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原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文、レポート

 原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文・レポートを掲載いたします。
診療の参考となる論文を今後紹介してまいります。
 
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会

 

【2023年7月24日掲載】

著者名:Shogo Otake, Chiaki Ikenoue, Natsu Sudani, et al.
論文名:National Surveillance of Pediatric Acute Hepatitis of Unknown Etiology, Japan, October 2021–December 2022
雑誌名:Emerg Infect Dis. 2023;29:1288-1291.
DOI:10.3201/eid2906.221579.
URL:https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/29/6/22-1579_article

 国内で原因不明の急性肝炎として届け出られた症例をまとめた国立感染症研究所からの報告である。厚生労働省はWHO定義に準じて、2021年10月1日以降に診断された原因不明の肝炎を呈する入院例のうち、ASTまたはALTが500 IU/Lを超える急性肝炎を呈した16歳以下の小児のうちA型~E型肝炎ウイルスの関与が否定されている者を、小児の原因不明の急性肝炎疑い例と暫定的に定義し、届け出対象と定めた。急性肝不全は凝固障害(PT-INR>2)またはPT-INR >1.5かつ臨床的に脳症を認めた例と定義された。医療機関および地方衛生研究所では、所定の微生物学的な検討が行われた。
 日本国内で2021年10月から2022年12月までに原因不明肝炎139例が報告された。地域偏在性はなく、疫学的な関連を認めた症例はなかった。年齢中央値は4.4歳、男児が53%を占め、基礎疾患を26%に認めた。急性肝不全の定義を満たしたのは11/85例(13%)、17/95例(18%)は集中治療を要し、3例は肝移植を要したが、死亡例はなかった。アデノウイルス陽性率は11/125例(9%)と他国と比べ低く、英国で問題となった41型の検出は2/11例のみであった。入院時におけるSARS-CoV-2 陽性率は10/134例(7%)と低かった。国内においては、英国のような症例の一時的な増加はなく、疫学について特段の傾向を認めなかったと結論付けられている。

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