学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説
(登録:2011.1.19)
(更新:2012.9.16/2013.9.19/2014.9.21/2015.7.26/2017.5.28/2018.7.22/2019.7.28/2020.5.22/2021.6.10/2021.6.28/2022.6. 1/2023.4. 1/2023.5.31/2024.5.13/2025.4.30)
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」を改訂いたしました。(2025.4.30)
特定鳥インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、麻疹、髄膜炎菌性髄膜炎、肺炎球菌感染症、RSウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス感染症などを中心に、最新情報に修正しました。
はじめに
子どもが集団生活をおくる学校、幼稚園、認定こども園、保育所においては、感染症に罹患する機会が多いため、感染対策が望まれます。そこで日本小児科学会では、学校保健安全法にて定められている感染症に加え、保育、教育を受ける時期に感染しやすい感染症の概要を、最新の知見をもとに紹介し、予防・対策法について示すこととしました。学校、幼稚園、認定こども園、保育所での感染対策の参考として広く普及され、子どもの健康が守られることを望みます。なお、 「子ども」は15 歳未満、 「乳児」は 1 歳未満、 「幼児」は1 歳以上就学前までを表しています。
| 感染経路 | |
| 飛沫感染 | 感染している人が咳やくしゃみ、会話をした際に、口から飛ぶ病原体が含まれた小さな水滴を近くにいる人が吸い込むことで感染する。飛沫は1-2 m飛び散るので、2 m以上離れていれば感染の可能性は低くなる。 |
| 空気感染 | 感染している人が咳やくしゃみ、会話をした際に、口から飛び出した病原体がエアロゾル化し感染性を保ったまま空気の流れによって拡散し、同じ空間にいる人もそれを吸い込んで感染する。空気感染をする麻疹や水痘が学校や保育所等で発症すれば、未罹患でワクチンを受けていない人が感染し、発症する可能性は高い。 |
| 接触感染 | 感染している人に触れることで伝播がおこる直接接触感染(握手、だっこ、キスなど)と汚染された物を介して伝播がおこる間接接触感染(ドアノブ、手すり、遊具など)がある。病原体の付着した手で口、鼻、目を触ること、病原体の付着した遊具等を舐めること等によって、病原体が体内に侵入する。例えば咽頭結膜熱はプールでのみ感染するのではなく、ほとんどは集団生活のなかで接触感染している。 |
| 経口感染 | 病原体を含んだ食物や水分を摂取することで感染する。食事の提供や食品の取り扱いに適切な衛生管理が必要である。また、ノロウイルス感染症や腸管出血性大腸菌感染症など、便中に排泄される病原体が、便器やトイレのドアノブ等に付着していて、その場所を触った手からも経口感染する。 |
| 血液・体液感染 | 通常の生活では感染は起こらず、濃厚な曝露(性行為、針刺し事故など)があった場合にみられる。ただし、幼小児においては接触が濃厚であること、湿疹などの皮膚病変を持っていたり、怪我をして皮膚に傷があったりすることも多いことから、血液や体液を介した感染が起こりうる。 |
| 母子感染 | 妊娠中に母親の胎内で母親から胎児に病原体が感染し、流産、早産、児の先天的な障害につながる場合がある。また出産時に産道で母から児に感染する場合もある。さらに母乳中に含まれている病原体が授乳により母から児に感染する場合がある。 |
| 節足動物感染 | 病原体を保有する昆虫(蚊など)やダニがヒトを吸血する時に感染する。蚊の種類によって産卵する場所や、活動する時間帯が異なる。植木鉢の水受け皿や古タイヤなど小さな水たまりに産卵するものと、池や湖、水田など大きな水たまりに産卵するものがある。 |
| 感染予防法 | |
| 手洗い | 適切な手洗いでは、手首の上まで、できれば肘まで、石鹸を泡立てて、流水下で洗浄する。正しい手洗いの方法は、「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」から閲覧が可能である。 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/dl/130313-01_06.pdf 手を拭くのは個人持ちのハンカチや布タオルあるいはペーパータオルが望ましい。ハンカチや布タオルを使用する場合は共用を避ける。個人持参のタオルをタオル掛けに掛ける場合は、タオル同士が密着しないように間隔を空ける。 尿、便、血液、唾液、眼脂、傷口の浸出液などの体液に触れた場合は必ずきちんと手洗いをする(汗はこの限りではない)。 石鹸は液体石鹸が望ましく、容器の中身を詰め替える際は、残った石鹸は捨て、容器をよく洗い、乾燥させてから、新たな石鹸液を詰めることが望ましい。 |
| 咳・くしゃみへの対応 | 口、鼻をティッシュなどで覆い、使用後は捨てる。ハンカチなどを使う場合は共用しない。唾液や鼻水が手についた場合は流水下で石鹸を用いて洗う。ティッシュやハンカチのない場合は、手ではなく、袖や上着の内側で口や鼻を覆う。 飛沫感染する病原体は、患者側が不織布マスクをつければ予防効果は高い。また、患者側だけでなく、周囲の人も不織布マスクなどをすることによってある程度の予防が可能である。ただし、特に2歳未満や障害のある場合のマスク着用は、誤嚥や窒息などの危険性があるため注意が必要である。以下のURLから閲覧が可能である。 http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=128 空気感染する病原体は、患者側は拡散防止として、健常者側は予防としてのN95マスクは効果があるが、一般社会では実用的でない。 |
| 嘔吐物・便の取り扱い | 嘔吐物は、ゴム手袋、マスクをして、できればゴーグルを着用し、ペーパータオルや使い古した布で拭きとる。拭き取ったものはビニール袋に二重に入れて密封して、廃棄する。嘔吐物や下痢便のついた衣類などは廃棄するか、0.1%次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒する。消毒剤の噴霧は効果が低く、逆に病原体が舞い上がり、感染の機会を増やしてしまうため、行わない。処理後、石鹸、流水で手を洗う。 不顕性感染者(感染しているが無症状の者)は自分自身が病原体を排出していることに気付かず感染源となることがある。このため、下痢でなくとも排便後の手指の衛生管理には注意を払う。 おむつ交換は、食事をする場所等と交差しない手洗い場がある一定の場所で実施する。おむつの排便処理の際には、使い捨て手袋を着用する。交換後、特に便処理後は石鹸を用いて流水でしっかりと手洗いを行う。交換後のおむつはビニール袋に密閉した後に蓋つき容器等に捨てる。保管場所は適宜消毒する。 |
| 血液・体液の取り扱い | 本人には症状がないにも関わらず、血液、体液にヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B、C型肝炎ウイルスなどの病原体が含まれていることがある。このため、全ての血液や体液には病原体が含まれていると考え、防護なく触れることがないよう、以下の予防を行う。 皮膚に傷や病変がある場合は絆創膏などで覆う。 鼻出血や傷口などに触れる場合は、使い捨て手袋を着用し、終了後は手洗いを行う。血液で汚染された道具は、手袋をつけてペーパータオルなどで血液が見えなくなるまでふき取り、0.5%次亜塩素酸ナトリウムなどに30秒-2分浸し、空気乾燥させる。唾液などの付着した玩具などは、そのつど洗浄、乾燥する。0.1%次亜塩素酸ナトリウムなどに10分程度浸してから洗浄すれば、肝炎ウイルスの感染も予防できる。 |
| 清掃 | 床、壁、ドアなどは水拭きでよい。ドアノブ、手すり、ボタン、スイッチなどは、水拭きした後、1日1回の消毒(アルコール類でよい)が望ましい。ただし、ノロウイルスの流行期は0.02%次亜塩素酸ナトリウムなどを使用する。 子どもが舐めた、また、よだれがついているおもちゃは洗浄して乾燥させる。 屋外清掃では、蚊の産卵を減らすために、植木鉢の受け皿や古タイヤなどの水たまりをつくらないようにする、溝の掃除をして水の流れをよくする。 |
| 部屋の換気 | 空気感染対策のため、こまめに部屋の換気を行う。 |
| 調理 | 食材は衛生的に取り扱い、適切な温度管理で保管する。病原体が混入している可能性がある食材はしっかりと加熱する。 調理従事者の手指衛生や体調管理も必要である。調理具の洗浄、消毒は徹底し、生肉を取り扱った後の調理器具では、ほかの食材を調理しない。 乳児用調製粉乳は、70℃以上のお湯で調乳する。また、調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは廃棄する。母乳を介しての感染症もあるため、保管容器には名前を明記して、ほかの子どもに誤って飲ませることがないように十分注意する。 |
| プール | プールの水質基準である0.4-1.0 ppmの塩素濃度を守る。低年齢児が利用することの多い簡易ミニプール(ビニールプール等)についても塩素消毒が必要である。 プール前後にはシャワー等を用いて体を良く洗う。排泄が自立していない乳幼児ではプール前にお尻も洗い、個別のタライ等を用いて他者と水を共用しないよう配慮する。 プール後は、うがいをして、シャワーで体を洗う。 |
| 野外活動 | 緑の多い木陰、やぶ等、蚊の発生しやすい場所に立ち入る際には、長袖、長ズボン等を着用し、肌を露出しないようにする。 |
| 職員の衛生管理 | 集団生活施設では、職員が感染源となることがあるため、職員の体調管理に気を配る。清潔な服装と頭髪を保つ。爪は短く切る。 また、風疹、水痘、伝染性紅斑など、胎児に影響をおよぼす感染症の流行期には、風しんワクチンや水痘ワクチン未接種かつ未罹患の妊娠している職員を休ませる配慮が望まれる。 |
| 予防接種 | 日本では、子どもの定期接種としてジフテリア、百日せき、破傷風、急性灰白髄炎(ポリオ)、B型肝炎、麻しん、風しん、水痘、日本脳炎、結核(BCG)、Hib(インフルエンザ菌b型)感染症、肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、ロタウイルス感染症に対するワクチンが実施されている。また、任意接種としておたふくかぜ、インフルエンザ、新型コロナ、A型肝炎、髄膜炎菌、狂犬病、黄熱、ダニ媒介性脳炎に対するワクチンや、定期接種期間を過ぎた未接種ワクチンも実施されている。通常の予防としてワクチンに勝るものはない。 職員のこれまでの予防接種の状況を把握し、予防接種歴及び罹患歴がともにない又は不明な場合には、嘱託医等に相談した上で、当該職員に対し、予防接種を受けることが感染症対策に資することを説明することが重要である。 また、感染症発生時に迅速な対応ができるよう、職員および子どもたちの予防接種歴および罹患歴を把握し、記録を保管することが重要である。ワクチン未接種の子どもには接種を勧める。 |
| 検査法 | |
| PCR検査 | 病原体の核酸(DNAあるいはRNA)を増幅して検出する検査である。感度(陽性の場合に感染している可能性)は高いが、検査には1-数時間要す。また、感染力のなくなった病原体も検出することを留意すべきである。 |
| 抗原検査 | 病原体の有無を検出する検査である。15分程度で陽性か陰性かの結果の出る「定性検査」と、それ以上の検査時間を要す「定量検査」がある。鼻咽頭ぬぐい液を用いた場合の「定性検査」は発症前や発症直後には偽陰性(感染しているが陰性となる)となる場合もあり留意すべきである。 |
| 抗体検査 | 感染して1-数週間で上昇する、直近に感染したことを示すIgM抗体と、過去に感染した既往があることを示すIgG抗体がある。 |
| 細菌培養・ ウイルス分離 | 検体採取液を一定の条件下で一定期間培養し、増えた細菌やウイルスを検出する検査である。 |
| 感染治療法 | |
| 抗菌薬 | 細菌感染に有効であるが、近年、耐性菌が増加している。かぜ症候群をはじめとするウイルス感染には無効であるだけでなく、耐性菌を増加させるため推奨しない。 |
| 抗ウイルス薬 | インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、新型コロナウイルスなど、一部のウイルスに有効な抗ウイルス薬がある。 |
| 抗毒素抗体 | 破傷風、ジフテリア、ボツリヌスの毒素に対して抗血清または免疫グロブリン製剤が用いられる。 |
| 免疫グロブリン | 重症感染症などに用いる場合がある。麻疹の発症予防として緊急的に用いることもあるが、ヒト血液由来の製剤であるため、アレルギーや、献血者由来の血液感染をおこす可能性があることを考慮する必要がある。 |
第一種感染症
| 第一種感染症 | |
|---|---|
| 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の一類感染症と結核を除く二類感染症を規定している。出席停止期間の基準は「治癒するまで」である。 | |
| エボラ出血熱(エボラウイルス病) | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されているウイルス性出血熱で、発病すると半数以上が死亡すると報告されている極めて重症の疾患である。これまで、中央アフリカ、西アフリカなどでまれに発生していたが、2014-2016年に西アフリカで流行し、1万人以上の死亡者がでた。 |
| 病原体 | エボラウイルス |
| 潜伏期間 | 主に8-10日(2-21日) |
| 感染経路 | ウイルスを保有している宿主(野生動物)は不明である。患者の血液、体液などの接触により感染する。 |
| 症状・予後 | 発熱、全身倦怠感、強度の頭痛、筋肉痛、関節痛などで急に発病する。腹痛、嘔吐、下痢、結膜炎が続く。2-3日で状態は急速に悪化し、重度の下痢、出血と発疹が出現する。6-9日で激しい出血とショック症状を呈し死に至ることがある。発病した場合の致命率は50-80%である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-01.html |
| クリミア・コンゴ出血熱 | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されている重症ウイルス性出血熱で、サハラ砂漠以南のアフリカ、中近東、ヨーロッパ東部、西および中央アジア諸国、バルカン地域などでの発生がある。 |
| 病原体 | クリミア・コンゴ出血熱ウイルス |
| 潜伏期間 | 2-10日 |
| 感染経路 | 自然界での宿主は家畜類、野生哺乳類で、解体などでの接触、媒介動物であるはマダニに咬まれることである。患者の血液、体液などの接触でも感染する。 |
| 症状・予後 | 症状はエボラ出血熱に類似しているが重度の肝障害が特徴。発症した場合の致命率は15-40%と報告されている。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-02.html |
| 南米出血熱 | |
| 概要 | アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ベネズエラ出血熱、ブラジル出血熱の総称である。 |
| 病原体 | それぞれアレナウイルスに属すウイルス |
| 潜伏期間 | 6-17日 |
| 感染経路 | 流行地に生息するげっ歯類の唾液または排泄物との接触により感染する。 |
| 症状・予後 | 発熱、筋肉痛、頭痛、眼窩後痛、血小板減少症、錯乱、舌の振戦(ふるえ)、小脳症状(ふらつきなど)の中枢神経障害などが認められる。致命率は30%にも及ぶ。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-03.html |
| ペスト | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されている急性細菌性感染症である。日本では1930年以降ペスト患者の発生はない。アジア、アフリカ、南米、北米などでは、少数ながら患者の発生がある。2017年にマダガスカルで肺ペストの大規模な流行が発生した。 |
| 病原体 | ペスト菌 |
| 潜伏期間 | 腺ペストは2-8日、肺ペストは1-6日。 |
| 感染経路 | 宿主はネズミ、イヌ、ネコなどでノミが媒介する。肺ペストは飛沫感染する。 |
| 症状・予後 | 腺ペスト(リンパ節への感染)の症状は、発熱とリンパ節の腫脹、疼痛である。肺ペストの症状は、発熱、咳、血痰、呼吸困難である。治療が遅れた場合の致命率は50%以上で特に肺ペストは致死的である。 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-04.html |
| マールブルグ病 | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されている致死的なウイルス性出血熱で、アフリカ中東部・南アフリカなどでまれに発生する。 |
| 病原体 | マールブルグウイルス |
| 潜伏期間 | 主に8-10日(2-21日) |
| 感染経路 | オオコウモリが宿主と考えられている。患者の血液、体液などの接触により感染する。 |
| 症状・予後 | 症状はエボラ出血熱に類似しているが、エボラ出血熱よりは軽症であることが多い。発病した場合の致命率は20%以上である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-05.html |
| ラッサ熱 | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されているウイルス性出血熱で、中央アフリカ、西アフリカ一帯での感染者は年間20万人位と推定されている。 |
| 病原体 | ラッサウイルス |
| 潜伏期間 | 6-17日 |
| 感染経路 | 宿主はネズミで、感染動物の糞、尿などの濃厚接触により人に感染する。患者の血液、体液などの接触により感染する。 |
| 症状・予後 | 症状はエボラ出血熱に類似しているが、エボラ出血熱よりは軽症である場合が多い。入院患者の致命率は15-20%である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-06.html |
| 急性灰白髄炎(ポリオ) | |
| 概要 | 感染症法で二類感染症に分類されているウイルス性感染症である。1960年代初頭まで日本でもしばしばあり、「小児まひ」と呼ばれて恐れられたが、予防接種によって、1980年の1例を最後に、野生ポリオウイルスによるまひ患者の発生はない。しかし、パキスタンやアフガニスタンでは今でも野生株ポリオウイルス1型の流行が続いており、2021年以降、イスラエル、英国、米国でも下水処理施設からワクチン由来ポリオウイルスが検出されている。 |
