事例 | 年齢:2 歳 2 か月 性別:男 体重:12kg 身長:83cm | |
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傷害の種類 | 窒息 | |
原因対象物 | 円柱状の砂糖菓子(直径6 ~ 7mm、長さ53mm) | |
臨床診断名 | 窒息による心停止蘇生後 低酸素性脳症 | |
直接医療費 | 入院費用(直接費用)565,170 円 | |
発生状況 | 発生場所 | 自宅 |
周囲の人・状況 | 父、母、4 歳兄、父方祖父母と同居。同居家族は事故発生当時、全員在宅していた。 | |
発生年月日・時刻 | 2014 年4 月22 日 午後8 時10 分頃 | |
発生時の詳しい 様子と経緯 |
家族で夕食を摂り、入浴後、本児にたばこ状の円柱の砂糖菓子を与えた。本児ははしゃいで居宅内を走り回っていた。父母のいた台所から、祖父母のいた居間へと走り込んだ際に様子がおかしくなり、祖父母が「何か喉に詰めたようだ」と声を上げた。父母が近寄ると本児が苦しがっていた。窒息したと考えた母が口の中に手を入れると、喉の奥の方で折れた棒状のものの端に指先が触れた。母はそれがたばこ状の砂糖菓子ではないかと考え、取り除こうとしたがうまくいかず、そのうち指先に触れなくなった。続けて掃除機を用いて吸い出そうと試みたが、これもうまくいかなかった。そのうちに顔色が紫色になりぐったりしたため、119 番通報した。父が消防指令課の口頭指導を受け、祖父が胸骨圧迫を行ったが状況は変わらなかった。 救急隊が接触した時の初期波形は心静止であり、心肺蘇生を継続した。換気抵抗があり、喉頭展開を試みたが異物は視認できなかった。そのまま心肺蘇生を継続して近医に搬送した。近医に到着時も心静止であった。すぐに気管挿管を行ったが異物は目視できなかった。気管挿管後は換気良好となった。蘇生を続け、その後自己心拍が再開した。救急隊による心静止確認から自己心拍再開まで52 分が経過していた。 | |
治療経過と予後 | 心肺蘇生を行った病院より依頼があり、当院へ搬送した。 気道、呼吸の状態は維持されていたが、輸液およびカテコラミンに抵抗性のショックの状態で低血圧が遷延し、また意識レベルはグラスゴー昏睡尺度3 点、両側瞳孔散大、対光反射消失、自発運動なしの状態であった。初期には全身状態の安定化に努めたが、ショックの状態が遷延し、乏尿からアシドーシスをきたしたため予後不良と判断し、その旨家族に説明した。入院3 日目に徐脈から著しい低血圧を来たし、死亡した。なお経過中施行された胸部レントゲン写真では肺水腫が認められ、窒息による陰圧性肺水腫と考えられた。経過中嘔吐はなく、窒息の原因となりえる原因物質は、経過から本製品以外の可能性は極めて低いと考えられた。また窒息以外の原因として致死的不整脈の可能性も考えられたが、その原因となりえるような心電図異常は認められなかった。 | |
Full Text | No.052 円柱状の砂糖菓子の誤嚥による窒息 | |
類似報告 | No.48・No.52 類似事例 |
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