【仮説】胎児ヘモグロビン値の高い小児においてはCOVID-19発症頻度が低く、ヘモグロビン異常症保因者が高率な国ではCOVID-19の罹患率と致死率が低いことが観察されています。この事実から、ヘモグロビン構造がCOVID-19の病態生理に関連していることが想定されます。成人において様々な薬剤が胎児ヘモグロビン値を上昇させます。これら薬剤を加えることで、COVID-19臨床試験における患者転帰を改善させるかもしれません。
著者名:Ehsan Sotoudeh,Houman Sotoudeh.
論文名:A hypothesis about the role of fetal hemoglobin in COVID-19.
雑誌名:Med Hypotheses. 2020.DOI:10.1016/j.mehy.2020.109994.
U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S030698772031241X?via%3Dihub

3.【仮説】SARS-CoV-2感染でみられる抗体依存性感染増強(ADE)についてのHypothesis and theory(仮説・理論)論文です。SARS-CoV-2感染では、小児で臨床症状が比較的乏しいことと、特定の患者においてIgGが早期に出現することが注目されています。ヒトコロナウイルスに既感染の場合、交差反応性記憶抗体が非保護的であるだけでなく重症化に関連している(抗体介在性感染増強;ADE)可能性があります。小児患者が臨床症状を欠くのはコロナウイルスに対する免疫を持たないためと考えられます。
著者名: Walter Fierz,Brigitte Walz.
論文名:Antibody dependent enhancement due to original antigenic sin and the development of SARS.
雑誌名:Front Immunol. 2020.DOI:10.3389/fimmu.2020.01120. eCollection 2020.
URL: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2020.01120/full

4.小児がCOVID-19に罹患しにくいこと、入院患者が少ないことを、MMRワクチン接種がCOVID-19を含む多くの疾患に対する幅広い中和抗体を付与できると仮定し、その要因をプロテオーム解析で検討した論文です。麻疹ウイルスの膜融合(F1)糖蛋白、風疹ウイルスのエンベロープ(E1)糖蛋白とSARS-CoV-2のスパイク糖蛋白(6VSB)A鎖でアミノ酸配列の相同性検索を行い、30個のアミノ酸残基だけが、共通の類似点が認められ、SARS-CoV-2のスパイク蛋白と麻疹ウイルス、風疹ウイルスの表面蛋白が共通の抗原エピトープとなることが示唆されました。COVID-19に対する小児の免疫は、定期接種を通じて産生される抗体に関連していると確定するにはさらなる研究が必要です。
著者名:Karzan R. Sidiq,Dana Khdr Sabir,Shakhawan M. Ali,et al.
論文名:Does early childhood vaccination protect against COVID-19?
雑誌名:Front Mol Biosci. 2020 June 5. doi.org/10.3389/fmolb.2020.00120
U R L:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmolb.2020.00120/full

5.COVID-19患者群33例と対照群17例を対象に、好中球細胞外トラップ(Neutrophil Extracellular Traps:NETs)とCOVID-19の重症度、進行度との関連を検討した前向きコホート研究です。血漿中ミエロペルオキシダーゼ(MPO)-DNA複合体(NETs)は挿管例や死亡したCOVID-19患者群で有意に増加していました。COVID-19の重症度は血漿中MPO-DNA複合体と相関し、PaO2/FiO2と逆相関しました。NETsを誘発する可溶性因子と細胞性因子はCOVID-19患者群で有意に増加し、肺剖検例では好中球-血小板浸潤を伴うNETsを含有する微小血栓が確認されました。また、体外評価ですが、新生児NET阻害因子(nNIF)は、COVID-19患者血漿によって誘導されるNETsを阻止しました。臍帯血等に含まれるnNIFや関連ペプチドが、COVID-19重症化阻止の可能性があることが示唆されました。
著者名:Elizabeth A. Middleton, Xue-Yan He, Frederik Denorme,et al.
論文名:Neutrophil extracellular traps (NETs) contribute to immunothrombosis in COVID-19 acute respiratory distress syndrome
雑誌名:Blood. 2020. DOI:10.1182/blood.2020007008
U R L:https://doi.org/10.1182/blood.2020007008

(Diagnosis)
1.小児COVID-19患者の気道および消化管からのウイルス排出期間を検討したシステマティックレビューです。鼻咽頭あるいは咽頭スワブ検体からは、発症から平均11.1日間、最大24日までRT-PCRでウイルスが検出されました。直腸・肛門スワブ検体では陽性率86%であり、平均23.6日間、最大4週間ウイルスが検出されました。89%の症例では呼吸器検体より便検体から長期間に渡りウイルスが検出されました。感染制御に重要な示唆を与える所見でした。
著者名:Xu Cecilia L H, Raval Manjri, Schnall Jesse A,et al.
論文名:Duration of respiratory and gastrointestinal viral shedding in children with SARS-CoV-2: A systematic review and synthesis of data
雑誌名:Pediatr Infect Dis J. 2020;10.1097/INF.0000000000002814.
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32618932

2.小児COVID-19患者の便中ウイルス排泄期間を検討した後方視的観察研究です。対象は10例で年齢中央値は5.08歳、5例は無症状病原体保有者です。呼吸器検体からウイルスが消失した後でも、7例の便検体でRT-PCRによりウイルスRNAが検出されました。7例中1例に症状の再燃を認めました。ウイルスRNA消失までの中央値は、呼吸器検体では9日であったのに対して便検体では34.43日でした。
著者名:Du Wenjun,Yu Jinhong, Liu Xiaoyan,et al.
論文名:Persistence of SARS-CoV-2 virus RNA in feces: A case series of children.
雑誌名:J Infect Public Health. 2020.DOI:10.1016/j.jiph.2020.05.025
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32546439

3.中国の武漢小児病院に入院した74例の小児COVID-19患者を対象として、臨床的特徴を検討した後方視的観察研究です。年齢中央値は5.8歳であり、すべての患者が一人以上の家族から直接曝露を受けていました。23.0%は無症候病原体保有者でした。観察期間中に、91.9%で鼻咽頭検体のウイルス陰性化が認められたのに対して、肛門スワブ検体では34%が持続的にウイルス陽性でした。家族内クラスターにおける、小児の無症候病原体保有者によるウイルス伝搬の可能を再検討する必要があります。
著者名:Dan Sun, Feng Zhu, Cheng Wang,et al.
論文名:Children infected with SARS-CoV-2 from family clusters.
雑誌名:Front Pediatr. 2020.DOI:10.3389/fped.2020.00386
U R L:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fped.2020.00386/full

