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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:19.4.15)
第123巻 第4号/平成31年4月1日
Vol.123, No.4, April 2019
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日本新生児成育医学会推薦総説 |
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竹内 章人,他 661 |
日本小児神経学会推薦総説 |
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榎 日出夫 674 |
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ミトコンドリア病の治療薬および疾患バイオマーカーの開発
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古賀 靖敏 686 |
日本小児内分泌学会推薦総説 |
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伊藤 善也 698 |
日本マススクリーニング学会推薦総説 |
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タンデムマススクリーニングの対象疾患に新たに加わったカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-2欠損症
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但馬 剛 711 |
第121回日本小児科学会学術集会 |
教育講演 |
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若手医師のための小児救急Triage & Action(T & A)コース
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茂木 恒俊 723 |
原 著 |
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伴 英樹,他 727 |
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大萱 俊介,他 734 |
症例報告 |
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伊藤 敏恭,他 741 |
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諸岡 雄也,他 747 |
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藤井 祥子,他 753 |
論 策 |
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中村 知夫 757 |
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767 |
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769 |
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780 |
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 |
Injury Alert(傷害速報) |
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781 |
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783 |
日本小児科学会子どもの死亡登録・検証委員会 |
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785 |
日本小児科学会小児救急委員会主催 |
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786 |
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787 |
日本小児科学会医療安全委員会主催 |
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第8回Sedation Essence in Children Under Restricted Environment(SECURE)コースの報告
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788 |
日本小児科学会子どもの死亡登録・検証委員会 |
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子どもの死亡の原因に関する情報の収集,管理,活用等に関する体制,データベースの整備等に関する提言
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789 |
日本小児科学会小児救急委員会報告 |
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791 |
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797 |
日本小児科学会英文誌 Pediatrics International 2019年61巻3号目次
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803 |
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805 |
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【原著】
■題名
小児腎移植後サイトメガロウイルス日和見感染の臨床的特徴と移植腎機能に及ぼす影響
■著者
東京女子医科大学腎臓小児科 伴 英樹 三浦 健一郎 石塚 喜世伸 飯田 貴也 谷口 洋平 長澤 武 白井 陽子 金子 直人 薮内 智朗 高木 陽子 服部 元史
■キーワード
小児腎移植, サイトメガロウイルス, 早期投与法, 予防投与法, 移植腎機能
■要旨
背景:腎移植後サイトメガロウイルス(CMV)日和見感染は移植腎予後に影響する重大な合併症であり,特にドナー既感染,レシピエント未感染(D+/R−)のhigh risk症例に対して国際的にはバルガンシクロビル(VGCV)の予防内服が推奨されている.一方,本邦の小児腎移植においては,保険適用とVGCVの剤形の問題から,抗原血症の検索を定期的に行う早期投与法が主流であり,CMV感染の移植腎機能への影響を検討した報告は乏しい.
方法:2008年1月から2016年12月に当院で生体腎移植を施行し,早期投与法で管理した小児腎移植59例を対象とし,診療録を用いて後方視的に検討した.
結果:CMV感染は全体で21例/59例(35.6%),D+/R−症例で12例/16例(75.0%)に認め,このうちCMV感染症に進行したのは全体で10例/59例(16.9%),D+/R−症例で9例/16例(56.3%)と高率であった.また,CMV感染群で移植1年後eGFRが有意に低かった(p=0.025)
結論:小児腎移植に対する早期投与法は,high risk症例で高率にCMV感染症への進行を認めた.また,CMV感染群で移植1年後eGFRが有意に低かった.今後,high risk症例が多い小児腎移植に対してVGCVの予防投与法を導入し,有効性・安全性を検討していく必要があると考えられた.
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【原著】
■題名
院内で急変した小児の蘇生状況に関する多施設共同研究
■著者
名古屋大学大学院医学系研究科発育・加齢医学講座小児科学分野1),名古屋大学医学部附属病院救急科2) 大萱 俊介1) 沼口 敦1)2) 伊藤 祥絵1) 田上 和憲1) 阿部(羽田野) ちひろ1) 宮地 悠江1) 川田 潤一1) 夏目 淳1) 小島 勢二1) 高橋 義行1)
■キーワード
小児, 院内心肺停止, 急変, 蘇生処置
■要旨
【目的】院内心停止を起こした小児の予後は近年改善していると言われるが,大規模病院からの報告が中心である.我々は中小規模の病院も含め,院内で急変した小児の蘇生について現状分析を目的に調査を行った.【方法】名古屋大学小児科関連36施設に対して,2010〜2012年の3年間に発生した院内蘇生患者に関して後方視的に質問紙調査を行った.【結果】調査対象36施設中,Intensive Care Unit(以下ICU)併設施設は16施設(44%)あったがPediatric Intensive Care Unit(以下PICU)併設施設はなかった.21施設で計355例の院内蘇生患者が把握され,do not attempt resuscitation(以下DNAR)や院外心肺停止等を除いた76例について解析した.48例(63%)は一般病棟で発生しており,自己心拍再開率は55%だった.大学病院などの中核病院での発生数は全体の14%に過ぎなかった.【結論】一般病棟での発生率が高く,自己心拍再開率はこれまでの海外の報告より低かった.予後改善のためには,卒後生涯教育を普及させることで蘇生の質を改善させること,また急変を示唆する徴候に対して早期にICU適応を模索し,PICUや中核病院への集約化を進めていく必要がある.
