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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:21.11.12)
第125巻 第11号/令和3年11月1日
Vol.125, No.11, November 2021
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第124回日本小児科学会学術集会 |
教育講演 |
1. |
医学用語を考える:ICD-11における発達障害の訳語を中心に
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古荘 純一 1511 |
2. |
子どもでもわかる説明,子どもも親も傷つかない表現を目指して
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森内 浩幸 1518 |
総 説 |
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坂本 謙一,他 1524 |
原 著 |
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中村 幸嗣,他 1536 |
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富田 慶一,他 1543 |
症例報告 |
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大坪 善数,他 1549 |
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小野 朱美,他 1555 |
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串間 奈々,他 1562 |
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上角 亮介,他 1568 |
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工藤 絵理子,他 1574 |
短 報 |
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高崎 麻美,他 1581 |
論 策 |
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山本 幸代,他 1585 |
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寺下 新太郎,他 1591 |
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1598 |
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1600 |
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 |
Injury Alert(傷害速報) |
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No. 108 自動洗濯機の底に手を入れ底部回転部で受傷した手指外傷
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1614 |
日本小児科学会生涯教育・専門医育成委員会主催 |
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1618 |
日本小児科学会男女共同参画推進委員会報告 |
リレーコラム キャリアの積み方─私の場合38 |
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1619 |
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1621 |
日本小児科学会英文誌 Pediatrics International 2021年63巻10号目次
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1630 |
【総説】
■題名
Langerhans細胞組織球症関連中枢神経変性症
■著者
国立成育医療研究センター小児がんセンター1),自治医科大学小児科2),宇治徳洲会病院臨床検査部3) 坂本 謙一1) 塩田 曜子1) 森本 哲2) 今宿 晋作3)
■キーワード
Langerhans細胞組織球症, 不可逆性病変, Langerhans細胞組織球症関連中枢神経変性症, BRAF, MAPK
■要旨
Langerhans細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis,LCH)は,造血幹細胞由来の未熟樹状細胞を起源とするLCH細胞の病変部への異常集簇と炎症細胞浸潤を特徴とし,BRAF V600Eを始めとするMAPK経路の遺伝子異常を大半の症例に認める,「炎症性骨髄性腫瘍(Inflammatory myeloid neoplasms)」である.LCHは多剤併用化学療法の導入により生命予後は非常に良好である一方で,様々な晩期合併症(不可逆性病変,Permanent Consequences,PCs)を合併することが問題となっている.このような,LCHに伴うPCsは,病変が治癒した後もLCH症例のQuality of life(QOL)を著しく低下させる.LCHに伴うPCsの中でも最も重篤な病態が本稿で解説するLCH関連中枢神経変性症(LCH associated CNS-neurodegenerative disease,以下LCH-NDと略)である.本稿では,LCH-NDの病態,診断,臨床経過を先ず述べ,その後,その病態解明について,またこれまでなされてきた様々な治療についても述べる.しかしながら,未だ有効な治療法は確立されておらず,発症予防に関する試みも模索されている現況である.
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【原著】
■題名
出生後早期の胃液・皮膚培養中止が新生児早発型敗血症診療に与えた影響
■著者
聖マリアンナ医科大学小児科1),聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部2),聖マリアンナ医科大学新生児科3) 中村 幸嗣1) 大柳 忠智2) 小林 茉保1) 文元 礼1) 森内 巧1) 品川 文乃1) 新谷 亮1) 砂田 美希3) 小町 詩織3) 廣瀬 あかね3) 置塩 英美3) 鈴木 真波3) 勝田 友博1) 北東 功3) 清水 直樹1)
■キーワード
新生児, 敗血症, 胃液培養, 皮膚培養, 血液培養
■要旨
新生児早発型敗血症(Early-onset neonatal sepsis:EOS)の起因菌同定は無菌部位からの病原体検出がゴールドスタンダードである.わが国では血液培養に加えて胃液・皮膚培養も提出されることが多いが,その陽性的中率は低いとされている.当院では2017年11月より,EOSの起因菌診断を目的としたルーチンの出生後胃液・皮膚培養を中止した.この中止がEOS診療に与えた影響を評価するため,中止前後での比較検討を行った.対象は当院NICUの入院患者で,生後72時間以内に血液培養提出と抗菌薬投与が実施されたEOS疑いの患者とした.培養中止前後の各1年で患者背景,検査結果等を後方視的に評価した.期間中の全入院患者は486例,対象は中止前61例,中止後52例の計113例となった.血液培養陽性のEOS確定診断例は中止前後の各1例で計2例,当院における発症率は0.4%となった.EOS起因菌診断に対する陽性的中率は胃液培養10.0%,皮膚培養4.2% と低かった.EOSを想定した抗菌薬の投与期間は,中止前後ともに中央値3日間,初期抗菌薬の変更は中止前6例(9.8%),中止後3例(5.8%)で,中止前は胃液・皮膚培養結果に基づいた変更が多かった.EOS診療における胃液・皮膚培養の有用性は低く,中止に伴う転帰の増悪も認めず,胃液・皮膚培養の中止には妥当性があった.
