各種活動

 

2021年7月15日
2021年9月9日改訂
2021年9月22日改訂
2021年11月2日改訂
2022年3月3日改訂
2022年5月31日改訂
2022年9月30日改訂
公益社団法人日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会

「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」に関するQ&A

【ワクチン接種の推奨について】

【回答】 ワクチン接種を推奨します。子どもへの新型コロナワクチンに関する有効性と安全性に関する情報が蓄積され、メリット(発症予防や重症化予防など)がデメリット(副反応など)を更に大きく上回ると判断したため、今回の改訂で「意義がある」という表現から、「推奨する」に変更しました。
【新型コロナワクチンを接種するメリット】
①小児患者数の急増に伴い、以前は少数であった重症例と死亡例が増加しています。具体的には、オミクロン株流行以降は小児に特有の疾患であるクループ症候群、熱性けいれんが増加し、脳症、心筋炎などの重症例も報告されています。子どもにおけるオミクロン株を含めた重症予防効果が、40〜80%程度認められることが確認されました。
②自分自身が免疫を持つことが周囲の人を守ることにつながり、大勢の人がワクチンを受けることにより、流行を抑えることが出来ます。
【新型コロナワクチンを接種するデメリット】
国内では、まだ小児への接種は始まったばかりのため、十分なデータがありませんが、成人への接種について、国内で検討された結果をご紹介します。
①国内の12〜17歳における副反応の発生率は、若年成人と同等であり、5〜11歳における副反応はより軽い傾向が確認されています。
②心筋炎・心膜炎の発生報告が稀にあるため注意は必要ですが、発症のリスク因子(10〜20歳代の男性)、接種後の症状、発症時期などが明確となり、厚生労働省からの情報提供も充実しています。
※接種当日は無理をせず、激しい運動は避けましょう。接種後数日以内に胸の痛み、息切れ(呼吸困難)、動悸、むくみなど心筋炎・心膜炎を疑う症状を認めた場合は、すぐに医療機関を受診し、新型コロナワクチンを受けたことを伝えて下さい。
※詳細は5~17歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方(2022年8月10日)の[2. ワクチンに関する知見]に記載してあります。ご参照ください。
参考資料
日本集中治療医学会小児集中治療委員会:新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例発生状況速報
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会:5~17歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方
厚生労働省:新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について

【回答】 はい、有効性に関する情報が国内外で確認されています。
の、[2. ワクチンに関する知見]
【5~11歳へのワクチン】項目2
【12~17歳へのワクチン】項目2
【追加接種について】項目2
【新型コロナワクチンの有効性に関する国内データ(成人も含む)】
に記載してありますので、ご参照ください。
【回答】 日本で使用されている新型コロナワクチンは、オミクロン株流行期においても比較的高い発症予防効果と重症化予防効果が示されています。この発症予防効果や重症化予防効果は時間の経過とともに減衰しますが、追加接種によりその効果が回復することが報告されています。しかし、新型コロナウイルスは今後も変異を繰り返すことが予想され、新型コロナワクチンの有効性に関してはさまざまなデータを継続的に評価していく必要があると考えられます。
参考資料
〇第32回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料3
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000934480.pdf
〇Price AM, et al. BNT162b2 Protection against the Omicron Variant in Children and Adolescents. N Engl J Med. 2022 Mar 30:NEJMoa2202826.
〇Accorsi EK, et al. Association Between 3 Doses of mRNA COVID-19 Vaccine and Symptomatic Infection Caused by the SARS-CoV-2 Omicron and Delta Variants. JAMA. 2022 Feb 15;327(7):639-651.

【回答】 子どもに対する新型コロナワクチンの推奨の度合いは国によって異なっていますが、どの国も希望する子どもに対する新型コロナワクチンの接種機会をなくしているわけではありません。厚生労働省は、重症化リスクの高い基礎疾患を有する子どもにワクチン接種を勧めていました。日本小児科学会は、小児患者数の増加に伴い重症例と死亡例が増加していること等から、2022年8月に、重症化リスクの高い基礎疾患のある子どもだけでなく、5~17歳の健康な子どもへの新型コロナワクチン接種についても「意義がある」から、「推奨します」に変更しました。

