事例 | 年齢:3歳 5か月 性別:女児 体重:18kg 身長:110cm | |
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傷害の種類 | 転落 | |
原因対象物 | キャスター付きのキャリーバッグ(高さ約60 cm) | |
臨床診断名 | 急性硬膜外血腫 右側頭骨骨折 | |
直接医療費 | 291,523円 | |
発生状況 | 発生場所 | 空港のターミナル内 |
周囲の人・状況 | 両親が付き添っていた. | |
発生年月日・時刻 | 2019年4月X日(金) 午後8時15分 | |
発生時の詳しい 様子と経緯 |
訪日外国人観光客で,受傷当日に空港に到着した.空港内でキャリーバッグの上に座っていたところ,後方へ転落して頭部を床面に打撲して受傷した.受傷から45分経過して嘔吐し始め様子を見ていたが,受傷から約3.5時間経過した頃になって心配になったため,受傷現場から数キロメートル離れた駅にて救急要請した. | |
治療経過と予後 | 病院到着時のバイタルサインは体温 36.9℃,呼吸数24/分,脈拍96/分,経皮的動脈血酸素飽和度98%(室内気),血圧86/40 mmHgと明らかな異常は認めなかった.入眠していたが,覚醒させると意識清明であり,指示動作も入り,四肢の運動障害は認められなかった.身体診察では右側頭部に打撲痕を認めた以外に,明らかな外傷所見を認めなかった. ER到着時に児は入眠していたことからそのまま頭部単純CTを撮影した.頭部単純CTでは右側頭骨骨折と右急性硬膜外血腫の所見を認めた(図1,2).血液データでは明らかな異常所見を認めなかった. 上記の経過と所見から,PICUへ収容して保存的に経過観察する方針とした.入院後はけいれんや意識障害の出現はなく,入院翌日には一般病棟へ移動し,食事も通常どおり摂取可能だった.X+5日に退院となった.幸い当初の旅程どおりの帰国便に搭乗することができた. | |
Full Text | No.085 キャスター付きキャリーバッグからの転落による頭部外傷 |
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