4.COVID-19 診断における鼻咽頭拭い液の採取方法を考察しています。RT-PCRによる偽陰性(約30%)は不適切な手技が主な要因であるとし、採取に際しては、エアロゾルの拡散を防ぎ得る環境において適切なPPEを着用して行う、採取前に手技を説明し検査が不快感を伴うことを伝えておく、採取時はサージカルマスクで口を覆い鼻を出す、乳幼児の場合は仰臥位にして両側鼻腔に生理食塩水を2~3滴滴下して鼻咽頭吸引物を検体にする、などを勧めています。
著者名:Pondaven-Letourmy S, Alvin F, Boumghit Y,et al.
論文名:How to perform a nasopharyngeal swab in adults and children in the COVID-19 era.
雑誌名:Eur Ann Otorhinolaryngol Head Neck Dis. 2020.DOI:10.1016/j.anorl.2020.06.001
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32646750

5.チリのサンティアゴにある大規模学校においてCOVID-19のアウトブレイクが発生し、血清抗体価を調査してその感染状況を評価した報告です。SARS-CoV-2に対するIgG/IgM抗体検査を生徒と職員に行った結果、生徒1009人中100人(9.9%)、職員235人中39人(16.6%)が抗体陽性でした。生徒における陽性率は、就学前と低学年、およびRT-PCR陽性者との接触歴がある者で高く、スタッフにおける陽性率は、支援職員(7.1%)に比して先生(20.6%)で高かったです。このアウトブレイクには生徒より先生の関与が強いことが示唆されました。
著者名:Torres Juan Pablo, Pinera Cecilia, De La Maza Veronica,et.al.
論文名:SARS-CoV-2 antibody prevalence in blood in a large school community subject to a Covid-19 outbreak: a cross-sectional study.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020.DOI:10.1093/cid/ciaa955
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32649743

6.SARS-CoV-2回復期患者血清100検体を用いて、3種類のELISA法、2種類のCLIA(化学発光免疫測定法)、2種類のlateral flow assay(免疫沈降法による迅速診断キット)によるSARS-CoV-2 IgG抗体測定法を評価しています。基準は中和抗体法です。Wantai ELISAとElecsysの感度が最も高く、中和抗体価との抗体価の相関が最も高かったのは、Euroimmun社のIgG測定キットとWantai ELISAでした。ただし、陰性コントロール血清を用いた解析がなされていないので結果の解釈には注意が必要です。
著者名:Weidner Lisa, Gansdorfer Simon, Unterweger Stephan,et al.
論文名:Quantification of SARS-CoV-2 antibodies with eight commercially available immunoassays.
雑誌名:J Clin Virol. 2020.DOI:10.1016/j.jcv.2020.104540
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32652475

7.多数の検体解析に有用なELISA法によるSARS-CoV-2 IgG、IgA抗体測定法(Euroimmun社)の信頼性を、既に検査法として確立しているウイルスSタンパク遺伝子を導入したVero B細胞を使った蛍光抗体法を基準として評価しました。検体としてSARS-CoV-2診断の確定した患者血清181サンプルと、流行前に採血された326のコントロール血清を用いて解析しています。その結果、この方法の感度、特異度は高く信頼性が高いことが証明されました。
著者名:Meyer Benjamin, Torriani Giulia, Yerly Sabine,et al.
論文名:Validation of a commercially available SARS-CoV-2 serological immunoassay.
雑誌名:Clin Microbiol Infect. 2020.DOI:10.1016/j.cmi.2020.06.024
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32603801

8.5型アデノウイルスをベクターとしたCOVID-19ワクチンの第Ⅱ相臨床試験の結果です。二重盲検ランダム化比較試験で、ワクチン投与量を2種類に振り、プラセボ群を含む3群で比較しています。対象はCOVID-19感染が否定された18歳以上の健康な中国人で、ワクチンあるいはプラセボを1回筋注後28日目の液性免疫とELISPOTによる細胞性免疫を評価しています。ELISA抗体価で見ると96、97%といった良好な抗体陽転率を認め、90%近い接種者で細胞性免疫誘導も確認されています。さらに、有害事象も許容範囲内であったことが示されています。
著者名:Zhu Feng-Cai, Guan Xu-Hua, Li Yu-Hua,et al.
論文名:Immunogenicity and safety of a recombinant adenovirus type-5-vectored COVID-19 vaccine in healthy adults aged 18 years or older: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial.
雑誌名:Lancet. 2020.DOI:10.1016/S0140-6736(20)31605-6
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/research/coronavirus/publication/32702299

9.米国NIAIDとModerna社による脂質nano粒子被包ヌクレオシド修飾mRNAワクチン(mRNA-1273)を用いた第1相臨床試験の中間解析です。米国の18ー55歳の健常成人45名を対象に非盲検で実施され、25µg、100µg、250µgの3用量で、28日間隔で2回接種です。免疫原性は、スパイク蛋白質に対するELISA抗体と中和法(PRNTとPsVNA)で検討し、用量依存性に抗体反応を認め、COVID-19回復期患者血清の平均以上に匹敵する数値でした。被験者の半数以上で倦怠感、悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、接種部位疼痛などが観察され、全身反応は2回目接種、特に高用量で頻度や程度が強いものの許容範囲内でした。
著者名:Lisa A. Jackson, Evan J. Anderson, Nadine G. Rouphael,et al.
論文名:An mRNA vaccine against SARS-CoV-2 — preliminary report
雑誌名:N Engl J Med. 2020.DOI:10.1056/NEJMoa2022483. Online ahead of print
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7377258

