事例 | 年齢:4歳 性別:男 | |
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傷害の種類 | 刺傷 | |
原因対象物 | 歯ブラシ | |
臨床診断名 | 上咽頭異物 | |
直接医療費 | ||
発生状況 | 発生場所 | 自宅の居間 |
周囲の人・状況 | 夕食後に歯磨きをしていた.いつも、歯磨きは踏み台を使用して洗面所で行っている. | |
発生年月日・時刻 | 2012年1月27日 午後5時30分頃 | |
発生時の詳しい 様子と経緯 |
夕食後、洗面所で歯磨きを開始した.そのとき母が居間に移動したため、本児も母の後について居間に移動した.1人かけソファの袖の部分(50cmの高さ)に立って歯ブラシをくわえていた.泣き声で母が振り向くと、歯ブラシを口にくわえたまま、フローリングの床にうつ伏せに転倒していた.仰向けにしたところ、歯ブラシの柄の部分が口から見えており、児は唸っていた.あわてて突き刺さっている歯ブラシの柄の部分をつかんで2~3回ひっぱった.その時、ひねってはいないが引っかかる感じがあった.歯ブラシの先端(約3cm)が無く、口の中には何も残っていなかった.救急車を呼んでいいのかわからず、#7119に連絡したところ“救急車の要請”を指示され、前医に搬送となった.歯ブラシは、1か月以上使用した物で、長くても2~3か月間の使用であり、子ども用のアンパンマンの歯ブラシであった(写真1).母親は「このような事故は初めてである.割り箸が刺さった事故もあり、危ないなと気をつけてはいたが…」と話された. | |
治療経過と予後 | 1月27日に救急車にて小児科を受診し、胸部XP、腹部CTの検査を施行した.異物の残存はなく、経過観察でよいと指示された.1月28日、家族が心配して耳鼻科を受診した.診察にて、口蓋垂左に発赤、ファイバースコープにて上咽頭の挫創が認められた.頭部単純CTを施行したところ異物が認められ、毛がついているように見えるため歯ブラシの可能性が示唆された.救急車にて当院に搬送された.来院時、意識は清明、歩行でき、通常の発語が可能であった.気道、呼吸、循環に異常は認められなかった.入院し、全身麻酔下に摘出術が行われた.歯ブラシ片は、第1頸椎左方、左茎状突起背側、左内頸動静脈の背側に位置していた.摘出された歯ブラシ先端部は約2.5cmであった(写真1).合併症として、膿瘍形成が認められた. | |
Full Text | No.034 歯ブラシによる口腔内外傷(事例1) | |
類似報告 | No.34・No.47 類似事例
No.34 類似事例3~7 No.34 類似事例8 |
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