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【症例報告】
■題名
末梢静脈カテーテルが感染経路と考えられた感染性心内膜炎
■著者
高松赤十字病院小児科1),四国こどもとおとなの医療センター小児循環器内科2) 伊藤 敏恭1) 清水 真樹1) 寺田 一也2) 幸山 洋子1)
■キーワード
感染性心内膜炎, 医療関連感染性心内膜炎(Health care associated infective endocarditis;HAIE), 末梢静脈カテーテル感染, S. aureus, 敗血症性肺塞栓症
■要旨
症例は先天性心疾患をもたない3歳女児.インフルエンザAに伴う熱性けいれんの診断で前医に入院したが発熱が遷延したため当院に転院した.抗菌薬投与により一旦は解熱したが,再発熱を繰り返した.血液培養検査ではStaphylococcus aureusが検出された.心臓超音波検査により三尖弁前尖の逸脱とその弁尖に疣贅を認め,胸部CT検査では両側下葉末梢を中心に多発するfeeding vessel signを伴った結節影を認めた.以上よりDuke診断基準に基づき,敗血症性肺塞栓を合併した三尖弁感染性心内膜炎と診断した.前医での経過中に末梢静脈カテーテル刺入部の静脈炎が認められていたことなどから,末梢静脈カテーテル感染を原因とした,医療関連感染性心内膜炎(Health care associated infective endocarditis;HAIE)を発症したと考えられた.抗菌薬治療により治癒し得たが,三尖弁逆流は残存した.先天性心疾患のない小児においてもHAIEは不明熱の鑑別疾患として念頭に置くべきであり,その感染経路として,末梢静脈カテーテルは重要である.
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【症例報告】
■題名
喘息発作軽快後のSpO2低値を契機に発見された異常ヘモグロビン症の乳児
■著者
福岡徳洲会病院小児科 諸岡 雄也 山本 剛 畠山 邦也 平田 雅昭
■キーワード
低酸素親和性異常ヘモグロビン症, hemoglobin Presbyterian, パルスオキシメーター, 経皮的動脈血酸素飽和度, 気管支喘息
■要旨
気管支喘息発作の加療後に,呼吸状態が改善したにも拘らず,パルスオキシメーターによる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が室内気で低値(90%〜95%)を示す乳児例を経験した.SpO2低値を発作後の一時的現象と判断して,異常ヘモグロビン(Hb)症を想定できなかった.同様のエピソードを再度認めたことから,低酸素血症の原因検索を行った.胸部CT,心臓超音波検査では異常を認めなかった.動脈血液ガス分析では,動脈血酸素分圧(PaO2)は正常であったが,動脈血酸素飽和度(SaO2)は低値を示した.異常Hb症を疑って実施した遺伝子検査の結果,低酸素親和性異常Hb症(Hb Presbyterian)と診断された.診察所見と一致しない予期せぬSpO2低値を示す症例では,90%〜95%程度の低値も見過ごさず,本症を鑑別するために動脈血液ガス分析を実施することが重要である.PaO2が正常ならば異常Hb症を疑い,適切な検査を迅速に進めるべきである.早期診断により,患者は不必要な検査や治療を受けずにすむ.呼吸不全の評価のために,乳児期からSpO2を測定する機会を有する喘息をはじめ呼吸器疾患の診療においては,異常Hb症に対する十分な認識が必要である.
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【症例報告】
■題名
腹部超音波検査で偶発的に見つかった多隔壁胆囊
■著者
ますだ小児科 藤井 祥子 高本 聡 増田 宏
■キーワード
多隔壁胆囊, 胆囊形態異常, 腹部超音波検査
■要旨
症例は4歳男児.腹痛を主訴に当院を受診した.腹部超音波検査を施行したところ,胆囊内に多数の隔壁構造を認めた.胆囊壁の肥厚,胆管拡張,結石は認めず,血清学的検査も異常は認めなかった.以後半年間無症状で経過している.構造学的特徴より,多隔壁胆囊と診断した.多隔壁胆囊は極めて稀な胆囊の先天性形態異常であり,これまでの世界での小児報告例は筆者が検索した限りでは十数例のみであり,本邦での小児報告例は本症例が初である.若干の文献的考察を加え報告する.
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【論策】
■題名
行政と医療の連携による小児在宅の現場で活躍できる人材育成を目的とした講習会の立案
■著者
国立研究開発法人国立成育医療研究センター医療連携・患者支援センター在宅医療支援室総合診療部在宅診療科 中村 知夫
■キーワード
小児在宅医療, 医療的ケア児, 厚生労働省事業, 行政と医療の連携, 多職種連携
■要旨
行政と医療が連携し,小児在宅の現場で活躍できる人材の育成を担うことのできる人材の創出を目的とした平成28年度厚生労働省委託事業 在宅医療関連講師人材養成事業「小児を対象とした在宅医療分野」の講習会に,40都道府県から104名(医師71名,行政職員33名)が受講した.講習会では,各都道府県の医療者と行政担当者が地域の現状と課題を話し合った後に,課題解決のための人材育成プログラムを立案し,都道府県間で意見交換を行った.医師はほとんどが小児科医で,様々な施設から参加していた.全受講者に対する地域の小児在宅医療の現状の質問に対して,半数が行われていないと回答した一方で,4分の3が積極的な医師がいると回答した.小児在宅医療を広げる上での課題には,「実態が把握されていない」,「連携と理解・認識の不足」,「人材・資源の不足」,「地域格差」との回答が多かった.グループワーク形式で行った課題解決のための研修プログラムは,医療や生活支援の人材・資源不足の解決,小児在宅医療への理解の促進などに関する様々な形態の研修プログラムが検討される中で,同職種連携,多職種連携が強く意識されたものとなった.医療的ケア児に対し,行政は,保健,医療,福祉等と協力し地域の支援体制の整備を進めることが法律上も義務づけられており,本講習会を通し,行政と医療の連携が進み,各地域の小児在宅医療の課題解決に繋がることが期待される.
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