10.中国重慶市万州区においてRT-PCRでSARS-CoV-2感染と診断された無症候患者37名を解析しました。無症候の定義は、診断前2週間と入院中に臨床症状を認めなかった者です。ウイルス排出期間の中央値は19日(IQR:15-26)で軽症の有症状者(14日;IQR:9-22)より有意に長く、急性期特異IgG抗体価は3.4(IQR:1.6-10.7)で有症状者(20.5;IQR:5.8-38.2)より有意に低値という結果でした。回復期の抗体価減衰速度や陰性化比率は、無症候患者で顕著でした。血液中の炎症性サイトカインは、無症候患者で低値でした。
著者名:Quan-Xin Long, Xiao-Jun Tang, Qiu-Lin Shi,et al.
論文名:Clinical and immunological assessment of asymptomatic SARS-CoV-2 infections.
雑誌名:Nat Med. 2020. https://doi.org/10.1038/s41591-020-0965-6
U R L:https://www.nature.com/articles/s41591-020-0965-6

(Transmission)
1.COVID-19に罹患している妊婦の膣液にSARS-CoV-2が存在するか検討した論文です。トルコ サカリヤ州のCOVID-19専用病院に4月19日~5月19日の間入院した妊婦のうち、12人が気道検体のPCRでSARS-CoV-2が陽性でした。この12人の平均年齢は32±7.9歳 平均妊娠回数2.3±1.6回 平均出産回数0.8±1.0 平均妊娠週数26.0±10.3週。症状は発熱41.7% 咳66.7% 呼吸困難16.7%。腟ぬぐい液のPCRは全例陰性でした。女性の生殖管がSARS-CoV-2の感染経路ではないことが示されました。
著者名:Mehmet Musa Aslan ,Hilal Uslu Yuvacı,Osman Köse,et al.
論文名:SARS-CoV-2 is not present in the vaginal fluid of pregnant women with COVID-19.
雑誌名:J Matern Fetal Neonatal Med.2020.DOI:10.1080/14767058.2020.1793318
URL:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14767058.2020.1793318

2. SARS-CoV-2の経胎盤感染を実証したケースレポートです。23歳G1P0の母体がGW35週2日に38.6度の発熱、重度の咳、多量の喀痰あり入院、血液・鼻咽頭・膣ぬぐいでSARS-CoV-2のPCR陽性、入院3日目に胎児心拍異常認め帝王切開、破水前に採取した羊水・児の血液、BAL、鼻咽頭と直腸ぬぐいでPCR陽性でした。またSARS-CoV-2のNタンパクを用いた胎盤の免疫染色で、絨毛周囲にある栄養膜細胞の細胞質内が染色されました。以上から経胎盤感染と診断しました。児の呼吸器症状は生後6時間で改善、生後3日目に神経学的所見と画像異常出現したが自然経過で改善しました。
著者名:Alexandre J. Vivanti, Christelle Vauloup-Fellous, Sophie Prevot,et al.
論文名:Transplacental transmission of SARS-CoV-2 infection.
雑誌名:Nat Commun. 2020.DOI:10.1038/s41467-020-17436-6
URL:https://www.nature.com/articles/s41467-020-17436-6

3. 医療従事者(HCW)にSARS-CoV-2が伝播する行動様式と決定因子に関する論文です。パリ中心部の大学病院で有症状のHCW1344人のうち373人(28%)がPCR陽性、3人が入院し死亡者なし、70%が陽性患者に対面する仕事内容(22%はCOVID-19専用病棟)でした。関わった対象による感染率の比較では、成人3.2%と小児2.3%(P=0.0022)でした。成人に関わった人ではPPE未装着の方がより多く感染しました(25%対15% P=0.046)。マスクの常時着用、手指衛生の強化と患者に直接接触時のPPE着用によりHCWは守られ、感染拡大が封じ込められました。その他の陽性者は、未診断の患者や同僚との持続的な曝露があり、在宅介護施設に通う子どもたちとの接触とは関連しませんでした。
著者名:Adrien Contejean, Jérémie Leporrier, Etienne Canouï,et al.
論文名:Comparing dynamics and determinants SARS-CoV-2 transmissions among health care workers of adult and pediatric settings in central Paris.
雑誌名:Clin Infect Dis.2020.DOI:10.1093/cid/ciaa977
URL:https://academic.oup.com/cid/article/doi/10.1093/cid/ciaa977/5871438

4.【総説】SARS-CoV-2が妊娠に対して悪影響を及ぼすメカニズムを考察した論文です。Th17細胞はIL-17Aなどの炎症性サイトカインを産生しますが、妊婦で増加すると胎児同種移植片拒絶反応を引き起こします。一方、Treg細胞はIL-4,IL-10,TGF-βを発現し過剰な免疫応答を制御していますが、母体では胎児への免疫寛容にかかわっています。Treg/Th17の比率は正常な妊娠継続に重要ですが、重症COVID-19感染においては、Treg細胞の有意な減少とTh17細胞の増加によりTreg/Th17の減少が起こっています。これが、流産や早産などの妊娠合併症に関連しています。
著者名:Kahinho P. Muyayalo,Dong‐Hui Huang, Si‐Jia Zhao,et al.
論文名:COVID-19 and Treg/Th17 imbalance: Potential relationship to pregnancy outcome.
雑誌名:Am J Reprod Immunol.2020.DOI:10.1111/aji.13304
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/aji.13304

5. 妊娠第3半期にCOVID-19に感染した母体から新生児への感染について、スペインの16施設で行われた共同研究です。42人の陽性妊婦(妊娠第3半期)のうち、52.4%が経腟分娩、1例のみが巨大血栓症にて死亡しました。新生児への垂直感染は1人も認めませんでした。出生後88%は母児分離のため新生児室に入院し、残りは母児分離しませんでした。生後1か月までのフォロー期間中に水平感染は1例も認めず、新生児死亡もありませんでした。経腟分娩でも新生児に感染していないことから、COVID-19母体の帝王切開の決定は現行の産科ガイドラインに従えばよいです。退院時、15%のみが完全母乳栄養であり、感染防止対策が退院時の完全母乳を減少させていることが明らかになりました。
著者名: Miguel A. Marín Gabriel, Irene Cuadrado, Blanca Álvarez Fernández,et al.
論文名:Multicentre Spanish study found no incidences of viral transmission in infants born to mothers with COVID-19.
雑誌名:Acta Paediatrica.2020.DOI:10.1111/apa.15474
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/apa.15474

