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原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文、レポート

 原因不明の小児の急性肝炎に関連した論文・レポートを掲載いたします。
診療の参考となる論文を今後紹介してまいります。

日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会

【2022年10月7日掲載】
著者名:Romaní Vidal A, Vaughan A, Innocenti F, et al
論文名: Hepatitis of unknown aetiology in children - epidemiological overview of cases reported in Europe, 1 January to 16 June 2022.
雑誌名:Euro Surveill. 2022 Aug;27(31):2200483.
DOI:10.2807/1560-7917
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35929429/
 
 欧州のサーベイランスシステム(TESSY)に、2022年1月1日から6月16日の間に20か国のWHO European Regionから427例の原因不明の小児急性肝炎例が報告されたので、それらの症例についてデータを解析した。59%の症例が第9週から22週の間に発症し、18週以降は発生数が漸減している。77.3%が5歳以下で、平均年齢は4.2歳だった。384例中201例(52.3%)が女児で、性差はなかった。アデノウイルスに関する検査が実施された325例中、174例(55.3%)が検査陽性、SARS-CoV-2 RNA検出が実施された280例中29例(10.4%)が陽性だった。アデノウイルス陽性例はICUあるいは高度な医療ユニットへの入院リスクが高く(OR = 2.11; 95% CI: 1.18-3.74)、肝移植を受けた割合も高かった(OR = 3.36; 95% CI: 1.19-9.55)。症例を英国と他のヨーロッパ諸国に分けて検討すると、10歳以下の症例393例中63.4%が英国からの報告で、季節性を見ると英国での流行(第12週がピーク)は他のヨーロッパ諸国(第16週、17週がピーク)に比べ早かった。さらにアデノウイルス検査が実施され陽性と診断された症例の割合は英国(63.6%)が他のヨーロッパ諸国(35.3%)より有意に高く(p<0.001)、英国(52.9%;74/140)のほうが他国(7.9%;8/101)に比し有意にICUなど高次医療施設への入院率が高かった(p<0.001)。しかしながら、英国とそれ以外のヨーロッパ諸国に分けて統計学的解析を実施すると、前述のアデノウイルス陽性例がより重症度が高いという結果は得られなかった。
 

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