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【原著】
■題名
小児のボタン電池の誤飲では位置が胃内で無症状かつ小径であれば安全に経過観察しうる
■著者
国立成育医療研究センター救急診療科1),同 総合診療部2),同 放射線診療部3),同 小児外科4) 富田 慶一1) 天笠 俊介1) 大西 志麻1) 辻 聡1) 植松 悟子1) 窪田 満2) 野坂 俊介3) 藤野 明浩4)
■キーワード
ボタン電池, 異物誤飲, 小児, 胃内
■要旨
[背景]小児のボタン電池誤飲の診療では,位置が胃内の無症状例では,世界的に一致した指針はない.国立成育医療研究センターでは,2014年からNational Battery Ingestion Hotlineのガイドラインを参考に,ボタン電池誤飲の診療指針を導入し,胃内の無症状例では,緊急摘出術を行わず経過観察する方針とした.[目的]導入した診療指針の有用性と安全性を評価するため,導入前後での診療の変化を比較した.[方法]当院を受診し,単純X線撮影でボタン電池が胃内に位置した18歳以下の無症状例を対象に,後方視的研究を行った.診療指針の導入前(2008〜2013年)22例と導入後(2014〜2019年)22例における,摘出術の施行率,小児外科医の介入率,臨床的に重要な合併症を比較した.[結果]摘出術の施行率は,それぞれ68.2%,31.8%(p=0.016),小児外科医の介入率は,それぞれ90.9%,40.9%(p<0.001)と,いずれも統計学的に有意に減少した.導入前後で,臨床的に重要な合併症の増加はなかった.ただし,電池径15 mm以上の例は全期間で2例のみであった.[結論]導入した診療指針の有用性と安全性が示唆され,胃内の無症状例,かつ電池径15 mm未満では,緊急摘出術を行わず,安全に経過観察できる可能性がある.これにより,子どもへの侵襲的な処置を最小限にできるかもしれない.
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【症例報告】
■題名
新生児遷延性肺高血圧症を合併し呼吸管理に難渋した原発性線毛機能不全症
■著者
佐世保市総合医療センター小児科1),長崎大学病院小児科2),同 小児外科3) 大坪 善数1) 桐野 泰造1) 木下 史子2) 山根 裕介3)
■キーワード
原発性線毛機能不全症, 新生児仮死, 新生児遷延性肺高血圧症, 気管支生検, 遺伝子検査
■要旨
原発性線毛機能不全症(PCD)は線毛の構造・機能異常が原因で,慢性的な気道感染症を繰り返す常染色体劣性疾患である.今回,我々は重症新生児仮死で出生後に新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)を合併し,呼吸管理に難渋したPCD症例を経験した.長期の呼吸管理が必要と判断し,生後2か月に気管切開を施行した.その際の気管支生検によりPCDと診断した.気道合併症に加え,胃食道逆流症,高度の感音性難聴を認めた.生後3か月から陽陰圧体外式人工換気や排痰補助装置の導入,マクロライド少量長期投与,去痰剤内服で治療を行ったが効果は乏しく,鎮静下の呼吸管理から一度も離脱することなく生後5か月で呼吸不全のために死亡した.出生直後からの酸素化・換気不全に対する高圧・高濃度酸素による呼吸管理も増悪因子となった.死亡後に判明したPCDの遺伝子パネル検査では既知の32遺伝子に病原性変異を認めなかった.