6. 母乳バンクからの10名分のドナーミルクにSARS-CoV-2を添加させ、ホルダー低温殺菌(30分間62.5度)処理もしくは室温30分保持後にVero E6細胞に対する細胞変性活性を50%組織培養感染量(TCID50/mL)で測定しました。低温殺菌されたSARS-CoV-2添加母乳では、細胞変性活性は検出されませんでした。室温で30分間保持されたSARS-CoV-2添加母乳では、約1 logの感染性ウイルス力価の低下が観察されました。提供された母乳が乳腺を介した感染または汚染によってSARS-CoV-2を含んでいる場合、この低温殺菌の方法により取り扱いが安全になります。
著者名: Sharon Unger, Natasha Christie-Holmes, Furkan Guvenc,et al.
論文名: Holder pasteurization of donated human milk is effective in inactivating SARS-CoV-2.
雑誌名: CMAJ. 2020.DOI:10.1503/cmaj.201309.
URL: https://www.cmaj.ca/content/192/31/E871.long

7. 武漢大学病院で治療された妊娠後期のCOVID-19患者18名は軽症型1例、通常型16例、重症型1例で、重症肺炎に発展する危険性は低かったです。17名(94%)の患者が帝王切開で出産しました。18名の新生児のうち、早産児3名(17%)、軽度仮死1名(6%)、細菌性肺炎5名(28%)、消化管出血1名(6%)、壊死性腸炎1名(6%)、高ビリルビン血症2名(11%)、下痢1名(6%)でした。すべての新生児は、出生後のSARS-CoV-2の最初の咽頭スワブ検査で陰性でした。細菌性肺炎の割合は、他の新生児疾患よりも高かったです。
著者名:Lu Zhang, Lan Dong, Lei Ming,et al.
論文名:Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) infection during late pregnancy: a report of 18 patients from Wuhan, China.
雑誌名:BMC Pregnancy Childbirth.2020.DOI:10.1186/s12884-020-03026-3.
URL: https://bmcpregnancychildbirth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12884-020-03026-3

8. 妊娠に対するCOVID-19の影響に関する研究について2020年3月17日から20日に検索して、システマティックレビューを行いました。8の研究から95名の妊婦と51名の新生児が対象となりました。妊婦の最も一般的な症状は発熱(55%)、咳(38%)と疲労(11%)でした。50の出産の94%が帝王切開で、35%が早産でした。新生児は20%が低出生体重で、SARS-CoV-2を検査された48名中1名(2%)が陽性でした。1名の新生児死亡がありましたが、ウイルス感染に関連していませんでした。
著者名: Vera Trocado,Joana Silvestre-Machado,Lídia Azevedo,et al.
論文名: Pregnancy and COVID-19: a systematic review of maternal, obstetric and neonatal outcomes.
雑誌名: J Matern Fetal Neonatal Med.2020.DOI:10.1080/14767058.2020.1781809
URL: https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14767058.2020.1781809

9. ニューヨークの三施設に分娩のために入院した675人の妊婦のうち、10.4%がSARS-CoV-2陽性で、そのうち78.6%が無症候性でした。帝王切開率は、症候性COVID-19で46.7%、無症候性COVID-19で45.5%、COVID-19なしで30.9%。分娩後合併症(発熱、低酸素症、再入院)は、COVID-19妊婦の12.9%に有意に多く発生しました(非COVID-19妊婦4.5%)。PCR検査された71名の新生児で陽性はありませんでした。COVID-19妊婦の胎盤血管内塞栓所見が多くみられました(48.3%vs 11.3%)。
著者名:M Prabhu, K Cagino, KC Matthews,et al.
論文名: Pregnancy and postpartum outcomes in a universally tested population for SARS-CoV-2 in New York City: A prospective cohort study.
雑誌名: BJOG.2020.DOI:10.1111/1471-0528.16403.
URL: https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/1471-0528.16403

10.シンガポールからの家庭内伝播に関する報告。COVID-19の223人の成人発端者の137世帯のうち、16歳以下の213人の子どもにSARS-CoV-2のPCR検査が行われました。7世帯(5.2%)の13例(6.1%)にCOVID-19が感染していました。年長児に比べて5歳未満の幼児は、感染のリスクが最も低く(1.3%)、世帯の発端者が母親である場合、子どもへ感染するリスクが最も高かったです。(11.1%)。
著者名:Chee Fu Yung, Kai-qian Kam, Chia Yin Chong,et al.
論文名: Household transmission of SARS-CoV-2 from adults to children.
雑誌名: J Pediatr.2020.DOI:10.1016/j.jpeds.2020.07.009.
URL: https://www.jpeds.com/article/S0022-3476(20)30852-0/fulltext

11. COVID-19の消化器症状に関するメタアナリシスです。2020年4月までの論文が検討されています。成人で消化器症状を示した患者は9.8%でした。個別にみると下痢は10.4%、嘔気/嘔吐は7.7%、腹部不快感/腹痛は6.9%でした。小児で消化器症状を示した患者は9.6%で、下痢は9.6%、嘔気/嘔吐は6.8%でした。患者の30.3%において糞便中にSARS-CoV-2が検出されました。消化管はSARS-CoV-2の標的臓器および潜在的感染経路である可能性があり、このことは治療や感染対策において重要であると考えられました。
著者名:Theodore Rokkas.
論文名: Gastrointestinal involvement in COVID-19: a systematic review and meta-analysis.
雑誌名: Ann Gastroenterol.2020.DOI:10.20524/aog.2020.0506.
URL:http://www.annalsgastro.gr/files/journals/1/earlyview/2020/ev-06-2020-07-AG_5222-0506.pdf

12. 世界各国のSARS-CoV-2の基本再生産数に関する報告です。年齢別の接触頻度や感染しやすさ、症状発現率、無症候性もしくは軽症患者からの伝播を組合せた計算モデルを用いています。このモデルでは無症候性感染者の伝播力が低い場合には、東ヨーロッパや日本の基本再生産数が最高値になり、アフリカ、中央アメリカや南西アジアが最低値になります。接触頻度ベースのモデルと異なり、このモデルは高齢感染者が新たな感染者を生んでいることを示唆しており、高齢者の多い国ではCOVID-19が急速に拡がる可能性を示しています。
著者名:Joe Hilton ,Matt J. Keeling.
論文名: Estimation of country-level basic reproductive ratios for novel coronavirus (SARS-CoV-2/COVID-19) using synthetic contact matrices.
雑誌名:PLoS Comput Biol.2020.DOI:10.1371/journal.pcbi.1008031.
URL: https://journals.plos.org/ploscompbiol/article?id=10.1371/journal.pcbi.1008031

