Injury Alert(傷害速報)

 

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No.106 アロマディフューザーの液を誤嚥したことによる化学性肺炎

事例 年齢:1歳 4か月 性別:男児 体重:14kg 身長:77cm
傷害の種類 誤飲
原因対象物 アロマディフューザー50 mL(図1)(香り:ROSE).販売元の資料では,成分の55%がジプロピレングリコールメチルエーテルであった.
臨床診断名 化学性肺炎
直接医療費 入院 650,440円
発生状況 発生場所 自宅トイレの洗面台横
周囲の人・状況 トイレのドアは開き戸で,普段は閉めているが,発生時トイレのドアが開いていた.母は姉をトイレ横の洗面所で着替えさせていた.発生時トイレ内には,姉のために用意していた高さ14.5 cmの踏み台があった.
発生年月日・時刻 2020年11月X日(水)午前8時
発生時の詳しい
様子と経緯
2020年11月X日の午前8時ごろ,母が姉を洗面所で着替えさせているときに,トイレへ向かう本児をみた.約1分後に姉の着替えが終わり,母が本児の様子をトイレに見に行ったところ,本児は咳をしながら泣いていた.アロマディフューザーにさしてあった棒と容器が洗面台のシンクに全て落ちており,残りの液体がほとんど無い状態であった.床やシンクには液体はなかった.本児が吐きそうになっており,口からアロマの香りがしたため午前8時半に医療機関Aを受診した.口からアロマの香りがあり顔色はやや不良であった.経過観察を指示され帰宅となったが,帰宅後2回嘔吐を認め,その際も咳き込んでいた.同日午後に同院を再診し,40度の発熱がありアセトアミノフェン座薬を処方され帰宅した.X+1日も同院を再診し,炎症反応高値であり水分摂取不良であったことから医療機関Bを紹介された.
治療経過と予後 医療機関Bを受診時,体温39.3度,心拍数180回/分,SpO2(室内気)95%,呼吸数50回/分であった.意識清明で活気あり,軽度の咳と鼻汁がみられた.頻呼吸はみられたものの,呼吸音に明らかな異常はなく努力呼吸もみられなかった.血液検査ではWBC 18,740(好中球68%)/μL,CRP 21 mg/dLと炎症反応が上昇しており,胸部X線写真(図3(a))では両側下肺野に浸潤影がみられた.同日入院し,肺炎に対しスルバクタム/アンピシリン点滴静注を開始した.しかし高熱は持続し,X+3日の胸部X線写真で左肺野の透過性低下を認め,肺炎増悪と判断し抗菌薬はセフォタキシムへ変更し,化学性肺炎を考慮しプレドニゾロン静注2 mg/kg/dayを開始した.薬剤変更後すみやかに解熱したが,X+6日の胸部X線写真(図3(b))で左下肺に空洞性病変を認めたため,胸部単純CTを施行した.胸部単純CT(図4(a)(b))では,左肺下葉に長径4 cm大の蜂巣状の空洞を伴う病変がみられた.周囲への炎症波及は軽度であったため同日よりプレドニゾロンを漸減し内服へ移行した.プレドニゾロンは数日毎に漸減し計13日使用した.X+13日の胸部X線写真で増悪ないこと・血液検査で炎症反応改善したことを確認し自宅退院とした.経過中,高熱と頻呼吸はみられたものの,低酸素血症や努力呼吸は一貫してみられず,咳嗽も軽度で,吸引では少量の痰のみ引ける状態であった. 退院後は外来にて定期的に診察および胸部X線写真を実施し,受傷3か月後の胸部X線写真上(図3(c))では,空洞病変の改善を認めた.また発症6か月後の胸部単純CT(図4(c)(d))では,左肺底部に陳旧性炎症性変化と思われる索状影~小結節影が認められるものの,前回CTで左肺下葉に認められた空洞性病変は消失していた.
Full Text No.106 アロマディフューザーの液を誤嚥したことによる化学性肺炎
類似報告 No.106 類似事例1
No.106 類似事例2
No.106 類似事例3

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