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日本小児科学会雑誌 目次 | 
 
 
 
(登録:14.11.25) 
第118巻 第11号/平成26年11月1日 
Vol.118, No.11, November 2014
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| 日本未熟児新生児学会推薦総説 | 
 
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| 日下 隆  1565 | 
 
| 日本小児内分泌学会推薦総説 | 
 
 
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先天性中枢性甲状腺機能低下症の新たな病態―Immunoglobulin superfamily member 1遺伝子異常症― 
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| 田島 敏広  1578 | 
 
| 第117回日本小児科学会学術集会 | 
 
|   教育講演 | 
 
 
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原発性免疫不全症に合併する自己炎症性疾患〜炎症性腸疾患をモデルとして〜 
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| 金兼 弘和  1588 | 
 
|   教育講演 | 
 
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| 石川 悠加  1595 | 
 
| 原  著 | 
 
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| 吉田 悟,他  1604 | 
 
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| 福岡 講平,他  1611 | 
 
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| 松井 紗智子,他  1617 | 
 
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| 田中 純子,他  1622 | 
 
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| 小保内 俊雅,他  1628 | 
 
| 症例報告 | 
 
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| 塩田 睦記,他  1636 | 
 
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| 長島 由佳,他  1642 | 
 
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| 久保田 舞,他  1648 | 
 
| 短  報 | 
 
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| 角田 知之,他  1654 | 
 
| 論  策 | 
 
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| 河村 由生,他  1657 | 
 
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|   1663 | 
 
| 専門医にゅーす No. 13 | 
 
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|   1675 | 
 
| 日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 | 
 
|   Injury Alert(傷害速報) | 
 
 
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No. 51 キックスクーターと自転車のハンドルによる外傷 
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|   1682 | 
 
 
日本小児科学会英文雑誌 Pediatrics International 2014年56巻5号10月号目次 
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|   1688 | 
 
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|   1690 | 
 
| 平成26年度公益財団法人小児医学研究振興財団 | 
 
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市民公開講座 こどものアレルギー疾患 治療の最前線 ご報告 
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|   1692 | 
 
 
 
 
 
 
 
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 【原著】 
■題名 
新生児領域における死亡時画像診断と解剖の有用性 
■著者 
名古屋市立大学大学院医学研究科新生児・小児医学分野 吉田 悟  杉浦 時雄  佐藤 新紀子  上田 博子  後藤 盾信  伊藤 孝一  長崎 理香  加藤 丈典  齋藤 伸治 
■キーワード 
死亡時画像診断, Autopsy imaging, 解剖, 死因究明, 新生児 
■要旨 
 近年,新しい死因究明法として死亡時画像診断(Autopsy imaging;Ai)が注目されている.今回,新生児におけるAiの有用性を評価することと,Aiおよび解剖の承諾の有無に影響を与える因子を明らかにすることを目的とし,名古屋市立大学病院(以下当院)新生児集中治療室(NICU)内での死亡例を後方視的に検討した.対象は平成22年から24年度までの3年間に,当院NICU入院中に死亡した25例.解剖例は10例(40%),Ai例は19例(76%)であった.うち,解剖とAiの両方を行った症例は10例で(40%)で,解剖例におけるAiの施行率は100%であった.Aiの所見と臨床経過から推測される死因が一致した症例は,19例中14例(74%)であった.一方,Aiの所見と解剖の所見を比較した結果では,10例中7例(70%)で一致していた.Aiおよび解剖の承諾の有無と,性別,妊娠週数,出生体重,入院期間,分娩方法,院内出生もしくは院外出生,プレネイタルビジット等各臨床項目について検討したが,いずれも有意差は認めなかった.プレネイタルビジット,入院期間,院内出生といった医療者と接する期間の長さは,Aiおよび解剖の承諾の有無に影響していなかった.新生児領域においても,Aiの所見および,推測される死因となりうる重篤な病態には信頼性があり有用である.Aiは解剖と組み合わせることで,より精度の高い死因究明を行うことができる.
 
