疥癬(かいせん)

第三種感染症 そのほかの感染症
第三種感染症に分類されている「そのほかの感染症」は、学校で流行が起こった場合にその流行を防ぐため、必要があれば、校長が学校医の意見を聞き、第三種の感染症としての措置をとることができる疾患である。そのような疾患は子どもの感染症の中に多数あるが、ここでは子どものときに多くみられ、学校でしばしば流行する感染症を、条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症と、通常出席停止の措置は必要ないと考えられる感染症に分けて例示した。
子見出し条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症
溶連菌感染症
概要A群溶血性レンサ球菌が原因となる感染症である。扁桃炎など上気道感染症、皮膚感染症(伝染性膿痂疹の項を参照)、猩紅熱などが主な疾患である。特に注意すべき点は、本症がいろいろな症状を呈すること、合併症として発症数週間後にリウマチ熱、腎炎をおこすことがある。そのため、全身症状が強いときは安静にし、経過を観察する必要がある。
病原体A群溶血性レンサ球菌
潜伏期間2-5日(扁桃炎)、7-10日(膿痂疹)
感染経路飛沫感染、接触感染
感染期間抗菌薬投与で24時間以内に感染力はなくなる。
症状上気道感染では発熱と咽頭痛、咽頭扁桃の腫脹や化膿、リンパ節炎。猩紅熱は5-10歳ころに多く、発熱、咽頭炎、扁桃炎とともに舌が苺状に赤く腫れ、全身に鮮紅色の発疹が出て、治まった後に剥がれ落ちる。治療が不十分な場合は、リウマチ熱を併発しやすい。
診断法抗原の迅速診断キットや細菌培養、抗体検査が用いられている。
治療法抗菌薬
感染拡大防止法飛沫感染、接触感染対策として、手洗いなどの一般的な予防法の励行が大切である。
登校(園)基準適切な抗菌薬による治療開始後24時間以内に感染力はなくなるため、それ以降、登校(園)は可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-07.html
A型肝炎
概要 60歳以下の日本人の抗体保有率はほぼ0%である。2000-2017年は日本で年間平均266例(115-502例)の発生があり、7割は牡蠣などの食物による感染、年平均60例程度は海外渡航からの帰国者である。2018年には患者数が926人と突出して多く、性的接触による感染が増加している。子どもの80-95%は不顕性感染であるが、重症化する例もある。また、不顕性感染であっても便中にウイルスが排泄されるため、感染予防が困難である。
病原体A型肝炎ウイルス
潜伏期間15-50日(平均28日)
感染経路牡蠣などの生の貝類や感染者の糞便中のウイルスの経口感染
感染期間黄疸出現1-2週前に便中に高濃度排出され、黄疸発症1週間程度で感染力は減少する。
症状子どもは、無症状のことも多く、便の処理が十分に行われがたいことから、集団発生しやすい。乳児ではおむつから集団感染した事例の報告がある。発症すれば発熱、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、下痢、嘔吐、上腹部痛があり、3-4日後に黄疸が出現することがある。解熱と共に症状は軽快するが、完全に治癒するまでは1-2か月を要することが多い。2010年の小流行では2%が重症肝炎を発症した。
診断法血液による抗体検査
治療法有効な抗ウイルス薬はなく、対症療法が行われる。
予防接種海外渡航予定者へはワクチン接種を行うことが望ましい。患者との濃厚接触者には、γグロブリンやワクチンを予防的に投与する。
登校(園)基準発病初期を過ぎ、肝機能が正常になった者については登校(園)が可能である。
米国小児科学会では発症1週間後までを隔離の目安としている。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-08.html
B型肝炎
概要 血液や体液を介して感染する肝炎のひとつで、以前は輸血に伴う感染や、出産に伴う母親からの垂直感染(親から子への縦の感染)が問題となった。輸血用血液のスクリーニング検査や、B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの母親から出生した児に対する予防処置の普及によって発生数が減少している。しかし、母子感染予防処置が不十分なまま中断されている場合、胎内感染により出生時にすでに母子感染している場合、幼少時に家族内や集団保育の場で水平感染(垂直感染でない横への感染)している場合、思春期以降に性感染する場合があり、日本では、年間6,000人以上の新規感染者がある。
病原体B型肝炎ウイルス(HBV)
潜伏期間45-160日(平均90日)
感染経路HBVキャリアからの垂直感染(母子感染)、歯ブラシやカミソリなどの共用に伴う水平感染、血液・体液感染(性感染)。唾液や汗も感染源となる可能性がある。
症状乳幼児期の感染は無症候性に経過することが多いが、持続感染(HBVキャリア)に移行しやすい。急性肝炎を発症した場合は倦怠感・発熱・黄疸などがみられる。まれではあるが重症化して死に至る場合もある(劇症肝炎)。急性肝炎の多くは治癒するが、10-15%は慢性肝炎、肝硬変、肝癌へ進行する。また、近年、免疫抑制療法の治療中に、HBVの再活性化が生じる場合があることも指摘されている(de novo肝炎)。
診断法血液による抗原抗体検査、ウイルス量検査
治療法急性肝炎の場合は対症療法を選択する場合が多い。慢性肝炎では抗ウイルス薬やインターフェロン療法などの治療がある。
予防接種HBVキャリアの母から出生した新生児は、出生直後(12時間以内が望ましい)からHB免疫グロブリンとワクチンを用いた予防を行う。その他の児は生後2か月から定期接種としてワクチン接種を受ける。世界保健機関(WHO)は、全ての子どもにワクチン接種を勧奨しており、定期接種対象年齢外の子どもや職員にも予防接種を勧める。
感染拡大防止法家族内などでは歯ブラシ・カミソリの共用を避ける。集団生活の場では、感染している子どもを特定するのではなく、標準予防策として、HBVキャリアの有無にかかわらず、血液や体液に触れる場合は使い捨て手袋を着用することが望ましい。例えば、非常に攻撃的でよくかみつく、全身性の皮膚炎がある、出血性疾患がある等、血液媒介感染を引き起こすリスクの高い子どもがHBVキャリアである場合は、主治医、施設責任者等が個別にそのリスクを評価して対応する必要がある。
HBVキャリアの子どもがプールに入ってもほかの子どもに感染させることはないが、傷などがある場合は絆創膏やガーゼで覆っておく。HBVキャリアの子どもがほかの子どもを噛み付いた場合は、傷口を洗い、医療機関を受診する。
「保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドライン~ウイルス性肝炎の感染予防を中心に」は、以下のURLから閲覧が可能である。https://www.kanen.ncgm.go.jp/content/010/hoiku.pdf
登校(園)基準急性肝炎の急性期でない限り、登校(園)は可能である。HBVキャリアの登校(園)を制限する必要はない。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-09.html
C型肝炎
概要 血液や体液を介して感染する肝炎のひとつ。日本では1992年から開始されたスクリーニングにより、輸血後感染は減少した。分娩時に妊婦のウイルスRNAが陽性の場合に、子どもの5-6%が感染する。慢性化しやすく、一部が肝硬変にいたるとされている。
病原体C型肝炎ウイルス(HCV)
潜伏期間主に6-7週(2週-6か月)
感染経路HCV感染者からの血液・体液感染(性感染)、母子感染
症状急性の病変は穏やかに始まり、子どもにおいて多くは無症状である。黄疸がみられるのは20%未満であり、肝機能障害も急性B型肝炎に比し顕著ではない。ただし感染した子どもの80%が慢性化し、米国では肝移植の対象疾患の筆頭を占める。
診断法血液による抗体検査、RNA定量検査。HCV感染が判明している女性から出生した子どもは抗体スクリーニングが可能である。母からの移行抗体のなくなる生後18か月を越えてから抗体検査を行う。
治療法抗ウイルス薬やインターフェロン療法などの治療がある。
感染拡大防止法麻薬などの不法注射薬物使用や、複数のパートナーとの性交渉がHCV水平感染の、母親のヒト免疫不全ウイルス(HIV)重複感染がHCV垂直感染リスクとなる。家庭内などでは歯ブラシ・カミソリの共用を避ける。
集団生活の場では、感染している子どもを特定するのではなく、標準予防策として、血液や体液に触れる場合は使い捨て手袋を着用することが望ましい。
