2026年における麻疹患者数増加に関する注意喚起
2026年4月1日
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
現在、日本国内において麻疹(はしか)の報告数が急増しており、流行の兆しが顕著となっている。特に2026年に入り、海外からのウイルス流入や集団感染事例が相次いで報告されている。麻疹は極めて感染力が強く、重症化する恐れのある疾患であり、2回のワクチン接種によって高い予防効果が見込める。現状の課題を整理し、以下の通り注意喚起を行う。
麻疹の流行を抑制するために
- 第1期(1歳)および第2期(小学校入学前1年間)の対象の方は、適切にMRワクチンの接種を完了することを推奨する。また、過去に2回の接種を完了していない方、あるいは接種歴が不明な方は、任意接種を検討してほしい。
- 麻疹発症者との接触が疑われる、または明らかな場合に発熱、咳、鼻水、結膜充血、眼脂、発疹などの症状が出現した場合は事前に麻疹の可能性について連絡したうえで、医療機関の指示に従って受診を検討してほしい。
1. 2026年現在の流行状況とトピックス
2026年第1週から第12週までの累積報告数は152例に達しており、前年(2025年:計265例)に引き続き、2024年(計45例)以前と比較して高い水準で推移している1)。
主な感染動向
- 海外からの流入: 推定感染地域が国外である症例のうち、インドネシアからの帰国・入国者による報告が11例と最多を占めている。またニュージーランドからの流入も7例と増加している。その他、フィリピンや大韓民国、インド、ベトナム、シンガポールなど近隣諸国からの流入も確認されている。
- 東京都・愛知県を中心とした成人における感染流行: 国内の感染報告例は96例であり、都道府県別の報告数では、東京都(40例)、愛知県(23例)が全国で多く、若年層(15-19歳:28%)での患者が多く認められた。年齢別割合としては成人(20歳以上)が64%を占めている。
- ワクチンの接種歴: 報告された152例のうち、接種なし(29例)、1回のみ(23例)、不明(50例)と、十分な免疫を持たない層が半数以上を占めている。一方で、2回接種済みであっても感染する事例(50例)も報告されており、周囲の流行状況に注意が必要である。接種なしの感染者は重篤で周りへの感染力が極めて強いが、2回接種済みの感染者は軽症の修飾麻しんが多く、周りへの感染力も弱い。
2. ワクチン接種率の低下
麻疹の排除状態を維持するためには、1回目、2回目ともに95%以上の接種率が必要であるが、近年の状況は目標に達していない。(表)そのため第1期:1歳の1年間(1歳の誕生日の前日から2歳の誕生日の前日まで)、第2期:5歳以上7歳未満で、小学校入学前の1年間に当たる小児(幼稚園・保育所の最年長組相当の小児)に対して適切に麻疹含有ワクチンを接種することが重要である。
また、令和6年度内に生後24か月に達した者で、MRワクチン供給制限に伴い接種機会を失した令和4年4月2日~令和5年4月1日生まれの方(第1期)および令和6年度内に6歳になった者で、MRワクチン供給制限に伴い接種機会を失した平成30年4月2日~令和元年4月1日生まれの方(第2期)を対象に、第1期および第2期の定期接種対象時期が令和7年4月1日から令和9年3月31日までの2年間に延長されている。
表:接種率の現状(2024年度評価)2)
| 全国平均接種率 | 目標値 | 備考 | |
| 第1期 (1歳児) |
92.7% | 95%以上 | 多くの都道府県で目標未達 95%以上は1県のみ |
| 第2期 (小学校就学前1年) |
91.0% | 95%以上 | すべての都道府県で目標未到達 9県で90%未満、沖縄県は85%未満(82.8%) |
参考文献
(1)国立健康危機管理研究機構感染症情報サイト.麻疹 発生動向調査. 国立健康危機管理研究機構.
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/measles/graph/2026/meas26-12.pdf (参照2026-4-1)
(2)国立健康危機管理研究機構感染症情報サイト.令和6年度麻しん風しん定期予防接種の実施状況の調査結果について. 国立健康危機管理研究機構.
https://id-info.jihs.go.jp/immunization/statistics/coverage/routine-immunization-mr/2024/index.html (参照2026-3-11)