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 【原著】 
■題名 
偶発的に見つかった小児頭蓋内病変の臨床経過 
■著者 
埼玉医科大学国際医療センター脳脊髄腫瘍科小児脳脊髄腫瘍部門 福岡 講平  柳澤 隆昭 
■キーワード 
小児脳腫瘍, 偶発的発症, 無症候性頭蓋内病変 
■要旨 
 【緒言】日常の臨床現場において,他の目的で行われた画像診断の際などに頭蓋内病変が発見されることが稀に経験されるが,その臨床経過に関してはあまり知られておらず,その対応に苦慮することも多い.今回我々は,偶発的に発見された小児頭蓋内病変症例の臨床的特徴および経過を後方視的に検索した. 
 【結果】該当症例は14例で,病変発見時年齢中央値3.3歳(0.8歳〜15.4歳)であり,未診断例を含めた病変の局在は,小脳が5例と最も多く,また,発見された経緯は,頭部打撲後精査が8例と最も多かった.疾患の内訳は,上衣腫3例,脳幹部腫瘍2例,髄芽腫,乏突起膠腫,び漫性星細胞腫が1例ずつと,病理学的悪性腫瘍が8例を占めた.治療開始時期に関しては,3例では発見から1か月以内に治療開始されていたのに対し,2例は発見後1年以上経過してから治療開始となっていた.予後は,観察期間中央値41.8か月(6か月〜132か月)で,3例が原病死しており,必ずしも良好ではなかった. 
 【結語】偶発的に発見された小児頭蓋内病変症例は,経過観察のみを行っている経過が良好な症例がある一方で,予後不良な症例も含まれており,発見の経緯が必ずしも良好な経過,病理学的悪性度を予測させるものではなかった.
 
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 【原著】 
■題名 
NT-proBNPによる川崎病免疫グロブリン不応例の予測 
■著者 
東京都立大塚病院小児科1),東京都立小児総合医療センター臨床試験科2),同 循環器科,臨床試験科3) 松井 紗智子1)  宇仁田 亮1)  森川 和彦2)  高橋 弘剛1)  三浦 大3) 
■キーワード 
川崎病, 免疫グロブリン不応例, N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド 
■要旨 
 川崎病急性期における血中N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値と免疫グロブリン静注療法(IVIG)に対する反応性との関係についての報告は少ない.今回われわれは,川崎病と診断されIVIGを受けた47例(月齢2〜109か月,中央値21か月.男児27例,女児20例)のNT-proBNPを測定し,IVIGに対する反応性,血液検査所見,心機能との関連を検討した.IVIG反応例は40例(85.1%),不応例は7例(14.9%)だった.不応例のIVIG前NT-proBNPは1,794(1,082〜4,066)[中央値(25%値〜75%値)]pg/mLで,反応例の286(179〜543)pg/mLに比し有意に高値であった(p=0.001).IVIG前NT-proBNPのROC曲線下の面積は0.871で,530 pg/mLをカットオフとすると感度85.7(95%信頼区間:42.1〜99.6)%,特異度77.5(61.6〜89.2)%で不応例を予測できた.NT-proBNPと左室駆出率,左室内径短縮率,CRP,白血球数との間に相関はなかった.NT-proBNPは感度,特異度ともに優れたIVIG不応例予測因子である可能性があり,川崎病の重症度に応じた治療戦略を立てる上での一助となると思われる.
 
