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2022年8月26日

RSウイルス感染症の現状と注意事項について

日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会

 国内でRSウイルス感染症の報告が増加しています。

【RSウイルス感染症の現状】
 RSウイルス感染症は、特に乳幼児に急性細気管支炎や肺炎を引き起こし重症化することのある急性呼吸器感染症です。2021年は時期外れで、しかも定点当たりの報告数が例年の約2倍の大規模な流行となりました。
 2022年もRSウイルス感染症の小児患者が増えており、その増加のペースは昨年と同様、従来よりも急峻となっています(図)。2022年第20週以降、中部・近畿を中心とした一部地域で報告数が増加し、その後全国へ拡大しています。        

 図:定点あたりRSウイルス感染症報告数(感染症週報2022年第28週より引用)

【注意事項】
 RSウイルス感染症の重症化リスクのある小児には、パリビズマブによる予防を適切に行う必要があります。また、新型コロナウイルスとの混合感染も散見されています。新型コロナウイルス感染者数も急増しており、小児医療が逼迫しています。病原体検査は軽症であれば感染対策上必要な場合のみに絞る、全身状態と基礎疾患や既往歴(早産児など)といったリスクを加味して入院の要否を決めるなど、検査適応や入院適応を適切に判断する必要があります。地域の病院ごとに役割分担を検討しておくことも重要となります。

【補足事項】
 RSウイルス感染症と症状が似ているヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症が疑われる6歳未満の患者で、画像診断もしくは聴診など身体所見により肺炎が強く疑われる場合、免疫クロマト法によるhMPV抗原定性検査が可能です。ただし、hMPV抗原定性検査に、インフルエンザウイルスA型またはB型に対する抗体価測定、インフルエンザウイルス抗原定性、RSウイルス抗原定性のうち3項目を併せて実施した場合には、主たる2つに限り保険適用されます。インフルエンザウイルスA型またはB型、またはインフルエンザウイルス抗原定性を併せて実施した場合は1項目として数えます。

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