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日本小児科学会雑誌 目次 | 
 
 
 
(登録:13.7.17) 
第117巻 第7号/平成25年7月1日 
Vol.117, No.7, July 2013
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| 日本小児循環器学会推薦総説 | 
 
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| 住友 直方  1079 | 
 
| 原  著 | 
 
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| 古市 宗弘,他  1093 | 
 
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| 林 麻子,他  1098 | 
 
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| 楠田 聡,他  1103 | 
 
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| 起塚 庸,他  1110 | 
 
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| 青木 奈穂,他  1115 | 
 
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| 市川 俊,他  1120 | 
 
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| 菅谷 ことこ,他  1125 | 
 
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| 金井 宏明,他  1129 | 
 
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| 神保 圭佑,他  1133 | 
 
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| 渡辺 太郎,他  1139 | 
 
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| 小倉 一将,他  1143 | 
 
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| 小児医療委員会報告 | 
 
 
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MRI検査を行う小児患者の鎮静管理に関する実態調査 
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公益社団法人日本小児科学会平成25年度定時総会議事要録 
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|   1228 | 
 
 
日本小児科学会英文雑誌 Pediatrics International 2013年55巻3号6月号目次 
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 【原著】 
■題名 
過去10年間に経験した尿路感染症の臨床的検討 
■著者 
さいたま市立病院小児科 古市 宗弘  荒川 明里  濱畑 裕子  薄井 摩稚子  下山田 素子  山田 恵  明石 真幸  工藤 京子  佐藤 清二 
■キーワード 
尿路感染症, 超音波検査, 膀胱尿管逆流, 予防内服 
■要旨 
 2001年から2010年の10年間に当院小児科に入院した尿路感染症166名(男児120名)を対象に,VURの有無およびその程度の経時的変化につき検討を行った.生後3か月未満が29%(48名),1歳未満が81%(135名)であった.原因菌頻度はEscherichia coli 79%に続き,Enterococcus faecalis 9%,Klebsiella pneumonia 3%であった.膀胱尿管逆流(VUR:vesico ureteral reflex)は計157名で評価し,VURを認めなかったものが63.0%(99名),片側VURが23.0%(36名),両側VURが14.0%(22名)であった.VURは片側でも両側でもVURが高度なほど自然消失率は低下した.
 
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 【原著】 
■題名 
超低出生体重で出生し学童期に蛋白尿を指摘された児の糸球体面積 
■著者 
大阪府立母子保健総合医療センター腎・代謝科 林 麻子  山藤 陽子  里村 憲一 
■キーワード 
蛋白尿, 超低出生体重児, 糸球体肥大 
■要旨 
 近年,低出生体重児が成人期に慢性腎臓病,糖尿病,高血圧などの疾患を合併することは広く知られるようになった.しかし,小児期に低出生体重が原因でこれらの疾患を発症するとは考えられていない.我々は学童期に蛋白尿を指摘されて腎生検を行った超低出生体重児の1例を報告し1),糸球体面積が増加していることから,蛋白尿の原因が低出生体重に伴うネフロン数の減少が原因であることを示唆した.その後,さらに学童期に蛋白尿を認めて腎生検を行った4例の超低出生体重児の糸球体面積を計測したところ,いずれの平均糸球体面積も対応する年齢の平均糸球体面積に比し132〜212%と増加し,糸球体は肥大を認めた.これらの症例にアンギオテンシンII受容体拮抗薬(angiotensin receptor blockers以下ARB)を投与したところ,蛋白尿は減少した.急速な医療技術の発展に伴い,超低出生体重児からの生存者が増加傾向にあるため,同様の症例は今後増加することが予想される.糸球体の過濾過が持続すると,蛋白尿から糸球体硬化へ進行すると考えられるが,ARB治療によりその進行は抑制可能と考えられる.
 
