(登録:2006.06.21)
臓器移植関連法案改正についての日本小児科学会の考え方
臓器移植関連法案改正については、日本小児科学会として、その考え方を度々表明してきたところですが、改正案が国会へ再提出されておりますので改めてその問題点を指摘し、当会の考え方を表明いたします。
日本小児科学会の臓器移植の考え方は、現時点ではB案(臓器摘出の意思表示を現行法の15歳以上から12歳以上に引き下げるなどの案)に近いものです。もしいきなりA案(本人の臓器提供の意思が不明でも、遺族の書面による承諾があれば臓器摘出が可能などとする案)に沿って、年齢制限も設けず小児脳死臓器移植が行われる場合は、ほとんどの病院で基盤整備(※)が行われていない現状においては、現場で混乱が起こるのは必至であります。したがって、数年間の期限付きでB案を施行する中で、その間に厚労省の責任で基盤整備をすることが望ましいと考えます。そして、基盤整備ができた後に、より低年齢の小児にも脳死臓器移植が行われるような法案整備を進めるべきであると考えます。なお、今回の法案に盛り込まれている親族への優先項目については、公正性から疑問があります。
※基盤整備とは、以下のことを指す。
1.虐待児からの臓器摘出防止に関する基盤整備
2.小児の脳死の判定基準の検証ならびに再検討
3.小児の意見表明権の確保に関する基盤整備
2006年5月21日
日本小児科学会
会長 別所 文雄
小児脳死臓器移植に関する基盤整備ワーキング委員会
委員長 清野 佳紀