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学会の活動

おたふくかぜ含有ワクチンの早期定期接種化および既承認ワクチンの活用に関する要望書

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令和8年6月4日

厚生労働大臣
上野 賢一郎 殿

公益社団法人日本小児科学会
会長 滝田 順子

おたふくかぜ含有ワクチンの早期定期接種化および既承認ワクチンの活用に関する要望書

標記の件につきまして、当学会は以下の通り要望いたします。
・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)を予防接種法に基づく対象疾病に含める
こと。
乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(以下:MMRワクチン)を可及的速やかに定期接種化すること。
おたふくかぜ含有ワクチンの定期接種の導入に当たっては、新たなMMRワクチンのみを対象とするのではなく、既承認の乾燥弱毒生おたふくかぜワクチンおよび乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン(以下:MRワクチン)の組合せによる実施も定期接種として使用可能とすること。
既承認乾燥弱毒生おたふくかぜワクチンを定期接種として活用する場合には、最新の安全性知見を踏まえ、接種対象、情報提供および副反応把握体制を適切に整備すること。
同時接種、接種部位、実施要領等の課題については、接種機会の確保を損なわないよう速やかに整理すること。

流行性耳下腺炎は小児に広くみられる感染症で、無菌性髄膜炎、脳炎、難聴、精巣炎等の重い合併症を来し得る重要な疾患です。特に難聴は不可逆的であり、長期にわたり大きな影響を及ぼします。近年は報告数が低水準で推移してきましたが、感受性者の蓄積により今後再び流行が生じることが懸念されており、おたふくかぜ含有ワクチンの早期定期接種化が重要です。
わが国では現在、乾燥弱毒生おたふくかぜワクチンが任意接種として用いられており、当学会は1歳以降早期の1回目接種と、小学校就学前1年間の2回目接種を推奨しています。過去に導入されたMMRワクチンは無菌性髄膜炎の問題により1993年に承認整理に至りましたが、その後、より安全性の高いおたふくかぜ含有ワクチンの開発が進められてきました1)。近年の全国前向き調査では、乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン接種44,708例中、無菌性髄膜炎は6例(疑い例2例を含む)で、頻度は10万接種当たり13.4と報告されました2)。従来の報告を下回るものの、特に1回目接種を実施する場合の安全性評価は引き続き重要だと考えます。
今般、新たなMMRワクチン(ミムリット®皮下注用)が2026年5月11日に製造販売承認されたことは歓迎すべきことです。無菌性髄膜炎の発生が極めてまれなムンプス株を含むワクチン3)であり、当学会はその早期定期接種化を支持します。一方、定期接種に用いるワクチンをMMRワクチンのみに限定した場合、供給源が実質的に限定されるおそれがあります。これまでもMRワクチン4)や乾燥弱毒生おたふくかぜワクチンでは出荷停止や供給不足が繰り返し生じており、定期接種においては必要時に複数の手段を確保しておくことが極めて重要です。
また、海外ではワクチン2回接種後もブレイクスルー感染がみられ5)、わが国のMMRワクチン第3相試験でも、流行性耳下腺炎に対する免疫持続性については乾燥弱毒生おたふくかぜワクチンとの非劣性を証明できなかった3)ことから、導入後も有効性や免疫持続性を継続的に評価することが必要です。
当学会は、自然感染による合併症リスクが既存の乾燥弱毒生おたふくかぜワクチンの副反応リスクを大きく上回ると考え、同ワクチンの任意接種を推奨してきました。その上で、より安全性の高い新たなMMRワクチンの早期定期接種化を支持します。一方で、流行性耳下腺炎に対する免疫原性および有効性の面では、既承認の乾燥弱毒生おたふくかぜワクチンが優位である可能性もあります。加えて、既承認ワクチンについては安全性に関する知見も蓄積されています。特に、追加接種時には、副反応を疑う症状の報告はほとんど認められなかった2)ことから、就学前の追加接種、制度移行期、供給制約時等においては、乾燥弱毒生おたふくかぜワクチンとMRワクチンの組合せによる接種を制度上可能としておくことが合理的です。これに伴う同時接種、接種部位、実施要領等の課題については、科学的知見の整理と現場への周知によって対応すべきと考えます。
以上を踏まえ、当学会は厚生労働省に対し、おたふくかぜ含有ワクチンの早期定期接種化および既承認ワクチンの活用を要望いたします。
何卒、前向きな御検討を賜りますようお願い申し上げます。

<参考文献>
1) 第23回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会. 予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会資料 (2024年1月24日). https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001195975.pdf (参照2026-4-9)
2) 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会、日本医療研究開発機構(AMED)研究
班.おたふくかぜワクチン接種後の副反応に関する全国調査報告.日本小児科学会雑
誌.2024;128(1):92-104.
3) Nakayama T, Oe K, Nakatsu T,et al. Comparative long-term follow-up study of
persistence of immunity after JVC-001 measles, mumps, and rubella vaccination in Japanese children. Hum Vaccin Immunother. 2025;21:2586344.
4) 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会.乾燥弱毒生麻しん風しん混合(MR)ワクチン接種率の現状と課題について (2025年12月15日改訂) .日本小児科学会.
https://www.jpeds.or.jp/uploads/2026-03/20251222_MR_wakuchin.pdf(参照2026-4-9)
5) Marin M, Marlow M, Moore KL, et al. Recommendation of the Advisory Committee on Immunization Practices for use of a third dose of mumps virus-containing vaccine in persons at increased risk for mumps during an outbreak. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018;67(1):33-38.

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