南米出血熱
| 第一種感染症 | |
|---|---|
| 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の一類感染症と結核を除く二類感染症を規定している。出席停止期間の基準は「治癒するまで」である。 | |
| エボラ出血熱(エボラウイルス病) | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されているウイルス性出血熱で、発病すると半数以上が死亡すると報告されている極めて重症の疾患である。これまで、中央アフリカ、西アフリカなどでまれに発生していたが、2014-2016年に西アフリカで流行し、1万人以上の死亡者がでた。 |
| 病原体 | エボラウイルス |
| 潜伏期間 | 主に8-10日(2-21日) |
| 感染経路 | ウイルスを保有している宿主(野生動物)は不明である。患者の血液、体液などの接触により感染する。 |
| 症状・予後 | 発熱、全身倦怠感、強度の頭痛、筋肉痛、関節痛などで急に発病する。腹痛、嘔吐、下痢、結膜炎が続く。2-3日で状態は急速に悪化し、重度の下痢、出血と発疹が出現する。6-9日で激しい出血とショック症状を呈し死に至ることがある。発病した場合の致命率は50-80%である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-01.html |
| クリミア・コンゴ出血熱 | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されている重症ウイルス性出血熱で、サハラ砂漠以南のアフリカ、中近東、ヨーロッパ東部、西および中央アジア諸国、バルカン地域などでの発生がある。 |
| 病原体 | クリミア・コンゴ出血熱ウイルス |
| 潜伏期間 | 2-10日 |
| 感染経路 | 自然界での宿主は家畜類、野生哺乳類で、解体などでの接触、媒介動物であるはマダニに咬まれることである。患者の血液、体液などの接触でも感染する。 |
| 症状・予後 | 症状はエボラ出血熱に類似しているが重度の肝障害が特徴。発症した場合の致命率は15-40%と報告されている。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-02.html |
| 南米出血熱 | |
| 概要 | アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ベネズエラ出血熱、ブラジル出血熱の総称である。 |
| 病原体 | それぞれアレナウイルスに属すウイルス |
| 潜伏期間 | 6-17日 |
| 感染経路 | 流行地に生息するげっ歯類の唾液または排泄物との接触により感染する。 |
| 症状・予後 | 発熱、筋肉痛、頭痛、眼窩後痛、血小板減少症、錯乱、舌の振戦(ふるえ)、小脳症状(ふらつきなど)の中枢神経障害などが認められる。致命率は30%にも及ぶ。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-03.html |
| ペスト | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されている急性細菌性感染症である。日本では1930年以降ペスト患者の発生はない。アジア、アフリカ、南米、北米などでは、少数ながら患者の発生がある。2017年にマダガスカルで肺ペストの大規模な流行が発生した。 |
| 病原体 | ペスト菌 |
| 潜伏期間 | 腺ペストは2-8日、肺ペストは1-6日。 |
| 感染経路 | 宿主はネズミ、イヌ、ネコなどでノミが媒介する。肺ペストは飛沫感染する。 |
| 症状・予後 | 腺ペスト(リンパ節への感染)の症状は、発熱とリンパ節の腫脹、疼痛である。肺ペストの症状は、発熱、咳、血痰、呼吸困難である。治療が遅れた場合の致命率は50%以上で特に肺ペストは致死的である。 |
| 治療法 | 抗菌薬 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-04.html |
| マールブルグ病 | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されている致死的なウイルス性出血熱で、アフリカ中東部・南アフリカなどでまれに発生する。 |
| 病原体 | マールブルグウイルス |
| 潜伏期間 | 主に8-10日(2-21日) |
| 感染経路 | オオコウモリが宿主と考えられている。患者の血液、体液などの接触により感染する。 |
| 症状・予後 | 症状はエボラ出血熱に類似しているが、エボラ出血熱よりは軽症であることが多い。発病した場合の致命率は20%以上である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-05.html |
| ラッサ熱 | |
| 概要 | 感染症法で一類感染症に分類されているウイルス性出血熱で、中央アフリカ、西アフリカ一帯での感染者は年間20万人位と推定されている。 |
| 病原体 | ラッサウイルス |
| 潜伏期間 | 6-17日 |
| 感染経路 | 宿主はネズミで、感染動物の糞、尿などの濃厚接触により人に感染する。患者の血液、体液などの接触により感染する。 |
| 症状・予後 | 症状はエボラ出血熱に類似しているが、エボラ出血熱よりは軽症である場合が多い。入院患者の致命率は15-20%である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-06.html |
