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小児の新型コロナウイルス感染症の診療に関連した論文

 小児の新型コロナウイルス感染症の診療に関連した論文を紹介いたします。ご参考にしてください。
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会

【2020年5月26日掲載】
1. 小児からのSARS-CoV-2の伝播に関する論文のシステマティックレビューです。2020年3月11日までにMEDLINE、EMBASEに公開された論文40編と同12日までにmedRxiv/bioRxivに公開された未掲載原稿7編を対象としています。小児はCOVID-19患者のほんの一部を占めるに過ぎず、また、多くは重症化リスクのある高齢者よりも親、同輩と社会的接触を持っていました。ウイルス量に関するデータは少ないですが、得られた範囲では小児では成人よりも少ない可能性が示されています。小児ではくしゃみや咳のような症状が出にくいことも、おそらく感染させるリスクを低くしていると考えられました。家庭内伝播に関する研究は小児が発端者となることは稀であることを示し、事例検討では小児患者がアウトブレークを起こすことはほとんどないことが示唆されています。しかし、小児がSARS-CoV-2を感染させうること、無症状であってもウイルスを排泄しうることは明らかなようです。結論として、小児はCOVID-19のパンデミックに主要な役割を果たしておらず、学校や幼稚園が再開されても高齢者のCOVID-19による死亡率には影響を及ぼさないと考えられます。
著者名:Ludvigsson JF.
論文名:Children are unlikely to be the main drivers of the COVID-19 pandemic - a systematic review.
雑誌名:Acta Paediatr. 2020 May 19. doi: 10.1111/apa.15371.
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/apa.15371

2. 2020年3月15日までに掲載された小児COVID-19に関する9報のcase series(7報が小児感染例 [中国語論文3報を含む]、2報が感染母体からの出生児)のシステマティックレビューです。小児感染例93例では、75%に家庭での接触歴があり、98%が軽症から中等症で、59%に発熱、46%に咳嗽、12%に消化器症状がみられ、26%は感染判明時に無症状でした。胸部CT所見で最も多かったのはスリガラス影 (48%) でした。感染母体から出生した新生児19名には感染はみとめられませんでした。
著者名:Chang TH, Wu JL, Chang LY.
論文名:Clinical characteristics and diagnostic challenges of pediatric COVID-19: A systematic review and meta-analysis.
雑誌名:J Formos Med Assoc. 2020 May;119(5):982-989. doi: 10.1016/j.jfma.2020.04.007.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0929664620301431?via%3Dihub

3. 中国、武漢市の単一施設(大学附属病院)に2020年2月8日までに入院した7例のCOVID-19妊婦の後方視的検討です。妊婦の平均年齢は32歳(29歳〜34歳)、入院時の平均週数は39週1日(37週〜41週2日)で、発熱が6例、咳嗽、息切れ、下痢が各1例にみられました。全例、発症後3日以内(平均週数39週2日)に帝王切開で出産し、母子ともに良好な転帰をとりました。SARS-CoV-2が検査された新生児3名中1名が生後36時間の咽頭ぬぐい液で陽性を示しましたが、一過性の軽い呼吸促迫がみられたのみでした。
著者名:Yu N, Li W, Kang Q, et al.
論文名:Clinical features and obstetric and neonatal outcomes of pregnant patients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective, single-centre, descriptive study.Y
雑誌名:Lancet Infect Dis. 2020 May;20(5):559-564. doi: 10.1016/S1473-3099(20)30176-6.
URL: https://www.thelancet.com/pdfs/journals/laninf/PIIS1473-3099(20)30176-6.pdf

4. COVID-19への対策として、ミシガン州は2020年3月23日より州の住民に対し自宅にて過ごすStay-at-home政策を導入しました。これに伴い、乳幼児の定期接種に関する影響をミシガン州の予防接種レジストリーを用いて評価した報告です。その結果、出産時に接種されるB型肝炎ワクチン以外、3,5,6,16,19,24か月児におけるワクチン接種率の低下が認められました。多くの医療機関は乳児健診を電話やネットを利用した診察に切り替えていますが、実際に医療機関を訪問しないと実施できない予防接種は今後その実施方法に工夫が必要であす。その方法の具体例として、地域で予防接種専門のクリニックを指定する、予防接種を受けに来た小児は別の部屋や建物で対応する、完全予約制にする、車においてワクチンを接種する、などが挙げられます。また、レジストリーを活用し、スケジュールから遅れている児の家庭へ積極的にアプローチすることも一案です。
著者名:Bramer CA, Kimmins LM, Swanson R, et al.
論文名:Decline in Child Vaccination Coverage During the COVID-19 Pandemic − Michigan Care Improvement Registry, May 2016–May 2020.
雑誌名:MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:630–631. doi: 10.15585/mmwr.mm6920e1.
URL: https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6920e1.htm?s_cid=mm6920e1_x

5. 小児のCOVID-19患者が全体の2%未満であるのは、SARS-CoV-2のレセプターであるangiotensin-converting enzyme 2 (ACE2)の発現が成人とは異なるからではないかといわれています。その仮説を証明するために、気管支喘息の研究目的でかつて採取保管された4-60歳の喘息患者の鼻粘膜上皮を用いて、年齢によるACE2の発現の相違を分析した報告です。その結果、ACE2の発現は小児で最も低く、年齢が高くなるにつれて発現量が多くなりました(性別と喘息の有無で調整)。この年齢依存性のACE2発現レベルの違いが、小児のCOVID-19患者が少ない理由かもしれません。
著者名:Bunyavanich S, Do A, Vicencio A.
論文名:Nasal Gene Expression of Angiotensin-Converting Enzyme 2 in Children and Adults.
雑誌名:JAMA. 2020 May 20. doi: 10.1001/jama.2020.8707.
URL: https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766524

6. 2020年1月1日から5月1日までに発表された小児(0-18歳)COVID-19の論文(65本、うち3本レビュー)に関するまとめです。対象人数は7480人(男児52.1%、平均年齢7.6歳)で、症状は約半数に発熱と咳を認めており、ほとんどが軽症または中等症であり、重症例(PICUに入院)は2%程度でしたが、新生児では12%が重症化し、最も認められた症状は呼吸困難でした。対象の約3/4の症例で胸部CT検査が実施されており、約1/3が正常所見でした。全体の致命率は0.08%でした。今回のレビューからは小児のCOVID-19症例は成人よりも軽症であると言えます。
著者名:Liguoro I, Pilotto C, Bonanni M, et al.
論文名:SARS-COV-2 infection in children and newborns: a systematic review.
雑誌名:Eur J Pediatr. 2020 May 18:1-18. doi: 10.1007/s00431-020-03684-7.
URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s00431-020-03684-7

7. 武漢小児病院でSARS-CoV-2感染が疑われた小児患者のうち、咽頭スワブと肛門スワブの両方の検体でRT-PCRが行われた212人の結果を後方視的にレビューした報告です。このうち78人が陽性で、24人が両検体で陽性、37人が咽頭検体のみ、17人が肛門検体のみ陽性でした。この結果より、咽頭と肛門の検体を用いたPCR検査の結果には有意差があり、陽性一致率が低いことが分かりました。また、咽頭と肛門の両方で陽性となった検体のウイルス量には有意差がなく、相関関係もみられませんでした。さらに、肛門検体のみ陽性の患者と咽頭検体のみ陽性の患者における臨床的特徴に差を認めませんでした。発症から検体採取までの時間と検査結果の関係については検討していませんが、咽頭と肛門のスワブのウイルス量には、小児のさまざまな時期における免疫状態、免疫反応、および回復期/免疫学的寛容が関与している可能性が示唆されました。
著者名:Yuan C, Zhu H, Yang Y, et al.
論文名:Viral loads in throat and anal swabs in children infected with SARS-CoV-2.
雑誌名:Emerg Microbes Infect. 2020 May 18:1-17. doi: 10.1080/22221751.2020.1771219.
URL: https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/22221751.2020.1771219

8. CIVID-19小児患者を解析した24論文のレビューで、2597症例(確定1185例、疑い1412例)が対象です。患者の大部分はCOVID-19確定例からの家族内感染例でした。症状は軽く、重症はわずか4.4%、危篤は0.9%でした。初発症状は、成人と同様であるものの低頻度でした(発熱, 43.1% vs. 82-98.6%; 咳嗽, 43.4% vs. 59.4-82%)。呼吸器症状は軽く、多呼吸/息切れの頻度は12.6%(成人31%)であり、呼吸困難(同55%)と呼吸窮迫症候群(同17%)は稀でした。一方、消化器症状は成人に比べて多く、下痢の頻度は6.6%(成人2-3.8%)でした。検査所見では、成人で最も頻度の高い異常であるリンパ球減少は9.8%しかみられませんでした。クレアチンキナーゼのMBアイソザイム(CK-MB)の上昇は27%と成人よりもはるかに多くみられ、小児患者では心筋傷害の頻度が高いことが示唆されました。
著者名:Cui X, Zhang T, Zheng J, et al.
論文名:Children with Coronavirus Disease 2019 (COVID-19): A Review of Demographic, Clinical, Laboratory and Imaging Features in 2,597 Pediatric Patients.
雑誌名:J Med Virol. 2020 May 17. doi: 10.1002/jmv.26023.
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.26023

9. RT-PCRでSARS-CoV-2陽性であった臨床サンプル(鼻咽頭スワブ、気管内吸引液)90検体を用いて、RT-PCRのCt値(PCR 増幅産物量が一定の閾値に達したときのサイクル数)およびSTT(発症から検査までの日数)と検体に含まれるウイルスのVero細胞での増殖能との関連を調べた論文です。ウイルス増殖がみられた(培養陽性)26検体 (29%) は、全てCt値が24以下かつSTTが8日以下でした。多変量解析では、培養陽性のオッズ比はCt値が1上がるごとに32%、STTが1日長くなるごとに37%低下し、ROC解析ではCt値が0.91、STTが0.81と良好なAUC(識別能の指標)を示しました。Ct値25以上とSTT 9日以上は患者の感染力が低いこと示す指標となることが示唆されます。
著者名:Bullard J, Dust K, Funk D, et al.
論文名:Predicting infectious SARS-CoV-2 from diagnostic samples.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 May 22:ciaa638. doi: 10.1093/cid/ciaa638.
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa638/5842165

10. 中国の6施設で胸部CTが施行された小児COVID-19患者30例の後方視的検討です。23例 (77%) では異常がなく、残る7例のうち、スリガラス影が6例、crazy-paving patternとreverse-halo signが各2例にみられました。所見の分布は6例で末梢性でした。フォローアップのCTを受けた11例 (37%) のうち10例では変化がみられませんでした。これらの結果に基づき、小児COVID-19の診断や治療管理における胸部CTの有用性には疑問があるとしています。
著者名:Steinberger S, Lin B, Bernheim A, et al.
論文名:CT Features of Coronavirus Disease (COVID-19) in 30 Pediatric Patients.
雑誌名:AJR Am J Roentgenol. 2020 May 22:1-9. doi: 10.2214/AJR.20.23145.
URL: https://www.ajronline.org/doi/10.2214/AJR.20.23145

11. 小児3名を含む家族におけるSARS-CoV-2感染のクラスター事例を解析したドイツからの報告です。発端者は父親で、6病日にSARS-CoV-2陽性が判明しています。同日に5歳女児、翌日に母親、翌々日に2歳男児に症状が出現し、後日いずれも感染が確認されました。7か月女児は症状がなく、繰り返し行われた鼻咽頭と便の検査は全て陰性でした。母親と2人の子どもは感染確認後5〜6日で鼻咽頭のウイルスが陰性となりました。両親の便のウイルスは陰性でしたが、感染した2人の子どもは便のウイルス陽性が4週間持続し、SARS-CoV-2が消化管で著しく増殖することを示していました。
著者名:Wolf GK, Glueck T, Huebner J, et al.
論文名:Clinical and Epidemiological Features of a Family Cluster of Symptomatic and Asymptomatic SARS-CoV-2 Infection.
雑誌名:J Pediatric Infect Dis Soc. 2020 May 22:piaa060. doi: 10.1093/jpids/piaa060.
URL: https://academic.oup.com/jpids/advance-article/doi/10.1093/jpids/piaa060/5842074

