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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:19.9.13)
第123巻 第9号/令和元年9月1日
Vol.123, No.9, September 2019
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日本小児科学会薬事委員会報告 |
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ピボキシル基含有抗菌薬の服用に関連した低カルニチン血症に係る注意喚起
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1363 |
第122回日本小児科学会学術集会 |
教育講演 |
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江原 朗 1365 |
原 著 |
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後藤 芳充,他 1377 |
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小川 英輝,他 1382 |
症例報告 |
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老木 菜々美,他 1388 |
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尾崎 望 1395 |
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落合 佳代,他 1400 |
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小野 泰輔,他 1406 |
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金井 宏明,他 1413 |
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岡田 慶介,他 1418 |
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池本 裕実子,他 1424 |
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浦川 立貴,他 1428 |
短 報 |
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杉崎 弘周 1433 |
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古家 信介,他 1436 |
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1440 |
日本小児科学会男女共同参画推進委員会報告 |
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地区小児科学会(ブロック別学会)における男女共同参画推進のための取り組み
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1458 |
日本小児科学会小児救急委員会主催 |
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1463 |
日本小児科学会小児医療委員会主催 |
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1464 |
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会主催 |
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1465 |
日本小児科学会男女共同参画推進委員会報告 |
リレーコラム キャリアの積み方─私の場合27 |
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1466 |
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1468 |
日本小児科学会英文誌 Pediatrics International 2019年61巻8号目次
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1474 |
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1476 |
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1477 |
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1478 |
【原著】
■題名
ウリナスタチンのIgA血管炎に対する紫斑病性腎炎発症予防効果と安全性
■著者
名古屋第二赤十字病院小児腎臓科1),あいち小児保健医療総合センター腎臓科2),一宮医療療育センター3) 後藤 芳充1) 笠置 俊希1) 真島 久和1) 笠原 克明1) 田中 一樹2) 日比野 聡2) 藤田 直也2) 上村 治3)
■キーワード
IgA血管炎, アレルギー性紫斑病, 紫斑病性腎炎, ウリナスタチン, 腎炎発症予防
■要旨
我々は,IgA血管炎(IgAV)の腎炎発症リスクをスコア化し,ハイリスク症例に対してウリナスタチンを投与し,その腎炎発症予防効果を報告してきた.今回は,非盲検ランダム化比較試験を行い,ウリナスタチンの優越性の有無を検証した.
初発のIgAV患者にウリナスタチンの投与,非投与を事前に決められた順番で割付けをした.52例が対象となったが,非投与群2例が途中で来院しなくなったためドロップアウトとし,投与群27例,非投与群23例の50例で検討を行った.年齢や性別などの背景,関節腫脹以外の徴候,来院時の血液検査,病巣感染,プレドニン使用の有無・量について2群間に有意差はなかった.腎炎発症率は,投与群が18.6%(5例),非投与群が17.4%(4例)で,2群間に有意差はなかった.
腎炎発症のリスクスコアは50%がハイリスクとなるように設定したものだが,両群とも18%前後とハイリスクであるにもかかわらず一般の報告より少なかった.その原因の一つとして,副鼻腔炎などの病巣感染巣を積極的に探し,治療を行ったことが考えられた.
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【原著】
■題名
パレコウイルス感染症における血液検査所見の経時的推移
■著者
国立成育医療研究センター生体防御系内科部感染症科1),北里大学病院小児科2),国立病院機構西埼玉中央病院小児科3) 小川 英輝1) 庄司 健介1) 金子 雅紀2) 川村 典子2) 小穴 慎二3) 小山(若井) ちとせ1) 岩瀬 徳康1) 宮入 烈1)
■キーワード
パレコウイルス, 新生児, sepsis-like syndrome, 血液検査
■要旨
【背景】
Parechovirus A(PeV-A)感染症の臨床像に関する報告は多いが,血液検査所見の経時的な推移に関する報告は少ない.
【方法】
2014年4月〜2016年9月において,real-time PCR検査の結果からPeV-A感染症と診断され入院した乳児症例を対象とした.患者情報や血液検査所見を電子診療録から後方視的に収集した.発熱した日を第1病日と定義した.