ウイルスが陽性の子どもは、傷などがある場合は絆創膏やガーゼで覆っておく。
ウイルスが陽性の母の場合、母乳哺育と人工乳栄養での子どもへの感染のリスクは同程度であるため、母乳哺育の禁忌とはならない。ただし、乳首のひび割れや出血のある場合は控えることを考慮する。
登校(園)基準急性肝炎の急性期でない限り、登校(園)は可能である。感染者の登校(園)を制限する必要はない。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-10.html
手足口病
概要 口腔粘膜と四肢末端に水疱性発疹を生じる疾患で、毎年のように流行する。
病原体コクサッキーウイルスA16、A10、A6型、エンテロウイルス71型など
潜伏期間3-6日
感染経路
(始発時期)
経口感染、飛沫感染、接触感染。
流行のピークは夏季である。
感染期間ウイルスは咳や鼻汁から1-2週間、便からは数週-数か月間、排出されることもある。
症状発熱と口腔・咽頭粘膜に痛みを伴う水疱ができ、唾液が増え、手・足末端や臀部に水疱がみられるのが特徴。発熱はあまり高くはならないことが多く、通常1-3日で解熱する。近年、流行しているコクサッキーウイルスA6型によるものは、水痘と紛らわしいことや、爪が剥げることもある。エンテロウイルス71型による手足口病では髄膜炎や脳炎などを合併症することがある。
好発年齢乳幼児
診断法症状から診断される。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法経口感染、飛沫感染、接触感染対策として、一般的な予防法を励行する。
登校(園)基準流行の阻止を目的とした登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。本人の全身状態が安定しており、発熱がなく、口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく普段の食事がとれる場合は登校(園)可能である。ただし、手洗い(特に排便後)を励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-11.html
ヘルパンギーナ
概要主として咽頭、口腔内粘膜に水疱、潰瘍を形成するのが特徴の熱性疾患である。乳幼児に多く見られる夏かぜの代表的な疾患である。
病原体主としてコクサッキーA群ウイルス
潜伏期間3-6日
感染経路
(始発時期)
経口感染、飛沫感染、接触感染。
春季から夏季に多く発生し、流行のピークは7月ころである。
感染期間ウイルスは咳や鼻汁から1-2週間、便からは数週-数か月間、排出されることもある。
症状突然の発熱(39℃以上)、咽頭痛。咽頭に赤い発疹がみられ、次に水疱となり、間もなく潰瘍となる。
好発年齢4歳以下の乳幼児に多い。原因となる病原ウイルスが複数あるため、再発することもある。
診断法症状から診断される。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法飛沫感染、接触感染対策として一般の予防法を励行する。
登校(園)基準流行の阻止を狙っての登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。本人の全身状態が安定している場合は登校(園)可能である。ただし、手洗い(特に排便後)を励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-12.html
無菌性髄膜炎
概要 主にウイルスによる髄膜の炎症であり、原因ウイルスの流行により、夏季から秋季に増加する。
病原体どのウイルスでも発症しうるが、エンテロウイルスが無菌性髄膜炎の80%以上の原因とされている。ほかにはムンプスウイルス、アデノウイルスが多い。
潜伏期間エンテロウイルスは3-6日、ムンプスウイルスは16-18日など、それぞれのウイルスによる。
感染経路エンテロウイルスは経口感染、飛沫感染、接触感染。ムンプスウイルスは飛沫感染、接触感染。
感染期間エンテロウイルスは、咳や鼻汁から1-2週間、便からは数週-数か月排出され、ムンプスウイルスは耳下腺腫脹1-2日前から腫脹5日ころまで。
症状乳児では発熱、不機嫌など。年長児では発熱、頭痛、嘔吐、羞明(光をまぶしく感じる)など。時に、けいれんや意識障害など、脳炎の症状を来たすこともある。一般的に1週間程度で回復することが多い。ただし、中には脳炎も併発し、けいれんや意識障害などを来すことがある。その場合は後遺症を残すこともある。
好発年齢どの年齢でも発症する可能性がある。
診断法髄液検査
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
予防接種ムンプスウイルスはおたふくかぜワクチンでの予防が可能であり、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の自然感染では100人に1人の頻度で無菌性髄膜炎が発症するが、おたふくかぜワクチンによる無菌性髄膜炎の発症は、2020-2023年の被接種者を対象とした全国調査では10万接種あたり13.4と自然感染時に比べ低かった。
感染拡大防止法飛沫感染、接触感染、経口感染として一般の予防方法を励行する。
登校(園)基準全身状態が安定している場合は登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-13.html
伝染性紅斑(りんご病)
概要かぜ様症状を認めた後に顔面、頬部に少しもり上がった紅斑(赤い発疹)がみられる疾患である。その状態からりんご病とも呼ばれている。国内においては、数年周期で流行している。
病原体ヒトパルボウイルスB19
潜伏期間通常4-14日であるが、21日程度になる場合もある。
感染経路主として飛沫感染、母子感染(胎内感染)。成人では半数以上が不顕性感染であるため、感染していることに気付いていない場合も多い。
感染期間かぜ症状出現から発疹が出現するまで。
症状かぜ様症状と引き続きみられる顔面の紅斑が特徴である。発疹は両側の頬と四肢伸側にレース状、網目状の紅斑が出現する。一旦消失しても再発することもある。合併症として(特に溶血性貧血患者では)、重症の貧血を生じることがある。妊婦(特に28週未満)が初めて感染した場合、流産、死産にいたる場合(2-6%)や、胎児が胎児水腫という全身に浮腫をきたす場合(3%)がある。成人では顔面の紅斑は出現し難く、関節痛や四肢浮腫(水ぶくれ)が特徴である。
好発年齢幼児から学童(一度感染すると終生免疫を獲得するため再感染はしない)
診断法症状から診断されることが多いが、確定には血液での抗体検査を行う(紅斑が出現している15歳以上、あるいは妊婦に対するIgM抗体の測定のみに健康保険が適応される)。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法流行期は特に、飛沫感染対策として一般の予防法を励行する。妊婦の半数以上は免疫を持っていないため、発症者がでた場合は、保護者に知らせる必要がある。また、かかったことがなく、妊娠している職員は流行が終息するまで休ませる配慮が望まれる。
登校(園)基準発疹期には感染力はほとんど消失しているので、発疹のみで全身状態のよい者は登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-14.html
ロタウイルス感染症
概要流行性嘔吐下痢症の症状を呈するウイルスによる腸管感染症である。ワクチン導入前の日本の患者数は年間約80万人で、そのうち2-8万人が入院し、10人前後が死亡していた。
病原体ロタウイルス
潜伏期間1-2日
感染経路
(始発時期)
経口感染、接触感染、飛沫感染。
冬季から春季に多く発生する。
感染期間急性期が最も感染力が強いが、便中に3週間以上排泄されることもある。
症状嘔吐と下痢が主症状であり、時に下痢便が白くなることもある。 多くは2-7日で治るが、脱水、まれにけいれんが群発する、もしくは脳症を合併することがある。
好発年齢乳幼児
診断法便を用いた抗原迅速診断キットがあるが、流行などから臨床診断する場合もある。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
予防接種2011年、日本でも経口生ワクチンが任意予防接種として開始され、2020年には定期化され、発症が減っている。