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 【原著】 
■題名 
NICU長期入院児の動態調査 
■著者 
東京女子医科大学母子総合医療センター1),埼玉医科大学総合医療センター2) 楠田 聡1)  山口 文佳1)  田村 正徳2) 
■キーワード 
新生児集中治療, 在宅医療, 長期入院児 
■要旨 
 <背景>新生児医療の進歩とともに,長期に入院が必要な児が全国的に課題となっている.そこで,全国的な発生数およびその転帰を調査し,その結果から療養・療育施設の必要数を明らかにする. 
 <対象と方法>全国の新生児医療施設の計206施設を対象に2004年から2010年まで調査を行った.同一施設で継続して1年以上の長期入院となった児を調査対象とした. 
 <結果>調査対象施設のうち,151施設から回答が得られ,744例の長期入院児が登録された.全国の推定年間発生数は約200名で,2006年をピークに減少傾向を認めた.生後4年までの転帰が判明している652例について検討した結果,1年後(生後2年)では,退院が約30%,転棟または他施設が約20%,死亡が約20%で,残り30%が継続して入院していた.さらに2年後は初年時の約15%,3年後は同様に約10%の児が続けて入院していた.基礎疾患別の転帰では,先天異常および早産児の割合が経年的に減少し,反対に新生児仮死の割合が高くなった. 
 <結論>長期入院児の動態調査の結果から,長期入院児の発生数はやや減少傾向にあるが,現在長期入院児は毎年全国で約200名新たに発生している.そして,毎年新たに約60名の在宅あるいは施設での受入れ先の確保が必要となる.
 
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 【原著】 
■題名 
小児集中治療室において喉頭顕微鏡下手術後管理を行った11例 
■著者 
静岡県立こども病院小児集中治療科 起塚 庸  川崎 達也  小泉 沢  武藤 雄一郎  黒澤 寛史  福島 亮介  岸本 卓磨  宮 卓也  松井 亨  若林 時生  伊藤 雄介  南野 初香  金沢 貴保  植田 育也 
■キーワード 
喉頭顕微鏡下手術, 喉頭軟化症, 喉頭気管食道裂, 術後管理 
■要旨 
 小児の喉頭軟化症・喉頭気管食道裂に対する喉頭顕微鏡下手術では術後の喉頭浮腫に伴い上気道閉塞をきたす可能性があるため,当院では小児集中治療室(PICU)において慎重な術後管理を行っている.今回,2007年6月〜2011年5月までの4年間に経験した8名(11例)についての術後管理について検討した.患者は生後1〜36か月(中央値8か月)で,5名(8例)に何らかの基礎疾患を認めた.全例で麻薬+ミダゾラムで鎮痛鎮静開始し,鎮静困難例にはデクスメデトミジン等を追加した.術部の安静のため十分な鎮静を心がけたが,筋弛緩薬の投与が必要であった症例は1例のみであった.挿管期間は52時間から166時間(中央値95時間)に及び4例で無気肺を合併し,1例で薬物離脱症状を認めたが,いずれも軽症であった.9例は初回抜管に成功し,再挿管となった2例は再手術ののちに抜管に成功した.つまり,PICUにおける術後管理は8名すべてにおいて良好な術後経過に寄与したと思われる.
 
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 【原著】 
■題名 
乳幼児軽症頭部外傷入院例 
■著者 
国立病院機構災害医療センター小児科 青木 奈穂  朱 怡  古池 雄治 
■キーワード 
乳幼児, 軽症頭部外傷, 頭部CT検査, スクリーニング, ガイドライン 
■要旨 
 乳幼児の軽症頭部外傷(mild traumatic head injury,以下mTHI)は,救急外来で最も多く遭遇する外傷性疾患のひとつである.今回,乳幼児のmTHIの臨床的特徴を明らかにするために,2005年1月1日から2010年9月30日までの5年9か月間に,当院に入院した受傷時年齢4歳未満のmTHI 50症例(男児30人,女児20人)を後方視的に検討した.平均年齢は15.5か月で,mTHIの原因は転落が最も多く33人(66.0%)であった.多くの症例が家庭内で,養育者の不注意により受傷していた.頭部CT検査を47人に行い,頭蓋骨骨折が21例(44.7%),頭蓋内出血が16例(34.0%)であったが,全例で経過は良好であった. 
 乳幼児のmTHIの危険性を乳幼児健康診査などで養育者に啓蒙することで,その発生頻度が低下する可能性がある.また,mTHIであっても,頭蓋骨骨折や頭蓋内出血など臨床的に重要な病態が含まれるため注意が必要である.本邦における小児mTHIの頭部CT検査適応ガイドラインが望まれる.
 