| 病原体 | ポリオウイルス |
| 潜伏期間 | まひを来すまでは7-21日(3-35日)、不完全型感染や無菌性髄膜炎の場合は3-6日 |
| 感染経路 | 便、唾液などを介した経口感染、接触感染。 |
| 症状・予後 | 軽症の場合は、かぜ様症状または胃腸症状だが、0.1-2%に急性の弛緩性まひが現れ、死に至ることもあるほか、後遺症としての手足のまひを残すこともある。 |
| 診断法 | 便からのウイルス分離やPCR検査 |
| 予防接種 | 定期予防接種によって、生後2-90か月に沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・インフルエンザ菌b型混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)を4回接種する。標準的には生後2-7か月で開始して3-8週間間隔で3回接種し、6か月から18か月の間隔をあけて、1歳以降に1回追加接種する。なお、日本小児科学会は、ポリオに対する抗体価が減衰する前に就学前の不活化ポリオワクチン(IPV)の任意接種を推奨している。 |
| 登校(園)基準 | 急性期の症状が治癒するまで出席停止とする。まひが残る慢性期については出席停止の必要はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-07.html |
| ジフテリア | |
| 概要 | 感染症法で二類感染症に分類されている細菌性呼吸器感染症で、日本国内での発病は1999年を最後に認められていないが、流行的発生がみられる国もある。 |
| 病原体 | ジフテリア菌 |
| 潜伏期間 | 主に2-7日(1-10日) |
| 感染経路 | 飛沫感染 |
| 症状・予後 | 発熱、咽頭痛、頭痛、倦怠感、嚥下痛などの症状で始まり、鼻づまり、鼻出血、声嗄れから呼吸困難、心不全、呼吸筋まひなどに至る。 |
| 治療法 | 抗毒素抗体(なお、本抗体は動物(馬)由来の血清であることから、アナフィラキシー、ショック症状に対して十分な配慮をする必要がある)。ペニシリン系抗菌薬、エリスロマイシンなどに感受性があるが、予防が最も大切である。 |
| 予防接種 | 定期予防接種によって、生後2-90か月に沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・インフルエンザ菌b型混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)を4回接種する。標準的には生後2-7か月で開始して3-8週間間隔で3回接種し、6か月から18か月の間隔をあけて1歳以降に1回追加接種する。さらに、11歳以上13歳未満で沈降ジフテリア破傷風(DT)トキソイドの接種が1回、定期接種として行われている |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-08.html |
| 重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。) | |
| 概要 | 2002-2003年に中国から世界に流行が広がり、8,000人以上が発症し、致命率は約10%であった。小児の死亡例は報告されていない。 |
| 病原体 | SARSコロナウイルス |
| 潜伏期間 | 2-14日(主に2-7日) |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染、排泄物からの経口感染が主体であり、空気感染の可能性については議論がある。 |
| 症状 | 突然のインフルエンザ様の症状で発症する。発熱、咳、息切れ、呼吸困難、下痢がみられる。肺炎や急性呼吸窮迫症候群へ進展し、死亡する場合もある。 |
| 感染拡大防止法 | 一般的な予防策として手洗い、マスク着用、人混みへの外出を控えるなどがあげられるが、早期に検知して、早期に対応することが重要である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-09.html |
| 中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。) | |
| 概要 | 2012年にサウジアラビアで初めて確認され、中東を中心に流行し、韓国でも患者が発生した。2022年10月までに2,600人が発症し1,259人(48%)が重症または死亡であった。最新情報は厚生労働省のURLから閲覧が可能である。 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers.html |
| 病原体 | MERSコロナウイルス |
| 潜伏期間 | 主に2-14日(中央値5日) |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染 |
| 症状 | 発熱、咳、息切れなど。下痢などを伴う場合もある。MERSコロナウイルスに感染しても、症状が現われない人や、軽症の人もいるが、特に高齢の方や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人で重症化する傾向がある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 流行地への旅行は制限されていないが、糖尿病や慢性疾患、免疫不全などの基礎疾患がある場合は渡航前に医師に相談する。旅行中は、加熱が不十分な食品(未殺菌の乳や生肉など)や不衛生な状況で調理された料理を避け、果物、野菜は食べる前によく洗う。咳やくしゃみなどの症状がある人や、動物(ヒトコブラクダを含む)との接触は可能な限り避ける。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-10.html |
| 特定鳥インフルエンザ | |
| 概要 | 鳥インフルエンザは、鳥の排泄物、死体、臓器などに濃厚な接触があった人の感染が報告されている。また、未殺菌乳による感染も報告されている。ただし、日本で発症した人は確認されていない。最新情報は厚生労働省のURLから閲覧が可能である。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144461.html |
| 病原体 | インフルエンザウイルスA(H5N1)、A(H7N9) |
| 潜伏期間 | A(H5N1)は2-8日、A(H7N9)は主に2-5日(1-10日) |
| 感染経路 | ヒトの感染例では通常家禽との接触歴がある。 |
| 症状 | 高熱、咳。病原性は季節性インフルエンザより高く、咳などの呼吸器症状が強い傾向があり、肺炎や急性呼吸促迫症候群を呈し、死に至ることも少なくない。死亡のリスク因子として高齢、慢性肺疾患、免疫不全状態、長期の投薬歴、オセルタミビル投与の遅延が報告されている。 |
| 診断法 | 鼻咽頭ぬぐい液を用いた抗原の迅速診断キットがあるが、季節性インフルエンザよりも陽性率が低い傾向があり、採取した痰などの下気道検体のほうが検出しやすい。高病原性鳥インフルエンザウイルス感染の確定診断は、核酸検査法による。 |
| 治療法 | 抗ウイルス薬(オセルタミビルなど)を用いるが、季節性インフルエンザよりも有効性が低い場合がある。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染対策として、手洗いなどの一般的な予防法を励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-11.html |
第二種感染症
| 第二種感染症 | |
|---|---|
| 空気感染または飛沫感染するもので、児童生徒等の罹患が多く、学校において流行を広げる可能性が高い感染症を規定している。出席停止期間の基準は、感染症ごとに個別に定められている。ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではない。 | |
| 新型コロナウイルス感染症(コロナウイルス感染症2019) | |
| 概要 | 2019年12月、中国武漢市において確認されて以降、世界に広がりパンデミックを起こした。最新情報は厚生労働省のURLから閲覧が可能である。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html |
| 病原体 | SARSコロナウイルス2 |
| 潜伏期間 | 1-7日(中央値2-3日) |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染。エアロゾル(飛沫よりさらに小さな水分を含んだ状態の粒子)感染の可能性も示唆されている。 |
| 症状 | 小児は無症状者や軽症が多いとされていたが、オミクロン株が流行するようになって、発熱、咽頭痛を訴える小児が増加し、また熱性けいれんやクループ(犬が吠えるような咳嗽、嗄声、吸気性喘鳴)を呈す例も増加した。基礎疾患のある場合は重症化のリスクがあるとされている。 |
| 診断法 | 鼻咽頭ぬぐい液、唾液、痰などを用いたPCR検査、抗原検査(定量検査、定性検査)がなされている。学校等に抗原定性キットが配布され、市販もされているが、無症状者に対する検査は信頼性が低く推奨されていない。 |
| 治療法 | 小児は基本的に対症療法が行われる。基礎疾患がある場合、年長児では重症化予防として抗体治療が保険適用のこともあるが、その有効性は流行株に依存する。また、重症化リスクを有する小児では抗ウイルス薬(レムデシビル、12歳以上かつ体重40 kg以上ではニルマトレルビル/リトナビル)が使用可能であり、重症例にはデキサメタゾンなどが使用される。 |
| 予防接種 | 日本では任意接種であるが、生後6か月以上の小児へのワクチン接種がなされている。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として、マスク(着用が可能な場合)や手洗いなどの一般的な予防法を励行する。エアロゾル感染対策として、3つの密(密閉空間、密集場所、密接場面)の回避や、人と人との距離の確保、常時またはこまめに(30 分に1回以上、数分間程度、窓を全開する)換気を行う等の基本的な感染対策を徹底することが重要である。学校や保育所における新型コロナウイルス感染症に対する感染予防策の最新情報は、文部科学省のURLから閲覧が可能である。 https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/ |
| 登校(園)基準 | 発症日から5日間経過し、かつ、症状軽快から24時間経過した後。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-01.html |
| インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く) | |
| 概要 | 急激に発病し、流行は爆発的で短期間内に広がる感染症である。しばしば変異(型変わり)を繰り返してきた歴史があり、今後とも注意を要する。合併症として、肺炎、脳症、中耳炎、心筋炎、筋炎などがある。特に乳幼児、高齢者などが重症になりやすい。 |
| 病原体 | 流行を起こすインフルエンザウイルスにはA(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型(香港型)、B型があり、2009年にはA(H1N1)pdm09による世界的流行(パンデミック)が起こった。B型山形系統は2020年3月以降世界的に検出されていない。 |
| 潜伏期間 | 1-4日(平均2日) |
| 感染経路 | 患者の咳、鼻汁からの飛沫感染によるが、接触感染もある。空気感染の可能性については議論がある。 |
| 感染期間 | 発熱1日前から3日目をピークとし、7日目ころまで。しかし低年齢患児では長引く。 |
| 症状 | 悪寒、頭痛、高熱(39-40℃)で発病する。頭痛とともに咳、鼻汁で始まる場合もある。全身症状は、倦怠感、頭痛、腰痛、筋肉痛などである。呼吸器症状は咽頭痛、鼻汁、鼻づまりがみられる。消化器症状は、嘔吐、下痢、腹痛がみられる。脳症を併発した場合は、けいれんや意識障害を来し、死に至る場合や、救命しえても精神運動遅滞の後遺症を残すことがある。また、異常行動があらわれることもあり、抗ウイルス薬のオセルタミビルとの関連が疑われたこともあったが、その後の調査にて、この症状は抗ウイルス薬の有無、種類にかかわらず生じていることが判明した。このためインフルエンザ罹患時は抗ウイルス薬投与の有無にかかわらず異常行動の出現に注意しながらの見守りが必要である。 |
| 診断法 | 鼻咽頭ぬぐい液を用いた抗原の迅速診断キットがあり、発症翌日が最も検出率に優れているが、それでも偽陰性を示すことは少なくないため、臨床診断を優先する場合がある。 |
| 治療法 | 抗ウイルス薬(オセルタミビルなど)を発症48時間以内に投与すると解熱までの期間を1-1.5日短縮することが期待できるが、複数の耐性ウイルスも報告されている。解熱薬のアスピリンはライ症候群(急性脳症)の発症を高める可能性があり、また、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸は、インフルエンザ脳症の場合の致命率を高める可能性が示唆されているため、投与するのであればアセトアミノフェンを選択する。 |
| 予防接種 | インフルエンザワクチンの接種が有効である。任意接種であるが、生後6か月から接種可能(経鼻生インフルエンザワクチンは2歳から19歳未満)で、感染予防効果は流行株により変わるが、重症化の予防効果が期待されている。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染対策として、マスクや手洗いなどの一般的な予防法を励行する。流行期に発熱と咳が生じた場合は欠席し、安静と栄養をとるとともに、全身状態が悪い場合は病院を受診する。罹患者は咳を介して感染を拡大しないように、外出を控え、必要に応じてマスクをする。また、流行時には臨時休校も拡大予防として有効である。 |
| 登校(園)基準 | 学校保健安全法では、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで。幼児においては、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで」が、出席停止の目安とされている。抗ウイルス薬によって早期に解熱した場合も感染力は残るため、発症5日を経過するまでは欠席が望ましく、咳嗽や鼻汁が続き、感染力が強いと考えられる場合は、さらに長期に及ぶ場合もある。ただし、病状により学校医そのほかの医師において感染の恐れがないと認められた場合は、その限りではない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-02.html |
| 百日咳 | |
| 概要 | コンコンと咳き込んだ後、ヒューという笛を吹くような音を立てて息を吸う、特有な咳が特徴で、連続性・発作性の咳が長期にわたって続く。生後3か月未満の乳児では呼吸ができなくなる発作(無呼吸作)、肺炎、中耳炎、脳症などの合併症も起こりやすく、命にかかわることがある。 |
| 病原体 | 百日咳菌 |
| 潜伏期間 | 主に7-10日(5-21日) |
| 感染経路 (始発時期) | 飛沫感染、接触感染。 1年を通じて存在する病気であるが春季から夏季に多い。 |
| 感染期間 | 咳が出現してから、4週目ころまで。抗菌薬開始後5日程度で感染力は弱くなる。 |
| 症状 | 病初期からしつこい咳が特徴で、発熱することはあまりない。年齢が低いほど症状は重く、前述の特徴的な咳が出始め、咳のために眠れない、また顔が腫れることもある。回復するのに2-3週間から数か月もかかることがある。幼児期後半以降の罹患では症状は軽くなり、上記のような典型的な症状を示す場合は少なく、小学生になると咳のしつこいかぜに思われることも少なくない。 |
| 好発年齢 | ワクチン未接種、あるいは未完了の乳幼児期が罹患すると重症化しやすい。国内の最近のデータでは学童期から10歳代前半に多く、また成人の発症も増えている。 |
| 診断法 | 症状から診断されることが多かったが、鼻腔ぬぐい液から百日咳菌のDNAを検出する検査および迅速診断キットを用いた抗原検査が健康保険の適応となった。抗体検査も可能である。 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| 予防接種 | 定期予防接種によって、生後2-90か月に沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・インフルエンザ菌b型ワクチン(DPT-IPV-Hib)を4回接種する。標準的には生後2-7か月で開始して3-8週間間隔で3回接種し、6か月から18か月の間隔をあけて1歳以降に1回追加接種する。しかし、最近の調査によると、就学前児の百日咳抗体価が低下していること、百日咳患者は5歳から10歳代前半に多いことが分かってきた。これを受けて日本小児科学会は、任意接種として、就学前の3種混合ワクチン(DPT)の接種を、また11歳以上13歳未満での2種混合ワクチン(DT)の代わりに3種混合ワクチンの接種を推奨している。 |
| 感染拡大防止法 | 米国小児科学会では百日咳患者との濃厚接触者に対して、感染拡大防止のために抗菌薬の予防投与を推奨している(日本では、この目的での抗菌薬の使用に健康保険の適応はない)。 |
| 登校(園)基準 | 特有な咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまでは出席停止とする。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-03.html |
| 麻疹(はしか) | |
| 概要 | 発熱、咳、鼻水などの上気道の症状や特有な発疹の出る感染力の強い疾患である。肺炎、中耳炎、喉頭炎(クループ)、脳炎などを合併することもまれではない。ごくまれに罹患から数年後に発症する亜急性硬化性全脳炎といわれる致死的な脳炎の原因になることがある。日本は、2015年3月に世界保健機関西太平洋地域麻疹排除認証委員会より「排除」が認定された。ただし、近年は海外からの輸入例が契機となって感染が広がることが多い。 |
| 病原体 | 麻疹ウイルス |
| 潜伏期間 | 平均11-12日(7-18日) |
| 感染経路 | 空気感染、飛沫感染、接触感染。感染力が最も強いのは、発疹出現前の咳や鼻水、目の充血などが出ているころ(カタル期)であるが、発疹出現後、色素沈着に至る頃までは周りへの感染力がある。 |
| 感染期間 | 発疹出現前4日から発疹出現後4日 |