感染拡大防止法経口感染、接触感染、飛沫感染対策として、一般的な予防法の励行が大切である。アルコール消毒は効きにくいため、流水下の石鹸での手洗いが必要である。ウイルスがついた水や食物、手を介して、またはそこから飛び散って感染するので、患者と接触した場合や排便後、また保育者であればおむつ交換後に、手洗いを励行する。嘔吐物や下痢便のついた衣類などは破棄するか、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
登校(園)基準症状のある間が主なウイルスの排泄期間なので、下痢、嘔吐症状が消失した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-15.html
ノロウイルス感染症
概要流行性嘔吐下痢症の症状を呈するウイルスによる感染力の非常に強い腸管感染症である。人から人への感染以外に、食中毒の原因としても重要であり、食中毒の病原体の中で患者数が最も多い。
病原体ノロウイルス
潜伏期間12-48時間
感染経路
(好発時期)
経口感染、接触感染、飛沫感染。便中に多くのウイルスが排出されており、吐物の感染力も強く、乾燥してエアロゾル化した吐物からは空気感染も発生しうる。二枚貝、氷、サラダ、パンなどの食品を介しての感染(食中毒)もある。秋季から春季に多く発生する。家庭内や保育施設などの集団(施設)、閉鎖空間で感染が拡大する。
感染期間急性期が最も感染力が強いが、便中に3週間以上排泄されることもある。
症状嘔吐と下痢が主症状であり、多くは1-3日で治るが、脱水を合併する。
好発年齢乳幼児のみならず、学童、成人にも多くみられ、再感染もまれでない。
診断法便を用いた抗原迅速診断キットがあるが、流行などから臨床診断する場合もある。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法経口感染、接触感染、飛沫感染対策として、一般的な予防法の励行が大切である。
ウイルスがついた水や食物、手を介して、またはそこから飛び散って感染するので、患者やその吐物・便と接触した場合は、手洗いを励行する。また吐物や便で汚染された場所の消毒を行う際には、子どもを遠ざけ、部屋の換気を行い、使い捨ての手袋・マスク・エプロンを着けて対応する。
アルコール消毒は効きにくいため、流水下に石鹸で手洗いをし、食器などは、85℃で1分以上の加熱または、0.02%次亜塩素酸ナトリウムを用いて洗浄する。食品は85-90℃、90秒以上の加熱が有効である。嘔吐物や下痢便のついた衣類などは破棄するか、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
登校(園)基準症状のある間が主なウイルスの排泄期間なので、下痢、嘔吐症状が消失した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-16.html
サルモネラ感染症(腸チフス、パラチフスを除く)
概要 食中毒による急性細菌性腸炎の原因となる。
病原体サルモネラ菌
潜伏期間主に12-36時間(6-72時間)
感染経路ミドリガメなどの爬虫類、鳥類、両生類などの感染動物(ペット、家畜)との接触、汚染された生卵やその加工品、食肉(牛レバー刺し、鶏肉)などの摂食による経口感染。
感染期間便中の菌排泄が数週間以上続く。
症状下痢、血便、嘔吐、発熱
診断法便の細菌培養
治療法安静、食事療法、補液。生後3か月未満、基礎疾患がある人や全身状態が悪い場合は抗菌薬。下痢止め薬は排菌を遅延させる可能性があるため、使用しない。
感染拡大防止法調理者の手洗い、調理器具の洗浄、食品の加熱(中心部が75℃、1分以上)などを励行する。排便後や、職員においてはおむつ交換後の手洗いを励行する。
登校(園)基準下痢が治まれば登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-17.html
カンピロバクター感染症
概要 食中毒による急性細菌性腸炎の原因となる。
病原体カンピロバクター菌
潜伏期間通常2-5日であるが長くなる場合もある。
感染経路汚染された家畜、爬虫類、ペットを含む動物、鶏肉、鶏卵、牛肉、未殺菌乳、魚などからの経口感染。
感染期間便中の菌排泄が数週間以上続く。
症状下痢、血便、嘔吐、発熱。発症数週間後にギラン・バレー症候群というまひを中心にした神経障害を併発することもある。
診断法便の細菌培養
治療法安静、食事療法、補液。基礎疾患がある人や全身状態が悪い場合は抗菌薬。下痢止め薬は排菌を遅延させる可能性があるため、使用しない。
感染拡大防止法調理者の手洗い、調理器具の洗浄、食品の加熱(中心部が75℃、1分以上など)を励行する。排便後や、職員においてはおむつ交換後の手洗いを励行する。
登校(園)基準下痢が治まれば登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-18.html
肺炎マイコプラズマ感染症
概要咳を主症状とし、学童期以降の市中肺炎としては最も多い。2024年には大規模な流行があった。
病原体肺炎マイコプラズマ
潜伏期間主に2-3週間(1-4週間)
感染経路
(始発時期)
飛沫感染。家族内感染や再感染も多くみられる。
夏季から秋季に多い
感染期間症状のある間がピークであるが、保菌は数週-数か月間持続する。
症状咳、発熱、頭痛などのかぜ症状がゆっくり進行する。とくに咳は徐々に激しくなる。中耳炎・鼓膜炎や発疹などを伴うこともあり、重症例では胸水がたまり呼吸障害が強くなる。
好発年齢通常5歳以後で、10-15歳くらいに多いが、成人もしばしば罹患する。
診断法血液による抗体検査や、咽頭ぬぐい液によるDNA、抗原検査などがある。
迅速抗体検査では、感染から1年近く陽性が持続する場合があるため、結果の判断には注意を要す。
治療法抗菌薬であるが、近年、耐性菌が増えている。
感染拡大防止法飛沫感染対策としての一般的な予防法を励行する。
登校(園)基準発熱や激しい咳が治まり、全身状態のよい者は登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-19.html
肺炎クラミジア感染症
概要慢性の咳や、肺炎、気管支炎の原因となる。
病原体肺炎クラミジア
潜伏期間平均21日
感染経路飛沫感染。再感染も多くみられる。
感染期間症状のある間がピークである。
症状咳が長引くことが多い。
好発年齢初感染は5-15歳にピークがある。
診断法血液による抗体検査や、鼻咽頭ぬぐい液または喀痰からのDNA検出。
治療法抗菌薬
感染拡大防止法飛沫感染対策としての一般的な予防法を励行する。
登校(園)基準症状が改善し、全身状態のよい者は登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-20.html
インフルエンザ菌b型感染症
概要細菌性髄膜炎、敗血症(細菌による重症感染症で全身の状態が悪くなる)、喉頭蓋炎の代表的な起因菌である。
病原体インフルエンザ菌b型(Hib)
潜伏期間不明
感染経路主に飛沫感染。ワクチン導入前の健康な子どもの保菌率は1-5%程度。
感染期間保菌している間は、感染させる可能性がある。
症状髄膜炎、敗血症、喉頭蓋炎。ワクチン導入前の日本でのHib髄膜炎の発症は年間約600人で、約2-3%が死亡、約15%が脳障害や聴力障害などの後遺症を残していた。
好発年齢3か月-5歳。特に2歳以下に多い。
診断法血液や髄液など通常無菌部位の細菌培養
治療法抗菌薬。ワクチン導入前は、薬剤耐性菌が増加していた。
予防接種日本でも2013年4月からHibワクチンの定期予防接種が開始され、侵襲性Hib感染症は激減している。2024年4月にHibワクチンと沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合ワクチン(DPT-IPV)を含む5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が導入された。
登校(園)基準全身状態の改善した者は登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-21.html
肺炎球菌感染症
概要細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎、中耳炎などの代表的な起因菌である。
病原体肺炎球菌
潜伏期間1-3日
感染経路主に飛沫感染。1歳児の30-50%が鼻腔に保菌しており、保育施設の入園後1-2か月でその保菌率は80%以上に上昇する。
感染期間感染の種類によって異なるが1-3日。保菌している間は感染させる可能性がある。
症状気管支炎、肺炎、中耳炎、髄膜炎、敗血症。ワクチン導入前の日本での肺炎球菌髄膜炎の発症は年間約200人で、約6-7%が死亡、約30%が脳障害や聴力障害などの後遺症を残していた。
好発年齢3か月-5歳。特に2歳以下に多い。
