ガイドライン・提言

 

(登録:2009.2.20)

 

学会要望で開発した小児医薬品の病院での採用問題について

 

 本学会が開発を要望した医薬品に関しては、医薬品採用時に「一増一減ルール」が適用されないよう、会員各位のご理解とご協力を賜り、医療機関に働きかけていただくことを提言します。

日本小児科学会薬事委員会
薬事委員長 伊藤  進

 

 本提言の根拠は、適応外使用医薬品の問題解決のために製薬企業に適応追加・剤形追加等の開発を要望した医薬品について、医療機関採用時のアンケート調査を実施し、その課題と対策について検討した結果である。
 小児科領域における適応外使用医薬品の解決と治験推進のために日本小児科学会薬事委員会では年度毎のアクションプランを掲げ、会員皆様のご協力を賜りながら、様々な対策を講じ評価をしています。特に適応外使用されている薬剤については、小児薬物療法根拠情報収集事業においてエビデンスを検討し、開発の優先順位付けを進め、製薬企業や行政に開発や添付文書の改訂の要請を出してきております。
 一方で製薬企業の開発意欲を阻害する要因の一つとして病院における医薬品採用時の いわゆる「一増一減ルール」の問題が取り上げられております。「一増一減ルール」とは、病院内の薬剤管理の効率的に行うため、一つの医薬品を採用する際に、同種同行品や採用を希望する製薬会社の既採用品を一つ削減する等、多くの病院で取り入れている制度です。
 そこで、本薬事委員会は本学会が開発を要望した2品目の医薬品の医療機関への採用実態について、製薬企業の協力を得てアンケート調査を実施した結果、10~20%の施設において本ルールが厳密に適用され、開発した製薬会社の既採用医薬品を取り下げている実態が我々の調査で明らかになってきました。また、このルールのために採用を控えざるを得なく、現在でも保険適応のない同種薬を用いた適応外使用が継続している状況も確認されています。
 このように本学会が開発を要望した医薬品に対しても「一増一減ルール」が適用されることがあれば、今後とも製薬企業の協力も得られないものと考え、適応外使用医薬品の解決を図る薬事委員会として、医療機関に対して働きかけていく必要があると思い上記提言をいたしました。医薬品の管理業務が大変であることや各医療機関の医薬品の採用について学会が関与する性格のものではないと十分認識しておりますが、今後の小児医薬品の適応外使用の問題解決のために、ぜひ会員各位におかれましては本趣旨をご理解いただき、何卒ご協力いただきたくお願い申し上げます。

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