13.COVID-19小児患者の鼻咽腔から分離培養可能なSARS-CoV-2が検出されるかを検討した報告です。対象は16歳未満のPCR陽性の23人で、上気道炎など何らかの症状を有していました。うち12人(52%)から実際にSARS-CoV-2が分離されました。最年少は生後7日で、全ての年齢層で分離されました。感染性を有したSARS-CoV-2は、症状のある小児患者からも排出されることが判明しました。小児からも伝播が起こり得ることを示しています。
著者名:Arnaud G. L’Huillier1, Giulia Torriani1, Fiona Pigny,et al.
論文名: Culture-competent SARS-CoV-2 in nasopharynx of symptomatic neonates, children, and adolescents.
雑誌名: Emerg Infect Dis.2020.DOI:10.3201/eid2610.202403.
URL: https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/10/20-2403_article

14. SARS-CoV-2陽性母体から出生した児への垂直感染に関するメタアナリシスです。335の文献が検討され、17文献がレビューされています。402人の母体から405人の児が出生し、うち330人にPCR検査が早期に行われ9人の児が陽性でした。結果を統合すると、垂直感染の推定値は平均して1000人当たり16人となり、リスクは低いことが示されました。SARS-CoV-2陽性となった9人のうち1人が症状を有しており、子宮内感染が示唆されています。
著者名:Xin Lei Goh, Yi Fen Low, Cheng Han Ng,et al.
論文名: Incidence of SARS-CoV-2 vertical transmission: a meta-analysis.
雑誌名: Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed.2020.DOI:10.1136/archdischild-2020-319791.
URL: https://fn.bmj.com/content/early/2020/06/25/archdischild-2020-319791.long

15.教育現場でのSARS-CoV-2伝播のリスクに関する報告です。2020年2月から3月にシンガポールの公立の幼稚園2園、中学校1校において、濃厚接触者計119名が経過観察され、接触5〜11日後にPCR検査が行われました。咳などの症状の有無にかかわらず、SARS-CoV-2は検出されず、伝播は全く認められませんでした。幼稚園を含む学校では、子どもがSARS-CoV-2の主要な伝播者ではないことが示唆されました。
著者名:Chee Fu Yung, Kai-qian Kam, Karen Donceras Nadua,et al.
論文名: Novel coronavirus 2019 transmission risk in educational settings.
雑誌名: Clin Infect Dis. 2020.DOI:10.1093/cid/ciaa794.
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa794/5862649

(Treatment)
1.コルチコステロイドの出産前投与は早期産児の転帰を改善しますが、母体がCOVID-19に罹患していれば転帰を悪化させる恐れがあります。この研究は、早産のリスクが高いCOVID-19罹患女性への投与が母児の転帰(Quality-adjusted life years, QALYs)に及ぼす影響を、在胎週数別に意思決定分析モデルを用いて文献データから構築した理論的コホートにおいて分析しました。ステロイドはCOVID-19罹患母体の転帰を悪化させるとしても、入院患者では32週未満、ICU患者では30週未満であれば、児の転帰の改善効果がそれを上回っていました。(訳注:筆者らは一般的なステロイド療法がSARSやMERSの際に予後を悪化させたとする報告を元に解析しており、デキサメタゾンがCOVID-19重症例の予後を改善させた文献は参照していません。)
著者名:Claire H. Packer, Clarice G. Zhou, Alyssa R. Hersh,et al.
論文名: Antenatal corticosteroids for pregnant women at high risk of preterm delivery with COVID-19 infection: A decision analysis.
雑誌名:Am J Perinatol.2020.DOI:10.1055/s-0040-1713145. Epub 2020 Jun 30.
U R L:https://www.thieme-connect.de/products/ejournals/pdf/10.1055/s-0040-1713145.pdf

2.2020年3月10日〜4月10日にトルコの1病院小児科において、COVID-19患者21人(9〜18歳)に対するヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの併用がQT延長に及ぼす影響を調べた後方視的研究です。集中治療を必要とした患者はいませんでした。治療前、治療開始翌日及び治療終了時にECGを検査し、QT延長は検出されませんでした。検査結果も異常はなく、他の薬による追加治療の必要ありませんでした。
著者名:Tunc Tuncer , Mehmet Karaci, Aysun Boga,et al.
論文名: QT Interval evaluation associated with use of hydroxychloroquine with combined use of azithromycin among hospitalized children positive for COVID-19.
雑誌名:Cardiol Young.2020.DOI:10.1017/S1047951120002425. [Online ahead of print]
U R L:https://www.cambridge.org/core/services/aop-cambridge-core/content/view/2A096D3D1076335059490A691EC076A9/S1047951120002425a.pdf/qt_interval_evaluation_associated_with_the_use_of_hydroxychloroquine_with_combined_use_of_azithromycin_among_hospitalised_children_positive_for_coronavirus_disease_2019.pdf

3.22歳未満のCOVID-19入院患者65人についての米国1施設での後方視的研究です。35%の患者に集中治療室管理が必要で、34%が呼吸補助を要しました。重症度は60日未満の乳児が最も低く、慢性基礎疾患がある患者が最も高かったとしています。免疫不全患者の79%は軽症でした。胃瘻チューブと酸素投与が必要な進行性神経筋疾患の小児1例のみ死亡しました。乳児例の50%、免疫不全例の71%、慢性基礎疾患例の50%に対して何らかの抗COVID-19治療(ヒドロキシクロロキン+/-アジスロマイシン、レムデシビル、トシリズマブ、アナキンラ、ステロイドなど)を行いましたが、有効性・安全性の評価は出来ませんでした。
著者名:Mundeep K. Kainth, Pratichi K. Goenka,Kristy A. Williamson,et al.
論文名:Early experience of COVID-19 in a US children’s hospital.
雑誌名:Pediatrics.2020.DOI:10.1542/peds.2020-003186. [Online ahead of print]
U R L:https://pediatrics.aappublications.org/content/pediatrics/early/2020/07/15/peds.2020-003186.full.pdf