診断法血液や髄液の細菌培養
治療法抗菌薬。ワクチン導入前は薬剤耐性菌が増加していた。
予防接種多くの国で2000年以降、肺炎球菌結合型ワクチンが導入され、ワクチンに含まれる血清型の肺炎球菌による侵襲性感染症(髄膜炎、敗血症などの重症感染症)は激減した。海外では中耳炎や肺炎に対する予防効果も報告されている。日本では2013年定期予防接種となり、同じく侵襲性感染症は減少している。一方で、ワクチンでカバーされていない血清型による侵襲性感染症が相対的に増加している。また、23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチンは、2歳以上で重症化するリスクの高い人(例えば脾臓摘出後)に接種を勧める。
登校(園)基準発熱、咳などが軽快し、全身状態が改善した者は登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-22.html
RSウイルス感染症
概要 秋-冬期を中心に流行し、主に乳幼児が感染し、呼吸困難に陥ることもある呼吸器感染症である。近年、流行が早まり、夏季に流行が始まることが多くなっている。2021年には夏季における大流行を認めた。最新の発生動向は国立感染症研究所のURLから閲覧が可能である。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/rs-virus.html
病原体RSウイルス
潜伏期間主に4-6日(2-8日)
感染経路接触感染、飛沫感染
感染期間通常3-8日
症状発熱、鼻汁、咳嗽、喘鳴。年長児や成人では、軽いかぜ症状ですむ場合も多いが、乳児早期に感染した場合は急性細気管支炎や肺炎となり、呼吸困難から人工呼吸管理を要することもある。
好発年齢乳幼児
診断法抗原迅速診断キットを用いた検査が可能である。ただし、迅速検査の保険適用は乳児や入院患児などに限られている。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法出生前に妊婦にRSウイルスワクチンを接種することで児の発症予防と重症化予防を期待できる。
出生後は、早産児やRSウイルス感染症が特に重症化しやすい基礎疾患のある児に対して、RSウイルス感染症の発症予防、重症化予防を目的とし、健康保険の適応で抗RSウイルスモノクローナル抗体を使用できる。また健康保険の適用外とはなるが、健常児も抗RSウイルスモノクロナール抗体により、同様の効果が期待できる。
流行期、保育所では乳児と1歳以上のクラスの互いの交流を制限することで、重症化しやすい乳児への感染を予防できることもある。
登校(園)基準咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-23.html
ヒトメタニューモウイルス感染症
概要 晩冬-早春に流行する呼吸器感染症で、RSウイルスと同様に乳児の急性細気管支炎や肺炎の原因となる。
病原体ヒトメタニューモウイルス
潜伏期間3-5日
感染経路接触感染、飛沫感染
感染期間通常1-2週間
症状咳嗽、喘鳴。喘息発作の悪化などに関与する。乳児では急性細気管支炎や肺炎となり、免疫低下状態では重症化することがある。
好発年齢全ての年齢で生じうるが、多くの場合は5歳までに感染する。
診断法抗原迅速診断キットを用いた検査が可能である。ただし、迅速検査の保険適用は6歳未満でレントゲンや聴診で肺炎が疑われる場合、などに限られている。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法接触感染対策として一般の予防方法を励行する。
登校(園)基準咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-24.html
ライノウイルス感染症
概要 かぜ症候群と副鼻腔炎の原因として最も頻度が高い。1年中生じるが春と秋が多い。
病原体ライノウイルスであるが、100種類以上の型があるため何度も感染する。
潜伏期間2-3日(時に7日にいたることもある)
感染経路接触感染、飛沫感染
感染期間鼻咽頭からの排泄が最も多いのは初期の2-3日で、通常7-10日
症状咽頭痛、咳、鼻汁、発熱、中耳炎。喘息の悪化原因ともなりうる。
好発年齢全ての年齢で生じうるが、成人になるまでに複数回、感染する。
診断法症状とほかの感染症の除外で診断する。多項目PCR検査を実施している一部の医療機関でこのウイルスも検査されることはある。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。
登校(園)基準咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-25.html
パラインフルエンザウイルス感染症
概要 クループの主な原因であり、再感染の場合は軽い上気道炎のことが多い。主に秋に多い。
病原体パラインフルエンザウイルスで1、2、3、4A、4B型がある。
潜伏期間2-6日
感染経路接触感染、飛沫感染
感染期間症状が出現する1週間前から症状消失後1-3週くらいまでウイルスを排泄する。
症状クループ、上気道炎、肺炎、細気管支炎。喘息の悪化原因ともなりうる。
好発年齢全ての年齢で生じうるが、通常5歳までに複数回感染する。
診断法症状とほかの感染症の除外で診断する。多項目PCR検査を実施している一部の医療機関でこのウイルスも検査されることはある。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。
登校(園)基準咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-26.html
エンテロウイルスD68感染症
概要 重症の呼吸不全や喘息発作、急性の手足のまひ(急性弛緩性まひ)の原因として疑われている。
病原体エンテロウイルスD68
潜伏期間3-6日
感染経路飛沫感染、接触感染
感染期間呼吸器からのウイルスの排出は通常1-3週未満である。
症状重症の呼吸器疾患や喘息発作、急性の手足のまひが生じる可能性が示唆されている。
好発年齢幼児
診断法健康保険で行なわれる検査はない。一部の研究機関で、鼻咽頭ぬぐい液などからのウイルス分離やPCR検査が可能である。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われるが、急性のまひは改善しにくい。
感染拡大防止法飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。
登校(園)基準咳などが安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-27.html
EBウイルス感染症
概要伝染性単核球症の主な原因であり、不顕性感染例から致死的な例もある。乳幼児では気付かれないことも多い。
病原体Epstein-Barrウイルス
潜伏期間30-50日
感染経路キスなどにより唾液や体液を介しての感染、濃厚接触による飛沫感染
感染期間唾液や飛沫や鼻汁からは数か月間ウイルスが排泄される。
症状多くは無症状か、軽微なかぜ症状ですむが、伝染性単核球症(発熱が数日-数週間持続、リンパ節腫大、咽頭・扁桃炎、肝炎)や、まれに慢性活動性EBウイルス病(発熱などの症状が数か月間持続)、血球貪食症候群(発熱、貧血、出血)、悪性リンパ腫の原因となる場合もある。
好発年齢伝染性単核球症は思春期以降に多い。
診断法血液での抗体検査
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。キス、歯ブラシや食事用具の共用による唾液の接触を避ける。
登校(園)基準解熱し、全身状態が回復した者は登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-28.html
サイトメガロウイルス感染症
概要子どもにおいては不顕性感染も多いが、思春期以降では伝染性単核球症様の症状を呈することがある。免疫が低下している人の感染では重症化することがある。妊婦の感染で胎児が感染(先天性感染)すると、中枢神経系や感覚器(眼、内耳)などに異常が生じることがある。
病原体ヒトサイトメガロウイルス
潜伏期間ヒトからヒトへの直接感染の場合は不明、輸血感染では3-12週間。
感染経路唾液、尿などの体液を介した感染、経胎盤、経産道、経母乳による母子感染、性行為感染。
感染期間1-3歳の幼児の30-40%が唾液や尿にウイルスを排泄している。
症状後天性感染では、かぜ症状や伝染性単核球症(発熱が数日-数週間持続、リンパ節腫大、咽頭・扁桃炎、肝炎)、先天性(胎内)感染では、難聴、発達遅滞・障害、視力障害などが生じることがある。
