Injury Alert(傷害速報)

 

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No.117 ヘアターニケット(毛髪)による頸部絞扼

事例 年齢:0歳 10か月 性別:女児 体重:8kg 身長:67cm
傷害の種類 頸部絞扼
原因対象物 母の毛髪(腰の長さくらい,計測上は58cm)
臨床診断名 ヘアターニケット(毛髪)による絞頸
直接医療費 入院 124,880円
発生状況 発生場所 自宅の寝室
周囲の人・状況 布団の上で母が添い寝している状態であった.生後すぐから毎日添い寝して就寝する習慣であった.
発生年月日・時刻 2022年1月X日(火)  午前4時0分
発生時の詳しい
様子と経緯
母に添い寝される形で母と2人で入眠中,児の頸部に母の毛髪が絡まり,絞頸の状態になったと思われた.児の泣き声で母が起床し,自身の毛髪により頸部を絞扼していることに気づいたが,母も動転してあまり覚えていないとのことであった.同居している父が寝室に駆け付け,ハサミで毛髪を切断した.絞頸状態は約5分程度で解除されたと推測された.児の顔面は鬱血が著明であったため救急要請した.救急隊現着時には,SpO2 98%(大気下),脈拍数132回/分,呼吸数24回/分で末梢動脈触知は良好であった.速やかに医療機関に搬送された.
治療経過と予後 病着時,視線は合い,意識は清明であった.バイタルサインに異常はなく,筋緊張を含めた神経学的所見に異常を認めなかった.頸部に紐様のもので絞められたような索状痕と顔面の著明な点状出血を認め,鬱血後であることが示唆された.全身身体診察では外傷痕や紫斑などは認めなかった.血液検査,頭部CT,全身骨X線検査にて異常を認めなかったが経過観察目的に入院とした.入院後,腹部超音波検査や眼科診察を実施したが異常は認めなかった.虐待を完全に否定できないため,児童相談所に通告し,児童相談所職員の他,警察や法医学教室の医師にも介入いただいた.法医学教室の医師の診察にて,後頸部の索状痕は図1のように左右で数cm離れており,人為的な絞扼ではない可能性が高いとの見解であり,ヘアターニケット(毛髪)による絞頸に矛盾しないと判断された.経過観察後,X+1日に退院した.退院後は,かかりつけ医に情報提供を行い,ワクチン接種での受診時などにフォローアップされている.また,入院中に児童相談所,保健所が立会しており,退院後の乳児検診の際に保健師が面会を行うなどのフォローアップをおこなったが,特に問題なく経過した.
Full Text No.117 ヘアターニケット(毛髪)による頸部絞扼

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