| 症状 | 臨床的に、カタル期、発疹期、回復期に分けられる。発熱とともに目の充血、涙や眼脂(めやに)が多くなり、咳、鼻汁などの症状が見られる。口内の頬粘膜にコプリック斑という特徴的な白い斑点(粘膜疹)が見られるのが早期診断のポイントである。熱がいったん下がりかけ、再び高熱が出てきた時に紅斑(赤い発疹)が生じて発疹期になる。発疹は耳の後ろから顔面にかけて出始め、身体全体に広がる。発疹が消えた後に褐色の色素沈着が残るのが特徴である。発熱は発疹出現後さらに3-4日持続し、通常7-9日の経過で回復するが、重症な経過をとることもあり、急性脳炎は発症1,000人に1-2人の頻度で生じ、脳炎や肺炎を合併すると生命の危険や後遺症の恐れもある。 |
| 好発年齢 | ワクチン未接種、1回接種、接種歴不明の20-30歳代の成人、乳児を中心とした発症がみられている。海外からの輸入例が契機となって感染が広がることが多い。 |
| 診断法 | 臨床診断した場合、すぐに保健所に届け出て、保健所を通して、地方衛生研究所などで発疹出現後7日以内の血液、咽頭ぬぐい液、尿の3点セットによるPCR検査やウイルス分離を行う。抗体検査は医療機関あるいは民間の検査センターにて同時並行で行う。IgM抗体の検査は、早すぎると陽性になっていない場合があることから、発疹出現後4-28日に実施することが望ましい。急性期と回復期の2回の採血によるペア血清でIgG抗体の陽転あるいは有意上昇で診断することもある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | 日本では、2006年度から弱毒生麻しん風しん混合(MR)ワクチンにより、1歳時に第1期接種、小学校入学前1年間(年長児)に第2期定期接種が行われるが、成人には未接種者や1回接種者が少なくない。日本小児科学会は、定期接種対象者を最優先とし、加えて、規定の2回の定期接種を完了していない未成年者、乳児を持つ両親やその同居家族、免疫低下者など接種不適当者の児を持つ両親やその同居家族、妊婦の同居家族、医療関係者(事務職員や救急隊員を含む)、保育関係者、教育関係者、海外渡航を予定している者への任意のMRワクチン接種を推奨している。 |
| 感染拡大防止法 | 空気感染であるため、集団の場では、1人の発症があった場合、速やかに同じ空間にいたほかの子どもに対して、かかったことがあるか、予防接種を受けているかを聴取する。かかったことがなく、ワクチン未接種あるいは1回接種、接種歴不明の場合、患者との接触後、72時間以内であればワクチン接種によって発症の阻止、あるいは症状の軽減が期待できる。たとえ接触から72時間を過ぎていても、発症者との接触で発症した患者からのさらなる感染(3次感染)を予防するために、ワクチン接種が行われる場合もある。乳児は定期接種の対象年齢に至っていないが、生後6か月以上であれば、緊急避難的にワクチン接種を検討することも一案である。接触から72時間を超え、6日以内であればγグロブリンによって、症状の軽減をはかることもできるが、血液製剤であることを考慮する必要がある。 |
| 登校(園)基準 | 発疹に伴う発熱が解熱した後3日を経過するまでは出席停止とする。ただし、病状により感染力が強いと認められたときは、さらに長期に及ぶ場合もある。 米国小児科学会では発疹出現4日後までを隔離の目安としている。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-04.html |
| 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | |
| 概要 | 耳下腺が急に腫れてくることを特徴とする疾患である。合併症としては無菌性髄膜炎が多く、また不可逆的な難聴の原因としても注意すべき疾患である。成人の罹患では精巣炎、卵巣炎などの合併がある。日本耳鼻咽喉科学会の調査では2015-2016年に少なくとも348人がおたふくかぜによる難聴となり、300人近くに後遺症が残ったと報告されている。 |
| 病原体 | ムンプスウイルス |
| 潜伏期間 | 主に16-18日(12-25日) |
| 感染経路 (始発時期) | 飛沫感染、接触感染。 春季から夏季に多い。 |
| 感染期間 | 感染のおこりやすい期間は耳下腺腫脹の1-2日前から腫脹5日ころまでである。しかしながら、唾液中には、腫脹7日前から9日後までウイルスが検出されるので、この期間は感染源となりえる。 |
| 症状 | 全身の感染症だが唾液腺、特に耳下腺の腫脹が主症状である。腫れは2-3日でピークに達し、3-7日間、長くても10日間で消える。痛みを伴い、酸っぱいものを飲食すると強くなる。また、10-100人に1人が無菌性髄膜炎を、500-1,000人に1人が回復不能な難聴(主に片側)を、3,000-5,000人に1人が急性脳炎を併発する。不顕性感染もある。 |
| 好発年齢 | 幼児から学童 |
| 診断法 | 症状から診断されるが、確定のためには血液での抗体検査。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | 多くの先進国で2回の予防接種が行われている。日本では任意接種であるが、日本小児科学会は2回の予防接種を推奨している。ワクチンによる無菌性髄膜炎の発症は、2020-2023年の被接種者を対象とした全国調査では10万接種あたり13.4と自然感染時に比べ低かった。ワクチン未接種(あるいは不明の場合)でかかったことのない者には職員も含め合計2回の予防接種を勧める。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として一般の予防法を励行するが、不顕性感染の割合が高いうえ、その場合でも唾液中にウイルスが排出されており、発症者の隔離では流行を阻止することはできない。 |
| 登校(園)基準 | 耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫張が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好となるまで出席停止とする。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-05.html |
| 風疹 | |
| 概要 | 日本において、2012-2013年にワクチン未接種の成人男性を中心に約17,000人、2018-2019年に同じくワクチン未接種の成人男性を中心に約5,000人の流行があった。淡紅色の発疹、発熱、リンパ節の腫脹を主な症状、徴候とする疾患である。脳炎、血小板減少性紫斑病、関節炎などの合併症がみられることがあり、特に妊娠20週ころまでにかかると出生児に先天性風疹症候群と呼ばれる先天異常が生じることがあり(例えば妊娠1か月以内の感染では50%以上の頻度とされている)、2012-2014年に45人、2019-2021年までに6人の発症がみられた。 |
| 病原体 | 風疹ウイルス |
| 潜伏期間 | 主に16-18日(14-21日) |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染、母子感染(胎内感染) |
| 感染期間 | 発疹出現7日前から発疹出現7日目ころまで。 |
| 症状 | 発熱と同日あるいは発熱から数日後に発疹に気付く疾患である。発熱は麻疹ほどには顕著ではないが、淡紅色の発疹が全身に出現する。発疹が消えた後には麻疹のような褐色の色素沈着は残らない。リンパ節の腫れは特に頚部、耳の後ろの部分にみられる。発熱は一般に軽度で、気付かないこともある。3,000人に1人の頻度で血小板減少性紫斑病を、6,000人に1人の頻度で急性脳炎を合併する。妊婦の感染により、胎児が、耳、眼、心臓の異常や精神運動発達遅滞を伴う先天性風疹症候群を発症することがある。 |
| 好発年齢 | 近年、日本では予防接種率の上昇にともない小児患者は減少しているが、40-50歳代の男性の約20%は、風疹に対する十分な免疫がないとされている。 |
| 診断法 | 臨床診断した場合、すぐに保健所に届け出て、保健所を通して、地方衛生研究所などで発疹出現後7日以内の血液、咽頭ぬぐい液、尿によるPCR検査やウイルス分離を行う。同時並行して医療機関などで発疹出現後4-28日に血液検査(IgM抗体)を行う。急性期と回復期の2回の採血でIgG抗体の陽転あるいは有意上昇で診断することもある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | 日本では、2006年度から弱毒生麻しん風しん混合(MR)ワクチンにより、1歳時に第1期接種、小学校入学前1年間(年長児)に第2期定期接種が導入され2回接種が行われるようになったが、成人には未接種者や1回接種者が少なくはない。日本小児科学会は、定期接種対象者を最優先とし、加えて、規定の2回の定期接種を完了していない未成年者、乳児を持つ両親やその同居家族、免疫低下者など接種不適当者の児を持つ両親やその同居家族、妊婦の同居家族、医療関係者(事務職員や救急隊員を含む)、保育関係者、教育関係者、海外渡航を予定している者への任意のMRワクチン接種を推奨している。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。妊婦への感染防止も重要であり、発症者がでた場合は、保護者に知らせる必要がある。また、かかったことがなく、ワクチン未接種もしくは1回接種の妊娠している職員は、直ちに風疹に対するIgG抗体検査を行い、陰性あるいは抗体価が低い場合は、施設内での流行が終息するまで休ませる等の配慮が望まれる。 |
| 登校(園)基準 | 発疹が消失するまで出席停止とする(米国小児科学会では発疹出現6日後までを隔離の目安としている)。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-06.html |
| 水痘(みずぼうそう) | |
| 概要 | 紅斑(赤い発疹)、丘疹(盛り上がりのある発疹)、水疱、膿疱(膿みをもった水疱)、痂皮(かさぶた)の順に進行する発疹が出現し、同時に各病期の発疹が混在する伝染性の強い感染症である。時に皮膚や皮膚の下の軟部組織の細菌感染、肺炎、脳炎、肝炎、ライ症候群(急性脳症)などを合併することもある。 |
| 病原体 | 水痘・帯状疱疹ウイルス。初感染では水痘の症状を示すが、治ったあとウイルスが知覚神経節に潜伏し、免疫状態が低下した時に神経の支配領域に沿って小水疱が生じる帯状疱疹として発症することがある。 |
| 潜伏期間 | 主に14-16日(10-21日) |
| 感染経路 | 空気感染、飛沫感染、接触感染、母子感染(胎内感染)。飛沫(しぶき)や膿疱・水疱中にウイルスが存在する。かさぶたの中には感染性のあるウイルスはいないため、感染源とはならない。 |
| 感染期間 | 発疹出現1-2日前から全ての発疹が痂皮(かさぶた)になるまで。 |
| 症状 | 発疹はからだと首のあたりから顔面に生じやすく、発熱しない例もある。発疹はかゆみや疼痛を訴えることもある。まれに脳炎や、アスピリンとの併用によってライ症候群を併発する場合がある。白血病や免疫抑制治療を受けている児では、重症化して死に至ることもある。成人、特に妊婦の感染は重症化しやすい。 妊娠初期の感染によって、胎児に先天性水痘症候群という低出生体重、四肢低形成、皮膚瘢痕などを伴う先天異常をおこし、分娩前5日-分娩後2日の感染によって新生児に致死的な重症水痘が生じることもある。ワクチンが定期接種となる以前、日本では年間約100万人が水痘にかかり、約4,000人が重症化から入院し、約20人が死亡していた。 |
| 好発年齢 | ワクチンの定期接種化によって幼児の発症は減少しているが、定期の対象年齢外であった世代に未接種者が多く、患者との接触により発症する可能性がある。 |
| 診断法 | 症状から診断されるが、確定のためには血液での抗体検査や、水疱、膿疱の内容物またはびらん、潰瘍のぬぐい液を用いた抗原検査、PCR検査ができる。 |
| 治療法 | 抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル) |
| 予防接種 | 日本では2014年10月より、1歳以上3歳未満児に対して定期接種となり、2回の接種がなされている。3歳以上においても日本小児科学会は2回の予防接種を推奨している。定期接種対象年齢外でも任意で予防接種が受けられるため、ワクチン未接種(あるいは不明の場合)でかかったことのない者には職員を含め合計2回の予防接種を勧める。 |
| 感染拡大防止法 | 空気感染であるため、集団の場では、1人の発症があった場合、速やかにほかの子どもに対して、かかったことがあるか、予防接種はしているかを聴取する。患者との接触後、72時間以内であればワクチンによって発症の阻止、あるいは症状の軽減が期待できる。妊婦への感染防止も重要であるため、保護者に知らせる必要がある。また、かかったことがなく、ワクチン未接種の妊娠している職員は、施設内での流行が終息するまで休ませる配慮が望まれる。 |
| 登校(園)基準 | すべての発疹が痂皮(かさぶた)になるまで出席停止とする(米国小児科学会では水疱出現6日後までを隔離の目安としており、免疫が低下している人との接触はさらに長期間避けることが推奨されている)。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-07.html |
| 咽頭結膜熱 | |
| 概要 | 発熱、結膜炎、咽頭炎を主症状とする疾患である。プールを介して流行することが多いのでプール熱とも呼ばれることがあるが、塩素消毒が不十分なプールの水を介した感染よりも、飛抹感染、接触感染によって感染することが多い。 |
| 病原体 | アデノウイルス |
| 潜伏期間 | 2-14日 |
| 感染経路 (始発時期) | 接触感染、飛沫感染。また、プールでの感染もある。 夏季に多い。 |
| 感染期間 | ウイルス排出は初期数日が最も多いが、その後、数か月、排泄が続くこともある。 |
| 症状 | 高熱(39-40℃)、咽頭痛、頭痛、食欲不振を訴え、これらの症状が3-7日間続く。咽頭発赤、頚部・後頭部リンパ節の腫脹と圧痛を認めることもある。眼の症状としては、結膜充血、涙が多くなる、まぶしがる、眼脂(めやに)などである。 |
| 好発年齢 | 幼児から学童 |
| 診断法 | 症状から診断されるが、アデノウイルス抗原の迅速診断キットなどがある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として、排便後またはおむつ交換後の手洗いは石鹸を用いて流水で丁寧に行う。プール前後のシャワーの励行、タオルを共用しないなどの一般的な予防法が大切である。 |
| 登校(園)基準 | アデノウイルス感染症のうち、咽頭結膜熱と診断された場合は、発熱、咽頭炎、結膜炎などの主要症状が消失した後2日を経過するまで出席停止とする。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-08.html |
| 結核 | |
| 概要 | 全身の感染症であるが、呼吸器に病変をおこすことが多い。乳幼児では家族内感染が多く、大部分が初感染結核である。日本は結核中蔓延国であったが、2022年より結核低蔓延国となった。 |
| 病原体 | 結核菌 |
| 潜伏期間 | 2年以内、特に6か月以内が多い。数十年経って、発症することもある。 |
| 感染経路 | 主として空気感染 |
| 感染期間 | 喀痰の塗抹検査で陽性の間 |
| 症状 | |
| 初感染結核 #bordernone | 結核菌が気道から肺胞に定着すれば初感染病巣が成立し、初感染結核といわれる。初期には無症状である。発熱、咳、疲れやすい、食欲不振、顔色が悪いなどの症状があっても非特異的で気付かれにくいのが特徴である。 |
| 粟粒結核 #bordernone | 肺門リンパ節などの病変が進行して菌が全身に散布された病型で、発熱、咳、呼吸困難、チアノーゼなどが認められる。乳幼児に多くみられる重症型である。 |
| 結核性髄膜炎 #bordernone | 結核菌が血流に乗って脳・脊髄を覆う髄膜に到達して発症する。高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどがみられる最重症型である。一命をとりとめても後遺症を残す恐れがある。 |
| 二次結核 #bordernone | 初感染病巣からほかの肺の部分に広がり、病巣を形成した病型である。思春期以降や成人に多く見られる。疲れやすい、微熱、寝汗、咳などの症状がでる。 |
| 潜在性結核 感染症 #bordernone | 結核菌に感染しており、後述の検査で陽性を示すが、症状がないことがある。免疫が低下した場合に発症することがあるため、治療の対象となる場合がある。 |
| 診断法 | ツベルクリン反応やインターフェロン-γ産生試験。活動性結核の診断には胸部X線検査や菌検査(塗抹検査、培養検査、PCR検査)を行う。 |
| 治療法 | 抗結核薬を使用するが、近年、薬剤耐性菌が増加している。 |
| 予防接種 | BCGワクチンは、乳児の重症化予防には有用とされている。定期接種では対象は生後12か月までとなっているが、標準的には生後5か月-8か月未満の接種が勧められている。 |
| 登校(園)基準 | 病状により学校医そのほかの医師において感染のおそれがないと認められるまで(目安として3日連続で喀痰または早朝空腹時の胃液の塗抹検査が陰性となるまで)出席停止とする。それ以降は、抗結核薬による治療中であっても登校(園)は可能。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-09.html |
| 髄膜炎菌性髄膜炎(侵襲性髄膜炎菌感染症) | |
| 概要 | 発熱、頭痛、嘔吐を主症状とする。抗菌薬の発達した現在においても、発症した場合は、後遺症を残す、もしくは死にいたることもある。日本でも学生寮などで患者発生があり、2011年と2017年には死亡例も報告された。 |
| 病原体 | 髄膜炎菌 |
| 潜伏期間 | 主に4日以内(1-10日) |
| 感染経路 | 飛沫感染。 家庭内や幼稚園、保育所での接触も高リスクとなる。また、無脾症や補体欠損などの基礎疾患がある人は発症の危険性が高い。有効な治療を開始して24時間経過するまでは感染源となる。 |
| 症状 | 発熱、頭痛、意識障害が生じる。発症数時間で点状出血や紫斑ができ、同部位に障がいを引き起こすことがある。 また、細菌が血液中に流出して生じる敗血症・菌血症も生じることがあり、その劇症型であるWaterhouse-Friderichsen症候群では播種性血管内凝固症候群(全身の出血傾向)、副腎出血を来し急速に進行する。この場合、致命率は約10%、回復した場合でも10-20%に聴覚障害、まひ、てんかんなどの後遺症が残る。 |
| 好発年齢 | 3-5か月と16歳以上の2つのピークがある。 |
