各種活動

 

MRワクチンの接種推奨対象者について

日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
2018年5月

 定着した麻疹ウイルスの国内伝播が消滅した麻疹排除状態の日本においても、海外からの輸入例を発端とした散発例やアウトブレイクがしばしば報告されています。重症化のリスクが高い子どもたちを麻疹から守るために、以下の対象者に対するワクチンの接種を推奨します。

【定期接種対象者】(最優先)

・第1期定期接種対象者(1歳児)

・第2期定期接種対象者(小学校入学前1年間の幼児、すなわち今年度6歳になる者)

【任意接種対象者】

・規定の2回の定期接種を完了していない未成年者

・0歳児を持つ両親やその同居家族

免疫低下者など接種不適当者の児を持つ両親やその同居家族

・妊婦の同居家族

・医療関係者(事務職員や救急隊員を含む)

・保育関係者

・教育関係者

・海外渡航を予定している者

 なお、風疹の排除達成を目指す観点からも、原則として「乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)」を用い、1歳以上で2回の接種記録(第2期定期接種の対象となる以前の幼児は1歳以上で1回の接種記録)があれば免疫を有すると考えます。

*参考事項

(1) 接種対象者が接種不適当者に該当しないことを確認したうえで接種する。

(2) 生後6~11か月児への接種は、近隣で麻疹患者の発生が認められる状況などにおいて緊急避難的な場合に考慮される手段であり、有効性や安全性に関するさらなるエビデンスの集積が必要である。

(3) 麻疹患者と接触あるいは空間を共有した感受性者(生後6か月以上に限る)に対する曝露後緊急接種は、定期接種、任意接種に関わらず、罹患した場合の疾患の重篤性に鑑み、速やかに検討する。(麻疹患者と接触あるいは空間を共有した感受性者に対する対策として、ワクチンが使用できない場合は、筋注用免疫グロブリン製剤によって予防あるいは軽症化を期待できる場合があるので、速やかに検討する。)

(4) 参考事項(2),(3)に関して、0歳で接種したワクチンは有効な回数として数えず、1歳になったら接種を行い1回目としてカウントする。

(5) 1歳以上で第2期定期接種の対象となる以前の幼児で、1回接種済みの者に対する任意接種は、麻疹患者との接触の程度や状況を考慮の上、必要と認める場合に限って検討する。

(6) 妊娠出産年齢の女性は、接種前に妊娠していないことを確認し、ワクチン接種後2か月間は妊娠しないように指導する。

(7) 明らかな麻疹の罹患歴がある者に対して接種は不要である。日本では麻しんワクチンが開発される以前に流行期を経験した50歳以上の者では、麻疹罹患歴のある者が多数を占めると考えられる。

*参考資料

国立感染症研究所 感染症疫学センター「麻しん風しん混合(MR)ワクチン接種の考え方」2018年4月17日.

http://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/MRvaccine_20180417.pdf

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