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原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文、レポート

 原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文・レポートを掲載いたします。
診療の参考となる論文を今後紹介してまいります。
 
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会

 

【2023年11月20日掲載】

著者名:Moriah M. Mitchell, Yumei Leng, Suresh Boppana, et al.
論文名:Signatures of AAV-2 immunity are enriched in children with severe acute hepatitis of unknown etiology
雑誌名:Sci Transl Med. 2023 Jul 26;15(706):eadh9917.
DOI:10.1126/scitranslmed.adh9917
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10501808/

 米国アラバマ小児病院の9例のWHO criteriaに合致する原因不明の重症急性肝炎症例とコントロール群(小児38例と成人470例)の抗体反応をVirScanという方法で解析した(注釈:この方法は、原理的には無限のウイルス抗原に対する抗体を同時に測定する方法)。
 米国アラバマ州の最初のクラスターで同定された9例のうち、8例(89%)は全血検査でヒトアデノウイルス感染が陽性であった。亜型分類が可能であった5例すべてがアデノウイルス41型であった。VirScanでの解析では9例のうち、7例はAAV-2に対する強い抗体反応を示した。成人および小児コントロール群に対して、肝炎症例で有意に高い相対頻度で標的とされたペプチドは、1つのB型肝炎ウイルスペプチドを除いて、すべてAAV由来であった。
 本研究では、重症急性肝炎症例において、AAV-2タンパク質の特定領域に対する保存された抗体応答が検出されたが、これは小児や成人のコントロール群では認められなかった。一方で、アデノウイルスに対する抗体反応や特定のアデノウイルスペプチドに対する反応に、症例と対照での差は見出されなかった。AAV-2が陽性であったすべての症例で、AAV-2の複製が促進され、これらの症例では、アデノウイルス免疫応答に加えて、少なくとも2つのヒトヘルペスウイルスに対する免疫応答も認められた。複数のヘルパーウイルスとの同時感染が、ヘルパーウイルスに感染した細胞が増加し、その結果、AAV-2の複製が可能な細胞数を増加させるという機序が考えられる。
 以上の結果から、AAV-2反応抗体とAAV-2感染は原因不明の小児重症肝炎に関連している。

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