12. RNAscopeという新しい手法を用いて、COVID-19妊婦から出生し、それぞれ出生直後+日齢2+日齢7と日齢7にSARS-CoV-2陽性であった新生児2例の胎盤の胎児側組織にSARS-CoV-2 のRNAを検出した報告です。SARS-CoV-2が胎盤を介して胎内感染を起こす可能性を示しています。
著者名:Patanè L, Morotti D, Giunta MR, et al.
論文名:Vertical transmission of COVID-19: SARS-CoV-2 RNA on the fetal side of the placenta in pregnancies with COVID-19 positive mothers and neonates at birth.
雑誌名:Am J Obstet Gynecol MFM. 2020 May 18:100145. doi: 10.1016/j.ajogmf.2020.100145.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589933320300896?via%3Dihub

13. SARS-CoV-2感染およびMultisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) と関連している可能性がある急性心不全を呈した小児発熱患者のcase seriesです。フランスとスイスでCOVID-19の流行が起こっていた2020年3月22日〜4月30日に13施設(フランス12、スイス1)のPICUに心原性ショック、左心不全および重症炎症状態で入院した小児35例を後方視的に解析しています。年齢の中央値は10歳(2〜16歳)で、28%に喘息、肥満を含む基礎疾患があり、消化器症状が目立ちました。症例の1/3で左室駆出率 (LVEF) が30%未満であり、80%が静注強心薬を必要とし、28%にECMOが使用されました。IL-6(中央値135 pg/mL)とD-dimer(同5,284 ng/mL)の値からはサイトカインストームが示唆されました。BNPは中央値5,743 pg/mLと上昇していました。31例 (88%)が鼻咽頭スワブのPCRまたは抗体検査でSARS-CoV-2陽性でした。全例に静注用ガンマグロブリンが投与され、1/3ではステロイドが併用されました。PICU退室後の左心機能は25例 (71%) で保たれていました。5例 (14%)は最終フォローアップ時点でLVEFの軽度〜中等度低下 (40-60%)がみられました。死亡例はなく、ECMOが使用された全例で離脱できました。小児はSARS-CoV-2感染に引き続いて重症炎症状態による急性心不全を発症する可能性があります。静注用ガンマグロブリンは左室収縮能の回復に関連しているようです。
著者名:Belhadjer Z, Méot M, Bajolle F, et al.
論文名:Acute heart failure in multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) in the context of global SARS-CoV-2 pandemic.
雑誌名:Circulation. 2020 May 17. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.120.048360.
URL: https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.048360
(2020年5月20日掲載分の【備考1~3】もご参照下さい。)


【2020年5月20日掲載】
1.米国ニューヨーク市の単一の小児病院におけるCOVID-19の臨床像についての報告です。調査期間は2020年3月15日~4月13日、陽性者は67例でした。入院した41例(68.7%)の年齢は13.1歳(中央値)、13例(19.4%)がPICU管理となりました。PICU管理の危険因子として、CRP、プロカルシトニン、pro-BNPの高値と相関(全てp<0.03)がありましたが、肥満や気管支喘息との相関(p=0.99)はありませんでした。PICU管理例では、高流量鼻カニュラ(p=0.0001)やレムデシビル投与(p<0.05)を行う頻度が有意に高く認められました。10例(14.9%)がARDSとなり、6例(9.0%)が人工呼吸管理(中央値:9日間)となりました。
著者名:Chao JY, Derespina KR, Herold BC, et al.
論文名:Clinical characteristics and outcomes of hospitalized and critically ill children and adolescents with coronavirus disease 2019 (COVID-19) at a tertiary care medical center in New York city.
雑誌名:J Pediatr. 2020 May 11:S0022-3476(20)30580-1. doi: 10.1016/j.jpeds.2020.05.006.
URL:https://www.jpeds.com/article/S0022-3476(20)30580-1/fulltext

2.COVID-19流行によるワクチン出荷数の減少についての米国CDCからの報告です。米国では2020年3月13日に国家非常事態宣言があり、移動や外出が制限されました。一方で米国CDCは3月24日に小児の推奨時期でのワクチン接種の重要性(特に2歳以下)についてのガイダンスを公表しました。COVID-19流行がワクチン接種率に及ぼす影響を見るために、インフルエンザ以外の全てのワクチンの出荷数および麻疹含有ワクチンの出荷数のデータを見てみると、いずれも緊急事態宣言の直後より減少傾向となりましたが、3月最終週より2歳以下に対する麻疹含有ワクチンの出荷数については、やや改善傾向を認めました。
著者名:Santoli JM, Lindley MC, DeSilva MB, et al.
論文名:Effects of the COVID-19 pandemic on routine pediatric vaccine ordering and administration - United States, 2020.
雑誌名:MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020 May 15;69(19):591-593.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6919e2.htm

3.抗SARS-CoV-2抗体検出用の2種の自動イムノアッセイと3種のイムノクロマトキットの評価についてのベルギーからの報告です。自動検出系はEuroimmum(ELISA、IgG/IgA)とMaglumi®(CLIA, IgG/IgM)、迅速キットはLaboOn Time®、Avioq®、QuickZen®(IC、IgG/IgM)を用い、血清はSARS-CoV-2陽性患者(n=128)、コントロール(n=72)にて評価を行いました。感度はEuroimmum 84.4%、Maglumi® 64.3%、迅速キットは70%程度でした。IgGの特異度はEuroimmum 98.6%、Maglumi® 100%でした。今回の5種類の検査系の感度は発症2週目より上昇し、発症14日以降には同程度(91-94%)にまで上昇しました。
著者名:Montesinos I, Gruson D, Kabamba B, et al.
論文名:Evaluation of two automated and three rapid lateral flow immunoassays for the detection of anti-SARS-CoV-2 antibodies.
雑誌名:J Clin Virol. 2020 May 5;128:104413. doi: 10.1016/j.jcv.2020.104413.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1386653220301554?via%3Dihub

4.イタリア小児感染症学会で推進された小児COVID-19のナショナルサーベイランスの報告です。調査期間は2020年3月25日~4月10日、陽性者は168例(18歳未満)でした。年齢の平均値は5歳、中央値は2.3歳、15例は新生児でした。37例(19.6%)に基礎疾患があり、110例(65.5%)が入院しました。症状は、発熱82.1%、咳48.8%、鼻炎26.8%、下痢13.1%、呼吸困難9.5%でした。痙攣は5例、ICU管理は2例(早産児、先天性心疾患のある生後2ヶ月児)、49例にロピナビル・リトナビル、ヒドロキシクロロキンなどの試験的治療が施行され、全例で後遺症なく経過していました。中国や米国の小児例の報告と比較すると、発熱の頻度が高く、咳・咽頭炎の頻度が低い傾向でした。
著者名:Garazzino S, Montagnani C, Donà D, et al.
論文名:Multicentre Italian study of SARS-CoV-2 infection in children and adolescents, preliminary data as at 10 April 2020.
雑誌名:Euro Surveill. 2020 May;25(18). doi: 10.2807/1560-7917.ES.2020.25.18.2000600.
URL:https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.18.2000600

5.COVID-19に伴う学校閉鎖に対する見解のまとめです。インフルエンザ流行時の対策を模倣し、COVID-19流行の抑制を目的として多くの国で学校閉鎖が導入されましたが、COVID-19流行時の学校閉鎖の有効性に関する明確なエビデンスはありません。感染性の低いウイルスが原因で、成人よりも小児において患者数が多い場合は、学校閉鎖の効果が得られる場合がありますが、COVID-19の基本再生産数(R0)は2.5を上回っており、10歳未満の子どもはCOVID-19症例の1%を占めるのみです。システマティックレビューにおいても、学校閉鎖がSARS-CoV-2感染制御に寄与していないことが示されています。それどころか学校閉鎖は、親の休業による経済的影響、親が医療従事者であった場合の医療レベルの低下による患者死亡率上昇、元々COVID-19重症化のリスクが高い祖父母への孫からの感染拡大、低所得国における社会・経済・健康に関する不平等など、その潜在的な悪影響が無視できません。一部の国で導入準備が進んでいるデジタル技術を介した遠隔学習も、タブレットやパソコンの普及状況が経済状況に左右されることから、多くの子どもにとって学校閉鎖は学習機会だけでなく、仲間や周辺社会から隔絶されることに繋がります。
著者名: Esposito S, Principi N.
論文名:School closure during the coronavirus disease 2019 (COVID-19) pandemic.An effective intervention at the global level?
雑誌名:JAMA Pediatr. Published online May 13, 2020. doi:10.1001/jamapediatrics.2020.1892 [Epub ahead of print]
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2766114

6.BCGを小児期に接種していたらCOVID-19の罹患や重症化を防ぐ可能性があるかが取沙汰されていますが、エビデンスは得られていません。
イスラエルにおいて1979-81年生まれ(小児期にBCG接種された年齢層)の人全体の1.02%にあたる3064人と、1982-85年生まれ(BCG接種されていない年齢層)の人全体の0.96 %にあたる2869人に対してSARS-CoV-2 PCR検査が実施されましたが、陽性率はそれぞれ11.7%と10.4%で、統計学的に有意差はありませんでした。人工換気やICU管理を必要とする重症例は各群に1名ずついましたが、死亡例はいませんでした。
著者名:Hamiel U, Kozer E, Youngster I.
論文名:SARS-CoV-2 rates in BCG-vaccinated and unvaccinated young adults.
雑誌名:JAMA. 2020 May 13. doi:10.1001/jama.2020.8189
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766182

7.COVID-19流行のために医療システムが破綻し、また食糧不足となることから、低・中所得国においては母子の間接死亡数が増加することが懸念されています。数理モデリングによると、控えめな見積もりでも6か月の間に25万3500人の小児(5歳未満)死亡、12,200人の母体死亡が過剰に生じるとされています。最悪のシナリオでは115万7千人の小児(5歳未満)と56,700人の母体の過剰死亡が生じる恐れがあります。
著者名:Roberton T, Carter ED, Chou VB, et al.
論文名:Early estimates of the indirect effects of the COVID-19 pandemic on maternal and child mortality in lo-income and middle-income countries: a modeling study.
雑誌名:Lancet Glob Health. 2020 May 12.
URL:https://doi.org/10.1016/S2214-109X(20)30229-1

8.北米46箇所のPICUに入院した小児COVID-19患者48人のまとめです。年齢中央値13歳(4.2~16.1歳)で、40人(83%)に基礎疾患がありました。18人(38%)に侵襲的な呼吸管理が必要(うち1名はECMO)で、11人(23%)に2系統以上の臓器不全を認めました。2名(4%)が死亡し、15人(31%)はなお入院中でした。
著者名:Shekerdemian LS, Mahmood NR, Wolfe KK, et al.
論文名:Characteristics and outcomes of children with coronavirus disease 2019 (COVID-19) infection admitted to US and Canadian pediatric intensive care units.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 May 11. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1948
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2766037

9.米国における2020年4月6日までの小児COVID-19患者数を集計し、年内に小児の累積感染率がどの程度に達すると集中管理を要する小児患者数がどれくらいに達するのかを推測しています。もし年内に累積で5%(370万人)の小児が感染した場合、入院患者9907人、PICU収容患者1086人となります。もし年内に累積で50%(3700万人)の小児が感染したら、入院患者99,073人、PICU収容患者10,865人となり、収容能力を超えてしまいます。小児が成人より軽症だとしても、医療破綻の恐れは十分あるのです。
著者名:Pathak EB, Salemi JL, Sobers N, et al.
論文名:COVID-19 in children in the United States: Intensive care administrations, estimated total infected, and projected numbers of severe pediatric cases in 2020.
雑誌名:J Pub Health Manage Pract. doi:10.1097/PHH.0000000000001190
URL:https://journals.lww.com/jphmp/Abstract/9000/COVID_19_in_Children_in_the_United_States_.99293.aspx

