各種活動

 

2021年7月15日
2021年9月9日改訂
2021年9月22日改訂
公益社団法人日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会

「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」に関するQ&A

【ワクチン接種の意義について】

【回答】 受ける意義はあると考えています。ただし、接種にあたってはメリットとデメリットを本人と養育者が十分に理解していることが大切であると考えています。
【新型コロナワクチンを接種するメリット】
①海外の小児(12~15歳)への接種経験からの情報では、新型コロナワクチン2回接種後、ワクチン接種群で新型コロナウイルス感染症を発症したのは0/1,119人に対し、プラセボ群(ワクチンを接種していない人)では18/1,110人が新型コロナウイルス感染症を発症したという報告があります。この報告から、新型コロナウイルス感染症に対する高い予防効果が期待できます。またワクチン接種後の抗体価は16~25歳にくらべ12~15歳の方が高かったという結果でした。
②自分自身が免疫を持つことが周囲の人を守ることにつながり、大勢の人がワクチンを受けることにより、流行を抑えることが出来ます。
【新型コロナワクチンを接種するデメリット】
国内では、まだ小児への接種は始まったばかりのため、十分なデータがありませんが、成人への接種について、国内で検討された結果をご紹介します。
①国内の医療従事者2万人の調査の結果をみると、接種した同日から翌日にかけて、8~9割の人に接種した腕の痛みや重み、5~6割の人に倦怠感や頭痛、2~3割の人に悪寒や筋肉痛、2割程度の人に38℃以上の発熱がみられると報告されています。しかし、いずれの症状もほとんどの場合は2~3日で軽快するようです。まれに、接種直後にアナフィラキシーという重度のアレルギー反応が起こることがあります。そのため、15~30分間、接種会場で様子を見る必要があります。
②まれですが、主に若年の男性においてワクチン接種数日以内に心筋炎が発生することが報告されています。発症した場合でも入院は必要になりますが、ほとんどは軽症であるとされています。
※日常生活に支障をきたす程の発熱、疼痛、倦怠感が生じた場合、接種を行ってから1週間以内に胸の痛み、息切れ、動悸などを認めた場合、2~3日を超えてだるさなどが続いている場合、その他気になる症状が出現した場合は医療機関等にご相談ください。"

【回答】 子どもへの新型コロナワクチンの有効性や安全性に関する海外からの情報によると、他の接種年齢群と同様の高い予防効果が期待でき、ワクチン接種は子どもにおいても日常生活を取り戻すための重要な対策の一つとなり得ます。一方で、ワクチン接種後の発熱、倦怠感、頭痛、悪寒、接種部位の疼痛などの副反応の多くは数日で自然軽快することが分かっています。また、心筋炎などのまれに起こりうる疾患も比較的軽症であることが多く、実際に新型コロナウイルスに罹患した場合のデメリットよりもワクチンを接種するメリットが上回ると考えられています。今後、日本独自のデータを積み重ねるとともに、先行してワクチンが導入された米国などからの最新の報告なども参考にしながら迅速な解析を行い、継続して安全性の評価をする必要がありますが、現時点(2021年7月14日)で日本小児科学会としては12歳以上の健康な子どもへの接種は意義があると考えます。
【回答】 ワクチンを接種することにより高い予防効果が期待できます。その結果、(1)(2)を減らすことが可能となり、さらには子どもたちが様々な制限を受けることなく日常生活を送ることにつながることを考慮した結果です。

【ワクチンの安全性について】

【回答】 12~15歳の子どもに接種した場合の安全性については、海外の治験で確認されています。今後まれながら重篤となる副反応が発生する可能性がありますが、多数の子どもに接種が実施されていない現時点では、発生頻度や症状の程度に関しては不明です。