【結果】
対象は38例で,全例で発熱を認め,35例で循環不全徴候を認めた.白血球減少は26例(68%)で認め,各病日における中央値の底値が第3病日で,その値は3,570/mm3であった.肝逸脱酵素上昇は23例(61%)で認め,第5病日が中央値の頂値で,その値はAST 193 IU/L,ALT 70 IU/Lであった.ステロイド投与などの治療介入なく改善した.PT-INRおよびAPTTの中央値は,第3〜6病日を頂値に延長していた.8例(21%)でビタミンKが投与されたが,出血傾向による合併症を認めた症例はなかった.
【結論】
白血球減少と肝逸脱酵素上昇はPeV-A感染症の一般的な経過であり,多くの症例では治療介入は要せず,自然に改善しうる.
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【症例報告】
■題名
胸痛を契機に心機能低下が判明した左室緻密化障害合併WPW症候群
■著者
京都大学医学部附属病院小児科1),大阪医科大学附属病院小児科2) 老木 菜々美1) 馬場 志郎1) 尾崎 智康2) 赤木 健太郎1) 松田 浩一1) 吉永 大介1) 平田 拓也1) 片山 博視2) 滝田 順子1)
■キーワード
Wolff-Parkinson-White症候群, 左室緻密化障害, ST変化, 胸痛
■要旨
Wolff-Parkinson-White症候群(WPW症候群)は心臓刺激伝導系早期脱分極により心電図上のデルタ波を特徴とする不整脈疾患であり,多くの症例は無症状・無頻拍発作で経過する.しかし,時に救急外来でKent束の伝導を介するwide QRSを伴う発作性上室性頻拍から心室頻拍(Pseudo-VT)を疑われることやST変化を伴う心電図変化から心筋梗塞を疑われることがあり,他疾患との鑑別が必要である.今回我々は,運動負荷時に胸痛と心電図上のST変化を有するWPW症候群患者の精査の結果,左心室収縮低下を伴う左室緻密化障害が併存した症例を経験した.各種検査・方針の検討の結果,WPW症候群治療にあわせて心機能改善目的でカテーテルアブレーションを施行した.心筋収縮の非同期性は改善したものの心機能の改善は緩徐であり,左室緻密化障害を合併する本症例の今後の心機能について注意深いフォローが必要と考える.
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【症例報告】
■題名
CACNA1A遺伝子の新規変異を認めた周期性失調症2型
■著者
かどの三条子ども診療所 尾崎 望
■キーワード
周期性失調症2型, CACNA1A, 脳波異常, 熱性けいれん, アセタゾラミド
■要旨
周期性失調症2型は小児期から失調発作を反復するまれな遺伝性疾患で電位依存性カルシウムチャンネルα1Aサブユニット遺伝子であるCACNA1Aのヘテロ変異に起因する.1歳7か月に発症し周期性失調症2型と診断した11歳の男児例を経験した.生後11か月から2歳4か月の間に有熱時の全身けいれんを10回きたし,局在性の脳波異常を示した.1歳7か月の時,運動時に突然ふらつきしゃがみこみ動かなくなるエピソードを認めた.この状態が2時間続いたのち入眠し1時間後に覚醒し完全に回復した.初回発作以後,月に1回から数回の頻度で反復し各種抗けいれん剤で抑制されなかった.症候の評価が困難で確定診断は10歳まで時間を要したが,就学後患児自身が発作症状を「ふらつき」と表現し,発作症状をめまいと重度の失調ととらえることが可能となり,眼症状・体幹失調など間欠期症状が明らかとなり診断に至った.運動誘発の傾向と発症年齢を考慮して周期性失調症2型と診断し,アセタゾラミドを投与したところ発作はほぼ完全に抑制された.先行するけいれん発作と局在性脳波異常の存在からてんかんとの鑑別が重要であり,診断上の要点について検討した.
本症例ではCACNA1A遺伝子のエクソン35にミスセンス変異(c.5373T>G,p.Phe1791Leu)を認めた.新規変異でありその疾患起因性に関しても検討を加えた.
