Injury Alert(傷害速報)

 

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No.080 金属製のフックによる眼瞼裂創

事例 年齢:5歳 3か月 性別:男児 体重:19.7 kg 身長:110.0 cm
傷害の種類 顔面裂創
原因対象物 保育園に設置された金属製の園児用タオル掛け(縦40 cm,横103 cm,高さ85 cm,重さ 7 kg:図1,図2)
臨床診断名 #1.左眼瞼裂創,#2.左前房出血,#3.網膜振盪
直接医療費 453,750円(食事代9,900円含む)
発生状況 発生場所 保育園内テラスの手洗い場
周囲の人・状況 本児は通園中であり,保育園のテラスにいた.担任の保育士と本児の保護者は,保育園の室内で会話をしていた.
発生年月日・時刻 2018年4月X日(火)午後4時15分
発生時の詳しい
様子と経緯
上記時刻,本児は保育園のテラスにいた.担任の保育士と本児の保護者は保育園室内で会話中であった.物音がしたため現場に駆け付けると,テラスの手洗い場に設置されている金属製のタオル掛けと一緒に本児が倒れていた.発見時,タオル掛けの金属製フックが左眼裂から上眼瞼に抜ける形で貫通していた(図3).左眼は開眼不能であった.すぐに救急要請し,現着した救急隊により金属製のフックはニッパで切断され,医療機関へ救急搬送された. 大人の目撃はなく,詳細な受傷機転は不明であった.本児の話では,タオル掛け下部の金属バー(図1参照)に足を乗せて揺らして遊んでいたところ,バランスを崩して転倒したとのことであった.
治療経過と予後 来院時は意識清明で全身状態は安定していた.左眼瞼裂創以外の外傷は認めなかった.眼科診察中に遺残した金属製のフックは円滑に抜去できた.頭部・顔面CT検査で眼窩内や皮下脂肪織内に空気を認めたが,眼球の形態は保たれ,外眼筋に異常はなかった.頭蓋内に異常も認めなかった(図4).眼科検査で左眼球破裂はなかったが,左前房出血を認めた.前房出血の出血割合は33%未満のmicrohyphemaであり手術介入は不要と判断された.眼瞼裂創に対して縫合処置が実施された.入院後,抗菌薬投与,ステロイド点眼と抗菌薬点眼を併用して保存的加療を開始した.眼科診察を繰り返し,腫脹軽減後に眼球そのものに損傷などないことを再度確認し,退院した.退院後,視力低下はなく経過している.また,今回の経緯について保育士と情報共有を行い,事故防止対策を講じた.現在はタオル掛けの周囲に防護柵を設けている.タオル掛けを木製に変更し,周囲の壁とタオル掛けをつないでいる(図5)
Full Text No.080 金属製のフックによる眼瞼裂創
類似報告 No.80 類似事例1
No.80 類似事例2

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