10.イタリアの一地方におけるSARS-CoV-2流行時の川崎病の増加と重症化に関する報告です。SARS-CoV-2流行前(2015年1月1日~2020年2月17日:約5年)での川崎病は19例(平均3歳)、流行後(2020年2月18日~4月20日:約2ヶ月)では10例(平均7.5歳、5例は不全型)となり、報告頻度は30倍に増加し、患者年齢も上昇していました。また、SARS-CoV-2流行前後で心臓合併症(2/19 例 vs 6/10例)、川崎病ショック症候群(0/19例 vs 5/10例)、マクロファージ活性化症候群(0/19例 vs 5/10例)の増加と、ステロイド治療の追加(3/19例 vs 8/10例)に有意差を認めました(p<0.01)。
(【備考1~3】もご参照下さい。)
著者名:Verdoni L, Mazza A, Gervasoni A, et al.
論文名:An outbreak of severe Kawasaki-like disease at the Italian epicentre of the SARS-CoV-2 epidemic: an observational cohort study.
雑誌名:Lancet. 2020 May 13. doi: 10.1016/S0140-6736(20)31103-X.
URL:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31103-X/fulltext

11.2020年4月中旬の10日間に、ロンドン市内のPICUに過剰炎症性ショック(不全型川崎病、川崎病ショック症候群、または毒素性ショック症候群に類似)の8症例がクラスターを起こし、1名は死亡しました。死亡例1例を含む2例はSARS-CoV-2 PCR陽性で、PCR陰性の6例中3例はCOVID-19患者が家族内にいました。後日これらの症例はいずれもSARS-CoV-2抗体陽性であることが判明しています。
(【備考1~3】もご参照下さい。)
著者名:Riphagen S, Gomez X, Gonzalez-Martinez C, et al.
論文名:Hyperinflammatory shock in children during COVID-19 pandemic.
雑誌名:Lancet. 2020 May 6.
URL:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)31094-1

【備考1】
欧米各国においてCOVID-19流行に伴い川崎病様の病態が増加し重症化していることが報告されていますが、日本川崎病学会および日本川崎病研究センターによると、2020年5月7日の時点で日本においては同様の傾向は認められていません(http://www.jskd.jp/index.html)。

【備考2】
かつて川崎病とコロナウイルスNL63に類似した新型コロナウイルスCoV-New Haven (NH)との間に関連性が疑われたことがあります(Esper F, et al. J Infect Dis 2005; 191: 499-502)。しかしその後の追跡調査は、その関連性について否定しています(Shimizu C, et al. J Infect Dis 2005; 192: 1767-71, Chan L-Y, et al. J Infect Dis 2006; 193: 283-6)。

【備考3】
WHOと米国CDCは、この病態をMultisystem Inflammatory Syndrome in Children (MIS-C) associated with COVID-19と呼ぶようにしました。川崎病とは異なるものだと考えた方がよさそうです。
WHO reference number: WHO/2019-nCoV/Sci_Brief/Multisystem_Syndrome_Children/2020.1
URL:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/pediatric-hcp.html#anchor_1589580133375


【2020年5月13日 掲載】
1.2人のCOVID-19検査診断例と濃厚接触があった無症状の10歳男児に関する中国からの報告です。最終曝露から17日後の便からRT-PCR法でSARS-CoV-2遺伝子が検出され、更に9日後の便からも検出されました。最終曝露から15日後の鼻咽頭ぬぐい液と痰については±の結果でしたが、その後は検出されませんでした。両親は無症状で、SARS-CoV-2の検査も陰性でした。
著者名:Tang A, Tong1 ZD, Wang HL, et al
論文名:Detection of Novel Coronavirus by RT-PCR in Stool Specimen from Asymptomatic Child, China.
雑誌名:Emerg Infect Dis. 2020 Jun 17;26(6). doi: 10.3201/eid2606.200301. [Epub ahead of print]
URL: https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/6/20-0301_article

2.中国湖北省武漢市にある武漢大学人民病院でのコホート研究です。13人(第1三半期5人、第2三半期3人、第3三半期5人)のCOVID-19感染妊婦から膣分泌物、便を採取し、出産した5人については、母乳、新生児の咽頭、肛門スワブを採取しました。5人中2人は早産で、2人は新生児肺炎を認めました。便9検体のうち1検体が陽性でしたが、膣分泌物13検体、新生児の咽頭ぬぐい液5検体、肛門ぬぐい液4検体はすべて陰性でした。母乳は3検体のうち1検体が陽性でした。経膣分娩は安全な分娩様式である可能性を示唆し、母乳については追加の研究が必要としています。
著者名: Wu Y, Liu C, Dong L, et al.
論文名:Coronavirus disease 2019 among pregnant Chinese women: Case series data on the safety of vaginal birth and breastfeeding.
雑誌名:BJOG. 2020 May 5. doi: 10.1111/1471-0528.16276. [Epub ahead of print]
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32369656

3.間葉系幹細胞によるCOVID-19治療の可能性に関する中国からの論文です。重篤な症例が増加していますが、治療のオプションは不足しています。重篤なCOVID-19症例の病理学的な特徴は、細胞性線維粘液性浸出液、広範囲の肺炎症、肺水腫、ヒアリン膜形成を特徴とする急激な肺障害(ALI)/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)です。間葉系幹細胞は炎症反応のバランスを保ち、過去には感染性/非感染性を含めてALI/ARDSに効果があるとされてきました。この論文ではALI/ARDSに対する間葉系幹細胞による治療の臨床試験成績がまとめられており、重症あるいは重篤なCOVID-19に対する代替療法の一つとして間葉系幹細胞が示唆されています。ALI/ARDSに対する間葉系幹細胞の有効性/安全性を評価するための臨床試験がいくつか始まっていますが、除外基準に、18歳未満の患者、主要臓器に重篤な基礎疾患がある場合、妊娠、悪性腫瘍、重篤な慢性呼吸器疾患、最近深部静脈血栓症または肺塞栓症を認めた場合、HIV感染、インフォームドコンセントを取得できなかった場合が挙げられています。
著者名: Liu S, Peng D, Qiu H, et al.
論文名:Mesenchymal stem cells as a potential therapy for COVID-19.
雑誌名:Stem Cell Res Ther. 2020 May 4;11(1):169. doi: 10.1186/s13287-020-01678-8.
URL:https://stemcellres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13287-020-01678-8

4.新型コロナウイルスはアンジオテンシン変換酵素(ACE)2に結合して標的細胞に侵入し、宿主細胞におけるACE2の発現を調節します。レニン-アンジオテンシン系の重要な構成要素であるACE2は、アンジオテンシンII(Ang II)およびAng-(1-7)のレベルを調節することにより、その生理学的機能を発揮します。女性の生殖能に対する新型コロナウイルスの潜在的な悪影響を明らかにするために、女性の生殖システムにおけるACE2の分布と機能を報告した文献をレビューしました。ACE2は卵巣、子宮、膣および胎盤に広く発現しています。Ang II、ACE2、Ang-(1-7)は、卵胞の発達と排卵を調節し、黄体の血管新生と変性を調節し、子宮内膜組織と胚の発達の定期的な変化にも影響を与えます。これらの機能を考慮すると、新型コロナウイルスがACE2の調節を通じて女性の生殖機能に影響を及ぼす可能性があるかどうかについて、今後の検討が必要です。
著者名: Jing Y, Run-Qian L, Hao-Ran W, et al.
論文名:Potential influence of COVID-19/ACE2 on the female reproductive system.
雑誌名:Mol Hum Reprod. 2020 May 4. pii: gaaa030. doi: 10.1093/molehr/gaaa030. [Epub ahead of print]
URL:https://academic.oup.com/molehr/advance-article/doi/10.1093/molehr/gaaa030/5828941

5.新型コロナウイルス感染が証明された妊婦から35週2.6㎏、Apgar9/10点で出生した女児例の症例報告です。特に妊娠合併症や基礎疾患のない25歳の母が妊娠第3期に発熱、倦怠感、呼吸障害、肺炎を呈して入院しPCRでSARS-CoV-2陽性。インターフェロン、Lopinavir等の治療を受け、症状発現後7日で帝王切開にて出産しました(陰圧室でスタッフは完全防御態勢をとり、母もN95aマスクを装着し児とは接触なし)。児は一時期CPAP療法を受けた程度の軽度の呼吸障害を示しました。入院中に児の咽頭(1日、7日)および肛門スワブ、血清、気道分泌物、尿(出生後2時間、1日、2日、3日、7日、14日)のPCR検査を施行し全て陰性でした。出生1日目の膣分泌物、羊水、胎盤、臍帯、および14日目までの母の血清、肛門スワブ、母乳のウイルス核酸はすべて陰性でした。フルに検査を施行した本例のように垂直感染は起こりにくいと思われますが母のウイルス量の評価などが不十分で、さらなる研究が必要としています。
著者名:Peng Z, Wang J, Mo Y, et al.
論文名:Unlikely SARS-CoV-2 vertical transmission from mother to child: A case report.
雑誌名:J Infect Public Health. 2020 May;13(5):818-820. doi: 10.1016/j.jiph.2020.04.004. Epub 2020 Apr 11.
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1876034120304391?via%3Dihub

6.英国の助産師、小児保健、麻酔科、産科麻酔科からの情報を入れて、産科婦人科医の団体から出された妊産褥婦管理のガイドラインの概要説明です。COVID-19感染が疑われた例での自己隔離、受診回数減、肺塞栓症や精神的ケアなどが重要であるとしています。分娩前は、COVID-19妊婦は症状が消えて14日以降に胎児エコー検査に呼ぶ、妊娠28週以降は全ての妊婦でソーシャルディスタンスをとるべき、分娩中は無症状のパートナーや友人、親戚が産婦を勇気づけ、分娩中は胎児モニタリングを続け、COVID-19感染が疑われる妊産婦のケアにあたるスタッフはPPEを装用、などを挙げています。出産後、現時点では母乳栄養の利益が母子感染リスクを上回っており、COVID-19陽性母と健康新生児の分離は求めない、などとしています。妊娠におけるCOVID-19のエビデンスは限られていますが迅速に解決しつつあるので、ガイドラインも改訂されていく予定で、英国ではCOVID-19感染妊婦の登録制度が3月20日から始まり、Oxford大学は4月24日からCOVID-19が妊娠に与える影響を評価する広範な研究を立ち上げました。
著者名:[No authors listed]
論文名:Covid-19 and pregnancy.
雑誌名:BMJ. 2020 May 4;369:m1672. doi: 10.1136/bmj.m1672.
URL: https://www.bmj.com/content/369/bmj.m1672.long

7.COVID-19流行の比較的初期(3月17日~24日)におけるオーストラリアとニュージーランドの小児科医に対するe-mailリストグループを用いた意識アンケート調査の報告です。542名(実働小児科医の11%)からの回答がありました。36.6%は国の対応を評価し、大多数は各病院の管理上層部は真摯に対応していると評価していました。小児のCOVID-19情報と理解はよくなされていることが示されました。多数(86.1%)の医師が自分自身や家族の感染リスクを感じていますが、感染を避けるために仕事場に来ないとする医師は少数(5.8%)です。23.6%の回答者は、学校や保育所の閉鎖が現在のレベルを維持したままでは、継続勤務できる可能性がすくなくなるとしています。
著者名:Foley DA, Kirk M, Jepp C, et al.
論文名:COVID-19 and paediatric health services: A survey of paediatric physicians in Australia and New Zealand.
雑誌名:J Paediatr Child Health. 2020 May 4. doi: 10.1111/jpc.14903. [Epub ahead of print]
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jpc.14903

