ガイドライン・提言

 

在宅療養児介護者のCOVID-19感染判明時等の支援について

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 医療的ケア児をはじめとする在宅療養児は、保護者等の介護者による24時間365日絶え間ないケアによって自らの生命を維持しています。
 その中で、もしも介護者が、COVID-19感染者もしくは濃厚接触者になった場合、一時的な隔離により、在宅療養児のケアをする人が不在になる可能性があります。そのような状況下では、医療機関受診も困難で、かつ訪問看護、訪問リハビリ、居宅介護、学校への通学、児童福祉施設(保育園・療育施設等)の利用なども困難になりかねず、結果として在宅療養児に必須の絶え間ないケアが途切れ、在宅療養児にとって危機的事態が生じるリスクがあります。
 こうしたリスクを回避するため、介護者・在宅療養児がCOVID-19に感染した際の指針および事前検討事項を以下に示します。
 在宅療養児の支援者は、保護者と共に、事前に対応を検討してください。また、医療機関、各種施設においては、必要に応じて都道府県・自治体とも相談の上、施設としての対応方針を事前に検討していただくのが望ましいです。

1.   主介護者がCOVID-19感染と診断された場合に、在宅療養児は濃厚接触者となるが、単独移動の可能性は低いため、原則、隔離管理として2週間以上観察期間とする
     
2.   隔離管理の体制について以下の対応を検討する
  感染した主介護者の状態が入院を要しない場合に、在宅介護継続の可能性について
     ・その場合の生活支援(買い物を含む家事など)について
  主介護者以外の家族等による介護体制の可能性について
  在宅療養への直接的な支援サービス(例えば訪問看護・訪問介護など)を24時間体制で組んで、保護者等の替わりを在宅で行う事について
     ・その場合の介護者の防護策(アイシールド、マスク、ガウン、キャップ等の準備含む)について
  一時的に施設等に収容してレスパイトと同様の介護を行う事について
  一時的に一般病院病床においてレスパイトと同様の介護を行う事について
  その他の代替え案について
     
3.   観察期間中に在宅療養児が発症した場合の治療体制について以下の対応を検討する
  主治医病院における入院治療の可能性について
  感染症指定病院における入院治療の可能性について
  その他の医療機関における入院治療の可能性について
  その他の代替え案について
     
4.   その他の検討事項について
  保護者等の介護者が入院を要する状態か否かにより、上記対応の変更について考慮する
  患児が感染のため入院となった場合には、家族に介護者として同室してもらうことを検討する
  欠品の可能性がある介護物品類などの代替案などの検討も行うことが望ましい
  ストレス下に置かれた家族や子どもに対するこころのケアにも配慮することが望ましい

 

【参考】
新型コロナウイルス感染症に係る医療的ケアを必要とする児童への対応について(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症に係る医療的ケアを必要とする児童への対応について(その2)(厚生労働省)
訪問系サービスにおける新型コロナウイルス感染症への対応について(厚生労働省)
感染症対策下における子どもの安心・安全を高めるために(日本臨床心理士会、日本公認心理師協会、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)

 

2020年4月7日
公益社団法人日本小児科学会
小児医療委員会

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