4.2020年3月14日〜5月2日にニューヨーク市の9つのPICUに入院したCOVID-19患者70人の後方視的観察研究です。年齢中央値15歳、74.3%に併存疾患がありました。12人(17%)が重症敗血症、14人(20%)が昇圧剤を要し、21人(30%)がARDS発症、9人(12.9%)が急性腎障害、2人(2.8%)が心停止を起こしました。治療として、27人(38.6%)にヒドロキシクロロキン、13人(18.6%)にレムデシビル、23人(32.9%)にコルチコステロイド、3人(4.3%)にトシリズマブ、1人(1.4%)にアナキンラが投与されましたが、有効性・安全性の評価は出来ていません。49人(70%)が呼吸補助を必要とし、14人(20.0%)は非侵襲的人工換気、20人(28.6%)は侵襲的人工換気、7人(10%)は腹臥位、2人(2.8%)は一酸化窒素吸入、1人(1.4%)はECMOを要しました。ARDSの合併がPICU滞在/入院期間の延長に有意に関与していました。
著者名:Kim R. Derespina,Shubhi Kaushik, Anna Plichta,et al.
論文名:Clinical manifestations and outcomes of critically ill children and adolescents with COVID-19 in New York City.
雑誌名:J Pediatr. 2020 Jul 15;S0022-3476(20)30888-X. [Online ahead of print]doi: 10.1016/j.jpeds.2020.07.039.
U R L:https://pediatrics.aappublications.org/content/pediatrics/early/2020/07/15/peds.2020-003186.full.pdf

5.2020年3月23日〜5月10日にパリ郊外の23施設に入院した18歳未満の小児COVID-19症例192例(年齢中央値1歳)の前方視的まとめです。主要症状は発熱147例(76.6%)、鼻汁66例 (34.4%)、全身状態悪化63例 (32.8%)、呼吸障害48例 (25%)、嗅覚障害10例 (5.2%)でした。24例(12.5%)がPICU管理となり、その内11例 (45.8%) に喘息などの基礎疾患がありました。14例 (7.3%) が川崎病、8例 (4.2%) が心筋炎とも診断されました。12例 (6.3%) が挿管管理を要し、1例にECMOが導入されました。抗ウイルス薬などには言及はありません。ECMO症例を含む3例が死亡しました。
著者名:Louise Gaborieau,Celine Delestrain,Philippe Bensaid,et al.
論文名: Epidemiology and clinical presentation of children hospitalized with SARS-CoV-2 infection in suburbs of Paris.
雑誌名:J Clin Med. 2020.DOI:10.3390/jcm9072227.
U R L: https://www.mdpi.com/2077-0383/9/7/2227

6.2020年2月23日〜4月24日にイタリア小児血液・がん学会感染症ワーキング・グループが実施した前方視的調査で、癌治療中に発症した小児COVID-19症例29例(年齢中央値7歳)のまとめです。対象は白血病16例、リンパ腫3例、固形腫瘍10例、LCH1例でした。26例が化学療法中、3例が幹細胞移植後でした。有症状者は11例のみで1例のみ酸素投与を要しました。挿管管理やICU管理を要する重症例は認めませんでした。無症状患者5例を含む9例にヒドロキシクロロキン、うち3例にはロピナビル/リトナビルも併用しました。6例にアジスロマイシンを使用しました。治療効果の評価はなされていません。化学療法中の26例のうち、16例は化学療法中断、8例は継続、2例は微調整して継続されました。注意は必要ですが、小児ではCOVID罹患時も化学療法継続が可能かもしれません。
著者名:Gianni Bisogno, Massimo Provenzi, Daniele Zama,et al.
論文名: Clinical characteristics and outcome of SARS-CoV-2 infection in Italian pediatric oncology patients: a study from the Infectious Diseases Working Group of the AIEOP.
雑誌名:J Pediatr Infect Dis Soc. 2020.DOI:10.1093/jpids/piaa088.  [Online ahead of print]
U R L:https://academic.oup.com/jpids/advance-article/doi/10.1093/jpids/piaa088/5870367

7.イタリアの単一小児病院からの2020年3月15日〜5月6 日に発生した小児COVID-19症例 43例(年齢中央値7歳)のまとめです。2例(5%)にヒドロキシクロロキン、7例 (17%)にヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン、1例 (2%) にヒドロキシクロロキン+ロピナビル/リトナビルが使用されました。治療効果の評価はなされていません。QT延長などの副作用は認めませんでした。ヒドロキシクロロキン+ロピナビル/リトナビルを併用した15歳女児において徐脈を認めましたが、ロピナビル/リトナビル休薬により徐脈は消失しました。
著者名:Lorenza Romani, Sara Chiurchiù, Veronica Santilli,et al.
論文名:COVID-19 in Italian pediatric patients: the experience of a tertiary children's hospital.
雑誌名:Acta Paediatr. 2020.DOI:10.1111/apa.15465.[Online ahead of print]
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/apa.15465

8.米国の単一小児病院からの2020年5月4日までに発症した小児COVID-19症例24例(年齢中央値5歳)のまとめです。入院管理19例、ICU管理7例 (36.8%)、呼吸器管理4例 (21%)でした。年長、症状遷延、低酸素飽和度、血小板減少、CRP上昇、WBC低下などが重症化因子でした。挿管症例4例中2例にレムデシビルを使用し、OSI (oxygen saturation index) が改善しましたがCRPの改善は見られませんでした。残る2例の挿管症例にはトシリズマブ、回復期血清療法、伏臥位で治療がなされ、OSI とCRPの両方が改善したとされますが、1例が死亡しました(治療との因果関係は不明)。
著者名:Bhumbra, Samina, Malin Stefan,Kirkpatrick indsey,et al.
論文名:Clinical features of critical coronavirus disease 2019 in Children.
雑誌名: Pediatr Crit Care Med. 2020.DOI:10.1097/PCC.0000000000002511.[Online ahead of print]
U R L:https://journals.lww.com/pccmjournal/Abstract/9000/Clinical_Features_of_Critical_Coronavirus_Disease.97991.aspx