診断法血液での抗体検査や、血液・尿を用いたPCR検査。先天性感染に対して、生後3週間以内の尿を用いてDNA検査(保険適用)を行う。
治療法重症化しない場合、通常は自然軽快する。免疫が低下した患者や先天性感染症では、抗ウイルス薬(ガンシクロビル、バルガンシクロビル)が考慮される。
感染拡大防止法無症候性感染児が少なからずいて、長期間唾液や尿にウイルスが排泄し続けるので、妊娠中の職員は常に子どもの唾液、尿などに触れた後にはよく手洗いをする。
登校(園)基準解熱し、全身状態が回復した者は登校(園)可能である。未感染の妊婦に感染させないように、特に注意を払う。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-29.html
単純ヘルペスウイルス感染症
概要 1型ウイルスによる歯肉口内炎、主に2型ウイルスによる性器ヘルペス、両方の型による新生児ヘルペスなど、軽症から重症まで様々な病状を呈す。
病原体単純ヘルペスウイルス1型、2型
潜伏期間新生児以降は2日-2週
感染経路水疱内にあるウイルスの接触感染、新生児では産道感染(母子感染)
症状乳児期以降の初感染の場合、多くは無症状であるが、発症典型例は歯肉口内炎で、4-5日間の発熱と口腔内の多発性アフタ、歯肉の腫脹や出血、口周囲の水疱がみられる。アトピー性皮膚炎を持つ児ではカポジ水痘様発疹症(全身に水疱が多発)となることがある。
新生児ヘルペスではウイルスを排泄する妊婦からの産道感染にて発症し、高熱、けいれん、意識障害などを呈し、後遺症を残す可能性がある。性器ヘルペスでは小水疱や潰瘍を生じる。ウイルスは生涯にわたり潜伏感染し、再活性化の場合は口唇ヘルペスや性器ヘルペスとなることがある。単純ヘルペス脳炎はどの年齢でも生じ、けいれん、意識障害を呈し、時に致死的である。
好発年齢歯肉口内炎は主として6か月-3歳。性器ヘルペスは思春期以降
診断法血液での抗体検査、水疱内容液、血液、髄液を用いた抗原検査
治療法内服、静注、軟膏の抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)
登校(園)基準口唇ヘルペスのみで、全身状態が保たれているのであれば、マスクなどをして登校(園)可能であるが、歯肉口内炎で発熱や口腔内アフタのため痛みが強く、経口飲食が困難な場合、また全身性の水疱がある場合は欠席して、治療する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-30.html
帯状疱疹
概要 過去に水痘にかかったことのある人の免疫状態が低下したときに、神経節に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症する。
病原体水痘・帯状疱疹ウイルス
潜伏期間水痘にかかった後、水痘・帯状疱疹ウイルスは神経節に長期に潜伏するため不定。
感染経路水疱内にあるウイルスの接触感染
症状小さな水疱が神経の支配領域に沿って片側性に帯状に現れる。かゆみや痛みをともなう。
診断法主に症状から診断されるが、水疱の内用液やびらんの表面をぬぐい、ウイルス抗原を検査する診断キットも有用である。
治療法抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビル)
予防接種水痘ワクチンは1-2歳児を対象に定期接種(2回接種)。帯状疱疹の予防にもなるため、水痘にかかる前に予防接種を勧める。また、50歳以上の帯状疱疹予防として水痘ワクチンの使用可。50歳以上の者および帯状疱疹に罹患するリスクの高いと考えられる18歳以上の者に不活化帯状疱疹ワクチンも使用可能となった。
感染拡大防止法集団の場では、1人の発症があった場合、速やかにほかの子どもに対して、水痘にかかったことがあるか、予防接種はしているかを聴取する。患者との接触後、72時間以内であればワクチンによって発症の阻止、あるいは症状の軽減が期待できる。妊婦への感染防止も重要であるため、保護者に知らせる必要がある。また、水痘にかかったことがなく、水痘ワクチン未接種の妊娠している職員は流行が終息するまで休ませる配慮が望まれる。
登校(園)基準すべての発疹が痂皮(かさぶた)になるまで感染力はあるものの、水痘ほど感染力は強くなく、空気感染、飛沫感染はない。病変部が適切に被覆してあれば、登校は可能である。ただし、水痘にかかったことのないワクチン未接種者が帯状疱疹患者と接触すると水痘にかかる可能性があるため、接触しないようにする。そのような子どもの多い幼稚園、保育所では、すべての発疹が痂皮になるまで登園は控える。白血病や免疫を抑制する治療を受けている人が感染すると重症化する場合もあることも留意する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-31.html
日本脳炎
概要日本脳炎ウイルスはブタなどで増殖し、蚊が媒介するウイルスで、ヒトの急性脳炎の原因となる。
病原体日本脳炎ウイルス
潜伏期間6-16日
感染経路
(始発時期)
ブタなどで増殖し、ウイルスに感染しているブタを刺したコガタアカイエカにヒトが刺されることで感染する。夏季から秋季に患者が増加する。北海道、東北地方などの一部の地域を除き、日本中で感染の可能性があり、関東以西の府県では約80%のブタが日本脳炎ウイルスに感染することが少なくないので注意が必要である。なお、ヒトからヒトへの感染はない。
症状感染した100-1,000人に1人が発症し、発熱、頭痛、けいれん、意識障害を来たす。発症例の20-30%は死亡し、30-50%は脳障害の後遺症を残す。
好発年齢ほとんどが高齢者であるが、子どもの報告もある
診断法髄液検査や血液での抗体検査
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
予防接種定期接種としては、1期初回2回と追加1回、2期1回の合計4回接種する。1期初回の標準的接種時期は3歳からとなっているが、生後6か月から接種は可能であり、流行地では早期の予防接種が推奨される。また積極的勧奨差し控え期間中に接種できなかった者にも定期接種できる。
感染拡大防止法蚊に刺されないように長袖、長ズボンを着用し、裸足でサンダルを履かないようにする。コガタアカイエカは水田や沼、大きな水たまりに産卵し、日没頃から活動するので、野外で活動する場合は虫除け剤(ディート、イカリジン<ピカリジン>など)を使用するなど、蚊にさされない手段を取る。
登校(園)基準症状が回復したら登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-32.html
突発性発疹
概要ヒトヘルペスウイルス6、7の初感染にて生じ、高熱の持続の後、解熱とともに発疹がでる。
病原体ヒトヘルペスウイルス6、7
潜伏期間ヒトヘルペスウイルス6は9-10日、7は不明。
感染経路無症状の家族、保育者、濃厚接触者などの唾液中に排泄されるウイルスによる。
症状39.5度以上の発熱が3-4日続いた後、解熱とともに発疹が出現し、その発疹は数時間から数日間持続する。熱性けいれんや、稀に脳症を呈すこともある。
好発年齢6-24か月が最も多く、5歳までに75%の子どもが感染する。
診断法通常は症状から診断されるが、ウイルス分離、抗体価測定、PCR法による診断も可能。
治療法対症療法が行われる。
米国小児科学会では、免疫抑制状態にある子どもに生じた重症感染の場合、ガンシクロビルの投与を勧める場合もある。
感染拡大防止法食べ物を口移しで与えない。歯ブラシや食事用具の共用による唾液の接触を避ける。
登校(園)基準解熱し、機嫌がよく、全身状態が良ければ登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-33.html
ボツリヌス症
概要ボツリヌス菌が産生する毒素により、神経のまひが数週間-数か月生じる。
病原体ボツリヌス菌の神経毒素A、B、E型
潜伏期間ボツリヌス食中毒12-48時間(6時間-8日)、乳児ボツリヌス症では3-30日
感染経路保存・発酵食品、缶詰、蜂蜜などの中にボツリヌス菌が混入し、芽胞が発芽、増殖し、毒素が産生され、その毒素入りの食品を食べると発病する(ボツリヌス食中毒)。乳児では芽胞を摂取した後に体内で発芽・増殖し、毒素を産生することが多い(乳児ボツリヌス症)。
症状物が二重に見える、飲み込みづらい、言葉を出しにくいなどの症状が先行して、手足のまひにいたることもある。乳児ボツリヌス症では便秘が先行し、元気がない、動作の減少、無表情、瞳孔散大などが生じ、呼吸に影響が出ると突然死の原因にもなりうる。
好発年齢どの年齢でも生じうるが、乳児ボツリヌス症は中央値15週齢