8.武漢小児病院におけるCOVID-19症例の血液検査およびCT所見に関する後方視的検討です。76例中リンパ球減少は16%、CRP上昇は8%に認められたのみで、既報の成人COVID-19の血液検査所見とは異なる傾向でした。86%に胸部CTで異常が認められました。すりガラス状陰影が67%、局所的斑状影が37%、両側斑状影が21%に認められ、95%は胸膜下病変を有しました。退院時でも67%の症例はCTで異常所見が残存していました。小児COVID-19症例においても、胸部CTは肺炎の診断に有用でしたが、退院基準に用いることに関しては成人との違いも踏まえて今後検討する必要があるでしょう。
著者名:Ma H, Hu J, Tian J, et al.
論文名:A single-center, retrospective study of COVID-19 features in children: a descriptive investigation.
雑誌名:BMC Med. 2020 May 6;18(1):123. doi: 10.1186/s12916-020-01596-9.
URL: https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-020-01596-9

9.イタリアの単一施設における、COVID-19感染母体から出生した新生児の観察研究です。観察期間中に7名の妊婦でSARS-CoV-2感染が証明されました。1名は妊娠8週で自然流産しました。4名は回復してフォローアップ中です。2名が分娩に至りました。新生児2名とも出生時および生後3日ではウイルス陰性でした。2週間後に1名がウイルス陽性となりましたが、無症状でした。COVID-19母体から出生した新生児は、出生時にウイルス陰性であったとしてもその後に感染するリスクがあるため、長期的フォローアップガイドラインの策定が必要です。
著者名:Buonsenso D, Costa S, Sanguinetti M, et al.
論文名:Neonatal Late Onset Infection with Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2.
雑誌名:Am J Perinatol. 2020 May 2. doi: 10.1055/s-0040-1710541. [Epub ahead of print]
URL: http://www.thieme-connect.com/DOI/DOI?10.1055/s-0040-1710541

10.武漢の単一施設における後方視的検討です。2020年1月15日から3月15日にCOVID-19で入院した妊婦および妊娠可能年齢女性を対象として、臨床経過と予後を比較検討しました。28名の妊婦と54名の非妊婦において、重症度、ウイルス消失時間、入院期間に有意差は認められませんでした。23名の新生児にSARS-CoV-2感染は認められませんでした。
著者名:Qiancheng X, Jian S, Lingling P, et al.
論文名:Coronavirus disease 2019 in pregnancy.
雑誌名:Int J Infect Dis. 2020 Apr 27. pii: S1201-9712(20)30280-0. doi: 10.1016/j.ijid.2020.04.065. [Epub ahead of print]
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7185021/pdf/main.pdf

11.新生児および乳児のCOVID-19に関する知見のレビューです。これまでの最も大規模なCOVID-19症例報告は中国の72,314例ですが、10歳未満は1%で死亡例は報告されていません。なぜ小児が成人に比べてCOVID-19低感受性であるかは明らかではありませんが、ACE2受容体の組織分布やウイルス結合能の相違が関与しているかもしれません。垂直感染や母乳感染リスクは確立されたものではありません。COVID-19感染母体の児から63検体採取され、4検体でウイルス陽性であったと報告されていますが、母乳中にウイルスが証明された報告はありません。帝王切開による分娩が感染リスクを低減させるデータもありません。生後6か月までにCOVID-19が確認された症例で集中治療を要した報告はありませんが、新生児、乳児がハイリスク集団であるかどうかに引き続き注意が必要です。
著者名:De Rose DU, Piersigilli F, Ronchetti MP, et al.
論文名:Novel Coronavirus disease (COVID-19) in newborns and infants: what we know so far.
雑誌名:Ital J Pediatr. 2020 Apr 29;46(1):56. doi: 10.1186/s13052-020-0820-x. Review.
URL: https://ijponline.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13052-020-0820-x

12.中国・武漢の小学生の手指衛生とマスク着用の状況を理解するための記述統計の論文です。ロジスティック回帰分析を用いて、手洗いとマスク着用の行動に影響を与えるリスク要因が特定されました。小学生の42.05%は適切な手洗いの行動を示しました。51.60%の小学生は適切にマスクを着用していました。性別、学年、出生歴、父親の職業、母親の学歴、調査への記入時間は、手指衛生に大きく関連していました。学年、母親の学歴、居住は、マスク着用に関連していました。小学生の手洗いとマスク着用の行動は、性別、学年が友人やその他の要因に影響を与えたため、親は手洗いとマスク着用指導を行う努力を行い、国も適切な指導を行う必要があります。
著者名:Chen X, Ran L, Liu Q, et al.
論文名:Hand Hygiene, Mask-Wearing Behaviors and Its Associated Factors during the COVID-19 Epidemic: A Cross-Sectional Study among Primary School Students in Wuhan, China.
雑誌名:Int J Environ Res Public Health. 2020 Apr 22;17(8). pii: E2893. doi: 10.3390/ijerph17082893.
URL: https://www.mdpi.com/1660-4601/17/8/2893

13.小児のCOVID-19 肺炎における末梢血リンパ球サブセットと血清サイトカインを解析した論文で、RSV感染児が対照となっています。COVID肺炎40例とRSV肺炎16例が比較されています。RSV肺炎例よりCOVID肺炎例がCD3 + 8 +T細胞数および割合が多く、CD19 +B細胞の割合は少なかったとの結果です。血清IL-10レベルはRSV肺炎例で有意に高かったとしています。IL-10の明らかな増加があったCOVID肺炎1例が重度の肺炎でした。CD8 + T細胞応答は、COVID-19肺炎の重症度に影響を与える可能性があります。 IL-10値の推移は、軽症の肺炎症状と相関している可能性があり、細菌の共感染は重症肺炎のリスクとなります。
著者名:Li H, Chen K, Liu M, et al.
論文名:The profile of peripheral blood lymphocyte subsets and serum cytokines in children with 2019 novel coronavirus pneumonia.
雑誌名:J Infect. 2020 Apr 20. pii: S0163-4453(20)30207-3. doi: 10.1016/j.jinf.2020.04.001. [Epub ahead of print]
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7169899/

14.COVID-19に対する治療法の臨床試験は急速に進んでいますが、小児が含まれる試験はほとんどないのが現状です。この論文は、臨床試験における小児試験の位置づけについて欧米の制度をレビューしています。欧米では、この10年間に臨床試験における小児試験の組み入れを目的とした制度が整備されました。米国のPediatric Research Equity Actは、米国食品医薬品局(FDA)に、承認された製品への新しい適応症追加だけでなく、新薬や生物製剤の小児試験を要求しています。さらに、Best Pharmaceuticals for Children Actは、FDAから要求された小児試験を自発的に実施する企業に金銭的インセンティブ(さらに6か月間の市場独占権)を付与し、NIHに小児の主要な治療ニーズを特定するように指示しています。欧州連合では、同様に小児の試験を要求し、試験が完了すると6か月の特許保護の延長を認めています。規制当局、公衆衛生局、治験責任医師および企業は、小児におけるCOVID-19の臨床試験および新製品の市場参入に関する小児のラベル付けを確保するために行動する必要があります。まず、NIHはBest Pharmaceuticals for Children Actに基づく権限を使用して、COVID-19療法を小児研究の優先度の高いものとして指定し、進行中の成人での適応試験でも、すべての年齢を含むように提言を出してほしいとしています。第2に、現在成人のみの試験に青年を登録するよう企業に奨励することに加えて、FDAは法に基づき、進行中の試験に小児と成人を同時に登録することにより、小児試験をタイムリーに開始できるようにする必要があります。 さらにFDAとEuropean Medicines Agencyも非効率と重複を減らすために、小児科の研究要件を調整する必要があります。第3に、研究センターとして多施設試験に参加する機関は、企業と協力して、可能な限り小児患者の登録を擁護する必要があります。第4に、これらの事項は、集団スクリーニングと血清調査、感染性研究、ワクチン試験など、他のCOVID-19研究に小児を含めることの重要性も支持しています。
著者名:Hwang TJ, Randolph AG, Bourgeois FT.
論文名:Inclusion of Children in Clinical Trials of Treatments for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19).
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 May 7. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1888.
URL:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2765830?utm_campaign=articlePDF%26utm_medium%3darticlePDFlink%26utm_source%3darticlePDF%26utm_content%3djamapediatrics.2020.1888


【2020年5月7日 掲載】
1.イタリアの小児救急外来でPCRにより診断された小児患者100例のコホート研究です。年齢中央値は3.3歳で、感染源が不明あるいは家族以外であった例は55%を占めていました。重症感のある小児は12%を占め、37.6℃以上の体温を54%に認め、咳を44%に認めました。また摂食不良を23%に認め、多くは21か月以下の乳幼児でした。酸素飽和度が95%未満だった患者は4%で、これらの例は肺病変を認めました。呼吸補助を要した9例のうち6例は基礎疾患のある患者でした。全体として21%は無症状、58%は軽症、19%は中等症、1%は重症(severe)、1%は危篤(critical)でしたが、死亡例はありませんでした。
著者名:Parri N, Lenge M, Buonsenso D;Coronavirus Infection in Pediatric Emergency Departments (CONFIDENCE) Research Group.
論文名:Children with Covid-19 in Pediatric Emergency Departments in Italy [published online ahead of print, 2020 May 1]. 
雑誌名:N Engl J Med. 2020;10.1056/NEJMc2007617. doi:10.1056/NEJMc2007617
URL:https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2007617

2.フランスにおける生後3か月未満児の鼻咽頭SARS-CoV-2 PCR検査陽性5例の報告です。全例が男児で発熱を認めましたが、呼吸器症状を伴わなかったと報告されています。4例に筋緊張低下や、ぐったりし呻吟するなど中枢神経系の異常を示唆する所見がありましたが、髄液所見は正常で髄液のPCRは陰性でした。経過は良好で1–3日で軽快退院し、その後2週間のフォロー中の経過も良好でした。
著者名:Nathan N, Prevost B, Corvol H. Nathan N, et al.
論文名:Atypical presentation of COVID-19 in young infants.
雑誌名:Lancet. 2020 Apr 27:S0140-6736(20)30980-6. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30980-6. Online ahead of print.Lancet. 2020.PMID: 32353326
URL: https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lancet/PIIS0140-6736(20)30980-6.pdf

3.武漢と上海における流行期前後の接触者調査の分析報告です。強力な行動制限を行った結果、日常的な接触機会は7-8分の1に減少し、家庭内接触に限定されました。小児(0-14歳)が感染する割合は成人(15-64歳)と比べて低く(オッズ比0.34, 95%CI 0.24-0.49)、65歳以上の人は成人(15-64歳)と比べて高いことが示されました(オッズ比 1.47, 95%CI: 1.12-1.92). このデータに基づいて、Social distancingと学校閉鎖単独の効果を検討しています。中国で実施したような強力なsocial distancingによりCOVID19の制御が可能であることが確認されました。その一方で、学校閉鎖単独では流行極期のピークを4-6割下げて遅らせる事が可能でしたが感染伝播を制御することは出来ない事が示されました。
著者名:Zhang J, Litvinova M, Liang Y, Wang Y, Wang W, Zhao S, Wu Q, Merler S, Viboud C, Vespignani A, Ajelli M, Yu H.Zhang J, et al.
論文名:Changes in contact patterns shape the dynamics of the COVID-19 outbreak in China.
雑誌名: Science. 2020 Apr 29:eabb8001. doi: 10.1126/science.abb8001. Online ahead of print. Science. 2020.PMID: 32350060
URL:https://science.sciencemag.org/content/early/2020/04/28/science.abb8001/tab-pdf

4.症例報告。米国で川崎病と診断されて入院した6か月女児です。発熱と僅かな気道症状のため、SARS-CoV-2のスクリーニング検査を実施し、陽性となっています。川崎病に対する治療ガイドラインどおりにγグロブリンとアスピリンが投与され、症状は軽快しています。最初の心臓超音波検査は正常で、γグロブリン投与終了から48時間以内に退院し、PCR陽性判明から14日間の自宅隔離が指示されました。有熱乳児に対するSARS-CoV-2検査適応の検討のためにも、小児COVID-19の病像と川崎病との関連性について、さらなる研究が必要です。
著者名:Jones VG, Mills M, Mathew R, et al.
論文名:COVID-19 and Kawasaki Disease: Novel Virus and Novel Case.
雑誌名:Hosp Pediatr. 2020 Apr 7. pii: hpeds.2020-0123. doi: 10.1542/hpeds.2020-0123.
URL:https://hosppeds.aappublications.org/content/hosppeds/early/2020/04/06/hpeds.2020-0123.full.pdf

