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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:18.11.19)
第122巻 第11号/平成30年11月1日
Vol.122, No.11, November 2018
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日本小児精神神経学会推薦総説 |
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小児医療におけるコンサルテーション・リエゾンの重要性と課題
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田中 恭子,他 1669 |
原 著 |
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松扉 真祐子,他 1677 |
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冨本 和彦 1683 |
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真喜屋 智子,他 1692 |
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岩崎 卓朗,他 1700 |
症例報告 |
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田邉 のぞみ,他 1708 |
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長ケ原 玖美,他 1716 |
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塚本 淳也,他 1722 |
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高瀬 貴文,他 1727 |
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藤田 雄治,他 1733 |
論 策 |
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松井 隆志,他 1738 |
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1744 |
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1745 |
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 |
Injury Alert(傷害速報) |
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No. 77 エスカレーターに巻き込まれて受傷した前腕裂創
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1763 |
日本小児科学会小児科医の将来を考える委員会報告 |
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学術集会における将来の小児科医を考える委員会の活動に関する報告
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1768 |
日本小児科学会JPLS委員会主催 |
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1772 |
日本小児医療保健協議会栄養委員会主催 |
第121回日本小児科学会学術集会 |
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総合シンポジウム6 子どもの食の安全を考える 報告
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1773 |
日本小児科学会男女共同参画推進委員会報告 |
リレーコラム キャリアの積み方―私の場合22 |
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〜育む〜Keep the faith, Where there is a will, there is a way〜
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1776 |
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1778 |
日本小児科学会英文誌 Pediatrics International 2018年60巻10号目次
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1785 |
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1787 |
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1788 |
【原著】
■題名
家族の問題を抱えた先天性心疾患患児の養育における問題点
■著者
広島市立広島市民病院循環器小児科 松扉 真祐子 鎌田 政博 中川 直美 石口 由希子 森藤 祐次 松本 祥美 岡本 健吾
■キーワード
先天性心疾患, 養育, 社会的養護, 乳児院, 精神疾患
■要旨
【背景】先天性心疾患の病状が安定しても,家族・家庭の問題で自宅退院できない症例は稀ではない.その様な児の養育に関する報告はこれまでなく,家庭での養育を困難にする要因とわが国の社会的養護制度の問題点について検討した.
【対象と方法】当科で治療後も家庭での養育困難で入院継続となった先天性心疾患患児6例につき後方視的に調査した.中国地方の全乳児院7施設に対しアンケートを郵送し,心疾患患児の入所状況,養護上の問題点について調査・分析した.
【結果】症例の転帰は乳児院2例,養子縁組1例,自宅退院2例,院内死亡1例で,社会的養護3例は治療後に臨床症状が安定し酸素療法を要さなかった.家族・家庭の問題は母の精神疾患合併が5例(83%),家族の育児援助なしが5例(83%)と多く,自宅退院には家族の援助が不可欠であった.アンケートは回答率100%で,6施設(85.7%)は先天性心疾患患児の入所経験があったが,臨床症状なし:5施設(71.4%),手術で完治:4施設(57.1%),在宅酸素なし:3施設(42.9%)等が条件であった.
【考察】家庭で養育し難い要因として母親の障害および家族の援助がない状況が強く影響する.治療後に呼吸・循環に関する症状が残存している場合,社会的養護が難しい現状があり,養護施設と医療機関との連携強化,医療的ケアを必要とする児に対する社会的養育機能の強化が求められる.
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【原著】
■題名
ビタミンD不足状態にある母乳栄養児における適切なビタミンD補充療法
■著者
とみもと小児科クリニック 冨本 和彦
■キーワード
ビタミンD, 母乳栄養, 乳児, ビタミンD補充, 25OHD
■要旨
【背景】本邦の母乳栄養児ではビタミンD不足が危惧されるが,不足例に対する至適ビタミンD補充量については未だ定まっておらず,補充投与量について検討する.