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【症例報告】
■題名
進行神経芽腫の再発との鑑別が困難であった限局性結節性過形成の2例
■著者
宮崎大学医学部附属病院小児科1),同 病理診断科2),鹿児島大学病院小児科3),同 小児外科4) 落合 佳代1) 山田 愛1) 木下 真理子1) 澤 大介1) 齋藤 祐介1) 上村 幸代1) 佐藤 勇一郎2) 西川 拓朗3) 岡本 康裕3) 河野 嘉文3) 川野 正人4) 川野 孝文4) 家入 里志4) 盛武 浩1)
■キーワード
限局性結節性過形成, 進行神経芽腫, 大量化学療法, 造血幹細胞移植
■要旨
限局性結節性過形成(focal nodular hyperplasia:FNH)は肝臓に生じる良性腫瘤性病変である.小児では非常に稀だが,化学療法や放射線療法,特に造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation:HSCT)後の発生頻度が高いとされる.経過観察が基本方針となるが,その画像所見には多様性があり,特に悪性腫瘍治療後は局所再発や肝転移との鑑別が困難な場合がある.今回,我々は進行神経芽腫(Stage IV)に対する集学的治療後にFNHを発症した2例を経験した.[症例1]5歳,女児.2歳時に神経芽腫を発症しHSCT併用超大量化学療法を行うも2年6か月後に頭蓋内腫瘍を認め,病理学的に再発と診断した.全身検索として施行した腹部MRIで肝両葉に多発腫瘤を認めた.[症例2]4歳,男児.1歳7か月時に神経芽腫を発症しHSCT併用超大量化学療法を行った.後療法としてイソトレチノイン内服を半年行い,寛解を維持した状態で治療を終了した.HSCT後2年2か月の定期腹部超音波検査にて肝内多発腫瘤を認めた.2症例とも神経芽腫の再発を完全には否定できず,診断確定のため腫瘍生検目的での肝部分切除術を施行しFNHの病理診断に至った.悪性腫瘍治療後に認める肝腫瘍にはFNHを鑑別に挙げる必要がある.
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【症例報告】
■題名
ヒトヘルペスウイルス6型の再活性化を証明した薬剤性過敏症症候群の3例
■著者
国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター小児科 小野 泰輔 米倉 圭二 原 圭一 世羅 康彦 宮河 真一郎
■キーワード
薬剤性過敏症症候群(DIHS), ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6), アスピリン, ジアフェニルスルホン(DDS)
■要旨
薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome以下DIHS)は遅発性に発症する薬疹でありヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)の再活性化が関与する.致死的経過をたどることがあり,早期診断・治療が重要とされる.
今回我々は臨床症状とウイルス学的検査からDIHSと診断した3例を経験した.
症例1は川崎病罹患後であり,川崎病再燃と考え治療を開始したが治療反応性に乏しく,経過中に肺水腫を合併した.ウイルス分離培養検査により早期にHHV-6を検出しアスピリンによるDIHSと診断した.症例2は麻疹を疑われ紹介されたが,尋常性痤瘡に対してジアフェニルスルホン(diaminodiphenyl sulfone以下DDS)を使用しておりウイルス分離培養検査よりHHV-6が検出されたためDIHSとして加療を行った.症例3は伝染性単核症を疑われ紹介されたが,症例2と同様に尋常性痤瘡に対しDDSを使用しており初診時からDIHSを疑い治療を開始し,ペア血清でHHV-6-IgGの上昇を認めたためDIHSと診断した.
発熱,発疹を呈する疾患は多岐にわたるが,DIHSも鑑別疾患の一つとして念頭に置く必要がある.DIHSが疑われた場合は直ちに被疑薬を中止し,治療方針を決めるうえでもHHV-6の再活性化を確認することが重要である.