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 【原著】 
■題名 
ACTH不応症と診断されていた小児型副腎白質ジストロフィーの1例 
■著者 
産業医科大学医学部小児科1),岐阜大学生命科学総合研究支援センター2) 市川 俊1)  下野 昌幸1)  石井 雅宏1)  千手 絢子1)  佐藤 薫1)  本田 裕子1)  宮地 良介1)  齋藤 玲子1)  山本 幸代1)  下澤 伸行2)  楠原 浩一1) 
■キーワード 
極長鎖脂肪酸, ペルオキシソーム, 副腎白質ジストロフィー, 臍帯血移植, 保因者診断 
■要旨 
 8歳時にACTH不応症と診断され,12歳時に小児型副腎白質ジストロフィーと確定した1例を経験した.症例は3歳頃から皮膚の色素沈着があり,8歳時に感冒時の体調不良から前医を受診,負荷試験の結果からACTH不応症と診断され,コートリルの内服を開始した.11歳時に転居で当院を紹介受診した.12歳頃からコミュニケーションが取りにくくなり,その2か月後には右手の力が入りにくくなったため神経外来を初診した.臨床症状,頭部MRI所見,極長鎖脂肪酸の高値から副腎白質ジストロフィーと診断した.本児にはHLA一致血縁ドナーがいなかったため,緊急的に臍帯血を用いた造血幹細胞移植を実施した.しかし移植片は拒絶され,自己造血能が回復した.本疾患では神経症状が出現した時点でのMRI Loes scoreは既に高値で,造血幹細胞移植の適応にならない症例が多い.よって良好な予後を得るためには保因者の早期診断が必要である.副腎機能不全がある全ての男児に,また発症者の母方家系の男児と両親に充分な遺伝カウンセリングを行った上で発症前診断を実施できる,国内ネットワークシステムの構築が必須である.
 
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 【原著】 
■題名 
エンテロウイルス71感染の関与が考えられたHopkins症候群の1例 
■著者 
埼玉県立小児医療センター神経科1),同 保健発達部2) 菅谷 ことこ1)  浜野 晋一郎1)  松浦 隆樹1)  菊池 健二郎1)  田中 学1)  南谷 幹之2) 
■キーワード 
Hopkins症候群, エンテロウイルス71, アトピー性脊髄炎 
■要旨 
 Hopkins症候群は喘息発作の回復期にポリオ様の急性弛緩性麻痺を呈する.また,エンテロウイルス71は神経親和性が高く中枢神経合併症を引き起こす.症例は喘息発作後から左上肢弛緩性麻痺を呈した2歳男児で,発症3か月後に紹介受診しHopkins症候群と診断した.エンテロウイルス71抗体価の著明な上昇を認め,ウイルス感染が関与した可能性が考えられた.本症例は,Hopkins症候群の病態を考える上で,示唆に富む症例と考えられる. 
 また,本症例は肘内障などが疑われ発症から数か月間診断がつかないまま,複数の医療機関を受診していた.予後への影響は少ないが,保護者の障害受容の観点からはこのような診断の遅延は好ましくない. 
 Hopkins症候群の認識をより一層高め,気管支喘息発作後の麻痺の出現への注意が必要であると考えられた.
 
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 【原著】 
■題名 
学校検尿異常の精査で見つかったOHVIRA症候群の1例 
■著者 
諏訪中央病院小児科 金井 宏明  佐藤 広樹  武井 義親 
■キーワード 
尿潜血, 重複子宮, 片側腟閉鎖, 腎無形成, 腟中隔開窓術 
■要旨 
 症例は14歳女児.12歳で初経を迎えた後,月経困難症はなし.学校検尿で初めて尿潜血を指摘され精査目的で受診した.超音波上右腎欠損と2つの子宮底部を確認でき,腹部・骨盤部MRIで重複子宮,右側腟閉鎖,腟留血腫,右腎無形成を認め,Obstructed Hemivagina and Ipsilateral Renal Anomaly(OHVIRA)症候群と診断した.妊孕性の保持,感染症の予防のため,経腟的開窓術を行った.術後の経過は良好で,尿潜血も陰性化した.片腎であるが腎機能は正常で推移している. 
 OHVIRA症候群は稀な子宮奇形であり,初経後に月経困難症,持続する下腹部痛,下腹部腫瘤を契機に発見されることが多い.しかし,本症例のように無症状の場合も存在し,疾患スペクトラムは広い.そのため,あらかじめその存在を念頭に置かないと診断は容易ではない.正確に診断されることなく子宮の慢性的な炎症が放置されると,妊孕性の低下をまねいたり,より侵襲の大きい術式を選択せざるを得ない場合もあり,早期の診断と治療,そして術後の定期的なフォローアップが必要である.また,本疾患は片側腎無形成であるため,腎機能の定期的な評価も重要であり,子宮奇形が疑われた場合は泌尿器系の異常の検索が不可欠である.
 