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 【原著】 
■題名 
WHOの胸部単純X線写真読影基準を用いた小児肺炎の画像診断 
■著者 
千葉大学大学院医学研究院小児病態学1),千葉大学医学部附属病院感染症管理治療部2),千葉大学大学院医学研究院画像診断・放射線腫瘍学3) 田中 純子1)  石和田 稔彦2)  本折 健3)  菱木 はるか1)  河野 陽一1) 
■キーワード 
肺炎, 小児, 胸部単純X線写真, 読影, WHO基準 
■要旨 
 World Health Organization(WHO)は小児肺炎の画像診断のばらつきを減らし罹患率を比較可能にするために2001年に小児胸部単純X線写真の読影基準を作成した.日本ではこの基準を用いた検討は未だない.我々は下気道感染症と診断された小児の胸部単純X線写真20枚を用い,小児科医30名,放射線科医7名で読影した.日本語の肺炎,気管支肺炎,細気管支炎,気管支炎の各診断の選択枚数(中央値)は小児科医で12,2,1,3,放射線科医で11,0,6,5であり,気管支肺炎の選択は小児科医が放射線科医に比べ多かった(p<0.01).診断の一致度を示すκ係数は小児科医で0.22,放射線科医で0.24と低く,肺炎の選択は読影者により17倍の差があった.WHO基準を用いた場合はend-point pneumoniaの選択(中央値)は小児科医,放射線科医で各々7,6枚であり,日本語の肺炎と比較し減少した(p<0.01,p=0.02).κ係数は,放射線科医は0.36と日本語の場合より増したが,小児科医は0.24と変わらなかった.我々は胸部単純X線写真の読影に個人差があり,訓練なしにWHO基準を用いた場合には必ずしも差が減らないことを示した.一方,日本語の肺炎とend-point pneumoniaの選択には差があり,罹患率比較には診断基準が重要であると認識した.ソフトウエアなどを用いてWHO基準のみならず日本語でも読影訓練が簡便に行える環境を整え,日本における小児肺炎の画像診断を標準化することが望まれる.
 
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 【原著】 
■題名 
保育施設内で発生した死亡事案 
■著者 
公益財団法人東京都保健医療公社多摩北部医療センター小児科1),日本保育所保健協議会2),東京女子医科大学母子総合医療センター3) 小保内 俊雅1)3)  五島 弘樹1)  遠藤 郁夫2)  帆足 英一2)  仁志田 博司3) 
■キーワード 
突然死, 保育所, うつぶせ寝, 感染 
■要旨 
 近年女性の社会進出などにより,保育所の需要が急激に拡大しており,預かり児年齢も急速に低年齢化している.一方でこの時期は突然死の危険をはらんでおり,保育所内の死亡事案も少なからず認められている.しかし,保育所での死亡事案に関する正確な情報がないため,安全な保育環境の確立が困難となっている.そこで,厚生労働省が保育所に提出を求めている,保育所及び認可外保育施設事故報告書を詳細に分析し,危険因子等に関して検討した. 
 保育所での死亡事案は2008年からの5年間は増加傾向にあり,生後一か月から6歳までに認められるが,睡眠中の突然死は3歳未満に限られていた.死亡例は1歳未満が最も多く,次いで1歳であった.死亡原因は原因不明が56%で最も多かった.発生は秋から冬にかけて多く,全体の38%で発症前に感染が疑われた.発見時体位では56%が腹臥位であり,特に1歳以上症例でも76.5%が腹臥位であった.これ等より,環境への適応困難や感染,さらにうつ伏せ寝などが危険因子として考えられた.これらは3歳未満まで危険因子であり得ると考えられた. 
 事故報告書には記載漏れや不確かな記載も多く,危険因子の抽出や安全対策の策定には至らなかった.今後原.因究明システムを確立し,安全な保育環境を整備することが急務と考えられた
 
