事例 | 年齢:11歳 11か月 性別:女児 体重:32 kg 身長:150 cm | |
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傷害の種類 | アナフィラキシー | |
原因対象物 | ハム | |
臨床診断名 | 卵によるアナフィラキシーショック | |
直接医療費 | 入院 159,120円 外来 7,290円 | |
発生状況 | 発生場所 | 自宅 |
周囲の人・状況 | 本児は両親とともに自宅食卓にてハムサンドイッチを食した. 同サンドイッチは母親が調理したものであった. | |
発生年月日・時刻 | 2021年4月X日(土)午後0時35分 | |
発生時の詳しい 様子と経緯 |
母親は全卵除去食で対応していた.A食品会社のハムは卵を含まないことが明記されていたため,以前から母親はそのハムを購入していた.発生当日,いつものように調理したサンドイッチを口にした本児は食後5分程度で口唇の違和感を訴えた.両親が確認すると口唇が腫脹していた.母親が食品包装の表記を確認すると,製造工程がリニューアルされ卵白が含まれていた.アレルギーを疑った両親に連れられて,食後30分程度で医療機関を受診した. | |
治療経過と予後 | 午後1時05分(食後30分後)来院時,血圧120/60mmHg,心拍数105回/分,意識は清明であった.眼瞼浮腫はなく口唇の軽度腫脹,左前胸部に呼気性喘鳴をみとめた.数分後膨疹が後頸部を中心に出現,腹痛を訴えアナフィラキシーと判断,午後1時15分にアドレナリン0.3mgを左大腿外側筋注した.直後から眼瞼浮腫・全身の膨疹は改善傾向となった.しかし午後1時55分に心拍数140回/分と上昇し,午後2時15分に口渇を訴え,眼瞼浮腫と膨疹が再度強まってきた.顔色蒼白となり橈骨動脈圧触知が弱く再測定した収縮期血圧は50~70mmHgとなり補液するとともに2回目のアドレナリン筋注を行い一般病棟に入院した.午後4時30分に嘔吐および血圧低下を認めたため,3回目のアドレナリンの筋注を行いICUに転棟した.その後は落ち着いており,翌日には軽度の眼瞼浮腫を残すのみで全身状態良好のため経口摂取を再開した.経過良好のため発症3日目に退院した.退院後外来で,アドレナリン自己注射薬を処方した. | |
Full Text | No.110 リニューアル商品に含まれた卵によるアナフィラキシーショック |
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