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原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文、レポート

 原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文・レポートを掲載いたします。
診療の参考となる論文を今後紹介してまいります。
 
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会

【2023年2月22日掲載】

著者名:Leiskau C, Tsaka S, Meyer-Ruhnke L, et al.
論文名:Acute severe non-A-E-hepatitis of unknown origin in children-a 30 year retrospective observational study from north-west Germany.
雑誌名:J Hepatol Dec 23;S0168-8278(22)03464-X.
DOI: 10.1016/j.jhep.2022.12.012.
URL:https://www.journal-of-hepatology.eu/article/S0168-8278(22)03464-X/fulltext

 ドイツ北西部で過去30年以上にわたり発生した小児の重症急性肝不全患者の後方視的検討。WHOの基準に則り、小児期の急性肝炎症例をドイツの2施設(Hannover Medical School、University Hospital of Essen)から集積し、1990~2018年と2019~2022年の症例の発生状況と予後を比較した。
 基準を満たした急性肝炎患者は107例(1施設当たり年間2.32症例)であった。発生率は2018年以前の2.2から2019年以降は4.25へと上昇した(p=0.002)。発症時に黄疸を認めたのは75.7%で、感染を契機としたものは51.4%であった。アデノウイルスが証明されたのは2例で2004年と2016年の症例であった。他にHHV-6が4例、EBV・CMV・HSVがそれぞれ3例から検出された。69例(64.5%)は小児急性肝不全の診断基準を満たし44例は肝移植を要した。近年の症例、感染症や消化器症状・ALT高値を呈した症例は移植にいたる割合が比較的低く、肝性脳症、INR高値、ビリルビン高値を呈した患者の予後は不良であった。25例は肝炎後に続発して再生不良性貧血を発症した。19例(17.8%)が死亡した。
 小児の急性非A~E肝炎は稀だが重篤な疾患であり、多くは急性肝不全に移行した。本研究における近年の症例は報告されている2022年の原因不明の非A~E肝炎に類似しており、過去と比較して予後良好であった。2019年以降の患者増はアデノウイルス以外の誘因があることを示唆している。

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