Injury Alert(傷害速報)

 

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No.072 グラウンドで発生した腹部外傷(事例1) グラウンドの盛り土への転倒による内臓損傷

事例 年齢:12歳 1 か月 性別:男 体重:36Kg 身長:140cm
傷害の種類 転倒
原因対象物 草野球グラウンドの側溝と盛り土
臨床診断名 外傷性脾損傷(日本外傷学会臓器損傷分類IIIa 型),外傷性左腎損傷(日本外傷学会臓器損 傷分類IIIa 型)
直接医療費 1,357,800円
発生状況 発生場所 野球場のファールグラウンド
周囲の人・状況 少年野球の練習中,監督(大人)の目撃有り
発生年月日・時刻 2016年11月23日 午後4 時00分ごろ
発生時の詳しい
様子と経緯
プレー中にファールボールを捕球しようとしたところ,側溝に足を取られて転倒した.その 際,側溝の反対側の盛り土(図1~3)に左半身を打撲した.直後から左側腹部の痛みで動 けなくなったため,救急車にて医療機関を受診した.プレーグラウンドから側溝及び盛り土 の間には,フェンスなどの障害物はなかった.
治療経過と予後 受診時は,バイタルサインは安定しており,迅速簡易超音波検査では,有意な所見を認めな かった.受診1.5 時間後に迅速簡易超音波検査を再実施したところ,直腸膀胱窩に液貯留を 認めたため造影CT 検査を施行した.CT 検査では,脾門部に至る脾裂傷と腎盂損傷を伴う 左腎裂傷を認め,後腹膜腔と腹腔に多量の血液貯留,および後腹膜周囲に尿溢流を認めた. 集中治療室に入室し,鎮痛管理と膀胱内血腫に対する膀胱洗浄を行った.保存的加療で出血 は制御されたため,輸血は行わなかった.7 日間の集中治療室での管理を経て一般病床に移 床した.受傷後10 日目の造影CT 検査では,径3mm の外傷性左腎動脈瘤を認めた.放射線 科,泌尿器科,小児外科を含む複数科による検討の結果,保存的に経過をみることとなり, 受傷後12 日目に退院した.受傷後17 日目の造影CT では腎動脈瘤は残存していた.受傷4 か月後に造影CT を再検する予定とし,それまでのコンタクトスポーツを禁止した. 幸い保存加療となったが,経過次第では緊急開腹術または腎動脈/脾動脈塞栓術が考慮され た症例だった.
Full Text No.072 グラウンドで発生した腹部外傷(事例1) グラウンドの盛り土への転倒による内臓損傷

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