【方法】ほぼ完全母乳栄養児で25OHD値20 ng/mL未満のものを対象とした.ビタミンD一日160 IU補充群と400 IU補充群でのランダム化比較試験とし,4週投与後に25OHD値が20 ng/mL未満であった例数,および25OHD,PTH,ALP,カルシウム,リン値の変化を比較検討した.
【結果】対象の91例について,4週後に25OHD値が20 ng/mL未満であったものは160 IU群で45例中11例,400 IU群では46例中1例(P=0.0017)であった.4週後に25OHD値は160 IU群で26(IQR:20〜30)ng/mL,400 IU群で29(IQR:24〜32)ng/mLと用量依存性に増加(P=0.012)したが,PTH,ALP,カルシウム,リン値の変化は両群で有意の差は認められなかった.
【考察】160 IU群においてはビタミンD不足にとどまる例があり,くる病発症リスクが回避できない.ビタミンD補充投与量としては一日400 IUが望ましい.
【結論】高緯度,あるいは日照時間の少ない地域に居住するほぼ完全母乳栄養児には,全例にビタミンD一日400 IUを補充投与すべきである.
日本医師会臨床試験登録システム(JMACCT CTR;登録ID JMA-IIA00243)
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【原著】
■題名
地域の現状に合わせたパリビズマブ投与
■著者
沖縄県立中部病院新生児内科1),琉球大学医学部附属病院新生児科2),沖縄県立南部医療センター・こども医療センター新生児科3),那覇市立病院小児科4),沖縄赤十字病院小児科5),沖縄県立北部病院小児科6) 真喜屋 智子1) 吉田 朝秀2) 大庭 千明3) 上原 朋子4) 仲宗根 一彦5) 伊佐 真之6) 木里 頼子1) 泉 絢子1) 小濱 守安1)
■キーワード
RSウイルス, パリビズマブ, 沖縄, RSV関連入院, 早産児
■要旨
沖縄ではRSウイルス(RSV)が1年を通してみられ流行期の設定が難しい.我々は,季節に関わらず重症化リスクの高い年齢の感染予防を目標とし,パリビズマブの投与時期について話し合いを行ってきた.2008年に「NICU退院時にパリビズマブを開始し,28週以下出生の児は生後12か月齢まで,29週以降出生の児は生後6か月齢まで」とする沖縄独自の投与指針を定めた.2013年,指針の有効性を評価する目的で,早産児927人を対象としたRSV関連入院に関する共同調査を行った.内訳は22〜28週(A群)129人,29〜32週(B群)229人,33〜35週(C群)569人.パリビズマブの平均投与回数はA群7.8±3.6回,B群4.9±2.1回,C群4.2±2.0回で概ね指針の範囲内だった.RSV関連入院は57人(入院率6.1%),のべ62回で挿管管理2人,死亡はなかった.パリビズマブ投与回数と入院率の関係では,投与3回以下のB群で入院率が高い傾向があった.今回の調査結果から,各群共にパリビズマブを4回以上確実に投与できるよう2014年に指針を改定した.
他府県でもRSV流行の長期化が問題となっているが,医療経済的な視点で考えると投与期間の延長だけでなく,ハイリスク症例の選定が課題となるであろう.我々も沖縄のRSV疫学データの収集と,パリビズマブの適切な投与法について話し合いを続けていきたい.
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【原著】
■題名
小児患者に対するドクターヘリの利用状況
■著者
順天堂大学医学部附属静岡病院小児科1),同 新生児科2),順天堂大学医学部附属順天堂医院小児科思春期科3) 岩崎 卓朗1) 有井 直人1) 馬場 洋介1) 有井 みのる1) 大川 夏紀2) 寒竹 正人1)2) 清水 俊明3)
■キーワード
ドクターヘリ, 小児救急診療, 静岡県東部地域, 地域医療
■要旨
静岡県東部地区の小児救急医療におけるドクターヘリの利用状況を調査し,問題点や対策について検討した.2004年4月から2016年3月の12年間で,出動要請があった15歳以下(新生児症例は除く)の症例を対象とし,男女比や年齢,原因疾患,要請形態(現場出動,施設間搬送),要請元と搬送先を調査し,この間の傾向も検討した.
