小児科学会からのお知らせ

【会員向け提言】蜂蜜による乳児ボツリヌス症の発症について

公益社団法人日本小児科学会
会長 高橋 孝雄
日本小児医療保健協議会栄養委員会

 

 2017年4月7日に東京都は、蜂蜜が原因の乳児ボツリヌス症を発症した生後6か月の男児が死亡したと発表しました。
 ボツリヌス症にはボツリヌス食中毒と1歳未満の乳児にみられる乳児ボツリヌス症があります。今回の症例は乳児ボツリヌス症の死亡例です。乳児では、腸管内の腸内細菌叢がまだ不安定で、ボツリヌス菌の感染に対する抵抗力が低いと考えられています。ボツリヌス菌の芽胞を摂取すると腸管内で菌が増殖し、 産生された毒素が吸収されて様々な症状を起こすことがあります。便秘に引き続き、筋力が低下して脱力・哺乳力の低下・泣き声が小さくなる等の神経症状が出現するのが特徴です。乳児ボツリヌス症は1986年に千葉県で初めて確認され、厚生省(当時)は1987年10月に、「1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう通知」を出し、注意喚起を続けてきています。乳児ボツリヌス症は疑わなければ診断に時間がかかってしまいます。便秘に引き続いて筋力低下を示唆する症状が出現した乳児では、乳児ボツリヌス症を疑って対応することが大事です。
 元来ボツリヌス菌は土壌細菌であり、国内の土壌中から比較的容易に見いだすことができるため、乳児ボツリヌス症の予防には、芽胞による汚染の可能性がある食品(蜂蜜など)を避けることおよび井戸水を使用しないことが非常に重要な方法です。
 1歳未満の乳児には蜂蜜を与えないように保護者への指導をお願いします。
 なお、ボツリヌス症は4類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る必要があります。また、乳児ボツリヌス症についての解説は下記を参考にしてください。

参考
1.蜂蜜を原因とする乳児ボツリヌス症による死亡事案について(平成29年4月7日)(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課)

2.「乳児ボツリヌス症」の本邦第一例(国立感染症研究所感染症情報センター、病原微生物検出情報Vol.7 (1986/9[079]))

3.乳児ボツリヌス症の発生原因と考えられた井戸水からの菌分離(国立感染症研究所感染症情報センター、病原微生物検出情報Vol.28 p 113-114:2007年4月号)

4.井戸水を原因食品とする乳児ボツリヌス症の報告について(平成 18 年12 月8 日)(厚生労働省 健康局水道課長/医薬食品局食品安全部監視安全課長/雇用均等・児童家庭局母子保健課長)

ページの先頭へ戻る