Injury Alert(傷害速報)

 

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No.051 キックスクーターと自転車のハンドルによる外傷(事例1)

事例 年齢:5 9か月 性別:男 体重:20kg 身長:120cm
傷害の種類 転倒
原因対象物 キックスクーターのハンドルの先端部(バーエンド)
臨床診断名 気管不全断裂(IIa),皮下気腫,縦隔気種
直接医療費 812,960 円
発生状況 発生場所 自宅近くの公園
周囲の人・状況 姉と遊んでいたが,受傷時は姉が離れており一人であった
発生年月日・時刻 2014 年4 月17 日  午後4 時00 分頃
発生時の詳しい
様子と経緯
姉と自宅近くの公園で遊んでいた。姉が目を離したすきに姉のキックスクーターに乗って いて、転倒した際にバーエンドで前頸部を打撲した。受傷直後より頸部の腫脹が出現し、 受傷30 分後に前医を受診した。
治療経過と予後 前医でのCT 検査にて、頸部から右前胸部の皮下気腫を認めたため、気管損傷を疑い受傷2時間後に当院に搬送となった。 来院時意識清明であり、気道は保たれていた。バイタルサインに異常を認めなかった。腹部エコーでは、腹腔内の出血を疑う所見は認めなかった。皮下気腫が頬部から上肢、腹部にまで拡大していた(写真1~3)ためCT 検査を施行したところ、頬部から右上前腸骨棘までの皮下気腫の拡大と心臓周囲の縦隔気種に加え、輪状軟骨下部での気管連続性の欠損を認め、気管不全断裂と診断した(写真4~7)。皮下気腫が拡大傾向であり気道緊急となる可能性も考えられたため同日緊急手術となった。気管挿管が困難な事態も考慮し、緊急気管切開と体外式膜型人工肺装置(ECMO)の準備をした上で麻酔を導入した。気管支鏡下に経口気管挿管は可能であり、輪状軟骨下部の気管周囲約4/5 に及ぶ水平方向の不全断裂を認め気管形成術を施行した(写真8、9)。 術後経過は順調であり術後4 日目に抜管、入院中明らかな合併症を来すことなく第17 病日に退院した。外来でのフォローを継続しているが、現在のところ皮下気腫はほぼ消失し、嗄声等の声帯損傷や麻痺も認めていない。 今回の損傷に至った原因として、キックスクーターのハンドルカバーが外れており、内部の金属がむき出しになっていたことが関連していると思われる(写真10、11)。
Full Text No.051 キックスクーターと自転車のハンドルによる外傷(事例1)
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