搬送要請は全体で604例(男児379例,女児225例)であり,原因疾患群別では内因性疾患283例,外因性疾患321例,出動要請別では現場出動314例,施設間搬送290例であった.12年間で内因性疾患群の施設間搬送は減少し,外因性疾患群の現場出動が増加した.内因性疾患群の現場出動では神経筋疾患が最も多かった.同施設間搬送は神経筋・呼吸器・消化器疾患が多かった.外因性疾患群の現場出動は交通外傷が多かった.同施設間搬送は少なかった.搬送要請は調査した全地域から行われ,搬送先は当院と県中央部の小児専門病院が多かった.
静岡県東部はドクターヘリが有効に活用できる地域特性を持っていると考えられ,これからの地域医療に引き続き重要な役割を担うと考えられた.今後もこの体制を維持し,ドクターヘリを効率良く利用していくためにも,ドクターヘリの特性を正しく理解しながら救急医療を行っていく必要がある.
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【症例報告】
■題名
急性散在性脳脊髄炎との鑑別に苦慮した中枢神経原発悪性リンパ腫
■著者
熊本赤十字病院小児科 田邉 のぞみ 武藤 雄一郎 宮下 雄輔 柳邊 秀一 西原 卓宏 小松 なぎさ 平井 克樹 右田 昌宏
■キーワード
急性散在性脳脊髄炎, 中枢神経原発悪性リンパ腫, びまん性白質病変, 免疫不全, EBウイルス関連リンパ増殖症
■要旨
小児において頭部MRIで散在性白質病変を示す疾患として,急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis:ADEM)が知られているが,悪性腫瘍でも同様の所見を示す場合がある.われわれはMRIで散在性白質病変を呈し,最終的に中枢神経原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma:PCNSL)と診断した1例を経験した.症例は1歳女児.肺炎加療中に意識障害および眼瞼下垂が出現した.髄液の細胞数上昇,MRIの散在性白質病変からADEMと診断し,ステロイドパルス療法を施行した.神経所見は一旦改善したが,入院8日目に再度傾眠傾向となりMRIにて病変の拡大を認めた.大量免疫グロブリン療法,血漿交換を行うも病状は進行した.入院31日目に脳腫瘍生検を施行し,PCNSLの診断に至った.腫瘍細胞にはEpstein-Barr virus(EBV)陽性細胞を多数認め,免疫不全との関連が示唆されるEBV関連悪性リンパ腫と診断した.既知の免疫不全は同定できなかったが,何らかの免疫不全の関与が考えられた.大量メトトレキサート療法を中心とした化学療法を施行し,病変は消失したが,高度脳萎縮による精神運動障害が残存した.幼小児で散在性白質病変を見た場合,PCNSLは非常に稀な疾患であるが,鑑別に挙げるべきである.
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【症例報告】
■題名
発症時に高血糖高浸透圧状態を認めた劇症1型糖尿病
■著者
県立広島病院小児科1),同 小児腎臓科2) 長ケ原 玖美1) 神野 和彦1) 森田 理沙1) 奥田 惇子1) 小野 浩明1) 藤井 寛2) 大田 敏之2)
■キーワード
劇症1型糖尿病, 高血糖高浸透圧症候群, 糖尿病性ケトアシドーシス, mixed HHS and DKA
■要旨
症例は13歳8か月女児.入院3日前から口渇,清涼飲料水など4〜5 L/日の多飲あり.入院当日の夜から意識障害が出現したため,救急病院を受診した.血糖値1,090 mg/dL,HbA1c 6.2%,血漿浸透圧341 mOsm/L,pH7.081,HCO3− 7.5 mmol/L,尿ケトン体2+,尿中Cペプチド1.5 μg/日より,糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)に高血糖高浸透圧状態が混在した劇症1型糖尿病と診断した.意識障害の他,脱水に伴う急性腎不全,横紋筋融解症,肝機能障害も認めたが,治療により回復した.
