(登録:2005.11.30)
日本小児科学会におけるタミフルに係わる事項についての見解
(平成17年11月30日)
平成17年11月30日
社団法人日本小児科学会
会長 衞藤 義勝
日本小児科学会はタミフルに関して予防接種・感染対策委員会にて討議した結果 下記の通りの見解を表明する。
米国FDA(Food and Drug Administration)が発表した小児死亡例(いずれも日本における発症例で、平成17年11月日本小児感染症学会で報告された例も含まれている。FDAは、タミフルと報告された小児死亡との間に因果関係があるとは結論づけられない、との見解を示している)について、検討を行った。
得られた資料に記載されている死亡例に生じた事象は、タミフル未使用のインフルエンザにおいても国内外で同様の事象(急性死、精神/神経症状、脳症/脳炎症状、心筋炎、肺水腫、肺炎等)がみられるもの、あるいはインフルエンザによって基礎疾患が悪化した事象と考えられ得るもの、あるいは医学的資料が不十分で検討ができないものなどであり、現時点でタミフルとこれらの死亡についての因果関係が明らかなものはなかった。
我が国におけるタミフルの添付文書には、重大な副作用として精神・神経症状の記載が平成16年5月より追加されている。添付文書における副作用の記載は、一般に、治験によって得られた有害事象等の検討に基づいたものに加えて、市販後調査によって医師から提供された情報についてその因果関係を否定することが困難であるものも含め、厚生労働省担当部局とメーカーの協議に基づき、予防警告的な意味合いを持って適宜追加記載されているものである。
従って医学的因果関係が明らかになったものだけが含まれているわけではないという理解のもと、今後も我が国において十分な市販後調査が継続され、その結果が国内においても適切に公表されることを望むものである。
一般診療におけるタミフルの使用については、従来通り投与の適応や症状の経過観察等への注意が必要であるが、現時点ではその使用に対して改めて注意勧告などを行う状況ではないと考える。
以上
参考: