髄膜炎菌性髄膜炎(侵襲性髄膜炎菌感染症)
| 第二種感染症 | |
|---|---|
| 空気感染または飛沫感染するもので、児童生徒等の罹患が多く、学校において流行を広げる可能性が高い感染症を規定している。出席停止期間の基準は、感染症ごとに個別に定められている。ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではない。 | |
| 新型コロナウイルス感染症(コロナウイルス感染症2019) | |
| 概要 | 2019年12月、中国武漢市において確認されて以降、世界に広がりパンデミックを起こした。最新情報は厚生労働省のURLから閲覧が可能である。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html |
| 病原体 | SARSコロナウイルス2 |
| 潜伏期間 | 1-7日(中央値2-3日) |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染。エアロゾル(飛沫よりさらに小さな水分を含んだ状態の粒子)感染の可能性も示唆されている。 |
| 症状 | 小児は無症状者や軽症が多いとされていたが、オミクロン株が流行するようになって、発熱、咽頭痛を訴える小児が増加し、また熱性けいれんやクループ(犬が吠えるような咳嗽、嗄声、吸気性喘鳴)を呈す例も増加した。基礎疾患のある場合は重症化のリスクがあるとされている。 |
| 診断法 | 鼻咽頭ぬぐい液、唾液、痰などを用いたPCR検査、抗原検査(定量検査、定性検査)がなされている。学校等に抗原定性キットが配布され、市販もされているが、無症状者に対する検査は信頼性が低く推奨されていない。 |
| 治療法 | 小児は基本的に対症療法が行われる。基礎疾患がある場合、年長児では重症化予防として抗体治療が保険適用のこともあるが、その有効性は流行株に依存する。また、重症化リスクを有する小児では抗ウイルス薬(レムデシビル、12歳以上かつ体重40 kg以上ではニルマトレルビル/リトナビル)が使用可能であり、重症例にはデキサメタゾンなどが使用される。 |
| 予防接種 | 日本では任意接種であるが、生後6か月以上の小児へのワクチン接種がなされている。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として、マスク(着用が可能な場合)や手洗いなどの一般的な予防法を励行する。エアロゾル感染対策として、3つの密(密閉空間、密集場所、密接場面)の回避や、人と人との距離の確保、常時またはこまめに(30 分に1回以上、数分間程度、窓を全開する)換気を行う等の基本的な感染対策を徹底することが重要である。学校や保育所における新型コロナウイルス感染症に対する感染予防策の最新情報は、文部科学省のURLから閲覧が可能である。 https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/ |
| 登校(園)基準 | 発症日から5日間経過し、かつ、症状軽快から24時間経過した後。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-01.html |
| インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く) | |
| 概要 | 急激に発病し、流行は爆発的で短期間内に広がる感染症である。しばしば変異(型変わり)を繰り返してきた歴史があり、今後とも注意を要する。合併症として、肺炎、脳症、中耳炎、心筋炎、筋炎などがある。特に乳幼児、高齢者などが重症になりやすい。 |
| 病原体 | 流行を起こすインフルエンザウイルスにはA(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型(香港型)、B型があり、2009年にはA(H1N1)pdm09による世界的流行(パンデミック)が起こった。B型山形系統は2020年3月以降世界的に検出されていない。 |
| 潜伏期間 | 1-4日(平均2日) |
| 感染経路 | 患者の咳、鼻汁からの飛沫感染によるが、接触感染もある。空気感染の可能性については議論がある。 |
| 感染期間 | 発熱1日前から3日目をピークとし、7日目ころまで。しかし低年齢患児では長引く。 |
| 症状 | 悪寒、頭痛、高熱(39-40℃)で発病する。頭痛とともに咳、鼻汁で始まる場合もある。全身症状は、倦怠感、頭痛、腰痛、筋肉痛などである。呼吸器症状は咽頭痛、鼻汁、鼻づまりがみられる。消化器症状は、嘔吐、下痢、腹痛がみられる。脳症を併発した場合は、けいれんや意識障害を来し、死に至る場合や、救命しえても精神運動遅滞の後遺症を残すことがある。また、異常行動があらわれることもあり、抗ウイルス薬のオセルタミビルとの関連が疑われたこともあったが、その後の調査にて、この症状は抗ウイルス薬の有無、種類にかかわらず生じていることが判明した。このためインフルエンザ罹患時は抗ウイルス薬投与の有無にかかわらず異常行動の出現に注意しながらの見守りが必要である。 |
| 診断法 | 鼻咽頭ぬぐい液を用いた抗原の迅速診断キットがあり、発症翌日が最も検出率に優れているが、それでも偽陰性を示すことは少なくないため、臨床診断を優先する場合がある。 |
| 治療法 | 抗ウイルス薬(オセルタミビルなど)を発症48時間以内に投与すると解熱までの期間を1-1.5日短縮することが期待できるが、複数の耐性ウイルスも報告されている。解熱薬のアスピリンはライ症候群(急性脳症)の発症を高める可能性があり、また、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸は、インフルエンザ脳症の場合の致命率を高める可能性が示唆されているため、投与するのであればアセトアミノフェンを選択する。 |
| 予防接種 | インフルエンザワクチンの接種が有効である。任意接種であるが、生後6か月から接種可能(経鼻生インフルエンザワクチンは2歳から19歳未満)で、感染予防効果は流行株により変わるが、重症化の予防効果が期待されている。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染対策として、マスクや手洗いなどの一般的な予防法を励行する。流行期に発熱と咳が生じた場合は欠席し、安静と栄養をとるとともに、全身状態が悪い場合は病院を受診する。罹患者は咳を介して感染を拡大しないように、外出を控え、必要に応じてマスクをする。また、流行時には臨時休校も拡大予防として有効である。 |
| 登校(園)基準 | 学校保健安全法では、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで。幼児においては、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで」が、出席停止の目安とされている。抗ウイルス薬によって早期に解熱した場合も感染力は残るため、発症5日を経過するまでは欠席が望ましく、咳嗽や鼻汁が続き、感染力が強いと考えられる場合は、さらに長期に及ぶ場合もある。ただし、病状により学校医そのほかの医師において感染の恐れがないと認められた場合は、その限りではない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-02.html |
| 百日咳 | |
| 概要 | コンコンと咳き込んだ後、ヒューという笛を吹くような音を立てて息を吸う、特有な咳が特徴で、連続性・発作性の咳が長期にわたって続く。生後3か月未満の乳児では呼吸ができなくなる発作(無呼吸作)、肺炎、中耳炎、脳症などの合併症も起こりやすく、命にかかわることがある。 |
| 病原体 | 百日咳菌 |
| 潜伏期間 | 主に7-10日(5-21日) |
| 感染経路 (始発時期) | 飛沫感染、接触感染。 1年を通じて存在する病気であるが春季から夏季に多い。 |
| 感染期間 | 咳が出現してから、4週目ころまで。抗菌薬開始後5日程度で感染力は弱くなる。 |
| 症状 | 病初期からしつこい咳が特徴で、発熱することはあまりない。年齢が低いほど症状は重く、前述の特徴的な咳が出始め、咳のために眠れない、また顔が腫れることもある。回復するのに2-3週間から数か月もかかることがある。幼児期後半以降の罹患では症状は軽くなり、上記のような典型的な症状を示す場合は少なく、小学生になると咳のしつこいかぜに思われることも少なくない。 |
| 好発年齢 | ワクチン未接種、あるいは未完了の乳幼児期が罹患すると重症化しやすい。国内の最近のデータでは学童期から10歳代前半に多く、また成人の発症も増えている。 |
| 診断法 | 症状から診断されることが多かったが、鼻腔ぬぐい液から百日咳菌のDNAを検出する検査および迅速診断キットを用いた抗原検査が健康保険の適応となった。抗体検査も可能である。 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| 予防接種 | 定期予防接種によって、生後2-90か月に沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・インフルエンザ菌b型ワクチン(DPT-IPV-Hib)を4回接種する。標準的には生後2-7か月で開始して3-8週間間隔で3回接種し、6か月から18か月の間隔をあけて1歳以降に1回追加接種する。しかし、最近の調査によると、就学前児の百日咳抗体価が低下していること、百日咳患者は5歳から10歳代前半に多いことが分かってきた。これを受けて日本小児科学会は、任意接種として、就学前の3種混合ワクチン(DPT)の接種を、また11歳以上13歳未満での2種混合ワクチン(DT)の代わりに3種混合ワクチンの接種を推奨している。 |
| 感染拡大防止法 | 米国小児科学会では百日咳患者との濃厚接触者に対して、感染拡大防止のために抗菌薬の予防投与を推奨している(日本では、この目的での抗菌薬の使用に健康保険の適応はない)。 |
| 登校(園)基準 | 特有な咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまでは出席停止とする。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-03.html |
| 麻疹(はしか) | |
| 概要 | 発熱、咳、鼻水などの上気道の症状や特有な発疹の出る感染力の強い疾患である。肺炎、中耳炎、喉頭炎(クループ)、脳炎などを合併することもまれではない。ごくまれに罹患から数年後に発症する亜急性硬化性全脳炎といわれる致死的な脳炎の原因になることがある。日本は、2015年3月に世界保健機関西太平洋地域麻疹排除認証委員会より「排除」が認定された。ただし、近年は海外からの輸入例が契機となって感染が広がることが多い。 |
| 病原体 | 麻疹ウイルス |
| 潜伏期間 | 平均11-12日(7-18日) |
| 感染経路 | 空気感染、飛沫感染、接触感染。感染力が最も強いのは、発疹出現前の咳や鼻水、目の充血などが出ているころ(カタル期)であるが、発疹出現後、色素沈着に至る頃までは周りへの感染力がある。 |
| 感染期間 | 発疹出現前4日から発疹出現後4日 |
| 症状 | 臨床的に、カタル期、発疹期、回復期に分けられる。発熱とともに目の充血、涙や眼脂(めやに)が多くなり、咳、鼻汁などの症状が見られる。口内の頬粘膜にコプリック斑という特徴的な白い斑点(粘膜疹)が見られるのが早期診断のポイントである。熱がいったん下がりかけ、再び高熱が出てきた時に紅斑(赤い発疹)が生じて発疹期になる。発疹は耳の後ろから顔面にかけて出始め、身体全体に広がる。発疹が消えた後に褐色の色素沈着が残るのが特徴である。発熱は発疹出現後さらに3-4日持続し、通常7-9日の経過で回復するが、重症な経過をとることもあり、急性脳炎は発症1,000人に1-2人の頻度で生じ、脳炎や肺炎を合併すると生命の危険や後遺症の恐れもある。 |
| 好発年齢 | ワクチン未接種、1回接種、接種歴不明の20-30歳代の成人、乳児を中心とした発症がみられている。海外からの輸入例が契機となって感染が広がることが多い。 |
| 診断法 | 臨床診断した場合、すぐに保健所に届け出て、保健所を通して、地方衛生研究所などで発疹出現後7日以内の血液、咽頭ぬぐい液、尿の3点セットによるPCR検査やウイルス分離を行う。抗体検査は医療機関あるいは民間の検査センターにて同時並行で行う。IgM抗体の検査は、早すぎると陽性になっていない場合があることから、発疹出現後4-28日に実施することが望ましい。急性期と回復期の2回の採血によるペア血清でIgG抗体の陽転あるいは有意上昇で診断することもある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | 日本では、2006年度から弱毒生麻しん風しん混合(MR)ワクチンにより、1歳時に第1期接種、小学校入学前1年間(年長児)に第2期定期接種が行われるが、成人には未接種者や1回接種者が少なくない。日本小児科学会は、定期接種対象者を最優先とし、加えて、規定の2回の定期接種を完了していない未成年者、乳児を持つ両親やその同居家族、免疫低下者など接種不適当者の児を持つ両親やその同居家族、妊婦の同居家族、医療関係者(事務職員や救急隊員を含む)、保育関係者、教育関係者、海外渡航を予定している者への任意のMRワクチン接種を推奨している。 |
| 感染拡大防止法 | 空気感染であるため、集団の場では、1人の発症があった場合、速やかに同じ空間にいたほかの子どもに対して、かかったことがあるか、予防接種を受けているかを聴取する。かかったことがなく、ワクチン未接種あるいは1回接種、接種歴不明の場合、患者との接触後、72時間以内であればワクチン接種によって発症の阻止、あるいは症状の軽減が期待できる。たとえ接触から72時間を過ぎていても、発症者との接触で発症した患者からのさらなる感染(3次感染)を予防するために、ワクチン接種が行われる場合もある。乳児は定期接種の対象年齢に至っていないが、生後6か月以上であれば、緊急避難的にワクチン接種を検討することも一案である。接触から72時間を超え、6日以内であればγグロブリンによって、症状の軽減をはかることもできるが、血液製剤であることを考慮する必要がある。 |
| 登校(園)基準 | 発疹に伴う発熱が解熱した後3日を経過するまでは出席停止とする。ただし、病状により感染力が強いと認められたときは、さらに長期に及ぶ場合もある。 米国小児科学会では発疹出現4日後までを隔離の目安としている。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-04.html |
| 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | |
| 概要 | 耳下腺が急に腫れてくることを特徴とする疾患である。合併症としては無菌性髄膜炎が多く、また不可逆的な難聴の原因としても注意すべき疾患である。成人の罹患では精巣炎、卵巣炎などの合併がある。日本耳鼻咽喉科学会の調査では2015-2016年に少なくとも348人がおたふくかぜによる難聴となり、300人近くに後遺症が残ったと報告されている。 |
| 病原体 | ムンプスウイルス |
| 潜伏期間 | 主に16-18日(12-25日) |
| 感染経路 (始発時期) | 飛沫感染、接触感染。 春季から夏季に多い。 |
| 感染期間 | 感染のおこりやすい期間は耳下腺腫脹の1-2日前から腫脹5日ころまでである。しかしながら、唾液中には、腫脹7日前から9日後までウイルスが検出されるので、この期間は感染源となりえる。 |
| 症状 | 全身の感染症だが唾液腺、特に耳下腺の腫脹が主症状である。腫れは2-3日でピークに達し、3-7日間、長くても10日間で消える。痛みを伴い、酸っぱいものを飲食すると強くなる。また、10-100人に1人が無菌性髄膜炎を、500-1,000人に1人が回復不能な難聴(主に片側)を、3,000-5,000人に1人が急性脳炎を併発する。不顕性感染もある。 |
| 好発年齢 | 幼児から学童 |
| 診断法 | 症状から診断されるが、確定のためには血液での抗体検査。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | 多くの先進国で2回の予防接種が行われている。日本では任意接種であるが、日本小児科学会は2回の予防接種を推奨している。ワクチンによる無菌性髄膜炎の発症は、2020-2023年の被接種者を対象とした全国調査では10万接種あたり13.4と自然感染時に比べ低かった。ワクチン未接種(あるいは不明の場合)でかかったことのない者には職員も含め合計2回の予防接種を勧める。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として一般の予防法を励行するが、不顕性感染の割合が高いうえ、その場合でも唾液中にウイルスが排出されており、発症者の隔離では流行を阻止することはできない。 |
| 登校(園)基準 | 耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫張が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好となるまで出席停止とする。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-05.html |
| 風疹 | |
| 概要 | 日本において、2012-2013年にワクチン未接種の成人男性を中心に約17,000人、2018-2019年に同じくワクチン未接種の成人男性を中心に約5,000人の流行があった。淡紅色の発疹、発熱、リンパ節の腫脹を主な症状、徴候とする疾患である。脳炎、血小板減少性紫斑病、関節炎などの合併症がみられることがあり、特に妊娠20週ころまでにかかると出生児に先天性風疹症候群と呼ばれる先天異常が生じることがあり(例えば妊娠1か月以内の感染では50%以上の頻度とされている)、2012-2014年に45人、2019-2021年までに6人の発症がみられた。 |
| 病原体 | 風疹ウイルス |
| 潜伏期間 | 主に16-18日(14-21日) |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染、母子感染(胎内感染) |
| 感染期間 | 発疹出現7日前から発疹出現7日目ころまで。 |
| 症状 | 発熱と同日あるいは発熱から数日後に発疹に気付く疾患である。発熱は麻疹ほどには顕著ではないが、淡紅色の発疹が全身に出現する。発疹が消えた後には麻疹のような褐色の色素沈着は残らない。リンパ節の腫れは特に頚部、耳の後ろの部分にみられる。発熱は一般に軽度で、気付かないこともある。3,000人に1人の頻度で血小板減少性紫斑病を、6,000人に1人の頻度で急性脳炎を合併する。妊婦の感染により、胎児が、耳、眼、心臓の異常や精神運動発達遅滞を伴う先天性風疹症候群を発症することがある。 |
| 好発年齢 | 近年、日本では予防接種率の上昇にともない小児患者は減少しているが、40-50歳代の男性の約20%は、風疹に対する十分な免疫がないとされている。 |
| 診断法 | 臨床診断した場合、すぐに保健所に届け出て、保健所を通して、地方衛生研究所などで発疹出現後7日以内の血液、咽頭ぬぐい液、尿によるPCR検査やウイルス分離を行う。同時並行して医療機関などで発疹出現後4-28日に血液検査(IgM抗体)を行う。急性期と回復期の2回の採血でIgG抗体の陽転あるいは有意上昇で診断することもある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 予防接種 | 日本では、2006年度から弱毒生麻しん風しん混合(MR)ワクチンにより、1歳時に第1期接種、小学校入学前1年間(年長児)に第2期定期接種が導入され2回接種が行われるようになったが、成人には未接種者や1回接種者が少なくはない。日本小児科学会は、定期接種対象者を最優先とし、加えて、規定の2回の定期接種を完了していない未成年者、乳児を持つ両親やその同居家族、免疫低下者など接種不適当者の児を持つ両親やその同居家族、妊婦の同居家族、医療関係者(事務職員や救急隊員を含む)、保育関係者、教育関係者、海外渡航を予定している者への任意のMRワクチン接種を推奨している。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として一般の予防方法を励行する。妊婦への感染防止も重要であり、発症者がでた場合は、保護者に知らせる必要がある。また、かかったことがなく、ワクチン未接種もしくは1回接種の妊娠している職員は、直ちに風疹に対するIgG抗体検査を行い、陰性あるいは抗体価が低い場合は、施設内での流行が終息するまで休ませる等の配慮が望まれる。 |
| 登校(園)基準 | 発疹が消失するまで出席停止とする(米国小児科学会では発疹出現6日後までを隔離の目安としている)。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-06.html |
| 水痘(みずぼうそう) | |
| 概要 | 紅斑(赤い発疹)、丘疹(盛り上がりのある発疹)、水疱、膿疱(膿みをもった水疱)、痂皮(かさぶた)の順に進行する発疹が出現し、同時に各病期の発疹が混在する伝染性の強い感染症である。時に皮膚や皮膚の下の軟部組織の細菌感染、肺炎、脳炎、肝炎、ライ症候群(急性脳症)などを合併することもある。 |
| 病原体 | 水痘・帯状疱疹ウイルス。初感染では水痘の症状を示すが、治ったあとウイルスが知覚神経節に潜伏し、免疫状態が低下した時に神経の支配領域に沿って小水疱が生じる帯状疱疹として発症することがある。 |
| 潜伏期間 | 主に14-16日(10-21日) |
