事例 | 年齢:7歳 11 か月 性別:女児 体重:19.7 kg 身長:107.6 cm | |
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傷害の種類 | 熱傷 | |
原因対象物 | エスカレーターと周囲の壁 | |
臨床診断名 | 前胸部II度熱傷,四肢擦過傷 | |
直接医療費 | 入院148,680円 外来7,440円 | |
発生状況 | 発生場所 | デパートの上りエスカレーター(壁とハンドレールまでは20 cm) |
周囲の人・状況 | 母,本児,他の成人男性客の順に並んで,デパートの2階から3階に向かう上りエスカレーターに乗車していた.母は前を向いており,母の背後で,本児は,ハンドレールから身を乗り出して乗車していた.顔全体は手すりの外側に出ていた. | |
発生年月日・時刻 | 2018年7月X日(水)午後3時15分 | |
発生時の詳しい 様子と経緯 |
上記時刻に,エスカレーターのハンドレールと3階の壁の間に,本児の体幹部が挟まった.頭部はハンドレールより下にあり,壁との間に挟まってはいなかった.すぐ後ろにいた成人男性が,本児の足腰を掴んで挟まっている状態から引き抜こうとしたが,動かなかった.約30秒間エスカレーターが動き続け,母と周囲の客で本児を支えながら,挟まった体幹部を引きずり出そうとしたが,余計に壁とハンドレールの間に挟まっていった.警備員により緊急停止ボタンが押され,エスカレーターは停止した.周囲の成人客は,挟まった状態の本児を無理に引きずり出すことなく,本児の体幹部を支えて落下しないように保持した.救急隊到着時は,本児の右肩から上腹部にかけてハンドレールと3階の壁の間に挟まったまま(図4)であった.挟まれてから20分程度で,救急隊により本児が救出された.経過中,終始意識は清明で,呼吸の異常は見られなかった.発生時刻から45分後,母同伴のもと,医療機関へ搬送された. | |
治療経過と予後 | 病院到着時,意識清明でバイタルサインは安定していた.左肩から前胸部にかけて摩擦によって生じた熱傷を呈し(図5),左手関節には擦過傷を認めた.全身CT検査や血液検査などで明らかな異常は認められなかった.前胸部II度熱傷に対しては開放性湿潤療法を開始した.同日,経過観察目的に入院し,経過良好であったため翌日に退院した.開放性湿潤療法を自宅で継続するように指導し通院加療を継続した.創部の経過は良好であり受傷後1か月の時点で終診とした. | |
Full Text | No.103 エスカレーターと壁に挟まれて受傷した体幹外傷 事例2 |
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