基礎疾患としてPCDを持つ新生児に呼吸機能増悪因子が加わると,より重篤な臨床経過をとることがある.原因不明の新生児呼吸不全例ではPCDは鑑別疾患のひとつとなる.
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【症例報告】
■題名
薬剤性過敏症症候群を発症し回復期にBasedow病を呈した川崎病
■著者
徳島県立中央病院小児科 小野 朱美 近藤 秀治 森 一博
■キーワード
薬剤性過敏症症候群, 川崎病, HHV-6の再活性化, Basedow病
■要旨
薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)は,ウイルスの再活性化を発症背景に持つ重症薬疹であり,回復期に自己免疫疾患を合併することが知られている.DIHSの小児例は少なく,DIHS後に自己免疫疾患を合併した小児例の報告はほんどない.
症例は1歳6か月の男児.川崎病の診断でアスピリン,γグロブリンによる治療を行った.一旦は軽快したものの,第20病日に再発熱,発疹,頸部リンパ節腫脹,肝障害,胸腹水を認めた.川崎病の再燃と考えたが,追加治療後も発疹や頸部リンパ節腫脹,皮下浮腫が残存し,好酸球増多や異型リンパ球の増多も認めた.HHV-6の再活性化は証明できなかったが,診断基準より非典型DIHSと診断し,ステロイド治療にて改善した.DIHS発症から22か月後(3歳4か月時)に頻脈,体重増加不良,発汗,下痢の症状から甲状腺疾患を疑い,抗TSHレセプター抗体が陽性であったためBasedow病と診断した.
本症例は,川崎病治療経過中にDIHSを発症し回復期にBasedow病を来した初めての報告である.
川崎病治療中の異型リンパ球や好酸球の増多を伴う症状の再燃時には,DIHSを鑑別する必要があり,さらにDIHSは回復期に自己免疫疾患を発症することを念頭に置いて長期にわたるフォローが必要である.
本論文は日児誌第126巻3号P574に著者訂正を掲載
http://www.jpeds.or.jp/modules/publications/index.php?content_id=71
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【症例報告】
■題名
FBN1遺伝子に同一バリアントを認め経過が異なった新生児Marfan症候群の2例
■著者
北海道立子ども総合医療・療育センター新生児内科1),同 循環器内科2),札幌医科大学小児科学講座3) 串間 奈々1)3) 石川 淑1) 中村 秀勝1) 澤田 まどか2) 高室 基樹2) 浅沼 秀臣1) 川崎 幸彦3)
■キーワード
新生児Marfan症候群, FBN1遺伝子
■要旨
新生児Marfan症候群(nMFS)は,稀な疾患であり予後不良とされる.当院でnMFSと診断した2例を経験した.症例1は日齢1に老人様顔貌,長い指を主訴に入院し,僧房弁閉鎖不全(MR),三尖弁閉鎖不全,大動脈弁輪拡張を認めた.肺気腫のため気管切開下に人工呼吸器管理を長期間行ったが,内科的治療で心不全を管理することができた.その後4歳時肺炎で死亡した.症例2は生直後にチアノーゼ,心雑音を主訴に入院.老人様顔貌,長い指などの身体的な特徴を認めた.重症三尖弁異形成によるcircular shuntと診断し,生後18時間で三尖弁形成術,右房縫縮術を行ったが,術後も肺気腫,MRが進行し生後6か月時にウイルス感染を契機に死亡した.2例とも出生時より特徴的な身体所見と心血管系の異常があり,nMFSを疑い遺伝学的検査を実施した.遺伝学的検査でFBN1遺伝子のexon25に既知のバリアントを認め,nMFSと診断した.今回,nMFSの診断に遺伝学的検査が有用であった.そして,早期に遺伝学的検査を実施し診断を確定することは,児の治療の方向性,予後を家族へ伝える上で重要である.また,2例は同一バリアントでも表現型や臨床経過,重症度は異なり,nMFSのgenotype-phenotypeの関連性についてはさらなる解析が必要である.
