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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:21.5.18)
第125巻 第5号/令和3年5月1日
Vol.125, No.5, May 2021
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日本小児アレルギー学会推薦総説 |
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新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症(新生児・乳児消化管アレルギー)
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山田 佳之 723 |
日本小児リウマチ学会推薦総説 |
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安村 純子,他 732 |
原 著 |
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竹本 潔,他 739 |
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藤田 一郎,他 746 |
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古河 賢太郎,他 753 |
症例報告 |
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高瀬 章弘,他 758 |
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山田 舞,他 765 |
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金森 良介,他 770 |
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新開 敬,他 777 |
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藤井 まどか,他 784 |
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大谷 祐介,他 791 |
論 策 |
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深澤 陽平,他 798 |
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鞍谷 沙織,他 805 |
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地方会抄録(和歌山・岩手・山陰・福岡・栃木・甲信・宮城)
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809 |
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 |
Injury Alert(傷害速報) |
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No. 105 チャイルドシート使用中の交通外傷による頸髄損傷
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日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会報告 |
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データベースを用いた国内発症小児Coronavirus Disease 2019(COVID-19)症例の臨床経過に関する検討
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842 |
日本小児科学会新生児委員会報告 |
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新型コロナウイルス感染(疑い)の妊婦から出生した新生児の診療・管理体制に関する調査(要約)
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森岡 一朗,他 844 |
日本小児科学会男女共同参画推進委員会報告 |
リレーコラム キャリアの積み方─私の場合35 |
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846 |
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848 |
日本小児科学会英文誌 Pediatrics International 2021年63巻4号目次
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853 |
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856 |
公益財団法人小児医学研究振興財団 |
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令和2年度 研究助成事業・優秀論文アワード フェローシップ 選考結果
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862 |
【原著】
■題名
重症心身障害児(者)のショートステイ中に診療を要した例とインシデント
■著者
大阪発達総合療育センター小児科 竹本 潔 船戸 正久 飯島 禎貴 羽多野 わか 和田 浩 片山 珠美 藤原 真須美 柏木 淳子
■キーワード
重症心身障害児(者), ショートステイ, 追加診療, インシデント, 医療ケア
■要旨
医療型障害児入所施設における重症心身障害児(者)のショートステイ中に医師の診療を要した例と,インシデントの発生に関してカルテより後方視的に検討した.【対象と方法】2018年4月〜2019年3月の1年間に当施設のショートステイを利用した重症児(者)326人を対象に,診療理由とその内容,インシデントの内容,診療ニーズ・インシデント発生と医療ケアを含む利用者の背景因子との関連性について調べた.【結果】326人中,56人(17%)が何らかの診療を受けていた.理由は,発熱・頻脈,呼吸器症状,眼・皮膚症状がいずれも11人ずつで,この3つで全体の59%を占めていた.インシデントは326人中26人(8%)に発生しており,外傷が20人(77%)で圧倒的に多かった.診療ニーズは経管栄養があると有意に増加していたが(調整オッズ比2.53,P値0.025),性別,年齢18歳未満,初回利用,てんかん合併,および呼吸サポートの有無との関連に有意差は検出されなかった.インシデントの発生はそれら全ての因子との関連に有意差は検出されなかった.【結論】重症心身障害児(者)のショートステイにおいては利用者の体調変化と併せて外傷のインシデントにも注意することが重要である.
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【原著】
■題名
前向き子育てプログラム受講が子どもの心理社会的問題に与える効果
■著者
福岡女学院大学人間関係学部子ども発達学科1),フラハ大阪心理発達研究所2),佐賀市神野児童クラブ3),橋野こどもクリニック4) 藤田 一郎1) 白山 真知子2) 梶原 直子3) 橋野 かの子4) 赤間 健一1)
■キーワード
前向き子育てプログラム, 子ども, 心理社会的問題, PSC日本語版健康調査票
■要旨
親が前向き子育てプログラム「トリプルP」を学ぶことによる子どもの気持ちや行動への影響について検討した.トリプルPは認知行動療法に基づいており,良い手本を示して子どもの好ましい行動に注目するなどの子育て技術を親に伝える.子どもの心理社会的問題のスクリーニングとしてPSC(Pediatric Symptom Checklist)日本語版健康調査票を使用した.グループワーク事前のPSC17点以上(心理社会的問題あり)の人数は137名中49.6%であり,事後調査では35.0%に減少した.17点以上の人数の比率についてマクニマー検定を行うと,事前に比べて事後の比率は有意に減少していた.17点以上の幼児は44.4%から38.3%に,学童は57.1%から30.4%に減少した.事前17点以上で事後16点以下に改善した子どもは41.2%と多く,事前16点以下で事後17点以上になった子どもは11.6%と少なかった.PSC点数の平均値±標準偏差は,事前17.24±9.06,事後14.64±8.56と有意に減少した.質問項目5因子について分析すると,不安・人間関係の障害,不登校・不定愁訴の2因子で有意な改善が生じていた.親が約2か月かけて前向き子育てプログラムを受講することにより,子どもの心理社会的問題の状況が改善しうることが分かった.
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【原著】
■題名
血液検査では予防接種後発熱と尿路感染症を鑑別することはできない
■著者
富士市立中央病院小児科1),東京慈恵会医科大学小児科2),国立国際医療研究センター病院国際感染症センターAMR臨床リファレンスセンター3) 古河 賢太郎1)2) 日馬 由貴1)3) 村木 國夫1)2) 松永 展明3)
■キーワード
尿路感染症, 予防接種後発熱, 白血球数, C-reactive protein
■要旨
背景:本邦では予防接種後発熱(PIF)と尿路感染症(UTI)の鑑別に血液検査が使用されることがあるが,血液検査で両者が鑑別できるか検証した研究はない.
方法:後方視的な単施設研究である.2011年9月から2016年8月までに生後6か月未満の発熱で受診した児を,予防接種後発熱群と尿路感染症群の2群に分けた.末梢血白血球数(WBC),血清CRP値(CRP)それぞれについて,UTIを陽性,PIFを陰性としたROC曲線を作成し,最適なカットオフ値が臨床的に有用かどうか評価した.さらに,各群の予後評価のため,受診後24時間,48時間後の解熱状況を評価した.
結果:PIF 33例,UTI 36例が解析された.WBCとCRP,それぞれのROC曲線におけるAUCは0.65,0.73であった.最適カットオフ値はWBCで16,500/μL,CRPで3.45 mg/dLであった.最適カットオフ値における偽陽性率は,それぞれ44.4%,50.0%であった.予防接種後発熱群で24時間以内に解熱していなかった児は13.8%であり,48時間後には全例が解熱していた.一方,UTI群においては24時間後と48時間後でそれぞれ69.4%,33.3%に発熱が持続していた.
結論:ROC曲線の最適カットオフ値は,WBC,CRPともUTI群とPIF群の鑑別に有用ではなかった.
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【症例報告】
■題名
生後早期から酵素補充し,呼吸機能が良好な周産期重症型低ホスファターゼ症
■著者
福岡市立こども病院新生児科1),同 内分泌・代謝科2) 高瀬 章弘1) 金城 唯宗1) 鈴木 秀一2) 野口 雄史1) 島 貴史1) 楠田 剛1) 漢 伸彦1) 高畑 靖1) 都 研一2)
■キーワード
低ホスファターゼ症, アルカリホスファターゼ, 酵素補充療法, 肺低形成, ビタミンB6
■要旨
低ホスファターゼ症(Hypophosphatasia:HPP)は,ALPL遺伝子のバリアントにより組織非特異的アルカリホスファターゼ(ALP)が低下し,骨代謝が障害される遺伝性疾患である.従来HPPの周産期重症型は呼吸不全を合併し致死的であったが,近年,酵素補充療法の出現により生命予後が改善している.しかし過去の報告では,酵素補充療法により人工呼吸器から離脱できても経過中に気管切開を必要とした症例も多い.今回我々は,出生後早期より酵素補充療法を開始し,呼吸機能の予後が良好であったHPP児を経験した.児は出生時より呼吸障害が強く,単純X線検査で胸郭低形成を含む全身骨の低形成を認めた.血清ALPは6 IU/Lと低値であり,周産期重症型HPPと診断した.遺伝子解析ではALPL遺伝子にc.1130C>T/c.1559delTの複合ヘテロ接合体バリアントが同定された.出生直後は肺低形成のため高頻度振動換気と一酸化窒素吸入療法による呼吸管理を要した.日齢4より酵素補充療法を開始し,日齢74に気管切開を要せず人工呼吸器から離脱できた.日齢130に自宅退院し,1歳6か月の時点で発育と発達は順調である.周産期重症型HPP児に対して酵素補充療法を早期に開始することで,呼吸機能の予後を改善させることが示唆された.
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【症例報告】
■題名
保存的治療が奏功した感染性心内膜炎続発肺動脈瘤
■著者
国立成育医療研究センター循環器科1),東京医科大学小児科2) 山田 舞1)2) 小野 博1) 林 泰佑1) 三崎 泰志1) 賀藤 均1)
■キーワード
感染性心内膜炎, 感染性肺動脈瘤, 22q11.2欠損症候群
■要旨
22q11.2欠失症候群,肺動脈閉鎖,心室中隔欠損,主要大動脈肺動脈側副血行路の基礎疾患をもち,肺動脈統合術,Rastelli手術後の5歳男児が,手術4年後,肺動脈弁の感染性心内膜炎を原因とした感染性肺動脈瘤を発症した.低圧の肺循環の瘤であり,肺動脈瘤の径が比較的小さいことから瘤に対する介入を要さず,抗菌薬のみの保存的治療で軽快した.その後に,重度肺動脈弁狭窄および逆流を呈していたため,Rastelli導管置換術を施行した.感染性肺動脈瘤は破裂や解離などを合併するため,その予後は不良であり,外科的介入が必要との報告があるが,本症例のように,造影CTで経過観察し,拡大傾向になければ,保存的に経過観察できる症例も存在する.
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【症例報告】
■題名
亜鉛補充を契機に発症した銅欠乏症に伴い難治性肺炎を呈した重症心身障害者
■著者
田附興風会医学研究所北野病院小児科1),同 小児外科2) 金森 良介1) 宮脇 康輔1) 荒井 篤1) 佐々木 宏太1) 熊倉 啓1) 佐藤 正人2) 秦 大資1) 塩田 光隆1)
■キーワード
人工栄養, 亜鉛欠乏症, 銅欠乏症, 重症心身障害
■要旨
銅欠乏症は貧血や好中球減少,神経障害などを引き起こす.稀な病態とされてきたが,人工栄養管理の普及に伴い不適切な栄養管理を契機として発症する例が報告されている.
症例は21歳の重症心身障害者.経胃瘻的人工栄養管理下にあり8か月前より亜鉛欠乏症に対し亜鉛製剤が開始され,1日当たり亜鉛63 mg,銅1 mgの栄養管理となっていた.10日前からの発熱,鼻汁および酸素化低下を主訴に受診,左下葉肺炎および貧血,好中球減少を認めたため入院となった.
血中銅およびセルロプラスミン低値も判明し,亜鉛過剰に伴う銅欠乏症と診断した.亜鉛製剤投与を中止し銅含有量の多い食材であるココアやサプリメントを用いて銅の補充療法を開始したところ,入院37日後には血中銅の正常化を認めた.しかし血中銅および血球数の改善後も肺炎の治療に難渋し,元々室内気にて自発呼吸で生活していた本患者であったが,肺炎軽快後も複数の気道・呼吸管理デバイスの導入が必要となった.銅補充療法終了後は維持量として1日当たり亜鉛18 mg,銅1.6 mgの栄養管理とし,退院1年経過後も血中亜鉛,銅ともに正常値で肺炎の再発もなく経過している.
銅欠乏症は予防可能な病態であるが一度発症すると非常な不利益をもたらしうる.一見無関係に思われるものの亜鉛欠乏に対する補充療法の際は銅欠乏症の発症に注意が必要で,重症心身障害者の診療に関わる全ての医療者の理解が望まれる.
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【症例報告】
■題名
腰椎椎間関節炎を初発とした急性リウマチ熱
■著者
中部徳洲会病院小児科 新開 敬 飯塚 千紘 長田 博臣 池原 聡 新里 勇二
■キーワード
リウマチ熱, 腰椎椎間関節炎, A群β溶血性レンサ球菌, T型血清, ヒト白血球抗原
■要旨
リウマチ熱はA群β溶血性レンサ球菌による咽頭炎に続発する全身性の非化膿性炎症疾患である.先進国では抗菌薬の普及により激減しており,日常診療で遭遇する機会は稀となっている.今回我々は,先行感染のエピソードを有さず,腰椎椎間関節炎を初発とした急性リウマチ熱の1例を経験した.
症例は生来健康な8歳男児.発熱と腰痛を主訴に当院救急外来を受診した.腰椎MRI検査で右腰椎椎間関節炎と診断し,抗菌薬治療を開始したが症状は改善せず,入院後から右足関節と左膝関節に疼痛が出現した.多関節炎に対してイブプロフェンの内服を開始したところ疼痛は速やかに改善したが,6病日以降,腹部と四肢に輪状紅斑が出現した.さらに,A群レンサ球菌抗体価の上昇および心電図検査でのPR時間延長を確認し,Jonesの改訂診断基準を満たしたことから急性リウマチ熱と診断した.
典型的なリウマチ熱では脊椎は冒されることはなく,腰椎椎間関節炎を呈した報告例はこれまでに本邦ではない.原因が特定できない関節炎症例に対しては,本疾患も念頭において経過をみていく必要があると考えられた.
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【症例報告】
■題名
トラニラストによるStevens-Johnson症候群と胆管消失症候群の合併
■著者
済生会横浜市東部病院総合小児科1),同 小児肝臓消化器科2),同 皮膚科3) 藤井 まどか1) 角田 知之2) 高橋 ちあき3) 福田 清香1) 小林 宗也2) 岩本 眞理1) 乾 あやの2)
■キーワード
トラニラスト, Stevens-Johnson症候群, 薬物性肝障害, 胆管消失症候群
■要旨
トラニラストは主に術後のケロイド形成予防目的や,抗アレルギー薬として使用されているが,これまで小児において重篤な副作用の報告はない.今回我々は,口唇形成術後にトラニラストを投与されたことを契機に,Stevens-Johnson症候群(SJS)と薬物性肝障害による胆管消失症候群を発症した乳児例を経験した.トラニラストの内服開始後11日目に発熱で発症し,その後に全身性紅斑と胆汁うっ滞性肝障害をきたした.トラニラストの内服中止とステロイドの投与によりSJSは改善したが,肝機能異常が遷延した.肝組織所見から胆管消失症候群を伴う薬物性肝障害と診断した.ウルソデオキシコール酸の投与と脂溶性ビタミンの補充をおこない,肝機能の正常化までに発症から7か月を要した.トラニラストに対する薬剤リンパ球刺激試験は陰性であったが,臨床経過からトラニラストによるSJSと薬物性肝障害と診断した.トラニラストは小児領域でも使用される薬剤であり,SJSや胆管消失症候群の報告はこれまでになかったが,投与に際しては副作用に十分に留意する必要があると考えられた.
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【症例報告】
■題名
気管挿管を要したマムシグサ果実の誤食による急性喉頭浮腫
■著者
群馬大学医学部附属病院小児科1),JCHO群馬中央病院小児科2) 大谷 祐介1) 高木 陽子1) 小林 靖子1) 武井 麻里子1) 池内 由果1) 山田 諭1) 西田 豊1) 石毛 崇1) 須田 峻平1) 河野 美幸2) 荒川 浩一1) 滝沢 琢己1)
■キーワード
小児, 急性喉頭浮腫, マムシグサ, 植物性自然毒, シュウ酸カルシウム結晶
■要旨
急性喉頭浮腫は時に致命的で,薬物による治療が無効な場合,気管挿管や気管切開による緊急の気道確保を要する.今回,マムシグサ果実の誤食により急性喉頭浮腫をきたし,気管挿管を要した症例を経験した.
