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(登録:2009.8.20)

 

新型インフルエンザ(H1N1 2009)に関連してインフルエンザ脳症に関する要望書

 

平成21年8月17日

厚生労働省
新型インフルエンザ対策推進本部御中

社団法人 日本小児科学会
会長 横田 俊平

謹啓
 現在、新型インフルエンザは、静かに感染を拡大させています。夏季に入ったにもかかわらず、インフルエンザ定点からの報告数が増加し、また病原体定点からは現在の流行の大半は新型インフルエンザウイルスによるものであることも明らかになっております。そのようななか、国内において小児のインフルエンザ脳症の報告例もこのところ続いています。平成21年8月13日現在、インフルエンザ脳症は国内で5例報告されており、うち1例は重症例です。私ども日本小児科学会としては、今後、罹患年齢層の低下に伴い、幼児を中心とした小児のインフルエンザ脳症の増加や、海外で報告されているARDSを含む重症肺炎の国内発生を危惧し、地域診療体制の整備を始めたところです。
 以上の状況に鑑み、厚生労働省におかれましては、以下の点について、国民への情報伝達と知識の普及の推進にご協力いただけますようお願い申し上げます。

  1. 今まで国内に重症例が殆ど報告されなかったことから、国内社会においては「新型インフルエンザは軽症である」との認識が拡がっているが、今回、新型インフルエンザに伴う脳症重症例が発生したこと。
  2. 夏季であるにもかかわらず、国内や米国などの北半球において、小児の脳症例の報告が続いていること。
  3. 今後、秋・冬の感染拡大の中、幼児における新型インフルエンザの流行は避けられないものと考えられ、この年齢層を中心とした小児のインフルエンザ脳症の発症数の増加が危惧されること。
  4. 以下の症状は、インフルエンザ脳症の早期の症状として、保護者等一般の方が注意すべき点であり、これらの症状がみられたら医療機関(小児科であることが望ましい)を受診すること:
    インフルエンザ様症状(発熱、気道症状)に加え
    A.「呼びかけに答えない」など意識レベルの低下がみられる
    B.痙攣重積および痙攣後の意識障害が持続する
    C.意味不明の言動がみられる
  5. 強い解熱剤(例:ボルタレン、ポンタールおよびこれらと同様の成分の入っているもの)はインフルエンザ脳症の予後を悪化させるので、必ず解熱剤はかかりつけの医師に相談して用いること。

 以上の5点を国民へ確実に伝達できますよう、厚生労働省に早急な対応をお願いする次第です。
 なお、インフルエンザ脳症は、5類全数届出疾患「急性脳炎」に含まれるものとして届けることになっております。合わせて臨床医への再喚起をよろしくお願いいたします。

謹白

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