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原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文、レポート

原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文・レポートを掲載いたします。
診療の参考となる論文を今後紹介してまいります。
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
 
【2023年12月15日掲載】
著者名:Sagar Mehta, Tomisin John, Jordan J. Feld, et al.
論文名:Severe acute hepatitis of unknown etiology in a large cohort of children
雑誌名:Hepatology Communications. Sep 27;7(10):e0272
DOI:10.1097/HC9.0000000000000272.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10531196/pdf/hc9-7-e0272.pdf
 
 この研究では、カナダのトロント小児病院に原因不明の重症急性肝炎で受診した、それまで健康であった小児の割合、臨床的特徴、転帰を調査した。2018年6月1日から2022年5月31日までの期間に、血清ALTまたはAST 500 U/L以上を示した患者を抽出した。AST>500U/Lのみを示した患者やその他の原因でALT値が上昇している患者を除外し、最終的に338例を解析した。そのうち33例(9.8%)が原因不明の重症急性肝炎と診断された[年齢中央値6.1歳(範囲0.5-15.5)、男61%]。このうち12例(60.6%)が血中アデノウイルスPCR検査を受け、1例(5%)で血清型B7が陽性であった。肝組織検査は18例で行われがすべての症例で原因ウイルスは特定できなかった。12例(36.3%)が小児急性肝不全と診断され、8例(24.2%)が肝移植を受けていた。肝炎関連再生不良性貧血は5例(15%)にみられた。結論として、AST/ALT>500 U/Lを示した急性肝炎患者のうち9.8%が原因不明の重症急性肝炎であり、4年間の観察期間で発生数に経時的な変化はなく、ヒトアデノウイルス41との関連性は観察されなかった。肝移植術は小児急性肝不全の重要な治療戦略となっていた。
 

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