| 診断法 | 髄液や血液からの菌の分離 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| 予防接種 | 日本小児科学会は、①髄膜炎菌感染症流行地域へ渡航する2歳以上の者、②ハイリスク患者(補体欠損症・無脾症もしくは脾臓機能不全、ヒト免疫不全ウイルス感染症)、 ③エクリズマブ、ラブリズマブ、スチムリマブ、ペグセタコプラン、ジルコプランナトリウム、ダニコプラン、クロバリマブ又はイプタコパン塩酸塩水和物治療患者(発作性夜間ヘモグロビン尿症、非典型溶血性尿毒症症候群、全身型重症筋無力症、寒冷凝集素症)、④学校の寮などで集団生活を送る者には4価髄膜炎菌ワクチン接種による予防を推奨している。日本では2015年から任意予防接種ができるようになった。なお、発作性夜間血色素尿症などの治療薬としてエクリズマブ、ラブリズマブ、スチムリマブ、ペグセタコプラン、ジルコプランナトリウム、ダニコプラン、クロバリマブ又はイプタコパン塩酸塩水和物を用いる場合は、原則、髄膜炎菌ワクチンを接種する(この場合は健康保険の適応になる)。 |
| 感染拡大防止法 | 患者と、家庭内や保育所、幼稚園で接触、キス、歯ブラシや食事用具の共用による唾液の接触、同じ住居でしばしば寝食をともにした人は、患者が診断を受けた24時間以内に抗菌薬の予防投与を受けるべきである。 |
| 登校(園)基準 | 有効な治療開始後24時間を経過するまでは隔離が必要。病状により学校医そのほかの医師において感染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-10.html |
第三種感染症
| 第三種感染症 | |
|---|---|
| 学校教育活動を通じ、学校において流行を広げる可能性がある感染症を規定している。出席停止期間の基準は、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまでである。 なお、学校で通常見られないような重大な流行が起こった場合に、その感染拡大を防ぐために、必要性があるときに限り、校長が学校医の意見を聞き、第三種の感染症の「その他の感染症」として緊急的に措置をとることができる。「その他の感染症」として出席停止の指示をするかどうかは、感染症の種類や各地域、学校における感染症の発生・流行の態様等を考慮の上で判断する必要があり、あらかじめ特定の疾患を定めてあるものではない。 | |
| コレラ | |
| 概要 | 東南アジアなどからの帰国者に感染がみられ、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人が感染すると重症化し、死に至る場合もある。最近は、海外旅行歴のない発病者が時々みつかっている。 |
| 病原体 | コレラ菌 |
| 潜伏期間 | 主に1-2日(数時間-5日) |
| 感染経路 | 汚染された水、食物、感染者の便などを介した経口感染 |
| 症状・予後 | 突然激しい水様性下痢と嘔吐ではじまり、脱水をきたしやすい。 |
| 診断法 | 便からの菌分離 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| 予防接種 | 現在、日本国内では接種可能なワクチンが発売されていないが、流行地域への旅行者に対して、希望に応じて個人輸入でワクチンを接種することもある。 |
| 感染拡大防止法 | 流行地では、生水や氷、生の魚介類、生野菜、カットフルーツなどの生鮮食品に注意を払う。 |
| 登校(園)基準 | 治癒するまで出席停止が望ましい。なお、水質管理や手洗いの励行などの日ごろの指導が重要である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-01.html |
| 細菌性赤痢 | |
| 概要 | 帰国者に感染(旅行者下痢症)がみられ、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人が感染すると重症化し、死に至る場合もある。日本でも、2011年に集団発生がみられ、2014年には幼稚園でも集団発生があった。海外旅行歴のない発病者も時々みつかっている。 |
| 病原体 | 赤痢菌 |
| 潜伏期間 | 主に1-3日(1-7日) |
| 感染経路 | 感染者の便を感染源とする経口感染 |
| 症状・予後 | 発熱、腹痛、下痢、嘔吐などが急激に現れる。 |
| 診断法 | 便の細菌培養 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| 登校(園)基準 | 治癒するまで出席停止が望ましい。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-02.html |
| 腸管出血性大腸菌感染症 | |
| 概要 | ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌による感染症である。全く症状のない人から、腹痛や血便を呈す人まで様々で、うち6-7%は溶血性尿毒症症候群や脳症を併発し、時には死に至ることもある。日本では、1996年に学童を中心とした大規模な集団感染が発生し、その後も2011年の生肉食や2012年の漬物など、さまざまな食材による食中毒が毎年3,000-4,000人前後発生し、死亡例もでている。 |
| 病原体 | 腸管出血性大腸菌(O157、O26、O111などベロ毒素産生性大腸菌)。熱に弱いが、低温条件には強く水の中では長期間生存する。少量の菌の感染でも腸管内で増殖後に発病する。 |
| 潜伏期間 | ほとんどの大腸菌が主に10時間-6日、O157:H7は3-4日(1-10日) |
| 感染経路 (好発時期) | 生肉などの飲食物からの経口感染 少ない菌量(100個程度)でも感染する。夏季に多発する。 |
| 感染期間 | 便中に菌が排泄されている間 |
| 症状 | 無症状の場合もあるが、水様下痢便、腹痛、血便。なお、乏尿や出血傾向、意識障害は、溶血性尿毒症症候群の合併を示唆する症状であり、このような場合は速やかに医療機関を受診する。 |
| 好発年齢 | 患者の約80%が15歳以下で発症し、かつ子どもと高齢者で重症化しやすい。 |
| 診断法 | 便の細菌培養、ベロ毒素(または遺伝子)の検出 |
| 治療法 | 下痢、腹痛、脱水に対しては水分補給、補液など。また下痢止め薬の使用は毒素排泄を阻害する可能性があるので使用しない。抗菌薬は症状を悪化させることもあり、慎重に使うなどの方針が決められている。 |
| 感染拡大防止法 | 手洗いの励行、消毒(トイレなど)、及び食品加熱と良く洗うことが大切である。特に子どもでは生肉・生レバー摂取は避ける(ブタとウシのレバーは禁止されている)。肉などを食べさせる場合は、中まで火が通り肉汁が透き通るまで調理する。加熱前の生肉などを調理したあとは、必ず手を良く洗う。生肉などの調理に使用したまな板や包丁は、そのまま生で食べる食材(野菜など)の調理に使用しないようにする。調理に使用した箸は、そのまま食べるときに使用しない。 |
| 登校(園)基準 | 有症状者の場合には、医師において感染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。無症状病原体保有者の場合には、トイレでの排泄習慣が確立している5歳以上の子どもは出席停止の必要はない。5歳未満の子どもでは2回以上連続で便培養が陰性になれば登校(園)してよい。手洗いなどの一般的な予防法の励行で二次感染は防止できる。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-03.html |
| 腸チフス、パラチフス | |
| 概要 | 海外帰国者の感染例と日本国内発生例はほぼ同数であったが、近年は多くの患者が輸入例となっている。 |
| 病原体 | 腸チフス-サルモネラチフス菌、パラチフス-サルモネラパラチフスA菌 |
| 潜伏期間 | 主に7-14日(3-60日) |
| 感染経路 | 経口感染 |
| 症状・予後 | 持続する発熱、発疹(バラ疹)などで発病する。重症例では腸出血や腸穿孔がある。パラチフスは腸チフスより症状が軽いことが多い。 |
| 診断法 | 便と血液の細菌培養 |
| 予防接種 | 2025年6月ごろより、腸チフスワクチンが日本でも発売される。流行地域への旅行者に対して、希望に応じて腸チフスのワクチンを接種する。 |
| 登校(園)基準 | 治癒するまで出席停止が望ましい。トイレでの排泄習慣が確立している5歳以上の子どもは出席停止の必要はない。5歳未満の子どもでは3回以上連続で便培養が陰性になれば登校(園)してよい。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-04.html |
| 流行性角結膜炎 | |
| 概要 | 伝染性の角膜炎と結膜炎が合併する眼の伝染病。学校ではプール施設内で感染することが多い。 |
| 病原体 | 主としてアデノウイルス8型 |
| 潜伏期間 | 2-14日 |
| 感染経路 | 飛沫感染、プール水、手指、タオルなどを介して接触感染 |
| 感染期間 | ウイルス排出は初期数日が最も多いが、その後、数か月、排泄が続くこともある。 |
| 症状 | 急性結膜炎の症状で、眼瞼が腫れる、異物感、眼脂など。角膜に傷が残ると、後遺症として視力障害を残す可能性がある。 |
| 診断法 | 症状から診断されるが、アデノウイルス抗原の迅速診断キットがある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はないが、多くは自然軽快する。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として、手洗い、プール前後のシャワーの励行、タオルの共有はしないなどの一般的な予防法が大切である。プール外でも接触感染が成立している場合も多い。アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくいため石鹸を用いた流水手洗いが重要である。 |
| 登校(園)基準 | 眼の症状が軽減してからも感染力の残る場合があり、医師において感染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。なお、ウイルスは便中に1か月程度排泄されることもあるので、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-05.html |
| 急性出血性結膜炎 | |
| 概要 | 眼の結膜や白眼の部分にも出血を起こすのが特徴の結膜炎である。 |
| 病原体 | 主としてエンテロウイルス70型 |
| 潜伏期間 | 1-3日 |
| 感染経路 | 接触感染 |
| 感染期間 | ウイルスは咳や鼻汁から1-2週間、便からは数週間-数か月間、排出されることもある。 |
| 症状 | 急性結膜炎で、結膜出血が特徴である。 |
| 診断法 | 症状から診断される。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 接触感染対策として、眼脂、分泌物に触れないことと手洗いの励行。洗面具、タオルなどの共用はしない。 |
| 登校(園)基準 | 眼の症状が軽減してからも感染力の残る場合があり、医師において感染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。登校(園)を再開しても、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-06.html |
第三種感染症 そのほかの感染症第三種感染症
| 第三種感染症 そのほかの感染症 | |
|---|---|
| 第三種感染症に分類されている「そのほかの感染症」は、学校で流行が起こった場合にその流行を防ぐため、必要があれば、校長が学校医の意見を聞き、第三種の感染症としての措置をとることができる疾患である。そのような疾患は子どもの感染症の中に多数あるが、ここでは子どものときに多くみられ、学校でしばしば流行する感染症を、条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症と、通常出席停止の措置は必要ないと考えられる感染症に分けて例示した。 | |
| 子見出し | 条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症 |
| 溶連菌感染症 | |
| 概要 | A群溶血性レンサ球菌が原因となる感染症である。扁桃炎など上気道感染症、皮膚感染症(伝染性膿痂疹の項を参照)、猩紅熱などが主な疾患である。特に注意すべき点は、本症がいろいろな症状を呈すること、合併症として発症数週間後にリウマチ熱、腎炎をおこすことがある。そのため、全身症状が強いときは安静にし、経過を観察する必要がある。 |
| 病原体 | A群溶血性レンサ球菌 |
| 潜伏期間 | 2-5日(扁桃炎)、7-10日(膿痂疹) |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染 |
| 感染期間 | 抗菌薬投与で24時間以内に感染力はなくなる。 |
| 症状 | 上気道感染では発熱と咽頭痛、咽頭扁桃の腫脹や化膿、リンパ節炎。猩紅熱は5-10歳ころに多く、発熱、咽頭炎、扁桃炎とともに舌が苺状に赤く腫れ、全身に鮮紅色の発疹が出て、治まった後に剥がれ落ちる。治療が不十分な場合は、リウマチ熱を併発しやすい。 |
| 診断法 | 抗原の迅速診断キットや細菌培養、抗体検査が用いられている。 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として、手洗いなどの一般的な予防法の励行が大切である。 |
| 登校(園)基準 | 適切な抗菌薬による治療開始後24時間以内に感染力はなくなるため、それ以降、登校(園)は可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-07.html |
| A型肝炎 | |
| 概要 | 60歳以下の日本人の抗体保有率はほぼ0%である。2000-2017年は日本で年間平均266例(115-502例)の発生があり、7割は牡蠣などの食物による感染、年平均60例程度は海外渡航からの帰国者である。2018年には患者数が926人と突出して多く、性的接触による感染が増加している。子どもの80-95%は不顕性感染であるが、重症化する例もある。また、不顕性感染であっても便中にウイルスが排泄されるため、感染予防が困難である。 |
| 病原体 | A型肝炎ウイルス |
| 潜伏期間 | 15-50日(平均28日) |
| 感染経路 | 牡蠣などの生の貝類や感染者の糞便中のウイルスの経口感染 |
| 感染期間 | 黄疸出現1-2週前に便中に高濃度排出され、黄疸発症1週間程度で感染力は減少する。 |
| 症状 | 子どもは、無症状のことも多く、便の処理が十分に行われがたいことから、集団発生しやすい。乳児ではおむつから集団感染した事例の報告がある。発症すれば発熱、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、下痢、嘔吐、上腹部痛があり、3-4日後に黄疸が出現することがある。解熱と共に症状は軽快するが、完全に治癒するまでは1-2か月を要することが多い。2010年の小流行では2%が重症肝炎を発症した。 |
| 診断法 | 血液による抗体検査 |
| 治療法 | 有効な抗ウイルス薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | 海外渡航予定者へはワクチン接種を行うことが望ましい。患者との濃厚接触者には、γグロブリンやワクチンを予防的に投与する。 |
| 登校(園)基準 | 発病初期を過ぎ、肝機能が正常になった者については登校(園)が可能である。 米国小児科学会では発症1週間後までを隔離の目安としている。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-08.html |
| B型肝炎 | |
| 概要 | 血液や体液を介して感染する肝炎のひとつで、以前は輸血に伴う感染や、出産に伴う母親からの垂直感染(親から子への縦の感染)が問題となった。輸血用血液のスクリーニング検査や、B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの母親から出生した児に対する予防処置の普及によって発生数が減少している。しかし、母子感染予防処置が不十分なまま中断されている場合、胎内感染により出生時にすでに母子感染している場合、幼少時に家族内や集団保育の場で水平感染(垂直感染でない横への感染)している場合、思春期以降に性感染する場合があり、日本では、年間6,000人以上の新規感染者がある。 |
| 病原体 | B型肝炎ウイルス(HBV) |
| 潜伏期間 | 45-160日(平均90日) |
| 感染経路 | HBVキャリアからの垂直感染(母子感染)、歯ブラシやカミソリなどの共用に伴う水平感染、血液・体液感染(性感染)。唾液や汗も感染源となる可能性がある。 |
| 症状 | 乳幼児期の感染は無症候性に経過することが多いが、持続感染(HBVキャリア)に移行しやすい。急性肝炎を発症した場合は倦怠感・発熱・黄疸などがみられる。まれではあるが重症化して死に至る場合もある(劇症肝炎)。急性肝炎の多くは治癒するが、10-15%は慢性肝炎、肝硬変、肝癌へ進行する。また、近年、免疫抑制療法の治療中に、HBVの再活性化が生じる場合があることも指摘されている(de novo肝炎)。 |
| 診断法 | 血液による抗原抗体検査、ウイルス量検査 |
| 治療法 | 急性肝炎の場合は対症療法を選択する場合が多い。慢性肝炎では抗ウイルス薬やインターフェロン療法などの治療がある。 |
| 予防接種 | HBVキャリアの母から出生した新生児は、出生直後(12時間以内が望ましい)からHB免疫グロブリンとワクチンを用いた予防を行う。その他の児は生後2か月から定期接種としてワクチン接種を受ける。世界保健機関(WHO)は、全ての子どもにワクチン接種を勧奨しており、定期接種対象年齢外の子どもや職員にも予防接種を勧める。 |
| 感染拡大防止法 | 家族内などでは歯ブラシ・カミソリの共用を避ける。集団生活の場では、感染している子どもを特定するのではなく、標準予防策として、HBVキャリアの有無にかかわらず、血液や体液に触れる場合は使い捨て手袋を着用することが望ましい。例えば、非常に攻撃的でよくかみつく、全身性の皮膚炎がある、出血性疾患がある等、血液媒介感染を引き起こすリスクの高い子どもがHBVキャリアである場合は、主治医、施設責任者等が個別にそのリスクを評価して対応する必要がある。 HBVキャリアの子どもがプールに入ってもほかの子どもに感染させることはないが、傷などがある場合は絆創膏やガーゼで覆っておく。HBVキャリアの子どもがほかの子どもを噛み付いた場合は、傷口を洗い、医療機関を受診する。 「保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドライン~ウイルス性肝炎の感染予防を中心に」は、以下のURLから閲覧が可能である。https://www.kanen.ncgm.go.jp/content/010/hoiku.pdf |
| 登校(園)基準 | 急性肝炎の急性期でない限り、登校(園)は可能である。HBVキャリアの登校(園)を制限する必要はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-09.html |