【ワクチン接種対象について】

"【回答】子どもは重症化する患者さんの数も少なく、成人ほど明確なリスク因子は明らかになっていません。これまでの限られたデータを基に考えると、神経疾患、脳性麻痺、慢性肺疾患、慢性心疾患、ダウン症候群をはじめとした染色体異常症、悪性腫瘍や移植などによる免疫不全状態、高度肥満などが高リスクと考えられます。このような基礎疾患を持つ子ども(12歳以上)は、主治医とワクチンのメリットとデメリットとのバランスについて相談してください。
補足:成人における国が定めた優先接種の対象となる基礎疾患
1. 慢性の呼吸器の病気
2. 慢性の心臓病(高血圧を含む)
3. 慢性の腎臓病
4. 慢性の肝臓病(肝硬変等)
5. インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
6. 血液の病気(鉄欠乏性貧血を除く)
7. 免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)
8. ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている。
9. 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
10.基礎疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
11.染色体異常
12.重症心身障害
13.睡眠時無呼吸症候群
14.重い精神疾患
 これらの病気や状態で通院あるいは入院している場合に基礎疾患を有する者と考えます。また、基準(BMI 30以上)を満たす肥満も基礎疾患に含みます。高度肥満はこれまでの研究成績から重症化の明らかなリスク因子となることがわかっています。
【回答】接種不適当者に該当しなければ接種は可能です。質問等がある場合は、基礎疾患を診療している医師と相談してください。

副反応等について】

【回答】 国内では、12歳以上の子どもへの接種は、まだほとんどの自治体で始まっていませんので、副反応の頻度に関するデータはありません。国外のデータを参考に、国内の副反応についても慎重に解析することが望ましいと考えています。 なお、接種部位の疼痛の頻度は全対象の約90%と高く、発熱、全身のだるさ、頭痛の頻度は若年成人に多く報告されています。
参考資料
第64回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第13回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)資料(令和3年7月21日開催)の11-14ページを参照してください。"
【回答】 細菌やウイルスなどの感染によって心臓の筋肉に炎症が起こる病気で、健康な子どもでも発症することがあります。多くの心筋炎は、かぜや胃腸炎のような症状(下痢、嘔吐など)が先行し、その後、数時間から数日の経過で胸痛・息切れ・動悸などの症状が認められます。 新型コロナワクチン接種後の心筋炎に関しては下記の質問と回答を参照してください。
参考資料
第62回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 一般社団法人日本循環器学会提出資料(令和3年6月23日開催)
【回答】 これまでの疫学情報から、新型コロナワクチン接種後の心筋炎は、思春期から若年成人の男性に多いとされます。また、1回目より2回目接種後の1週間以内が多いとされます。2021年9月7時点で、心筋炎を発症しやすい体質や環境要因などはよくわかっていません。また、基礎疾患がある方が心筋炎を発症しやすいというデータもありません。
【回答】 米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention)は、新型コロナワクチン接種後に発生した29歳以下の心筋炎/心膜炎患者742人を報告しています(2021年8月18日時点)。それによると701人(94.5%)が入院を要しましたが、多くの場合回復し、667人(95.1%)が既に退院し、死亡例はありませんでした。 
新型コロナワクチン接種後に発症した心筋炎も、そのほかの原因で発症した心筋炎と同様に、入院による安静と心電図・心エコー・血液検査などによる注意深い観察が必要です。一般的に入院期間は1〜2週間程度で症状が快方に向かうまでとされています。治療は、①原因がわかればそれに対する治療、②血圧をコントロールするなど、循環を安定させる治療、③炎症をおさえて、心臓の筋肉の機能が低下するのを防ぐ治療などを行います。