9.新生児COVID-19症例25症例を報告した18論文のreviewです。16例が帝王切開で出生しました。68%で母親、20%で両親、その他の症例では祖父母の感染が確認されました。筆者らは垂直感染があったかどうかは未確定であり、現時点では水平感染が主であると主張しています。主要症状は発熱 (28%)、嘔吐 (16%)、咳嗽 (12%)、呼吸障害 (12%)などでした。32%がICU管理となり、挿管を要したのは20%でした。12%に肺炎合併を認めましたが重症化率は低く、死亡症例も認めませんでした。抗ウイルス薬使用はありませんでした。
著者名:Giuseppe De Bernardo, Maurizio Giordano, Giada Zollo,et al.
論文名:The clinical course of SARS-CoV-2 positive neonates.
雑誌名:J Perinatol. 2020.DOI:10.1038/s41372-020-0715-0. [Online ahead of print]
U R L:https://www.nature.com/articles/s41372-020-0715-0

(小児多系統炎症性症候群(Multi Inflammatory syndrome in children:MIS-C)と小児炎症性多系統症候群(Pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS))

1.英国からのCOVID-19に関連するMIS-Cの重症3例の報告です。年齢は13歳、16歳、17歳です。2例が男性でした。1例がアジアインディアン、2例がアフロカリビアン。入院前5-8日に症状を認めました。全例白血球数、CRP、Dダイマ-、トロポニンの上昇。全例PICU管理され回復。2例にIVIG、1例にメチルプレドニゾロンが使用されました。
著者名:Khuen Foong Ng, Trishul Kothari, Srini Bandi,et al.
論文名:COVID-19 multisystem inflammatory syndrome in three teenagers with confirmed SARS-CoV-2 infection.
雑誌名:J Med Virol. 2020.DOI:10.1002/jmv.26206.
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jmv.26206

2.米国ニューヨークの1施設に入院したMIS-C 15例(中央値12歳)の報告です。発熱(100%)、胃腸炎症状(87%)が主な症状で、発疹(47%)、結膜炎(27%)、手足の浮腫(27%)は半数未満でした。心エコーと胸部X-P異常所見は各80%、全例でCRP、Dダイマー、IL-6、IL-8の上昇がありました。14例がICU管理となり、8例が人工呼吸器や強心剤・昇圧剤、1例がECMO、トシリズマブとIVIGが各12例、ステロイドは3例で投与され、死亡は1例でした。
著者名:Mariawy Riollano‐Cruz,Esra Akkoyun, Eudys Briceno‐Brito,et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) related to COVID-19: a New York city experience.
雑誌名:J Med Virol. 2020. DOI:10.1002/jmv.26224. [Online ahead of print]
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.26224

3.【解説】MIS-Cと川崎病を比較し、異なる疾患であるとした論文です。好発年齢(MIS-C:年齢中央値9-10歳、川崎病:主に5歳以下)、好発地域(MIS-C:アフリカ系の小児、川崎病:アジアの小児)、症状に違いがあり、MIS-Cに特徴的なものとして、腹痛、リンパ球減少、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドの高値、心筋の機能障害が挙げられました。MIS-Cは川崎病の有病率が高い中国や日本で観察されていないことが注目されています。
著者名:Anne H. Rowley.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children and Kawasaki disease: two different illnesses with overlapping clinical features.
雑誌名:J Pediatr. 2020.DOI:10.1016/j.jpeds.2020.06.057
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7308002/

4.米国フィラデルフィア小児病院からSARS-CoV-2感染の証拠があるMIS-C 6例についての報告です。この疾患で鍵となる所見は、発熱、下痢、ショック、様々な発疹、結膜炎、四肢浮腫、粘膜症状でした。他に注目すべき所見として、中枢神経系の炎症と、低ナトリウム血症があげられました。IVIGやメチルプレドニゾロンなど、川崎病に有効な治療を受けて全員が解熱、心機能の改善を認め、6例のうち5例は退院しました。
著者名:Kathleen Chiotos, Hamid Bassiri,Edward M Behrens,et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children during the coronavirus 2019 pandemic: a case series.
雑誌名:J Pediatr Infect Dis Soc. 2020.DIU:10.1093/jpids/piaa069.
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7313950/

5.英国の23 PICU施設に入院したPIMS 78例(中央値11歳)の報告です。発熱(100%)、ショック(87%)、腹痛(62%)、嘔吐(63%)、下痢(64%)が主な症状で、36%に冠動脈異常を認めました。入院1〜4日にかけて、CRP、Dダイマー、フェリチンは減少傾向でした。治療は人工呼吸器(46%)、血管作動薬(83%)、ステロイド(73%)、IVIG(76%)、生物学的製剤(22%),ECMOは3例で、死亡は2例でした。
著者名:Patrick Davies,Claire Evans,Hari Krishnan Kanthimathinathan,et al.
論文名:Intensive care admissions of children with paediatric inflammatory multisystem syndrome temporally associated with SARS-CoV-2 (PIMS-TS) in the UK: a multicentre observational study.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020.DOI:10.1016/S2352-4642(20)30215-7. [Online ahead of print]
U R L:https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30215-7/fulltext

6.ニューヨークの21歳未満のCOVID-19に関連するMIS-C 95例の報告です。54%が男性、40%が黒人、36%がヒスパニックでした。31%が5歳以下、42%が6-12歳、26%が13歳以上でした。全員発熱があり、97%が頻脈、80%が消化器症状、60%が発疹、56%が結膜充血、27%が粘膜症状を伴っていました。CRP、Dダイマ-、トロポニンの上昇をそれぞれ100%、91%、71%に認め、53%が心筋炎を伴い、80%がICUに収容され、2人が死亡しました。
著者名:Elizabeth M. Dufort,Emilia H. Koumans, Eric J. Chow,et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in children in New York state.
雑誌名:N Engl J Med. 2020.DOI:10.1056/NEJMoa2021756.
U R L:https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2021756