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【症例報告】
■題名
著明な高ナトリウム血症を伴った糖尿病性ケトアシドーシス
■著者
大阪市立大学医学部大学院医学研究科発達小児医学 上角 亮介 柚山 賀彦 堀田 優子 西垣 五月 川村 智行
■キーワード
糖尿病性ケトアシドーシス, 高ナトリウム血症, 脱水, 自由水喪失量
■要旨
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の状態では,高血糖状態のため自由水の血管内移動が起こり,見かけ上低ナトリウム(Na)血症を来すのが一般的である.しかし逆に高Na血症と自由水喪失を来す症例もあり,水・電解質管理にはより一層の注意を要する.今回,DKAに著明な高Na血症を合併した新規発症1型糖尿病男児に対し,インスリン投与と並行し血清・尿中電解質測定によるNa動態予測に基づいた輸液管理を行い,良好な転帰を得た症例を経験したので報告する.症例は14歳男児,高血糖と意識障害を主訴に搬送された.高Na血症(174 mEq/L)を認め,DKAの治療と並行し高Na血症に対する治療が必要と考えた.治療開始前に高Na血症に伴う自由水喪失量を予測した.またAdrogue-Madiasの式に従い血清Naの変動を予測し輸液を調整した.治療開始52時間後,水分補充量が予測値に達した時点で尿中Na排泄が増加し,90時間後に血清Naは142 mEq/Lに改善した.後遺症なく第9病日に退院し,現在は通常のインスリン療法を行い入院前の生活に戻っている.本症例のようにDKAと脱水という複雑な状況下での高Na血症の治療に際しては,治療開始前に体内自由水喪失量を推定し,血清と尿中Naの双方を監視し体内のNa動態を勘案した輸液調整を行うことで,急激な血清Na濃度の変化を予防することが重要である.
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【症例報告】
■題名
川崎病に準じて治療したCOVID-19関連小児多系統炎症性症候群の年長児例
■著者
市立札幌病院小児科 工藤 絵理子 小野 夏実 山崎 健史 伊藤 智城 畠山 欣也 佐野 仁美
■キーワード
COVID-19, 小児多系統炎症性症候群, MIS-C, 川崎病, インフリキシマブ
■要旨
小児のコロナウイルス感染症2019(COVID-19)に関連し,多臓器に高度な炎症を引き起こす病態が欧米から報告され,小児多系統炎症性症候群と呼ばれている.川崎病との類似性が指摘されている一方で,古典的な川崎病と比較して,年長児に好発し,消化器症状や神経症状,血圧低下や心機能障害を呈することが多い.また,リンパ球減少,血小板減少,炎症反応の著明な上昇を伴うことが特徴的である.今回我々は,COVID-19罹患7週後に,これらの特徴を伴った小児多系統炎症性症候群を発症した11歳男児例を経験した.川崎病主要症状も全て認めたため,川崎病に準じた治療を行った.COVID-19関連小児多系統炎症性症候群の本邦初の報告と考えられ,その経過を報告する.
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【短報】
■題名
コロナウイルス感染症2019流行下における幼児のマスク着用状況と保護者の認識
■著者
富山市立学校新型コロナウイルス感染症対策検討会議1),富山大学小児科2),富山大学附属病院チャイルドライフスペシャリスト3),八木小児科医院4) 高崎 麻美1)2) 種市 尋宙1)2) 高井 奈美1) 大橋 未来3) 八木 信一1)4)
■キーワード
severe acute respiratory syndrome coronavirus 2, coronavirus disease 2019, 幼児, マスク, 熱中症
■要旨
coronavirus disease 2019(COVID-19)の流行に伴い,世界的に幅広い年代で感染症対策としてマスクを着用するようになった.しかし,幼児のマスク着用の是非にはいまだ議論がある.
富山市立幼稚園でマスク着用下に活動する園児の観察および保護者アンケートを行った.有効なマスク着用は難しく,デメリットも考慮し着用を推奨しない方針としたが,少なくない保護者が不安を感じていた.リーフレット配布やメディアとの協働で相互理解を図り,2021年5月まで大きな問題なく経過している.