参考資料
 

【ワクチンの安全性について】

【回答】 5~17歳の子どもに接種した場合の安全性は、海外の治験で確認されています。また、多数の子どもに接種が実施されており、副反応の発生頻度や症状の程度に関する情報が集積されつつあります。子どもにおいても、成人と同様に接種部位の痛みや発赤・腫脹、倦怠感、頭痛、発熱等の副反応が報告されていますが、5~11歳の副反応の頻度は12歳以上よりも低く、成人よりも症状の程度が軽い傾向にあります。12~17歳の副反応の頻度も18~24歳と比較して高くはなく、現時点で子どものワクチン接種に重大な懸念は認められていません。しかし、頻度は極めて稀ですが、特に10代・20代の男性では心筋炎・心膜炎の発生に注意が必要です。
 
参考資料
 

【ワクチン接種対象について】

【回答】 子どもの新型コロナウイルス感染症は軽症のことが多いとされますが、オミクロン株の流行で子どもの感染者数が増加していることが報告されています。国内外の知見において、子どもでも2歳未満と基礎疾患のある子どもには重症化リスクがあることが報告されています。「基礎疾患等」とは具体的に以下のものが考えられます。①慢性呼吸器疾患、②慢性心疾患、③慢性腎疾患、④神経疾患・神経筋疾患、⑤血液疾患、⑥糖尿病・代謝性疾患、⑦悪性腫瘍、⑧関節リウマチ・膠原病、⑨内分泌疾患、⑩消化器疾患・肝疾患等、⑪先天性免疫不全症候群、HIV感染症、その他の疾患や治療に伴う免疫抑制状態、⑫その他の小児領域の疾患等(高度肥満・早産児・医療的ケア児・施設入所や長期入院の児・摂食障害)なお、接種にあたっては、本人の健康状況をよく把握している主治医に事前に相談し、メリットとデメリットを理解したうえで判断することが望ましいと考えます。
【回答】接種不適当者に該当しなければ接種は可能です。質問等がある場合は、基礎疾患を診療している医師と相談してください。

基礎疾患のある子どものワクチン接種について】

【回答】 厚生労働省は、重症化リスクの高い基礎疾患を有する子どもにワクチン接種を勧めています。海外からは、基礎疾患のある子どもは新型コロナウイルス感染症が重症化することが報告されています。重症化率は基礎疾患のない子どもが0.2%であるのに対し、基礎疾患のある子どもは5.1%でした1)。致命率も2.81倍高いことが明らかになりました。基礎疾患のある子どもは重症化リスクがある一方で、予防接種要注意者でもあるため、医師からの十分な説明が望まれます。国内における基礎疾患のある子どもへの新型コロナワクチン、有効性に関するデータはありませんが、岡山大学の調査では基礎疾患があることで副反応が増えることはないとされています。さらに詳細なデータが出た時点で随時検討する予定です。ワクチンの効果については、移植後などで免疫が低下している状態の子どもはワクチンの効果が不十分である可能性や免疫の低下が早い可能性があります。
参考資料
〇Tsankov BK. et al. Severe COVID-19 infection and pediatric comorbidities: a systematic review and meta-analysis. Int J Infect Dis 2021; 103: 246-256.
〇新型コロナウイルスワクチン情報.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野.https://www.unit-gp.jp/eisei/wp/?p=4923(2022.4.28参照)

副反応等について】

【回答】 2022年2月21日から8月7日までに子どもワクチン(5~11歳用)は1回目、2回目それぞれ約150万回、約137万回接種され、予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告は72例(0.0047%)、43例(0.0031%)と報告頻度は極めて少数となっています。同期間に死亡とされた事例が1件(100万回接種あたり0.4件)ありますが、ワクチン接種との因果関係は明らかではありません。また、同期間にワクチン接種後のブライトン分類レべル1~3に該当すると評価された心筋炎、心膜炎が1例ずつ報告されています。
2022年9月2日時点で報告された、国内の子どもを対象とした新型コロナワクチン接種後の全身反応、局所反応を取りまとめた調査報告によると、5~11歳に1回目、2回目の新型コロナmRNAワクチン(ファイザー社製)を接種した場合の接種後8日以内に発現した全身症状、局所反応の出現率は、発熱(37.5℃以上)12.2%、14.2%、疼痛75.6%、70.8%、腫脹20.3%、12.4%となっており、副反応の頻度は米国における治験(第2/3相)結果(図*)や添付文書(製薬会社が作成した薬の説明書)と同程度と考えます。さらに米国の報告では、2022年5月から7月にかけて657,302回の3回目追加接種が実施され、3回目の追加接種に関しても2回目接種と同様の安全性が確認されたとされています。
*海外と国内において、使用されるmRNAワクチン(ファイザー社製)の接種量・接種方法は同様です。