7.米国26州からMIS-C 186例についての報告です。年齢中央値8.3歳、男性62%、生来健康73%、SARS-CoV-2検査陽性70%、入院88%、胃腸系(92%)、心血管系(80%)、血液系(76%)、皮膚(74%)、呼吸器系(70%)に組織障害を認めました。入院期間の中央値7日、集中治療80%、人工呼吸器20%、血管作動薬48%、4人(2%)が死亡しました。冠動脈瘤8%、40%に川崎病に似た症状、92%に炎症を示唆する少なくとも4つのバイオマーカー上昇が見られました。IVIGが77%、グルココルチコイドが49%、IL-6または1RA阻害剤が20%に使用されました。
著者名:Leora R. Feldstein,Erica B. Rose, Steven M. Horwitz,et al.
論文名:Multisystem inflammatory syndrome in U.S. children and adolescents.
雑誌名:N Engl J Med. 2020.DOI:10.1056/NEJMoa2021680.
U R L:https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2021680?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

8.MIS-Cを含むCOVID-19重症児の治療に関する国際ガイドラインで、今後まだ修正の可能性がありますが、設備が整っていない施設でも利用できるように配慮されています。エビデンスが十分にないところは、委員のコンセンサスに基づいて44の推奨を含んでいます。軽症の子どものパターンを提示し、また重症児への呼吸管理、循環管理、抗凝固療法、抗ウイルス薬、薬物療法などについて推奨がまとめられています。
著者名:Saraswati Kache, Mohammod Jobayer Chisti, Felicity Gumbo,et al.
論文名:COVID-19 PICU guidelines: for high- and limited-resource settings.
雑誌名:Pediatr Res. 2020.DOI:10.1038/s41390-020-1053-9. [Online ahead of print]
U R L:https://www.nature.com/articles/s41390-020-1053-9

9.英国ロンドンの1施設からMIS-C 35例(中央値:11歳、PICU:24例)の画像所見の報告です。胸部X-P:正常(46%)、cuff signと気管支壁肥厚(34%)。胸部CT(33例):コンソリデーション(39%)、胸水(30%)。心エコー:心機能不全(51%)、心CT(30例):冠動脈瘤(6/30例)。腹部エコー(19例):無エコー性free-fluid(53%)、右腸骨窩の炎症性変化(47%)が報告されました。
著者名:Shema Hameed , Heba Elbaaly, Catriona E. L. Reid,et al.
論文名:Spectrum of imaging findings on chest radiographs, US, CT, and MRI images in multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) associated with COVID-19.
雑誌名:Radiology. 2020.DOI:10.1148/radiol.2020202543. [Online ahead of print]
U R L:https://pubs.rsna.org/doi/10.1148/radiol.2020202543

(School closure)
1.米国テキサス州オースチン市の都市部において、ソーシャルディスタンスの行動のタイミングと程度が、地域医療などにどの様に影響を与えるのかを数理モデルを用いて調査しました。その結果、2020年5月初めまでに地域の病院の収容能力を超えないためには、迅速で大規模な介入が必要であることが分かりました。学校閉鎖は疫学曲線を変えませんでした。また介入が2週間遅れると、病院の必要性のピークを4週間早め、集中治療室のベット不足をもたらすことも分かりました。
著者名:Xutong Wang, Remy F. Pasco, Zhanwei Du,et al.
論文名:Impact of social distancing measures on coronavirus disease healthcare demand, Central Texas, USA.
雑誌名:Emerg Infect Dis. 2020; 26(10) in press
U R L:https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/10/20-1702_article

2. 5つの身体的距離の介入(学校閉鎖、職場閉鎖、公共交通機関の閉鎖、大規模集会と公共イベントの制限、ロックダウン)のうち一つ以上を実施した149の国と地域を対象に、介入前後のCOVID-19発生率比(IRR)を比較した論文です。何らかの介入により発生率が13%減少しました(IRR 0.87、95%信頼区間0.85-0.89;n=149)。より早いロックダウンの実施は発生率の大幅な減少と関連していました。
著者名:Nazrul Islam, Stephen J Sharp,Gerardo Chowell,et al.
論文名:Physical distancing interventions and incidence of coronavirus disease 2019: natural experiment in 149 countries.
雑誌名: BMJ.2020.DOI:10.1136/bmj.m2743
URL: https://www.bmj.com/content/370/bmj.m2743.long

3.米国ではソーシャルディスタンシングの介入は州レベルで実施されており、実施内容や時期はそれぞれ異なっています。本論文は2つの介入(緊急事態宣言の発令と学校閉鎖)と死亡患者数との関連をモデリングで評価しています。両介入共に導入が遅いほど死亡患者数が増えており、1日導入が遅れるごとに死亡のリスクが5~6%増加する結果となりました。
著者名:Nadir Yehya, Atheendar Venkataramani, Michael O Harhay.
論文名:Statewide interventions and Covid-19 mortality in the United States: An observational study.
雑誌名: Clin Infect Dis. 2020; ciaa923.
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa923/5868545

4. COVID-19の流行中にいかに安全に大学を再開させるかについて台湾の経験を報告した論文です。6つの大学で7例の確定例がありました。1校が学校を閉鎖しましたが、14日間の接触者の追跡と隔離により速やかに再開できました。封じ込め(接触の追跡と隔離による立ち入り制限)と緩和(衛生、消毒、換気、社会的距離)を組み合わせた戦略により、大学の再開が実現できることが示唆されました。
著者名:Shao-Yi Cheng, C. Jason Wang, April Chiung-Tao Shen,et al.
論文名:How to safely reopen colleges and universities during COVID-19: Experiences from Taiwan.
雑誌名:Ann Intern Med.2020.DOI:10.7326/M20-2927.Online ahead of print.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7339040/

5.  【総説】2019年12月1日から2020年5月28日までの論文の中から小児がCOVID-19の感染拡大にどの程度寄与しているか、1,099本の論文をレビューしています。論文の条件やデータの質などに関して論文によりかなり差がありますが、小児のCOVID-19は15-60%が無症候病原体保有者で、75-100%家庭内感染となっています。学校における感染を評価した論文では小児が市中感染の原因とはなっておらず、スペインの抗体保有率を調査した研究では小児の15%未満しか抗体を有していなかったという報告もありました。以上から小児は成人ほど感染拡大に寄与していないという結論を出しています。
著者名:Luis Rajmil.
論文名:Role of children in the transmission of the COVID-19 pandemic: a rapid scoping review.
雑誌名:BMJ Paediatr Open.2020.DOI:10.1136/bmjpo-2020-000722
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7311007/pdf/bmjpo-2020-000722.pdf


2020年6月23日以前の掲載はこちら

 

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