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【症例報告】
■題名
水痘及びインフルエンザワクチン接種後に再発を繰り返したネフローゼ症候群
■著者
諏訪中央病院小児科1),山梨大学医学部小児科2) 金井 宏明1) 沢登 恵美2) 佐藤 広樹1) 武井 義親1)
■キーワード
小児ネフローゼ症候群, ネフローゼ再発, 水痘ワクチン, インフルエンザワクチン, 免疫抑制剤
■要旨
初発ネフローゼ症候群(NS)の寛解後3か月以内に異なるワクチン接種後に連続して再発した症例を経験した.症例は1歳8か月女児.1歳7か月時にNSを発症し,プレドニゾロン(PSL)投与後10日目に寛解し計8週間で終了した.PSL終了20日後に水痘ワクチンを接種したが,7日後に蛋白尿が出現しNS再発と診断された.PSL 60 mg/m2/日投与後12日目に寛解し,PSL 40 mg/m2/隔日へ減量した.PSL減量10日後に初回インフルエンザ(Flu)ワクチンを接種したが,4日後に蛋白尿が出現しNS再発と診断された.PSL投与後7日目に寛解し,以後2週間毎に漸減し計2か月間で終了した.ワクチン接種後1週間以内に2回連続して同様の経過で蛋白尿が出現し一過性の経過でなかったことからワクチン接種が誘因の再発と判断した.その後,シクロスポリン(CsA)導入後6か月以降に四種混合ワクチンとインフルエンザワクチンを計5回接種し,更にCsA終了後にインフルエンザワクチンを接種したが再発しなかった経過から,ワクチン接種後のNS再発には接種時期や免疫抑制剤併用の影響が考えられた.ワクチン接種とNS再発の明確な因果関係は示されていないが,再発の誘因となりうる事に留意し,特に寛解直後の症例ではワクチンの種類に関わらず少なくとも接種後2週間は注意して自宅検尿を頻回に行うように指導すべきである.
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【症例報告】
■題名
新生児マススクリーニングでは異常が認められなかったビオチニダーゼ欠損症クルド人例
■著者
埼玉医科大学病院小児科1),同 難病センター2),済生会川口総合病院小児科3),千葉県こども病院代謝科4),順天堂大学難病の診断と治療研究センター5) 岡田 慶介1) 味原 さや香1) 武者 育麻1) 荒尾 正人1) 内藤 朋巳3) 井上 久美子3) 大山 昇一3) 村山 圭4) 岡崎 康司5) 菊池 透1) 徳山 研一1) 大竹 明1)2)
■キーワード
ビオチニダーゼ欠損症, 複合カルボキシラーゼ欠損症, 新生児マススクリーニング, 3-ヒドロキシイソバレリルカルニチン(C5-OH), Leigh症候群
■要旨
新生児マススクリーニングでは異常を指摘されず,生後1か月時にけいれんを反復したのを契機にビオチニダーゼ欠損症と診断されたクルド人女児を経験した.児の両親はいとこ婚で,頭位自然分娩で仮死なく出生し,日齢4に行われた新生児マススクリーニングは3-ヒドロキシイソバレリルカルニチン(C5-OH)も含め正常であった.日齢38にけいれんを反復し,頭部MRIで異常信号を認め臨床的Leigh症候群と診断した.血液検査では乳酸,ピルビン酸,乳酸ピルビン酸比の上昇を認め,血中タンデムマス分析でC5-OHが上昇,尿中有機酸分析では3-ヒドロキシイソ吉草酸,乳酸の上昇を認めた.Leigh症候群を考えミトコンドリア病の精査を行った結果,遺伝子解析で既知のビオチニダーゼ欠損症の変異が判明した.ミトコンドリア病を疑った当初の生後2か月時から投与したビオチンのためか,神経学的には次第に回復し発達も正常に近づいている.しかし発症時からあった難聴は残存し予断を許さない.現行の新生児マススクリーニングではビオチニダーゼ欠損症をスクリーニングできないことが示唆され,周知する必要があると考えられここに報告する.
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【症例報告】
■題名
防水スプレー吸入による急性肺障害の母子例
■著者
姫路聖マリア病院小児科 池本 裕実子 木寺 えり子 谷中 好子 河田 知子
■キーワード
防水スプレー, 急性肺障害, フッ素樹脂
■要旨
症例は34歳女性,4歳男児の母子.母子とも室内で防水スプレーを使用した30分後から咳嗽が出現し10時間後から呼吸困難も生じ第2病日に当院入院となった.男児は胸部X線写真で両側中下肺野の透過性低下を認めた.低酸素血症があり3日間酸素吸入を施行した.第6病日に呼吸困難は消失し第14病日に胸部X線写真も正常化した.母親は低酸素血症はなかったが胸部X線写真で右肺全体と左中下肺野の透過性低下,胸部CTで両肺のすりガラス状陰影と小葉間隔壁肥厚が見られた.第4病日から呼吸困難は軽減し第8病日に胸部X線写真所見も改善した.母子とも抗菌薬,ステロイド投与により加療しその後の再燃は見られなかった.防水スプレーは日常的に広く使用されているが吸入により重篤な肺障害をきたすことがあるのでその危険性についての啓発活動が必要である.