| 急性灰白髄炎(ポリオ) | |
| 概要 | 感染症法で二類感染症に分類されているウイルス性感染症である。1960年代初頭まで日本でもしばしばあり、「小児まひ」と呼ばれて恐れられたが、予防接種によって、1980年の1例を最後に、野生ポリオウイルスによるまひ患者の発生はない。しかし、パキスタンやアフガニスタンでは今でも野生株ポリオウイルス1型の流行が続いており、2021年以降、イスラエル、英国、米国でも下水処理施設からワクチン由来ポリオウイルスが検出されている。 |
| 病原体 | ポリオウイルス |
| 潜伏期間 | まひを来すまでは7-21日(3-35日)、不完全型感染や無菌性髄膜炎の場合は3-6日 |
| 感染経路 | 便、唾液などを介した経口感染、接触感染。 |
| 症状・予後 | 軽症の場合は、かぜ様症状または胃腸症状だが、0.1-2%に急性の弛緩性まひが現れ、死に至ることもあるほか、後遺症としての手足のまひを残すこともある。 |
| 診断法 | 便からのウイルス分離やPCR検査 |
| 予防接種 | 定期予防接種によって、生後2-90か月に沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・インフルエンザ菌b型混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)を4回接種する。標準的には生後2-7か月で開始して3-8週間間隔で3回接種し、6か月から18か月の間隔をあけて、1歳以降に1回追加接種する。なお、日本小児科学会は、ポリオに対する抗体価が減衰する前に就学前の不活化ポリオワクチン(IPV)の任意接種を推奨している。 |
| 登校(園)基準 | 急性期の症状が治癒するまで出席停止とする。まひが残る慢性期については出席停止の必要はない。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-07.html |
| ジフテリア | |
| 概要 | 感染症法で二類感染症に分類されている細菌性呼吸器感染症で、日本国内での発病は1999年を最後に認められていないが、流行的発生がみられる国もある。 |
| 病原体 | ジフテリア菌 |
| 潜伏期間 | 主に2-7日(1-10日) |
| 感染経路 | 飛沫感染 |
| 症状・予後 | 発熱、咽頭痛、頭痛、倦怠感、嚥下痛などの症状で始まり、鼻づまり、鼻出血、声嗄れから呼吸困難、心不全、呼吸筋まひなどに至る。 |
| 治療法 | 抗毒素抗体(なお、本抗体は動物(馬)由来の血清であることから、アナフィラキシー、ショック症状に対して十分な配慮をする必要がある)。ペニシリン系抗菌薬、エリスロマイシンなどに感受性があるが、予防が最も大切である。 |
| 予防接種 | 定期予防接種によって、生後2-90か月に沈降精製百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・インフルエンザ菌b型混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)を4回接種する。標準的には生後2-7か月で開始して3-8週間間隔で3回接種し、6か月から18か月の間隔をあけて1歳以降に1回追加接種する。さらに、11歳以上13歳未満で沈降ジフテリア破傷風(DT)トキソイドの接種が1回、定期接種として行われている |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-08.html |
| 重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。) | |
| 概要 | 2002-2003年に中国から世界に流行が広がり、8,000人以上が発症し、致命率は約10%であった。小児の死亡例は報告されていない。 |
| 病原体 | SARSコロナウイルス |
| 潜伏期間 | 2-14日(主に2-7日) |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染、排泄物からの経口感染が主体であり、空気感染の可能性については議論がある。 |
| 症状 | 突然のインフルエンザ様の症状で発症する。発熱、咳、息切れ、呼吸困難、下痢がみられる。肺炎や急性呼吸窮迫症候群へ進展し、死亡する場合もある。 |
| 感染拡大防止法 | 一般的な予防策として手洗い、マスク着用、人混みへの外出を控えるなどがあげられるが、早期に検知して、早期に対応することが重要である。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-09.html |
| 中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。) | |
| 概要 | 2012年にサウジアラビアで初めて確認され、中東を中心に流行し、韓国でも患者が発生した。2022年10月までに2,600人が発症し1,259人(48%)が重症または死亡であった。最新情報は厚生労働省のURLから閲覧が可能である。 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers.html |
| 病原体 | MERSコロナウイルス |
| 潜伏期間 | 主に2-14日(中央値5日) |
| 感染経路 | 飛沫感染、接触感染 |
| 症状 | 発熱、咳、息切れなど。下痢などを伴う場合もある。MERSコロナウイルスに感染しても、症状が現われない人や、軽症の人もいるが、特に高齢の方や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人で重症化する傾向がある。 |
