ガイドライン・提言

 

(登録:2008.3.31)
 

わが国の社会への「子どもの性の問題に関する」提言

日本小児科学会次世代育成プロジェクト委員会提言
 

日本小児科学会次世代育成プロジェクト委員会


 子どもたちが大人になってから、理想のパートナーを見つけて、産みたくなったときに安全に子どもを産み、幸せに子育てができることが理想であることは言うまでもありません。しかし、現実には、若年妊娠にともなう若年出産や人工妊娠中絶、性感染症による健康被害などの問題が起きています。また、性的虐待や性の商品化などの問題も子どもたちを巻き込んでいます。これはわが国だけの問題ではなく、世界の多くの国々に共通した問題です。私たちには、子どもたちの「健全な性」を育成し、子どもたちの「性の健康」を守り、子どもたちが「将来に安全で幸せな出産・育児」ができるような支援を行うことが求められています。

  1. 自分、パートナー、次の世代の健康を守る責任を持つことが困難な思春期の子どもたちの性交渉は基本的に勧められるべきではありません。しかし、実際には、知識や相談機関が少ないために妊娠したり、性感染症によって健康を損なう子どもたちがいます。また、性的な虐待を受けている子どもたちや金銭などで性を買われている子どもたちもいます。
  2. この様な現状を考えるとき、子どもたちを守るために社会自体もその在り方や子どもたちを大切にするための方策を考えなくてはならない時期に来ています。
  3. 子どもたちの性を守るためには、子どもたちを取り巻く大人が未来を支える子どもたちの権利が守られるように努めてゆくことが基本です。子どもたちにとって将来の目標となるような大人たちを増やしてゆく必要があります。
  4. 例えば性を商品化することを謳っている一部のマスメディア、規範によらないインターネットでの情報氾濫、増加する出会い系サイトなどについては、子どもたちを守るためにも何らかの対策が必要と考えられます。言論は本来自由であるべきですが、自由にはそれを守ってゆくための責任が伴います。
  5. 現在は真偽とりまぜて様々な性の情報があふれています。子どもたちには、命の大切さを考えるという観点からの生命の誕生にいたる知識、性交渉を行った場合に遭遇しうる健康被害としての妊娠や性感染症のリスクについての正確な知識を伝えるための教育が必要です。教育によって防ぎうる「不幸な事態」は決して少なくないと考えます。

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