5.COVID-19流行が先行した中国からは感染妊婦の分娩法として帝王切開が多く選択されたのに対して、経腟分娩も行った場合の出生児へ影響に関するイタリアからの後方視的検討です。SARS-CoV-2が陽性であった妊婦42例中、24例(57.1%)が経腟分娩となりました。妊婦はサージカルマスクが着用され、スタッフは厳重なPPEを装着しました。早産児2名を除いて、出生した児の5分Apgarスコアは7点以上でした。授乳が許可されていた母親10名中、2名の母親は分娩後に感染が判明したため、サージカルマスクを着用せずに授乳されていました。その児1名はSARS-CoV-2が陽性となって、出生後の水平感染が考えられました。経腟分娩で出生して母親から隔離されて授乳はされていない児1名が、出生3日後に呼吸症状を呈してSARS-CoV-2が陽性でした。この児は、分娩時に感染が生じた恐れがあります。ほかの出生児や医療スタッフは、すべて陰性でした。
著者名:Ferrazzi E, Frigerio L, Savasi V, et al.
論文名:Vaginal delivery in SARS-CoV-2 infected pregnant women in Northern Italy: a retrospective analysis.
雑誌名:BJOG. 2020 Apr 27. doi: 10.1111/1471-0528.16278.
URL:https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/1471-0528.16278

6.ドイツ国内の小児透析ユニットにおける院内感染の報告です。48症例(28医療従事者、13患者、7同行者)が調査対象となり、鼻咽頭スワブ検体を用いたsingle-step real-time RT-PCR検査が診断に用いられました。9例の接触者で、COVID-19感染症を発症して検査陽性が確認されました。2例では、SARS-CoV-2陽性であっても不顕性でした。11例ではRT-PCR検査陰性でしたが、感冒様症状を認めました。COVID-19の典型的症状を示している症例では、有意にCt値低値を示し(p=0.007)、より多いウイルス排泄を示唆していました。COVID-19の院内アウトブレイクを防止するためにも、SARS-CoV-2陽性の医療従事者をモニタリングする戦略の必要性が示されました。
著者名:Schwierzeck V, König JC, S.Schwierzeck V, et al.
論文名:First reported nosocomial outbreak of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) in a pediatric dialysis unit.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 27:ciaa491. doi: 10.1093/cid/ciaa491.
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32337584/

7.免疫不全患者におけるCOVID-19の系統的レビューです。文献16件で報告された110例の免疫不全患者をまとめ報告しています。がん患者98名中62 例は集中治療を要せず回復、5例は集中治療後に回復、5例は集中治療後に死亡、22例は詳細不明の死亡例でした。臓器移植後の患者7例中5例は回復し、1例は集中治療を要し、1例は死亡しています。小児患者の報告は少なく、白血病の1例と肝移植後の3例のみでしたが、それぞれ軽症にとどまっています。
著者名:Minotti C, Tirelli F, Barbieri E, Giaquinto C, Donà D.Minotti C, et al.
論文名:How is immunosuppressive status affecting children and adults in SARS-CoV-2 infection? A systematic review.
雑誌名:J Infect. 2020 Apr 23:S0163-4453(20)30237-1.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0163445320302371?via%3Dihub

8.COVID-19流行期における、小児期・思春期の気管支喘息治療についての総説です。成人データでは、気管支喘息はCOVID-19の増悪死亡リスク要因とされていますが、小児では不明です。COVID-19流行期においては、気管支喘息の現行治療を継続し、人との距離を保ち、手洗いを励行し、アレルゲンを避けるようにすべきです。気管支喘息発作悪化時には、経口ステロイドも考慮すべきです。ウイルス伝播の危険性のため、この時期のネブライザー治療は推奨されません。医療従事者は、治療ポリシーや推奨の変更について、注意深くあるべきです。
著者名:Abrams EM, Szefler SJ, Abrams EM, et al.
論文名:Managing Asthma during COVID-19: An Example for Other Chronic Conditions in Children and Adolescents.
雑誌名:J Pediatr. 2020 Apr 21:S0022-3476(20)30528-X. doi: 10.1016/j.jpeds.2020.04.049.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32330469/

9.イタリアにおけるCOVID-19流行期に認められた凍瘡様皮膚病変を認めた症例に関する報告です。イタリアの小児科医と皮膚科医を対象にオンライン調査を行い、5日間で63例の報告を得ています。男女比に差はなく(57.4% 女性、47.6% 男性)、年齢の中央値は14歳(IQR: 12-16)でした。所見は足のみの症例が多く(85.7%)、次いで足と手両方(7%)、手のみ(6%)にみとめられました。54例の写真が確認され31/54 例は浮腫性の紅斑、23/54 例は水疱性病変を認めています。疼痛と掻痒感は それぞれ27%に認められ、両方を訴えたのは20.6%。症状出現から診断まで平均10日で14.3%は反復性であった。消化器症状が11.1%に認められた(症状持続期間中央値: 7 日 IQR 1-9), 呼吸器症状 (7.9%) (症状持続期間中央値: 7日 IQR 3-10), 発熱(4.8%) (症状持続期間中央値: 4日 IQR 3-8,5 )を認めていますが、多くは皮膚症状に先行しています。 COVID-19 の診断検査は11例に行われ2 例のみ陽性で、血清学的な診断は6例中2例で陽性でした。
著者名:Piccolo V, Neri I, Filippeschi C, Oranges T, Argenziano G, Battarra VC, Berti S, Manunza F, Belloni Fortina A, Di Lernia V, Boccaletti V, De Bernardis G, Brunetti B, Mazzatenta C, Bassi A.Piccolo V, et al.
論文名:Chilblain-like lesions during COVID-19 epidemic: a preliminary study on 63 patients.
雑誌名:J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020 Apr 24. doi: 10.1111/jdv.16526. Online ahead of print.J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020.PMID: 32330334
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/jdv.16526

10.新型コロナウイルス流行に際しての、小児の家庭内“監禁”(外出制限)による精神衛生状態に対する影響について、中国湖北省からの報告です。武漢では、2020年1月23日から最長4月8日まで、家への滞在が課せられました。そのうち、計2,330名の小学校2-6年生が調査対象となりました(回答率77%)。制限期間は中央値34日、23%で抑うつ、19%で不安の徴候を示していました。COVID-19流行期に、屋外活動や社会的交流が減少することは、子どもの抑うつ傾向と関連がありました。この研究の限界として、この傾向がどれだけ持続するかが検討されていないことです。今後もフォローアップを継続し、知見をより深めていきます。
著者名:Xie X, Xue Q, Xie X, et al.
論文名:Mental Health Status Among Children in Home Confinement During the Coronavirus Disease 2019 Outbreak in Hubei Province, China.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Apr 24. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1619.
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32329784/

11.世界中のCOVID-19による子どもたちの療育施設が閉鎖されている状況に対する、施設ケア改革に関する国際的な専門家の見解です。施設から家族ベースのケアへの移行が優先事項となりますが、これらの移行は慎重に計画および管理される必要性を強調しています。
 対策として、運用を継続する機関は公衆衛生ガイドラインに従い、身体的距離の確保、感染兆候、適切な衛生対策に関する教育を含んだ、子どもと介護者の安全と保護を確保するために必要なガイダンスとサポートを備えている必要があります。次に、施設を離れた子どもと施設に残っている子どもに関する記録を維持する必要があります。配置を監視するためのシステムを導入する必要があります。必要に応じて、処方された治療法や薬物療法を継続する必要があります。少なくとも電話で定期的に監視できない場合は、子どもたちを施設から解放するべきではありません。最後に、公衆衛生対策が解除された後、これらの子どもたちのケアと保護に関する計画を直ちに開始する必要があります。
 COVID-19の結果として、また貧困、死亡率、健康状態の悪化、家族のストレス、家庭内暴力、その他の理由により、多くの子供たちが家族から見捨てられ、離されたりすることが懸念されます。パンデミックの後には、孤児やホームレスになった子どもを含む子どもたちに対する、家族ベースおよびコミュニティベースのプログラムとサービスのサポートに集中するように要請します。
著者名:Goldman PS, van Ijzendoorn MH, Sonuga-Barke EJS, et al.
論文名:The implications of COVID-19 for the care of children living in residential institutions.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 Apr 21:S2352-4642(20)30130-9. doi: 10.1016/S2352-4642(20)30130-9.
URL:https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30130-9/fulltext

12.2020年4月19日までに検索された周産期領域のCOVID-19に関する論文のシステマティクレビューです。33の論文が選択されて、385名のCOVID-19妊婦と児が報告されています。妊婦のほとんどが軽症で、重症例は3.6%、重篤例は0.8%でした。分娩となった妊婦252名中、69.4%が帝王切開、30.6%が経腟分娩でした。出生した児256名中、早産15.2%、低出生体重7.8%、人工換気療法1.2%、RDS4.7%、肺炎1.2%、DIC1.2%でした。重篤な妊婦から死産児2名、早産児1名が早期新生児死亡でした。PCR陽性であった新生児4名(帝王切開出生)は、すべて軽症で退院できました。母乳栄養の29名が報告され、26例の母乳のPCRはすべて陰性でした。COVID-19の妊婦は非妊娠成人と概ね変わらない症状と重症度であり、母児の予後は悪いものではないと示唆されます。
著者名:Elshafeey F, Magdi R, Hindi N, et al.
論文名:A systematic scoping review of COVID-19 during pregnancy and childbirth.
雑誌名:Int J Gynaecol Obstet. 2020 Apr 24. doi: 10.1002/ijgo.13182.
URL:https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ijgo.13182

13.2020年3月18日までに発表された周産期領域のCOVID-19に関する論文のレビューです。5つの質問を想定して、見解を述べています。
1)妊娠中にSARS-CoV-2は垂直感染を起こすか?
 妊娠後期に垂直感染は生じないか、あっても極めてまれです。胎児奇形、胎児発育不全、初期の胎児死亡や流産、切迫早産の原因となるかは、不明のままです。
2)妊娠は重症SARS-CoV-2感染の危険が高いか?
 妊娠自体がCOVID-19陽性者の重症化因子であるとの結論を出すことはできません。しかし、糖尿病、心不全、高血圧の合併は、非妊娠成人と同様に妊婦にとって危険因子となるかもしれません。
3)COVID-19感染は分娩時の危険を増大させるか?
 胎児ジストレス、羊水混濁、早産、新生児仮死など分娩のリスクや帝王切開の適応を回答するには、まだ情報が少ない状態です。
4)新生児へのCOVID-19感染リスクは?
 情報がまだ十分でないため新生児への感染リスクや重症度について回答することはできません。
5)SARS-CoV-2は母乳によって伝播するか?
 母乳にウイルスが分泌されるかどうか、解析サンプル数が少ないため言及できません。
著者名:Mimouni F, Lakshminrusimha S, Pearlman SA, et al.
論文名:Perinatal aspects on the covid-19 pandemic: a practical resource for perinatal-neonatal specialists.
雑誌名:J Perinatol. 2020 May;40(5):820-826. doi: 10.1038/s41372-020-0665-6.
URL:https://www.nature.com/articles/s41372-020-0665-6


【2020年4月28日 掲載】
1.2019年12月~2020年3月の期間に発表された小児のCOVID-19感染症に関する18の論文のシステマティック・レビューです。中国からの報告が17編、シンガポールからの報告が1編。患者数は1065人(うち0~9歳 444人)。臨床症状は、発熱、乾性咳嗽、全身倦怠感、嘔吐、下痢などの消化器症状が主体で発症後1~2週間以内に改善しています。0~9歳の小児で集中治療を要した症例は、重症肺炎・ショック・急性腎不全の1歳児1例のみで、死亡例はありませんでした。
著者名:Castagnoli R, Votto M, Licari A, et al.
論文名:Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Infection in Children and Adolescents: A Systematic Review.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Apr 22. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1467.
URL: https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2765169