参考資料
〇Hause AM, et al. COVID-19 Vaccine Safety in Children Aged 5-11 Years - United States, November 3-December 19, 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021 Dec 31;70(5152):1755-1760.
〇Hause AM, et al. COVID-19 Vaccine Safety in Adolescents Aged 12-17 Years - United States, December 14, 2020-July 16, 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021 Aug 6;70(31):1053-1058.
〇Hause AM, et al. Safety Monitoring of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine Booster Doses Among Children Aged 5-11 Years - United States, May 17-July 31, 2022 MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022 Aug 19;71(33):1047-1051. doi: 10.15585/mmwr.mm7133a3.
 

【回答】 細菌やウイルスなどの感染によって心臓の筋肉に炎症が起こる病気で、健康な子どもでも発症することがあります。多くの心筋炎は、かぜや胃腸炎のような症状(下痢、嘔吐など)が先行し、その後、数時間から数日の経過で胸痛・息切れ・動悸などの症状が認められます。 新型コロナワクチン接種後の心筋炎に関しては下記の質問と回答を参照してください。
参考資料
第62回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 一般社団法人日本循環器学会提出資料(令和3年6月23日開催)
【回答】 これまでの疫学情報から、新型コロナワクチン接種後の心筋炎は、思春期から若年成人の男性に多いとされます。また、1回目より2回目接種後の1週間以内が多いとされます。2022年8月時点で、心筋炎を発症しやすい体質や環境要因などはよくわかっていません。また、基礎疾患がある方が心筋炎を発症しやすいというデータもありません。日本における子ども(5~11歳)への接種は、令和4年2月21日より開始されています。製造販売業者からの報告について専門家評価を行った結果、心筋炎と評価された事例が1件、心膜炎と評価された事例が1件となっています(審議会(令和4年8月5日開催)報告時点)。なお、米国における接種後の心筋炎の報告頻度は、5~11歳男児の方が、12~15歳男子及び16~17歳男子と比べて低かったとされています。

【回答】 米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention)は、新型コロナワクチン接種後に0.82/10万人の割合で心筋炎/心膜炎が報告され、29歳以下の心筋炎/心膜炎患者は877人であったとしています(2021年10月6日時点)。それによると829人(94.5%)が入院を要しましたが、多くの場合回復し、789人(95.2%)が既に退院し、死亡例はありませんでした。 日本では、ワクチン接種後に心筋炎を発症した11歳児例が1件ありますが、回復が確認されています(審議会(令和4年8月5日開催)報告時点)。
新型コロナワクチン接種後に発症した心筋炎も、そのほかの原因で発症した心筋炎と同様に、入院による安静と心電図・心エコー・血液検査などによる注意深い観察が必要です。一般的に入院期間は1〜2週間程度で症状が快方に向かうまでとされています。治療は、①原因がわかればそれに対する治療、②血圧をコントロールするなど、循環を安定させる治療、③炎症をおさえて、心臓の筋肉の機能が低下するのを防ぐ治療などを行います。
参考資料
Meeting of the Advisory Committee On Immunization Practices (ACIP) (令和3年10月21-22日開催)
第82回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料1-6-3(令和4年8月5日開催)

【回答】 1回目の接種後に心筋炎を発症した場合、より多くの安全性データが得られるまでは、2回目の接種について担当医とご相談ください。
これまでの報告によると、10代・20代の男性では、ファイザー社のワクチンに比べてモデルナ社のワクチンの接種後に生じる心筋炎等の発生頻度が高いとされています。厚生労働省は、既にモデルナ社のワクチンで初回接種を完了した10代・20代の男性に対し、ファイザー社ワクチンによる2回目の接種を認める方針を公表しました。ただし、本人または保護者が希望する場合は、モデルナ社のワクチンで2回目の接種をすることも可能です。
参考資料
厚生労働省「新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について」
一般社団法人日本循環器学会「新型コロナワクチン接種後の急性心筋炎と急性心筋炎に関する日本循環器学会の声明」

【接種における注意事項について】

【回答】 

「きめ細やかな対応」とは接種を実施する医療者側が留意すべきことを指します。ワクチン接種には一定の副反応が伴いますが、医療者側の事前の準備によって接種を受ける本人や養育者の不安を解消し、副反応に適切に対処することができます。具体的なことは以下の通りです。