診断法便、血液などからの菌や毒素の検出(培養、PCR法)
治療法抗毒素
感染拡大防止法缶詰などの滅菌のためには高圧釜(116℃)での調理が必要。毒素は食品内の温度として85℃で10分間保てば不活化できる。しかし、芽胞は煮沸に耐えられるため、乳児に蜂蜜は与えない。缶詰や密封された食品の容器が膨らんでいる場合は、ボツリヌス菌によるガス産生の可能性があるため破棄する。傷んでいる食品は食べない。
登校(園)基準乳児ボツリヌス症の場合、便から毒素が検出されなくなるまで、保育所等は出席を控える。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-34.html
ネコひっかき病
概要ネコにひっかかれた手足の体幹に近い側のリンパ節が腫れ、発熱を伴うこともある感染症。秋-冬に多い。
病原体バルトネラ菌
潜伏期間最初の皮膚症状が出現するまでは7-12日、皮膚症状出現からリンパ節腫張までは5-50日(平均12日)
感染経路保存・発酵食品、缶詰、蜂蜜などの中にボツリヌス菌が混入し、芽胞が発芽、増殖し、毒素が産生され、その毒素入りの食品を食べると発病する(ボツリヌス食中毒)。乳児では芽胞を摂取した後に体内で発芽・増殖し、毒素を産生することが多い(乳児ボツリヌス症)。
症状ネコによるひっかきや咬まれることによる。子ネコや野良ネコの保菌率が高い。
ネコに限らずイヌからの感染も報告されている。
診断法通常の培養検査では検出しにくく、専門の検査施設での抗体検査、PCR検査などが必要。
治療法自然軽快することが多いが、抗菌薬を投与する場合もある。
感染拡大防止法ネコ、特に子ネコとの過度な接触は避ける。ひっかかれた、もしくは咬まれた場合は、ただちに傷口をよく洗浄する。ネコからネコへの感染はノミを介するので、ノミ駆除も重要である。
登校(園)基準ヒトからヒトへは感染しないので、症状が回復したら登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-35.html
破傷風
概要泥や土などで汚染された傷口で菌が増殖し、菌が産生する毒素によって脳神経が障害される感染症。
病原体破傷風菌
潜伏期間主に8日以内(3-21日)
感染経路泥や土などで汚染された傷口で菌が増殖し、毒素を出して発症する。
症状傷口の違和感、舌のもつれ、口が開きにくくなるなどの症状から、飲みこみがしにくくなる、言葉がでにくくなる、歩けなくなる、顔がこわばる、けいれんするなどの症状が進行し、死に至ることもある。致命率は30-40%である。
診断法症状から診断される。
治療法ワクチン未接種の場合や、ワクチン接種後5年以上経過した人で、泥や土などで汚染された傷を負った場合や動物に咬まれた場合は、適切に洗浄し、抗菌薬とともにヒト破傷風免疫グロブリン投与や破傷風トキソイドの接種を行う。
予防接種定期予防接種である沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・インフルエンザ菌b型混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)を、生後2-90か月に4回接種する。標準的には生後2-7か月で開始して3-8週間間隔で3回接種し、6か月から18か月の間隔をあけて1歳以降に1回追加接種する。さらに、11歳以上13歳未満で沈降ジフテリア・破傷風(DT)トキソイドの接種を1回、定期接種として行う。
登校(園)基準ヒトからヒトへは感染しないので、症状が回復したら登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-36.html
デング熱
概要蚊によって媒介される感染症である。中南米や東南アジアでみられていたが、世界中で増加し、2014年に日本でも70年ぶりの感染が確認された。
病原体デングウイルス1-4型
潜伏期間蚊におけるウイルス増殖には8-12日を要し、蚊は生涯(約1か月間)感染力を失わない。蚊に刺されてから発症までは3-14日。
感染経路ウイルスを保有するネッタイシマカ、ヒトスジシマカに刺されることで感染する。患者の血液に曝露すると感染する可能性があるが、通常、ヒトからヒトへの感染はない。ヒトの感染者は発症1-2日前から約7日、蚊に感染させる可能性がある。
症状発熱、頭痛、発疹、全身の筋肉痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐、白血球減少、血小板減少などを認める。発病4-5日後に、重症デング熱(デング出血熱、デングショック症候群)として、嘔吐、腹痛、粘膜出血、腹水・胸水、無気力・不穏、ショックを呈する場合がある。初回感染よりも、異なる型のウイルスによる2回目以降の再感染で重症化することがある。
診断法デングウイルスの抗原検査が2015年6月に健康保険の適応となった。それ以外にも、IgG、IgMの抗体検査、PCR法などが診断に使われている。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。アスピリンは出血傾向を助長するので使用しない。
感染拡大防止法蚊に刺されないように長袖、長ズボンを着用し、裸足でサンダルを履かないようにする。虫除け剤(ディート、イカリジン<ピカリジン>など)を使用する。
ヒトスジシマカは小さな水たまりに産卵するので、植木鉢の水受け皿や古タイヤなどを環境からなくし、水たまりを作らないようにする。
登校(園)基準症状が回復したら登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-37.html
ジカウイルス感染症
概要蚊によって媒介される感染症である。2015年にブラジルおよびコロンビアを含む南アメリカ大陸で大流行した。 
病原体ジカウイルス
潜伏期間3-12日
感染経路ウイルスを保有するネッタイシマカ、ヒトスジシマカに刺されることで感染する。血液や体液を介して感染する。また、母子感染も起こる
症状微熱、発疹、関節痛、結膜充血、筋肉痛、頭痛、目の後ろの痛み、めまい、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などがみられる。不顕性感染が約8割を占める。ギラン・バレー症候群、急性脊髄炎、髄膜脳炎を合併することもある。妊婦が感染すると、胎児が小頭症などを発症することがある。
診断法血液を用いた抗体検査やウイルス分離、ウイルス遺伝子の検出などでなされる。
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行なわれる。
感染拡大防止法蚊に刺されないように長袖、長ズボンを着用し、裸足でサンダルを履かないようにする。虫除け剤(ディート、イカリジン<ピカリジン>など)を使用する。
ヒトスジシマカは小さな水たまりに産卵するので、植木鉢の水受け皿や古タイヤなどを環境からなくし、水たまりを作らないようにする。
国立感染症研究所の「蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)」によると、流行地に滞在中-帰国後6か月は、コンドームを使用するか性行為を控えることが推奨されている。
登校(園)基準症状が回復したら登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-38.html
重症熱性血小板減少症候群
概要2011年に中国から発表されたダニ媒介性感染症である。2013年1月に日本でも海外渡航歴のないヒトの罹患が報告され、2024年10月現在、西日本を中心として1,050人の患者が報告され、115人が死亡している。最新情報は国立感染症研究所のURLから閲覧が可能である。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/sfts.html
病原体ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス
潜伏期間6-13日
感染経路ヒトは主にSFTSウイルス保有マダニに咬まれることにより感染するが、血液・体液を介し、患者から家族や医療従事者に感染することもある。
症状発熱、消化器症状(嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振など)が中心で、時に頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れ、呼吸不全、出血、白血球減少、血小板減少、肝機能異常、血尿、蛋白尿が認められる。意識障害などの神経症状が認められ、中国では致命率が6-30%と報告されている。
診断法保健所でのウイルス分離、DNA検査などで診断される