マスクは感染対策の一手段に過ぎず,発達段階に合わせて他の実行的な手段を重視する判断も必要である.
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【論策】
■題名
学校健診での成長曲線活用の現状
■著者
九州学校検診協議会成長発達・小児生活習慣病等専門委員会1),産業医科大学医学部医学教育担当教員2),池田医院3),坂井医院4),中津市立中津市民病院5),きのしたこどもクリニック6),長谷川医院7),熊本大学小児科8),宮崎大学基礎看護学領域9),鹿児島市立病院小児科10),鹿児島県医師会11),琉球大学小児科12),中頭病院小児科13) 山本 幸代1)2) 香月 きょう子1)3) 徳永 剛1)4) 是松 聖悟1)5) 木下 英一1)6) 長谷川 宏1)7) 松本 志郎1)8) 澤田 浩武1)9) 鮫島 幸二1)10) 鹿島 直子1)11) 兼次 拓也1)12) 宮里 善次1)13)
■キーワード
学校健診, 成長曲線, 肥満度曲線, アンケート
■要旨
学校保健安全法施行規則の一部改正により,学校健診での成長曲線活用が指示された.しかし,事後措置に関する統一された基準はなく,地域や学校ごとに活用の詳細が異なると考えられるが,実態は不明である.今回,成長曲線活用の現状と問題点を明らかにするためアンケートを行った.
九州沖縄地区各県の教育委員会を通じ,小中学校3,644校にアンケートを行い2,929校から回答を得た.小学校の3割,中学校の4割で成長曲線が作成されていない.また,1割では作成しても対応をしていない.作成後の対応では,学校医の役割と負担が増加している.保護者からの問い合わせでは,受診の必要性,異常の理由など,医学的内容の対応に養護教諭が困っている状況も判明した.作成していない場合や作成後何もしていない場合の理由では,必要性を感じないという回答も一定数存在しており,作成や活用の必要性に関する理解をさらに進める必要がある.
活用に関する情報共有や有効事例のフィードバックによって,啓発につなげる必要がある.また,受診勧奨,保護者への連絡,紹介や結果報告に関して統一された基準と様式や医療機関の整備が必要である.統一した基準や様式は,成長曲線活用の有効性を検証するためにも有用となる.
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【論策】
■題名
MRI検査時の鎮静に関する共同提言を活用した医療安全推進のための取り組み
■著者
富山大学医学部小児科学教室1),富山大学附属病院放射線部2),富山大学医学部放射線診断・治療学講座3) 寺下 新太郎1) 種市 尋宙1) 高崎 麻美1) 加藤 泰輔1) 伊藤 貞則2) 野口 京3) 足立 雄一1)
■キーワード
鎮静MRI検査, 多職種連携, 緊急時対応シミュレーション, 院内研修, 医療安全
■要旨
日本小児科学会が公表するMRI検査時の鎮静に関する共同提言が2020年2月に改訂され,患者監視の重要性や緊急時のバックアップ体制整備の必要性がより強調された.われわれは改訂された共同提言をもとに,小児鎮静MRI検査業務における医療安全推進を目的として院内規定の見直しを行い,医師・看護師・診療放射線技師が連携した緊急時対応シミュレーション(以下シミュレーション)を行った.共同提言に沿った院内規定の見直しを行ったところ,緊急時の人員・物品の配備方法について改善を行うことが可能であった.院内規定見直し後にシミュレーションを実施した.シミュレーションには20名(小児科後期研修医2名,放射線部看護師11名,診療放射線技師7名)が参加し,参加者全員がロールプレイを行った.各シミュレーション前後に見学者を交えたブリーフィング・デブリーフィングを実施し,気づきや改善すべき問題点を抽出・共有することができた.また,職種を越えた意見交換を行うことにより診療部門間の良好な関係性の構築につながった.改訂された共同提言に沿った院内規定の見直しと,問題点抽出を目的としたシミュレーション実施は医療安全を推進する可能性がある.
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