1型糖尿病発症時に高血糖高浸透圧症候群(HHS)とDKAが混在するmixed HHS and DKAといわれる症例の存在があり,小児ではまとまった報告はない.mixed HHS and DKAの一部は清涼飲料水等の多飲が一因と推測され,本症例もその可能性が示唆された.mixed HHS and DKA症例は重度の脱水に伴い,合併症を発症しやすいため,DKAより慎重に血糖値,電解質を改善させるよう適切に加療すべきと思われる.
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【症例報告】
■題名
比較的徐脈を認め細菌性腸炎類似症状を呈した猫ひっかき病
■著者
河北総合病院小児科 塚本 淳也 勝盛 宏 河原 智樹 小澤 亮
■キーワード
比較的徐脈, 猫ひっかき病, 弛張熱, Bartonella henselae
■要旨
症例は13歳,男児.第1病日より発熱を認め,近医でセフジトレン・ピボキシル,トスフロキサシンを処方されたが,39〜40℃の弛張熱が持続した.第7病日に頭痛,腹痛,下痢を主訴に当院救急外来を受診し,細菌性腸炎が疑われ入院した.入院時,比較的徐脈(40.5℃,脈拍85/分)と鼠径リンパ節の軽度腫脹を認めた.サルモネラ腸炎患者との接触があったため同菌血症を疑い,セフォタキシムの経静脈投与を開始した.その後頭痛,腹痛は改善傾向にあったが,弛張熱は持続した.第11病日に頭部MRI検査,心臓超音波検査を施行したが異常所見はなく,血液培養は陰性で,便培養も正常細菌叢であった.猫飼育歴があることから猫ひっかき病鑑別目的にバルトネラ抗体を提出し,ミノサイクリンの経静脈投与に変更した.第15病日より解熱し第16病日に退院とした.血清バルトネラ抗体は,IgM 20倍未満,IgG 1,024倍以上であったことより,猫ひっかき病と確定診断した.
これまでに猫ひっかき病と比較的徐脈の関連を指摘した文献報告は見当たらない.既報告例で体温と脈拍の記載のあるものをまとめると,本例を含む16例中7例に比較的徐脈を示していたことが判明した.猫ひっかき病も比較的徐脈を示す疾患の候補としてあげる必要があると考えられた.
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【症例報告】
■題名
気管支喘息経過中に発症し病理学的に好酸球性細気管支炎と診断した幼児例
■著者
松戸市立総合医療センター小児医療センター小児科1),国保多古中央病院小児科2) 高瀬 貴文1) 三好 義隆1) 中村 好孝2) 平本 龍吾1)
■キーワード
好酸球性細気管支炎, 細気管支炎, 気管支喘息, 気管支肺胞洗浄, 肺生検
■要旨
好酸球性細気管支炎は2001年に初めて本邦より成人例が報告された疾患概念であり,以降成人例の報告が散見される.しかし,幼児期に診断を得た文献報告はない.幼児期の気管支喘息経過中に発症し,病理学的にも好酸球性細気管支炎と診断した1例を経験した.症例は4歳女児で,1歳6か月頃から気管支喘息として加療されていた.徐々に末梢血好酸球の増加を認め,吸入ステロイド薬の増量など治療を強化するも症状は増悪傾向であり,難治性喘息と診断された.その後も末梢血好酸球が高値で高用量吸入ステロイド薬でも改善が得られず,ステロイド全身投与で好酸球の減少と症状の改善を認め胸部CTで小葉中心性粒状影を認めたことから,好酸球性細気管支炎が疑われた.気管支肺胞洗浄液で著明な好酸球増加を認め,胸腔鏡下肺生検で呼吸細気管支にまで好酸球浸潤を認めたことから病理学的にも好酸球性細気管支炎と診断した.幼児期でも末梢血好酸球が高値で難治性喘息として加療され,吸入ステロイド薬で効果が乏しくステロイド全身投与が著効する場合,好酸球性細気管支炎を疑って胸部CTや気管支肺胞洗浄を考慮することが重要である.