| 感染経路 | 空気感染、飛沫感染、接触感染、母子感染(胎内感染)。飛沫(しぶき)や膿疱・水疱中にウイルスが存在する。かさぶたの中には感染性のあるウイルスはいないため、感染源とはならない。 |
| 感染期間 | 発疹出現1-2日前から全ての発疹が痂皮(かさぶた)になるまで。 |
| 症状 | 発疹はからだと首のあたりから顔面に生じやすく、発熱しない例もある。発疹はかゆみや疼痛を訴えることもある。まれに脳炎や、アスピリンとの併用によってライ症候群を併発する場合がある。白血病や免疫抑制治療を受けている児では、重症化して死に至ることもある。成人、特に妊婦の感染は重症化しやすい。 妊娠初期の感染によって、胎児に先天性水痘症候群という低出生体重、四肢低形成、皮膚瘢痕などを伴う先天異常をおこし、分娩前5日-分娩後2日の感染によって新生児に致死的な重症水痘が生じることもある。ワクチンが定期接種となる以前、日本では年間約100万人が水痘にかかり、約4,000人が重症化から入院し、約20人が死亡していた。 |
| 好発年齢 | ワクチンの定期接種化によって幼児の発症は減少しているが、定期の対象年齢外であった世代に未接種者が多く、患者との接触により発症する可能性がある。 |
| 診断法 | 症状から診断されるが、確定のためには血液での抗体検査や、水疱、膿疱の内容物またはびらん、潰瘍のぬぐい液を用いた抗原検査、PCR検査ができる。 |
| 治療法 | 抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル) |
| 予防接種 | 日本では2014年10月より、1歳以上3歳未満児に対して定期接種となり、2回の接種がなされている。3歳以上においても日本小児科学会は2回の予防接種を推奨している。定期接種対象年齢外でも任意で予防接種が受けられるため、ワクチン未接種(あるいは不明の場合)でかかったことのない者には職員を含め合計2回の予防接種を勧める。 |
| 感染拡大防止法 | 空気感染であるため、集団の場では、1人の発症があった場合、速やかにほかの子どもに対して、かかったことがあるか、予防接種はしているかを聴取する。患者との接触後、72時間以内であればワクチンによって発症の阻止、あるいは症状の軽減が期待できる。妊婦への感染防止も重要であるため、保護者に知らせる必要がある。また、かかったことがなく、ワクチン未接種の妊娠している職員は、施設内での流行が終息するまで休ませる配慮が望まれる。 |
| 登校(園)基準 | すべての発疹が痂皮(かさぶた)になるまで出席停止とする(米国小児科学会では水疱出現6日後までを隔離の目安としており、免疫が低下している人との接触はさらに長期間避けることが推奨されている)。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-07.html |
| 咽頭結膜熱 | |
| 概要 | 発熱、結膜炎、咽頭炎を主症状とする疾患である。プールを介して流行することが多いのでプール熱とも呼ばれることがあるが、塩素消毒が不十分なプールの水を介した感染よりも、飛抹感染、接触感染によって感染することが多い。 |
| 病原体 | アデノウイルス |
| 潜伏期間 | 2-14日 |
| 感染経路 (始発時期) | 接触感染、飛沫感染。また、プールでの感染もある。 夏季に多い。 |
| 感染期間 | ウイルス排出は初期数日が最も多いが、その後、数か月、排泄が続くこともある。 |
| 症状 | 高熱(39-40℃)、咽頭痛、頭痛、食欲不振を訴え、これらの症状が3-7日間続く。咽頭発赤、頚部・後頭部リンパ節の腫脹と圧痛を認めることもある。眼の症状としては、結膜充血、涙が多くなる、まぶしがる、眼脂(めやに)などである。 |
| 好発年齢 | 幼児から学童 |
| 診断法 | 症状から診断されるが、アデノウイルス抗原の迅速診断キットなどがある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染、接触感染対策として、排便後またはおむつ交換後の手洗いは石鹸を用いて流水で丁寧に行う。プール前後のシャワーの励行、タオルを共用しないなどの一般的な予防法が大切である。 |
| 登校(園)基準 | アデノウイルス感染症のうち、咽頭結膜熱と診断された場合は、発熱、咽頭炎、結膜炎などの主要症状が消失した後2日を経過するまで出席停止とする。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-08.html |