2.中国、武漢における家族内感染に関する検討です。105人の初発患者と392人の患者家族をフォローアップし、家族内感染は16.3%で認められましたが、成人17.1%に比べ、小児は4%と少なかったことが示されています。初発患者の臨床症状や発症から入院までの期間は、2次感染率に影響はありませんでしたが、初発患者が症状出現時から隔離されていた場合(マスクを着用する・食事を一緒にとらない・別室で過ごす)、2次感染者は0%でした。
著者名:Li W, Zhang B, Lu J, et al.
論文名:The characteristics of household transmission of COVID-19.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 17. pii: ciaa450. doi: 10.1093/cid/ciaa450
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa450/5821281

3.香港において、COVID-19感染症流行時の行動変容がCOVID-19とインフルエンザの流行にどのような影響を与えたかを、既存のインフルエンザ様疾患サーベイランスシステムと電話による3回のサーベイ(成人に対する感染症予防対策や行動変容の状況確認)を用いて検討した報告です。COVID-19とインフルエンザの感染力については、日毎の実効再生産数(Rt)から推計しています。学校閉鎖前後で比較すると、COVID-19に関しては、Rt 1前後で推移していました。一方、インフルエンザに関しては、44%低下していました(Rt 1.28→0.77)。電話によるサーベイでは、マスク着用や人込みを避けるなどの対策をとる人が段階的に増えていました。学校閉鎖は、インフルエンザの感染伝播抑制には有効と考えられますが、COVID-19に関しては、現状明確にはなっていません。
著者名:Cowling BJ, Ali ST, Ng TWY, et al.
論文名:Impact assessment of non-pharmaceutical interventions against coronavirus disease 2019 and influenza in Hong Kong: an observational study.
雑誌名:.Lancet Public Health. 2020 Apr 17. pii: S2468-2667(20)30090-6. doi: 10.1016/S2468-2667(20)30090-6.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2468266720300906?via%3Dihub

4.2020年3月16日現在で、世界25か国(日本も含まれる)において、治療中の小児がん患者約10,000人のCOVID-19の頻度と重症度を、インターネットのサーベイランスで明らかにした研究です。約200名にCOVID-19の検査が行われ、9例が陽性。8例が無症状か軽症で、1例は診断のみで精細不明です。今回の報告では、小児がん患者での重症化のリスクは見られませんでしたが、注意は必要と結論づけています。限界としては、調査方法、症例数、施設数など、更なるこの患者層での症例の集積が必要な点が挙げられます。
著者名:Hrusak O, Kalina T, Wolf J, et al.
論文名:Flash survey on severe acute respiratory syndrome coronavirus-2 infections in paediatric patients on anticancer treatment.
雑誌名:Eur J Cancer. 2020 Apr 7;132:11-16. doi: 10.1016/j.ejca.2020.03.021.
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959804920301623?via%3Dihub

5.COVID-19の流行する現在における北米小児消化器・肝臓・栄養学会が示した内視鏡検査の指針です。検査は、感染のリスクが高いため、PPEを装着、陰圧室で、空気・飛沫・接触感染対策を行いながら行う必要があります。検査を実施するかは、リスク・ベネフィットをよく考えて実施する必要があります。
著者名:Walsh CM, Fishman DS, et al.
論文名:Pediatric Endoscopy in the Era of Coronavirus Disease 2019: A North American Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology, and Nutrition Position Paper.
雑誌名: J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2020 Apr 14. doi: 10.1097/MPG.0000000000002750.
URL: https://journals.lww.com/jpgn/Abstract/9000/Pediatric_Endoscopy_in_the_Era_of_Coronavirus.96102.aspx

6.COVID-19流行中のNYにおいて、生後25、56日の発熱のみでその他症状を欠く2例の乳児入院例についての症例報告です。侵襲性細菌感染症否定のため各種細菌培養、マルチプレックスPCRによる中枢神経感染症パネル検査も実施、抗菌薬も投与されました。その後の経過は良好で、唯一SARS-CoV-2のみが咽頭から検出されました。流行地域では本症例のような発熱のみの新生児例があることを念頭に診療にあたる必要があることを示しています。
著者名:Paret M, Lighter J, Pellett Madan R, Raabe VN, Shust GF, Ratner AJ.
論文名:SARS-CoV-2 infection (COVID-19) in febrile infants without respiratory distress.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 17. pii: ciaa452. doi: 10.1093/cid/ciaa452.
URL: https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa452/5821305

7.北米18施設の小児感染症専門医、薬剤師からの小児COVID-19に対する抗ウイルス療法についてのエキスパートオピニオンです。小児においてはほとんどが軽症例のため、保存的治療のみが推奨されています。ただし、一部の人工呼吸管理を要するような重症例にのみ、個々の症例でリスクべネフィットを勘案して抗ウイルス薬の投与を決定するとしています。さらにもし使用するとすると、現時点ではレムデシベルを第一に推奨し、レムデシベルが使用できない場合はヒドロキシクロロキン使用を推奨しています。ただし、抗ウイルス療法については、臨床試験の枠組みで実施されるのが望ましいとも記されています。
著者名:Chiotos K, Hayes M, Kimberlin DW, et al.
論文名:Multicenter initial guidance on use of antivirals for children with COVID-19/SARS-CoV-2.
雑誌名:J Pediatric Infect Dis Soc. 2020 Apr 22. pii: piaa045. doi: 10.1093/jpids/piaa045.
URL: https://academic.oup.com/jpids/advance-article/doi/10.1093/jpids/piaa045/5823622

8.従来型の4種のコロナウイルス(229E, HKU-1, NL63, OC43)と、新型の3種のコロナウイルス(SARS-CoV, MERS-CoV, SARS-CoV-2)の、小児における感染の違いについて概説しています。ヒトコロナウイルスは呼吸器と消化管に感染し、臨床病型は、上気道炎から気管支炎、肺炎、ARDS、MOFまで幅広い臨床像を示します。一般に、新型のコロナウイルス感染症は、成人に比較すると小児では少なく、症状に乏しく、重症例は少なく、死亡率は低いとされています。予備的な検討では、SARS-CoV-2の小児への感染率は成人と変わりませんが、症候性になることや、重症化することは少ないとされています。SARS-CoV-2の伝搬への小児の関与については不明です。さらに、3種の新型コロナウイルスの小児における感染はほとんどが家庭内の接触感染です。
著者名:Zimmermann P, Curtis N.
論文名:Coronavirus Infections in Children Including COVID-19: An Overview of the Epidemiology, Clinical Features, Diagnosis, Treatment and Prevention Options in Children.
雑誌名:Pediatr Infect Dis J. 2020 May;39(5):355-368. doi: 10.1097/INF.0000000000002660.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7158880/

9.フランスアルプス地域でのCOVID-19の2次感染の報告です。ホテルに滞在していた英国人旅行者が4日間のホテル滞在中に、13名の大人と3名の小児と濃厚接触し、その後、計12名が感染しました(感染率は75%)。感染者の内の1名が9歳の子どもで、ピコルナウイルスとインフルエンザAとの共感染がありました。症状のある間、3つの異なる学校とスキー学校に通いましたが、接触した112名には、感染は認められませんでした。一方で、学校では、インフルエンザは23%、ピコルナウイルスは12%の子どもに感染が広がっており、COVID-19の感染は、他のウイルスと比べて広がりにくく、子どもでの伝播の動態は異なることが示唆されました。
著者名: Danis K, Epaulard O, Benet T, et al.
論文名: Cluster of coronavirus disease 2019 (Covid-19) in the French Alps, 2020
雑誌名: Clin Infect Dis. 2020 Apr 11;ciaa424. doi: 10.1093/cid/ciaa424.
URL: https://academic.oup.com/cid/article-lookup/doi/10.1093/cid/ciaa424


【2020年4月21日 掲載】
1.日齢27のCOVID-19新生児におけるウイルス量の経時的変化の報告です。SARS-CoV-2に感染した新生児の報告は少なく、ウイルス量の変化を経事的に追跡した最初の報告です。児には発熱、頻脈、嘔吐、咳嗽、鼻閉がありましたが、酸素投与の必要はなく、検査所見にも特筆すべきものはありませんでした。鼻咽頭から最も多量のSARS-CoV-2 RNAが検出され、経時的に減少しましたが、便は発症18日以降も高いレベルのウイルス量が持続しました。症状が軽い母親から鼻咽頭、喀痰、便から低量のウイルスが検出されたのに対して、児からはその他に血漿、唾液、尿からも検出されており、新生児ではウイルス感染が全身に渡っている可能性があります。
著者名:Han MS, Seong MW, Heo EY, et al.
論文名:Sequential analysis of viral load in a neonate and her mother infected with SARS-CoV-2.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 16. pii: ciaa447. doi: 10.1093/cid/ciaa447.
URL:https://academic.oup.com/cid/article/doi/10.1093/cid/ciaa447/5820869

2.COVID-19の高リスク者(主に最近リスクの高い国に旅行したかまたは感染者と接触した症状のある人)のSARS-CoV-2検査、さらに公開招待とランダムサンプルのポピュレーションスクリーニングの2段階の疫学調査を行った、全人口の6%を対象としたアイスランドからの報告です。高リスク者で1221人(13.3%)、公開招待で87人(0.8%)、ランダムサンプルで13人(0.6%)がSARS-CoV-2陽性でした。さらに643サンプルを対象にSARS-CoV-2の分子疫学的解析が行われ、渡航先によりハプロタイプが多様で、時間とともに変化していくことも示されています。このアイスランドの人口ベースの研究では、10歳未満の小児と女性は、青年または成人と男性と比較してSARS-CoV-2感染率が低いことが示されています。
著者名:Gudbjartsson DF, Helgason A, Jonsson H, et al.
論文名:Spread of SARS-CoV-2 in the Icelandic Population.
雑誌名:N Engl J Med. 2020 Apr 14. doi: 10.1056/NEJMoa2006100.
URL:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2006100?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed

3.COVID-19の妊婦19人(9人は臨床的に、10人は咽頭のSARS-CoV-2 RT-PCR陽性により診断)から出生した19人の新生児の検討です。18例は帝王切開、1例は経膣分娩で出産。分娩後はすぐに、母親と分離し少なくとも14日間、母子分離を続けられています。新生児の咽頭ぬぐい液、尿、便は、いずれもPCR(-)で、羊水も全てPCR(-)でした。児の血中のウイルス抗体価の測定は行われていませんが、児の感染徴候は認めず、母親の初乳(n=10)もPCR(-)でした。垂直感染があるのかないのかまだはっきりしませんが、これらの結果は垂直感染が発生しない可能性を支持しています。また初乳にもウイルスが検出されないことが再確認されるデータです。
著者名:Liu W, Wang J, Li W, Zhou Z, Liu S, Rong Z.
論文名:Clinical characteristics of 19 neonates born to mothers with COVID-19.
雑誌名:Front Med. 2020 Apr 13. doi: 10.1007/s11684-020-0772-y.
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s11684-020-0772-y

4.2020年2月27日に最初のCOVID-19の症例が報告されたCalifornia州Santa Clara地域において、3月5〜14日の間に行った監視サーベイランスの結果の報告です。発熱、咳嗽、息切れなどの症状で外来を受診した患者で、COVID-19であるリスクを持ってない226症例の23%はインフルエンザ検査が陽性でしたが、インフルエンザ陰性患者の11%がSARS-CoV-2 PCR陽性でした。このことはこの地域にはcommunity transmissionがある事を示しています。限定された地域のデータですが、現在の我々の状況を示唆していると思われます。
著者名:Zwald ML, Lin W, Sondermeyer Cooksey GL, et al.
論文名:Rapid Sentinel Surveillance for COVID-19 - Santa Clara County, California, March 2020.
雑誌名:MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020 Apr 10;69(14):419-421. doi: 10.15585/mmwr.mm6914e3.
URL:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6914e3.htm?s_cid=mm6914e3_w