【接種における注意事項について】

"【回答】 「きめ細やかな対応」とは接種を実施する医療者側が留意すべきことを指します。ワクチン接種には一定の副反応が伴いますが、医療者側の事前の準備によって接種を受ける本人や養育者の不安を解消し、副反応に適切に対処することができます。具体的なことは以下の通りです。
①予防接種前:接種を受ける本人と養育者に対して、ワクチンを受けるメリットとデメリットを共有します。特に、接種翌日には発熱や倦怠感、接種局所の疼痛が出ることが多いため、登校や課外活動に影響が出ることをあらかじめ伝えることが重要です。更に接種不適当者注1)や接種要注意者注2)についてあらかじめ説明します。まれではありますが、接種後数日以内に起こることがあると言われている心筋炎の症状についても説明が必要です。
注1)急性の重い病気にかかっている人、37.5℃以上の発熱がある人、ワクチンに含有される成分でアナフィラキシーを起こした人など
注2)過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の人がいる人、心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人、過去に予防接種を受けて、接種後2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人、過去にけいれんを起こしたことがある人、ワクチンの成分に対して、アレルギーが起こるおそれがある人、接種後の出血に注意が必要とされている抗凝固療法を受けている人や血小板減少症または凝固障害のある人など
接種に不安のある人や何らかの病気で治療を受けている人には、かかりつけ医に相談することを勧めます。
②予防接種中:落ち着いた環境で接種を行い、痛みに過敏な子どもに対しては、リラックスできるよう話しかけたり、痛みから気をそらすように心がけます。注射や採血で気分が悪くなったことがある子どもに対しては、横になった状態でワクチン接種を行い、接種後にすぐに立ち上がらせないなどの配慮を行います。
③予防接種後:接種会場では、緊張や接種した時の痛みで気分が悪くなる子ども、あるいはアナフィラキシーをおこす子どもが出た場合に備えて、15~30分ほど観察を行う待機場所や医療資材を準備し、小児の診療経験のある医師を待機させることが望ましいです。接種会場で、頻度の高い副反応への対応法を記した案内を渡すことが望ましいです。
【回答】 子どもの理解度は年齢等により異なるため、子どもへ説明する際には本人の理解度に合わせて平易な言葉や必要に応じて絵などを用いて、可能な限りわかりやすく説明する必要があります。さらに、現時点で得られているデータから、想定されるメリットとデメリットを理解していただくことも重要です。
 例えば、接種のメリットは、1)接種した本人が感染することを防ぐこと、2)感染しても発症を防げる可能性が高いこと、3)発症しても重症化を防げる可能性が高いこと、4)みんなで接種することにより家族や友人へ感染させることを防ぐこと、5)4)の結果、学校での感染のリスクが小さくなれば、これまでのような通常の学校生活に戻れることが期待できることです。
 接種のデメリットは、接種後に1)接種部位の痛み、発熱、だるさ、頭痛などの症状を認める可能性が高いこと、2)まれにアナフィラキシー(強いアレルギー反応)を起こすことがあること、3)まれに軽症の心筋炎を起こすことがあることです。"
【回答】 かかりつけ医による個別接種は、集団接種に比べ、本人と養育者へのより丁寧な説明と接種前・中・後のきめ細やかな対応が可能であると考えられるからです。しかし、環境や地域(自治体)の事情により、集団接種・個別接種・あるいは両者の併用が選択されることになると思われます。集団接種と個別接種との比較、配慮すべき点と対策等については、日本小児科医会の提言をご参照ください。
参考資料
公益社団法人 日本小児科医会「12歳以上の小児への新型コロナウイルスワクチン接種についての提言」(令和3年6月16日)
【回答】 学校での集団接種では、保護者が一緒に話を訊くことが出来なかったり、皆が一緒に接種するので、不安感を接種医の先生や学校の先生、周りの友達に話せなかった子どもについては、不安な気持ちを抱えたまま接種したりすることになります。また、極度の緊張や痛みなどをきっかけとして血管迷走神経反射(気分不良、顔面蒼白、血圧低下、失神など)が起こることがありますが、周りの影響を受けて、このような血管迷走神経反射が集団で起こることがあります。また未接種の子どもが分かってしまうことで、差別やいじめに繋がる恐れがあります。以上のような理由で、学校での集団接種は勧めていません。
 一方、大規模接種会場での接種であれば、保護者も一緒に話を訊くことが出来ますし、接種に来ている方々の年齢や背景は様々です。学校の中で、接種した子どもと未接種の子どもの区別はつかないので、受けなかった子どもがつらい思いをすることもありません。地域によっては個別接種ができないこともあると思いますので、大規模接種会場で本人と保護者に丁寧な説明と接種前・中・後のきめ細やかな対応をしてもらい、ワクチン接種を受けて下さい。
【回答】 全ての人が、ワクチン接種を希望しない子どもと養育者が行動制限やいじめを受けることがないようにすることです。例えばワクチン接種を登校やクラブ活動などの参加の要件にしないなどの配慮が求められます。日本小児科学会は新型コロナワクチンに関する有益な情報を積極的に社会に提供することを通じて、偏見や差別が生じないように努めます。
【回答】 接種を受けるかどうかを子ども自身が考え、意思を伝えることができる環境を整えることが大切です。

