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学会の活動

日本小児科学会雑誌、Pediatrics Internationalの症例報告における患者の個人情報保護に関する指針

2026年7月26日

日本小児科学会和文誌編集委員会
日本小児科学会英文誌編集委員会

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 症例報告は、小児医学の発展において重要な役割を果たしてきたものであり、公益性の観点からもその推進が求められる。しかし、これらの報告には、特定の患者の疾患や治療内容に加え、ゲノム情報や社会生活歴など、極めて重要な個人情報が含まれる可能性がある。特に小児においては、患者本人ではなく保護者が代諾者となることが多く、報告が将来に与える影響も大きいため、患者個人が特定されないようにするための適切な対策が不可欠である。

 以下は日本小児科学会和文誌編集委員会、英文誌編集委員会において協議された、症例報告における患者の個人情報保護に関する指針である。

  1. 発表に関する同意を患者本人または代諾者(患者が死亡している場合、未成年などで本人の同意を得ることが困難である場合)から得る。なお、患者が未成年などで、判断能力が不十分な場合は、代諾者からの同意に加えて年齢に応じた説明に基づいたアセントを取得する。
  2. 症例報告においては通常、倫理審査委員会の承認は不要であるが、その要否については所属機関の規定に従う必要がある。特に、以下の場合には所属機関等の倫理審査委員会の承認または所属機関での承認手続きが必要であり、承認された旨を論文中に記載する。
    ・個人が特定される可能性があり、かつ、患者本人または代諾者からの有効な同意が取得できない場合は、原則として掲載対象としない。ただし、公益性が高く、報告の意義があると判断される場合には、所属機関等の倫理審査委員会または所定の審査手続きによる承認を得た上で投稿可能である。最終的には、編集委員会が個別に判断する。(患者本人の同意取得年齢、方法については所属機関の規定に従う。)
    ・診療の一環として実施された遺伝学的検査の結果を症例報告に記載することのみをもって、直ちに倫理審査委員会の承認が必要となるものではない。ただし、ゲノムデータ単体でも一定の条件を満たす場合は本人を識別し得る個人識別符号になり得ること、遺伝情報は本人のみならず血縁者に関する情報を含む可能性があることに留意し、本人および家族のプライバシー保護に十分配慮しなければならない。患者本人または代諾者から症例報告に関する同意を取得できない場合、または遺伝情報を含む症例報告の公表について慎重な判断を要する場合には、上述の原則に従う。
    ・研究として新たにヒトゲノム・遺伝子解析を実施した場合には、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」および所属機関の規定に従う。
    ・虐待や貧困など社会医学的内容を扱う症例報告の場合。
    ・実施した医療行為そのものが、法令、指針または機関規程により事前の承認を必要とする場合。(例:未承認・適応外使用に関する機関内承認、特定臨床研究における認定臨床研究審査委員会の承認、医師主導治験における治験審査委員会の承認など。)
  3. 症例報告において何例からの検討が倫理審査委員会・治験審査委員会等の承認を必要とするかは所属機関等の倫理審査委員会・治験審査委員会等の規定に従う。複数症例を提示することで一般化可能な知見を提唱するものは研究に該当し、承認を要する。
  4. 患者個人が特定可能な氏名、イニシャル、生年月日は記載しない。
  5. 患者の住所は記載しない。ただし、疾患の発生場所が病態等に関与する場合は、都道府県までに限定して記載を許可する。
  6. 日付は個人が特定されないと判断される場合、年月までの記載を認める。
  7. 他院で診断・治療を受けている場合、その機関名および所在地は記載しない。
  8. 顔を含む身体の写真は、疾患の特徴的所見を示す部分に限局したものとし、個人が特定されないよう加工する。(例:眼疾患の場合は、顔全体が特定されないように眼球のみの拡大写真とする。)提示する場合は、当該情報がインターネット上で公開され拡散される危険性があること、公開後の削除が困難であること、完全な匿名化が困難であることを説明した上で、個別の明示的同意を取得しなければならない。
  9. 症例を特定できる生検、剖検、画像情報に含まれる番号などは削除する。

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