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【症例報告】
■題名
視床下部原発脳腫瘍例における成長曲線を用いた学校健診のピットフォール
■著者
長崎大学病院小児科1),ひろた小児科2),きのしたこどもクリニック3) 浦川 立貴1) 渡辺 聡1) 伊藤 暢宏1) 谷岡 真司1) 舩越 康智1) 広田 哲也2) 木下 英一3) 森内 浩幸1) 伊達木 澄人1)
■キーワード
成長曲線, 脳腫瘍, 胚細胞腫, 低血糖, 尿崩症
■要旨
小児の下垂体近傍脳腫瘍は,視床下部・下垂体機能障害により,成長障害を含めた多彩な臨床像を来しうる.今回,3年前より成長率が低下していた視床下部原発脳腫瘍の9歳女児例を経験した.頭痛・嘔吐を主訴に来院し,遷延する低血糖が認められ,緊急入院となった.入院時の頭部CTで鞍上部脳腫瘍と閉塞性水頭症が見つかった.低血糖時の血清コルチゾール低値と中枢性甲状腺機能低下症を認め,腫瘍マーカーの上昇と合わせて汎下垂体機能低下症を伴った視床下部胚細胞腫と診断した.児は5歳ごろから多飲・多尿を認めており,また成長曲線では6歳ごろから明らかに成長率が低下していた.成長曲線を用いた学校健診では,低学年のためデータが少なく,かつ成長率の低下が緩やかであったため,異常を指摘されていなかった.本症例は幼少期身長データもあわせて成長曲線を作成していれば早期診断が可能であった.小学校低学年において,成長率低下を伴う疾患を早期診断するためには,母子健康手帳・保育園・幼稚園と小学校の間の成長記録の引き継ぎや連携が必要である.
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【短報】
■題名
学校におけるがん教育に対する保護者の態度
■著者
新潟医療福祉大学 杉崎 弘周
■キーワード
学校, がん教育, 保護者, 全国調査, アンケート調査
■要旨
学校において実施されるがん教育を充実させるために,保護者から理解を得ることが必須である.しかし,がん教育に対する保護者の態度はこれまで明らかになっていない.本研究では,小・中・高校生の保護者を対象に全国調査を行い2,417名から回答を得た.学校でがん教育が実施されることを知っていた保護者は11%だが,約73%が実施に賛成であった.調査したがん教育に関する内容すべてについて,不必要とする保護者が少なく,70%以上が必要かやや必要とした.「がん」に関する広範な分野の教育を実現するためには,医師(学校医,がん専門医等),がんサバイバー,がん拠点病院関係者など外部講師らの協力が求められる.
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【短報】
■題名
平成30年大阪府北部地震における災害時小児周産期リエゾンの活動報告
■著者
大阪市立総合医療センター救命救急センター1),大阪府災害時小児周産期リエゾン2),国立病院機構災害医療センター臨床研究部3) 古家 信介1)2) 吉野 智美1) 石川 順一1) 林下 浩士1) 山下 公子2) 田中 和東2) 竹内 宗之2) 竹本 潔2) 荻田 和秀2) 市場 博幸2) 和田 和子2) 岬 美穂3)
■キーワード
災害時小児周産期リエゾン, 病院避難, DMAT
■要旨
平成30年6月18日7時58分大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生した.発災4時間後より大阪府庁内保健医療調整本部(以下,本部)内において災害時小児周産期リエゾン(以下,リエゾン)が活動を開始した.活動内容は情報収集および発信,医療ニーズの拾い上げ等であった.発災当日に発生した国立循環器病研究センターからの病院避難では,30名を超える患者のうち22名の搬送についてリエゾンが調整した.搬送手段の調整については本部内のDMAT(Disaster Medical Assistance Team)の協力も必要であるが,平時より災害時訓練を行っていたため,円滑な調整が可能であった.災害時の活動を円滑に行うためには,平時からの顔の見える関係作りが重要である.
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