【ワクチン接種後について】

【回答】 日常生活に支障をきたす程の発熱、疼痛、倦怠感が生じた場合、接種を行ってから1週間以内に胸痛、息切れ、動悸などを認めた場合、2~3日を超えてだるさなどが続く場合、その他気になる症状が出現した場合は、接種した医療機関、かかりつけの医療機関、もしくは接種された地域でワクチン接種後の症状への相談窓口にご相談ください。
"【回答】 登校は避けてください。発熱は副反応だけが原因ではない可能性がありますので、接種した医療機関やかかりつけの医療機関などに相談してください。国内の医療関係者を対象にした健康調査の中間報告では、新型コロナワクチン接種後の発熱は、接種後翌日までに起こることが多く、その多くは2日間以内に解熱しました。また、ワクチン接種後の発熱は若年ほど多く、20代では2回目接種後の半数程度にみられるため、12歳以上の子どもへの接種においては学校が休みとなる前日に接種を行うことなどの配慮も必要と考えます。
参考資料
新型コロナワクチン接種後の発熱などの症状への対応について(厚生労働省、令和3年4月21日 事務連絡)
第61回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)資料(令和3年6月9日開催)
【回答】 接種後2~3日、できれば1週間程度、発熱等の副反応を疑う症状に気をつけて、はげしい運動を控えて過ごすことが望ましいです。接種後に胸痛、息切れ、動悸などが認められた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
"【回答】 ワクチン接種後もマスクの着用、手指衛生の徹底、3密を避けるなどの感染予防策を解除することはできません。新型コロナワクチンは非常に有効なワクチンですが、ワクチン接種をしてもその感染予防効果は100%ではなく、また、予防効果がどれだけ持続するのかについても十分にはわかっていません。更に、変異ウイルスによっては、効果が低下するワクチンがあることが報告されています(参考資料)。状況は変わる可能性がありますので、これまでの感染予防策を継続する必要があります。
参考資料
国立感染症研究所「新型コロナワクチンについて (令和3年6月6日現在)」
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)(令和3年8月26日版」

【ワクチンの種類について】

【回答】 2021年9月1日現在、国内で12歳以上18歳未満の接種に使用できるのはファイザー社製と武田/モデルナ社製のワクチンです。アストラゼネカ社のワクチンは、原則として40歳以上(ただし、他の新型コロナワクチンに含まれる成分に対してアレルギーがあり接種できない等、特に必要がある場合は18歳以上)が接種対象となっています。
【回答】 2021年7月14日現在、異なる種類のワクチンを接種した場合の有効性や安全性に対するデータがありませんので、2回とも同じ種類のワクチンを接種する必要があります。

【小児コロナ患者の現状について】

【回答】 2021年6月16日現在、日本国内における20歳未満の死亡者数は0人です。日本小児科学会レジストリ調査では、累計報告数2,098例中、重症化しICUに入院した子どもが5例(0.23%)報告されています。また、日本集中治療学会の集計では、2021年6月15日現在、20歳未満で人工呼吸が必要となった人が8人報告されており、そのうち体外式膜型人工肺(ECMO)治療を受けた人が2人です。全員、集中治療を受けて軽快しています。
ただし、これらは国内発症したすべての子どもが登録されているわけではなく、正確な重症化率を表すものではありません。
参考資料
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値)(令和3年6月16日)」
日本小児科学会「データベースを用いた国内発症小児Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) 症例の臨床経過に関する検討に基づく早期公開情報」
NPO法人日本ECMOnet「COVID-19 重症患者状況の集計」

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