| 結核 | |
| 概要 | 全身の感染症であるが、呼吸器に病変をおこすことが多い。乳幼児では家族内感染が多く、大部分が初感染結核である。日本は結核中蔓延国であったが、2022年より結核低蔓延国となった。 |
| 病原体 | 結核菌 |
| 潜伏期間 | 2年以内、特に6か月以内が多い。数十年経って、発症することもある。 |
| 感染経路 | 主として空気感染 |
| 感染期間 | 喀痰の塗抹検査で陽性の間 |
| 症状 | |
| 初感染結核 #bordernone | 結核菌が気道から肺胞に定着すれば初感染病巣が成立し、初感染結核といわれる。初期には無症状である。発熱、咳、疲れやすい、食欲不振、顔色が悪いなどの症状があっても非特異的で気付かれにくいのが特徴である。 |
| 粟粒結核 #bordernone | 肺門リンパ節などの病変が進行して菌が全身に散布された病型で、発熱、咳、呼吸困難、チアノーゼなどが認められる。乳幼児に多くみられる重症型である。 |
| 結核性髄膜炎 #bordernone | 結核菌が血流に乗って脳・脊髄を覆う髄膜に到達して発症する。高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどがみられる最重症型である。一命をとりとめても後遺症を残す恐れがある。 |
| 二次結核 #bordernone | 初感染病巣からほかの肺の部分に広がり、病巣を形成した病型である。思春期以降や成人に多く見られる。疲れやすい、微熱、寝汗、咳などの症状がでる。 |
| 潜在性結核 感染症 #bordernone | 結核菌に感染しており、後述の検査で陽性を示すが、症状がないことがある。免疫が低下した場合に発症することがあるため、治療の対象となる場合がある。 |
| 診断法 | ツベルクリン反応やインターフェロン-γ産生試験。活動性結核の診断には胸部X線検査や菌検査(塗抹検査、培養検査、PCR検査)を行う。 |
| 治療法 | 抗結核薬を使用するが、近年、薬剤耐性菌が増加している。 |
| 予防接種 | BCGワクチンは、乳児の重症化予防には有用とされている。定期接種では対象は生後12か月までとなっているが、標準的には生後5か月-8か月未満の接種が勧められている。 |
| 登校(園)基準 | 病状により学校医そのほかの医師において感染のおそれがないと認められるまで(目安として3日連続で喀痰または早朝空腹時の胃液の塗抹検査が陰性となるまで)出席停止とする。それ以降は、抗結核薬による治療中であっても登校(園)は可能。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-09.html |
| 髄膜炎菌性髄膜炎(侵襲性髄膜炎菌感染症) | |
| 概要 | 発熱、頭痛、嘔吐を主症状とする。抗菌薬の発達した現在においても、発症した場合は、後遺症を残す、もしくは死にいたることもある。日本でも学生寮などで患者発生があり、2011年と2017年には死亡例も報告された。 |
| 病原体 | 髄膜炎菌 |
| 潜伏期間 | 主に4日以内(1-10日) |
| 感染経路 | 飛沫感染。 家庭内や幼稚園、保育所での接触も高リスクとなる。また、無脾症や補体欠損などの基礎疾患がある人は発症の危険性が高い。有効な治療を開始して24時間経過するまでは感染源となる。 |
| 症状 | 発熱、頭痛、意識障害が生じる。発症数時間で点状出血や紫斑ができ、同部位に障がいを引き起こすことがある。 また、細菌が血液中に流出して生じる敗血症・菌血症も生じることがあり、その劇症型であるWaterhouse-Friderichsen症候群では播種性血管内凝固症候群(全身の出血傾向)、副腎出血を来し急速に進行する。この場合、致命率は約10%、回復した場合でも10-20%に聴覚障害、まひ、てんかんなどの後遺症が残る。 |
| 好発年齢 | 3-5か月と16歳以上の2つのピークがある。 |