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 【症例報告】 
■題名 
先天性心疾患術後の蛋白漏出性胃腸症に対するヘパリン療法で骨粗鬆症を合併した1例 
■著者 
東京都立小児総合医療センター総合診療科1),同 循環器科2),同 内分泌代謝科3),東京女子医科大学病院小児科4) 塩田 睦記1)4)  松岡 恵2)  鈴木 絵理3)  永沼 卓2)  玉目 琢也2)  神保 詩乃2)  横山 晶一郎2)  大木 寛生2)  澁谷 和彦2)  三浦 大2) 
■キーワード 
蛋白漏出性胃腸症, ヘパリン, 骨粗鬆症, ダブル・スイッチ術 
■要旨 
 フォンタン術後など先天性心疾患術後に合併する蛋白漏出性胃腸症(PLE)に,ヘパリンが有効と報告されているが,その副作用に関する報告は少ない.われわれは,ダブル・スイッチ術後に発症した難治性のPLEに対し,ヘパリン療法で効果が得られたにもかかわらず,骨粗鬆症を合併した例を経験したので報告する. 
 症例は右胸心,房室錯位,両大血管右室起始,大血管転換,肺動脈閉鎖の14歳男児.4歳時にダブル・スイッチ術を施行し,6歳時にPLEを発症した.血行動態修復のため上大静脈狭窄に対しバルーンによる拡張を5回,右室肺動脈導管内狭窄に対しステントを留置し,圧較差は消失したが,PLEは改善しなかった.9歳から定期的なヘパリン静注を開始し,アルブミン値が維持されるようになった.12歳時に腰痛が出現し,レントゲンで腰椎の多発性圧迫骨折を認めたため骨密度の低値(Zスコアー−5.58 SD)から骨粗鬆症と診断した.ゾレドロン酸水和物を使用したところ,骨密度は改善し(Zスコアー−2.44 SD),腰痛も軽快した. 
 本症例の骨粗鬆症は,長期臥床,ステロイド,低栄養などのリスクに加え,長期に高用量のヘパリンを使用したことが原因と考えられた.PLEに対する長期のヘパリン使用時には,骨粗鬆症に注意が必要である.
 
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 【症例報告】 
■題名 
オクトレオチド投与により胆泥・胆石を認めた高インスリン血性低血糖症の3例 
■著者 
東京都立小児総合医療センター内分泌・代謝科 長島 由佳  後藤 正博  三好 達也  大通 尚  宮井 健太郎  井垣 純子  長谷川 行洋 
■キーワード 
先天性高インスリン性低血糖症, オクトレオチド, 胆泥, 胆石 
■要旨 
 ジアゾキシドが無効な高インスリン血性低血糖症において,長期間のオクトレオチド(OCT)持続皮下注は有効であり大きな有害事象を認めなかったことが報告されている.当院ではOCT投与を行った3例全例に胆泥・胆石を認めた.症例1は日齢1女児.血糖(BS)35 mg/dl,インスリン(IRI)55.9 μIU/ml.日齢9からOCT皮下注開始.1か月からアルカリホスファターゼ(ALP)上昇,4か月に胆泥を認めウルソデオキシコール酸(UDCA)開始.6か月にALP正常化するも胆泥は残存.症例2は日齢0男児.BS 17 mg/dl, IRI 41.8 μIU/ml.日齢12からOCT皮下注開始.1か月にALP上昇,胆泥を認めUDCA開始.2か月にALP正常化し胆泥も消失.症例3は10か月男児.10か月時に痙攣精査中に低血糖を認めた.BS 37 mg/dl,IRI 5.4 μIU/ml.1歳1か月からOCT皮下注開始.1歳5か月に胆泥を認めUDCA開始し,1歳9か月に消失.OCTによる胆泥・胆石の発生機序は(1)胆汁組成の変化によるコレステロール過飽和(2)胆嚢収縮の減弱による胆汁うっ滞が挙げられる.胆泥は胆石の前段階と考えられ,UDCA治療および定期観察が必要とされる.当院で胆泥・胆石の発生率が高かった理由は明らかでない.他施設では腹部超音波検査で胆泥を認めても病的なものと認識されなかった可能性も否定できない.
 
