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5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方

日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
2022年1月19日
2022年3月16日改訂
(2022年3月28日一部修正)
 
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1. 感染状況とワクチンに関する知見

  1. 国内における5~11歳の新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)症例の大多数は軽症ですが、酸素投与などを必要とする中等症例や心不全をきたしうる小児多系統炎症性症候群は散発的に報告されてきました1-3)。COVID-19流行初期は小児の感染率が低く、同年代人口の1~2%にとどまると言われていました。一方、2022年1月以降は、オミクロン株の流行に伴い、小児の感染者数は増加しており、厚生労働省の公表資料4)によると、少なくとも10歳未満は6.7%、10代は6.3%が新規に感染したことになります(年代別人口は、総務省統計局2022年2月21日発表人口推計より引用)。デルタ株流行期に比べ中等症、重症の占める割合は低くなっていますが5)、感染者が増えたことで、クループ症候群、肺炎、けいれん、嘔吐・脱水などの中等症や重症例の数が増えています6)
  2. 国内の小児における症状を流行株の違いにより分けた場合に、オミクロン株流行期における患者は発熱の頻度が高く、熱性けいれんの報告数が多いことが確認されています6)
  3. 2歳未満(0~1歳)と基礎疾患のある小児患者において重症化リスクが増大することが報告されています7)
  4. 長期化する流行による行動制限が小児に与える直接的および間接的な影響は大きくなっています。さらに、オミクロン株流行に伴う小児患者数の増加に伴い、保育施設8)、学級、学校9)閉鎖の数が増加したことも重大な問題です。
  5. 国内で5~11歳を対象とする接種への承認がされているワクチンは、現時点ではファイザー社製のみです。同ワクチンは従来のワクチンと比べ含有されるmRNA量が1/3の製剤で、使用に際し注意が必要です。海外では、5~11歳の小児に対する同ワクチンの発症予防効果は当初90%以上と報告され、重症な病型である小児多系統炎症性症候群に対する予防効果も報告されていました10,11)。流行株がオミクロン株に変わってから感染予防効果は31%、発症予防効果は51%と低下しています12,13)が、入院予防効果は74%と報告されています (ただし、入院予防効果を検討した研究の最初の2週間ほどはデルタ株の流行時期に重なっていること、症例数が少ない検討であることには注意が必要です)13)
  6. 米国では、2021年11月3日~12月19日までに5~11歳の小児に約870万回のファイザー社製ワクチンが接種され、42,504人が自発的な健康状況調査(v-safe)に登録されました。2回接種後、局所反応が57.5%、全身反応が40.9%に認められ、発熱は1回目接種後7.9%、2回目接種後13.4%に認められました14)
  7. 上記と同期間に、米国の予防接種安全性監視システム(VAERS)には、4,249件の副反応疑い報告がありました。このうち97.6%(4,149件)が非重篤でした14)。重篤として報告された100件(2.4%) の中で最も多かったのが発熱(29件)でした14)。11件が心筋炎と判断されましたが、全員が回復しました15)
  8. 5~11歳の小児では16~25歳の人と比べて一般的に接種後の副反応症状の出現頻度は低かったと報告されています14)

2. ワクチン接種の考え方

  1. 子どもをCOVID-19から守るためには、周囲の成人(子どもに関わる業務従事者等)への新型コロナワクチン接種が重要です。
  2. 基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、COVID-19の重症化を防ぐことが期待されます。基礎疾患を有する子どもへのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談することが望ましいと考えます。詳細についてはこちらを参照ください。
    http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=409
  3. 5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種は12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種と同様に意義があると考えています。健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(発症予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要です。
  4. 接種にあたっては、接種対象年齢による製剤(12歳以上用と5~11歳用のワクチンでは、製剤・希釈方法・接種量・保管方法が異なります)の取り扱いに注意が必要と考えます。また、集団接種を実施する場合においても、個別接種に準じて、接種前の問診と診察を丁寧に行い、定期接種ワクチンと同様の方法で実施するとともに、母子健康手帳への接種記録を行います。

より詳細なデータが出た時点で、接種に対する考え方について随時検討する予定です。

 
引用文献
  1. Shoji K, et al. Clinical Characteristics of Hospitalized COVID-19 in Children: Report From the COVID-19 Registry in Japan. J Pediatric Infect Dis Soc. 2021 Dec 31; 10(12):1097-1100.
  2. 工藤 絵理子ら、川崎病に準じて治療したCOVID-19関連小児多系統炎症性症候群の年長児例   日本小児科学会雑誌 2021;125:574-1580
  3. 若盛 ゆき音ら、COVID-19後に小児多系統炎症性症候群および川崎病様症状を呈した小児例
    感染症学雑誌 2021;95:377-380
  4. 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の国内発生動向:2022年3月8日24時時点
    https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000910933.pdf
  5. 第29回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料1 https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000887500.pdf
  6. 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会. 「データベースを用いた国内発症小児 Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) 症例の 臨床経過に関する検討」の中間報告: 第3報 オミクロン株流行に伴う小児COVID−19症例の臨床症状・重症度の変化: http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=385http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=385
  7. 令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業・一類感染症等の患者発生時に備えた臨床的対応に関する研究(研究代表者加藤康幸)診療の手引き検討委員会:新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き第6.0版
  8. 厚生労働省 保育所等における新型コロナウイルスによる休園等の状況(3月28日(月)14 時時点各自治体報告集計分)
  9. 部科学省初等中等教育局健康教育・食育課. 新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業状況調査の結果について.
    https://www.mext.go.jp/content/20220218-mxt_kenshoku-000006590_1.pdf
  10. Walter EB, et al. Evaluation of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Children 5 to 11 Years of Age. N Engl J Med. 2022; 386:35-46.
  11. Zambrano LD, et al. Overcoming COVID-19 Investigators. Effectiveness of BNT162b2 (Pfizer-BioNTech) mRNA Vaccination Against Multisystem Inflammatory Syndrome in Children Among Persons Aged 12-18 Years - United States, July-December 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022; 71(2):52-58.
  12. Fowlkes AL, et al. Effectiveness of 2-Dose BNT162b2 (Pfizer BioNTech) mRNA Vaccine in Preventing SARS-CoV-2 Infection Among Children Aged 5–11 Years and Adolescents Aged 12–15 Years — PROTECT Cohort, July 2021–February 2022. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 11 March 2022.
  13. Klein NP, et al. Effectiveness of COVID-19 Pfizer-BioNTech BNT162b2 mRNA Vaccination in Preventing COVID-19-Associated Emergency Department and Urgent Care Encounters and Hospitalizations Among Nonimmunocompromised Children and Adolescents Aged 5-17 Years - VISION Network, 10 States, April 2021-January 2022. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022; 71(9):352-358.
  14. Hause AM, et al. COVID-19 Vaccine Safety in Children Aged 5–11 Years — United States, November 3–December 19, 2021.MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021; 70(5152):1755-1760.
  15. Woodworth KR, et al.: The Advisory Committee on Immunization Practices’ Interim Recommendation for Use of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine in Children Aged 5–11 Years — United States, November 2021.MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021; 70(45):1579-1583.
 

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