2022年7月20日
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
新型コロナウイルス感染により、高齢者や基礎疾患を持つ成人が重症化したり死亡したりする中で、有効なワクチンを短期間に多くの希望者に接種することが必要であった。そのため成人に対しては、集団接種会場や職場などで、診察は省略し問診のみで接種を行っている。しかし小児は、新型コロナウイルス感染症以外の感染症に罹患していることも多く、また注射に対して強い不安を抱くこともある。さらに、同時期に接種するワクチンも成人と比較して多いことから、接種間隔にも配慮しなければならない。そのため、小児の接種においては、十分な問診・診察と本人や保護者への説明を行った上で接種する必要がある。
1)検温:明らかな発熱者(37.5度以上)は予防接種不適当者と判断されるが、小児の場合は部屋の温度や啼泣などで体温上昇するため、全身状態が良い場合は、涼しいところで水分摂取などしてから再検する。
2)聴診・触診・視診:成人と異なり、自ら息苦しさや咽頭痛を訴えない場合があり、問診だけでは見落とすことがある。接種前に喘息発作・気管支炎の有無や不整脈の有無など呼吸・循環状態に問題がないか聴診し、上気道炎や胃腸炎などの急性期症状が無いか、咽頭視診や腹部の触診をできる限り行い確認する。
現時点では、新型コロナワクチンの前後2週間は、原則として他のワクチン接種ができない。小児は、麻しん、風しん、日本脳炎などの定期予防接種ならびにおたふくかぜ、インフルエンザなど任意予防接種の接種機会が多い。接種前に、2週間以内に他のワクチンを接種していないかについて問診と母子健康手帳で確認する。2回目の新型コロナワクチン接種時には1回目の接種との接種間隔を確認する。また接種後は、以降に新型コロナワクチン以外のワクチン接種する医師がわかるよう、接種記録を母子健康手帳に記載する。