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 【症例報告】 
■題名 
重症先天梅毒の早産・低出生体重児の2例 
■著者 
独立行政法人国立国際医療研究センター小児科 久保田 舞  赤平 百絵  細川 真一  兼重 昌夫  保田 典子  佐藤 典子  松下 竹次 
■キーワード 
先天梅毒, 播種性血管内凝固症候群, 梅毒性髄膜炎, アンピシリン, ペニシリンG 
■要旨 
 出生直後より肝脾腫を認め,重篤な症状(播種性血管内凝固症候群 以下DIC,梅毒性髄膜炎)を併発し,診断・治療に苦慮した先天梅毒の早産・低出生体重児の2例を経験した.1例目は推定在胎31週,出生体重1,423 g,2例目は在胎34週6日,出生体重2,299 gであった.2例とも母親は未婚,不適切な妊婦健診のため梅毒検査及び治療は受けておらず,緊急帝王切開で分娩した.母親・児の梅毒血清抗体価の上昇,母親が梅毒未治療,胎盤病理でTreponema Pallidumが検出されたことから,先天梅毒と確定診断した.出生直後の炎症反応は高値で,梅毒以外の細菌性感染も考慮し,抗生剤はアンピシリンとセフォタキシムを選択した.症例1は治療開始前からDICを併発したが,抗生剤治療により改善した.症例2は梅毒性髄膜炎を併発し,治療経過中に梅毒の再燃が見られ,米国疾病予防センターの推奨に従いベンジルペニシリンカリウムを追加投与した.2例とも治療により血清抗体価は低下し,その後4歳までの発育,発達では明らかな遅れを認めていない. 
 不適切な妊婦健診で妊娠歴や母体感染症の情報が乏しい場合,臨床症状だけで先天梅毒を診断するのは難しい.先天梅毒の治療はアンピシリンだけでは不十分な症例が存在し,Treponema Pallidumに対し最も感受性に優れるベンジルペニシリンカリウムが必要であった.
 
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 【短報】 
■題名 
HBV母子感染予防児におけるブースターワクチン効果 
■著者 
済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科1),東邦大学医療センター佐倉病院小児科2) 角田 知之1)  乾 あやの1)  十河 剛1)  小松 陽樹2)  藤澤 知雄1) 
■キーワード 
B型肝炎ウイルス, 母子感染, 予防措置, boosterワクチン, universal vaccination 
■要旨 
 本邦HBV母子感染防止対策事業による感染防止措置を受けた小児の長期的なB型肝炎ワクチン予防効果を検討した.対象は予防措置完遂後6年以上HBs抗体価が追跡され,HBs抗体価が10 IU/ml未満となりワクチンを接種した4症例.予防措置完遂後は全例でHBs抗体価は10 IU/ml以上であった.Boosterワクチン接種時の年齢は6,15,16,19歳で,接種1か月後のHBs抗体価は,397,597,259,214 IU/mlに上昇した.経過中HBc抗体再陽転例はいなかった.本検討では,一旦HBs抗体価が低下しても,boosterワクチンによりHBs抗体価は維持できると考えられた.
 
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 【論策】 
■題名 
小児神経疾患における入院長期化の要因 
■著者 
日本大学医学部小児科学系小児科学分野 河村 由生  藤田 之彦  桃木 恵美子  石井 和嘉子  遠藤 あゆみ  荒川 千賀子  小平 隆太郎  渕上 達夫  高橋 昌里 
■キーワード 
長期入院, 重症心身障害児, 被虐待児, 医療的ケア, 病院間連携 
■要旨 
 近年,多くの基幹病院で長期入院児の増加による病床不足が救急患者の受け入れを断る原因になっていることが社会問題化している.今回,日本大学医学部附属板橋病院小児科において過去10年4か月間に6か月以上の長期入院が必要であった神経疾患18例について調査し入院前と退院時の状態変化を鈴木らの心身障害児の重症度スコアを用いて比較した.入院が長期化した主な要因から,A.重症心身障害児の在宅医療への準備,B.重度慢性脳機能不全児で在宅移行不能,C.被虐待児の保護委託,の3つのパターンに分類し,それぞれの問題点を考察した.Aではすでに何らかの障害を持っており入院を機に重症度スコアが大幅に上昇した例が多く,高度な医療的ケアの継続が必要であるが移行病床不足のため在宅医療導入の調整に時間を要した.Bはスコアの上昇度が最も高く全例が超重症児に分類され,在宅医療への移行が不可能と考えられた.Cは重症度スコアの上昇はほとんどなかったが平均入院日数はA,Bパターンと比較し著明に長く,その要因として入所施設不足で調整ができず医療者の努力では今後改善が認められないと思われた. 
 入院長期化による病床利用率の低下に対し様々な対応策が取られているが,今後は症例ごとのニーズに応じた病床を確保していく必要がある.中核病院として医療圏内の地域病院への教育,施設間連携も行いながら移行病床を見直していくことが重要な課題である.
 
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