| C型肝炎 | |
| 概要 | 血液や体液を介して感染する肝炎のひとつ。日本では1992年から開始されたスクリーニングにより、輸血後感染は減少した。分娩時に妊婦のウイルスRNAが陽性の場合に、子どもの5-6%が感染する。慢性化しやすく、一部が肝硬変にいたるとされている。 |
| 病原体 | C型肝炎ウイルス(HCV) |
| 潜伏期間 | 主に6-7週(2週-6か月) |
| 感染経路 | HCV感染者からの血液・体液感染(性感染)、母子感染 |
| 症状 | 急性の病変は穏やかに始まり、子どもにおいて多くは無症状である。黄疸がみられるのは20%未満であり、肝機能障害も急性B型肝炎に比し顕著ではない。ただし感染した子どもの80%が慢性化し、米国では肝移植の対象疾患の筆頭を占める。 |
| 診断法 | 血液による抗体検査、RNA定量検査。HCV感染が判明している女性から出生した子どもは抗体スクリーニングが可能である。母からの移行抗体のなくなる生後18か月を越えてから抗体検査を行う。 |
| 治療法 | 抗ウイルス薬やインターフェロン療法などの治療がある。 |
| 感染拡大防止法 | 麻薬などの不法注射薬物使用や、複数のパートナーとの性交渉がHCV水平感染の、母親のヒト免疫不全ウイルス(HIV)重複感染がHCV垂直感染リスクとなる。家庭内などでは歯ブラシ・カミソリの共用を避ける。 集団生活の場では、感染している子どもを特定するのではなく、標準予防策として、血液や体液に触れる場合は使い捨て手袋を着用することが望ましい。 ウイルスが陽性の子どもは、傷などがある場合は絆創膏やガーゼで覆っておく。 ウイルスが陽性の母の場合、母乳哺育と人工乳栄養での子どもへの感染のリスクは同程度であるため、母乳哺育の禁忌とはならない。ただし、乳首のひび割れや出血のある場合は控えることを考慮する。 |
| 登校(園)基準 | 急性肝炎の急性期でない限り、登校(園)は可能である。感染者の登校(園)を制限する必要はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-10.html |
| 手足口病 | |
| 概要 | 口腔粘膜と四肢末端に水疱性発疹を生じる疾患で、毎年のように流行する。 |
| 病原体 | コクサッキーウイルスA16、A10、A6型、エンテロウイルス71型など |
| 潜伏期間 | 3-6日 |
| 感染経路 (始発時期) | 経口感染、飛沫感染、接触感染。 流行のピークは夏季である。 |
| 感染期間 | ウイルスは咳や鼻汁から1-2週間、便からは数週-数か月間、排出されることもある。 |
| 症状 | 発熱と口腔・咽頭粘膜に痛みを伴う水疱ができ、唾液が増え、手・足末端や臀部に水疱がみられるのが特徴。発熱はあまり高くはならないことが多く、通常1-3日で解熱する。近年、流行しているコクサッキーウイルスA6型によるものは、水痘と紛らわしいことや、爪が剥げることもある。エンテロウイルス71型による手足口病では髄膜炎や脳炎などを合併症することがある。 |
| 好発年齢 | 乳幼児 |
| 診断法 | 症状から診断される。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 経口感染、飛沫感染、接触感染対策として、一般的な予防法を励行する。 |
| 登校(園)基準 | 流行の阻止を目的とした登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。本人の全身状態が安定しており、発熱がなく、口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく普段の食事がとれる場合は登校(園)可能である。ただし、手洗い(特に排便後)を励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-11.html |
| ヘルパンギーナ | |
| 概要 | 主として咽頭、口腔内粘膜に水疱、潰瘍を形成するのが特徴の熱性疾患である。乳幼児に多く見られる夏かぜの代表的な疾患である。 |
| 病原体 | 主としてコクサッキーA群ウイルス |
| 潜伏期間 | 3-6日 |
| 感染経路 (始発時期) | 経口感染、飛沫感染、接触感染。 春季から夏季に多く発生し、流行のピークは7月ころである。 |
| 感染期間 | ウイルスは咳や鼻汁から1-2週間、便からは数週-数か月間、排出されることもある。 |
| 症状 | 突然の発熱(39℃以上)、咽頭痛。咽頭に赤い発疹がみられ、次に水疱となり、間もなく潰瘍となる。 |
| 好発年齢 | 4歳以下の乳幼児に多い。原因となる病原ウイルスが複数あるため、再発することもある。 |
| 診断法 | 症状から診断される。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として一般の予防法を励行する。 |
| 登校(園)基準 | 流行の阻止を狙っての登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。本人の全身状態が安定している場合は登校(園)可能である。ただし、手洗い(特に排便後)を励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-12.html |
| 無菌性髄膜炎 | |
| 概要 | 主にウイルスによる髄膜の炎症であり、原因ウイルスの流行により、夏季から秋季に増加する。 |
| 病原体 | どのウイルスでも発症しうるが、エンテロウイルスが無菌性髄膜炎の80%以上の原因とされている。ほかにはムンプスウイルス、アデノウイルスが多い。 |
| 潜伏期間 | エンテロウイルスは3-6日、ムンプスウイルスは16-18日など、それぞれのウイルスによる。 |
| 感染経路 | エンテロウイルスは経口感染、飛沫感染、接触感染。ムンプスウイルスは飛沫感染、接触感染。 |
| 感染期間 | エンテロウイルスは、咳や鼻汁から1-2週間、便からは数週-数か月排出され、ムンプスウイルスは耳下腺腫脹1-2日前から腫脹5日ころまで。 |
| 症状 | 乳児では発熱、不機嫌など。年長児では発熱、頭痛、嘔吐、羞明(光をまぶしく感じる)など。時に、けいれんや意識障害など、脳炎の症状を来たすこともある。一般的に1週間程度で回復することが多い。ただし、中には脳炎も併発し、けいれんや意識障害などを来すことがある。その場合は後遺症を残すこともある。 |
| 好発年齢 | どの年齢でも発症する可能性がある。 |
| 診断法 | 髄液検査 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | ムンプスウイルスはおたふくかぜワクチンでの予防が可能であり、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の自然感染では100人に1人の頻度で無菌性髄膜炎が発症するが、おたふくかぜワクチンによる無菌性髄膜炎の発症は、2020-2023年の被接種者を対象とした全国調査では10万接種あたり13.4と自然感染時に比べ低かった。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染、経口感染として一般の予防方法を励行する。 |
| 登校(園)基準 | 全身状態が安定している場合は登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-13.html |
| 伝染性紅斑(りんご病) | |
| 概要 | かぜ様症状を認めた後に顔面、頬部に少しもり上がった紅斑(赤い発疹)がみられる疾患である。その状態からりんご病とも呼ばれている。国内においては、数年周期で流行している。 |
| 病原体 | ヒトパルボウイルスB19 |
| 潜伏期間 | 通常4-14日であるが、21日程度になる場合もある。 |
| 感染経路 | 主として飛沫感染、母子感染(胎内感染)。成人では半数以上が不顕性感染であるため、感染していることに気付いていない場合も多い。 |
| 感染期間 | かぜ症状出現から発疹が出現するまで。 |
| 症状 | かぜ様症状と引き続きみられる顔面の紅斑が特徴である。発疹は両側の頬と四肢伸側にレース状、網目状の紅斑が出現する。一旦消失しても再発することもある。合併症として(特に溶血性貧血患者では)、重症の貧血を生じることがある。妊婦(特に28週未満)が初めて感染した場合、流産、死産にいたる場合(2-6%)や、胎児が胎児水腫という全身に浮腫をきたす場合(3%)がある。成人では顔面の紅斑は出現し難く、関節痛や四肢浮腫(水ぶくれ)が特徴である。 |
| 好発年齢 | 幼児から学童(一度感染すると終生免疫を獲得するため再感染はしない) |
| 診断法 | 症状から診断されることが多いが、確定には血液での抗体検査を行う(紅斑が出現している15歳以上、あるいは妊婦に対するIgM抗体の測定のみに健康保険が適応される)。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 流行期は特に、飛沫感染対策として一般の予防法を励行する。妊婦の半数以上は免疫を持っていないため、発症者がでた場合は、保護者に知らせる必要がある。また、かかったことがなく、妊娠している職員は流行が終息するまで休ませる配慮が望まれる。 |
| 登校(園)基準 | 発疹期には感染力はほとんど消失しているので、発疹のみで全身状態のよい者は登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-14.html |
| ロタウイルス感染症 | |
| 概要 | 流行性嘔吐下痢症の症状を呈するウイルスによる腸管感染症である。ワクチン導入前の日本の患者数は年間約80万人で、そのうち2-8万人が入院し、10人前後が死亡していた。 |
| 病原体 | ロタウイルス |
| 潜伏期間 | 1-2日 |
| 感染経路 (始発時期) | 経口感染、接触感染、飛沫感染。 冬季から春季に多く発生する。 |
| 感染期間 | 急性期が最も感染力が強いが、便中に3週間以上排泄されることもある。 |
| 症状 | 嘔吐と下痢が主症状であり、時に下痢便が白くなることもある。 多くは2-7日で治るが、脱水、まれにけいれんが群発する、もしくは脳症を合併することがある。 |
| 好発年齢 | 乳幼児 |
| 診断法 | 便を用いた抗原迅速診断キットがあるが、流行などから臨床診断する場合もある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | 2011年、日本でも経口生ワクチンが任意予防接種として開始され、2020年には定期化され、発症が減っている。 |
| 感染拡大防止法 | 経口感染、接触感染、飛沫感染対策として、一般的な予防法の励行が大切である。アルコール消毒は効きにくいため、流水下の石鹸での手洗いが必要である。ウイルスがついた水や食物、手を介して、またはそこから飛び散って感染するので、患者と接触した場合や排便後、また保育者であればおむつ交換後に、手洗いを励行する。嘔吐物や下痢便のついた衣類などは破棄するか、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。 |
| 登校(園)基準 | 症状のある間が主なウイルスの排泄期間なので、下痢、嘔吐症状が消失した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-15.html |
| ノロウイルス感染症 | |
| 概要 | 流行性嘔吐下痢症の症状を呈するウイルスによる感染力の非常に強い腸管感染症である。人から人への感染以外に、食中毒の原因としても重要であり、食中毒の病原体の中で患者数が最も多い。 |
| 病原体 | ノロウイルス |
| 潜伏期間 | 12-48時間 |
| 感染経路 (好発時期) | 経口感染、接触感染、飛沫感染。便中に多くのウイルスが排出されており、吐物の感染力も強く、乾燥してエアロゾル化した吐物からは空気感染も発生しうる。二枚貝、氷、サラダ、パンなどの食品を介しての感染(食中毒)もある。秋季から春季に多く発生する。家庭内や保育施設などの集団(施設)、閉鎖空間で感染が拡大する。 |
| 感染期間 | 急性期が最も感染力が強いが、便中に3週間以上排泄されることもある。 |
| 症状 | 嘔吐と下痢が主症状であり、多くは1-3日で治るが、脱水を合併する。 |
| 好発年齢 | 乳幼児のみならず、学童、成人にも多くみられ、再感染もまれでない。 |
| 診断法 | 便を用いた抗原迅速診断キットがあるが、流行などから臨床診断する場合もある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 経口感染、接触感染、飛沫感染対策として、一般的な予防法の励行が大切である。 ウイルスがついた水や食物、手を介して、またはそこから飛び散って感染するので、患者やその吐物・便と接触した場合は、手洗いを励行する。また吐物や便で汚染された場所の消毒を行う際には、子どもを遠ざけ、部屋の換気を行い、使い捨ての手袋・マスク・エプロンを着けて対応する。 アルコール消毒は効きにくいため、流水下に石鹸で手洗いをし、食器などは、85℃で1分以上の加熱または、0.02%次亜塩素酸ナトリウムを用いて洗浄する。食品は85-90℃、90秒以上の加熱が有効である。嘔吐物や下痢便のついた衣類などは破棄するか、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。 |
| 登校(園)基準 | 症状のある間が主なウイルスの排泄期間なので、下痢、嘔吐症状が消失した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-16.html |
| サルモネラ感染症(腸チフス、パラチフスを除く) | |
| 概要 | 食中毒による急性細菌性腸炎の原因となる。 |
| 病原体 | サルモネラ菌 |
| 潜伏期間 | 主に12-36時間(6-72時間) |
| 感染経路 | ミドリガメなどの爬虫類、鳥類、両生類などの感染動物(ペット、家畜)との接触、汚染された生卵やその加工品、食肉(牛レバー刺し、鶏肉)などの摂食による経口感染。 |
| 感染期間 | 便中の菌排泄が数週間以上続く。 |
| 症状 | 下痢、血便、嘔吐、発熱 |
| 診断法 | 便の細菌培養 |
| 治療法 | 安静、食事療法、補液。生後3か月未満、基礎疾患がある人や全身状態が悪い場合は抗菌薬。下痢止め薬は排菌を遅延させる可能性があるため、使用しない。 |
| 感染拡大防止法 | 調理者の手洗い、調理器具の洗浄、食品の加熱(中心部が75℃、1分以上)などを励行する。排便後や、職員においてはおむつ交換後の手洗いを励行する。 |
| 登校(園)基準 | 下痢が治まれば登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-17.html |
| カンピロバクター感染症 | |
| 概要 | 食中毒による急性細菌性腸炎の原因となる。 |
| 病原体 | カンピロバクター菌 |
| 潜伏期間 | 通常2-5日であるが長くなる場合もある。 |
| 感染経路 | 汚染された家畜、爬虫類、ペットを含む動物、鶏肉、鶏卵、牛肉、未殺菌乳、魚などからの経口感染。 |
| 感染期間 | 便中の菌排泄が数週間以上続く。 |
| 症状 | 下痢、血便、嘔吐、発熱。発症数週間後にギラン・バレー症候群というまひを中心にした神経障害を併発することもある。 |
| 診断法 | 便の細菌培養 |
| 治療法 | 安静、食事療法、補液。基礎疾患がある人や全身状態が悪い場合は抗菌薬。下痢止め薬は排菌を遅延させる可能性があるため、使用しない。 |
| 感染拡大防止法 | 調理者の手洗い、調理器具の洗浄、食品の加熱(中心部が75℃、1分以上など)を励行する。排便後や、職員においてはおむつ交換後の手洗いを励行する。 |
| 登校(園)基準 | 下痢が治まれば登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-18.html |
| 肺炎マイコプラズマ感染症 | |
| 概要 | 咳を主症状とし、学童期以降の市中肺炎としては最も多い。2024年には大規模な流行があった。 |
| 病原体 | 肺炎マイコプラズマ |
| 潜伏期間 | 主に2-3週間(1-4週間) |
| 感染経路 (始発時期) | 飛沫感染。家族内感染や再感染も多くみられる。 夏季から秋季に多い |
| 感染期間 | 症状のある間がピークであるが、保菌は数週-数か月間持続する。 |
| 症状 | 咳、発熱、頭痛などのかぜ症状がゆっくり進行する。とくに咳は徐々に激しくなる。中耳炎・鼓膜炎や発疹などを伴うこともあり、重症例では胸水がたまり呼吸障害が強くなる。 |
| 好発年齢 | 通常5歳以後で、10-15歳くらいに多いが、成人もしばしば罹患する。 |
| 診断法 | 血液による抗体検査や、咽頭ぬぐい液によるDNA、抗原検査などがある。 迅速抗体検査では、感染から1年近く陽性が持続する場合があるため、結果の判断には注意を要す。 |
| 治療法 | 抗菌薬であるが、近年、耐性菌が増えている。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染対策としての一般的な予防法を励行する。 |
| 登校(園)基準 | 発熱や激しい咳が治まり、全身状態のよい者は登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-19.html |
| 肺炎クラミジア感染症 | |
| 概要 | 慢性の咳や、肺炎、気管支炎の原因となる。 |
| 病原体 | 肺炎クラミジア |
| 潜伏期間 | 平均21日 |
| 感染経路 | 飛沫感染。再感染も多くみられる。 |
| 感染期間 | 症状のある間がピークである。 |
| 症状 | 咳が長引くことが多い。 |
| 好発年齢 | 初感染は5-15歳にピークがある。 |
| 診断法 | 血液による抗体検査や、鼻咽頭ぬぐい液または喀痰からのDNA検出。 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染対策としての一般的な予防法を励行する。 |
| 登校(園)基準 | 症状が改善し、全身状態のよい者は登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-20.html |
| インフルエンザ菌b型感染症 | |
| 概要 | 細菌性髄膜炎、敗血症(細菌による重症感染症で全身の状態が悪くなる)、喉頭蓋炎の代表的な起因菌である。 |
| 病原体 | インフルエンザ菌b型(Hib) |
| 潜伏期間 | 不明 |
| 感染経路 | 主に飛沫感染。ワクチン導入前の健康な子どもの保菌率は1-5%程度。 |
| 感染期間 | 保菌している間は、感染させる可能性がある。 |
