ガイドライン・提言

 

2020年5月26日

新型コロナウイルス感染症に対する保育所・幼稚園・学校再開後の留意点について

関係各位

公益社団法人日本小児科学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大によって、休所・休園・休校が全国で続きましたが、5月25日に緊急事態宣言が全国で解除され、分散登校やその他の手段を用いながら、徐々に学校生活が再開されつつあります。
 日本小児科学会は、「子どもの総合医」として、子どもとその家族を守る立場から、新型コロナウイルス感染対策を講じた新しい生活様式の留意点を、次のように考えています。

感染対策を徹底した上での学校再開であっても、誰もが感染する可能性があります

 2020年5月22日に発出された『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル〜「学校の新しい生活様式」〜』(文部科学省)の内容を踏まえ、学校内での感染対策を続けていくことが大切であると考えます。しかしながら、学校での感染症対策を徹底したとしても新型コロナウイルス感染のリスクをゼロにすることは不可能です。地域の小児科や感染管理に関する医師と綿密な連携体制を構築し、刻々と変化する状況に対して適切な判断を行う必要があります。

感染者や関係者が責められることのない社会を築きましょう

 もし感染が生じた場合、対象となる学校関係者・保護者・園児/児童/生徒が差別、偏見、誹謗中傷、いじめなどで辛い思いをすることがないようにしなくてはなりません。新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識を持って、感染者に対しても偏見なく温かい思いで迎える社会を構築していく必要があると考えます。

休園・休校が子どもや保護者、社会に及ぼした影響を考慮しつつ、より良い未来を築くためにみなさんで取り組みましょう

 子どもの教育、福祉、健康の源である保育所・幼稚園・学校生活は、子どもにとって最も基本的かつ大切な活動です。休所・休園・休校の問題点としては、子どもの教育の遅れ、生活習慣の乱れ、運動不足、それによる体重増加、栄養の偏り、食環境の変化、家庭内での虐待の増加、保育所・幼稚園・学校での福祉活動の低下、保護者の就労困難・失業、祖父母などの高齢者との接触機会の増加などがあげられます。これから新しい行動様式の中で生活を始める子どもの変化に気づき、適切に対応するきめ細やかな心遣いが必要と考えます。

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