①予防接種前:接種を受ける本人と養育者に対して、ワクチンを受けるメリットとデメリットを共有します。特に、接種翌日には、大人に接種した場合と比較すると頻度は少ないものの、発熱や倦怠感、接種局所の疼痛が出ることがあること、登校や課外活動に影響が出る可能性があること、をあらかじめ伝えることが重要です。更に接種不適当者注1)や接種要注意者注2)についてあらかじめ説明します。稀ではありますが、接種後数日以内に起こることがある心筋炎の症状についても説明が必要です1)急性の重い病気にかかっている人、37.5℃以上の発熱がある人、ワクチンに含有される成分でアナフィラキシーを起こした人など
注2)過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の人がいる人、心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人、過去に予防接種を受けて、接種後2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人、過去にけいれんを起こしたことがある人、ワクチンの成分に対して、アレルギーが起こるおそれがある人、接種後の出血に注意が必要とされている抗凝固療法を受けている人や血小板減少症または凝固障害のある人など
接種に不安のある人や何らかの病気で治療を受けている人には、かかりつけ医に相談することを勧めます。
②予防接種中:落ち着いた環境で接種を行い、痛みに過敏な子どもに対しては、リラックスできるよう話しかけたり、痛みから気をそらすように心がけます。注射や採血で気分が悪くなったことがある子どもに対しては、横になった状態でワクチン接種を行い、接種後にすぐに立ち上がらせないなどの配慮を行います。
③予防接種後:接種会場では、緊張や接種した時の痛みで気分が悪くなる子ども、あるいはアナフィラキシーをおこす子どもが出た場合に備えて、15~30分ほど観察を行う待機場所や医療資材を準備し、小児の診療経験のある医師を待機させることが望ましいです。接種会場で、頻度の高い副反応への対応法を記した案内を渡すことが望ましいです。
【回答】 子どもの理解度は年齢等により異なるため、子どもへ説明する際には本人の理解度に合わせて平易な言葉や必要に応じて絵などを用いて、可能な限りわかりやすく説明する必要があります。さらに、現時点で得られているデータから、想定されるメリットとデメリットを理解していただくことも重要です。
 例えば、接種のメリットは、1)接種した本人が感染することを防げる可能性が高いこと、2)感染しても発症を防げる可能性が高いこと、3)発症しても重症化を防げる可能性が高いこと、4)みんなで接種することにより家族や友人へ感染させることを防げる可能性が高いこと、5) 4)の結果、学校での感染のリスクが小さくなれば、これまでのような通常の学校生活に戻れることが期待できることです。
 接種のデメリットは、接種後に1)接種部位の痛み、発熱、だるさ、頭痛などの症状を認めることがあること、2)稀にアナフィラキシー(強いアレルギー反応)を起こすことがあること、3)稀に軽症の心筋炎を起こすことがあることです。
【回答】 かかりつけ医による個別接種は、集団接種に比べ、本人と養育者へのより丁寧な説明と接種前・中・後のきめ細やかな対応が可能であると考えられるからです。しかし、環境や地域(自治体)の事情により、集団接種・個別接種・あるいは両者の併用が選択されることになると思われます。集団接種と個別接種との比較、配慮すべき点と対策等については、日本小児科医会の提言をご参照ください。
参考資料
公益社団法人 日本小児科医会「12歳以上の小児への新型コロナウイルスワクチン接種についての提言」(令和3年6月16日)
【回答】 学校での集団接種では、保護者が一緒に話を聞くことが出来なかったり、皆が一緒に接種するので、不安感を接種医の先生や学校の先生、周りの友達に話せなかった子どもについては、不安な気持ちを抱えたまま接種したりすることになります。また、極度の緊張や痛みなどをきっかけとして血管迷走神経反射(気分不良、顔面蒼白、血圧低下、失神など)が起こることがありますが、周りの影響を受けて、このような血管迷走神経反射が集団で起こることがあります。さらに、未接種の子どもが分かってしまうことで、差別やいじめに繋がる恐れがあります。以上のような理由で、学校での集団接種は勧めていません。
 一方、大規模接種会場での接種であれば、保護者も一緒に話を聞くことが出来ますし、接種に来ている方々の年齢や背景は様々です。学校の中で、接種した子どもと未接種の子どもの区別はつかないので、受けなかった子どもがつらい思いをすることもありません。地域によっては個別接種ができないこともあると思いますので、大規模接種会場で本人と保護者に丁寧な説明と接種前・中・後のきめ細やかな対応をしてもらい、ワクチン接種を受けて下さい。
【回答】 ワクチン接種を希望しない子どもと養育者が行動制限やいじめを受けることがないようにすることです。例えばワクチン接種を登校やクラブ活動などの参加の要件にしないなどの配慮が求められます。日本小児科学会は新型コロナワクチンに関する有益な情報を積極的に社会に提供することを通じて、偏見や差別が生じないように努めます。
【回答】 接種を受けるかどうかを子ども自身が考え、意思を伝えることができる環境を整えることが大切です。ワクチンの情報に関しては、特にSNSでは不正確なものもあり、公的機関や団体などから情報を得ることが大切です。