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 【原著】 
■題名 
腹部消化管超音波検査が診断に有用であった新生児・乳児消化管アレルギーの3例 
■著者 
順天堂大学医学部小児科1),茨城県立こども病院超音波診断室2),東京都立小児総合医療センター診療放射線科3) 神保 圭佑1)  細井 賢二1)  青柳 陽1)  藤井 徹1)  工藤 孝広1)  大塚 宜一1)  清水 俊明1)  浅井 宣美2)  河野 達夫3) 
■キーワード 
新生児, 腹部消化管超音波検査, 新生児・乳児消化管アレルギー(Food protein induced enterocolitis syndrome:FPIES) 
■要旨 
 新生児・乳児消化管アレルギーは新生児/乳児期に母乳あるいは人工乳の哺乳後に消化器症状を呈し発症する疾患で,近年増加傾向にある.しかし,簡易な診断特異的血清マーカーや特異な組織学的所見がないことから,その診断は容易ではない. 
 今回,我々は臨床経過などから新生児・乳児消化管アレルギーと診断した3例に腹部消化管超音波検査を行い,診断の補助となり得る画像所見の有無について検討した. 
 その結果,疾患の急性期もしくは経口食物負荷試験後に小腸を含めた浮腫性消化管壁肥厚,腸管蠕動不良,小腸間膜の肥厚と血流亢進および禁乳による消退を確認した.また,急性期の腸間膜血流を定量する目的でvessel densityを測定したところ,3症例とも,カットオフ値を上回る値を示した. 
 以上より,腹部消化管超音波検査は,新生児・乳児消化管アレルギーの診断に有用である可能性が示唆された.
 
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 【原著】 
■題名 
孤立性外骨腫による心膜損傷が原因と考えられた血胸の1例 
■著者 
昭和大学横浜市北部病院こどもセンター1),同 呼吸器センター2),同 循環器センター3) 渡辺 太郎1)  大山 伸雄1)  高橋 兼一郎1)  京田 学是1)  神尾 義人2)  曽我 恭司1)  上村 茂3)  梅田 陽1) 
■キーワード 
外骨腫, 血胸, 心膜損傷 
■要旨 
 症例は突然発症の血胸により強い左胸部痛・呼吸困難を呈した14歳男児である.第3肋骨に先端鋭利な孤立性外骨腫を認め,心および肺表面には出血部位は見られず,突起物に接する心膜に菲薄化と部分欠損を認めたことより,心膜損傷により血胸を呈したものと判断した.原因不明の血胸の鑑別の一つに外骨腫による損傷があること,さらに外骨種を疑ったときには3D-CTが有用であると考えられた.
 
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 【原著】 
■題名 
上部消化管内視鏡検査後に十二指腸壁内血腫をきたした1例 
■著者 
福井赤十字病院小児科 小倉 一将  大音 泰介  奥島 華純  森 夕起子  渡邉 康宏  谷口 義弘 
■キーワード 
十二指腸, 血腫, 内視鏡検査, 保存的治療, 小児 
■要旨 
 症例は9歳男児.腹痛,食欲不振,体重減少の精査のため,全身麻酔下で上部消化管内視鏡検査を施行した.検査1.5時間後から,上腹部痛を訴え,頻回の胆汁性嘔吐を認めた.腹部画像検査で十二指腸水平脚の壁内血腫による十二指腸狭窄を認めた.慎重に検査,患者の観察を行ったにもかかわらず偶発症をきたした.保存的治療で血腫は縮小し,経口摂取可能となった.十二指腸壁内血腫は,血液凝固異常などの基礎疾患のない小児では腹部外傷が原因となることが多いが,本症例では急激な体重減少による十二指腸周囲の脂肪組織の減少と全身麻酔下での内視鏡操作が発症の危険因子と考えられた.
 
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