| 治療法 | 有効な治療薬はなく、対症療法が行われる。 |
| 感染拡大防止法 | 流行地への旅行は制限されていないが、糖尿病や慢性疾患、免疫不全などの基礎疾患がある場合は渡航前に医師に相談する。旅行中は、加熱が不十分な食品(未殺菌の乳や生肉など)や不衛生な状況で調理された料理を避け、果物、野菜は食べる前によく洗う。咳やくしゃみなどの症状がある人や、動物(ヒトコブラクダを含む)との接触は可能な限り避ける。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-10.html |
| 特定鳥インフルエンザ | |
| 概要 | 鳥インフルエンザは、鳥の排泄物、死体、臓器などに濃厚な接触があった人の感染が報告されている。また、未殺菌乳による感染も報告されている。ただし、日本で発症した人は確認されていない。最新情報は厚生労働省のURLから閲覧が可能である。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144461.html |
| 病原体 | インフルエンザウイルスA(H5N1)、A(H7N9) |
| 潜伏期間 | A(H5N1)は2-8日、A(H7N9)は主に2-5日(1-10日) |
| 感染経路 | ヒトの感染例では通常家禽との接触歴がある。 |
| 症状 | 高熱、咳。病原性は季節性インフルエンザより高く、咳などの呼吸器症状が強い傾向があり、肺炎や急性呼吸促迫症候群を呈し、死に至ることも少なくない。死亡のリスク因子として高齢、慢性肺疾患、免疫不全状態、長期の投薬歴、オセルタミビル投与の遅延が報告されている。 |
| 診断法 | 鼻咽頭ぬぐい液を用いた抗原の迅速診断キットがあるが、季節性インフルエンザよりも陽性率が低い傾向があり、採取した痰などの下気道検体のほうが検出しやすい。高病原性鳥インフルエンザウイルス感染の確定診断は、核酸検査法による。 |
| 治療法 | 抗ウイルス薬(オセルタミビルなど)を用いるが、季節性インフルエンザよりも有効性が低い場合がある。 |
| 感染拡大防止法 | 飛沫感染対策として、手洗いなどの一般的な予防法を励行する。 |
| リンク | /general/prevention/yobo-kansensho/kansensho01-11.html |
参考文献
- 1. Red Book 2024-2027, 33rd edition. American Academy of Pediatrics.
- 2. Feign and Cherry’s Textbook of Pediatric Infectious Disease, 7th edition.
- 3. Nelson Textbook of Pediatrics, 22th edition.
- 4. Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases, 14th edition.
- 5. 厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/(参照2025-3-21) - 6. 国立感染症研究所ホームページ
https://www.niid.jihs.go.jp/index.html(参照20225-3-21) - 7. 日本小児科学会ホームページhttp://www.jpeds.or.jp/(参照 2025-3-21)
- 8. 学校において予防すべき感染症の解説.文部科学省.平成 30 年 3 月.
- 9. 保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版<2023(令和 5)年 10 月一部修正>),こども家庭庁.
- 10. 平成 28 年度厚生労働科学研究費補助金「成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業」 H28-健やか-一般-002「保育所等における感染症対策に関する研究」報告書,研究代表者 細矢光亮.
- 11. 予防接種ガイドライン,2024 年度版.予防接種ガイドライン等検討委員会.
- 12. 2024 予防接種に関する Q&A 集.第 24 版.岡部信彦,多屋馨子.一般社団法人日本ワクチン産業協会
- 13. 日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」(日本版 Vaccine Information Statement).日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会
- 14. 蚊媒介感染症診療ガイドライン.第 5 版.国立感染症研究所
- 15. 海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019.日本渡航医学会 海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019 作成委員会.
- 16. 皮膚の学校感染症について.日本臨床皮膚科医会・日本子ども皮膚科学会.平成 25 年 5 月.
- 17. 保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドライン.厚生労働省、集団生活の場における肝炎ウイルス感染予防ガイドラインの作成のための研究班.平成 26 年 3 月.
- 18. 新型コロナウイルス感染症診療の手引き.第 10.1 版.令和 6 年 4 月.
