Injury Alert(傷害速報)

 

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No.096 ストロー様異物による乳歯への嵌入

事例 年齢:3歳 2か月 性別:女児 体重:不明 身長:不明
傷害の種類 口腔内異物
原因対象物 ストロー様異物
臨床診断名 下顎右側乳中切歯異物嵌入
直接医療費 24,620 円
発生状況 発生場所 不明
周囲の人・状況 不明 家族構成:父,母,姉(本児の初診時7歳)
発生年月日・時刻 不明(推定:本児が1歳4か月頃)
発生時の詳しい
様子と経緯
小児歯科専門医である報告者が,2019年10月に某市の3歳児健診で本児を歯科診察した際,下顎右側乳中切歯にストロー様の白色円筒状異物が嵌入しているのを発見した(図1).保護者によれば,本児が1歳4か月頃異常(何かはわからないが,他の歯と異なる外観)に気づき,歯科医院を受診したが経過観察となった.1歳6か月健診の歯科診察でも同部位は 「歯科医院で経過観察中」として記録があった.その後も別の歯科医院を受診したが,診断には至らずそのままになったという経緯であった.原因となった異物や発生状況について保護者が思い当たることはなかった.摘出された異物の特徴や,乳幼児の生活環境における用途や使用頻度から,飲料用ストローの可能性が高いと推察されたが,これがいつ,どのよう に嵌入したのかは不明である.
治療経過と予後 健診の6日後に報告者の歯科医院を受診した.X 線写真では,歯槽骨の高度な垂直性吸収が認められた(図2).これは異物が2年近く嵌入していた影響で歯周組織の炎症から歯槽骨の破壊が進行したものと考えられ,肉眼的にも患歯の動揺が著しかった.歯科用器具により 異物を慎重に引き出し,切断しながら摘出した.表層に見えていた部分は1.5mm程度で あったが,歯肉溝深くに陥入しており,摘出された異物の全長は約5mmであった(図3). 異物摘出後,患歯に対してワイヤーと歯科用接着剤による暫間固定をおこなった.暫間固定は3 か月後に解除したが,X 線写真上,同時点で歯槽骨の再生はほとんど認められなかった.異物摘出から5か月経過した時点で,患歯は歯髄壊死や脱落の兆候なく口腔内で機能しているものの,軽度の動揺と挺出を認めている(図4).
Full Text No.096 ストロー様異物による乳歯への嵌入

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