【ワクチン接種後について】

【回答】  日常生活に支障をきたす程の発熱、疼痛、倦怠感が生じた場合、2~3日を超えてだるさなどが続く場合、その他気になる症状が出現した場合は、接種した医療機関、かかりつけの医療機関、もしくは接種された地域で新型コロナワクチン接種後の症状への相談窓口(予防接種センター、新型コロナワクチン専用相談窓口など)にご相談ください。接種後数日以内に胸痛、息切れ、動悸、むくみなどを認めた場合は、頻度としてはごく稀ですが心筋炎や心膜炎の可能性があり、特に若年の男性は、こうした症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診してワクチンを受けたことを伝えてください。
【回答】 出席は避けてください。発熱は副反応だけが原因ではない可能性がありますので、接種した医療機関やかかりつけの医療機関などに相談してください。国内の医療関係者を対象にした健康調査の中間報告では、新型コロナワクチン接種後の発熱は、接種後翌日までに起こることが多く、その多くは2日間以内に解熱しました。学校等が休みとなる前日に接種を行うことなどの配慮や、あるいはワクチン接種やその後の副反応等で学校等を休む場合は、欠席としないなど柔軟な取り扱いが可能とされています。出欠の取扱いについては、まずは、子どもが通う学校等にご相談ください。
参考資料
新型コロナワクチン接種後の発熱などの症状への対応について(厚生労働省、令和3年4月21日 事務連絡)
第61回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)資料(令和3年6月9日開催
〇新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の幼児児童生徒に対する実施についての学校等における考え方及び留意点等について(厚生労働省、令和4年2月21日 事務連絡)

【回答】 ワクチン接種後、心筋炎や心膜炎がごく稀に報告されています。接種後数日以内に胸痛、息切れ、動悸、むくみなどを認めた場合は、速やかに医療機関を受診してください。新型コロナワクチンを受けた日には激しい運動等は控えるなど、接種後の注意点を子どもたちがよく理解できる様にしてください。
参考資料
厚生労働省新型コロナワクチンQ&A「非常にまれに起こる、副反応が疑われている疾患があります」
第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第20回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料(令和3年10月22日開催)

【回答】 

ワクチン接種後の発熱は、ほとんどが接種当日から翌日にかけてみられ、1日程度で解熱する場合が多いとされています。程度が軽い場合は、冷却などで様子をみていただくことでかまいません。発熱の程度に応じて解熱薬を使用することもできます。こどもで安全に使用できる解熱薬として、アセトアミノフェンがあげられます。サリチル酸系、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸などの解熱薬は、インフルエンザや水痘などのウイルス感染時に使用した場合の急性脳症発症や重症化との関連の可能性があるため、使用を控えてください。

熱性けいれんを起こしたことがある場合、何らかの病気で治療を受けている場合、薬などでアレルギー症状を起こしたことがある場合などは、発熱時の対応について事前にかかりつけの先生にご相談下さい。

発熱が長く続く場合、発熱以外の症状もある場合などもかかりつけの先生にご相談下さい。

"【回答】  ワクチン接種後もマスクの着用、手指衛生の徹底、3密を避けるなどの感染予防策を解除することはできません。新型コロナワクチンは有効なワクチンですが、特にオミクロン株においては、ワクチンの感染予防効果は経時的に低下することが報告されています。したがって、これまでの感染予防策を継続する必要があります。
参考資料
厚生労働省新型コロナウイルスQ&A「ワクチンを接種した後も、マスクは必要ですか。」
第35回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料(令和4年8月16日開催)