| 症状 | 髄膜炎、敗血症、喉頭蓋炎。ワクチン導入前の日本でのHib髄膜炎の発症は年間約600人で、約2-3%が死亡、約15%が脳障害や聴力障害などの後遺症を残していた。 |
| 好発年齢 | 3か月-5歳。特に2歳以下に多い。 |
| 診断法 | 血液や髄液など通常無菌部位の細菌培養 |
| 治療法 | 抗菌薬。ワクチン導入前は、薬剤耐性菌が増加していた。 |
| 予防接種 | 日本でも2013年4月からHibワクチンの定期予防接種が開始され、侵襲性Hib感染症は激減している。2024年4月にHibワクチンと沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合ワクチン(DPT-IPV)を含む5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が導入された。 |
| 登校(園)基準 | 全身状態の改善した者は登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-21.html |
| 肺炎球菌感染症 | |
| 概要 | 細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎、中耳炎などの代表的な起因菌である。 |
| 病原体 | 肺炎球菌 |
| 潜伏期間 | 1-3日 |
| 感染経路 | 主に飛沫感染。1歳児の30-50%が鼻腔に保菌しており、保育施設の入園後1-2か月でその保菌率は80%以上に上昇する。 |
| 感染期間 | 感染の種類によって異なるが1-3日。保菌している間は感染させる可能性がある。 |
| 症状 | 気管支炎、肺炎、中耳炎、髄膜炎、敗血症。ワクチン導入前の日本での肺炎球菌髄膜炎の発症は年間約200人で、約6-7%が死亡、約30%が脳障害や聴力障害などの後遺症を残していた。 |
| 好発年齢 | 3か月-5歳。特に2歳以下に多い。 |
| 診断法 | 血液や髄液の細菌培養 |
| 治療法 | 抗菌薬。ワクチン導入前は薬剤耐性菌が増加していた。 |
| 予防接種 | 多くの国で2000年以降、肺炎球菌結合型ワクチンが導入され、ワクチンに含まれる血清型の肺炎球菌による侵襲性感染症(髄膜炎、敗血症などの重症感染症)は激減した。海外では中耳炎や肺炎に対する予防効果も報告されている。日本では2013年定期予防接種となり、同じく侵襲性感染症は減少している。一方で、ワクチンでカバーされていない血清型による侵襲性感染症が相対的に増加している。また、23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチンは、2歳以上で重症化するリスクの高い人(例えば脾臓摘出後)に接種を勧める。 |
| 登校(園)基準 | 発熱、咳などが軽快し、全身状態が改善した者は登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-22.html |
| RSウイルス感染症 | |
| 概要 | 秋-冬期を中心に流行し、主に乳幼児が感染し、呼吸困難に陥ることもある呼吸器感染症である。近年、流行が早まり、夏季に流行が始まることが多くなっている。2021年には夏季における大流行を認めた。最新の発生動向は国立感染症研究所のURLから閲覧が可能である。 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/rs-virus.html |
| 病原体 | RSウイルス |
| 潜伏期間 | 主に4-6日(2-8日) |
| 感染経路 | 接触感染、飛沫感染 |
| 感染期間 | 通常3-8日 |
| 症状 | 発熱、鼻汁、咳嗽、喘鳴。年長児や成人では、軽いかぜ症状ですむ場合も多いが、乳児早期に感染した場合は急性細気管支炎や肺炎となり、呼吸困難から人工呼吸管理を要することもある。 |
| 好発年齢 | 乳幼児 |
| 診断法 | 抗原迅速診断キットを用いた検査が可能である。ただし、迅速検査の保険適用は乳児や入院患児などに限られている。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 出生前に妊婦にRSウイルスワクチンを接種することで児の発症予防と重症化予防を期待できる。 出生後は、早産児やRSウイルス感染症が特に重症化しやすい基礎疾患のある児に対して、RSウイルス感染症の発症予防、重症化予防を目的とし、健康保険の適応で抗RSウイルスモノクローナル抗体を使用できる。また健康保険の適用外とはなるが、健常児も抗RSウイルスモノクロナール抗体により、同様の効果が期待できる。 流行期、保育所では乳児と1歳以上のクラスの互いの交流を制限することで、重症化しやすい乳児への感染を予防できることもある。 |
| 登校(園)基準 | 咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-23.html |
| ヒトメタニューモウイルス感染症 | |
| 概要 | 晩冬-早春に流行する呼吸器感染症で、RSウイルスと同様に乳児の急性細気管支炎や肺炎の原因となる。 |
| 病原体 | ヒトメタニューモウイルス |
| 潜伏期間 | 3-5日 |
| 感染経路 | 接触感染、飛沫感染 |
| 感染期間 | 通常1-2週間 |
| 症状 | 咳嗽、喘鳴。喘息発作の悪化などに関与する。乳児では急性細気管支炎や肺炎となり、免疫低下状態では重症化することがある。 |
| 好発年齢 | 全ての年齢で生じうるが、多くの場合は5歳までに感染する。 |
| 診断法 | 抗原迅速診断キットを用いた検査が可能である。ただし、迅速検査の保険適用は6歳未満でレントゲンや聴診で肺炎が疑われる場合、などに限られている。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 接触感染対策として一般の予防方法を励行する。 |
| 登校(園)基準 | 咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-24.html |
| ライノウイルス感染症 | |
| 概要 | かぜ症候群と副鼻腔炎の原因として最も頻度が高い。1年中生じるが春と秋が多い。 |
| 病原体 | ライノウイルスであるが、100種類以上の型があるため何度も感染する。 |
| 潜伏期間 | 2-3日(時に7日にいたることもある) |
| 感染経路 | 接触感染、飛沫感染 |
| 感染期間 | 鼻咽頭からの排泄が最も多いのは初期の2-3日で、通常7-10日 |
| 症状 | 咽頭痛、咳、鼻汁、発熱、中耳炎。喘息の悪化原因ともなりうる。 |
| 好発年齢 | 全ての年齢で生じうるが、成人になるまでに複数回、感染する。 |
| 診断法 | 症状とほかの感染症の除外で診断する。多項目PCR検査を実施している一部の医療機関でこのウイルスも検査されることはある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。 |
| 登校(園)基準 | 咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-25.html |
| パラインフルエンザウイルス感染症 | |
| 概要 | クループの主な原因であり、再感染の場合は軽い上気道炎のことが多い。主に秋に多い。 |
| 病原体 | パラインフルエンザウイルスで1、2、3、4A、4B型がある。 |
| 潜伏期間 | 2-6日 |
| 感染経路 | 接触感染、飛沫感染 |
| 感染期間 | 症状が出現する1週間前から症状消失後1-3週くらいまでウイルスを排泄する。 |
| 症状 | クループ、上気道炎、肺炎、細気管支炎。喘息の悪化原因ともなりうる。 |
| 好発年齢 | 全ての年齢で生じうるが、通常5歳までに複数回感染する。 |
| 診断法 | 症状とほかの感染症の除外で診断する。多項目PCR検査を実施している一部の医療機関でこのウイルスも検査されることはある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。 |
| 登校(園)基準 | 咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-26.html |
| エンテロウイルスD68感染症 | |
| 概要 | 重症の呼吸不全や喘息発作、急性の手足のまひ(急性弛緩性まひ)の原因として疑われている。 |
| 病原体 | エンテロウイルスD68 |
| 潜伏期間 | 3-6日 |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染 |
| 感染期間 | 呼吸器からのウイルスの排出は通常1-3週未満である。 |
| 症状 | 重症の呼吸器疾患や喘息発作、急性の手足のまひが生じる可能性が示唆されている。 |
| 好発年齢 | 幼児 |
| 診断法 | 健康保険で行なわれる検査はない。一部の研究機関で、鼻咽頭ぬぐい液などからのウイルス分離やPCR検査が可能である。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われるが、急性のまひは改善しにくい。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。 |
| 登校(園)基準 | 咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-27.html |
| EBウイルス感染症 | |
| 概要 | 伝染性単核球症の主な原因であり、不顕性感染例から致死的な例もある。乳幼児では気付かれないことも多い。 |
| 病原体 | Epstein-Barrウイルス |
| 潜伏期間 | 30-50日 |
| 感染経路 | キスなどにより唾液や体液を介しての感染、濃厚接触による飛沫感染 |
| 感染期間 | 唾液や飛沫や鼻汁からは数か月間ウイルスが排泄される。 |
| 症状 | 多くは無症状か、軽微なかぜ症状ですむが、伝染性単核球症(発熱が数日-数週間持続、リンパ節腫大、咽頭・扁桃炎、肝炎)や、まれに慢性活動性EBウイルス病(発熱などの症状が数か月間持続)、血球貪食症候群(発熱、貧血、出血)、悪性リンパ腫の原因となる場合もある。 |
| 好発年齢 | 伝染性単核球症は思春期以降に多い。 |
| 診断法 | 血液での抗体検査 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。キス、歯ブラシや食事用具の共用による唾液の接触を避ける。 |
| 登校(園)基準 | 解熱し、全身状態が回復した者は登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-28.html |
| サイトメガロウイルス感染症 | |
| 概要 | 子どもにおいては不顕性感染も多いが、思春期以降では伝染性単核球症様の症状を呈することがある。免疫が低下している人の感染では重症化することがある。妊婦の感染で胎児が感染(先天性感染)すると、中枢神経系や感覚器(眼、内耳)などに異常が生じることがある。 |
| 病原体 | ヒトサイトメガロウイルス |
| 潜伏期間 | ヒトからヒトへの直接感染の場合は不明、輸血感染では3-12週間。 |
| 感染経路 | 唾液、尿などの体液を介した感染、経胎盤、経産道、経母乳による母子感染、性行為感染。 |
| 感染期間 | 1-3歳の幼児の30-40%が唾液や尿にウイルスを排泄している。 |
| 症状 | 後天性感染では、かぜ症状や伝染性単核球症(発熱が数日-数週間持続、リンパ節腫大、咽頭・扁桃炎、肝炎)、先天性(胎内)感染では、難聴、発達遅滞・障害、視力障害などが生じることがある。 |
| 診断法 | 血液での抗体検査や、血液・尿を用いたPCR検査。先天性感染に対して、生後3週間以内の尿を用いてDNA検査(保険適用)を行う。 |
| 治療法 | 重症化しない場合、通常は自然軽快する。免疫が低下した患者や先天性感染症では、抗ウイルス薬(ガンシクロビル、バルガンシクロビル)が考慮される。 |
| 感染拡大防止法 | 無症候性感染児が少なからずいて、長期間唾液や尿にウイルスが排泄し続けるので、妊娠中の職員は常に子どもの唾液、尿などに触れた後にはよく手洗いをする。 |
| 登校(園)基準 | 解熱し、全身状態が回復した者は登校(園)可能である。未感染の妊婦に感染させないように、特に注意を払う。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-29.html |
| 単純ヘルペスウイルス感染症 | |
| 概要 | 1型ウイルスによる歯肉口内炎、主に2型ウイルスによる性器ヘルペス、両方の型による新生児ヘルペスなど、軽症から重症まで様々な病状を呈す。 |
| 病原体 | 単純ヘルペスウイルス1型、2型 |
| 潜伏期間 | 新生児以降は2日-2週 |
| 感染経路 | 水疱内にあるウイルスの接触感染、新生児では産道感染(母子感染) |
| 症状 | 乳児期以降の初感染の場合、多くは無症状であるが、発症典型例は歯肉口内炎で、4-5日間の発熱と口腔内の多発性アフタ、歯肉の腫脹や出血、口周囲の水疱がみられる。アトピー性皮膚炎を持つ児ではカポジ水痘様発疹症(全身に水疱が多発)となることがある。 新生児ヘルペスではウイルスを排泄する妊婦からの産道感染にて発症し、高熱、けいれん、意識障害などを呈し、後遺症を残す可能性がある。性器ヘルペスでは小水疱や潰瘍を生じる。ウイルスは生涯にわたり潜伏感染し、再活性化の場合は口唇ヘルペスや性器ヘルペスとなることがある。単純ヘルペス脳炎はどの年齢でも生じ、けいれん、意識障害を呈し、時に致死的である。 |
| 好発年齢 | 歯肉口内炎は主として6か月-3歳。性器ヘルペスは思春期以降 |
| 診断法 | 血液での抗体検査、水疱内容液、血液、髄液を用いた抗原検査 |
| 治療法 | 内服、静注、軟膏の抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル) |
| 登校(園)基準 | 口唇ヘルペスのみで、全身状態が保たれているのであれば、マスクなどをして登校(園)可能であるが、歯肉口内炎で発熱や口腔内アフタのため痛みが強く、経口飲食が困難な場合、また全身性の水疱がある場合は欠席して、治療する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-30.html |
| 帯状疱疹 | |
| 概要 | 過去に水痘にかかったことのある人の免疫状態が低下したときに、神経節に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症する。 |
| 病原体 | 水痘・帯状疱疹ウイルス |
| 潜伏期間 | 水痘にかかった後、水痘・帯状疱疹ウイルスは神経節に長期に潜伏するため不定。 |
| 感染経路 | 水疱内にあるウイルスの接触感染 |
| 症状 | 小さな水疱が神経の支配領域に沿って片側性に帯状に現れる。かゆみや痛みをともなう。 |
| 診断法 | 主に症状から診断されるが、水疱の内用液やびらんの表面をぬぐい、ウイルス抗原を検査する診断キットも有用である。 |
| 治療法 | 抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビル) |
| 予防接種 | 水痘ワクチンは1-2歳児を対象に定期接種(2回接種)。帯状疱疹の予防にもなるため、水痘にかかる前に予防接種を勧める。また、50歳以上の帯状疱疹予防として水痘ワクチンの使用可。50歳以上の者および帯状疱疹に罹患するリスクの高いと考えられる18歳以上の者に不活化帯状疱疹ワクチンも使用可能となった。 |
| 感染拡大防止法 | 集団の場では、1人の発症があった場合、速やかにほかの子どもに対して、水痘にかかったことがあるか、予防接種はしているかを聴取する。患者との接触後、72時間以内であればワクチンによって発症の阻止、あるいは症状の軽減が期待できる。妊婦への感染防止も重要であるため、保護者に知らせる必要がある。また、水痘にかかったことがなく、水痘ワクチン未接種の妊娠している職員は流行が終息するまで休ませる配慮が望まれる。 |
| 登校(園)基準 | すべての発疹が痂皮(かさぶた)になるまで感染力はあるものの、水痘ほど感染力は強くなく、空気感染、飛沫感染はない。病変部が適切に被覆してあれば、登校は可能である。ただし、水痘にかかったことのないワクチン未接種者が帯状疱疹患者と接触すると水痘にかかる可能性があるため、接触しないようにする。そのような子どもの多い幼稚園、保育所では、すべての発疹が痂皮になるまで登園は控える。白血病や免疫を抑制する治療を受けている人が感染すると重症化する場合もあることも留意する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-31.html |
| 日本脳炎 | |
| 概要 | 日本脳炎ウイルスはブタなどで増殖し、蚊が媒介するウイルスで、ヒトの急性脳炎の原因となる。 |
| 病原体 | 日本脳炎ウイルス |
| 潜伏期間 | 6-16日 |
| 感染経路 (始発時期) | ブタなどで増殖し、ウイルスに感染しているブタを刺したコガタアカイエカにヒトが刺されることで感染する。夏季から秋季に患者が増加する。北海道、東北地方などの一部の地域を除き、日本中で感染の可能性があり、関東以西の府県では約80%のブタが日本脳炎ウイルスに感染することが少なくないので注意が必要である。なお、ヒトからヒトへの感染はない。 |
| 症状 | 感染した100-1,000人に1人が発症し、発熱、頭痛、けいれん、意識障害を来たす。発症例の20-30%は死亡し、30-50%は脳障害の後遺症を残す。 |
| 好発年齢 | ほとんどが高齢者であるが、子どもの報告もある |
| 診断法 | 髄液検査や血液での抗体検査 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | 定期接種としては、1期初回2回と追加1回、2期1回の合計4回接種する。1期初回の標準的接種時期は3歳からとなっているが、生後6か月から接種は可能であり、流行地では早期の予防接種が推奨される。また積極的勧奨差し控え期間中に接種できなかった者にも定期接種できる。 |
| 感染拡大防止法 | 蚊に刺されないように長袖、長ズボンを着用し、裸足でサンダルを履かないようにする。コガタアカイエカは水田や沼、大きな水たまりに産卵し、日没頃から活動するので、野外で活動する場合は虫除け剤(ディート、イカリジン<ピカリジン>など)を使用するなど、蚊にさされない手段を取る。 |
| 登校(園)基準 | 症状が回復したら登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-32.html |
| 突発性発疹 | |
| 概要 | ヒトヘルペスウイルス6、7の初感染にて生じ、高熱の持続の後、解熱とともに発疹がでる。 |
| 病原体 | ヒトヘルペスウイルス6、7 |
| 潜伏期間 | ヒトヘルペスウイルス6は9-10日、7は不明。 |