| 診断法 | 髄液や血液からの菌の分離 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| 予防接種 | 日本小児科学会は、①髄膜炎菌感染症流行地域へ渡航する2歳以上の者、②ハイリスク患者(補体欠損症・無脾症もしくは脾臓機能不全、ヒト免疫不全ウイルス感染症)、 ③エクリズマブ、ラブリズマブ、スチムリマブ、ペグセタコプラン、ジルコプランナトリウム、ダニコプラン、クロバリマブ又はイプタコパン塩酸塩水和物治療患者(発作性夜間ヘモグロビン尿症、非典型溶血性尿毒症症候群、全身型重症筋無力症、寒冷凝集素症)、④学校の寮などで集団生活を送る者には4価髄膜炎菌ワクチン接種による予防を推奨している。日本では2015年から任意予防接種ができるようになった。なお、発作性夜間血色素尿症などの治療薬としてエクリズマブ、ラブリズマブ、スチムリマブ、ペグセタコプラン、ジルコプランナトリウム、ダニコプラン、クロバリマブ又はイプタコパン塩酸塩水和物を用いる場合は、原則、髄膜炎菌ワクチンを接種する(この場合は健康保険の適応になる)。 |
| 感染拡大防止法 | 患者と、家庭内や保育所、幼稚園で接触、キス、歯ブラシや食事用具の共用による唾液の接触、同じ住居でしばしば寝食をともにした人は、患者が診断を受けた24時間以内に抗菌薬の予防投与を受けるべきである。 |
| 登校(園)基準 | 有効な治療開始後24時間を経過するまでは隔離が必要。病状により学校医そのほかの医師において感染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-10.html |
参考文献
- 1. Red Book 2024-2027, 33rd edition. American Academy of Pediatrics.
- 2. Feign and Cherry’s Textbook of Pediatric Infectious Disease, 7th edition.
- 3. Nelson Textbook of Pediatrics, 22th edition.
- 4. Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases, 14th edition.
- 5. 厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/(参照2025-3-21) - 6. 国立感染症研究所ホームページ
https://www.niid.jihs.go.jp/index.html(参照20225-3-21) - 7. 日本小児科学会ホームページhttp://www.jpeds.or.jp/(参照 2025-3-21)
- 8. 学校において予防すべき感染症の解説.文部科学省.平成 30 年 3 月.
- 9. 保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版<2023(令和 5)年 10 月一部修正>),こども家庭庁.
- 10. 平成 28 年度厚生労働科学研究費補助金「成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業」 H28-健やか-一般-002「保育所等における感染症対策に関する研究」報告書,研究代表者 細矢光亮.
- 11. 予防接種ガイドライン,2024 年度版.予防接種ガイドライン等検討委員会.
- 12. 2024 予防接種に関する Q&A 集.第 24 版.岡部信彦,多屋馨子.一般社団法人日本ワクチン産業協会
- 13. 日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」(日本版 Vaccine Information Statement).日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会
- 14. 蚊媒介感染症診療ガイドライン.第 5 版.国立感染症研究所
- 15. 海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019.日本渡航医学会 海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019 作成委員会.
- 16. 皮膚の学校感染症について.日本臨床皮膚科医会・日本子ども皮膚科学会.平成 25 年 5 月.
- 17. 保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドライン.厚生労働省、集団生活の場における肝炎ウイルス感染予防ガイドラインの作成のための研究班.平成 26 年 3 月.
- 18. 新型コロナウイルス感染症診療の手引き.第 10.1 版.令和 6 年 4 月.
