事例 | 年齢:3歳 0か月 性別:女 | |
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傷害の種類 | 眼球・頭部外傷 | |
原因対象物 | アンパンマンのブランコパークDX(写真1)W1,850×H1,100×D1,250 | |
臨床診断名 | 眼球結膜裂傷、頭蓋内異物、外傷性脳室内出血、症候性てんかん、尿崩症、運動性失語 | |
直接医療費 | ||
発生状況 | 発生場所 | 自宅2階の子ども部屋 |
周囲の人・状況 | 姉(4歳)と、弟(1歳)と遊んでいた.周囲に大人はおらず、母・祖父が3階にいた. | |
発生年月日・時刻 | 2010年7月19日 午後3時半 | |
発生時の詳しい 様子と経緯 |
室内用遊具(ジャングルジム、滑り台、ブランコが一体となったもの)で遊んでいた.ブランコを支える棒の両端に17cmくらいの金属製の棒が差し込まれており、これは高さ調整のために固定されておらず、子供でも容易に引き抜ける状態であった.兄弟で遊んでいたときに、児の右眼球に棒が刺さり、姉が引き抜こうとしたが完全には抜けず、弟が3階の母を呼びに行った.どうして刺さったかは目撃者がおらず、不明であった. | |
治療経過と予後 | 救急車にて当院に搬送となった.来院時、泣き叫んでいたが、意識はクリアであった.頭部CTにて右眼窩から頭蓋底を貫通して金属棒が位置しており、また脳内を貫くように左頭頂葉に高吸収域を認め、この部分に金属棒が刺さっていると推測した.救急外来で鎮静下に抜去を試みたが出来ず、全身麻酔下に開頭術を施行し、ようやく抜去することができた(写真2).結果的には頭部CTには写らなかったプラスチックの部分が引っかかっていたことが判明した.手術翌日には抜管でき、翌々日には経口摂取も可能となった.受傷後4日目から高ナトリウム血症が出現し、尿崩症としてデスモプレッシンの点鼻等を施行しているが、いまだ安定していない.また、受傷後6日目より全身性の痙攣が出現し、抗痙攣薬にてコントロールを施行している.現在は生命の危機は脱したが、運動性失語も見られ、今後の発達への影響が懸念される. | |
Full Text | No.021 室内ブランコの部品による頭蓋内損傷 |
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