【ワクチンの種類について】

【回答】 2022年8月30日現在、国内で使用できる製剤と適応年齢を以下に記載します。
・5歳以上11歳以下の1回目・2回目接種、3回目接種に使用できるのはファイザー社製(コミナティ筋注5~11歳用)です。3回目は2回目から5か月の間隔を空けて接種が可能です。
・12歳以上18歳未満の1回目・2回目接種に使用できるのはファイザー社製(コミナティ筋注)、モデルナ社製(スパイクバックス筋注)、武田/ノババックス社製(ヌバキソビッド筋注)の3製剤で、3回目接種に使用できるのはファイザー社製(コミナティ筋注)のみです。
アストラゼネカ社製ワクチン(バキスゼブリア筋注)は、原則として40歳以上(ただし、他の新型コロナワクチンに含まれる成分に対してアレルギーがあり接種できない等、特に必要がある場合は18歳以上)が接種対象です。

【回答】 5歳以上11歳以下の場合、使用できるワクチンがファイザー社製(コミナティ筋注5~11歳用)のみであるため異なる種類のワクチンを接種することはできません。12歳以上でも、原則として同一のワクチンを接種する必要がありますが、以下のような場合に限り、1回目と異なるワクチンを2回目に接種すること(交互接種)は可能です。
・1回目のワクチン接種後に重篤な副反応が生じたこと等により、医師が医学的見地から、2回目に同一のワクチンを接種することが困難であると判断した場合
・国内のワクチン流通の減少や接種を受ける方の転居等により、1回目と2回目で同一のワクチンを接種することが困難な場合
なお、1回目と2回目の接種の間隔は、諸外国の対応状況等を踏まえ、27日以上の間隔をおくこととされています。

また、2021年10月22日に開催された厚生労働省の部会・調査会において、「10代および20代の男性に接種するにあたっては、ファイザー社ワクチンに比べて、モデルナ社ワクチン接種後の心筋炎関連事象が疑われる報告頻度が明らかに高いことから、十分な情報提供の上、ファイザー社ワクチンの接種も選択できることとする。なお、本人がモデルナ社ワクチンの接種を希望する場合は、COVID-19感染症に合併する心筋炎関連事象の発生頻度よりは低いことから、接種可能のままとする」と報告されており、このことを踏まえ10代及び20代の男性で、1回目にモデルナ社のワクチンを接種したものの、2回目の接種でファイザー社のワクチンへの変更を希望する場合は変更が可能です。
質問とは異なりますが、3回目の接種(追加接種)においては、適応のある年齢であれば、異なるワクチンの接種(交互接種)が可能です。
参考資料

厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A「1回目と2回目で異なる新型コロナワクチンを接種しても問題ないでしょうか。」 
厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A「追加(3回目)接種では、どのワクチンが使用されますか。初回(1回目・2回目)接種とは異なるワクチンを使用(交互接種)しても大丈夫でしょうか。」 
第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第20回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料(令和3年10月22日開催)

【小児コロナ患者の現状について】

【回答】 小児のCOVID-19症例の95%以上は軽症です
が、クループ症候群、肺炎、けいれん、嘔吐・脱水などの中等症や、心不全をきたしうる小児多系統炎症性症候群、脳症および心筋炎・心膜炎が報告されています。2022年1月から8月までに300例を超える重症・中等症例が報告されています。国内における10歳未満、10歳代のCOVID-19による死亡報告数はオミクロン株流行前の2021年末においてはそれぞれ0例、3例でしたが、オミクロン株流行後以降に小児感染者数が増加し、20歳未満の陽性者が460万例を超えた現在では、10歳未満、10歳代のCOVID-19による死亡報告数は、それぞれ15例、11例が報告されており、20歳未満における累積死亡者数は26例まで増加しています(2022年8月23日現在)。20歳未満で重症化し人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)による治療を受けたのは、NPO法人日本ECMOnetの集計によれば、2022年8月29日現在、人工呼吸が必要となった人が74例(うち9例が死亡、8例が現在も治療中)、体外式膜型人工肺(ECMO)治療を受けた人は6例(うち3例が死亡)でした。ただし、これらは国内発症したすべての子どもが登録されているわけではなく、正確な重症化率を表すものではありません。最新の新型コロナウイルス感染症の国内の発生については厚生労働省「国内の発生状況など」(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html)や参考資料に記載したサイトなどで確認することができます。
参考資料
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値)(令和4年8月23日)」
NPO法人日本ECMOnet「COVID-19 重症患者状況の集計」
日本集中治療学会 新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例発生状況速報 (2022年9月30日)

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