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【症例報告】
■題名
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群と蛋白漏出性胃腸症を合併したIgA血管炎
■著者
君津中央病院小児科1),千葉東病院小児科2) 藤田 雄治1) 澤田 大輔1) 升田 真依2) 林 美幸1) 高田 展行1) 木下 香1) 有馬 孝恭1) 松村 千恵子2) 諏訪部 信一1)
■キーワード
IgA血管炎, 蛋白漏出性胃腸症, 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
■要旨
IgA血管炎(IgAV)は小児において最も頻度の高い全身性血管炎症候群である.その臨床像は多様であり,中には紫斑が出現する前に消化器症状が先行する場合もあり診断に苦慮することがある.今回我々は消化器症状が先行し,蛋白漏出性胃腸症をきたしたIgAVに抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)を合併した1例を経験したため報告する.
症例は4歳男児.第1病日に嘔吐と腹痛を認め,入院加療となった.第6病日より低ナトリウム血症を認め,尿中ナトリウム値,抗利尿ホルモン値などからSIADHと診断した.入院後腹痛が続き,第8病日D-dimer高値より,消化器症状の先行したIgAVを考え,プレドニゾロンを開始した.第9病日低アルブミン血症,水様便,腹水があり蛋白漏出性胃腸症と診断した.第10病日に四肢に紫斑を認めIgAVと診断した.同日顔色不良,腹痛増悪,第XIII因子活性の低下を認めたため,第XIII因子製剤の投与を行ったところ,同日夜より腹痛の改善が得られ,低ナトリウム血症,低アルブミン血症も改善傾向を認めた.
IgAVに次いで多い全身性血管炎症候群である川崎病では低ナトリウム血症を認めることがあり,その病態にSIADHの関与が報告されている.しかしIgAVでの報告は国外からのものはなく,国内からの1例のみである.IgAVにおいて低ナトリウム血症を認めた場合,SIADHの合併も考える必要がある.
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【論策】
■題名
都道府県別・二次医療圏別にみた年少人口あたりの小児科病床数
■著者
地方独立行政法人広島市立病院機構1),広島国際大学医療経営学部2) 松井 隆志1) 江原 朗2)
■キーワード
小児科病床数, 入院, 病床機能報告, 患者調査, 国勢調査
■要旨
【背景および目的】小児科では,1日あたり約2万8千人の入院患者が存在すると推計されているものの,「小児科の入院患者を受け入れることのできる病床数」は明らかではなく,適切な小児医療提供体制を論じるための資料が現存しない.そこで,「小児科患者を受入可能な病床数」を推計し,圏域別に比較することにした.
【方法】「病床機能報告」データおよび「国勢調査」の結果を用いて「小児科患者を受入可能な病床数」の絶対値と,年少人口千人あたりの値を求め,圏域別に比較した.
【結果】全国の病床のうち約七万床が小児科入院患者を受け入れることができた.都道府県別では,年少人口あたりの小児科病床が最も多いのは島根県,少ないのは埼玉県であった.二次医療圏別では,熊本県芦北医療圏が最多,受入可能な病床を持たない二次医療圏を除くと,沖縄県宮古医療圏が最少であった.二次医療圏の人口規模別に年少人口あたりの小児科病床数をみると,「単科病床」は総人口が50万〜100万人の地域,「混合病床」は5万人以下の地域で最も多かった.また年少人口が2.6万人を越える全ての二次医療圏で「小児科患者を受入可能な病床」を有していた.
【結論】都道府県別では「単科病床」「混合病床」共に都市圏において年少人口あたりの小児科病床数が少なかった.しかし,同一都道府県内の二次医療圏間でも大きな差を認めた.
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