予防接種・感染症

日本小児科学会の予防接種の同時接種に対する考え方

2011年1月19日 登録
2014年1月12日 更新
2020年11月24日 更新
2026年6月3日 改訂
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会

全文PDF

日本国内においては2種類以上の予防接種を同時に同一の接種対象者に対して行う同時接種は、医師が特に必要と認めた場合に行うことができるとされている1)。一方で、諸外国においては、同時接種は一般的に行われている医療行為である2)。特に乳児期においては、多くのワクチン接種が複数回必要である。日本の子どもたちをこれらのワクチンで予防できる病気(VPD: Vaccine Preventable Diseases)から確実に守るためには、必要なワクチンを適切な時期に適切な回数接種することが重要である。現在、日本国内においては同時接種が一般的な医療行為として広く普及していることに踏まえ、同時接種に関する科学的知見およびその利点について改めて明記する。

同時接種について現在分かっていることとして以下のことが挙げられる3-5)
1) 複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンに対する有効性について、お互いのワクチンによる干渉はない。
2) 複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンの有害事象、副反応の頻度が上がることはない。
3) 同時接種において、接種できるワクチン(生ワクチンを含む)の本数に原則制限はない。

また、その利点として、以下の事項が挙げられる。
1) 各ワクチンの接種率が向上する。
2) 子どもたちがワクチンで予防される疾患から早期に守られる。
3) 保護者の経済的、時間的負担が軽減する。
4) 医療者の時間的負担が軽減する。

以上より、日本小児科学会は、ワクチンの同時接種は、日本の子どもたちをワクチンで予防できる病気から守るために必要な医療行為であると考える。

なお、同時接種を行う際、以下の点について留意する必要がある。
1) 複数のワクチンを1つのシリンジに混ぜて接種しない。
2) 皮下接種部位の候補場所として、上腕外側ならびに大腿前外側があげられる。
3) 上腕ならびに大腿の同側の近い部位に接種する際、接種部位の局所反応が出た場合に重ならないように、少なくとも2.5cm以上あける。

参考文献
1) 厚生労働省.予防接種・ワクチン情報. 定期接種実施要領.厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/index.html (参照2026-5-8)
2) Orenstein WA, Offit PA,Edwards KM,Plotkin SA. Plotkin’s Vaccines, 8th Edition,2023,Elsevier, Philadelphia, PA
3) The National Center for Immunization and Respiratory Diseases, Centers for Disease Control and Prevention. 14th Edition,Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases (Pink Book). 2021 Public Health Foundation, Washington, DC
4) King GE, Hadler SC. Simultaneous Administration of childhood vaccine; an important health public policy that is safe and efficacious. Pediatr Infect Dis J 1994;13: 394-407.
5) Lewis M, Ramsey DS, Suomi SJ. Validating current immunization practice with young infants. Pediatrics 1992;90: 771-773.

TOP