| 感染経路 | 無症状の家族、保育者、濃厚接触者などの唾液中に排泄されるウイルスによる。 |
| 症状 | 39.5度以上の発熱が3-4日続いた後、解熱とともに発疹が出現し、その発疹は数時間から数日間持続する。熱性けいれんや、稀に脳症を呈すこともある。 |
| 好発年齢 | 6-24か月が最も多く、5歳までに75%の子どもが感染する。 |
| 診断法 | 通常は症状から診断されるが、ウイルス分離、抗体価測定、PCR法による診断も可能。 |
| 治療法 | 対症療法が行われる。 米国小児科学会では、免疫抑制状態にある子どもに生じた重症感染の場合、ガンシクロビルの投与を勧める場合もある。 |
| 感染拡大防止法 | 食べ物を口移しで与えない。歯ブラシや食事用具の共用による唾液の接触を避ける。 |
| 登校(園)基準 | 解熱し、機嫌がよく、全身状態が良ければ登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-33.html |
| ボツリヌス症 | |
| 概要 | ボツリヌス菌が産生する毒素により、神経のまひが数週間-数か月生じる。 |
| 病原体 | ボツリヌス菌の神経毒素A、B、E型 |
| 潜伏期間 | ボツリヌス食中毒12-48時間(6時間-8日)、乳児ボツリヌス症では3-30日 |
| 感染経路 | 保存・発酵食品、缶詰、蜂蜜などの中にボツリヌス菌が混入し、芽胞が発芽、増殖し、毒素が産生され、その毒素入りの食品を食べると発病する(ボツリヌス食中毒)。乳児では芽胞を摂取した後に体内で発芽・増殖し、毒素を産生することが多い(乳児ボツリヌス症)。 |
| 症状 | 物が二重に見える、飲み込みづらい、言葉を出しにくいなどの症状が先行して、手足のまひにいたることもある。乳児ボツリヌス症では便秘が先行し、元気がない、動作の減少、無表情、瞳孔散大などが生じ、呼吸に影響が出ると突然死の原因にもなりうる。 |
| 好発年齢 | どの年齢でも生じうるが、乳児ボツリヌス症は中央値15週齢 |
| 診断法 | 便、血液などからの菌や毒素の検出(培養、PCR法) |
| 治療法 | 抗毒素 |
| 感染拡大防止法 | 缶詰などの滅菌のためには高圧釜(116℃)での調理が必要。毒素は食品内の温度として85℃で10分間保てば不活化できる。しかし、芽胞は煮沸に耐えられるため、乳児に蜂蜜は与えない。缶詰や密封された食品の容器が膨らんでいる場合は、ボツリヌス菌によるガス産生の可能性があるため破棄する。傷んでいる食品は食べない。 |
| 登校(園)基準 | 乳児ボツリヌス症の場合、便から毒素が検出されなくなるまで、保育所等は出席を控える。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-34.html |
| ネコひっかき病 | |
| 概要 | ネコにひっかかれた手足の体幹に近い側のリンパ節が腫れ、発熱を伴うこともある感染症。秋-冬に多い。 |
| 病原体 | バルトネラ菌 |
| 潜伏期間 | 最初の皮膚症状が出現するまでは7-12日、皮膚症状出現からリンパ節腫張までは5-50日(平均12日) |
| 感染経路 | 保存・発酵食品、缶詰、蜂蜜などの中にボツリヌス菌が混入し、芽胞が発芽、増殖し、毒素が産生され、その毒素入りの食品を食べると発病する(ボツリヌス食中毒)。乳児では芽胞を摂取した後に体内で発芽・増殖し、毒素を産生することが多い(乳児ボツリヌス症)。 |
| 症状 | ネコによるひっかきや咬まれることによる。子ネコや野良ネコの保菌率が高い。 ネコに限らずイヌからの感染も報告されている。 |
| 診断法 | 通常の培養検査では検出しにくく、専門の検査施設での抗体検査、PCR検査などが必要。 |
| 治療法 | 自然軽快することが多いが、抗菌薬を投与する場合もある。 |
| 感染拡大防止法 | ネコ、特に子ネコとの過度な接触は避ける。ひっかかれた、もしくは咬まれた場合は、ただちに傷口をよく洗浄する。ネコからネコへの感染はノミを介するので、ノミ駆除も重要である。 |
| 登校(園)基準 | ヒトからヒトへは感染しないので、症状が回復したら登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-35.html |
| 破傷風 | |
| 概要 | 泥や土などで汚染された傷口で菌が増殖し、菌が産生する毒素によって脳神経が障害される感染症。 |
| 病原体 | 破傷風菌 |
| 潜伏期間 | 主に8日以内(3-21日) |
| 感染経路 | 泥や土などで汚染された傷口で菌が増殖し、毒素を出して発症する。 |
| 症状 | 傷口の違和感、舌のもつれ、口が開きにくくなるなどの症状から、飲みこみがしにくくなる、言葉がでにくくなる、歩けなくなる、顔がこわばる、けいれんするなどの症状が進行し、死に至ることもある。致命率は30-40%である。 |
| 診断法 | 症状から診断される。 |
| 治療法 | ワクチン未接種の場合や、ワクチン接種後5年以上経過した人で、泥や土などで汚染された傷を負った場合や動物に咬まれた場合は、適切に洗浄し、抗菌薬とともにヒト破傷風免疫グロブリン投与や破傷風トキソイドの接種を行う。 |
| 予防接種 | 定期予防接種である沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・インフルエンザ菌b型混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)を、生後2-90か月に4回接種する。標準的には生後2-7か月で開始して3-8週間間隔で3回接種し、6か月から18か月の間隔をあけて1歳以降に1回追加接種する。さらに、11歳以上13歳未満で沈降ジフテリア・破傷風(DT)トキソイドの接種を1回、定期接種として行う。 |
| 登校(園)基準 | ヒトからヒトへは感染しないので、症状が回復したら登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-36.html |
| デング熱 | |
| 概要 | 蚊によって媒介される感染症である。中南米や東南アジアでみられていたが、世界中で増加し、2014年に日本でも70年ぶりの感染が確認された。 |
| 病原体 | デングウイルス1-4型 |
| 潜伏期間 | 蚊におけるウイルス増殖には8-12日を要し、蚊は生涯(約1か月間)感染力を失わない。蚊に刺されてから発症までは3-14日。 |
| 感染経路 | ウイルスを保有するネッタイシマカ、ヒトスジシマカに刺されることで感染する。患者の血液に曝露すると感染する可能性があるが、通常、ヒトからヒトへの感染はない。ヒトの感染者は発症1-2日前から約7日、蚊に感染させる可能性がある。 |
| 症状 | 発熱、頭痛、発疹、全身の筋肉痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐、白血球減少、血小板減少などを認める。発病4-5日後に、重症デング熱(デング出血熱、デングショック症候群)として、嘔吐、腹痛、粘膜出血、腹水・胸水、無気力・不穏、ショックを呈する場合がある。初回感染よりも、異なる型のウイルスによる2回目以降の再感染で重症化することがある。 |
| 診断法 | デングウイルスの抗原検査が2015年6月に健康保険の適応となった。それ以外にも、IgG、IgMの抗体検査、PCR法などが診断に使われている。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。アスピリンは出血傾向を助長するので使用しない。 |
| 感染拡大防止法 | 蚊に刺されないように長袖、長ズボンを着用し、裸足でサンダルを履かないようにする。虫除け剤(ディート、イカリジン<ピカリジン>など)を使用する。 ヒトスジシマカは小さな水たまりに産卵するので、植木鉢の水受け皿や古タイヤなどを環境からなくし、水たまりを作らないようにする。 |
| 登校(園)基準 | 症状が回復したら登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-37.html |
| ジカウイルス感染症 | |
| 概要 | 蚊によって媒介される感染症である。2015年にブラジルおよびコロンビアを含む南アメリカ大陸で大流行した。 |
| 病原体 | ジカウイルス |
| 潜伏期間 | 3-12日 |
| 感染経路 | ウイルスを保有するネッタイシマカ、ヒトスジシマカに刺されることで感染する。血液や体液を介して感染する。また、母子感染も起こる |
| 症状 | 微熱、発疹、関節痛、結膜充血、筋肉痛、頭痛、目の後ろの痛み、めまい、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などがみられる。不顕性感染が約8割を占める。ギラン・バレー症候群、急性脊髄炎、髄膜脳炎を合併することもある。妊婦が感染すると、胎児が小頭症などを発症することがある。 |
| 診断法 | 血液を用いた抗体検査やウイルス分離、ウイルス遺伝子の検出などでなされる。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行なわれる。 |
| 感染拡大防止法 | 蚊に刺されないように長袖、長ズボンを着用し、裸足でサンダルを履かないようにする。虫除け剤(ディート、イカリジン<ピカリジン>など)を使用する。 ヒトスジシマカは小さな水たまりに産卵するので、植木鉢の水受け皿や古タイヤなどを環境からなくし、水たまりを作らないようにする。 国立感染症研究所の「蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)」によると、流行地に滞在中-帰国後6か月は、コンドームを使用するか性行為を控えることが推奨されている。 |
| 登校(園)基準 | 症状が回復したら登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-38.html |
| 重症熱性血小板減少症候群 | |
| 概要 | 2011年に中国から発表されたダニ媒介性感染症である。2013年1月に日本でも海外渡航歴のないヒトの罹患が報告され、2024年10月現在、西日本を中心として1,050人の患者が報告され、115人が死亡している。最新情報は国立感染症研究所のURLから閲覧が可能である。 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/sfts.html |
| 病原体 | ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス |
| 潜伏期間 | 6-13日 |
| 感染経路 | ヒトは主にSFTSウイルス保有マダニに咬まれることにより感染するが、血液・体液を介し、患者から家族や医療従事者に感染することもある。 |
| 症状 | 発熱、消化器症状(嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振など)が中心で、時に頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れ、呼吸不全、出血、白血球減少、血小板減少、肝機能異常、血尿、蛋白尿が認められる。意識障害などの神経症状が認められ、中国では致命率が6-30%と報告されている。 |
| 診断法 | 保健所でのウイルス分離、DNA検査などで診断される |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | マダニは野生動物のいる環境に多く生息しており、特に春から秋に活発に活動する。野外では肌の露出を少なくし、上着や作業着は家の中に持ち込まない、活動後はシャワーや入浴を行う。ダニに咬まれないようにする。咬まれた場合、無理に取り除こうとせず、医療機関で除去してもらう。 |
| 登校(園)基準 | 症状が回復したら登校(園)可能である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-39.html |
| 子見出し | 通常出席停止の措置は必要ないと考えられる感染症 |
| アタマジラミ症 | |
| 概要 | 頭皮に寄生し、頭皮に皮膚炎を起こす疾患である。児童に多い。衛生不良の指標ではない。 |
| 病原体 | アタマジラミ |
| 潜伏期間 | 産卵から孵化までは10-14日、成虫までは2週間 |
| 感染経路 | 接触感染。家族内や集団の場での直接感染、あるいはタオル、クシ、帽子を介しての間接感染。 |
| 症状 | 一般に無症状であるが、吸血部位にかゆみを訴えることがある。 |
| 診断法 | 症状から診断される。 |
| 治療法 | 薬局でシラミ駆除剤を購入して治療する。目の細かいクシで毎日丁寧に頭髪の根本から梳いて、シラミや卵を取り除く。毎日シャンプーをする。頭髪を短くする必要はない。 |
| 感染拡大防止法 | 感染した子どもは、ほかの子どもと昼寝などで頭と頭が接しないように、布団を離すなど工夫する。 感染した子どもがいた場合、周囲の感染者を一斉に治療することが勧められる。頭髪をていねいに観察し、早期に虫卵を発見することが大切である。タオル、クシや帽子の共用を避ける。着衣、シーツ、枕カバー、帽子などは洗うか、熱処理(熱湯、アイロン、ドライクリーニング)する。 |
| 登校(園)基準 | 適切な治療を行えば登校(園)やプールに制限はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-40.html |
| 伝染性軟属腫(水いぼ) | |
| 概要 | 特に幼児期に好発する皮膚疾患である。半球状に隆起し、光沢を帯び、中心に窪みをもつ粟粒大-米粒大(1-5mm)のいぼが、主にからだ、手足にできる。 |
| 病原体 | 伝染性軟属腫ウイルス |
| 潜伏期間 | 2-7週、時に6か月まで |
| 感染経路 | 主として感染者への接触により直接感染するが、タオルの共用などによる間接感染も起こる |
| 症状 | いぼ以外の症状はほとんどない。いぼの内容物が感染源となる。発生部位は体幹、四肢。特にわきの下、胸部、上腕内側などの間擦部では自家接種(引っ掻くことで感染を広げる)により多発する傾向がある。自然治癒まで6-12か月、時に4年程度かかることがある。 |
| 好発年齢 | 幼児 |
| 診断法 | 症状から診断される。 |
| 治療法 | 自然治癒傾向があり放置してよい。しかし、自家接種や感染の伝播を防止するため、ピンセットでの摘出や液体窒素での除去など、積極的な治療が行われることもある。 |
| 感染拡大防止法 | 病変部を衣類や包帯、絆創膏などで覆い、ほかの子どもへの感染を防ぐ。 プールの水では感染しないので、プールを禁止する必要はない。 多数の発疹のある者については、プールでタオル、浮輪などを共用しないよう、プール後はシャワーで肌をきれいに洗うよう指導する。 |
| 登校(園)基準 | 制限はないが、浸出液がでている場合は被覆する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-41.html |
| 伝染性膿痂疹(とびひ) | |
| 概要 | 紅斑、水疱、びらんおよび厚い痂皮(かさぶた)ができる疾患である。 |
| 病原体 | 主として黄色ブドウ球菌や溶連菌 |
| 潜伏期間 | 通常2-10日であるが、長期の場合もある。 |
| 感染経路 (好発時期) | 接触感染。痂皮(かさぶた)にも感染性が残っている。 夏季に多い。 |
| 症状 | 紅斑を伴う水疱や膿疱が破れてびらん、痂皮(かさぶた)をつくる。かゆみを伴うことがあり、病巣は擦過部に広がる。ブドウ球菌によるものは水疱をつくりやすく、溶連菌は痂皮(かさぶた)ができやすい。 |
| 好発年齢 | 乳幼児 |
| 診断法 | 症状から診断される。 |
| 治療法 | 皮膚を清潔にする。病巣が広がると外用薬、さらに内服や点滴による抗菌薬投与を必要とすることがある。 |
| 感染拡大防止法 | 皮膚を清潔に保つことが大切である。 病変部をガーゼなどで覆う、タオルなどの共用をしない。 プールの水で感染することはないが、発症した子どもはプールに入るとかき壊して悪化し、ほかの子どもに触れて感染させることもあるので、プールは控える。 |
| 登校(園)基準 | 制限はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-42.html |
| 疥癬(かいせん) | |
| 概要 | ヒゼンダニが角層(皮膚の浅いところ)に寄生し、かゆみをともなう疾患で、保育所などでの集団感染が報告されている。 |
| 病原体 | ヒゼンダニ |
| 潜伏期間 | 4-6週 |
| 感染経路 | 接触感染。手つなぎ、布団やリネン類の共用などで感染する。 |
| 症状 | 手足を中心にかゆみの強い赤みのある発疹、小さな水疱、膿疱、線上に隆起した皮疹(疥癬トンネル)ができる。 |
| 診断法 | 拡大鏡などで疥癬トンネルの先端のヒゼンダニを確認する。 |
| 治療法 | 外用薬。体重15 kg以上には内服薬もある。 |
| 感染拡大防止法 | 布団やリネン類の共用は避ける。手洗いを励行する。 |
| 登校(園)基準 | 治療開始後であれば登校(園)は可。プールに入ってもかまわない。ただし、手をつなぐなどの遊戯・行為は避ける。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-43.html |
| 蟯虫症 | |
| 概要 | 肛門や外陰部にかゆみを来たす疾患である。 |
| 病原体 | ヒトギョウチュウ |
| 潜伏期間 | 虫卵を摂取してから、妊娠したメスが肛門周囲にでてくるまで1-2か月、もしくはそれ以上。 |
| 感染経路 | 汚染した手や、共用するおもちゃ、ベッド、衣類、トイレのシート、浴室などを介した経口感染。 |
| 感染期間 | 虫卵に感染性があるのは、屋内環境で通常2-3週間。 |
| 症状 | 肛門や外陰部のかゆみだが、無症状のことも。落ち着きがなくなるため、注意欠如・多動症(ADHD)と誤解されることもある。時に尿道炎、膣炎、卵管炎、骨盤腹膜炎の原因になる。 |
| 好発年齢 | 就学前や学童期、子どもの世話をする人、集団保育または生活している人 |
| 診断法 | 起床後に透明な粘着テープを肛門部に付着させ、虫卵を採取し、顕鏡により診断する。 |
| 治療法 | パモ酸ピランテルなど。1回投与し、2週間後に再投与する。 |
| 感染拡大防止法 | 感染した場合は、朝入浴する。下着やパジャマ、シーツをこまめに取替え、再感染も予防する。食事前の手洗い、爪を短くする、肛門周囲をかく、爪をかむのをやめるなど。 |
| 登校(園)基準 | 制限はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-44.html |
| ヒトパピローマウイルス感染症 | |
| 概要 | 子宮頚がん、尖圭コンジローマ、尋常性ゆうぜい(いぼ)、若年性反復性呼吸器乳頭腫症などの原因となる。 |
| 病原体 | ヒトパピローマウイルス |