5.この論文は小児科領域のものではありませんが、COVID-19から回復した成人患者の血中には、SARS-CoV-2に特異的な中和抗体が誘導されていることを実証した論文です。抗血清(あるいは抗体(単クローン抗体など))が治療薬となる可能性を示していると思います。若年者の中和抗体力価が高齢者と中年の患者よりも有意に低いこと、175人のうち10人が検出可能レベル以下であった点で、小児患者での検討が待たれます。
著者名: Wu F, Wang A, Liu M, et al.
論文名:Neutralizing antibody responses to SARS-CoV-2 in a COVID-19 recovered patient cohort and their implications.
雑誌名:medRxiv. doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.30.20047365
URL:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.30.20047365v1

6.この論文の対象は主に成人ですが、SARS-CoV-2 と他のウイルスが重複感染しているケースがある事が明確に示されています。1206人の患者から得た、1217のサンプルについてSARS-CoV-2と他の呼吸器感染の原因ウイルスの有無を調べ、116サンプル(9.5%)がSARS-CoV-2陽性で、そのうちの20.7%においてSARS-CoV-2以外の一つあるいはそれ以上のウイルスが陽性であったと書かれています。もっとも多かったのはrhinovirus/enterovirusの重複感染(6.9%) 、次がRS virus(5.2%)、SARS-CoV-2以外のコロナウイルス (4.3%)でした。
著者名:Kim D, Quinn J, Pinsky B, et al.
論文名:Rates of co-infection between SARS-CoV-2 and other respiratory pathogens.
雑誌名:JAMA. Published online April 15, 2020. doi:10.1001/jama.2020.6266
URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2764787

7.免疫抑制剤が必要なリウマチ性などの免疫疾患患者はCOVID-19の重症化のリスクがあると考えられています。しかし、そもそも小児では重症例が少ないですし、抗リウマチ薬はCOVID-19の治療薬として用いられる可能性があります。いわゆる自己免疫疾患の小児がCOVID-19を罹患しても重篤になるわけではないかもしれないという意見は、免疫不全の患者を診療している小児科医には価値のある情報かもしれません。この論文は各種の抗リウマチ薬ごとに記載された総説です。
著者名:Haşlak F, Yıldız M, Adrovic A, Barut K, Kasapçopur Ö.
論文名:Childhood rheumatic diseases and COVID-19 pandemic: An intriguing linkage and a new horizon.
雑誌名:Balkan Med J. 2020 Apr 8. doi:10.4274/balkanmedj.galenos.2020.2020.4.43.
URL:http://balkanmedicaljournal.org/uploads/pdf/pdf_BMJ_2199.pdf

8.COVID-19の蔓延を防ぐために学校閉鎖がなされていますが、それは、多くの代償を伴います。この論文は学校閉鎖の有用性について、COVID-19による死亡者数と言う観点から論じています。COVID-19の蔓延を抑制するための手段として学校閉鎖を行う事はその他のsocial distanceと比べて効果は低く、その一方で、医療従事者も子供の世話する事を強いられるため、本来の医療の仕事をする時間を減少しなければならなくなると言う事実があります。そのことによる医療資源の損失が、COVID-19による死亡数の増加に繋がる可能性を示しています。学校閉鎖は長期にわたることが問題と思われます。
著者名:Bayham J, Fenichel EP.
論文名:Impact of school closures for COVID-19 on the US health-care workforce and net mortality: a modelling study.
雑誌名:Lancet Public Health. 2020 Apr 3. pii: S2468-2667(20)30082-7. doi: 10.1016/S2468-2667(20)30082-7.
URL:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lanpub/PIIS2468-2667(20)30082-7.pdf

以下は類似のテーマの総説です。
著者名:Viner RM, Russell SJ, Croker H, et al.
論文名:School closure and management practices during coronavirus outbreaks including COVID-19: a rapid systematic review.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 Apr 6. pii: S2352-4642(20)30095-X. doi: 10.1016/S2352-4642(20)30095-X.
URL:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lanchi/PIIS2352-4642(20)30095-X.pdf

9.呼吸器症状を全く認めない乳児COVID-19のNew Yorkからの症例報告です。症例1(生後25日), 症例2(生後56日)の乳児が、それぞれ38.5℃、38.2℃の発熱があり病院を受診。呼吸器症状は認めていません。2例とも各種の病原体検査は陰性で、SARS-CoV-2のPCRのみ陽性と判明しています。症例1の両親は2日前に咽頭痛と発熱を認めたが、病院を受診せず。症例2の両親と兄弟は感染を疑わせる症状も既往歴(含旅行歴)もありませんでした。2症例とも、発熱以外の症状はなく、退院して自宅で様子をみる事となっています。発熱のある乳幼児においては、呼吸器症状がなくともSARS-CoV-2のPCR検査をルーチン検査に組み込むべきであるという議論がなされています。
著者名:Paret M, Lighter J, Pellett Madan R, Raabe VN, Shust GF, Ratner AJ.
論文名:SARS-CoV-2 infection (COVID-19) in febrile infants without respiratory distress.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Apr 17. pii: ciaa452. doi: 10.1093/cid/ciaa452.
URL:https://academic.oup.com/cid/article/doi/10.1093/cid/ciaa452/5821305


【2020年4月15日 掲載】
1.両親がCOVID-19に罹患した入院時無症状で入院2日目に38.5℃の発熱のみがみられた乳児での検討です。入院時の鼻咽頭ぬぐい液のウイルス量は非常に高値でした。環境サンプルでは、幼児の寝具、ベビーベッドレール、1メートル離れた場所にあるテーブルの全てでSARS-CoV-2陽性でした。一方、医療従事者のPPE (フェースシールド, N95 マスク, 防水ガウン) は全てSARS-CoV-2陰性でした。おそらく環境から認められたウイルスは授乳時の哺乳瓶のおしゃぶりなどを介したと考えられるため、呼吸器症状のない児であっても医療従事者の手による間接的な接触が原因で環境汚染が生じることが示されました。
著者名:Yung CF, Kam KQ, Wong MSY, et al.
論文名:Environment and Personal Protective Equipment Tests for SARS-CoV-2 in the Isolation Room of an Infant with Infection
雑誌名:Ann Intern Med. 2020 Apr 1. doi: 10.7326/M20-0942.
U R L:https://annals.org/aim/fullarticle/2764249/environment-personal-protective-equipment-tests-sars-cov-2-isolation-room

2.2020年4月2日までに米国のCOVID-19サーベイランスに報告された検査確定例149,760例のうち、年齢が報告されていた149,082例(99.6%)中2,572 例(1.7%)が18歳未満でした。年齢中央値は11歳(範囲0-17歳)、約1/3は15-17歳 (813; 32%)、次いで10-14歳(682; 27%)が多くを占めていました。臨床所見が報告された症例(11%)について18-64歳のグループと比較すると、発熱、咳、その他全ての症状の発症が低頻度でした。入院例も成人と比較して少なく(5.7%–20%)、ICUへの入室の割合も低率でした(0.58%–2.0%)。小児で入院の頻度が最も高かったのは1歳未満児と基礎疾患を有するグループでした。今回の結果は中国などからの報告と同様で小児例は軽症例が多いことを示唆しています。
著者名:CDC COVID-19 Response Team
論文名:Coronavirus Disease 2019 in Children — United States, February 12–April 2, 2020
雑誌名:MMWR Weekly / April 10, 2020 / 69(14);422–426
U R L:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/pdfs/mm6914e4-H.pdf

3.COVID-19小児例に関する2020年3月12日時点での既報告を、疫学的・臨床的観点からレビューしています。著者らは韓国の研究機関に所属し、韓国では2/19報告の家族内感染による10歳女児が初の小児例で、症状は37.3℃の発熱と軽度の喀痰、第4病日の胸部CTですりガラス状陰影を伴う斑状の結節性浸潤影がありましたが、対症療法で軽快しました。韓国では3/11深夜の時点で国内報告7,755例中、75例(1.0%)が10歳未満、405例(5.2%)が10~19歳で、20歳未満の死亡例はありません。
著者名:Choi SH, Kim HW, Kang JM, et al. 
論文名:Epidemiology and Clinical Features of Coronavirus disease 2019 in Children.
雑誌名:Clin Exp Pediatr. 2020 Apr 6.
U R L:https://www.e-cep.org/upload/pdf/cep-2020-00535.pdf

4.COVID-19を含むコロナウイルスのアウトブレイク時に、学校閉鎖が有効かを考察するシステマティックレビューです。SARSやMERSでの有効性は十分に検証されておらず、COVID-19のモデリング研究で死亡者の減少効果は2~3%で、他のsocial distancingに比べて有効率は高くないこと、保護者の職務継続が困難になること、そして高齢者への感染リスクが増すことなどの問題点が指摘されています。小児のCOVID-19では軽症者や無症候者が多く感染源となるリスクが低い可能性もあり、インフルエンザとは異なる点も述べられています。
著者名:Viner RM, Russell SJ, Croker H, et al.
論文名:School closure and management practices during coronavirus outbreaks including COVID-19: a rapid systematic review.
雑誌名:Lancet Child Adolesc Health. 2020 Apr 6. doi: 10.1016/S2352-4642(20)30095-X
U R L:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lanchi/PIIS2352-4642(20)30095-X.pdf

5.武漢市の三次医療施設における後方視的な症例対照研究です。COVID-19肺炎妊婦16例、疑い妊婦(CTで典型的肺炎像を示すもSARS-CoV-2陰性)18例、年齢を合わせた肺炎のない対照妊婦(2020年121例、2019年121例)を比較。母体合併症による早産は、それぞれ3例(18.8%)、3例(16.7%)、7例(5.8%)、6例(5.0%)であり、症例で有意に高率でした。症例から生まれた新生児にはSARS-CoV-2感染や重症合併症はみられませんでした。
著者名:Li N, Han L, Peng M, Lv Y, Ouyang Y, Liu K, Yue L, Li Q, Sun G, Chen L, Yang L.
論文名:Maternal and neonatal outcomes of pregnant women with COVID-19 pneumonia: a case-control study.
雑誌名:Clin Infect Dis. 2020 Mar 30. doi: 10.1093/cid/ciaa352.
U R L:https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa352/5813589

6.マドリードにおけるSARS-CoV-2検査対象者のレジストリーに基づく解析です。小児(18歳未満)365人のうち41例(11.2%)が陽性で、全陽性者に占める割合は0.8%、年齢中央値は1歳(IQR: 0.35-8.3歳)でした。入院例は25例(60%)で、4例(9.7%)がPICUに入室しました。入院率が中国の2.8%より高かった主な理由として、解析対象期間2週間の後半に検査推奨がCOVID-19の症候がある入院児やハイリスクの児のみとなったことによる検査バイアスが挙げられています。
著者名:Tagarro A, Epalza C, Santos M, Sanz-Santaeufemia FJ, Otheo E, Moraleda C, Calvo C.
論文名:Screening and Severity of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in Children in Madrid, Spain.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Apr 8. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1346.
U R L:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2764394

7.COVID-19の疫学的特徴に関するレビューです。小児では、家族内感染が多い、潜伏期が成人よりやや長い、全患者に占める割合が低い(10歳未満、10歳〜20歳未満とも1%)、便中のウイルス排泄が長い傾向がある、垂直感染の直接的証拠はない、などの記載があります。
著者名:Jiatong S, Lanqin L, Wenjun L.
論文名:COVID-19 epidemic: disease characteristics in children.
雑誌名:J Med Virol. 2020 Mar 31. doi: 10.1002/jmv.25807.
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.25807

