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小児におけるインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行に備えて~お子様の保護者の皆様へ~

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2022年11月2日
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会
日本小児科医会公衆衛生委員会
 

 2020年春に新型コロナウイルス感染症の世界的流行が始まって以降、国内においてはインフルエンザの流行はありませんでした。しかし、今年は、先にインフルエンザシーズンを迎えた南半球の国々や中国の一部では、3年ぶりにインフルエンザが新型コロナウイルス感染症流行前と同じかそれ以上のレベルで流行しました。以上より、今年の冬は、日本においても今後インフルエンザが流行すると予測されており、新型コロナウイルス感染症との同時流行になるのではないかと危惧されています。

 インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は異なるウイルスによる病気(感染症)ですが、症状はとてもよく似ており、症状だけで両者を区別するのは難しく、両者を区別するには抗原検査やPCR検査が必要となることがあります。この2つの病気が同時に流行すると、熱を出した子どもが病院、診療所を問わず、発熱外来のある小児科や小児救急外来に殺到し通常の小児科診療が行えない状態になり、尊い命を救うための医療の提供も難しい事態となる可能性があります。そのような事態を防ぐためにはインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症の予防が重要となります。

 インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの感染症の予防にはワクチン接種が最も有効です。インフルエンザワクチンは、流行が始まるまでに接種を完了させておく必要があります。なお、例年の流行は12月以降ですが、今シーズンの南半球の流行状況から、流行が早まる可能性がありますので、早めに接種することをおすすめいたします。また、新型コロナワクチンについては、現在5~11歳の子どもたちに対して小児用ワクチンの接種が実施され、10月末からは6か月以上の乳幼児へ接種が開始されています。接種後の発熱や痛みなどを心配されておられる保護者も多いと思いますが、5~11歳用ワクチンの副反応は12歳以上用ワクチンに比べて少ないことがわかってきました。加えて、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同時接種も可能で、接種間隔の制限はありませんので積極的にワクチン接種を受けることを検討してください。(参考:新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」に関するQ&A

 一方、種々の感染対策をしていても、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症にかかってしまうことはあると思います。もし熱が出ても、機嫌がよく、経口摂取(哺乳)でき、普段通りに眠れている場合などは、まずはかかりつけの医療機関に対応を相談しましょう。(参考:新型コロナウイルス感染症等流行時における小児の発熱時の対応について)もし、かかりつけの医療機関への相談や受診が難しい夜間や休日の場合には、子ども医療電話相談(#8000)の利用も可能です。ただし、2歳未満の子どもや基礎疾患を持っている子どもの場合は新型コロナウイルス感染症が重症化しやすいことが報告されていますので、予めかかりつけの医療機関に相談しておくことをおすすめします。

 インフルエンザと新型コロナウイルス感染症から子どもたちを守るためには、ワクチン接種と併せて、屋内の人込み等での適切なマスクの着用や適切な手洗い、十分な換気なども並行して行うことが大切ですので、これらの感染予防対策を心がけて頂きますよう、よろしくお願いいたします。


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