| 潜伏期間 | 不明であるが、3か月から数年と推定されている。新生児の感染では数年。 肛門・性器、中咽頭のがんの場合は数年から10年以上。 |
| 感染経路 | 濃厚な接触により感染。 肛門・性器の感染は、性経験のある女性であれば50%以上は生涯で一度は感染するとされている。また、母子感染もある。 |
| 症状 | |
| 子宮頚がん #bordernone | 20-30歳代から増加するがんで、日本での罹患率および死亡率は増加傾向にあり、年間約11,000人が発症し約2,900人が死亡している。 ごく初期のがんを除いては子宮摘出を要する可能性がある。 原因のほとんどがヒトパピローマウイルスである。 |
| 尖圭コンジローマ #bordernone | 男性では陰茎、陰嚢、肛門やその周囲に、女性では外陰や肛門周囲に多い。表面はカリフラワー様を呈し、大きさは2-3 mmから数cmにおよぶ。 かゆみ、熱感、局所痛や出血を来たす。 |
| 尋常性ゆうぜい #bordernone | 手や足、爪周囲、爪床に多発するいぼ |
| 若年反復性呼吸器 乳頭腫 #bordernone | 喉頭などの上気道に生じる。多くは2-5歳で診断され、声の変化や喘鳴などがみられ、気道閉塞の原因となることもある。 |
| 治療法 | ウイルスに対する治療法はなく、子宮頸がんであれば病変部の切除、子宮摘出などが必要となる。 |
| 予防接種 | ヒトパピローマウイルスワクチンは定期接種(女性)であり、子宮頚がんとその前駆病変、尖圭コンジローマなどの予防が可能である。2013年4月の定期接種化後にワクチンと無関係と言い切れない持続的な痛み等が報告されたため、2013年6月から個別に予診票を送るなどの接種勧奨(積極的勧奨)が差し控えられていた。その後、子宮頸がんを予防できるという有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたため、2021年11月26日に積極的勧奨の再開が決定した。2022年4月から個別の勧奨が再開するとともに、接種が完了していない平成9年4月2日から平成21年4月1日までの間に生まれた女性へのキャッチアップ接種がなされている。 |
| 登校(園)基準 | 制限はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-45.html |
| ヒトT細胞白血病ウイルス1型感染症 | |
| 概要 | キャリアの約95%は無症状であるが、一部に成人T細胞白血病・リンパ腫(4-5%)、脊髄症(0.3%)、ぶどう膜炎(眼)が生じることがある。日本では九州・沖縄地方を含む南西日本に多くみられる。 HTLV-1の基礎知識と最新情報は以下のURLから閲覧が可能である。https://htlv1.jp/ |
| 病原体 | ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1) |
| 潜伏期間 | 成人T細胞白血病は40年以上、脊髄症、ぶどう膜炎は数年以上 |
| 感染経路 | 母子感染(主に母乳感染で6か月以上の授乳にて15-20%、そのほかの感染経路、例えば経胎盤感染の詳細は不明)、血液・体液感染(特に男性から女性への性感染) |
| 症状 | |
| ヒトT細胞 白血病・リンパ腫 #bordernone | 母子感染によるキャリアの4-5%に発症する白血病・リンパ腫で、男性にやや多く、 発症年齢の中央値は67歳。リンパ節腫脹、肝脾腫、皮膚病変、易感染性がみられる。抗がん剤などで治療されるが、治療成績は不良である。 |
| HTLV-1関連脊髄症 #bordernone | キャリアの0.3%に発症する慢性進行性の脊髄まひ。女性に多く、歩行障害やしびれのほか、排尿や排便が困難となることもある。 |
| HTLV-1関連 ぶどう膜炎 #bordernone | 女性に多く、多くは成人発症であるが、子どもで発症することもある。飛蚊症(目の前に虫やごみが飛んでいるように見える)、目の霞みが生じ、充血、視力低下から、稀に失明することもある。 |
| 診断法 | 血液の抗体検査で診断する。また、2011年から妊婦健診でのスクリーニングも開始された。 |
| 治療法 | ウイルスに対する治療法はなく、発症した疾患に応じた治療を行う。 |
| 感染拡大防止法 | 感染している児から、施設内の集団生活で感染することはない。 キャリア妊婦には完全人工栄養を推奨する。母乳を強く希望する場合には、凍結母乳栄養、短期(90日以内)母乳栄養も検討する。 性感染は避妊具によってリスクを下げることができる。 |
| 登校(園)基準 | 制限はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-46.html |
| ヒト免疫不全ウイルス感染症 | |
| 概要 | 後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因となるウイルスで、1985-2023年の日本での新規感染者及びAIDS患者数は累計で3万人を超えている。また、2023年世界中で感染者は約3,990万人、年間約130万人の新規感染者と約63万人のAIDSによる死亡者が発生している。 公益財団法人エイズ予防財団の「これだけは知っておきたいHIVエイズの基礎知識」は、以下のURLから閲覧が可能である。https://www.jfap.or.jp/aboutHiv/basicKnowledge.html |
| 病原体 | ヒト免疫不全ウイルス(HIV) |
| 潜伏期間 | 母子感染では無治療の場合、平均12-18か月でAIDSを発症する。血液・体液感染(性感染)では無症状期が通常5年以上(近年、短縮傾向にある)。 |
| 感染経路 | 血液・産道感染、母子感染(胎盤、産道、母乳感染) |
| 症状 | HIVの感染2-3週間後にウイルス血症は急速にピークに達し、発熱、咽頭痛、筋肉痛、皮疹、リンパ節腫脹、頭痛などのインフルエンザあるいは伝染性単核球症様の症状が出現することがある。初期症状は数日から10週間程度続き、多くの場合自然に軽快する。その後、数-10年の無症候期の後、発熱、倦怠感、リンパ節腫脹などが出現し、肝炎や、帯状疱疹、単純ヘルペスウイルス感染症、結核、口腔カンジダ症などを反復する。さらに進行すると悪性リンパ腫や脳症もみられる。 |
| 診断法 | 血液を用いて抗体、抗原検査やPCR検査が行われるが、感染3か月以内は抗体検査で陰性となることに注意する。妊婦健診でのスクリーニング検査も行われている。 |
| 治療法 | 複数の抗ウイルス薬の併用が行われている。感染後、早期に治療を開始し、長期に継続することが推奨されている。 |
| 感染拡大防止法 | HIV感染をしている子どもがいても日常のおむつ交換やプールで感染することはない。従って集団生活の場においては、感染している子どもを特定するのではなく、血液に触れる場合は使い捨て手袋を着用するなど標準予防策をしっかりと行うことが望ましい。母が感染している場合は、母が抗ウイルス療法を受けることや、予定帝王切開で分娩することや、完全人工栄養で育てること、子どもへの短期抗ウイルス療法を行うことによって、感染リスクは減る。 |
| 登校(園)基準 | 制限はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-47.html |
参考文献
- 1. Red Book 2024-2027, 33rd edition. American Academy of Pediatrics.
- 2. Feign and Cherry’s Textbook of Pediatric Infectious Disease, 7th edition.
- 3. Nelson Textbook of Pediatrics, 22th edition.
- 4. Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases, 14th edition.
- 5. 厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/(参照2025-3-21) - 6. 国立感染症研究所ホームページ
https://www.niid.jihs.go.jp/index.html(参照20225-3-21) - 7. 日本小児科学会ホームページhttp://www.jpeds.or.jp/(参照 2025-3-21)
- 8. 学校において予防すべき感染症の解説.文部科学省.平成 30 年 3 月.
- 9. 保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版<2023(令和 5)年 10 月一部修正>),こども家庭庁.
- 10. 平成 28 年度厚生労働科学研究費補助金「成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業」 H28-健やか-一般-002「保育所等における感染症対策に関する研究」報告書,研究代表者 細矢光亮.
- 11. 予防接種ガイドライン,2024 年度版.予防接種ガイドライン等検討委員会.
- 12. 2024 予防接種に関する Q&A 集.第 24 版.岡部信彦,多屋馨子.一般社団法人日本ワクチン産業協会
- 13. 日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」(日本版 Vaccine Information Statement).日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会
- 14. 蚊媒介感染症診療ガイドライン.第 5 版.国立感染症研究所
- 15. 海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019.日本渡航医学会 海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019 作成委員会.
- 16. 皮膚の学校感染症について.日本臨床皮膚科医会・日本子ども皮膚科学会.平成 25 年 5 月.
- 17. 保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドライン.厚生労働省、集団生活の場における肝炎ウイルス感染予防ガイドラインの作成のための研究班.平成 26 年 3 月.
- 18. 新型コロナウイルス感染症診療の手引き.第 10.1 版.令和 6 年 4 月.
抜粋表
学校、幼稚園、認定こども園、保育所で予防すべき感染症の解説
| 感染症名 | 主な潜伏期間 | 主な感染経路 | 登校(園)基準 |
|---|---|---|---|
| 急性灰白髄炎(ポリオ) | 7-21日 | 経口感染 | 急性期の症状が治癒後 |
| ジフテリア | 2-7日 | 飛沫感染 | 治癒後 |
| 重症急性呼吸器症候群 | 2-14日 | 飛沫感染 | 治癒後 |
| 中東呼吸器症候群 | 2-14日 | 飛沫感染、接触感染 | 治癒後 |
| 特定鳥インフルエンザ | 2-8日 | 飛沫感染 | 治癒後 |
| 新型コロナウイルス感染症 | 1-7日 | 飛沫感染、接触感染 | 発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで |
| インフルエンザ | 1-4日 | 飛沫感染、接触感染 | 発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過した後。幼児においては、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過した後。 |
| 百日咳 | 7-10日 | 飛沫感染 | 特有な咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了した後。 |
| 麻疹 | 8-12日 | 空気感染、飛沫感染、接触感染 | 解熱後3日経過した後 |
| 流行性耳下腺炎 | 16-18日 | 飛沫感染、接触感染 | 耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫張が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好となった後。 |
| 風疹 | 16-18日 | 飛沫感染、接触感染、母子感染 | 発疹の消失後 |
| 水痘 | 14-16日 | 空気感染、飛沫感染、接触感染、母子感染 | すべての発疹が痂皮化した後 |
| 咽頭結膜熱 | 2-14日 | 接触感染、飛沫感染 | 主要症状が消失して2日経過後 |
| 結核 | 2年以内 | 空気感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
| 髄膜炎菌性髄膜炎 | 4日以内 | 飛沫感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
| コレラ | 1-3日 | 経口感染 | 治癒後 |
| 細菌性赤痢 | 1-3日 | 経口感染 | 治癒後 |
| 腸管出血性大腸菌感染症 | 10時間-6日 | 経口感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
| 腸チフス、パラチフス | 7-14日 | 経口感染 | 治癒後 |
| 流行性角結膜炎 | 2-14日 | 接触感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
| 急性出血性結膜炎 | 1-3日 | 接触感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
| 溶連菌感染症 | 2-5日 | 飛沫感染 | 適切な抗菌薬による治療開始後24時間以降 |
| A型肝炎 | 15-50日 | 経口感染 | 肝機能が正常化した後 |
| B型肝炎 | 45-160日 | 血液・体液感染、母子感染 | 急性肝炎の極期を過ぎてから |
| C型肝炎 | 6-7週 | 血液・体液感染、母子感染 | 急性肝炎の極期を過ぎてから |
| 手足口病 | 3-6日 | 経口感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| ヘルパンギーナ | 3-6日 | 経口感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| 無菌性髄膜炎(エンテロウイルスによる) | 3-6日 | 経口感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| 伝染性紅斑(りんご病) | 4-14日 | 飛沫感染、母子感染 | 症状が回復した後 |
| ロタウイルス感染症 | 1-2日 | 経口感染 | 下痢、嘔吐が消失した後 |
| ノロウイルス感染症 | 12-48時間 | 経口感染 | 下痢、嘔吐が消失した後 |
| サルモネラ感染症 | 12-36時間 | 経口感染 | 下痢、嘔吐が消失した後 |
| カンピロバクター感染症 | 2-5日 | 経口感染 | 下痢、嘔吐が消失した後 |
| 肺炎マイコプラズマ感染症 | 2-3週 | 飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| 肺炎クラミジア感染症 | 平均21日 | 飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| インフルエンザ菌b型感染症 | 不明 | 飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| 肺炎球菌感染症 | 1-3日 | 飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| RSウイルス感染症 | 4-6日 | 接触感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| ヒトメタニューモウイルス感染症 | 3-5日 | 接触感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| ライノウイルス感染症 | 2-3日 | 接触感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| パラインフルエンザウイルス感染症 | 2-6日 | 接触感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| エンテロウイルスD68感染症 | 3-6日 | 接触感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
| EBウイルス感染症 | 30-50日 | 接触感染 | 症状が回復した後 |
| サイトメガロウイルス感染症 | 不明 | 接触感染、母子感染 | 症状が回復した後 |
| 単純ヘルペスウイルス感染症 | 2日-2週 | 接触感染、母子感染 | 歯肉口内炎のみであればマスクをして可 |
| 帯状疱疹 | 不定 | 接触感染 | 病変部が被覆されていれば登校して可。ただし水痘を発症する可能性が高い子どもの多い幼稚園、保育所では痂皮化するまで登園は控える。 |
| 日本脳炎 | 6-16日 | 節足動物感染 | 症状が回復した後 |
| 突発性発疹 | 9-10日 | 接触感染 | 症状が回復した後 |
| ボツリヌス症 | 12-48時間 | 経口感染 | 症状が回復した後 |
| ネコひっかき病 | 皮膚症状まで7-12日 | 動物媒介感染 | 症状が回復した後 |
| 破傷風 | 3-21日 | 泥や土を介しての感染 | 症状が回復した後 |
| デング熱 | 蚊に刺されて3-14日 | 節足動物感染 | 症状が回復した後 |
| ジカウイルス感染症 | 3-12日 | 節足動物感染、母子感染 | 症状が回復した後 |
| 重症熱性血小板減少症候群 | 6-13日 | 節足動物感染 | 症状が回復した後 |
| アタマジラミ症 | 孵化まで10-14日 | 接触感染 | 制限はない |
| 伝染性軟属腫(水いぼ) | 2-7週 | 接触感染 | 制限はない |
| 伝染性膿痂疹(とびひ) | 2-10日 | 接触感染 | 制限はない |
| 疥癬 | 4-6週 | 接触感染 | 治療開始後 |
| 蟯虫症 | 1-2か月かそれ以上 | 経口感染 | 制限はない |
| ヒトパピローマウイルス感染症 | 3か月-数年 | 接触感染(性感染)、母子感染 | 制限はない |
| ヒトT細胞白血病ウイルス1型感染症 | 数年-40年以上 | 血液・体液感染、母子感染 | 制限はない |
| ヒト免疫不全ウイルス感染症 | 母子感染12-18か月、血液・体液感染5年以上 | 血液・体液感染、母子感染 | 制限はない |
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