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(登録:2007.03.27)
 

日本小児科学会におけるタミフルに係わる事項についての見解
(平成19年3月25日)

 

平成19年3月25日
社団法人日本小児科学会


 日本小児科学会はインフルエンザにおけるタミフルの使用に関して平成17年11月30日に予防接種・感染対策委員会にて討議した結果の見解を表明している。
 その後厚生労働科学研究によって「インフルエンザに伴なう随伴症状の発現状況に関する調査研究班(主任研究者・横田俊平教授)」が構成されたことにより、さらなる見解についてはそれらの研究成果を待っているところである。また厚生労働省に対しては同見解で「我が国において十分な市販後調査が継続され、その結果が国内においても適切に公表されることを望むものである。」と述べている。

 最近のインフルエンザ及びタミフルに関連した可能性があるとされる転落死を伴う異常行動の事例報告から、厚生労働省は医療関係者への注意喚起(平成19年2月28日)に続いて同年3月20日10歳代のインフルエンザ患者に対するタミフルの使用を差し控えるよう緊急安全情報を発出した。

 日本小児科学会はこれまで「一般診療におけるタミフルの使用については、従来通り投与の適応や症状の経過観察等への注意が必要であるが、現時点ではその使用に対して改めて注意勧告などを行う状況ではないと考える。」としてきたが、事実関係は明らかになってはいないものの慎重を期して一時的に使用を控えるとの厚生労働省の判断を受け入れ、「現在流行中のインフルエンザの10歳代患者に対するタミフルの使用は、ハイリスク群などへの治療を除き原則として当面差し控える。」としたい。
 ただし、インフルエンザとタミフルの使用、そして異常行動との因果関係については、さらなる科学的な調査研究が必要であり、率先して解明を行う環境を早急に整え、調査研究を強く進めることを国に求めるものである。
 日本小児科学会は本事例の科学的な解明に積極的に協力することを改めて表明する。

 インフルエンザにともなって異常行動がでることについてはこれまでも指摘されており、タミフル使用制限によっても異常言動が全くなくなるわけではないと言える。したがってタミフルなどの服用の有無にかかわらず、特に小児や未成年のインフルエンザについては、症状が出てから二日間程度は、言動、行動等に注意し、その経過をよく見るよう患者本人あるいは保護者に説明すべきである。

以上

参考:

  • 日本小児科学会HP
    学会からの提言主張(登録:05.11.30)日本小児科学会におけるタミフルに係わる事項についての見解
  • 医薬品・医療用具等「緊急安全性情報」医薬品医療機器総合機構
    http://www.info.pmda.go.jp/kinkyu_anzen/kinkyu_index
  • 日本小児科学会第110回学術集会抄録 p1-071-P1-074
  • 厚生労働科学研究費補助金「ワクチンの安全性向上のための品質確保の方策に関する研究」平成18年度分担研究報告(資料) 分担研究者・横田俊平 平成19年3月
  • 五島典子他:インフルエンザ罹患時の異常言動に関する臨床的検討 小児感染免疫 18(4): 371-376, 2006.
  • 浜 六郎:リン酸オセルタミビルによる突然死、異常言動死:その因果関係の考察(抄録) 小児感染免疫 18(1): 56-57, 2006.
  • 原 啓太他:インフルエンザの経過中に異常言動・行動を呈した症例の検討 日本小児科学会雑誌 111(1): 38-44, 2007.

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