8.COVID-19罹患妊婦38人とこれらの妊婦から出生した新生児30人に関する中国からの5論文のレビューです。SARSおよびMERSと異なり母体の死亡はみられませんでした。子宮内感染の確定例がみられなかった点はSARSおよびMERSと同様でした。新生児2人で日齢17と生後36時間にそれぞれS ARS-CoV-2陽性が判明していますが、子宮内感染の証拠はなく、出生後の曝露による感染が否定できないとされています。
著者名:Schwartz DA.
論文名:An Analysis of 38 Pregnant Women with COVID-19, Their Newborn Infants, and Maternal-Fetal Transmission of SARS-CoV-2: Maternal Coronavirus Infections and Pregnancy Outcomes.
雑誌名:Arch Pathol Lab Med. 2020 Mar 17. doi: 10.5858/arpa.2020-0901-SA.
U R L:https://www.archivesofpathology.org/doi/pdf/10.5858/arpa.2020-0901-SA


【2020年4月7日 掲載】
1.COVID-19の小児患者3例。症状改善し、2回の咽頭スワブPCR陰性を確認し退院しました。退院10〜13日後のPCRで咽頭スワブは陰性のままでしたが、便は3例とも陽性で再入院しました。症状の再燃や肺画像所見の悪化なく、再入院後10日以内に便PCRも陰性となり退院しました。
著者名:Zhang T, Cui X, Zhao X, et al.
論文名:Detectable SARS-CoV-2 viral RNA in feces of three children during recovery period of COVID-19 pneumonia.
雑誌名:J Med Virol. 2020 Mar 29. doi: 10.1002/jmv.25795.
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.25795

2.ARDS合併成人COVID-19患者5例への血清療法の成績。COVID-19回復期の血清を入院後10-22日の重症例に投与し、4例が投与後3日以内に解熱、全例が12日以内にSOFAスコアやP/F比の改善を認めました。
著者名:Shen C, Wang Z, Zhao F, et al.
論文名:Treatment of 5 critically ill patients with COVID-19 with convalescent plasma.
雑誌名:JAMA. 2020 Mar 27. doi: 10.1001/jama.2020.4783.
U R L:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763983

3.33例のCOVID-19陽性妊婦からの出生児の報告。鼻咽頭・便スワブのPCRは3例が陽性でしたが、生後6-7日で陰性化しました。3例とも肺炎像を認めましたが改善しました。PCR陰性30例には肺炎像を認めませんでした。母体由来のウイルスによるPCR偽陽性の可能性もありますが、垂直感染は除外できません。
著者名:Zeng L, Xia S, Yuan W, et al.
論文名:Neonatal early-onset infection with SARS-CoV-2 in 33 neonates born to mothers with COVID-19 in Wuhan, China.
雑誌名:JAMA Pediatr. 2020 Mar 26. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.0878.
U R L:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2763787


4.COVID-19疑いの成人(22-88歳)の複数回に及ぶ咽頭スワブPCR検査結果。最終的に241/610(39.5%)が陽性になりましたが、初回検査陽性は168/610(27.5%)に留まりました。また17例では陽性→陰性→陽性という経過を辿りました。
著者名:Li Y, Yao L, Li J, et al.
論文名:Stability issues of RT-PCR testing of SARS-CoV-2 for hospitalized patients clinically diagnosed with COVID-19.
雑誌名:J Med Virol. 2020 Mar 26. doi: 10.1002/jmv.25786.
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jmv.25786

5.COVID-19とH1N1のARDS合併成人例での臨床像の違い。COVID-19群(n=73)において乾性咳嗽、倦怠感、胃腸炎症状、胸部CTでのスリガラス影が有意に多く認められ、死亡率はH1N1群(n=75)が有意に高い結果でした。
著者名:Tang X, Du R, Wang R, et al.
論文名:Comparison of hospitalized patients with acute respiratory distress syndrome caused by COVID-19 and H1N1.
雑誌名:Chest. 2020 Mar 26. pii: S0012-3692(20)30558-4. doi: 10.1016/j.chest.2020.03.032.
U R L:https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S0012369220305584?token=343E6EB164B180AB07CA539A339B0C148B3E54162EB461542249C8BA8E72DD93F2238F3831CD163EC6D21557525588A9


6.SARS-CoV1とSARS-CoV2(COVID-19)におけるエアロゾル、環境条件(プラスチック、ステンレス、銅、段ボール)での安定性の比較。基本的な安定性は両者で同様の傾向で、SARS-CoV2においては感染性のある生きたウイルスはエアロゾルで3時間、銅で4時間、ダンボールで24時間、ステンレスやプラスチックでは72時間に渡り検出されました。
著者名:van Doremalen N, Bushmaker T, Morris DH, et al.
論文名:Aerosol and surface stability of SARS-CoV-2 as compared with SARS-CoV-1.
雑誌名:N Engl J Med. 2020 Mar 17. doi: 10.1056/NEJMc2004973.
U R L:https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMc2004973?articleTools=true


〔2020年3月30日 掲載〕
1.COVID-19の疑いがある小児患者の蘇生の際に、どのようにして医療従事者が自らの感染を防ぐことができるのか、CDCの推奨を元にまとめたものです。
著者名:AHA & AAP.
論文名: Interim Guidance for Healthcare Providers Caring forPediatric Patients. March 23, 2020.(2020年3月28日アクセス)
U R L:https://cpr.heart.org/-/media/cpr-files/resources/covid-19-resources-for-cpr-training/interim-guidance-pediatric-patients-march-27-2020.pdf?la=en&hash=00F501EB7F4B5DA66DCE1CFEFF456DF147C1AE63

2.発症後23日のCOVID-19妊婦が、N95マスク装着状態で予定帝王切開により娩出。5回にわたる児の鼻咽頭スワブは全てPCR陰性でしたが、生後2時間の時点での採血でSARS-CoV-2特異IgMが陽性でした。児は健康な状態で退院しましたが、抗体検査の結果から、妊娠末期に胎内感染した可能性が疑われます。
著者名:Dong L, Tian J, He S, et al.
論文名:Possible vertical transmission of SARS-CoV-2 from an infected mother to her newborn.
雑誌名:JAMA. Published online March 26, 2020. doi:10.1001/jama.2020.4621 
U R L:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763853

3.小児COVID-19症例36人の報告。CTで肺炎像があった19人と無症候性または上気道炎の17人を比較して、前者では有意にリンパ球減少、高体温、プロカルシトニン高値、D-dimer高値、CK-MB高値が見られました。
著者名:Qiu H, Wu J, Hong L, et al.
論文名:Clinical and epidemiological features of 36 children with coronavirus disease 2019 (COVID-19) in Zhejiang, China: an observational cohort study.
雑誌名:Lancet Infect Dis. Published online March 25,2020. 
doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30198-5
U R L:https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(20)30198-5/fulltext?dgcid=raven_jbs_etoc_email

4.小児COVID-19症例25人の報告。年齢別に見ると、3歳未満が比較的症状が重く(10人中重症例2人、軽症肺炎6例、上気道炎2人)、3-6歳で最も軽いことが分かりました(6人中軽症肺炎2人、上気道炎4人)。6-14歳では9人中軽症肺炎7人、上気道炎2人。混合感染としてインフルエンザB型が2人(8%)、マイコプラズマが3人(12%)、細菌が1人(4%)に見られました。
著者名:Zheng F, Liao C, Fan Q, et al.
論文名:Clinical Characteristics of Children with Coronavirus Disease 2019 in Hubei, China
雑誌名:Current Medical Science 2020; 40(2): 1-6.
U R L:https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s11596-020-2172-6.pdf

5.第3三半期にCOVID-19顕性感染(全例胸部CTで両側肺病変あり)を起こした4人の妊婦と出生児の報告です。3人は予定帝王切開、1人は経膣分娩で出産し、妊婦の1人は出産後に呼吸管理を要する呼吸不全に陥りましたが回復しました。児の1人は低アルブミン血症、もう1人は新生児一過性多呼吸を起こしましたが回復しました。3人の児はPCR陰性、もう1人の児は検査されていません。4組の母子は全員健康な状態で退院しています。
著者名:Chen Y, Peng H, Wang L, et al. 
論文名:Infants born to mothers with a new coronavirus (COVID-19).
雑誌名:Front Pediatr. 16 March 2020. 
U R L:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fped.2020.00104/full?utm_source=F-AAE&utm_medium=EMLF&utm_campaign=MRK_1278501_61_Pediat_20200324_arts_A



〔2020年3月24日 掲載〕
1.中国全土の小児例2143例(確定例731例、疑い例1412例)の報告です。重症例(低酸素血症や臓器不全の所見があるもの)の割合は、1歳未満で10.6%、1-5歳で7.3%、6-10歳で4.2%、11-15歳で4.1%、16歳以上で3.0%と低年齢の小児に重症例の割合が多いことが確認されています。ただし、詳細な臨床像の記載はなく、病原体診断についてはSARS-CoV-2未確定のものが含まれ、他の病原体の除外が必ずしもなされていないことに注意が必要です。
著者名:Dong Y, Mo X, Hu Y, et.al.,
論文名:Epidemiological Characteristics of 2143 Pediatric Patients With 2019 Coronavirus Disease in China.
雑誌名:Pediatrics. 2020 Mar 16. pii: e20200702.
U R L:https://pediatrics.aappublications.org/content/pediatrics/early/2020/03/16/peds.2020-0702.full.pdf

2.韓国における流行状況(3月2日時点)の報告です。4212人の患者のうち201人(4.8%)が19歳以下でした。
著者名:Korean Society of Infectious Diseases, et al.
論文名:Report on the Epidemiological Features of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Outbreak in the Republic of Korea from January 19 to March 2, 2020.
雑誌名:J Korean Med Sci. 2020 Mar 16;35(10) : e112
U R L:https://www.jkms.org/Synapse/Data/PDFData/0063JKMS/jkms-35-e112.pdf

3.小児COVID-19患者10例の報告です。重症例はありませんでしたが、8例では鼻咽頭でウイルスが検出されなくなった後も直腸スワブから長期に渡る排出が認められています。ただし便中のウイルスの感染性については不明です。
著者名:Xu Y, Li X, Zhu B, et al.
論文名:Characteristics of pediatric SARS-CoV-2 infection and potential evidence for persistent fecal viral shedding.
雑誌名:Nature Medicine. March 13, 2020.
U R L:https://www.nature.com/articles/s41591-020-0817-4

4.武漢の小児患者6例の詳細な報告です。うち一例はICU管理を要する重症例でした。
著者名:Liu W, Zhang Q, Chen J, et al.
論文名:Detection of Covid-19 in children in early January 2020 in Wuhan, China.
雑誌名:N Engl J Med. March 12, 2020. DOI: 10.1056/NEJMc2003717
U R L:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2003717
https://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMc2003717/suppl_file/nejmc2003717_appendix.pdf

5.小児COVID-19患者20例のCT所見がまとめられています。混合感染が8例(40%)に認められていました。
著者名:Xia W, Shao J, Guo Y, et al.
論文名:Clinical and CT features in pediatric patients with COVID-19 infection: different points from adults.
雑誌名:Pediatric Pulmonology, 2020 Mar 05
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ppul.24718

6.深圳における391人のCOVID-19患者と濃厚接触した1286人の解析です。小児(10歳未満)の感染リスク7.4%は全体の感染リスク7.9%と変わりませんでした。
著者名:Bi QF, Wu YS, Mei SJ, el al.
論文名:Epidemiology and Transmission of COVID-19 in Shenzhen China: Analysis of 391 cases and 1,286 of their close contacts.
U R L:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.03.20028423v1

7.COVID-19と新生児に関するレビュー論文で、新生児科医が知っておくべきこととしてまとめられています。1/20-2/6までに中国では少なくとも230人以上の小児症例が報告されていますが、幸い基礎疾患のない小児は軽症です。約3人の新生児が主に家族のクラスターに関連して見つかっています。症状、治療などがまとめられています。
著者名:Qi Lu, Yuan Shi.
論文名:REVIEW Coronavirus disease (COVID‐19) and neonate: What neonatologist need to know.
雑誌名: J Med Virol. 2020 Mar 1. doi: 10.1002/jmv.25740. [Epub ahead of print]
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jmv.25740

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