治療法有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。
感染拡大防止法マダニは野生動物のいる環境に多く生息しており、特に春から秋に活発に活動する。野外では肌の露出を少なくし、上着や作業着は家の中に持ち込まない、活動後はシャワーや入浴を行う。ダニに咬まれないようにする。咬まれた場合、無理に取り除こうとせず、医療機関で除去してもらう。
登校(園)基準症状が回復したら登校(園)可能である。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-39.html
子見出し通常出席停止の措置は必要ないと考えられる感染症
アタマジラミ症
概要頭皮に寄生し、頭皮に皮膚炎を起こす疾患である。児童に多い。衛生不良の指標ではない。
病原体アタマジラミ
潜伏期間産卵から孵化までは10-14日、成虫までは2週間
感染経路接触感染。家族内や集団の場での直接感染、あるいはタオル、クシ、帽子を介しての間接感染。
症状一般に無症状であるが、吸血部位にかゆみを訴えることがある。
診断法症状から診断される。
治療法薬局でシラミ駆除剤を購入して治療する。目の細かいクシで毎日丁寧に頭髪の根本から梳いて、シラミや卵を取り除く。毎日シャンプーをする。頭髪を短くする必要はない。
感染拡大防止法感染した子どもは、ほかの子どもと昼寝などで頭と頭が接しないように、布団を離すなど工夫する。
感染した子どもがいた場合、周囲の感染者を一斉に治療することが勧められる。頭髪をていねいに観察し、早期に虫卵を発見することが大切である。タオル、クシや帽子の共用を避ける。着衣、シーツ、枕カバー、帽子などは洗うか、熱処理(熱湯、アイロン、ドライクリーニング)する。
登校(園)基準適切な治療を行えば登校(園)やプールに制限はない。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-40.html
伝染性軟属腫(水いぼ)
概要特に幼児期に好発する皮膚疾患である。半球状に隆起し、光沢を帯び、中心に窪みをもつ粟粒大-米粒大(1-5mm)のいぼが、主にからだ、手足にできる。
病原体伝染性軟属腫ウイルス
潜伏期間2-7週、時に6か月まで
感染経路主として感染者への接触により直接感染するが、タオルの共用などによる間接感染も起こる
症状いぼ以外の症状はほとんどない。いぼの内容物が感染源となる。発生部位は体幹、四肢。特にわきの下、胸部、上腕内側などの間擦部では自家接種(引っ掻くことで感染を広げる)により多発する傾向がある。自然治癒まで6-12か月、時に4年程度かかることがある。
好発年齢幼児
診断法症状から診断される。
治療法自然治癒傾向があり放置してよい。しかし、自家接種や感染の伝播を防止するため、ピンセットでの摘出や液体窒素での除去など、積極的な治療が行われることもある。
感染拡大防止法病変部を衣類や包帯、絆創膏などで覆い、ほかの子どもへの感染を防ぐ。
プールの水では感染しないので、プールを禁止する必要はない。
多数の発疹のある者については、プールでタオル、浮輪などを共用しないよう、プール後はシャワーで肌をきれいに洗うよう指導する。
登校(園)基準制限はないが、浸出液がでている場合は被覆する。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-41.html
伝染性膿痂疹(とびひ)
概要紅斑、水疱、びらんおよび厚い痂皮(かさぶた)ができる疾患である。
病原体主として黄色ブドウ球菌や溶連菌
潜伏期間通常2-10日であるが、長期の場合もある。
感染経路
(好発時期)
接触感染。痂皮(かさぶた)にも感染性が残っている。
夏季に多い。
症状紅斑を伴う水疱や膿疱が破れてびらん、痂皮(かさぶた)をつくる。かゆみを伴うことがあり、病巣は擦過部に広がる。ブドウ球菌によるものは水疱をつくりやすく、溶連菌は痂皮(かさぶた)ができやすい。
好発年齢乳幼児
診断法症状から診断される。
治療法皮膚を清潔にする。病巣が広がると外用薬、さらに内服や点滴による抗菌薬投与を必要とすることがある。
感染拡大防止法皮膚を清潔に保つことが大切である。
病変部をガーゼなどで覆う、タオルなどの共用をしない。
プールの水で感染することはないが、発症した子どもはプールに入るとかき壊して悪化し、ほかの子どもに触れて感染させることもあるので、プールは控える。
登校(園)基準制限はない。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-42.html
疥癬(かいせん)
概要 ヒゼンダニが角層(皮膚の浅いところ)に寄生し、かゆみをともなう疾患で、保育所などでの集団感染が報告されている。
病原体ヒゼンダニ
潜伏期間4-6週
感染経路接触感染。手つなぎ、布団やリネン類の共用などで感染する。
症状手足を中心にかゆみの強い赤みのある発疹、小さな水疱、膿疱、線上に隆起した皮疹(疥癬トンネル)ができる。
診断法拡大鏡などで疥癬トンネルの先端のヒゼンダニを確認する。
治療法外用薬。体重15 kg以上には内服薬もある。
感染拡大防止法布団やリネン類の共用は避ける。手洗いを励行する。
登校(園)基準治療開始後であれば登校(園)は可。プールに入ってもかまわない。ただし、手をつなぐなどの遊戯・行為は避ける。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-43.html
蟯虫症
概要肛門や外陰部にかゆみを来たす疾患である。
病原体ヒトギョウチュウ
潜伏期間虫卵を摂取してから、妊娠したメスが肛門周囲にでてくるまで1-2か月、もしくはそれ以上。
感染経路汚染した手や、共用するおもちゃ、ベッド、衣類、トイレのシート、浴室などを介した経口感染。
感染期間虫卵に感染性があるのは、屋内環境で通常2-3週間。
症状肛門や外陰部のかゆみだが、無症状のことも。落ち着きがなくなるため、注意欠如・多動症(ADHD)と誤解されることもある。時に尿道炎、膣炎、卵管炎、骨盤腹膜炎の原因になる。
好発年齢就学前や学童期、子どもの世話をする人、集団保育または生活している人
診断法起床後に透明な粘着テープを肛門部に付着させ、虫卵を採取し、顕鏡により診断する。
治療法パモ酸ピランテルなど。1回投与し、2週間後に再投与する。
感染拡大防止法感染した場合は、朝入浴する。下着やパジャマ、シーツをこまめに取替え、再感染も予防する。食事前の手洗い、爪を短くする、肛門周囲をかく、爪をかむのをやめるなど。
登校(園)基準制限はない。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-44.html
ヒトパピローマウイルス感染症
概要子宮頚がん、尖圭コンジローマ、尋常性ゆうぜい(いぼ)、若年性反復性呼吸器乳頭腫症などの原因となる。
病原体ヒトパピローマウイルス
潜伏期間不明であるが、3か月から数年と推定されている。新生児の感染では数年。
肛門・性器、中咽頭のがんの場合は数年から10年以上。
感染経路濃厚な接触により感染。
肛門・性器の感染は、性経験のある女性であれば50%以上は生涯で一度は感染するとされている。また、母子感染もある。
症状
子宮頚がん
#bordernone
20-30歳代から増加するがんで、日本での罹患率および死亡率は増加傾向にあり、年間約11,000人が発症し約2,900人が死亡している。
ごく初期のがんを除いては子宮摘出を要する可能性がある。
原因のほとんどがヒトパピローマウイルスである。
尖圭コンジローマ
#bordernone
男性では陰茎、陰嚢、肛門やその周囲に、女性では外陰や肛門周囲に多い。表面はカリフラワー様を呈し、大きさは2-3 mmから数cmにおよぶ。
かゆみ、熱感、局所痛や出血を来たす。
尋常性ゆうぜい
#bordernone
手や足、爪周囲、爪床に多発するいぼ
若年反復性呼吸器
乳頭腫
#bordernone
喉頭などの上気道に生じる。多くは2-5歳で診断され、声の変化や喘鳴などがみられ、気道閉塞の原因となることもある。
治療法ウイルスに対する治療法はなく、子宮頸がんであれば病変部の切除、子宮摘出などが必要となる。
予防接種ヒトパピローマウイルスワクチンは定期接種(女性)であり、子宮頚がんとその前駆病変、尖圭コンジローマなどの予防が可能である。2013年4月の定期接種化後にワクチンと無関係と言い切れない持続的な痛み等が報告されたため、2013年6月から個別に予診票を送るなどの接種勧奨(積極的勧奨)が差し控えられていた。その後、子宮頸がんを予防できるという有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたため、2021年11月26日に積極的勧奨の再開が決定した。2022年4月から個別の勧奨が再開するとともに、接種が完了していない平成9年4月2日から平成21年4月1日までの間に生まれた女性へのキャッチアップ接種がなされている。