症例は2歳3か月男児.自宅の庭でマムシグサの実を摂食した.直後に吐き出したが,咽頭痛と下口唇の腫脹が出現し,嘔吐反射を繰り返すため救急搬送された.搬送時は呼吸器症状を認めなかったが,次第に吸気性喘鳴,多量の流涎が出現した.抗ヒスタミン薬,アドレナリン,ステロイド,ヒトC1インアクチベーター製剤などの薬物治療で改善なく,摂食後4時間で著明な喉頭浮腫をきたし,気管切開術の待機を行いながら気管挿管した.第2病日には喉頭および口唇浮腫は改善傾向を示し,第5病日に抜管,第9病日に退院した.
マムシグサの毒性成分は,不溶性の針状シュウ酸カルシウム結晶で,粘膜を傷害して口腔・咽頭に激しい疼痛を生じ,浮腫やびらんを生じる.アメリカ中毒情報センター協会の報告では,植物性自然毒による中毒事例の60%が5歳以下の小児であり,薬物治療に不応性で急速に進行する急性喉頭浮腫では,気管挿管による気道確保を行ったうえで,発症機転について詳細な聴取を行い,不溶性のシュウ酸カルシウムなどの植物自然毒の誤食を鑑別にあげる必要がある.
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【論策】
■題名
大阪府単一施設における思春期喘息児の通院状況
■著者
大阪はびきの医療センター小児科 深澤 陽平 吉田 之範 九門 順子 山口 智裕 上野 瑠美 中野 珠菜 釣永 雄希 重川 周 高岡 有理 亀田 誠
■キーワード
喘息, 思春期, 移行期
■要旨
【背景目的】小児期発症の代表的疾患である喘息の移行期医療は,重要な課題である.しかしながら,本邦で思春期喘息の通院状況についてまとまった報告はないため,当院での現状を調査した.
【方法】2014年4月1日時点で12〜15歳であった当科通院中の喘息児を対象とし,2018年3月時点での通院状況を調べた.また2015〜2017年度の呼吸機能および治療内容を調査し,最終受診時の呼吸機能と治療内容,小児科に継続して診療を行っている児においては治療内容の変化を評価した.
【結果】対象は239人.小児科で継続して診療を行っている「小児科継続群」は92人(39%),内科に転科した「内科転科群」は49人(21%),ドロップアウトした「ドロップアウト群」は47人(19%),更に通院加療を終了し終診に至った「終診群」は49人(21%)であった.%FEV1.0,FEV1.0%,%V50は内科転科群で有意に低値であった.小児科継続群では初年度と比較して26%が治療をstep upしていた.
【結語】終診や内科に転科していたものは少なく,小児科で継続してみられていたものが最も多かった.この年代の喘息児は数年間での治療終了は見込めず,長期にわたる加療を要するものが多いため,遅くとも高校卒業時には転科できる準備を完了することを目標に,患者本人がその必要性を理解し準備できるよう促していく必要がある.
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【論策】
■題名
RSウイルス感染症の新規入院施設数は定点報告数よりも早期に流行開始を予測しうる
■著者
兵庫県立こども病院救急科1),同 感染症内科2) 鞍谷 沙織1) 笠井 正志2) 大竹 正悟2) 松井 鋭1) 田中 亮二郎1)
■キーワード
RSウイルス, 定点報告数, 感染症発生動向調査週報, 小児科定点把握, 多施設
■要旨
RSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)感染症は小児科定点把握の5類感染症であり感染症発生動向調査週報として公開されている.定点報告は公的かつ正確である一方で届出から発表までの間に3週間程度の時間差があるが,現時点で定点報告よりも流行開始時期を早期察知する具体的な手法は確立されていない.本研究では,兵庫県内で入院施設のある10の医療機関において,RSV感染症の新規入院症例数および新規入院症例があった施設数を集計し,症例数および施設数の増加傾向を定点報告数と合わせてグラフ化し視覚的に評価した.結果,新規入院症例があった施設数は定点報告を基準とした増加開始時期より数週以上早期に増加開始を認めた.
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