2024年12月24日掲載
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
今年は、アジア諸国、ヨーロッパ諸国ではしか(麻疹)の流行規模が大きくなっております。これから始まる年末年始には、海外へ旅行される方が多いことが見込まれます。
麻疹はワクチン未接種のまま感染すると命に関わる重症感染症のため、海外渡航者のうち、特に流行が認められる国への渡航者、空港を利用される方に対し、旅行前の対策をお願いしたいと考え、「年末年始に、アジアやヨーロッパの国々に旅行される方、空港を利用される方~麻疹(はしか)にご注意ください~」を公開しました。
年末年始にアジアやヨーロッパの国々に旅行される方、空港を利用される方~麻疹(はしか)にご注意ください~
2024年12月24日
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
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2024/25年の年末年始に、アジアやヨーロッパの国々に旅行される方、空港を利用される方は、麻疹(はしか)にご注意ください。全世界で麻疹の発生が今なお続いている1)のが現状ですが、とくに現在、アジアやヨーロッパの 国々では麻疹が大規模に流行しています 。日本国内では最近、ベトナムからの帰国後に麻疹を発症した方が複数報告されており、2024年に海外での感染と推定された麻疹患者さんの渡航先はベトナムが5人と最も多く、それ以外にアラブ首長国連邦4人、タイ3人、イギリス3人、インド2人、マレーシア2人、イタリア1人、トルコ1人となっています(2024年12月4 日時点)2)。
麻疹はとても感染力が強く、重い症状を引き起こす感染症で、予防に確実な方法はワクチンしかありません。年末年始に海外旅行される方、麻疹のワクチンを受けていますか?
とくにアジアやヨーロッパの国々を旅行されるご予定の方、そのほかにも航空機を利用される方、空港は様々な国からの人々が集まる場所です。旅行の前に次のことをご確認ください。
・1歳を過ぎたお子さんは定期接種として、すぐに乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン (以下、MRワクチン)を受けることを徹底してください。未接種のまま渡航することは控えましょう 。
・幼稚園の年長組・保育所の5歳児クラス以上の方は 2回MRワクチンを受けておられることをご確認ください。もしMRワクチンを1回しか接種していない場合、なるべく早く2回目のワクチンを接種してください。ただし、小学生以上の場合は任意接種となります 。
<参考文献>
2)国立感染症研究所感染症疫学センター.麻疹速報グラフ2024年第48週 .