登校(園)基準制限はない。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-45.html
ヒトT細胞白血病ウイルス1型感染症
概要キャリアの約95%は無症状であるが、一部に成人T細胞白血病・リンパ腫(4-5%)、脊髄症(0.3%)、ぶどう膜炎(眼)が生じることがある。日本では九州・沖縄地方を含む南西日本に多くみられる。
HTLV-1の基礎知識と最新情報は以下のURLから閲覧が可能である。https://htlv1.jp/ 
病原体ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)
潜伏期間成人T細胞白血病は40年以上、脊髄症、ぶどう膜炎は数年以上
感染経路母子感染(主に母乳感染で6か月以上の授乳にて15-20%、そのほかの感染経路、例えば経胎盤感染の詳細は不明)、血液・体液感染(特に男性から女性への性感染)
症状
ヒトT細胞
白血病・リンパ腫
#bordernone
母子感染によるキャリアの4-5%に発症する白血病・リンパ腫で、男性にやや多く、
発症年齢の中央値は67歳。リンパ節腫脹、肝脾腫、皮膚病変、易感染性がみられる。抗がん剤などで治療されるが、治療成績は不良である。
HTLV-1関連脊髄症
#bordernone
キャリアの0.3%に発症する慢性進行性の脊髄まひ。女性に多く、歩行障害やしびれのほか、排尿や排便が困難となることもある。
HTLV-1関連
ぶどう膜炎
#bordernone
女性に多く、多くは成人発症であるが、子どもで発症することもある。飛蚊症(目の前に虫やごみが飛んでいるように見える)、目の霞みが生じ、充血、視力低下から、稀に失明することもある。
診断法血液の抗体検査で診断する。また、2011年から妊婦健診でのスクリーニングも開始された。
治療法ウイルスに対する治療法はなく、発症した疾患に応じた治療を行う。
感染拡大防止法感染している児から、施設内の集団生活で感染することはない。
キャリア妊婦には完全人工栄養を推奨する。母乳を強く希望する場合には、凍結母乳栄養、短期(90日以内)母乳栄養も検討する。
性感染は避妊具によってリスクを下げることができる。
登校(園)基準制限はない。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-46.html
ヒト免疫不全ウイルス感染症
概要後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因となるウイルスで、1985-2023年の日本での新規感染者及びAIDS患者数は累計で3万人を超えている。また、2023年世界中で感染者は約3,990万人、年間約130万人の新規感染者と約63万人のAIDSによる死亡者が発生している。
公益財団法人エイズ予防財団の「これだけは知っておきたいHIVエイズの基礎知識」は、以下のURLから閲覧が可能である。https://www.jfap.or.jp/aboutHiv/basicKnowledge.html
病原体ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
潜伏期間母子感染では無治療の場合、平均12-18か月でAIDSを発症する。血液・体液感染(性感染)では無症状期が通常5年以上(近年、短縮傾向にある)。
感染経路血液・産道感染、母子感染(胎盤、産道、母乳感染)
症状HIVの感染2-3週間後にウイルス血症は急速にピークに達し、発熱、咽頭痛、筋肉痛、皮疹、リンパ節腫脹、頭痛などのインフルエンザあるいは伝染性単核球症様の症状が出現することがある。初期症状は数日から10週間程度続き、多くの場合自然に軽快する。その後、数-10年の無症候期の後、発熱、倦怠感、リンパ節腫脹などが出現し、肝炎や、帯状疱疹、単純ヘルペスウイルス感染症、結核、口腔カンジダ症などを反復する。さらに進行すると悪性リンパ腫や脳症もみられる。
診断法血液を用いて抗体、抗原検査やPCR検査が行われるが、感染3か月以内は抗体検査で陰性となることに注意する。妊婦健診でのスクリーニング検査も行われている。
治療法複数の抗ウイルス薬の併用が行われている。感染後、早期に治療を開始し、長期に継続することが推奨されている。
感染拡大防止法HIV感染をしている子どもがいても日常のおむつ交換やプールで感染することはない。従って集団生活の場においては、感染している子どもを特定するのではなく、血液に触れる場合は使い捨て手袋を着用するなど標準予防策をしっかりと行うことが望ましい。母が感染している場合は、母が抗ウイルス療法を受けることや、予定帝王切開で分娩することや、完全人工栄養で育てること、子どもへの短期抗ウイルス療法を行うことによって、感染リスクは減る。
登校(園)基準制限はない。
リンク/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-47.html

参考文献

  • 1. Red Book 2024-2027, 33rd edition. American Academy of Pediatrics.
  • 2. Feign and Cherry’s Textbook of Pediatric Infectious Disease, 7th edition.
  • 3. Nelson Textbook of Pediatrics, 22th edition.
  • 4. Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases, 14th edition.
  • 5. 厚生労働省ホームページ
    http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/(参照2025-3-21)
  • 6. 国立感染症研究所ホームページ
    https://www.niid.jihs.go.jp/index.html(参照20225-3-21)
  • 7. 日本小児科学会ホームページhttp://www.jpeds.or.jp/(参照 2025-3-21)
  • 8. 学校において予防すべき感染症の解説.文部科学省.平成 30 年 3 月.
  • 9. 保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版<2023(令和 5)年 10 月一部修正>),こども家庭庁.
  • 10. 平成 28 年度厚生労働科学研究費補助金「成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業」 H28-健やか-一般-002「保育所等における感染症対策に関する研究」報告書,研究代表者 細矢光亮.
  • 11. 予防接種ガイドライン,2024 年度版.予防接種ガイドライン等検討委員会.
  • 12. 2024 予防接種に関する Q&A 集.第 24 版.岡部信彦,多屋馨子.一般社団法人日本ワクチン産業協会
  • 13. 日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」(日本版 Vaccine Information Statement).日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会
  • 14. 蚊媒介感染症診療ガイドライン.第 5 版.国立感染症研究所
  • 15. 海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019.日本渡航医学会 海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019 作成委員会.
  • 16. 皮膚の学校感染症について.日本臨床皮膚科医会・日本子ども皮膚科学会.平成 25 年 5 月.
  • 17. 保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドライン.厚生労働省、集団生活の場における肝炎ウイルス感染予防ガイドラインの作成のための研究班.平成 26 年 3 月.
  • 18. 新型コロナウイルス感染症診療の手引き.第 10.1 版.令和 6 年 4 月.
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